JP2023106901A - 晶析反応方法および晶析反応装置 - Google Patents

晶析反応方法および晶析反応装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2023106901A
JP2023106901A JP2022007899A JP2022007899A JP2023106901A JP 2023106901 A JP2023106901 A JP 2023106901A JP 2022007899 A JP2022007899 A JP 2022007899A JP 2022007899 A JP2022007899 A JP 2022007899A JP 2023106901 A JP2023106901 A JP 2023106901A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
crystallization reaction
water
treated
crystallization
fluorine
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022007899A
Other languages
English (en)
Inventor
麗弥 兼重
Reiya Kaneshige
徹 中野
Toru Nakano
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Organo Corp
Original Assignee
Organo Corp
Japan Organo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Organo Corp, Japan Organo Co Ltd filed Critical Organo Corp
Priority to JP2022007899A priority Critical patent/JP2023106901A/ja
Priority to TW112101316A priority patent/TW202335977A/zh
Priority to KR1020230007654A priority patent/KR20230113167A/ko
Publication of JP2023106901A publication Critical patent/JP2023106901A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Removal Of Specific Substances (AREA)

Abstract

【課題】撹拌型の晶析反応槽を用いる晶析反応において、高い回収率でフッ素を回収することができる晶析反応方法および晶析反応装置を提供する。【解決手段】フッ素を含む被処理水にカルシウム剤を添加してフッ化カルシウムの結晶を生成させ、フッ化カルシウムの結晶を回収する晶析反応方法であって、撹拌翼を有する撹拌装置20を備えた晶析反応槽10を用い、被処理水に分散剤を添加し、pH0.8以上3.0以下の条件下で晶析反応を行う、晶析反応方法である。【選択図】図1

Description

本発明は、フッ素含有水の晶析処理を行う晶析反応装置および晶析反応方法に関する。
フッ素を含有するフッ素含有水からフッ素を回収する方法として、例えば、種晶が充填された晶析反応槽にフッ素含有水とカルシウム剤とを注入し、種晶表面に難溶性のカルシウム塩を析出させて、回収する方法が知られている。このような方法において、フッ素の回収率を上げることが検討されている。
例えば、特許文献1には、流動床型の晶析反応槽においてカルシウム剤として塩化カルシウムを用い、フッ素含有水にさらに分散剤を添加し、pH4~5の条件で運転することによって、フッ素の回収率を上げることが記載されている。
一方、特許文献2には、撹拌型の晶析反応槽においてカルシウム剤として塩化カルシウムを用いてフッ素含有水のpH2~3の条件で運転することが記載されている。
また、特許文献3には、撹拌型の晶析反応槽においてカルシウム剤として消石灰を用いてpH0.8~3の条件で運転することが記載されている。
特許文献2,3に記載のような撹拌型の晶析反応槽を用いると、流動床型の晶析反応槽よりも高濃度(例えば、5000mg/L以上)のフッ素含有水からフッ素を回収することができる。しかし、特許文献2,3に記載の通り、撹拌型の晶析反応槽を用いる場合、pH3以下の強酸性条件で運転する必要がある。これは、中性により近い弱酸性のpH条件ではカルシウム塩の微結晶が生成し、沈殿による分離がしにくくなり、回収率が低下するためである。このような撹拌型の晶析反応槽を用いる晶析反応においてもフッ素の回収率を上げることが求められている。
