JP4785353B2 - フッ素含有水の晶析処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、フッ素を含む被処理水から、フッ素を晶析除去するフッ素晶析処理方法に関する。特に、本発明は、フッ素晶析処理方法において、晶析反応槽に分散剤が供給されるフッ素晶析処理方法に関する。
半導体や液晶などを製造するエレクトロニクス産業においては、その製造工程においてフッ素を使用するため、排水にフッ素が含まれることが多い。日本においては、2001年7月にフッ素について排出基準値が15mg/Lから8mg/Lに強化され、フッ素除去の必要性が高まっている
このフッ素の除去方法としては、被処理水にカルシウム塩を添加して、フッ化カルシウムの微細粒子を析出させ、これらの微細粒子をAl、Fe系の無機凝集剤もしくは有機高分子凝集剤で凝集させて、沈降分離する方法が主に採用されている。
上記凝集沈殿法でAlやFe系凝集剤を添加することにより生じた汚泥は、そのフロック内部に水分子を取り込んでいるため汚泥の脱水性が悪く、汚泥発生量が非常に多くなり、汚泥処分費がかさむという問題がある。
これに対して、晶析物を流動状態で保持した反応槽にフッ素を含有する排水と晶析剤となる金属を供給し、金属フッ化物を前記晶析物の表面に析出させる晶析法と呼ばれる方法がある(特許文献1:特開昭60−206485号公報)。当該晶析法においては、一般的には被処理水が反応槽の下部から導入され、晶析物である固体粒子を流動化させながら上向流で通水され、必要に応じて反応槽流出水が反応槽へ循環される。フッ素を晶析させ得る晶析剤としては、Ca、Mg、希土類金属、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Taの少なくとも1種類の金属元素(晶析反応元素)を含む、水溶性化合物が知られている(特許文献2:特開2004−97861号公報)。晶析剤に含まれる金属元素との反応により生じた金属フッ化物の粒子は含水率が低く、純度が高いため、フッ素を回収再利用できることや、装置設置面積を低減できる、汚泥発生量が少ないなどの利点が挙げられている。
特開昭60−206485号公報 特開2004−97861号公報
しかし、晶析法において良好な処理を行うには、被処理対象物質と晶析剤として添加した晶析反応元素との反応条件を、晶析反応が起こりやすい状態に制御する必要がある。
例えば、フッ素の晶析処理において、晶析反応元素としてカルシウム(Ca)を使用し、フッ化カルシウム(CaF2)の結晶を生成するフッ化カルシウム晶析法では、フッ化カルシウムの結晶成長が起こる準安定域と呼ばれる過飽和状態に反応条件を制御する必要がある。一般には、晶析剤であるカルシウム剤の添加量を調節することにより反応条件の制御が行われるが、排水中のフッ素濃度が急激に上昇すると、フッ素とカルシウムの関係は飽和状態である不安定域に入る。不安定域ではフッ化カルシウムの結晶生成反応速度が速いために、固体粒子上への結晶成長が起こらずに、微細粒子が生成して処理水が白濁する。また、フッ素とカルシウムの関係を過飽和状態に制御するには、排水中のフッ素濃度が高いほど、カルシウム添加量の許容範囲が狭くなるので制御が難しくなり、処理水の白濁が起こりやすくなる。さらに、白濁防止のためにカルシウム添加量を減らすと処理水中の残留フッ素濃度が高くなり、水質が悪化する。以上のことから、安定的な処理を行うためには、排水中のフッ素濃度や晶析反応槽に導入可能なフッ素負荷量に制約があった。
また、晶析反応元素としてカルシウム以外の元素を用いた場合も同様で、それぞれの元素のフッ化物の結晶を生成し、排水中のフッ素濃度が高いほど、処理水は白濁しやすくなる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、フッ素を含む被処理水から、晶析反応元素を用いてフッ素を晶析除去する晶析反応系において、当該晶析反応系に分散剤、特にスケール防止剤またはキレート剤を添加することにより、晶析処理における処理水の白濁の発生を抑制でき、被処理水が高濃度のフッ素を含む場合であっても安定的かつ効率的にフッ素を晶析除去できる、フッ素晶析処理方法を提供することを目的とする。
