JP2023106059A - トイレットロールおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】巻長が長く保管等の省スペース化が図られると共に、トイレットペーパーの風合いと始端部や終端部の紙管やロール外周への接着性との両方に優れたトイレットロールを提供【解決手段】2プライのトイレットペーパーが紙管の周りにロール状に巻き取られたトイレットロールであって、トイレットロールの巻長は33m以上100m以下、巻直径は100mm以上134mm以下であり、シート1枚当たりの坪量は11g/m2以上16g/m2以下であり、ティシューソフトネス測定装置TSAにより、押し込み圧力100mN、回転数2.0毎秒で回転させ、振動センサで測定したときに取得される、周波数6500Hzを含むスペクトルの極大ピークの強度(TS7値)であるTS7外面は、13dBV2rms以上20dBV2rms以下であり、TS7内面は、TS7外面より大きい、トイレットロール。【選択図】図1

Description

本発明は、2枚のシートが重ね合わされた2プライのトイレットペーパーが紙管の周りにロール状に巻き取られたトイレットロールおよびその製造方法に関する。
トイレットペーパーがロール状に巻き取られたトイレットロールでは、1ロール当りの巻長を長くすることによる、ロールの持ち運びや保管時の省スペース化が行われている。このとき、一般的なトイレットロールホルダーによって回転自在に支持され得るようにロールの巻径を所定の寸法内に収めようとすると、紙厚を低減させる必要が生じて、トイレットペーパーの風合いや使用感が損なわれることがある。
これに対し、特許文献1は、2プライのトイレットペーパーがロール状に巻き取られたトイレットロールにおいて、トイレットペーパーの柔らかさに着目し、ロール外側となるトイレットペーパーの面についてティシューソフトネス測定装置TSAによって測定されるTS7の値を13~22dBV2rmsとすることで、風合いに優れた巻長の長いトイレットロールを提案している。
ところで、この種のトイレットロールでは、概して、トイレットペーパーは紙管の周りに巻き取られている。その製造時に、トイレットペーパーは、一端(始端)がピックアップ糊によって紙管に接着され、所定長だけ紙管に巻き取られた後、他端(終端)がテールシール糊によってロール外周に接着される。これによって、使用開始前にトイレットペーパーの終端部がばらけたり、使用終了前にトイレットペーパーの始端部が紙管から離脱したりしないようになっている。
特許第6262439号公報
しかしながら、上記のようにトイレットペーパーを柔らかくして風合いを向上させると、トイレットペーパーの組織構造上、概して、紙管に対するトイレットペーパーの始端部の接着時に、トイレットペーパーの始端部へのピックアップ糊の浸透が促進される。同様に、ロール外周に対するトイレットペーパーの終端部の接着時に、ロール外周へのテールシール糊の浸透が促進される。これにより、トイレットペーパーの始端部と紙管との間およびトイレットペーパーの終端部とロール外周との間において、接着に寄与する糊(接着剤)の量が低減して接着性が低下し、トイレットロールの使用開始前にトイレットペーパーが不用意にロール外周から剥がれてばらけたり、トイレットロールの使用終了前にトイレットペーパーが紙管から不用意に剥がれて離脱するという問題がある。
本発明は、1ロール当りの巻長が長く持ち運びや保管時の省スペース化が図られたものであるとともに、トイレットペーパーの風合いとトイレットペーパーの始端部や終端部の接着性との両方に優れたトイレットロールおよびその製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者は、2枚のシートが重ね合わされた2プライのトイレットペーパーが紙管の周りにロール状に巻き取られたトイレットロールであって、トイレットロールの巻長は33m以上100m以下、および巻直径は100mm以上134mm以下であり、シート1枚当たりの坪量は11g/m2以上16g/m2以下であり、ティシューソフトネス測定装置TSAにより、試料台にトイレットロールのロール外側となる面を上に向けて設置したトイレットペーパーの試料に対し、ブレード付ロータを100mNの押し込み圧力として上から押し込んだ後に回転数2.0毎秒で回転させ、試料台の振動を振動センサで測定したときに取得される、周波数6500Hzを含むスペクトルの極大ピークの強度(TS7値)であるTS7外面は、13dBV2rms以上20dBV2rms以下であり、ティシューソフトネス測定装置TSAにより、試料台にトイレットロールのロール内側となる面を上に向けて設置したトイレットペーパーの試料に対し、ブレード付ロータを100mNの押し込み圧力として上から押し込んだ後に回転数2.0毎秒で回転させ、試料台の振動を振動センサで測定したときに取得される、周波数6500Hzを含むスペクトルの極大ピークの強度(TS7値)であるTS7内面は、TS7外面よりも大きいトイレットロールにより、上記課題を解決し得ることを見出した。
具体的には、本発明は、以下の構成を有する。
[1] 2枚のシートが重ね合わされた2プライのトイレットペーパーが紙管の周りにロール状に巻き取られたトイレットロールであって、
トイレットロールの巻長は33m以上100m以下、および巻直径は100mm以上134mm以下であり、
シート1枚当たりの坪量は11g/m2以上16g/m2以下であり、
ティシューソフトネス測定装置TSAにより、試料台にトイレットロールのロール外側となる面を上に向けて設置したトイレットペーパーの試料に対し、ブレード付ロータを100mNの押し込み圧力として上から押し込んだ後に回転数2.0毎秒で回転させ、試料台の振動を振動センサで測定したときに取得される、周波数6500Hzを含むスペクトルの極大ピークの強度(TS7値)であるTS7外面は、13dBV2rms以上20dBV2rms以下であり、
ティシューソフトネス測定装置TSAにより、試料台にトイレットロールのロール内側となる面を上に向けて設置したトイレットペーパーの試料に対し、ブレード付ロータを100mNの押し込み圧力として上から押し込んだ後に回転数2.0毎秒で回転させ、試料台の振動を振動センサで測定したときに取得される、周波数6500Hzを含むスペクトルの極大ピークの強度(TS7値)であるTS7内面は、TS7内面よりも大きいことを特徴とするトイレットロール。
[2] トイレットペーパーは、紙質が異なる2枚のシートを用いて構成されていることを特徴とする[1]に記載のトイレットロール。
[3] トイレットペーパーは、2枚のシートのそれぞれにエンボス加工の条件が異なるエンボスが紙面全域に形成されたダブルエンボスが付されており、および2枚のシートは、それぞれのエンボス凹部がトイレットペーパーの両面に位置するように重ね合わされていることを特徴とする[1]または[2]に記載のトイレットロール。
[4] トイレットペーパーは、紙面全域にシングルエンボスが付されており、およびエンボス凹部がロール外側となるように巻き取られていることを特徴とする[1]または[2]に記載のトイレットロール。
[5] TS7内面とTS7外面との比R(TS7内面/TS7外面)は、1.01以上2.20以下であることを特徴とする[1]から[4]のいずれかに記載のトイレットロール。
[6] 2枚のシートが重ね合わされた2プライのトイレットペーパーが紙管の周りにロール状に巻き取られたトイレットロールであって、
トイレットロールの巻長は33m以上100m以下、および巻直径は100mm以上134mm以下であり、
ティシューソフトネス測定装置TSAにより、試料台にトイレットロールのロール外側となる面を上に向けて設置したトイレットペーパーの試料に対し、ブレード付ロータを100mNの押し込み圧力として上から押し込んだ後に回転数2.0毎秒で回転させ、試料台の振動を振動センサで測定したときに取得される、周波数6500Hzを含むスペクトルの極大ピークの強度(TS7値)であるTS7外面は、13dBV2rms以上20dBV2rms以下であり、
ティシューソフトネス測定装置TSAにより、試料台にトイレットロールのロール内側となる面を上に向けて設置したトイレットペーパーの試料に対し、ブレード付ロータを100mNの押し込み圧力として上から押し込んだ後に回転数2.0毎秒で回転させ、試料台の振動を振動センサで測定したときに取得される、周波数6500Hzを含むスペクトルの極大ピークの強度(TS7値)であるTS7内面は、TS7外面よりも大きいトイレットロールの製造方法であって、
方法は、2枚のシートが重ね合わされた2プライのトイレットペーパーを形成する形成工程と、形成された2プライのトイレットペーパーを所定の長さだけ所定の巻直径で紙管の周りにロール状に巻き取る巻取工程と、を含み、
形成工程は、TS7外面が13dBV2rms以上20dBV2rms以下となり、TS7内面がTS7外面よりも大きくなるように、
(1)2枚のシートとして紙質が異なるシートを用い、当該2枚のシートのそれぞれの紙面全体にエンボス加工を施すことなく当該2枚のシートを重ね合わせるノーエンボス工程、
(2)2枚のシートとして紙質が同一または異なるシートを用い、当該2枚のシートのそれぞれの紙面全体にエンボス加工条件が異なるエンボス加工を施してから当該2枚のシートを重ね合わせるダブルエンボス工程、
(3)2枚のシートとして紙質が同一または異なるシートを用い、当該2枚のシートを重ね合わせた状態にて当該2枚のシートの紙面全体に一括的なエンボス加工を施すシングルエンボス工程、
のうちから選択される一の工程を含み、
巻き取り工程は、形成された2プライのトイレットペーパーの先端部を紙管に接着剤を介して巻き付ける工程と、形成された2プライのトイレットペーパーの巻き終わりの終端部を、ロールの表面に接着剤によって糊付けする工程と、を含む
ことを特徴とするトイレットロールの製造方法。
本発明によれば、1ロール当りの巻長が長く持ち運びや保管時の省スペース化が図られたものであるとともに、トイレットペーパーの風合いとトイレットペーパーの始端部や終端部の接着性との両方に優れたトイレットロールを提供することができる。