特許第4785353号公報 特許第4590383号公報 特許第5650164号公報
本発明の目的は、撹拌型の晶析反応槽を用いる晶析反応において、高い回収率でフッ素を回収することができる晶析反応方法および晶析反応装置を提供することにある。
本発明は、フッ素を含む被処理水にカルシウム剤を添加してフッ化カルシウムの結晶を生成させ、フッ化カルシウムの結晶を回収する晶析反応方法であって、撹拌翼を有する撹拌手段を備えた晶析反応槽を用い、前記被処理水に分散剤を添加し、pH0.8以上3.0以下の条件下で晶析反応を行う、晶析反応方法である。
前記晶析反応方法において、前記被処理水中の前記フッ素の濃度は、5000~50000mg/Lの範囲であることが好ましい。
前記晶析反応方法において、前記被処理水中の前記分散剤の濃度は、固形分濃度として40mg/L以上であることが好ましい。
前記晶析反応方法において、前記分散剤は、アクリル酸系キレート剤を含むことが好ましい。
本発明は、フッ素を含む被処理水にカルシウム剤を添加してフッ化カルシウムの結晶を生成させ、フッ化カルシウムの結晶を回収する晶析反応装置であって、撹拌翼を有する撹拌手段を備えた晶析反応槽と、前記被処理水に分散剤を添加する分散剤添加手段と、を備え、前記晶析反応槽内でpH0.8以上3.0以下の条件下で晶析反応を行う、晶析反応装置である。
前記晶析反応装置において、前記被処理水中の前記フッ素の濃度は、5000~50000mg/Lの範囲であることが好ましい。
前記晶析反応装置において、前記被処理水中の前記分散剤の濃度は、固形分濃度として40mg/L以上であることが好ましい。
前記晶析反応装置において、前記分散剤は、アクリル酸系キレート剤を含むことが好ましい。
本発明によって、撹拌型の晶析反応槽を用いる晶析反応において、高い回収率でフッ素を回収することができる晶析反応方法および晶析反応装置を提供することが可能となる。
本発明の実施形態に係る晶析反応装置の一例を示す概略構成図である。 実施例および比較例におけるフッ素の回収率(%)を示すグラフである。
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
本発明の実施形態に係る晶析反応装置の一例の概略を図1に示し、その構成について説明する。
本発明の実施形態に係る晶析反応装置1は、フッ素を含む被処理水にカルシウム剤を添加してフッ化カルシウムの結晶を生成させ、フッ化カルシウムの結晶を回収する晶析反応装置であって、撹拌翼を有する撹拌手段として撹拌装置20を備えた、晶析反応を行うための晶析反応槽10と、被処理水に分散剤を添加する分散剤添加手段として、分散剤供給配管30と、を備える。晶析反応装置1は、被処理水を貯留する被処理水槽12と、カルシウム剤を貯留するカルシウム剤槽14と、を備えてもよい。
図1の晶析反応装置1において、被処理水槽12の出口と晶析反応槽10の被処理水入口とは、ポンプ16を介して被処理水供給配管22により接続されている。被処理水槽12の分散剤入口には、分散剤供給配管30が接続されている。カルシウム剤槽14の出口と晶析反応槽10のカルシウム剤入口とは、ポンプ18を介してカルシウム剤供給配管24により接続されている。晶析反応槽10の上部側面の処理水出口には、処理水排出配管26が接続されている。晶析反応槽10の下部の結晶出口には、結晶排出配管28が接続されている。晶析反応槽10には、モータ等の駆動手段および晶析反応槽10内の流体を撹拌する撹拌翼等を有する撹拌手段として撹拌装置20が設置されている。撹拌装置20の撹拌翼は、撹拌軸を介して伝達されるモータが発生する回転力によって回転する。晶析反応槽10のpH調整剤入口には、晶析反応槽10内のpHを調整するpH調整手段としてpH調整剤供給配管32が接続されていてもよい。
本実施形態に係る晶析反応方法および晶析反応装置1の動作について説明する。
フッ素を含む被処理水は、必要に応じて被処理水槽12に貯留される。ここで、被処理水槽12において分散剤が、分散剤供給配管30を通して被処理水に添加される(分散剤添加工程)。分散剤が添加された被処理水は、ポンプ16によって被処理水供給配管22を通して晶析反応槽10に供給される。分散剤は、被処理水供給配管22において被処理水に添加されてもよい。一方、カルシウム剤は、必要に応じてカルシウム剤槽14に貯留され、ポンプ18によってカルシウム剤供給配管24を通して晶析反応槽10に供給される(カルシウム剤添加工程)。カルシウム剤は、晶析反応槽10の撹拌翼の近傍に添加されることが好ましい。必要に応じて、種晶が晶析反応槽10に供給されてもよい(種晶添加工程)。pH調整剤がpH調整剤供給配管32を通して晶析反応槽10に添加され、晶析反応槽10内のpHがpH0.8以上3.0以下に調整される(pH調整工程)。晶析反応槽10内は、撹拌装置20により撹拌される。
