JP4602064B2 - キレート剤を含有するフッ素・リン含有水の処理方法 - Google Patents

キレート剤を含有するフッ素・リン含有水の処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、キレート剤を含有するフッ素・リン含有水からフッ素およびリンを除去する、キレート剤を含有するフッ素・リン含有水の処理方法に関する。特に、本発明は、キレート剤を含有するフッ素・リン含有水に鉄塩およびカルシウム化合物を添加するキレート剤を含有するフッ素・リン含有水の処理方法に関する。
エレクトロニクス産業廃水等から排出されるフッ素含有水の処理方法としては、被処理水に消石灰、塩化カルシウムや炭酸カルシウム等のカルシウム化合物を添加して、フッ化カルシウムを生成させ、フッ化カルシウムの微細粒子をアルミニウムまたは鉄系の無機凝集剤、および高分子凝集剤で凝集させて、固液分離する方法が一般に採用されている(特許文献1:特開平6−114382号公報)。このとき、主に利用される鉄系凝集剤としては、塩化第一鉄、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄などの鉄塩が挙げられる。また、アルミニウム系凝集剤としては、一般に、PAC、硫酸バンドなどのアルミニウム塩が挙げられる。これらは、難溶性の水酸化物を形成して、フッ化カルシウムをはじめとする不溶化物を共沈作用により凝集させてフッ素を除去することが知られている。
また、エレクトロニクス産業排水にはリンも含有される場合が多く、さらにリンは家庭からの排水中にも含まれているが、閉鎖性水域における富栄養化防止の観点などからリン除去を行う必要があり、多くの地域ではリンは上乗せ規制の対象になっている。このリンの除去には、フッ素の場合と同様に、カルシウム塩を添加してリン酸カルシウムとして不溶化し、アルミニウムや鉄系の無機凝集剤を併用することでこれらを凝集するとともにリン酸アルミニウムやリン酸鉄として除去している。
特開平6−114382号公報
上記凝集沈殿法においてフッ素、リンを確実に処理するには、カルシウム化合物を安定的に形成させることが最重要である。しかし、特にエレクトロニクス産業排水においては、主にウエハ製造工程において金属イオンの分散効果を得るために、一般に「キレート剤」と呼ばれる物質が使用されることが多く、これらが排水中に含まれることがある。これらキレート剤は、金属イオンと反応して水溶性の金属キレート化合物を生成する作用を持つために、カルシウム塩を用いたフッ素またはリンの除去方法においては、添加したカルシウムと結合して溶解性のカルシウム化合物を形成するため、フッ素およびリンとカルシウムとの反応を妨害し、その結果処理水質が悪化するという問題が生じていた。
本発明者らは、上記事実を鑑みて鋭意検討した結果、従来法においては排水に含まれるキレート剤の影響によりフッ化カルシウム、リン酸カルシウムなどのカルシウム化合物の形成反応が妨害されるような排水であっても、カルシウム添加前に、特定のpH条件下で鉄塩を添加することで、処理水質を顕著に改善できることを見出した。すなわち、本発明は、キレート剤を含有するフッ素および/またはリン含有水に対して、カルシウム化合物を用いてフッ素およびリンの除去処理を行う場合において、当該フッ素および/またはリン含有水にカルシウム化合物を添加する前に、特定のpH条件下で鉄塩を添加することにより、当該フッ素および/またはリン含有水に含まれるキレート剤によるフッ素およびリン除去能力の低下を防止でき、安定的にフッ素およびリンを除去することが可能な、フッ素・リン含有水の処理方法を提供することを目的とする。
本発明は第1の態様として、pHが7未満の条件下で、キレート剤を含有するフッ素・リン含有水に鉄塩を添加する第1工程と、鉄塩が添加された前記キレート剤を含有するフッ素・リン含有水にカルシウム化合物を添加して不溶化物を形成させる第2工程と、不溶化物を固液分離して、不溶化物を含む汚泥と最終処理水とを生じさせる最終工程とを含む、キレート剤を含有するフッ素・リン含有水の処理方法を提供する。
本発明は第2の態様として、pHが10を超える条件下で、キレート剤を含有するフッ素・リン含有水に鉄塩を添加する第1工程と、鉄塩が添加された前記キレート剤を含有するフッ素・リン含有水にカルシウム化合物を添加して不溶化物を形成させる第2工程と、不溶化物を固液分離して、不溶化物を含む汚泥と最終処理水とを生じさせる最終工程とを含む、キレート剤を含有するフッ素・リン含有水の処理方法を提供する。
本発明は第3の態様として、第2工程におけるカルシウム化合物の添加がpH4〜11の範囲で行われる、前記キレート剤を含有するフッ素・リン含有水の処理方法を提供する。
本発明は第4の態様として、第2工程の後で、かつ最終工程の前に、処理中のフッ素・リン含有水のpHを4〜11の範囲に調整するpH調整工程をさらに含む、前記キレート剤を含有するフッ素・リン含有水の処理方法を提供する。
本発明は第5の態様として、第2工程の後で、かつ最終工程の前に、処理中のフッ素・リン含有水に無機凝集剤を添加する無機凝集剤添加工程をさらに含む、前記キレート剤を含有するフッ素・リン含有水の処理方法を提供する。