本発明の実施形態に係るトイレットロールの構成例を示す斜視図である。 ティシューソフトネス測定装置TSAの概略断面図である。 測定装置TSAによって測定される試料の例の概略断面図である。 測定装置TSAの測定原理を説明する図である。 測定装置TSAの測定原理を説明する図である。 測定装置TSAによる測定結果の例を示す図である。 トイレットロールの製造に適用可能な製造設備の例を示す模式図である。 糊付け設備の構成例を示す模式図である。
本発明の実施形態に係るトイレットロールを、図面を参照しながら説明する。以下の実施形態および図面は例示の目的で記載したものであり、本発明を限定するものではない。
(第1の実施形態)
(トイレットロール)
図1は、本発明の実施形態に係るトイレットロールの構成例を説明するための概略斜視図である。
図1を参照して、本発明の実施形態に係るトイレットロール10は、2枚のシート11,12が重ね合わされたいわゆる2プライのトイレットペーパー13が、円筒状の巻芯である紙管14に、所定長だけロール状に巻き回されたものである。
(シート)
トイレットペーパー13の構成要素となる2枚のシート11,12のそれぞれは、繊維原料であるパルプ成分を含むスラリーを抄紙することによって得られる。
(パルプ成分)
パルプ成分としては、木材パルプ、非木材パルプ、脱墨パルプを挙げることができる。木材パルプとしては例えば、広葉樹パルプ(広葉樹クラフトパルプ(LKP))、針葉樹パルプ(針葉樹クラフトパルプ(NKP))、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)、ソーダパルプ(AP)、未晒しクラフトパルプ(UKP)、酸素漂白クラフトパルプ(OKP)等の化学パルプ等が挙げられる。また、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)等の機械パルプが挙げられるが、特に限定されない。非木材パルプとしてはコットンリンターやコットンリント等の綿系パルプ、麻、麦わら、バガス等の非木材系パルプ、ホヤや海草等から単離されるセルロース、キチン、キトサン等が挙げられるが、特に限定されない。脱墨パルプとしては古紙を原料とする脱墨パルプが挙げられるが、特に限定されない。パルプ成分は上記の1種を単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。これらパルプ成分はトイレットペーパー13の品質に大きく影響するので、要求品質に合わせて所定の種類および配合割合で適宜配合される。
例えば、パルプ成分として、針葉樹パルプおよび広葉樹パルプから選択される少なくとも1種を好ましく用いることができる。針葉樹パルプは、繊維が長く強度があり、抄造される薄葉紙に強度を付与することができる。また、広葉樹パルプは、繊維が短く、しなやかであり、抄造される薄葉紙に均一性、地合いのよさ、柔らかさなどを提供することができる。本発明の実施形態において、針葉樹パルプと広葉樹パルプを併用することが好ましく、針葉樹クラフトパルプ(NKP)と広葉樹クラフトパルプ(LKP)を併用することがより好ましい。
パルプ成分として針葉樹パルプと広葉樹パルプとを併用する場合、針葉樹パルプと広葉樹パルプとの配合割合(質量比)を示すL/N比は、例えば、10/90~90/10とすることが好ましく、20/80以上とすることがより好ましく、30/70以上とすることがさらに好ましく、また、80/20以下とすることがより好ましく、70/30以下とすることがさらに好ましい。
(任意成分)
シート11,12には、要求品質および操業の安定のために、任意成分として様々な薬品が添加されていてもよい。任意成分としては、例えば、乾燥紙力剤、湿潤紙力剤、柔軟剤、嵩高剤、染料、香料、分散剤、濾水向上剤、ピッチコントロール剤、歩留向上剤、サイズ剤等を挙げることができる。乾燥紙力剤としては、例えば、カチオン化澱粉、ポリアクリルアミド(PAM)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等を挙げることができる。湿潤紙力剤としては、ポリアミドエピクロロヒドリン、尿素、メラミン、熱架橋性ポリアクリルアミド等を挙げることができる。柔軟剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、および両性イオン界面活性剤等を挙げることができる。上記の任意成分は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の実施形態において、互いに重ね合わされる2枚のシート11,12の種類(材質、物性などの紙質)は、要求品質等に応じて、同一であってもよく異なっていてもよい。
トイレットペーパー13の一端(始端)は、ピックアップ糊によって紙管14の外周に対して接着固定されている(不図示)。トイレットペーパー13の他端(終端)は、テールシール糊によってトイレットロール10のロール外周に接着固定されている。以下、トイレットペーパー13の始端側の接着部を始端部、および終端側の接着部を終端部15と称する。始端部および終端部15の接着によって、トイレットペーパー13が紙管14から剥がれて離脱することや、トイレットペーパー13がロール外周から剥がれてばらけることが防止されている。
(紙管)
紙管14は、円筒形状を有しており、その周りにトイレットペーパー13が巻き回されてトイレットロール10となる。紙管14の外径であるコア径DCは、トイレットロール10を回転支持するためのトイレットロールホルダーの部材(コア芯やフック等)のサイズに応じて設定され、一般には、38mm~40mm程度である。
紙管14の素材は、その外周面にピックアップ糊を塗布し、トイレットペーパー13の始端部をピックアップして接着固定し、トイレットペーパー13を巻き回すことのできるものであればよく、紙管原紙、段ボール原紙、クラフト紙等の厚紙から形成されていることが多い。紙管14は、例えば、スパイラル状に巻き回された帯状紙によって形成されていてもよい。
(ピックアップ糊)
ピックアップ糊は、紙管14の外周面にトイレットペーパー13の始端部を接着固定するための接着剤である。接着剤の種類は特に限定されないが、トイレットペーパー13を迅速に接着固定することができ、トイレットペーパー13を巻き取る際の引張力にも耐えうる接着強度を有する接着剤であることが好ましい。このような接着剤としては、水溶性接着剤が好ましく、セルロール誘導体接着剤がさらに好ましい。市販のセルロール誘導体接着剤の中では、ウェットタックが強く、ピックアップ性に優れるという理由から、例えば、カネビノールTV976、カネビノールTV986(いずれも商品名、日本エヌエスシー社製)などが好ましく用いられる。
(テールシール糊)
テールシール糊は、ロールの外周面にトイレットペーパー13の終端部15を接着固定するための接着剤である。テールシール糊の接着剤の種類は特に限定されるものではなく、トイレットペーパー13を迅速に接着固定することができ、容易には剥離しない接着強度を有する接着剤であることが好ましい。このような接着剤としては、水溶性接着剤が好ましく、セルロール誘導体接着剤がさらに好ましい。市販のセルロール誘導体接着剤の中では、ウェットタックが強く、乾燥性に優れるという理由から、例えば、カネビノールTV995、カネビノールTV907(いずれも商品名、日本エヌエスシー社製)などが好ましく用いられる。
(トイレットロールの巻長)
本発明の実施形態において、紙管14に巻き回されたトイレットペーパー13の長さである、トイレットロール10の巻長は、33m以上100m以下である。巻長は、例えば、トイレットロール10からトイレットペーパー13を巻きほどきながらその長さを実測することによって求めることができる。
トイレットロール10の巻長がこの範囲であると、1ロール当りのトイレットペーパー13の長さが長く、トイレットロール10の持ち運びや保管時の省スペース化を図ることができる。トイレットロール10の巻長が100mを超えると、概して、トイレットロール10の巻直径が大きくなり、トイレットロール10は、一般的なトイレットロールホルダーに収まり難くなる。また、トイレットロール10の巻長が33m未満であると、1ロール当りの巻長が短く、持ち運びや保管時の省スペース化が図れない。
(トイレットロールの巻直径)
本発明の実施形態において、ロール状に巻き取られたトイレットペーパー13のロール径である、トイレットロール10の巻直径DRは、100mm以上134mm以下である。巻直径DRは、例えば、ノギスなどを用いて測定することができる。
トイレットロール10の巻直径DRがこの範囲であると、トイレットロール10は、一般的なトイレットロールホルダー内に収まり、その中で回転自在に支持され得る。トイレットロール10の巻直径DRが134mmよりも大きいと、トイレットロール10は、一般的なトイレットロールホルダーに収まり難くなる。また、トイレットロール10の巻直径DRが100mmよりも小さいと、トイレットロール10の巻長が制限され、巻長を長くすることによる持ち運びや保管時の省スペース化が困難になる。
トイレットロール10の巻直径DRは、トイレットロール10の巻長、トイレットペーパー13の坪量、トイレットロール10の製造工程におけるカレンダー処理、エンボス加工処理などによるトイレットペーパー13の紙厚や嵩高さによって変動し得る。小さな巻直径DRでトイレットロール10の長い巻長を確保しようとすると、トイレットペーパー13の紙厚や嵩高さ、および構成シート11,12の坪量等が制限され、良好な使用感や、強度の確保等が困難になる。
(トイレットペーパー)
トイレットペーパー13は、いわゆる2プライのトイレットペーパーであり、2枚のシート11,12が重ね合わされた積層シートの形態を有する。
(シート1枚当たりの坪量)
本発明の実施形態おいて、トイレットペーパー13を構成する2枚のシート11,12のシート1枚当たりの坪量は、11g/m2以上16g/m2以下である。シート1枚当たりの坪量は、日本工業規格JIS P8124の規定に準じて、2プライのトイレットペーパー13の坪量を測定し、当該坪量をプライ数の2で割って求めることができる。すなわち、2プライのトイレットペーパー13を日本工業規格JIS P8111に規定する方法に従って調湿し、当該調湿した2プライのトイレットペーパー13を2枚のシート11,12を重ねたまま、所定の大きさ、例えば10cm×10cmの大きさに切り出し、当該切り出した2プライのトイレットペーパー13の重さを測定し、当該重さを2プライのトイレットペーパー13の切出面積の0.01m2で割って2プライのトイレットペーパー13の坪量を測定し、当該坪量をプライ数の2で割ってシート1枚当たりの坪量を求めることができる。