そして、晶析反応槽10において、pH0.8以上3.0以下の条件下で、被処理水に含まれるフッ素がカルシウム剤と反応して、フッ化カルシウムの難溶性カルシウム塩の結晶が生成される(晶析反応工程)。種晶が存在する場合にはフッ化カルシウムの難溶性カルシウム塩が種晶表面に析出され、難溶性カルシウム塩の結晶が生成される。晶析反応槽10における晶析反応によってフッ素が低減された処理水は、処理水排出配管26を通して排出される。晶析反応槽10内で生成したフッ化カルシウムの難溶性カルシウム塩は、結晶排出配管28から引き抜かれて排出され、回収される。
本発明者らは、撹拌型の晶析反応槽を用いる晶析反応において、フッ素を含む被処理水に分散剤を添加すると、特に分散剤を固形分濃度として40mg/L以上となるようにフッ素を含む被処理水に添加すると、pH0.8以上3.0以下の条件下でフッ素とカルシウム剤との晶析反応を行うことによって、高い回収率でフッ素を回収することができることを見出した。撹拌型の晶析反応槽を用いる晶析反応において、pH0.8以上3.0以下の強酸性条件でも、分散剤を被処理水に加えると、特に分散剤を40mg/L以上となるように被処理水に加えると、キレート効果が働き、微細結晶が析出しづらくなり、高い回収率でフッ素を回収することができると考えられる。また、分散剤を被処理水に加えないときと同じ回収率とすれば、晶析反応槽を小さくすることができる、使用する種晶の量を低減することができる、被処理水のフッ素濃度を高くすることができる等の利点がある。
特許文献2,3に記載の通り、撹拌型の晶析反応槽を用いる場合、pH3以下の強酸性条件で運転する必要がある。撹拌型の晶析反応槽はpH3以下の強酸性条件でない場合は回収率が低く、実用的でない。これは、中性のpH条件ではフッ化カルシウムの結晶化は反応速度が高いため、カルシウム塩の微結晶が生成し、沈殿による分離がしにくくなり、回収率が低下するためである。一方、酸基を含む分散剤、例えばアクリル酸系分散剤は、酸乖離定数pKaが4.25であるため、pH4以下では分散剤としての効果は小さく、pH3以下の強酸性条件では分散剤としてほとんど作用しない。そのため、pH3以下で運転する撹拌型に晶析反応槽を用いて被処理水に分散剤を添加しても、微細なフッ化カルシウム粒子の生成を抑制する効果はほとんど得られず、高い回収率でフッ素を回収することができないと考えられていた。なお、分散剤を用いて晶析反応を行う特許文献1では、流動床型の晶析反応槽を用いているため、強酸性条件で行うことは想定されていない。
フッ素を含む被処理水は、フッ素を含む水であれば、如何なる由来の水であってもよく、例えば、半導体工場等のフッ素含有排水、アルミの電解精錬工程、製鋼工程等から排出される排水等のフッ素含有水である。被処理水中に含まれるフッ素は、晶析反応により晶析するのであれば、任意の状態で被処理水中に存在することが可能である。被処理水中に溶解しているという観点から、フッ素はイオン化した状態であるのが好ましい。ここでフッ素についてイオン化した状態とは、フッ素イオン(F)、または、フッ素元素を含む化合物がイオン化したものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。被処理水中に含まれるフッ素は、フッ素イオンの形態で存在するのが好ましい。また、フッ化水素酸は弱酸であるため、pHによっては分子状フッ化水素(HF)の形態で存在していてもよい。
フッ素含有排水は、例えば、アルミの電解精錬工程、製鋼工程等からも排出されるが、特に半導体工場等の電子産業において大量に排出される。半導体シリコンウェーハの洗浄等に濃厚フッ酸が用いられ、フッ素含有量が%オーダーの濃厚フッ酸排液として排出される。このとき、アンモニアや過酸化水素、リン酸等も洗浄剤として用いられるため、それらを含む排水となることがある。また、半導体シリコンウェーハ上に残存するフッ酸の洗浄、パーフルオロ化合物(PFCs)分解後のガスに含まれるHFの洗浄等に大量の水が使用され、希薄系のフッ素含有排水としても排出される。本実施形態に係る水処理方法および水処理装置は、特にフッ酸(フッ化水素)を含む排水中からフッ素を除去するために特に好適に適用しうる。
被処理水に含まれるフッ素の量は、特に限定されるものではないが、例えば、5000~50000mg/Lの範囲であり、5000~20000mg/Lの範囲であることが好ましく、5000~10000mg/Lの範囲であることがより好ましい。被処理水に含まれるフッ素の量が5000mg/L未満であると、晶析の効率が悪くなる場合があり、50000mg/Lを超えると、微結晶の生成が進みすぎて、分散剤を添加しても晶析が困難となり回収率が悪化する場合がある。本実施形態に係る晶析反応方法および晶析反応装置によれば、例えば5000mg/L以上という高濃度の被処理水について高い回収率でフッ素を回収することができる。