本発明は第6の態様として、第2工程の後で、かつ最終工程の前に、処理中のフッ素・リン含有水に高分子凝集剤を添加する高分子凝集剤添加工程をさらに含む、前記キレート剤を含有するフッ素・リン含有水の処理方法を提供する。
本発明は第7の態様として、最終工程において分離された不溶化物を含む汚泥の一部分を、第1工程より後であって、かつ最終工程より前の工程に返送する返送工程をさらに含む前記キレート剤を含有するフッ素・リン含有水の処理方法を提供する。
本発明は第8の態様として、返送工程において、返送される汚泥に酸またはアルカリを添加して汚泥を再生処理した後に、当該再生処理された汚泥が返送される、前記キレート剤を含有するフッ素・リン含有水の処理方法を提供する。
本発明は、キレート剤を含有するフッ素・リン含有水に対して、カルシウム化合物を用いてフッ素およびリンの除去処理を行う場合において、当該キレート剤を含有するフッ素・リン含有水にカルシウム化合物を添加する前に、特定のpH条件下で鉄塩を添加することにより、当該キレート剤を含有するフッ素・リン含有水に含まれるキレート剤に起因する、フッ素およびリン除去能力の低下を防止でき、安定的かつ効率的にフッ素およびリンを除去できるという有利な効果を有する。
本発明のキレート剤を含有するフッ素・リン含有水の処理方法においては、まず、pHが7未満の条件下またはpHが10を超える条件下で、キレート剤を含有するフッ素・リン含有水に鉄塩を添加する第1工程が行われる。図1および図2は、本発明のキレート剤を含有するフッ素・リン含有水の処理方法に使用可能なフローの一例を示す概略図であり、これらに基づいて本発明を詳述する。
第1工程においては、キレート剤を含有するフッ素・リン含有水に鉄塩が添加されるが、このキレート剤を含有するフッ素・リン含有水への鉄塩の添加は、フッ素・リン含有水を輸送するラインに鉄塩をライン注入する態様、鉄塩添加用の反応槽を設ける態様など、任意の公知の装置、方法を用いて行うことが可能である。例えば、図1および図2の態様においては、キレート剤を含有するフッ素・リン含有水に鉄塩が添加される場として、鉄反応槽1が設けられている。鉄反応槽1には、キレート剤を含有するフッ素・リン含有水を供給するフッ素・リン含有水供給ライン2および鉄塩を供給する鉄塩供給ライン3が接続され、鉄反応槽1内で鉄塩の添加が行われる。鉄反応槽1には攪拌手段が設けられているが、この設置は任意である。鉄塩が添加されたキレート剤を含有するフッ素・リン含有水は、ライン4を介して、カルシウム反応槽5に供給される。
鉄イオン、特に第二鉄イオン(Fe3+)は様々なキレート剤と比較的安定して金属キレート化合物を形成しやすい性質を有することから、キレート剤を含有するフッ素・リン含有水にカルシウム化合物を添加する前に、鉄塩を添加することで、フッ素・リン含有水に含まれるキレート剤を鉄キレート化合物にすることにより、カルシウムキレート化合物を形成するのを防止して、結果としてフッ素およびリンとカルシウムとの反応不良を防止するものと考えられる。
キレート剤を含有するフッ素・リン含有水への鉄塩の添加は、pHが7未満またはpHが10を超える条件下で行われる。このpHに関する条件は、鉄塩添加時のpHと最終処理水中のフッ素濃度との関連性を検討することによって、本発明者らにより初めて明らかにされたものである。より適した条件として、pHが7未満の条件下としては、好ましくはpHは5以下であり、より好ましくはpH3以下であり、またpHの下限は好ましくはpH1である。さらにより好ましい条件はpH1〜3の範囲であり、最も好ましくはpH2およびその付近である。pHが10を超える条件下としては、好ましくはpHは11以上である。
本発明において、キレート剤とは、金属に配位してキレート化合物を形成しうる多座配位子を有する化合物であれば特に限定されるものではない。すなわち、キレート剤は金属イオンの働きを封鎖してその働きを阻止しうる。キレート剤としては、例えば、有機カルボン酸系キレート剤、アミノカルボン酸系キレート剤、ホスホン酸系キレート剤、アミノホスホン酸キレート剤、ポリリン酸系キレート剤などが挙げられる。
有機カルボン酸系キレート剤としては、グルコン酸、クエン酸、シュウ酸、ギ酸、酒石酸、フィチン酸、コハク酸、乳酸などが挙げられる。
アミノカルボン酸系キレート剤としては、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、トリエチレンテトラアミンヘキサ酢酸(TTHA)、ヒドロキシエチルイミノジ酢酸(HIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)などが挙げられる。
ホスホン酸系キレート剤としては、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸(HEDP)などが挙げられる。
アミノホスホン酸キレート剤としては、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMP)などが挙げられる。
ポリリン酸系キレート剤としては、ピロリン酸、トリポリリン酸、トリメタリン酸、テトラメタリン酸、ヘキサメタリン酸が挙げられる。