シート1枚当たりの坪量が11g/m2未満であると、強度が低くなり、また吸水量の低下等により使用感が悪くなる。シート1枚当たりの坪量が16g/m2を超えると、概して、紙厚が厚くなり、トイレットロール10の巻直径が大きくなる。トイレットロール10の巻直径を上述の範囲に収めようとすると、トイレットロール10の巻長を確保することが困難となる。また、上述の範囲の巻長を得ようとすると、シート11,12の厚さを低減させる必要が生じ、シート11、12が潰れてトイレットペーパー13の風合いが損なわれたりする。
図1に示される第1の実施形態の構成例において、トイレットペーパー13には、エンボス加工が施されている。
(エンボス加工)
エンボス加工とは、エンボス加工の対象となるシートの両面のうちの一方の表面にエンボス凸部を、他方の表面にエンボス凸部の裏側で構成されるエンボス凹部を形成する加工をいう。エンボス加工は公知の方法で行うことができる。例えば、エンボス加工は、ほぼ相補的な形状の雄(凸)エンボスロールと雌(凹)エンボスロールとが噛み合う「マッチした」エンボスロールにより行われてもよく、または、雄(凸)エンボスロールと雌(凹)エンボスロールの形状が同一でなく、両者が噛み合った際にシートにせん断力を与える、いわゆる「マッチしていない」エンボスロールにより行われてもよく、または、雄(凸)エンボススチールロールとプレーンラバーロールとにより、行われてもよい。
第1の実施形態の構成例におけるエンボスは、いわゆるダブルエンボスである。すなわち、トイレットペーパー13において、シート11,12は、それぞれに対するエンボス加工が施されてから、互いに重ね合わされている。本例では、トイレットロール10のロール外側となるシート11には、その紙面全域(全面)に亘って、シート12との重ね合わせ面側に突出する多数の第1のエンボス部11aが反復パターンにて形成されている。また、ロール内側となるシート12には、その紙面全域に亘って、シート12との重ね合わせ面側に突出するように多数の第2エンボス部(不図示)が整列状態で所定間隔毎に形成されている。
このように、第1の実施形態では、第1のエンボス部11aおよび第2のエンボス部の両方をそれぞれシート11,12の重ね合わせ面側に突出させ、トイレットペーパー13の両面にエンボス凹部を設けることにより、トイレットペーパー13の両面の手触り、すなわち、ロール外側となるシート11の表面の手触りおよびロール内側となるシート12の表面の手触りの両方を良好にしている。また、シート11の第1のエンボス部11aのパターンとシート12の第2のエンボス部のパターンとを異ならせることにより、ロール外側となるシート11の表面(すなわち、トイレットペーパー13の外面)の質感と、ロール内側となるシート12の表面(すなわち、トイレットペーパー13の内面)の質感と、を異ならせている。なお、第1のエンボス部11aのパターンおよび第2のエンボス部のパターンは、必要に応じて、上記以外の任意のパターンであってもよい。
なお、トイレットペーパー13の各層を構成するシート11,12の剥離を抑制するために、トイレットペーパー13に、構成シート11,12を互いに接合するための接合用エンボス部(不図示)が設けられていてもよい。接合用エンボス部は、シート11およびシート12を一体的に接合する接合領域を画成する。接合用エンボス部は、例えば、トイレットペーパー13の幅方向(CD方向)両側縁部に、その長手方向(MD方向)に沿って延在するように形成されていてもよく、エッジエンボスとも称される。接合用エンボス部は、トイレットペーパー13の表裏両面から厚さ方向外側に突出しないように形成されていてもよい。
(ティシューソフトネス測定装置TSAにより取得されるTS7値)
本発明の実施形態では、トイレットペーパー13の両面について、ティシューソフトネス測定装置TSA(以下、単に測定装置TSAとも記す)により取得されるTS7値を規定する。本発明の実施形態に係る具体的なTS7値の範囲について言及する前に、図2から図6を参照して、TS7値の取得に用いられる、ティシューソフトネス測定装置TSA、測定原理、および測定手順について説明する。
(ティシューソフトネス測定装置TSA)
図2は、本発明の実施形態に係るTS7値の取得に適用可能な、ドイツのエムテック(Emtec Electronic GmbH)社製のティシューソフトネス測定装置TSAの概略断面図である。測定装置TSAは、日本ルフト株式会社(日本における販売代理店)より入手可能である。
トイレットペーパー13に触れたときのヒトの感触(手触り感)は、「柔らかさ」、「滑らかさ・粗さ」、および「剛性」といったトイレットペーパー13の3つの特性によって影響を受ける。測定装置TSAは、これら3つの特性の指標となるパラメータ(それぞれ順に、TS7、TS750、Dと称される)を音響測定および変形測定によって数値化可能な装置である。測定装置TSAは、得られたこれらのパラメータ(生データ)と、トイレットペーパー13の坪量、厚さ、プライ数等を基に、アルゴリズムを用いた解析を行うことで、ハンドフィール(HF)値と称される値を算出することができる。HF値は、ヒトの手触り感(パネルテスト)の結果と相関付けられたトイレットペーパー13の手触り感の総合的な定量評価に用いられる値である。
上述のTS7(柔らかさ)、TS750(滑らかさ・粗さ)、D(剛性)といったパラメータの値のうち、TS7値およびTS750値は、ティシューソフトネス測定装置TSAによる音響測定によって取得することができる。
(ティシューソフトネス測定装置TSAによる音響測定の測定原理)
図2から図6を参照して、ティシューソフトネス測定装置TSAによる音響測定の測定原理を説明する。
図3は、ティシューソフトネス測定装置TSAによる測定の対象となるトイレットペーパー13の試料の例を示す概略断面図である。本発明の実施形態において、測定装置TSA 20による測定の対象となる試料23は、2枚のシート11,12で構成される2プライのトイレットペーパー13であるが、図3では、概略的に、試料23を1枚のシートとして示している。試料23は、凸凹したテクスチャを有する。また、試料23の表面には、構成繊維23fに由来する突出部である起毛が見られる。起毛は、繊維の毛羽立ちとも称され、起毛する繊維の根幹部分は、試料23の表面または内部に存在する。
図2の(a)に示されるように、ティシューソフトネス測定装置TSA 20において、試料台21の内部には、振動センサ21aがあり、試料台21の上方には、ブレード25aをモーター25bによって回転させるブレード付ロータ25がある。試料23は、測定されるべき面が上に向くように、すなわち、測定面がブレード付ロータ25側となるように、試料台21に対してドラムヘッドのように取り付けられる。
第1の測定ステップにおいて、ブレード付ロータ25を垂直移動により下降させて、図2の(b)に示されるように、ブレード25aによって、試料23の上を、設定した荷重で押す。次いで、その一定の垂直位置で、ブレード25aを、設定した速度で回転させる。これによって引き起こされる、試料23上のブレード25aの水平運動は、異なる種類の振動・雑音を生み出す。生み出された振動・雑音は、振動センサ21aによって検出される。検出された振動等は、PCを使って周波数が分析されて、TS7値が得られる。例えば、Emtec社のソフトウェアであるemtec measurement systemを用いることで、TS7値をソフトウェア上で自動的に取得することができる。
詳細には、図4を参照して、測定装置TSA 20による測定の際に、ブレード25aは、図中、位置(1)から(3)までの移動によって例示されるように、一定の垂直位置で水平運動させられる。ブレード25aのこのような水平運動によって、試料23の位置が変動し、試料23の垂直振動が誘発される。誘発された振動周波数は、トイレットペーパー13の構造的な寸法(例えば、クリープやエンボス等に由来する寸法)およびブレード25aの回転速度に依存する。振動の振幅(強度)は、構造の高さに依存する。
また、図5を参照して、測定装置TSA 20による上述の測定の際に、一定の垂直位置で水平運動させられるブレード25aは、図中、位置(i)から(iii)までの移動によって例示されるように、試料23の表面を水平方向に進む。このときの試料表面に突出する繊維23fとの接触による瞬間的な遮断とブレード25aの振動に起因して、ブレード25aそれ自身の水平振動が誘発される。
図5の(a)と比べると、図5の(b)では、繊維23fが柔らかく、ブレード25aと繊維23fが接触した際に、繊維23fが大きく撓んでブレード25aのしなりが小さいため、誘発されるブレード25aの水平振動の振幅は相対的に小さくなっている。ブレード25aの水平振動の振幅は、繊維23fの柔らかさ・固さ(個々の繊維の剛性)、および試料23の素材の内部構造(バルク、繊維の結合強度)、ミクロ・マクロ圧縮性、添加薬品(柔軟剤、澱粉、乾燥強度剤)等に依存する。また、共振周波数は、試料23の素材および幾何学寸法に依存して一定であり、およそ6,500Hzである。
図6に、測定装置TSA 20による音響測定の結果として得られる周波数スペクトルの例を示す。横軸が周波数(単位:Hz)、縦軸が振幅(強度)(単位:dBV2rms)を示す。得られるスペクトルは、概して、重なり合う2つの単一スペクトルとなる。
図4を参照して説明した、試料23の垂直振動に基づく単一スペクトルは、低周波数側からみたスペクトルの最初の極大ピークP1として現れる。極大ピークP1の強度(振幅)が、試料23の「滑らかさ・粗さ」の指標となるTS750値となる。TS750値が小さい程、試料23は滑らかであると評価される。
図5を参照して説明した、ブレード25aの水平振動に基づく単一スペクトルは、共振周波数である6500Hzを含む(6500Hzの前後の)スペクトルの極大ピークP2として現れる。極大ピークP2の強度(振幅)が、試料23の「柔らかさ」の指標となるTS7値となる。TS7値が小さい程、試料23は柔らかいと評価される。