本発明は第1の態様として、種晶を備えた晶析反応槽にフッ素を含む被処理水、晶析反応元素、および分散剤を供給し、前記分散剤によってスケールの発生を防止し又は金属イオンの働きを封鎖することで物質の凝集力を低下させながら前記フッ素と前記晶析反応元素を反応させ、前記種晶上にフッ素化合物を析出させてペレットを形成させることにより、フッ素が低減された処理水を生じさせるフッ素の晶析処理方法を提供する。
本発明は第2の態様として、前記分散剤がスケール防止剤またはキレート剤である、前記第1の態様のフッ素の晶析処理方法を提供する。
本発明は、フッ素を含む被処理水から、フッ素が低減された処理水を生じさせるフッ素晶析処理方法において、分散剤を晶析反応槽に供給することにより、晶析処理における処理水の白濁の発生を抑制できると共に、被処理水が高濃度のフッ素を含む場合であっても安定的かつ効率的にフッ素を晶析除去できるという有利な効果を有する。
本発明におけるフッ素を含む被処理水は、フッ素を含むものであれば、如何なる由来の被処理水であっても良く、例えば、半導体関連産業をはじめとする電子産業、発電所、アルミニウム工業などから排出される排水が挙げられるが、これらに限定されるものではない。被処理水中に含まれるフッ素は、晶析反応により晶析するのであれば、任意の状態で被処理水中に存在することが可能である。被処理水中に溶解しているという観点から、フッ素はイオン化した状態であるのが好ましい。
ここでフッ素についてイオン化した状態とは、フッ素イオン(F−)、または、フッ素元素を含む化合物がイオン化したものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。被処理水中に含まれるフッ素は、フッ素イオンの形態で存在するのが好ましい。また、フッ化水素酸は弱酸であるため、pHによっては分子状フッ化水素(HF)の形態で存在していても良い。
被処理水に含まれるフッ素の量は、特に限定されるものではないが、好ましくは、10000mgF/L以下、より好ましくは、1000mgF/L以下である
本発明においては、「フッ素を含む被処理水」とあるが、被処理水はフッ素リンの両方を含むものであっても良い。また、本発明における被処理水はフッ素以外の任意の他の成分を、任意の量で含んでいても良い。また、本発明においては、晶析反応槽においてフッ素とリンの両方が晶析除去されても良い。
本発明の方法において使用される晶析反応元素としては、被処理水中に含まれるフッ素と反応して、フッ素を晶析除去できる元素をいう。好ましくは晶析反応元素としては、Ca、Mg、希土類元素、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Taの元素が挙げられる。また、より好ましくは晶析反応元素はCa、Mgであり、さらにより好ましくはCaである。本発明においては、晶析反応槽への晶析反応元素の供給に際しては、当該晶析反応元素の1以上を含む化合物である晶析剤が使用される。好ましくは晶析剤は、Ca、Mg、希土類元素、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Taの少なくとも1種類の元素を含む化合物、および当該化合物の2種類以上の混合物である。より好ましくは、晶析剤はCaおよび/またはMgを含む化合物であり、さらにより好ましくは晶析剤はCaを含む化合物である。例えば、Ca、Mgを用いる場合、塩化物、水酸化物、炭酸化合物などが挙げられる。希土類元素としては、Sc、Y、およびランタノイドのLa、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luがあり、当該元素を含む晶析剤としては、これらの塩化物、硫酸塩、硝酸塩が挙げられる。また、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Taの塩化物、硫酸塩、硝酸塩、塩化酸化物、硫酸酸化物も晶析剤として利用し得る。上述のように晶析剤は例示されるが、これらに限定されるものではなく、本発明の目的に反しない限りは任意の化合物であっても良い。