分散剤は、冷却水処理系、排水処理系、工業用水処理系、純水処理系等の様々な水処理分野において、膜表面や配管等におけるスケールを抑制するか、金属イオンの働きを封鎖することによって物質の凝集力を低下させるために用いられる化合物をいう。分散剤の重量平均分子量は、例えば、10万以下であり、2万以下であってもよい。分散剤は、微細な粒子を凝集させる作用を有する凝集剤、特に有機系高分子凝集剤に該当する化合物を包含しない。なお、このような凝集剤、有機系高分子凝集剤については、特願2003-114697号に記載されている。
分散剤は、例えば、スケール発生を抑制するスケール抑制剤、または金属イオンの働きを封鎖するキレート剤である。スケール抑制剤は、特に限定されるものではないが、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基等の酸基を含む重合体が挙げられる。また、スケール抑制剤としては、例えば、アクリル酸系重合体、マレイン酸系重合体、メタクリル酸系重合体、スルホン酸系重合体、リン酸系重合体、もしくはイソブチレン系重合体、またはこれらの重合体の水溶性塩の形態であってもよい。また、これらの重合体は、1種類のモノマーを重合して得られる単重合体であってもよいし、複数種類のモノマーから得られる共重合体であってもよい。共重合体である場合には、例えば、上述のような酸基を有するモノマー1種以上とその他の1種以上のモノマーとの共重合体であってもよい。
キレート剤は、金属とキレート化合物を形成し、金属イオンを封鎖してその働きを抑制することによって分散効果を得ているものと考えられる。ここで、キレート剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、有機カルボン酸系キレート剤、アミノカルボン酸系キレート剤、ホスホン酸系キレート剤、アミノホスホン酸系キレート剤またはポリリン酸系キレート剤等が挙げられる。有機カルボン酸系キレート剤としては、グルコン酸、クエン酸、シュウ酸、ギ酸、酒石酸、フィチン酸、コハク酸、乳酸、アクリル酸等が挙げられる。アミノカルボン酸系キレート剤としては、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、トリエチレンテトラアミンヘキサ酢酸(TTHA)、ヒドロキシエチルイミノジ酢酸(HIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)等が挙げられる。ホスホン酸系キレート剤としては、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸(HEDP)等が挙げられる。アミノホスホン酸系キレート剤としては、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMP)等が挙げられる。ポリリン酸系キレート剤としては、ピロリン酸、トリポリリン酸、トリメタリン酸、テトラメタリン酸、ヘキサメタリン酸等が挙げられる。
分散剤としては、これらのうち、カルシウムの析出の抑制に対して効果がある、例えば、アクリル酸系、ホスホン酸系、ポリリン酸系(重合リン酸)系のキレート剤が挙げられ、高濃度のカルシウムの析出の抑制に対してより効果がある等の点から有機カルボン酸系キレート剤であるアクリル酸系キレート剤が好ましい。
被処理水に含まれる分散剤の量は、特に限定されるものではないが、例えば、固形分濃度として40mg/L以上であり、40~400mg/Lの範囲であることが好ましく、40~150mg/Lの範囲であることがより好ましい。被処理水に含まれる分散剤の量が固形分濃度として40mg/L未満であると、フッ素の晶析促進効果が小さくなり、フッ素の回収率が低下する場合があり、400mg/Lを超えると、逆に晶析を悪化させ、さらに処理水が後段に流出することによって後段の凝集沈殿等に悪影響を与える場合がある。被処理水が分散剤を含み、被処理水に含まれる分散剤の量が固形分濃度として40mg/L以上の場合には、分散剤を別途添加しなくてもよく、被処理水に含まれる分散剤の量が固形分濃度として40mg/L未満の場合には、分散剤が分散剤供給配管30を通して添加されればよい。
カルシウム剤としては、塩化カルシウム、消石灰(水酸化カルシウム)、炭酸カルシウム等が用いられ、特に、薬品コスト等の点から消石灰が好適に用いられる。カルシウム剤を添加する形態としては、粉末状態でもよいし、水溶液状態や水等のスラリ状態であってもよい。カルシウム剤の添加の好ましい態様は、カルシウム剤スラリとして添加する態様である。
カルシウム剤スラリとして添加する場合、カルシウム剤スラリの濃度は特に限定されるものではなく、例えば一般的に用いられる1質量%~20質量%の範囲でよい。
晶析反応槽10におけるカルシウム剤の注入量としては、例えば、カルシウムの化学当量としてフッ素の0.8倍~2倍の範囲でよく、1倍~2倍の範囲がより好ましく、1倍~1.2倍の範囲がさらに好ましい。カルシウムの化学当量が被処理水のフッ素の化学当量の2倍より多いとフッ化カルシウム等が種晶上に析出せずに微粒子として生成しやすく、晶析処理水にフッ化カルシウム等が混入する場合があり、0.8倍より少ないと、被処理水中のフッ素のうちフッ化カルシウム等とならない割合が多くなり、晶析処理水にフッ素が混入する場合がある。