なお、測定装置TSA 20では、続いて、第2の測定ステップとして、試料23に加える荷重を変更するサイクルを繰り返すことによる変形測定によって、試料23の「剛性」を表すD値を得ることができる。得られたD値と、先述のTS7値およびTS750値、ならびに紙厚、坪量、プライ数等から、非線形のアルゴリズムによって、ハンドフィール(HF)値が取得可能となる。これらD値およびHF値は、本発明の実施形態において規定される数値ではないため、本明細書では、これらについてのさらなる説明を省略する。
(TS7値の測定手順)
ティシューソフトネス測定装置TSA 20を用いたTS7値の測定は、次の手順に従って行うことができる。
(1)試料の準備
トイレットロール10からトイレットペーパー13を巻きほどき、直径112.8mmの円形のトイレットペーパーの試料23を切り抜く。試料23は、トイレットペーパー13を構成する2枚のシート11,12を1組として含む。試料23の切り抜きには、Emtec社のサンプルパンチが使用されてもよい。
(2)試料の取り付け
試料23の測定面が上(すなわち、ブレード付きロータ25側)に向くように試料23を円形の試料台21に載せる。次いで、試料23の外周を保持するように試料固定リング24を押し下げて、試料23を試料台21にロックする。
(3)測定
ブレード付ロータ25を100mNの押し込み圧力で試料23の上から押し込む。次いで、モーター25bを作動させて、ブレード付ロータ25を回転数2.0毎秒で回転させる。このときの試料台21の振動を、試料台内部に設置した振動センサ21aによって測定する。ソフトウェアを用いて、振動周波数を分析し、TS7値を自動的に取得する。
(4)平均値の算出
1種類のトイレットロール10につき、上記(1)から(3)の工程を繰り返すことによって、計10回の測定を行い、TS7値を平均値として取得する。
(TS7値)
ここで、本発明の実施形態に係るトイレットロール10のTS7値は、次のように規定される。
(TS7外面)
ティシューソフトネス測定装置TSA 20により、試料台21にトイレットロール10のロール外側となる面を上に向けて設置したトイレットペーパー13に対し、ブレード付ロータ25を100mNの押し込み圧力として上から押し込んだ後に回転数2.0毎秒で回転させ、試料台21の振動を振動センサ21aで測定したときに取得される、周波数6500Hzを含むスペクトルの極大ピークの強度(TS7値)であるTS7外面は、13dBV2rms以上20dBV2rms以下である。
(TS7内面)
ティシューソフトネス測定装置TSAにより、試料台21にトイレットロール10のロール内側となる面を上に向けて設置したトイレットペーパー13に対し、ブレード付ロータ25を100mNの押し込み圧力として上から押し込んだ後に回転数2.0毎秒で回転させ、試料台21の振動を振動センサ21aで測定したときに取得される、周波数6500Hzを含むスペクトルの極大ピークの強度(TS7値)であるTS7内面は、TS7外面よりも大きい。
TS7外面が13dBV2rms以上20dBV2rms以下であると、トイレットロール10のロール外側となるトイレットペーパー13の表面(以下、トイレットペーパーの外面とも称する)は、柔らかくて風合いに優れた面となる。TS7外面が13dBV2rms未満であると、トイレットペーパー13の外面にテールシール糊が付着した場合に、表面に構成繊維23f等が起毛するような組織構造に起因して、トイレットペーパー13の厚さ方向への糊の浸透が促進される。そのため、ロール外周に対するトイレットペーパー13の終端部15の接着時に、トイレットペーパー13の終端部15とロール外周との間(界面)において接着に寄与する糊(接着剤)の量が低減し、トイレットペーパー13の終端部15の接着性が低下する。TS7外面が20dBV2rmsより大きいと、値が大きくなるにつれ、トイレットペーパー13の外面の柔らかさが低減する。
TS7内面がTS7外面よりも大きいと(すなわち、TS7内面とTS7外面との差D(TS7内面-TS7外面)>0dBV2rmsであると)、トイレットロール10のロール内側となるトイレットペーパー13の表面(以下、トイレットペーパーの内面とも称する)は、トイレットペーパーの外面と比べた際に、同等かまたは適度に柔らかい風合いを有する一方で、テールシール糊やピックアップ糊が付着した場合のトイレットペーパー内部への糊の浸透速度が適度に抑制される。そのため、ロール外周に対するトイレットペーパー13の終端部15の接着や、特には紙管14に対するトイレットペーパー13の始端部の接着において、接着に寄与する糊(接着剤)の量が確保されて、良好な接着性を得ることができる。
TS7内面は、好ましくは、30dBV2rms以上40dBV2rms以下である。TS7内面が30dBV2rms未満であると、トイレットペーパー13の内面は柔らかくなり風合いが向上するが、始端部や終端部15における接着性の向上効果は小さい。TS7内面が40dBV2rmsより大きいと、トイレットペーパー13の表面は、柔らかさが低減して風合いが悪くなる。TS内面が30dBV2rms以上40dBV2rms以下であると、トイレットペーパー13の内面は適度に柔らかくて風合いがよく、また、始端部や終端部15における接着性も良好である。
(本発明の実施形態に適用可能な製造方法および製造設備の例)
図1、図7および図8を参照しつつ、本発明の実施形態に係るトイレットロールを製造するために適用可能な方法および設備の例について説明する。トイレットロール10は、例えば、以下のようにして製造され得る。
(原反ロールの製造)
トイレットペーパー13の構成要素であるシート11,12のそれぞれを製造するための、原反ロール11R,12Rを製造する。詳細には、不図示の抄紙機を用い、抄紙用スラリー(紙料)から、幅広(トイレットロールの幅の数倍から二十数倍程度の幅)で長尺なシート11L,12Lを抄造しつつ巻き取って、シート11L,12Lが巻き取られた原反ロール11R,12Rを製造する。抄紙機としては、例えば、ツインワイヤフォーマ方式、円網フォーマ方式、サクションプレストフォーマ方式、クレセントフォーマ方式等の知られている抄紙機を用いることができる。
抄紙機は、クレープ加工を行うクレーピング部を備えていてもよい。クレーピング部では、原反ロール製造工程において、抄造されるシート(ウェブ)を乾燥させる間に、必要に応じて、シートに対し、クレーピングドクターによってクレープと呼ばれる非常に細かい波状の皺を付与することができる。クレープにより、シートに柔らかさ、嵩高さ(バルク感)、吸収性、美観(クレープの形状)、良好な手触り感などを付与することができる。
また、抄紙機は、カレンダー部を備えていてもよい。カレンダー部では、乾燥されたシートに対して、必要に応じて、カレンダーロール対により上下からシートを挟み込み押圧する、カレンダー処理を施すことができる。これによって、シート11L,12Lは圧縮されて、紙厚の調整および均一化、ならびに表面の平滑化などがなされる。カレンダー処理により、シート表面の繊維に起因する突出部(起毛)が抑えられ、概して、柔らかさは低減する。なお、カレンダー加工部は抄紙機とは別に設けられていてもよく、カレンダー処理は、原反ロール製造工程以降の任意の製造工程において行われてもよい。カレンダー処理は、複数段階に分けて行われてもよい。
(トイレットロールの製造)
原反ロール11R,12Rを用いて、トイレットロールを製造する。図7は、本発明の実施形態に係るトイレットロールの製造に適用可能な製造設備の例を示す模式図である。図7は例示目的であって本発明を限定するものではない。
原反ロール11Rおよび原反ロール12Rは、原反ロールスタンド70に対して回転可能に取り付けられ、原紙シート繰出装置(不図示)によって回転駆動されつつシート11Lおよびシート12Lを繰り出す。シート11Lおよびシート12Lとしては、紙質が同一または異なるシートが用いられる。
原反ロール11Rおよび原反ロール12Rから繰り出されたシート11Lおよびシート12Lは、原反ロールスタンド70の下流側に配されたエンボス加工部76に搬送される。このエンボス加工部76の下流側には、さらに巻取部77および末端処理部78が順に配されている。
エンボス加工部76は、端的には、シート11L,12Lに対してエンボス加工を施して、エンボスシートを形成するユニットである。
エンボス加工部76は、2組のエンボスロールユニット71,72と、1つの接合用エンボスロールユニット75と、を備えている。
エンボスロールユニット71,72は、それぞれ、エンボスロールと、バックアップロールと、を有する。エンボスロールユニット71のエンボスロールは、回転自在であり、エンボスロールの外周面には、図1に示されるシート11の第1のエンボス部11aのエンボスパターンに対応した凹凸部が形成されている。同様に、エンボスロールユニット72のエンボスロールは、回転自在であり、エンボスロールユニット72のエンボスロールの外周面には、図1に示されるシート12の第2のエンボス部(不図示)のエンボスパターンに対応した凹凸部が形成されている。
エンボスロールユニット71,72のそれぞれの上流側には、エンボスロールユニット71,72のそれぞれに対応してシート11L,12Lを案内する回転自在な2つの案内ローラ73,74が設けられている。
図7に示す製造装置において、エンボス加工部76は、シート11L,12Lの通紙経路やエンボスロールユニット71,72による押圧の有無によって、(i)シングルエンボス加工、(ii)ダブルエンボス加工、または(iii)ノーエンボス加工を選択的に行うことが可能に構成されている。
(i)シングルエンボス加工の場合
図7は、シングルエンボス加工を行う場合のシート11L,12Lの通紙経路の例を示す。シングルエンボス加工を行う場合には、原反ロール11R,12Rから繰り出されたシート11L,12Lは、共に案内ローラ73に巻き掛けられて重ね合わされ、エンボスロールユニット71に向かうように案内される。エンボスロールユニット71は、エンボスロールと、エンボスロールとの対向方向に沿って移動可能に配されたバックアップロールと、を備え、これらの間に、重ね合わされたシート11L、12Lが挿通される。バックアップロールがエンボスロールの外周面に所定圧で押し当てられた結果、これらの間を通過するシート11L,12Lに共通するエンボス加工が施される。この場合、シート11L、12Lとして、紙質が同一または異なるシートが適用可能である。
(ii)ダブルエンボス加工の場合