本発明における「フッ素・リン」の用語は、「フッ素および/またはリン」を意味するものとして使用される。すなわち、キレート剤を含有するフッ素・リン含有水とは、キレート剤を含み、かつフッ素および/またはリンを含む水であることを意味する。本発明においてキレート剤を含有するフッ素・リン含有水は、如何なる由来の水であっても良く、例えば、半導体関連産業をはじめとする電子産業、発電所、アルミニウム工業などから排出される排水が挙げられるが、これらに限定されるものではない。キレート剤を含有するフッ素・リン含有水に含まれるフッ素は、任意の状態で存在することが可能である。例えば、フッ素は、フッ素イオン(F)、または、フッ素元素を含む化合物がイオン化したものなどの形態で存在していても良いし、フッ化水素(HF)など、分子の一部としての形態で存在していても良いが、これらに限定されるものではない。また、リンは例えば、メタリン酸、ピロリン酸、オルトリン酸(単にリン酸ともいう、HPO)、三リン酸、四リン酸、亜リン酸等の形態で存在していても良いが、これらに限定されるものではない。また、本発明におけるキレート剤を含有するフッ素・リン含有水はフッ素およびリン以外の任意の他の元素を、任意の化合物、イオンの形態で含んでいても良い。
第1工程において添加される鉄塩としては、一般に鉄系凝集剤として用いられる塩化第一鉄、塩化第二鉄、ポリシリカ鉄(PSI)、ポリ硫酸第二鉄などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。鉄塩の添加量は、フッ素・リン含有水に含まれるキレート剤の含有量に応じて適宜設定することが可能であり、特に限定されるものではない。例えば、鉄塩の添加量は、最終処理水中のフッ素濃度に従って増減させるなどの方法により制御することが可能である。
本発明においては、第1工程に続いて、鉄塩が添加されたキレート剤を含有するフッ素・リン含有水にカルシウム化合物を添加して不溶化物を形成させる第2工程が行われる。第2工程における、鉄塩が添加されたキレート剤を含有するフッ素・リン含有水へのカルシウム化合物の添加は、鉄塩が添加された後のキレート剤を含有するフッ素・リン含有水を輸送するラインにカルシウム化合物をライン注入する態様、カルシウム化合物添加用の反応槽を設ける態様など、任意の公知の装置、方法を用いて行うことが可能である。例えば、図1または図2の態様においては、鉄塩が添加されたキレート剤を含有するフッ素・リン含有水にカルシウム化合物が添加される場として、カルシウム反応槽5が設けられている。カルシウム反応槽5には、鉄塩が添加されたキレート剤を含有するフッ素・リン含有水を供給するライン4およびカルシウム化合物を供給するカルシウム化合物供給ライン6が接続され、カルシウム反応槽5内でカルシウム化合物の添加が行われる。また、カルシウム反応槽5には攪拌手段が設けられているが、この設置は任意である。
鉄塩が添加されたキレート剤を含有するフッ素・リン含有水にカルシウム化合物を添加することにより、フッ素・リン含有水中に含まれるフッ素およびリンとカルシウムとが反応して、フッ化カルシウム、リン酸カルシウムなどの不溶化物が形成される。第2工程におけるカルシウム化合物を添加する際のpHは、一般にフッ化カルシウム、リン酸カルシウムなどの不溶化物の生成範囲であるpH3〜12とされる。また、第1工程において添加した鉄塩の凝集性を利用して最終工程における固液分離を容易にすることも考慮すると、第2工程におけるカルシウム化合物の添加がpH4〜11の範囲で行われるのが好ましい。
第2工程において添加されるカルシウム化合物としては、フッ素またはリンと反応してフッ化カルシウム、リン酸カルシウムなどの難溶性化合物を形成できるものであれば特に限定されるものではなく、水酸化カルシウム、塩化カルシウム、炭酸カルシウム等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、該カルシウム化合物は溶液、スラリー、乾燥固体をはじめとする任意の態様で使用され得る。
第2工程において添加されるカルシウム化合物の量は適宜設定することができるが、キレート剤を含有するフッ素・リン含有水に含まれるフッ素およびリンの全量をフッ化カルシウム、リン酸カルシウムなどの不溶化物にすることが可能なカルシウム量よりも、カルシウムが過剰に存在していることが好ましい。例えば、カルシウムとの反応場(図1の態様においては、カルシウム反応槽)での濃度として、好ましくは100〜600mg・Ca/L過剰、より好ましくは200〜400mg・Ca/L過剰になるようにカルシウム化合物が供給される。
本発明においては、第2工程の後に、不溶化物を固液分離して、不溶化物を含む汚泥と最終処理水とを生じさせる最終工程が行われる。最終工程は、処理中のフッ素・リン含有水から不溶化物の固液分離が行われ、不溶化物を含む汚泥と最終処理水とを生じさせるのであれば、任意の公知の装置、方法を用いて行うことが可能であり、例えば、沈降分離、膜分離、加圧浮上分離などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。例えば、図1および図2の態様においては、ライン8を介して、処理中のフッ素・リン含有水が沈殿槽9に供給される。沈殿槽9には、余剰汚泥引き抜きポンプが介装された汚泥引き抜きライン10が接続されており、当該汚泥引き抜きライン10を介して、沈降分離した汚泥が沈殿槽9から引き抜かれ、系外に汚泥が排出される。また、不溶化物を分離することにより生じた最終処理水は、最終処理水排出ライン11から排出される。