晶析剤は、晶析剤を含有する晶析剤含有液として晶析反応槽に供給されるのが好ましく、液体媒体中に溶解された溶液状態で晶析反応槽に供給されても良いし、その全部または一部が液体媒体中に固体として残存するスラリーの状態で供給されても良い。上記液体媒体は、特に限定されるものではないが、好ましくは水である。晶析剤含有液中に含まれる晶析剤の濃度は、晶析剤の溶解度、被処理水中のフッ素濃度、晶析反応槽の処理能力、循環される処理水量等に応じて適宜設定される。
また、晶析反応槽に供給される晶析反応元素の量も適宜設定することができる。例えば、晶析反応元素としてカルシウムが使用され、フッ素を晶析させる場合、すなわちフッ化カルシウムを晶析させる場合におけるカルシウムの供給量は、晶析反応槽に供給されるフッ素に対して、少なくとも、モル比でフッ素:カルシウム=2:1となる量、すなわち、重量比でフッ素:カルシウム=1:(20/19)であることが望まれる。フッ化カルシウムを晶析させるためには、上記式の重量比で要求されるカルシウム量に対して、カルシウムが過剰に存在していることが好ましく、上記式の重量比で要求されるカルシウム量に対して、晶析反応槽内での濃度として、200〜600mgCa/L過剰になるようにカルシウムを供給することがより好ましい。カルシウムの供給量は、フッ素晶析処理により生じた処理水中のカルシウム濃度を指標として制御することができ、すなわち、処理水中に残存するカルシウム濃度が200〜600mgCa/Lとなるように制御することが好ましい。
本発明においては、フッ素の晶析反応が行われる晶析反応槽へ分散剤が供給される。本発明において「分散剤」とは、冷却水処理系、排水処理系、工業用水処理系、純水処理系など様々な水処理分野において、膜表面や配管等におけるスケールを防止するか、金属イオンの働きを封鎖することで物質の凝集力を低下させるために用いられる化合物をいう。本発明の1態様においては、分散剤の重量平均分子量は10万以下であり、さらなる態様においては分散剤の重量平均分子量は2万以下である。
ここで、本発明の1態様においては、「分散剤」は、微細な粒子を凝集させる作用を有する凝集剤、特に有機系高分子凝集剤に該当する化合物を包含しない。なお、かかる凝集剤、有機系高分子凝集剤については、特願2003−114697号に記載されている。
好ましくは、分散剤はスケール発生を防止するスケール防止剤、または金属イオンの働きを封鎖するキレート剤である。より好ましくは、スケール防止剤は本発明の効果を奏する限りは特に限定されるものではないが、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基をはじめとする酸基を含む重合体が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、スケール防止剤としては、例えば、アクリル酸系重合体、マレイン酸系重合体、メタクリル酸系重合体、スルホン酸系重合体、リン酸系重合体、もしくはイソブチレン系重合体、またはこれらの重合体の水溶性塩の形態であっても良い。また、これらの重合体は、1種類のモノマーを重合して得られる重合体であっても良いし、複数種類のモノマーから得られる共重合体であって良い。共重合体である場合には、例えば、上述のような酸基を有するモノマー1種以上とその他の1種以上のモノマーとの共重合体であっても良い。