ダブルエンボス加工を行う場合には、原反ロール11Rから繰り出されたシート11Lは、案内ローラ73に巻き掛けられて、エンボスロールユニット71に向かうように案内され、エンボスロールユニット71のエンボスロールとバックアップロールとの間に挿通される。同様に、原反ロール12Rから繰り出されたシート12Lは、案内ローラ74に巻き掛けられて、エンボスロールユニット72に向かうように案内される。エンボスロールユニット72は、エンボスロールと、エンボスロールとの対向方向に沿って移動可能に配されたバックアップロールと、を備え、これらの間に、シート12Lが挿通される。各バックアップロールが、対応するエンボスロールの外周面に所定圧で押し当てられた結果、これらの間を通過するシート11L,12Lにそれぞれのエンボス加工が施される。この場合、シートとして、紙質が同一または異なるシートが適用可能である。
(iii)ノーエンボス加工の場合
シート11L,12Lに対して紙面全域(全面)に亘るエンボス加工を行わない、いわゆるノーエンボス加工の場合には、シート11L,12Lは、ダブルエンボス加工の際の通紙経路、またはシングルエンボス加工の際の通紙経路のいずれかと同一の通紙経路に通紙されるが、エンボスロールユニットにおいてエンボスロールの外周面に対するバックアップロールの押し当ては行われない。この場合、シート11Lおよびシート12Lとしては、紙質が異なるシートが適用される。
エンボスロールユニット71,72の下流側には、接合用エンボスロールユニット75が配されている。接合用エンボスロールユニット75は、対向するエンボスホイールと受けロールとを有する。受けロールは、エンボスロールユニット71,72のエンボスロールと共に同期回転するように回転自在であり、エンボスホイールおよび受けロールの外周面には、接合用エンボス部に対応したエンボスパターンが形成されている。
エンボスロールユニットを通過したシート11Lとシート12Lは、互いに重ね合わされた状態で接合用エンボスロールユニット75のエンボスホイールと受けロールとの間を通され、受けロールに巻き掛けられる。このとき、必要に応じて、エンボスホイールが、駆動回転する受けロールに対し、流体圧シリンダーによって所定の押圧力で押し付けられることで、シート11Lとシート12Lとの積層体に対して接合用エンボス加工が施され、剥離防止のための接合用エンボス部が設けられる。
接合用エンボス部は、本発明の実施形態において、任意選択的であり、必須ではない。しかしながら、トイレットロールがノーエンボス加工品であり2プライのトイレットペーパーにおけるシートの剥離が生じやすい場合などに、接合用エンボス部は好ましく設けられる。
本例において、エンボスロールユニット71,72のエンボスロールおよび接合用エンボスロールユニット75の少なくとも凹凸部分は金属にて形成されているが、バックアップロールの表面部分は、弾性変形可能な硬質合成ゴムなどの硬質なゴム状弾性体にて形成されている。
エンボス加工を、雄(凸)エンボススチールロールとプレーンラバーロールとにより行うことにより、エンボス加工されたシートの一方の表面と他方の表面の質感を大きく異ならせることができる。例えば、エンボススチールロールによって形成されたエンボス凸部では、プレーンラバーロールとの接触により、シートの構成繊維に基づくシート表面の起毛がつぶされて、柔らかさが低減し、滑らかさが増大する。
エンボス加工部76において積層されたシート11Lとシート12Lにより形成された幅広のトイレットペーパー13Lは、その下流側に配された巻取部77に送出される。
巻取部77では、エンボス加工部76から送出されるトイレットペーパー13Lの先端部を、巻芯である幅広の(すなわち軸方向に長尺の)紙管14Lに接着剤(ピックアップ糊)を介して巻き付ける。
トイレットペーパー13Lを紙管14Lに所定長さだけ巻き取って、幅広の(すなわちCD方向の寸法が大きい)トイレットロール10Lとなるロール86を形成し、トイレットペーパー13Lの巻き終わりの終端を、不図示の切断手段により切断する。得られたロール86は、末端処理部78に送出される。
末端処理部78は、巻取部77から送出されるロール86の巻き終わりの終端部を、ロール86の表面(ロール外周面)に接着剤(テールシール糊)によって糊付けして幅広トイレットロール10Lを形成し、幅広トイレットロール10Lが巻きほぐれないようにする。
なお、巻取部77におけるトイレットペーパー13Lの所定長さ毎の切断に先立ち、トイレットペーパー13Lの幅方向に横切る破断用ミシン目を、トイレットペーパー13Lの長手方向(MD方向)に沿って、一定間隔毎に形成してもよい。破断用ミシン目の形成には、知られている任意のミシン目形成手段を用いることができる。しかしながら、かかる破断用ミシン目の形成は、本発明の実施形態において、任意選択的であり、必須ではない。
幅広トイレットロール10Lは、次いで、末端処理部78から不図示の切断部に搬出され、製品スペック等に応じた所定幅に切断されて個々のトイレットロール10となる。
一方、巻取部77において、トイレットペーパー13Lの所定長さ毎の切断により生じたトイレットペーパー13Lの先端部(すなわち、原反ロール11R,12R側のトイレットペーパー13Lの端部)は、巻取部77に配される新たな軸方向に長尺の巻芯に接着剤を介して巻き付けられ、再び所定長さだけトイレットペーパー13Lがこの軸方向に長尺の巻芯に巻き取られるようになっている。
図8は、巻取部77および末端処理部78に適用可能な糊付け設備80の構成例を示す図である。図8を参照して、トイレットペーパー13Lの一端(始端)をピックアップ糊によって紙管14Lに接着する工程、および他端(終端)をテールシール糊によってロール外周に接着する工程について、より詳細に説明する。図8中、R1からR5は、ロールを示す。
まず、図8のA部に示されるように、幅広の紙管14Lに円筒状または円柱(棒)状のマンドレルシャフト81を挿入し、幅広の紙管14Lをマンドレルシャフト81に固定する。次いで、図8のB部に示されるように、コーター82を用いて、幅広の紙管14Lにピックアップ糊83を塗工し、ピックアップ糊塗工部84を形成する。なお、コーター82による塗工の代わりに、スプレーによる噴霧等の知られている任意の方法を用いてピックアップ糊の付与を行ってもよい。コーター82による塗工は、所望の部位に確実に糊を付与することができるという観点から、好ましい。
ピックアップ糊塗工部84は、幅広の紙管14Lの幅方向に沿って(すなわち、長手方向に平行に)形成されていればよく、必ずしも、幅方向(長手方向)の全域に連続的に形成されている必要はない
次いで、図8のC部に示されるように、幅広の紙管14Lが固定されたマンドレルシャフト81を、送出ローラ85の方へ移動させ、幅広の紙管14Lに形成されたピックアップ糊塗工部84と、エンボス加工部76から送出ローラ85を介して送出されたトイレットペーパー13Lと、を圧着させる。この操作により幅広の紙管14Lとトイレットペーパー13Lとを接着固定させることができる。
次いで、図8のD部に示されるように、マンドレルシャフト81を不図示の噛み合わせのギア等によって幅広の紙管14Lの周方向に回転させる。この回転によりトイレットペーパー13Lが幅広の紙管14Lに対して巻き取られて、ロール86が形成されていく。トイレットペーパー13Lは所定長だけ幅広の紙管14Lに巻き取られた後、切断される。この切断によって、トイレットペーパー13Lの巻き回しの終端が形成される。
次いで、図8のE部に示されるように、コーター87を用いてトイレットペーパー13Lの終端部にテールシール糊を塗工し、テールシール糊塗工部88を形成する。コーター87による塗工の代わりに、スプレーによる噴霧等の知られている任意の方法を用いてテールシール糊の付与を行ってもよい。コーター87による塗工は、所望の部位に確実に糊を付与することができるという観点から、好ましい。
テールシール糊塗工部88は、トイレットペーパー13Lの終端と平行するようにトイレットペーパー13Lの幅方向に沿って形成されていればよく、必ずしも、終端部において連続的に形成されている必要はない。テールシール糊塗工部88は、トイレットペーパー13Lの終端から10~50mm離れた位置、またはロール外周面において長尺原紙の前記位置が当接される位置に形成することが好ましい。
コーター87の設定次第で、テールシール糊塗工部88を、トイレットペーパー13Lの終端部(トイレットペーパー13の内面)に形成することも、ロールの外周面(具体的には、トイレットペーパー13Lの終端部が当接することとなるトイレットペーパー13の外面の部分)に形成することも、可能である。
しかしながら、本発明の実施形態においては、テールシール糊塗工部88を、TS7値が相対的に高い方のトイレットペーパー13Lの表面であるトイレットペーパー13の内面に形成する。これは、TS7値が低い面にテールシール糊を塗工すると、表面の組織構造(起毛など)に起因して、トイレットペーパー13の厚さ方向への糊の浸透が促進されて、接着に寄与する糊の量が低減して接着性が低下するからである。
次いで、図8のF部に示されるように、トイレットペーパー13Lの終端部に形成されたテールシール糊塗工部88と、ロール86の外周面と、を圧着させる。この操作によりトイレットペーパー13Lの終端部とロール86の外周面とが接着固定され、幅広トイレットロール10Lのログが形成される。
形成された幅広トイレットロール10Lのログは、次いで、不図示の裁断手段による裁断工程に供されて、所定の幅寸法(トイレットロールの製品幅)に裁断されて、トイレットロール10が製造される。
(作用効果)
本実施形態によると、2プライのトイレットペーパー13を構成する2枚のシート11,12のシート1枚当たりの坪量が11g/m2以上16g/m2以下であり、適度な強度および吸水量を確保することができるとともに、トイレットロール10の巻長が33m以上100m以下かつ巻直径が100mm以上134mmであり、1ロール当りのトイレットペーパー13の長さが長く持ち運びや保管時の省スペース化が図られたトイレットロール10を得ることができる。
加えて、2プライのトイレットペーパー13に関してティシューソフトネス測定装置TSA 20により取得されるTS7値は、TS7外面が13dBV2rms以上20dBV2rms以下であり、TS7内面は、TS7外面よりも大きく(差D(TS7内面-TS7外面)>0dBV2rms)、トイレットペーパー13の外面(ロール外側となる面)は柔らかさと風合いに優れ、トイレットペーパー13の内面(ロール内側となる面)は良好な柔らかさを有する。