被処理水とカルシウム剤とを晶析反応槽10に添加する前に、あらかじめ晶析反応槽10に種晶が存在していてもよいし、被処理水とカルシウム剤とを晶析反応槽10に添加するとともに晶析反応槽10内に種晶を供給してもよい。安定した処理を行うためには、被処理水とカルシウム剤とを晶析反応槽10に添加する前に、晶析反応槽10にあらかじめ種晶が存在していることが好ましい。晶析反応装置1は、種晶槽を備えてもよく、晶析反応槽10の種晶入口と種晶槽の出口とは、種晶添加配管により接続されていてもよい。
種晶は、その表面に生成した難溶性カルシウム塩の結晶を析出させることができるものであればよく、任意の材質が選択可能であり、例えば、ろ過砂、活性炭、ジルコンサンド、ガーネットサンド、サクランダム(商品名、日本カートリット株式会社製)等の金属元素の酸化物を含んで構成される粒子、晶析反応による析出物である難溶性塩を含んで構成される粒子等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。より純粋な難溶性塩をペレット等として入手できるという観点から、晶析反応による析出物である難溶性塩を含んで構成される粒子(フッ化カルシウムの場合は例えば蛍石)が好ましい。
晶析反応槽10は、撹拌翼等を有する撹拌装置を備え、被処理水中のフッ素とカルシウム剤とが反応して難溶性カルシウム塩の結晶を析出させて、フッ素が低減された処理水を生じさせうる反応槽であればよく、長さ、内径、形状等については任意の態様が可能であり、特に限定されるものではない。
晶析反応槽10は、撹拌翼等を有する撹拌装置を設置し、この撹拌装置により晶析反応槽10内を撹拌してペレットを流動させる撹拌式の晶析反応槽等が挙げられる。撹拌翼は晶析反応槽10内で内容物を撹拌できるものであればよく、撹拌翼の設置態様、撹拌翼の大きさ等は特に限定されるものではない。
カルシウム剤の晶析反応槽10への添加(注入点)は、撹拌装置20の撹拌翼の近傍に行われることが好ましい。カルシウム剤を撹拌翼の近傍に添加することにより、カルシウム剤は、晶析反応槽10へ注入されると直ちに拡散され、その濃度が素早く低下する。このため、形成された塩が液中に直接析出することが少なくなり、晶析反応槽10内の粒状種晶上の難溶塩の結晶として液中のフッ素を、時間をかけて取り込むことができる。また、カルシウム剤が溶けやすくなり、未溶解のカルシウム剤とフッ素との急激な反応を抑制することもできる。これらの結果、粒子の均一性が高く、含水率の低いフッ化カルシウムの生成が可能となる。
被処理水の晶析反応槽10への添加(注入点)も撹拌装置20の撹拌翼の近傍に行われることが好ましい。被処理水を撹拌翼の近傍に添加することにより、被処理水は、晶析反応槽10へ注入されると直ちに拡散され、フッ素の濃度が素早く低下する。このため、晶析反応槽10内の粒状種晶上の難溶塩の結晶として液中のフッ素を、時間をかけて取り込むことができる。その結果、より粒子の均一性が高く、より含水率の低いフッ化カルシウムの生成が可能となる。
晶析反応槽10に酸等のpH調整剤を添加して、晶析反応槽10における晶析反応液のpHを0.8~3.0の範囲とし、1.0~1.5の範囲とすることが好ましい。酸を添加して晶析反応槽10のpHを0.8~3.0の範囲で運転することにより、晶析処理水のフッ素の濃度を低減させることができる。この理由としては、pH0.8~3.0の範囲という低いpHで運転することによってカルシウム剤が溶けやすくなり、未溶解のカルシウム剤とフッ素との急激な反応を抑制する効果があると考えられる。
pH調整剤としては、塩酸、硫酸等の酸や、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ剤等が挙げられる。
晶析反応工程における液温度は、特に制限はなく、例えば、15~35℃の範囲である。粘性等によって分離性が変わるため、液温度はできるだけ一定になるように調整することが望ましい。
晶析反応槽10の水面下に、筒内に撹拌装置20の撹拌翼が位置するように上面および下面が開口した円筒形状等のドラフトチューブを設置してもよい。このとき、撹拌翼は下降流を形成するものであることが好ましい。このようにドラフトチューブを設置すると、チューブ下部に向けて下降流が生じ、拡散流速が比較的大きいゾーンが形成される。このため、被処理水やカルシウム剤等をより素早く拡散させることができ、被処理水やカルシウム剤の濃度が局所的に濃い領域同士が接触して、フッ化カルシウム粒子の直接生成が生じることを極力抑制することが可能となる。