ここで、本発明において「処理中のフッ素・リン含有水」とは、本発明の処理方法において処理されている途中の任意の段階の、キレート剤を含有するフッ素・リン含有水をいう。
最終工程により生じる最終処理水はフッ素および/またはリンが低減されており、例えば、本発明の方法においては、フッ素に関しては、好ましくは15mg・F/L以下、より好ましくは、8mg・F/L以下まで最終処理水中のフッ素濃度を低減することが可能である。また、リンに関しては、好ましくは5mg・P/L以下、より好ましくは、1mg・P/L以下まで最終処理水中のリン濃度を低減することが可能である。最終処理水は、フッ素濃度、リン濃度、pHなどに応じて、そのまま系外に排出されても良いし、適宜、さらなる処理が行われても良い。
本発明の1態様としては、第2工程の直後に最終工程が行われるが、他の態様として、第2工程の後で、かつ最終工程の前に、後述するpH調整工程、無機凝集剤添加工程、高分子凝集剤添加工程が、任意の組み合わせで、任意の順序で行われても良い。図1および図2の態様においては、第2工程の後に、無機凝集剤添加工程およびpH調整工程が行われ、次いで高分子凝集剤添加工程が行われ、その後に最終工程が行われるが、この組み合わせ、順序に限定されるものではない。また、図1および図2の態様においては、無機凝集剤添加工程と高分子凝集剤添加工程は別々の反応槽において行われているが、これらの工程が1つの反応槽において行われるような態様も可能である。また、pH調整工程は、無機凝集剤添加工程または高分子凝集剤添加工程と同時に、すなわち同じ反応槽において行われても良い。
本発明の他の態様においては、第2工程の後で、かつ最終工程の前に、処理中のフッ素・リン含有水のpHを4〜11の範囲に調整するpH調整工程をさらに含むことができる。このpH調整の工程を含む態様においては、第1工程において添加した鉄塩の凝集性を利用することにより、最終工程において固液分離を容易にすることが可能となる。本発明においては、pH調整工程、第1工程、第2工程、その他のpHの調整が必要な場合において、pHの調整には、本発明の目的に反しない限りは任意の酸、アルカリを使用することが可能であり、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、水酸化ナトリウム、消石灰などを使用することが可能である。また、酸、アルカリは、水溶液、乾燥固体、固体スラリーなど任意の形態のものを適宜使用することができる。
本発明の他の態様においては、第2工程の後で、かつ最終工程の前に、処理中のフッ素・リン含有水に無機凝集剤を添加する無機凝集剤添加工程をさらに含むことができる。無機凝集剤としては、PAC、硫酸バンドなどのアルミニウム塩、および塩化第一鉄、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄などの鉄系凝集剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。無機凝集剤としては、フッ素およびリンの除去率が良いという観点から、アルミニウム塩が好ましい。PAC、硫酸バンドなどのアルミニウム塩を添加することにより、フッ化カルシウム、リン酸カルシウムなどの難溶性カルシウム化合物の凝集性を高めると共に、アルミニウムによるフッ素、リンの吸着能力を利用して、処理水質をさらに向上させかつ安定化することが可能となる。無機凝集剤添加工程においては、pH調整工程が同時に行われてもよく、アルミニウム塩が使用される場合には、無機凝集剤の添加は、好ましくはpHが5〜8.5の条件下で、より好ましくはpHが6〜8の条件下で行われる。鉄系無機凝集剤が使用される場合には、無機凝集剤の添加は、好ましくはpHが4〜11の条件下で行われる。
無機凝集剤添加工程において添加される無機凝集剤の量は、最終処理水中のフッ素および/またはリンの濃度が適切な範囲となるように適宜設定することができる。
無機凝集剤添加工程における、処理中のフッ素・リン含有水への無機凝集剤の添加は、処理中のフッ素・リン含有水を輸送するラインに無機凝集剤をライン注入する態様、無機凝集剤添加用の反応槽を設ける態様など、任意の公知の装置、方法を用いて行うことが可能である。例えば、図1および図2の態様においては、処理中のフッ素・リン含有水に無機凝集剤が添加される場として、無機凝集剤反応槽12が設けられている。無機凝集剤反応槽12には、処理中のフッ素・リン含有水を供給するライン7および無機凝集剤を供給する無機凝集剤供給ライン13が接続され、無機凝集剤反応槽12内で無機凝集剤の添加が行われる。また、無機凝集剤反応槽12には、反応槽内のpHを制御するためのpH調整剤を供給するpH調整剤供給ライン20が設けられていてもよく、また攪拌手段が設けられるのが好ましい。