キレート剤は、理論に拘束されるものではないが、金属とキレート化合物を形成し、金属イオンを封鎖してその働きを阻止することで分散効果を得ているものと考えられる。ここで、キレート剤としては、本発明の効果を奏する限りは特に限定されるものではないが、好ましくは、有機カルボン酸系キレート剤、アミノカルボン酸系キレート剤、ホスホン酸系キレート剤、アミノホスホン酸系キレート剤またはポリリン酸系キレート剤が挙げられる。有機カルボン酸系キレート剤としては、グルコン酸、クエン酸、シュウ酸、ギ酸、酒石酸、フィチン酸、コハク酸、乳酸などが挙げられる。また、アミノカルボン酸系キレート剤としては、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、トリエチレンテトラアミンヘキサ酢酸(TTHA)、ヒドロキシエチルイミノジ酢酸(HIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)などが挙げられる。また、ホスホン酸系キレート剤としては、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸(HEDP)等が挙げられる。また、アミノホスホン酸系キレート剤としては、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMP)等が挙げられる。また、ポリリン酸系キレート剤としては、ピロリン酸、トリポリリン酸、トリメタリン酸、テトラメタリン酸、ヘキサメタリン酸などが挙げられる。
晶析反応槽への分散剤の供給量は、晶析反応槽に供給されるフッ素の流入濃度、被処理水中の共存物質の種類、量、使用される晶析剤の種類、量などにより変動する。分散剤としては上述のように種々の種類の物質が使用できるが、これらは一般に膜表面や配管などにおけるスケールを防止するために用いられるもので、その種類により機能や原理は異なるものの、基本的にはカルシウム化合物などの結晶物の生成を妨害する機能を有するものである。本発明者等は、フッ素を含む被処理水を晶析処理する晶析反応系において、分散剤を一般的なスケール防止の目的で使用される量で晶析反応槽に供給すると、処理水質を悪化させ得ることを見出した。すなわち、本発明においては、具体的な分散剤の供給量としては、スケール防止の目的で使用される量がある範囲をもって規定されている場合にはその最大量の5〜95重量%、より好ましくは10〜90重量%とするのが好ましい。
理論に拘束されるのを望むものではないが、フッ素の晶析処理においては、難溶性フッ素化合物の結晶の成長を利用する。ここで、被処理水中のフッ素の濃度が上昇すると、晶析反応系は晶析反応元素(例えばカルシウム)との関係において、飽和状態である不安定域に入る。この不安定域では難溶性フッ素化合物の結晶生成反応速度が速いために、種晶など固体粒子上での結晶成長が起こらず、微細粒子が生成して処理水が白濁する。この白濁の発生を防止するには、結晶が生成する反応速度を抑制して、これらの微細結晶の生成を低減し、これにより、通常では飽和状態である不安定域に達するような高濃度のフッ素を含む被処理水においても白濁を低減するものと考えられる。ここで、晶析反応系に供給される分散剤の量が少ないと、晶析反応系における難溶性フッ素化合物の結晶生成反応速度を効果的に抑制できず、処理水中の白濁の防止を充分に行うことができず、逆に分散剤の量が多すぎても、晶析反応自体を抑制することとなり、晶析処理により得られる処理水中のフッ素の低減が抑制されるものと考えられる。
分散剤を晶析反応槽に供給する態様としては、晶析処理が行われる晶析反応槽に供給され、処理水の白濁の抑制、処理水中の全フッ素濃度の低減という本発明の効果を達成できるのであれば、任意の方法、手段を採用することができ、特に限定されるものではない。例えば、晶析反応槽に供給される被処理水、晶析剤、循環される処理水の1以上に分散剤を添加することにより、これら被処理水などを介して晶析反応槽に供給する態様が可能である。また分散剤を晶析反応槽に直接供給する態様も可能である。例えば、図1に示されるような晶析反応装置が使用される場合には、晶析反応槽1に直接供給しても良いし、被処理水供給ライン3、被処理水貯留タンク4、晶析剤供給ライン5、晶析剤貯留タンク10、処理水貯留タンク7、処理水循環ライン8のいずれか任意の場所から供給することができる。