上記のようにドラフトチューブおよび撹拌翼を設置すると、ドラフトチューブの外周部には流れのゆるやかな上向流ゾーンが形成される。このゾーンでは、粒子が分級されて小粒径の粒子はチューブ外側面に沿って上昇するとともに、チューブ上端からチューブ内部に再侵入して下降し、被処理水やカルシウム剤等の注入点付近やその下部の撹拌ゾーンへと再循環する。これら小粒径の結晶が核となって晶析反応を促進される。このため、粒径の大きなフッ化カルシウムの結晶を安定的に形成することが可能となり、回収率を向上させることができる。
さらに、晶析反応が進んで粒径が大きくなった結晶は、チューブ外周部の上向流によっては上昇せず、下に沈んで再びドラフトチューブ内には入り込みにくいため、成長した結晶が撹拌翼との衝突により破壊されてしまうことを抑制することができる。このような利点も、粒径の大きなフッ化カルシウムの結晶を安定的に得ることに寄与し、回収率の向上に寄与することができる。
ドラフトチューブの下部に撹拌流速の比較的大きいゾーンを形成し、チューブ外周部に上向流を安定的に形成するためには、撹拌翼が、チューブ内でチューブ下半分の何処かに位置することが好ましい。より好ましくは、チューブ下端より少し上方の位置がよい。このような配置とすれば、撹拌流速の大きなゾーンがチューブ下端付近に渦のように形成され、さらにそこから上向流がチューブ外周部に沿って安定的に形成される。したがって、被処理水やカルシウム剤等の拡散や、フッ化カルシウム粒子の分級を効果的に進めることできる。
ドラフトチューブを設ける場合、被処理水やカルシウム剤の注入点は、これらをドラフトチューブ内の下降流に乗せて素早く効果的に拡散させるために、ドラフトチューブの筒内に配置することが好ましい。より好ましい位置は、ドラフトチューブの筒内かつ撹拌翼の上方である。
撹拌式の晶析反応槽10としては、晶析反応槽10の周壁に対向させて内周壁を配置して、この内外周壁間を処理水排出路とし、フッ化カルシウム粒子と晶析処理水との分離能を向上させ、晶析処理水中にフッ化カルシウム粒子が流出するのを抑制する分離ゾーンを有するものであってもよい。この態様においては、処理水排出路の上部に晶析処理水出口を設け、晶析処理水出口に晶析処理水を排出する配管が接続されるような態様が好ましい。また、この処理水排出路には、ペレットの分離能を向上させるために、処理水排出路の入口部分に複数枚のじゃま板で構成したバッフル板や、複数枚の整流板で構成したバッフル板を位置させていてもよい。この態様の詳細は特開2005-230735号公報および特開2005-296888号公報に記載されており、これらの特許文献に記載される晶析反応槽も本実施形態において使用可能である。
晶析反応槽10での晶析反応によってフッ素が低減された処理水に含まれるフッ素の量は、特に限定されるものではないが、例えば、2000mg/L以下、特に100~1000mg/Lの範囲である。分散剤の大部分はフッ化カルシウムの結晶中に取り込まれ、処理水に含まれる分散剤の量は、特に限定されるものではないが、例えば、50mg/L以下、特に1~30mg/Lの範囲である。
晶析反応槽10での晶析反応によって生成したフッ化カルシウムは、結晶排出配管28から引き抜かれ、系外へ排出される。フッ化カルシウムの引き抜き方法は、特に制限されるものではないが、チューブポンプ等のスラリ用ポンプを用いて、晶析反応槽10からフッ化カルシウムを引き抜く方法でもよいし、結晶排出配管28にバルブを取り付け、単に重力によって晶析反応槽10からフッ化カルシウムを引き抜く方法でもよい。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
フッ酸を、フッ素濃度5500mg-F/L、フッ素濃度10000mg-F/Lとそれぞれなるように精製水に添加し、フッ素含有水を調製した。さらに分散剤としてアクリル酸系キレート剤(オルパージョンG600、オルガノ株式会社製)をフッ素濃度5500mg-F/L条件のとき、固形分濃度として0mg/L(比較例1)、40mg/L(実施例1)、120mg/L(実施例2)となるように添加し、フッ素濃度10000mg-F/L条件のとき、固形分濃度として0mg/L(比較例2)、60mg/L(実施例3)となるように添加し、撹拌したものを被処理水とした。また、被処理水にpH調整剤(塩酸)を添加し、撹拌することにより、晶析反応槽内の反応液のpHが0.8以上3.0以下になるように調整した。
晶析反応槽には、容量10Lのアクリル反応槽を用い、槽内には種晶としてフッ化カルシウム(蛍石)種晶を5000g充填し、撹拌羽根を有する撹拌装置によって流動させた。処理水中の残留カルシウム濃度が300~500mg-Ca/Lとなるように、カルシウム剤として5質量%水酸化カルシウム水溶液を晶析反応槽に供給した。
<実施例1>