また、TS7外面およびTS7内面の値の違いに現れるトイレットペーパー13の外面側と内面側との組織構造の違いにより、トイレットペーパー13の始端部や終端部において、トイレットペーパー13の内面側に浸透する接着剤(ピックアップ糊やテールシール糊)の浸透性が抑制される。
したがって、本実施形態によれば、2プライのトイレットロール10において、持ち運びや保管時の省スペース化が可能であるとともに、トイレットペーパー13の風合い向上と、トイレットペーパー13の始端部の紙管14に対する接着性および/またはトイレットペーパー13の終端部のロール外周に対する接着性と、の両立を図ることができる。
以上、図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係るトイレットロール10の構成および作用効果を説明した。第1の実施形態では、トイレットペーパー13の両面のTS7値(すなわち、TS7外面およびTS7内面)を異ならせるための手段の1つとして、ダブルエンボス加工を用いる例を示した。
ダブルエンボス加工を用いる例において、トイレットペーパー13の両面のTS7値(TS7外面およびTS7内面)の制御は、トイレットペーパー13を構成する2枚のシート11,12のそれぞれに対して施すエンボス加工の条件を異ならせることによって行うことができる。例えば、エンボスのパターン、エンボス凸部の大きさ(直径等、mm)、エンボス凸部の密度(個/cm2)、エンボス凸部の高さ(mm)、エンボス加工の圧力(gf/cm2)、エンボス加工の圧力を印加した後の紙厚および密度等を適切に設定することなどによって、使用者が使用時に触れることとなるシート11,12の表面の質感を異ならせることで、両面のTS7値を制御することができる。
なお、本発明の実施形態に係るトイレットロール10において、ダブルエンボスは必須の構成要素ではない。本発明の実施形態において、トイレットペーパー13の両面のTS7値(TS7外面およびTS7内面)を、本発明に係る上記所定のTS7値の範囲内に設定することができる限り、TS7値の制御手段は限定されない。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。特段の記載のない限り、第1の実施形態に適用可能な構成は、本実施形態に適用可能である。
本発明の第2の実施形態に係るトイレットロールにおいて、トイレットペーパーは、紙質が互いに異なる2枚のシートを用いて形成されたものであることを特徴とする。
図1を参照して、本発明の実施形態に係るトイレットロール10において、トイレットペーパー13のTS7値は、TS7外面が13dBV2rms以上20dBV2rms以下であり、TS7内面がTS7外面より大きい。第2の実施形態では、トイレットペーパー13を、紙質が互いに異なる2枚のシート11,12を用いて形成することにより、ロール外側となるシート11の表面(トイレットペーパー13の外面)の質感と、ロール内側となるシート12の表面(トイレットペーパー13の内面)の質感と、を異ならせ、所望のTS7値およびその表裏差を得るものである。
「紙質」とは、紙の品質・性質をいい、シート11,12の紙質とは、シート11,12の紙としての品質・性質をいう。シート11,12は、繊維原料であるパルプ成分を含むスラリーを抄紙することによって得られる。より詳細には、シート11,12は、木材などの植物から取り出したセルロース繊維の集合体であるパルプ成分を水の中に分散させて抄紙用スラリー(紙料)とし、それを網や簀の上に、均一な薄い層を形成するように流出させ、繊維を絡み合わせ、脱水し、乾燥させたものである。この過程で、薬品の添加・塗布、シート11,12の加圧など種々の処理・加工が行なわれて、シート11,12ができあがる。種々の処理・加工には、例えば、クレープ加工、カレンダー処理、エンボス加工などが含まれる。
本実施形態に係る、紙質が互いに異なる2枚のシート11,12は、例えば、そのパルプ成分や添加薬品などの原材料の種類や量や、シート11,12に対する種々の処理・加工などのうちの少なくとも1つを互いに異ならせることによって得ることができる。
図5を参照して説明したように、柔らかさを表すTS7値(TS7外面およびTS7内面)は、トイレットペーパー13の表面に突出する構成繊維に由来する起毛に影響を受ける。そのため、本実施形態では、シート表面に突出する構成繊維に由来する起毛の状態のような、TS7値に影響を及ぼし得る性質の点で、紙質が互いに異なる2枚のシート11,12を用いることが、特に好ましい。
非限定的な例として、紙質が互いに異なる2枚のシート11,12は、例えば、次のような方法のうちの1つまたはそれらの可能な組み合わせによって得ることができる。
(1)シート中のパルプの叩解度を異ならせる方法。
すなわち、2つのシート11,12を互いに叩解度の異なるパルプを用いて抄造する方法である。
パルプは、セルロース繊維の集合体である。パルプを叩解することで、個々のセルロース繊維は、表面がフィブリル化されて毛羽立ち、水素結合する面積が増えて、個々のセルロース繊維同士の結合が促される。セルロース繊維同士が結合すると、自由に動くことのできる個々のセルロース繊維が減り、抄造されたシート11,12の表面の起毛が少なくなる。叩解の程度が高くなると、繊維同士の結合が進み、繊維間の空隙が減って、シート11,12の密度が高くなる。
これに対し、叩解の程度が低い場合、パルプが切られたりつぶされたりする度合いが低く、個々のセルロース繊維の表面の毛羽立ち(フィブリル化)は少ない。そのため、個々のセルロース繊維同士は水素結合しにくく、抄造されたシート11,12の表面において、自由なセルロース繊維に起因する起毛が多くなる。
以上のように、パルプの叩解の程度を異ならせることにより、抄造されたシート11,12における起毛の量を調節することができる。叩解の程度(叩解度)は、例えば、フリーネス(JIS P8121)によって表すことができる。叩解が進むにつれてパルプの水切れが悪くなり、フリーネスは低くなる。叩解度の異なる同じ種類のパルプを使用して抄紙をする場合、未叩解パルプのフリーネスからのフリーネスの低下幅(フリーネスダウン幅)が大きいほど、抄造されたシート11,12の表面の起毛が少なくなる傾向となる。
したがって、互いに叩解度の異なるパルプを用いてシート11,12を製造することにより、紙質(表面の起毛の状態)が互いに異なるシート11,12を得ることができる。これにより、TS7外面とTS7内面とが異なるようにTS7値を調整することができる。
(2)抄紙用スラリー(紙料)中の添加薬品(柔軟剤)を異ならせる方法。
シート11,12の柔らかさや手触り感を向上させるために、シート抄紙用スラリー中に、柔軟剤を添加することが一般に行われている。
パルプは、セルロース繊維の集合体であり、セルロース繊維は、アニオン性である。柔軟剤として、例えば、カチオン系界面活性剤を使用した場合、カチオン系界面活性剤とアニオン性のセルロース繊維とが結合し、個々のセルロース繊維同士は水素結合しにくくなり、抄造されたシート11,12の表面において、自由なセルロース繊維に起因する起毛が多くなる。
したがって、互いにカチオン系界面活性剤の添加量の異なる抄紙用スラリーを用いてシート11,12を製造することにより、紙質(表面の起毛の状態)が互いに異なるシート11,12を得ることができる。カチオン系界面活性剤の添加量を増やすほど、起毛の量が増大する。これにより、TS7外面とTS7内面とが異なるようにTS7値を調整することができる。
(3)シート中のパルプ配合比率を異ならせる方法。
パルプ成分の配合比率が互いに異なる紙料を用いて2つのシート11,12を抄造する方法が挙げられる。例えば、広葉樹パルプ(L材)および/または針葉樹パルプ(N材)をシートのパルプ成分に用いる場合に、その配合比率(L/N比)をシート11とシート12とで異ならせる。
一般に、広葉樹パルプはしなやかであるため、広葉樹パルプを配合したシートは、柔らかく、滑らかで、手触り感が良いものとなる。一方、針葉樹パルプは、繊維が長く強度があり、抄造されるシートに強度を付与することができる。このような、広葉樹パルプと針葉樹パルプとの細胞レベルでの性質の差異を利用して、パルプ成分の配合比率(L/N比)を異ならせることで、紙質が互いに異なった2枚のシート11,12を得ることができる。
以上は、1つの例であり、併用するパルプ成分の数や種類は、上記の例に限定されない。
以上に挙げた方法は、例示目的であり、限定的ではない。これらの方法は、単独で、または組み合わせて用いることができる。また、これらの方法は、上に挙げた以外の他の方法と組み合わせて使用されてもよい。例えば、概して、シートの坪量が大きいほど起毛の数は多くなる傾向があり、坪量を異ならせる方法、単独、またはこの方法と上に挙げた方法とを組み合わせて紙質が互いに異なる2枚のシート11,12を得るようにしてもよい。
このように、紙質が互いに異なるシート11およびシート12を用いてトイレットペーパー13を形成することにより、ロール外側となるシート11の表面の質感とロール内側となるシート12の表面の質感とを異ならせることができる。また、シート11およびシート12の紙質を適宜選択することにより、トイレットペーパー13の両面の手触り、すなわち、ロール外側となるシート11の表面の手触りおよびロール内側となるシート12の表面の手触りの両方を良好にすることができる。
(作用効果)
第2の実施形態では、互いに紙質が異なる2枚のシート11,12を用いて2プライのトイレットペーパー13が構成されており、それを、本発明の実施形態に係るTS7値(TS7外面およびTS7内面)の大きさを達成するための手段としている。本実施形態は、2枚のシート11,12のそれぞれに関するパルプの叩解度、柔軟剤の種類や添加量、パルプ成分の配合比(L/N比)、を異ならせることによって実現可能である。そのため、重ね合わされた後の2枚のシート11,12の積層体に対してTS7値の表裏差を設けるためのさらなる加工を施すことは必須ではない。したがって、トイレットペーパー13の紙面全域(全面)に対してエンボス加工を施さない、いわゆるノーエンボス加工品であるトイレットロールにも、本発明を適用することができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。特段の記載のない限り、上述の実施形態に適用可能な構成は、本実施形態に適用可能である。