本発明の他の態様においては、第2工程の後で、かつ最終工程の前に、処理中のフッ素・リン含有水に高分子凝集剤を添加する高分子凝集剤添加工程をさらに含むことができる。高分子凝集剤の添加により、不溶化物の凝集性を高め、最終工程における固液分離能を向上させることが可能となる。本発明の方法において、無機凝集剤添加工程および高分子凝集剤添加工程が含まれる場合には、微細粒子をフロック化して固液分離を容易にするという観点から、無機凝集剤添加工程の後で高分子凝集剤添加工程が行われるのが好ましい。
高分子凝集剤添加工程における、処理中のフッ素・リン含有水への高分子凝集剤の添加は、処理中のフッ素・リン含有水を輸送するラインに高分子凝集剤をライン注入する態様、高分子凝集剤添加用の反応槽を設ける態様など、任意の公知の装置、方法を用いて行うことが可能である。例えば、図1および図2の態様においては、処理中のフッ素・リン含有水に高分子凝集剤が添加される場として、高分子凝集剤反応槽14が設けられている。高分子凝集剤反応槽14には、処理中のフッ素・リン含有水を供給するライン15および高分子凝集剤を供給する高分子凝集剤供給ライン16が接続され、高分子凝集剤反応槽14内で高分子凝集剤の添加が行われる。また、高分子凝集剤反応槽14には攪拌手段が設けられているが、この設置は任意である。
高分子凝集剤としては、不溶化物の凝集性を向上させる任意の高分子を使用することができ、例えば、アニオン性高分子有機凝集剤、ノニオン性高分子有機凝集剤およびカチオン基を有する高分子有機凝集剤を挙げることができる。処理中のフッ素・リン含有水に対する高分子凝集剤の添加量は特に限定されるものではないが、一般的には、0.1mg/L〜数10mg/L、好ましくは、2mg/L〜5mg/Lの量で添加されるが、凝集状態により、適宜増減することができる。
アニオン性高分子有機凝集剤としては、例えば、アルギン酸またはその塩、カルボキシメチルセルロース、アクリル酸またはその塩の重合物、アクリル酸またはその塩とアクリルアミドとの共重合物、アクリルアミドと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸塩の共重合物、アクリル酸またはその塩とアクリルアミドと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸塩の3元共重合物、ポリアクリルアミドの部分加水分解物などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。アニオン性高分子有機凝集剤の重量平均分子量の範囲は特に限定されるものではないが、500万〜2000万の範囲が好ましい。これらアニオン性高分子有機凝集剤は、単独でまたは混合物として使用することができる。
ノニオン性高分子有機凝集剤としては、例えば、アクリルアミドの重合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。ノニオン性高分子有機凝集剤の重量平均分子量の範囲は特に限定されるものではないが、500万〜2000万の範囲が好ましい。これらノニオン性高分子有機凝集剤は、単独でまたは混合物として使用することができる。さらに、アニオン性高分子有機凝集剤とノニオン性高分子有機凝集剤とは混合物として使用することもできる。
カチオン基を有する高分子有機凝集剤とは、分子構造中にカチオン性を有する基を含む高分子有機凝集剤であり、カチオン性有機凝結剤、カチオン性高分子有機凝集剤および両性高分子有機凝集剤が挙げられる。
カチオン性有機凝結剤とは、分子構造中にカチオン性を有する基を含む有機凝結剤であり、例えば、ジメチルアミンとエピクロルヒドリンとの重縮合物、ポリジメチルアリルアンモニウムクロライド、ポリエチレンイミン、ジシアンジアミドとホルマリンとの重縮合物、ジメチルアミノエチルメタクリレートとスチレンとの共重合物、メラミンとホルマリンとの重縮合物あるいはこれらを構成するモノマーとアクリルアミドなどのノニオン性モノマーからなる共重合物などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。カチオン性有機凝結剤の重量平均分子量の範囲は特に限定されるものではないが、数万〜数百万の範囲が好ましい。これらカチオン性有機凝結剤は単独でまたは混合物として使用することができる。
カチオン性高分子有機凝集剤とは、例えば、キトサン、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの3級塩および/または4級塩(例えば、塩化メチル4級塩)の重合物、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの3級塩および/または4級塩(例えば、塩化メチル4級塩)とアクリルアミドの共重合物、N−ビニルアクリルアミジン塩単位含有高分子有機凝集剤(例えば、特開平5−192513号、特開平8−155500号、特開平8−243600号、特開平9−87323号などに開示される高分子有機凝集剤)、ポリビニルイミダゾリン酸またはその塩、ポリアクリルアミドのマンニッヒ変性物などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。カチオン性高分子有機凝集剤の重量平均分子量の範囲は特に限定されるものではないが、数百万〜1000万の範囲が好ましい。これらカチオン性高分子有機凝集剤は単独でまたは混合物として使用することができる。