フッ酸を、フッ素濃度5500mg-F/Lとなるように精製水に添加してフッ素含有水を調製し、さらに分散剤としてアクリル酸系キレート剤(オルパージョンG600)を固形分濃度として40mg/Lとなるように添加し、撹拌したものを被処理水とした。被処理水および得られた処理水のフッ素イオン濃度を、ランタンアリザリンコンプレキソン吸光光度法によって測定した。被処理水と処理水のF濃度のマスバランスより、F回収率は、90%~98%、平均93%であった。
<実施例2>
フッ酸を、フッ素濃度5500mg-F/Lとなるように精製水に添加してフッ素含有水を調製し、さらに分散剤としてアクリル酸系キレート剤(オルパージョンG600)を固形分濃度として120mg/Lとなるように添加し、撹拌したものを被処理水とした。被処理水と処理水のF濃度のマスバランスより、F回収率は、89~97%、平均95%であった。
<実施例3>
フッ酸を、フッ素濃度10000mg-F/Lとなるように精製水に添加してフッ素含有水を調製し、さらに分散剤としてアクリル酸系キレート剤(オルパージョンG600)を固形分濃度として60mg/Lとなるように添加し、撹拌したものを被処理水とした。被処理水と処理水のF濃度のマスバランスより、F回収率は、89~97%、平均95%であった。
<比較例1>
フッ酸を、フッ素濃度5500mg-F/Lとなるように精製水に添加してフッ素含有水を調製し、撹拌したものを被処理水とした。被処理水と処理水のF濃度のマスバランスより、F回収率は、75~97%、平均84%であった。
<比較例2>
フッ酸を、フッ素濃度10000mg-F/Lとなるように精製水に添加してフッ素含有水を調製し、撹拌したものを被処理水とした。被処理水と処理水のF濃度のマスバランスより、F回収率は、44~63%、平均55%であった。
このように、実施例の方法によって、撹拌型の晶析反応槽を用いる晶析反応において、高い回収率でフッ素を回収することができた。
[分散剤の種類による晶析効果の確認]
1Lビーカーに純水と表1に示す分散剤とを添加した。撹拌しながらフッ化ナトリウム、塩化カルシウム溶液を表1に示す所定の濃度になるように添加し、塩酸または水酸化ナトリウム水溶液でpHを7に調整した。24時間後に試料を0.2μmフィルターでろ過し、フッ素濃度とカルシウム濃度を、イオンクロマトグラフ装置Dionex Integrion(Thermo Fisher製)、原子吸光光度法によって測定した。原水の濃度に比べてフッ素濃度およびカルシウム濃度が低下(10%以上)していなければ、析出物は生成していない(判定:〇)と判断し、原水の濃度に比べてフッ素濃度およびカルシウム濃度が低下していれば、析出物は生成していた(判定:×)と判断した。結果を表1に示す。
分散剤は、カルシウムの析出抑制に効果があるものであることが好ましい。カルシウムの析出を抑制する効果は、フッ素濃度とカルシウム濃度やpH等の条件によって異なるが、上記試験の結果、カルシウム濃度が高い領域(No.4~6)ではアクリル酸系が最も効果が高く、分散剤を固形分濃度として40mg/L以上を添加することによってフッ化カルシウムの回収率を上げる効果が得られた。
1 晶析反応装置、10 晶析反応槽、12 被処理水槽、14 カルシウム剤槽、16,18 ポンプ、20 撹拌装置、22 被処理水供給配管、24 カルシウム剤供給配管、26 処理水排出配管、28 結晶排出配管、30 分散剤供給配管、32 pH調整剤供給配管。

Claims (8)

  1. フッ素を含む被処理水にカルシウム剤を添加してフッ化カルシウムの結晶を生成させ、フッ化カルシウムの結晶を回収する晶析反応方法であって、
    撹拌翼を有する撹拌手段を備えた晶析反応槽を用い、前記被処理水に分散剤を添加し、pH0.8以上3.0以下の条件下で晶析反応を行うことを特徴とする晶析反応方法。
  2. 請求項1に記載の晶析反応方法であって、
    前記被処理水中の前記フッ素の濃度は、5000~50000mg/Lの範囲であることを特徴とする晶析反応方法。
  3. 請求項1または2に記載の晶析反応方法であって、
    前記被処理水中の前記分散剤の濃度は、固形分濃度として40mg/L以上であることを特徴とする晶析反応方法。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の晶析反応方法であって、
    前記分散剤は、アクリル酸系キレート剤を含むことを特徴とする晶析反応方法。
  5. フッ素を含む被処理水にカルシウム剤を添加してフッ化カルシウムの結晶を生成させ、フッ化カルシウムの結晶を回収する晶析反応装置であって、
    撹拌翼を有する撹拌手段を備えた晶析反応槽と、
    前記被処理水に分散剤を添加する分散剤添加手段と、
    を備え、
    前記晶析反応槽内でpH0.8以上3.0以下の条件下で晶析反応を行うことを特徴とする晶析反応装置。
  6. 請求項5に記載の晶析反応装置であって、
    前記被処理水中の前記フッ素の濃度は、5000~50000mg/Lの範囲であることを特徴とする晶析反応装置。