図1は、本発明のフッ素晶析処理方法に使用可能な晶析反応装置の一例を示す概略図であり、これに基づいて本発明を詳述する。晶析反応装置は、晶析反応が行われ、フッ素が低減された処理水を排出する晶析反応槽1と、フッ素を含む被処理水を晶析反応槽1に供給する被処理水供給手段と、晶析剤を晶析反応槽1に供給する晶析剤供給手段とを具備し、任意に、該晶析反応槽から排出される処理水の少なくとも一部を晶析反応槽1に返送する処理水循環手段とを具備する。晶析反応槽1の種晶充填部2には種晶が充填されており、該種晶の表面上に、被処理水中に含まれるフッ素と、晶析剤中の成分との反応物であるフッ素化合物を析出させてペレットを形成させることにより、フッ素が低減された処理水が排出される。なお、本発明において「種晶上にフッ素化合物を析出させ」とあるのは、種晶上に直接接触して析出させることだけでなく、種晶上に析出したフッ素化合物上にさらにフッ素化合物を析出させることも包含する。ここで析出する化合物はフッ素とリンの両方の元素を含む化合物であっても良いし、フッ素化合物とリン化合物の混合物であっても良い。晶析反応槽1は前記機能を有するものであれば、長さ、内径、形状などについては、任意の態様が可能であり、特に限定されるものではない。
晶析反応槽1に充填される種晶の充填量は、フッ素を晶析反応により除去できるのであれば特に限定されるものではなく、被処理水中のフッ素濃度、晶析反応成分の濃度、また、晶析反応装置の運転条件等に応じて適宜設定される。晶析反応装置においては、晶析反応槽1内に上向流を形成し、該上向流によってペレットが流動するような流動床の晶析反応槽1が好ましいので、種晶は流動可能な量で晶析反応槽1に充填されるのが好ましい。
種晶は、本発明の目的に反しない限りは、任意の材質が可能であり、例えば、ろ過砂、活性炭、およびジルコンサンド、ガーネットサンド、サクランダム(商品名、日本カートリット株式会社製)などをはじめとする金属元素の酸化物からなる粒子、並びに、フッ化カルシウムをはじめとする、晶析反応による析出物であるフッ素化合物からなる粒子等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。より純粋なフッ素化合物をペレットとして入手できるという観点から、晶析反応による析出物であるフッ素化合物からなる粒子が好ましい。例えば、晶析剤としてカルシウム化合物が使用される場合には、種晶上で晶析反応が起こりやすいという点、また、生成するペレットから、より純粋なカルシウム化合物を回収できるという観点から、フッ化カルシウム(蛍石)が種晶として使用されるのが好ましい。種晶の形状、粒径は、晶析反応槽1内での流速、フッ素濃度および晶析剤の濃度、供給される分散剤の濃度等に応じて適宜設定され、本発明の目的に反しない限りは特に限定されるものではない。
被処理水供給手段は、フッ素を含む被処理水を晶析反応槽1に供給できるものであれば任意の態様が可能である。図1の態様においては、晶析反応槽1に連結された被処理水供給ライン3から、フッ素を含む被処理水が晶析反応槽1に供給される。被処理水中のフッ素濃度を一定にする等のために、被処理水供給ライン3には、被処理水を一旦貯留することができる被処理水貯留タンク4が連結されていても良い。
晶析剤供給手段は、晶析剤を晶析反応槽1に供給できるものであれば任意の態様が可能である。図1の態様においては、晶析剤貯留タンク10から晶析剤供給ライン5を介して、晶析剤が晶析反応槽1に供給される。
被処理水供給ライン3および晶析剤供給ライン5は晶析反応槽1の任意の部分に接続することができる。本発明に使用可能な晶析反応装置においては、晶析反応槽1内に上向流を形成すると効率的に晶析反応を行うことができるという観点から、被処理水供給ライン3および晶析剤供給ライン5は晶析反応槽1の下部、特に底部に接続されるのが好ましい。また、図1の態様においては、被処理水供給ライン3および晶析剤供給ライン5はそれぞれ1つであるが、これに限定されるものではなく、これらが複数設けられていても良い。