両性高分子有機凝集剤としては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの3級塩および/または4級塩(例えば、塩化メチル4級塩)等から選択される1種以上のカチオン性単量体と、アクリル酸およびその塩類等から選択される1種以上のアニオン性単量体とアクリルアミドとの共重合物などの両性高分子有機凝集剤などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。両性高分子有機凝集剤の重量平均分子量の範囲は特に限定されるものではないが、数百万〜1000万の範囲が好ましい。これら両性高分子有機凝集剤は、単独でまたは混合物として使用することができる。
本発明の1態様においては、最終工程において固液分離される不溶化物を含む汚泥の一部分が、第1工程より後であって、かつ最終工程より前の工程、すなわち、第2工程、行われる場合には無機凝集剤添加工程、pH調整工程および高分子凝集剤添加工程からなる群から選択される1以上の工程に返送される返送工程をさらに含む。本発明の方法は、汚泥返送工程を含むことにより、本発明の系内での汚泥濃度が高められて高密度化し、汚泥の凝集性および脱水性を高め、すなわち汚泥の含水率を低下させることが可能となる。この態様においては、返送工程で返送される汚泥は、返送先の工程で、処理中のフッ素・リン含有水に添加される。返送先の工程での汚泥の添加の態様は特に限定されるものではなく、任意の、公知の装置、方法を用いて行うことが可能である。例えば、図1の態様においては、汚泥引き抜きライン10に介装された余剰汚泥引き抜きポンプから分岐した汚泥返送ライン17を介して、沈殿槽9から引き抜かれた汚泥の一部が返送される。
本発明において汚泥の返送が行われる場合には、無機凝集剤の添加量を削減するために、返送される汚泥にアルカリまたは酸を加えて処理する汚泥再生処理を施した後、再生処理された汚泥(本明細書においては、再生汚泥とも称する)を第1工程より後であって、かつ最終工程より前の工程に返送する態様も可能である。汚泥を再生処理することにより、汚泥中の水酸化アルミニウムが酸またはアルカリ処理されることで溶解し、吸着していたフッ素およびリンを放出する。放出されたフッ素およびリンは汚泥中のカルシウム、または汚泥再生時にpH調整のために添加された消石灰や塩化カルシウム中のカルシウムと反応し、フッ化カルシウム、リン酸カルシウムなどを形成する。このようにして再生された無機凝集剤は、本発明において再利用され得ることから、無機凝集剤の添加量を大幅に削減することが可能となる。また、再生汚泥を返送する場合には、再生した無機凝集剤を有効に利用するという観点から、無機凝集剤添加工程に返送するのが最も好適であるが、第2工程、pH調整工程および高分子凝集剤添加工程に返送することも可能である。再生処理において酸が使用される場合には、好ましくは汚泥のpHが4以下にされ、より好ましくは汚泥のpHが3〜4にされる。また、再生処理が、汚泥にアルカリを添加することにより行われる場合には、好ましくは汚泥のpHが9以上にされ、より好ましくは汚泥のpHが10〜12にされる。
汚泥が再生処理される場合の、汚泥への酸またはアルカリの添加は、汚泥返送ラインに酸またはアルカリをライン注入する態様、汚泥再生処理用の反応槽を設ける態様など、任意の公知の装置、方法を用いて行うことが可能である。例えば、図2の態様においては、汚泥返送ライン17に汚泥再生槽18が介装されており、汚泥再生槽18には、酸またはアルカリを供給する酸またはアルカリ供給ライン19が接続されている。汚泥再生槽18が使用される場合には、汚泥が再生処理できるのであればその態様は特に限定されるものではなく、例えば、図2に示されるように攪拌手段が設けられていてもよい。汚泥再生槽18においては、汚泥に酸またはアルカリが添加され、汚泥が再生処理され、汚泥返送ライン17を介してカルシウム反応槽5、無機凝集剤反応槽12または高分子反応槽14のいずれか1つ以上に返送され、各反応槽において処理中のフッ素・リン含有水に添加される。
汚泥または再生汚泥を返送する場合、汚泥の返送流量は、本発明の目的に反しない限りは特に限定されるものではなく、例えば、一定の返送流量で汚泥が返送される態様であっても良いし、他のパラメータに応じて適宜汚泥の返送流量を変化させるような態様であっても良い。汚泥の返送率は例えば、本願発明の方法が行われる処理系に導入されるフッ素・リン含有水の流量(すなわち、原水流入量)の0.5%〜30%の範囲とされる。返送率が低すぎると汚泥循環の効果を充分に得られず、逆に高すぎる場合は、系内汚泥濃度が上がりすぎることに伴う弊害、例えば、高分子凝集剤の必要量増加、凝集不良、最終処理水へのSS流出等が起こるため、この範囲とされるが、性能および経済的観点から標準的には返送率は5%前後とされることが多い。