  7. 請求項5または6に記載の晶析反応装置であって、
    前記被処理水中の前記分散剤の濃度は、固形分濃度として40mg/L以上であることを特徴とする晶析反応装置。
  8. 請求項5~7のいずれか1項に記載の晶析反応装置であって、
    前記分散剤は、アクリル酸系キレート剤を含むことを特徴とする晶析反応装置。
JP2022007899A 2022-01-21 2022-01-21 晶析反応方法および晶析反応装置 Pending JP2023106901A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022007899A JP2023106901A (ja) 2022-01-21 2022-01-21 晶析反応方法および晶析反応装置
TW112101316A TW202335977A (zh) 2022-01-21 2023-01-12 水處理方法及水處理裝置
KR1020230007654A KR20230113167A (ko) 2022-01-21 2023-01-18 수처리 방법 및 수처리 장치

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022007899A JP2023106901A (ja) 2022-01-21 2022-01-21 晶析反応方法および晶析反応装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023106901A true JP2023106901A (ja) 2023-08-02

Family

ID=87473571

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022007899A Pending JP2023106901A (ja) 2022-01-21 2022-01-21 晶析反応方法および晶析反応装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023106901A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6919031B2 (en) Method of treating water and wastewater with a ballasted flocculation process and a chemical precipitation process
JP7020821B2 (ja) 硬度成分含有水の処理装置および処理方法
WO2018092365A1 (ja) 排水処理方法及び排水処理装置
TW200906736A (en) Fluorine-containing wastewater treating apparatus and treating method
JP6794296B2 (ja) フッ素含有水の処理装置、フッ素含有水の処理方法及び膜ろ過システム
WO2015198438A1 (ja) フッ化物含有水の処理方法及び処理装置
JP2010207755A (ja) フッ素含有水の処理装置
US6409802B1 (en) Method for preventing scaling in wet-process waste gas treatment equipment
JP5692278B2 (ja) フッ化物含有水の処理方法及び処理装置
JP2023106901A (ja) 晶析反応方法および晶析反応装置
JP2023106902A (ja) 晶析反応方法および晶析反応装置
WO2021245971A1 (ja) 晶析反応方法および晶析反応装置
JP2023106900A (ja) 水処理方法および水処理装置
TW202335977A (zh) 水處理方法及水處理裝置
WO2000046156A1 (fr) Procede d'elimination de calcium a partir d'eau contenant une forte teneur en hydrogeno-carbonate de calcium
JP2009095810A (ja) ホウ素含有排水の処理方法及び処理装置
JP2018130717A (ja) 脱硫排水の処理方法及び処理システム
JP4347096B2 (ja) 排水中のフッ素除去装置及びフッ素除去方法
JP3918294B2 (ja) 弗素含有排水の処理方法及び装置
JP5650164B2 (ja) 晶析反応装置および晶析反応方法
JP4785353B2 (ja) フッ素含有水の晶析処理方法
JP2002346574A (ja) ホウ素含有水の処理方法
JP5082178B2 (ja) フッ素含有水の処理方法
JP4827876B2 (ja) ホウ素含有水の処理方法
JP5139376B2 (ja) 晶析反応方法、晶析反応装置及びカルシウム剤