晶析反応槽1は、晶析反応により生じるフッ素が低減された処理水を該晶析反応槽1の外部に排出する。処理水は、晶析反応槽1における液体の流れに従って任意の部分から排出される。晶析反応槽1内で上向流が形成される場合には、晶析反応槽1の上部から処理水が排出される。図1の態様では、晶析反応槽1の上部から排出される処理水は、処理水排出ライン6を通って最終的に系外に排出される。図1の態様においては、処理水排出ライン6には処理水貯留タンク7が介装されているがこの設置は任意である。また、通常の被処理水処理で使用されるpHメーターなどのpH測定手段、酸、アルカリを供給するpH調整手段などその他の手段を設けることも可能である。図1の態様においては、pHメーターが晶析反応槽1の上部に設けられている。
図1の晶析処理装置は、晶析反応槽1から排出される処理水の少なくとも一部を該晶析反応槽1に返送する処理水循環手段を有する。処理水循環手段としては、処理水の少なくとも一部を晶析反応槽1に返送できるものであれば任意の態様が可能であり、特に限定されるものではない。図1の態様においては、処理水循環手段として、処理水貯留タンク7と晶析反応槽1を連結する処理水循環ライン8が設けられており、該処理水循環ライン8には処理水移送のためのポンプが介装されている。処理水循環手段は、処理水を晶析反応槽1に循環させることにより、晶析反応槽1内に供給された被処理水を希釈すると共に、晶析剤と被処理水を混合し、さらに、晶析反応槽1内で所定の流れ、好ましくは上向流を形成させることができる。よって、晶析反応槽1内で上向流が形成される場合には、図1のように、処理水循環ライン8は晶析反応槽1の下部、特に底部に接続されるような態様が好ましい。
また、図1の態様において処理水貯留タンク7は、循環される処理水と、系外に排出される処理水との分岐のための手段として機能し、処理水循環手段を形成しているが、処理水循環手段の形成はこの態様に限定されるものではなく、処理水排出ライン6から処理水循環ライン8が直接分岐するような態様など、任意の態様が可能である。
本発明の方法においては、フッ素の晶析反応が行われる晶析反応槽に分散剤が供給される。この供給の態様については既に述べたが、例えば、被処理水貯留タンク4に供給ライン9を接続し、当該供給ライン9から分散剤を被処理水貯留タンク4に供給することにより、被処理水貯留タンク4内でフッ素を含む被処理水と分散剤とが混合される態様であっても良い。また、被処理水供給ライン3に供給ライン9aが接続され、被処理水供給ライン3においてフッ素を含む被処理水と分散剤が混合される態様であっても良い。
また、他の態様としては、晶析反応槽1に供給ライン9bを直接接続し、当該供給ライン9bから分散剤を晶析反応槽1内に直接供給するような態様も可能である。さらに、他の態様としては、晶析反応槽1に循環される処理水に分散剤を添加して、循環される処理水と共に分散剤を晶析反応槽1に供給する態様も可能である。この場合、例えば、処理水循環ライン8に供給ライン9cを接続し、処理水循環ライン8において処理水と分散剤が混合され、晶析反応槽1に供給される態様であっても良い。また、処理水貯留タンク7に供給ライン9dを接続し、当該供給ライン9dから分散剤を処理水貯留タンク7に供給することにより、処理水貯留タンク7内で処理水と凝集剤とが混合され、凝集剤を含む処理水を晶析反応槽1に供給する態様であっても良い。また、晶析剤供給ライン5に供給ライン9eを接続するか、または晶析剤貯留タンク10に供給ライン9fを設け、これら供給ライン9eまたは9fから分散剤を晶析剤に添加することにより、分散剤を晶析剤と共に晶析反応槽1に供給する態様であっても良い。
以下、実施例で本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
フッ化ナトリウムを、フッ素濃度1000mg・F/Lとなるように精製水に溶解し、さらに分散剤として、アクリル酸系共重合体である分散剤オルガビート AC−030を50mg/Lまたは60mg/Lとなるように(実施例1および2)、有機カルボン酸系キレート剤であるクエン酸を10mg/Lとなるように(実施例3)添加、撹拌したものを被処理水として、図1に示す態様のフローで、フッ素の晶析試験を行った。なお、比較例1として、分散剤を添加しない被処理水を用いた。また、被処理水は、被処理水貯留タンクにpH調整剤(NaOH)を添加、撹拌することにより、晶析処理水のpHが4〜5になるようにpH調整された。