第3の実施形態に係るトイレットロールにおいて、トイレットペーパーは、紙面全域(全面)にシングルエンボスが付されており、およびエンボス凹部がロール外側となるように巻き取られていることを特徴とする。
第3の実施形態に係るトイレットロール10は、トイレットペーパー13の両面の質感(特には、TS7値)を異ならせるための1つの手段として、トイレットペーパー13の全体(すなわち、シート11,12からなる積層シート)に対する一括的なエンボス加工を施すものである。
例えば、トイレットペーパー13には、紙面全域に亘って、図1に示すような、トイレットロール10のロール内側に突出する多数のエンボス部11aが、反復パターンにて形成されていてもよい。トイレットペーパー13のエンボス部11aをロール内側に突出させることにより、トイレットペーパー13において、ロール外側となるシート11の表面の手触りを良好にすると共に、ロール外側となるシート11の表面とロール内側となるシート12の表面との質感(TS7値)を異ならせることができる。なお、図1に示されるエンボス部11aのパターンは例示であって、本発明を限定するものではない。
本実施形態おいて、TS7値の制御手段の非限定的な例として、エンボス加工により形成されるエンボスのパターン、エンボス凸部の大きさ(直径等、mm)、エンボス凸部の密度(個/cm2)、エンボス凸部の高さ(mm)などを異ならせることが挙げられる。また、エンボス加工に用いられるエンボスロールの種類の選択(例えば、雄(凸)エンボスロールと雌(凹)エンボスロールとにより行われるのか、その際に、その噛み合わせはマッチしているかマッチしていないか、または、雄(凸)エンボススチールロールとプレーンラバーロールとにより行われるのか、といったロールの組み合わせ)や、エンボスロールの硬度、エンボス加工の圧力の変更等によって、TS7値を異ならせ制御することができる。
(作用効果)
第3の実施形態は、シングルエンボス加工によって、トイレットペーパー13の質感(TS7値)の表裏差を設けるものである。本実施形態によれば、簡単な構成で、トイレットペーパー13の風合いの向上と、トイレットペーパー13の始端部や終端部の接着性の向上と、の両立を図ることができる。
なお、トイレットペーパー13の質感(TS7値)の表裏差を設ける手段として、第1の実施形態ではダブルエンボス加工し、第2の実施形態では紙質が互いに異なる2枚のシート11,12を用い、第3の実施形態ではシングルエンボス加工したが、これに限らず、紙質が互いに異なる2枚のシート11,12を用いることに加えて、ダブルエンボス加工またはシングルエンボス加工するようにしてもよい。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。特段の記載のない限り、上述の実施形態に適用可能な構成は、本実施形態に適用可能である。
第4の実施形態に係るトイレットロールは、TS7内面とTS7外面との比R(TS7内面/TS7外面)が、1.01以上2.20以下であることを特徴とする。
上述した本発明の実施形態に係るトイレットロール10において、TS7値は、TS7外面が13dBV2rms以上20dBV2rms以下であり、TS7内面がTS7外面よりも大きいところ、第4の実施形態においては、さらに、TS7内面とTS7外面との比R(TS7内面/TS7外面)を1.01以上2.20以下としたものである。
本発明の本質は、トイレットペーパー13の風合いと、紙管14やロール外周に対する接着性と、を両立させるために、トイレットペーパー13に質感(TS7値)の表裏差を設け、トイレットペーパー13の外面の柔らかさを確保しつつ、トイレットペーパー13の内面の紙管14やロール外周に対する接着性を向上させたことにある。
トイレットペーパー13の使用方法は、使用者や時と場合によって異なるため、トイレットペーパー13の使用面(使用者が使用時に主に触れる面)は、外面だけに限定されない。そのため、風合いの観点では、外面と内面の表裏差が小さい方が好ましい。外面と内面の表裏差は、比R(TS7内面/TS7外面)で表現することができる。比Rの値が1に近い程、表裏差が小さい。
一方、表裏差を小さくするように比R(TS7内面/TS7外面)の値を小さくしようとすると、風合いを重視した場合は接着性が低下し、接着性を重視した場合は風合いが低下する傾向となる。そのため、風合いと接着性とのバランスの観点から、比R(TS7内面/TS7外面)は、ある程度大きいことが望ましい。
したがって、本実施形態において、比R(TS7内面/TS7外面)は、風合いの表裏差を小さくする観点から、好ましくは2.20以下であり、風合いと接着性とのバランスを取る観点から、好ましくは1.01以上である。
本発明の実施形態に係るトイレットロールを製造するにあたり、トイレットペーパーを形成するために、
(1)2枚のシートに紙質が異なるシートを採用し、当該2枚のシートのそれぞれの紙面全体にエンボス加工を施すことなく当該2枚のシートを重ね合わせるノーエンボス工程を含む実施形態、
(2)2枚のシートに紙質が同一または異なるシートを採用し、当該2枚のシートのそれぞれの紙面全体にエンボス加工条件が異なるエンボス加工を施してから当該2枚のシートを重ね合わせるダブルエンボス工程を含む実施形態、
(3)2枚のシートに紙質が同一または異なるシートを採用し、当該2枚のシートを重ね合わせた状態にて当該2枚のシートの紙面全体に一括的なエンボス加工を施すシングルエンボス工程を含む実施形態、
があることを説明してきた。
TS7内面およびTS7外面の値を所望の関係に調整するための方法として、
実施形態(1)に関しては、端的には、2枚のシートに紙質の異なるシートを選択すること、例えば、シート11,12に用いられる繊維の柔らかさ・固さ(個々の繊維の剛性)、シート抄造の際の添加薬品(柔軟剤、澱粉、乾燥強度剤)、およびシートの素材の内部構造(バルク、繊維の結合強度)、ミクロ・マクロ圧縮性などをシートによって異ならせることで、トイレットペーパー13の両面のTS7値(TS7外面およびTS7内面)を制御することができる。具体的には、パルプ叩解度、添加薬品(柔軟剤)の添加量、シートの坪量、紙厚、クレープ加工条件、カレンダー処理条件などを異ならせることで、シート毎のTS7値を調整する。
実施形態(2)に関しては、トイレットペーパー13を構成する2枚のシート11,12のそれぞれに対して施すエンボス加工の条件を異ならせることによって、各シートのTS値を調整することができる。例えば、エンボス加工により形成されるエンボスのパターン、エンボス凸部の大きさ(直径等、mm)、エンボス凸部の密度(個/cm)、エンボス凸部の高さ(mm)、エンボス加工の圧力(gf/cm)、エンボス加工の圧力を印加した後の紙厚および密度等を適切に設定することなどによって、シート毎の表面の質感を異ならせることで、トイレットペーパー13の両面のTS7値を制御することができる。
実施形態(3)に関しては、例えば、エンボス加工により形成されるエンボスのパターン、エンボス凸部の大きさ(直径等、mm)、エンボス凸部の密度(個/cm)、エンボス凸部の高さ(mm)などを異ならせることが挙げられる。また、エンボス加工に用いられるエンボスロールの種類の選択(例えば、雄(凸)エンボスロールと雌(凹)エンボスロールとにより行われるのか、その際に、その噛み合わせはマッチしているかマッチしていないか、または、雄(凸)エンボススチールロールとプレーンラバーロールとにより行われるのか、といったロールの組み合わせ)や、エンボスロールの硬度、エンボス加工の圧力の変更等によって、トイレットペーパー13の両面のTS7値の関係を異ならせる制御を行うことができる。
トイレットペーパーのエンボス仕様がシングルエンボスである実施形態の場合、比R(TS7内面/TS7外面)の値の範囲は、好ましくは1.80以上2.20以下である。また、トイレットペーパーのエンボス仕様がダブルエンボスである実施形態の場合、比R(TS7内面/TS7外面)の値の範囲は、好ましくは1.01以上1.85以下である。比R(TS7内面/TS7外面)の値がこの範囲であると、風合いと接着性との間のバランスに優れる。
図7に示す製造装置を用いて、以下の製造工程を経て、トイレットロールを製造した。
(a)針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP):広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)が30質量%:70質量%のパルプ組成を有する抄紙用スラリー(紙料)を用い、複数のシートを抄造した。このとき、複数のシートのうちの幾つかについては、パルプ叩解度、添加薬品(柔軟剤)の添加量、シートの坪量、紙厚、クレープ加工条件、カレンダー処理条件のうちの少なくとも1つを異ならせた。
(b)実施例1,2,4,5,8,10,および比較例1および2については、エンボス仕様をシングルエンボスとした。すなわち、抄造された複数のシートのうちの2枚を重ね合わせて1つの積層シートとし、積層シートの紙面全体に対して、一方の面のエンボスが凹となり他方の面のエンボスが凸となるシングルエンボス加工を施した。このとき、エンボス加工に用いる圧力および/または速度は、試料によって異ならせた。
(c)実施例3,6,7,9,11については、ダブルエンボス加工を施した。すなわち、抄造された複数のシートのうちの2枚のそれぞれの紙面全体に対して、一方の面のエンボスが凹となり他方の面のエンボスが凸となるエンボスを付し、次いで、エンボス凹が外面となるように当該2枚のシートを重ね合わせて1つの積層シートとした。このとき、エンボス加工に用いる圧力および/または速度は、試料によって異ならせた。
(d)積層シートの始端部を、ピックアップ糊を塗布した紙管に押し当てて接着固定し、エンボス凹部がロール外側となるように紙管の周りにロール状に巻き取った。
(e)巻取長さが所定長に達した段階で、積層シートの巻き取り終端を切断するとともに、積層シートの終端部をテールシール糊によりロール外周に接着固定して、幅広のトイレットロールを得た。
(f)幅広のトイレットロールを所定の幅寸法に裁断して、エンボス加工が施された2プライのトイレットペーパーがロール状に巻き取られたトイレットロールを製造した。