以下、実施例で本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
試験1:フッ素除去能の検討
実施例1〜4
以下の実施例においては、汚泥返送を行わない場合および汚泥返送を行うが汚泥再生処理を行わない場合は図1、または汚泥を再生処理し再生汚泥を返送する場合は図2に示す態様のフローによる、本願発明のキレート剤を含有するフッ素・リン含有水の処理方法によって、フッ素の除去処理を行った。被処理水であるキレート剤を含有するフッ素含有水としては、キレート剤としてクエン酸300mg/Lを含む、NaF水溶液(フッ素含有量 30mg・F/L)を使用し、処理系への原水流入量は100L/hであった。
第1工程は鉄反応槽(25L)において、pH=2に維持しつつ行われ、鉄塩としてポリ鉄(ポリ硫酸第二鉄溶液)を使用し、キレート剤を含有するフッ素含有水中の鉄濃度が200mg・Fe/Lとなるように添加された。
第2工程はカルシウム反応槽(25L)において、pH=7に維持しつつ行われ、カルシウム化合物として消石灰を使用し、処理水中の溶存カルシウム濃度が1000mg・Ca/Lとなる理論量を添加した。
次いで、無機凝集剤添加工程が行われた。無機凝集剤添加工程は無機凝集剤反応槽(25L)において、無機凝集剤としてPACを使用し、処理水中のPACの濃度が300mg/Lとなるように添加された。
次いで、高分子凝集剤添加工程が行われた。高分子凝集剤は高分子反応槽(25L)において、高分子凝集剤であるオルフロックOA−23(オルガノ株式会社製)を、処理水中の濃度が2mg/Lとなるように添加された。
最終工程は、沈殿槽(100L)において、固液分離が行われ、汚泥および最終処理水を得た。通液開始から5時間後の最終処理水について、最終処理水中のフッ素濃度として、フッ素イオン濃度を測定した。フッ素イオン濃度の測定はイオンクロマト法により行った。
実施例1は、図1のフローで行われ、汚泥の返送は行われなかった。
実施例2は、図1のフローで行われ、汚泥はカルシウム反応槽に返送され、返送率は原水流入量の5%であった。
実施例3は、図2のフローで行われ、汚泥は、汚泥返送ラインに介装された汚泥再生槽(5L)において、汚泥のpHが11となるように、汚泥に消石灰を添加して再生処理された。再生汚泥はカルシウム反応槽に返送され、返送率は原水流入量の5%であった。
実施例4は、PACの代りに無機凝集剤としてポリ鉄が300mg/Lとなるように添加されたこと以外は、実施例3と同じ方法、条件で行われた。
比較例1
比較例1は、カルシウム化合物の添加前に鉄塩の添加を行わない従来法において、フッ素含有水がキレート剤を含有しない場合のフッ素除去能を示すために行われた。すなわち、比較例1においては、被処理水としてNaF水溶液(フッ素含有量 30mg・F/L)を使用した。また比較例1は、図3のフローで行われ、汚泥の返送は行われなかった。
比較例2〜5においては、カルシウム化合物の添加前に鉄塩の添加を行わない、すなわち、キレート剤を含有するフッ素含有水を直接カルシウム反応槽に供給する、図3または図4のフローで行われたこと、これに加えて比較例5においてはPACの代りに無機凝集剤としてポリ鉄が300mg/Lとなるように添加されたこと以外は、上記実施例と同様の条件でフッ素の除去処理を行った。
比較例2は、図3のフローで行われ、汚泥の返送は行われなかった。
比較例3は、図3のフローで行われ、汚泥はカルシウム反応槽に返送され、返送率は原水流入量の5%であった。
比較例4は、図4のフローで行われ、汚泥は、汚泥返送ラインに介装された汚泥再生槽(5L)において、汚泥のpHが11となるように、汚泥に消石灰を添加して再生処理された。再生汚泥はカルシウム反応槽に返送され、返送率は原水流入量の5%であった。
比較例5は、図4のフローで行われ、汚泥は、汚泥返送ラインに介装された汚泥再生槽(5L)において、汚泥のpHが11となるように、汚泥に消石灰を添加して再生処理された。再生汚泥はカルシウム反応槽に返送され、返送率は原水流入量の5%であった。
実施例および比較例の結果を以下の表1に記載する。
Figure 0004602064
比較例1においては、被処理水中にキレート剤が含まれないので、最終処理水中のフッ素濃度が5.2mg・F/Lと良好に低減されていたが、被処理水中にキレート剤が含まれる比較例2においては、最終処理水中のフッ素濃度が25.2mg・F/Lと、従来法においては、キレート剤によりフッ素除去能力が顕著に悪化することが明らかとなった。これは、フッ化カルシウムがほとんど形成されず、無機凝集剤として添加したPACの凝集効果とフッ素吸着能力によって、被処理水中にわずかにフッ素濃度が低下したのみにとどまっているためと考えられる。また、汚泥を返送する比較例3においては、最終処理水中のフッ素濃度は23.3mg・F/Lであったが、これは汚泥返送により凝集性が高まったことで、比較例2よりも最終処理水中のフッ素濃度が低減したものと考えられる。再生汚泥を返送する比較例4においては、最終処理水中のフッ素濃度は18.4mg・F/Lであったが、これは無機凝集剤として添加されたPACの効果が高められたことにより比較例3よりもフッ素除去能力が向上したものと考えられる。さらに、再生汚泥を返送する比較例5においては、最終処理水中のフッ素濃度は28.1mg・F/Lであり、無機凝集剤としてポリ鉄を使用すると、フッ素をほとんど除去できないことが明らかとなった。以上、比較例2〜5の結果から、被処理水にキレート剤が含まれる場合には、従来法では充分なフッ素除去が行えないことが明らかとなった。