晶析反応槽として、粒径約0.1mmの天然フッ化カルシウム(蛍石)種晶150mLが充填された、内径20mmφ、高さ2.5m、容量0.8Lの円柱型アクリルカラムを用いた。被処理水貯留タンクは容量100L、処理水貯留タンクは容量500mL、晶析剤貯留タンクは容量10Lであった。晶析反応槽への通水は、フッ素負荷=3kg・F/m2/hで、LV=40m/hとなるように処理水を晶析反応槽に循環させ、被処理水を晶析反応槽に供給して行った。なお、晶析反応槽内部の種晶およびペレットは通水時には流動床の状態であった。処理水中の残留カルシウム濃度が300〜500mgCa/Lとなるように、晶析剤として10%塩化カルシウム水溶液を晶析反応槽に供給した。
通液開始から3時間後の処理水について、処理水中の全フッ素濃度および溶解性フッ素濃度、並びに処理水の濁度を測定した。全フッ素濃度は処理水中に溶解した状態で存在するフッ素と不溶性物質(白濁物質)として存在するフッ素の合計濃度であり、処理水中の不溶性物質(白濁物質)を溶解し、処理水を不溶性物質ごと測定することにより得られる。また、溶解性フッ素濃度は処理水中に溶解した状態で存在するフッ素濃度であり、膜ろ過で不溶性物質(白濁物質)を除去した後の処理水を測定することにより得られる。フッ素濃度の測定はイオンクロマト法により分析を行い、濁度は積分球濁度を測定した結果である。結果を表1に示す。
Figure 0004785353
比較例1
分散剤を供給しない比較例1においては、溶解性フッ素濃度は8mg・F/Lと低減されていたが、全フッ素濃度は100mg・F/Lおよび濁度は100であり、この条件においては難溶性フッ素化合物による処理水の白濁が認められた。
実施例1および2
アクリル酸系共重合体である分散剤50mg/Lを供給する実施例1においては、溶解性フッ素濃度は8mg・F/L、全フッ素濃度は12mg・F/Lおよび濁度は3未満であった。また、分散剤60mg/Lを供給する実施例2においては、溶解性フッ素濃度は20mg・F/L、全フッ素濃度は20mg・F/Lおよび濁度は3未満であり、いずれの濃度においても、比較例1と比べて良好な処理水濁度の抑制、処理水質の向上が認められた。
ここで、実施例1および2において使用された、アクリル酸系共重合体であるオルガビート AC−030の分散剤としての標準添加量は55mg/Lであることを考慮すると、分散剤の標準添加量を超える60mg/L(実施例2)においては、標準添加量未満である実施例1の場合と比較して、処理水中の溶解性フッ素量の除去効果が劣ることが明らかとなった。
実施例3
分散剤として、有機カルボン酸系キレート剤であるクエン酸10mg/Lを使用した場合には、溶解性フッ素濃度は20mg・F/L、全フッ素濃度は20mg・F/Lおよび濁度は3未満であり、比較例1と比べて良好な処理水濁度の抑制、処理水質の向上が認められた。このことから、重合体のタイプの分散剤だけでなく、キレート剤である分散剤も本発明の効果を奏しうることが明らかとなった。
図1は、本発明の晶析処理方法に使用可能な晶析処理装置の1態様を示す概略図である。
1 晶析反応槽
2 種晶充填部
3 被処理水供給ライン
4 被処理水貯留タンク
5 晶析剤供給ライン
6 処理水排出ライン
7 処理水貯留タンク
8 処理水循環ライン
9、9a、9b、9c、9d、9e、9f 供給ライン
10 晶析剤貯留タンク

Claims (2)

  1. 種晶を備えた晶析反応槽にフッ素を含む被処理水、晶析反応元素、および分散剤を供給し、前記分散剤によってスケールの発生を防止し又は金属イオンの働きを封鎖することで物質の凝集力を低下させながら前記フッ素と前記晶析反応元素を反応させ、前記種晶上にフッ素化合物を析出させてペレットを形成させることにより、フッ素が低減された処理水を生じさせるフッ素の晶析処理方法。
  2. 前記分散剤が、スケール防止剤またはキレート剤である、請求項1記載のフッ素の晶析処理方法。
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