これに対して、実施例1〜4は、キレート剤を含む被処理水に、カルシウム化合物添加前に鉄塩を添加することにより、鉄塩を添加しない比較例2〜5と比較して、顕著なフッ素除去能を示した。このことから、カルシウム化合物添加前に被処理水に鉄塩を添加する本願発明の方法は、被処理水がキレート剤を含む場合であっても顕著に優れたフッ素除去能を示すことが明らかとなった。さらに、実施例3と4を比較すると、無機凝集剤として鉄系無機凝集剤ではなくアルミニウム塩を使用することにより、さらに優れたフッ素除去能を達成できることが明らかとなった。
試験2:第1工程におけるpHの検討
第1工程においてキレート剤を含有するフッ素含有水に鉄塩を添加する際のpHを変化させたことを除き、実施例1と同じ条件、方法で最終処理水中のフッ素濃度を測定することにより、第1工程における至適pH範囲を明らかにした。
第1工程におけるpHと最終処理水中のフッ素濃度との関係を示すグラフを図5に示す。
図5のグラフから、第1工程の至適pHは2付近であった。また、pH7未満およびpH10超でフッ素除去能が向上することが明らかとなった。
図1は、本発明の処理方法に使用可能なフローの1態様を示す概略図である。 図2は、本発明の処理方法に使用可能な、汚泥再生処理を伴うフローの1態様を示す概略図である。 図3は、従来法の処理方法のフローの1態様を示す概略図である。 図4は、従来法の処理方法であって、汚泥再生処理を伴うフローの1態様を示す概略図である。 図5は、第1工程におけるpHと最終処理水中のフッ素濃度との関係を示すグラフである。
符号の説明
1 鉄反応槽
2 フッ素・リン含有水供給ライン
3 鉄塩供給ライン
4 ライン
5 カルシウム反応槽
6 カルシウム化合物供給ライン
7 ライン
8 ライン
9 沈殿槽
10 汚泥引き抜きライン
11 最終処理水排出ライン
12 無機凝集剤反応槽
13 無機凝集剤供給ライン
14 高分子凝集剤反応槽
15 ライン
16 高分子凝集剤供給ライン
17 汚泥返送ライン
18 汚泥再生槽
19 酸またはアルカリ供給ライン
20 pH調整剤供給ライン

Claims (8)

  1. pHが7未満の条件下で、キレート剤を含有するフッ素・リン含有水に鉄塩を添加する第1工程と、
    鉄塩が添加された前記キレート剤を含有するフッ素・リン含有水にカルシウム化合物を添加して不溶化物を形成させる第2工程と、
    不溶化物を固液分離して、不溶化物を含む汚泥と最終処理水とを生じさせる最終工程とを含む、キレート剤を含有するフッ素・リン含有水の処理方法。
  2. pHが10を超える条件下で、キレート剤を含有するフッ素・リン含有水に鉄塩を添加する第1工程と、
    鉄塩が添加された前記キレート剤を含有するフッ素・リン含有水にカルシウム化合物を添加して不溶化物を形成させる第2工程と、
    不溶化物を固液分離して、不溶化物を含む汚泥と最終処理水とを生じさせる最終工程とを含む、キレート剤を含有するフッ素・リン含有水の処理方法。
  3. 第2工程におけるカルシウム化合物の添加がpH4〜11の範囲で行われる、請求項1または2記載のキレート剤を含有するフッ素・リン含有水の処理方法。
  4. 第2工程の後で、かつ最終工程の前に、処理中のフッ素・リン含有水のpHを4〜11の範囲に調整するpH調整工程をさらに含む、請求項1または2記載のキレート剤を含有するフッ素・リン含有水の処理方法。
  5. 第2工程の後で、かつ最終工程の前に、処理中のフッ素・リン含有水に無機凝集剤を添加する無機凝集剤添加工程をさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項記載のキレート剤を含有するフッ素・リン含有水の処理方法。
  6. 第2工程の後で、かつ最終工程の前に、処理中のフッ素・リン含有水に高分子凝集剤を添加する高分子凝集剤添加工程をさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項記載のキレート剤を含有するフッ素・リン含有水の処理方法。
  7. 最終工程において分離された不溶化物を含む汚泥の一部分を、第1工程より後であって、かつ最終工程より前の工程に返送する返送工程をさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項記載のキレート剤を含有するフッ素・リン含有水の処理方法。
  8. 返送工程において、返送される汚泥に酸またはアルカリを添加して汚泥を再生処理した後に、当該再生処理された汚泥が返送される、請求項7記載のキレート剤を含有するフッ素・リン含有水の処理方法。
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