実施例1から11および比較例1および2のトイレットロールについて、以下の測定および評価を行った。なお、測定は、日本工業規格JIS P8111に準じた環境下(温度23±1°、湿度50±2%RH)で試料を調湿して行った。
<測定>
〔トイレットロールの巻長[m]〕
製造されたトイレットロールからトイレットペーパーを巻きほどきつつ、トイレットペーパーの終端部から始端部までの紙管への巻き回しの長さを測定した。測定は0.5m刻みで行い端数は切り捨てた。
〔トイレットロールの巻直径[mm]〕
製造されたトイレットロールのロール外径をノギスにより測定し、小数点以下を四捨五入した。
〔紙管のコア径[mm]〕
製造されたトイレットロールの紙管の外径をノギスにより測定し、小数点以下を四捨五入した。
〔原紙シートの坪量(原紙シート1枚当たり)[g/m2]〕
トイレットロールの製造に用いる原紙シートの坪量を、日本工業規格JIS P8124に従って測定した。
〔坪量(シート1枚当たり)[g/m2]〕
トイレットロールからトイレットペーパーを引き出し、日本工業規格JIS P8124に準じて、2プライのトイレットペーパー13の坪量を測定し、プライ数の2で割って、シート1枚当たりの坪量を求めた。具体的には、2プライのトイレットペーパー13を日本工業規格JIS P8111に規定する方法に従って調湿し、当該調湿した2プライのトイレットペーパー13を2枚のシート11,12を重ねたまま10cm×10cmの大きさに切り出し、当該切り出した2プライのトイレットペーパー13の重さを測定し、当該重さを2プライのトイレットペーパー13の切出面積の0.01m2で割って2プライのトイレットペーパー13の坪量を測定し、当該坪量をプライ数の2で割ってシート1枚当たりの坪量を求めた。
〔紙厚(2プライのトイレットペーパー1組当たり)[μm]〕
トイレットロールからトイレットペーパーを引き出し、国際標準化機構規格ISO 12625-3に準じて、2枚のシートを1組とした2プライのトイレットペーパーの紙厚を求めた。
〔TS7外面およびTS7内面)〕
上記ティシューソフトネス測定装置TSAを用いて、上記TS7値の測定手順に従い、トイレットペーパーの外面(トイレットロールのロール外側となる面)を測定面としたTS7外面、およびトイレットペーパーの外面(トイレットロールトイレットロールのロール外側となる面)を測定面としたTS7内面を取得した。
〔差D(TS7内面-TS7外面)〕[dBVms]
TS7内面の値からTS7外面の値を引き算することにより、TS7内面とTS7外面との差D(TS7内面-TS7外面)を求めた。
〔比R(TS7内面/TS7外面)〕
TS7内面の値をTS7外面の値で除することにより、TS7内面とTS7外面との比R(TS7内面/TS7外面)を求めた。
<評価>
以下の項目について官能評価を行い、結果を記号で示した(◎:優、〇:良、△:可、×:不可)。官能評価は、トイレットロールの巻長が同じ試料同士の相対評価とした。
〔トイレットペーパーの外面の風合い〕
トイレットペーパーの外面の手触りが柔らかいほど、風合いが優(◎)であるものとした。
〔トイレットペーパーの内面の風合い〕
トイレットペーパーの内面の手触りが柔らかいほど、風合いが優(◎)であるものとした。
〔ピックアップ糊による接着性〕
トイレットロールを半径方向に押しつぶし、次いで90度回転させて再度半径方向に押しつぶす動作を10回繰り返した際の、トイレットペーパーの始端部の紙管からのはがれやすさを評価した。はがれにくい程、接着性が優(◎)であるものとした。
〔テールシール糊による接着性〕
トイレットロールを半径方向に押しつぶし、次いで90度回転させて再度半径方向に押しつぶす動作を10回繰り返した際の、トイレットペーパーの終端部のロール外周からのはがれやすさを評価した。はがれにくい程、接着性が優(◎)であるものとした。
表1および表2に、試験結果を示した。
Figure 2023106059000002
Figure 2023106059000003
表1および表2に示されるように、実施例1から実施例11(全実施例)、および比較例1および2(全比較例)はいずれも、トイレットロールの巻長が33m以上100m以下、巻直径が100mm以上134mm以下であり、巻直径が一般的なトイレットロールホルダーに回転自在に収容可能な大きさであるとともに巻長が長く、ロールの持ち運びや保管時の省スペース化が図られていた。
また、実施例1から実施例11の2プライのトイレットペーパーを構成するシート1枚当たりの坪量は、11g/m2以上16g/m2以下であり、適度な強度および吸水量を確保できる大きさであった。
また、実施例1から11は、TS7外面が13dBV2rms以上20dBV2rms以下であるとともに、TS7内面はTS7外面よりも大きかった。トイレットペーパーの外面の風合い(柔らかさ)が良好であるかまたは優れており、接着性は、ピックアップ糊による接着性およびテールシール糊による接着性の両方において、優れていた。
これに対し、比較例1は、坪量が16.1g/mであって本発明の坪量の範囲の上限をやや超えていた。また、TS7外面が12.8dBV2rmsであって本発明のTS7外面の範囲の下限よりも小さく、トイレットペーパーの外面の風合い(柔らかさ)は良好であったものの、テールシール糊による接着性は、剥がれやすく劣っていた。これは、比較例1のトイレットペーパーの外面にテールシール糊が付着した際に、表面に構成繊維等が起毛するような組織構造に起因して、トイレットペーパーの厚さ方向への糊の浸透が促進され、そのため、ロール外周に対するトイレットペーパーの終端部の接着時に、トイレットペーパーの終端部とロール外周との間(界面)において接着に寄与する糊(接着剤)の量が低減し、トイレットペーパーの終端部の接着性が低下したためであると推測される。
また、比較例2は、TS7外面が21.8dBV2rmsであって本発明のTS7外面の範囲の上限よりも大きく、トイレットペーパーの外面の風合い(柔らかさ)が劣っていた。
10 トイレットロール
11,12 シート
11R,12R 原反ロール
13 トイレットペーパー
14 紙管
15 終端部
20 ティシューソフトネス測定装置TSA
21 試料台
23 試料
24 試料固定リング
25 ブレード付ロータ
25a ブレード
25b モーター
70 原反ロールスタンド
71,72 エンボスロールユニット
73,74 案内ローラ
75 接合用エンボスロールユニット
76 エンボス加工部
77 巻取部
78 末端処理部
80 糊付け設備
81 マンドレルシャフト
82 コーター
83 ピックアップ糊
84 ピックアップ糊塗工部
85 送出ローラ
86 ロール
87 コーター
88 テールシール糊塗工部
DR トイレットロールの巻直径
DC 紙管の直径
P1 TS7値のピーク
P2 TS750値のピーク

Claims (6)

  1. 2枚のシートが重ね合わされた2プライのトイレットペーパーが紙管の周りにロール状に巻き取られたトイレットロールであって、
    前記トイレットロールの巻長は33m以上100m以下、および巻直径は100mm以上134mm以下であり、
    前記シート1枚当たりの坪量は11g/m2以上16g/m2以下であり、
    ティシューソフトネス測定装置TSAにより、試料台に前記トイレットロールのロール外側となる面を上に向けて設置した前記トイレットペーパーの試料に対し、ブレード付ロータを100mNの押し込み圧力として上から押し込んだ後に回転数2.0毎秒で回転させ、前記試料台の振動を振動センサで測定したときに取得される、周波数6500Hzを含むスペクトルの極大ピークの強度(TS7値)であるTS7外面は、13dBV2rms以上20dBV2rms以下であり、
    前記ティシューソフトネス測定装置TSAにより、前記試料台に前記トイレットロールのロール内側となる面を上に向けて設置した前記トイレットペーパーの試料に対し、ブレード付ロータを100mNの押し込み圧力として上から押し込んだ後に回転数2.0毎秒で回転させ、前記試料台の振動を振動センサで測定したときに取得される、周波数6500Hzを含むスペクトルの極大ピークの強度(TS7値)であるTS7内面は、前記TS7外面よりも大きいことを特徴とするトイレットロール。
  2. 前記トイレットペーパーは、紙質が異なる2枚のシートを用いて構成されていることを特徴とする請求項1に記載のトイレットロール。
  3. 前記トイレットペーパーは、前記2枚のシートのそれぞれにエンボス加工の条件が異なるエンボスが紙面全域に形成されたダブルエンボスが付されており、および前記2枚のシートは、それぞれのエンボス凹部が前記トイレットペーパーの両面に位置するように重ね合わされていることを特徴とする請求項1または2に記載のトイレットロール。
  4. 前記トイレットペーパーは、紙面全域にシングルエンボスが付されており、およびエンボス凹部がロール外側となるように巻き取られていることを特徴とする請求項1または2に記載のトイレットロール。
  5. 前記TS7内面と前記TS7外面との比R(TS7内面/TS7外面)は、1.01以上2.20以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のトイレットロール。
  6. 2枚のシートが重ね合わされた2プライのトイレットペーパーが紙管の周りにロール状に巻き取られたトイレットロールであって、
    前記トイレットロールの巻長は33m以上100m以下、および巻直径は100mm以上134mm以下であり、
    ティシューソフトネス測定装置TSAにより、試料台に前記トイレットロールのロール外側となる面を上に向けて設置した前記トイレットペーパーの試料に対し、ブレード付ロータを100mNの押し込み圧力として上から押し込んだ後に回転数2.0毎秒で回転させ、前記試料台の振動を振動センサで測定したときに取得される、周波数6500Hzを含むスペクトルの極大ピークの強度(TS7値)であるTS7外面は、13dBV2rms以上20dBV2rms以下であり、
    前記ティシューソフトネス測定装置TSAにより、前記試料台に前記トイレットロールのロール内側となる面を上に向けて設置した前記トイレットペーパーの試料に対し、ブレード付ロータを100mNの押し込み圧力として上から押し込んだ後に回転数2.0毎秒で回転させ、前記試料台の振動を振動センサで測定したときに取得される、周波数6500Hzを含むスペクトルの極大ピークの強度(TS7値)であるTS7内面は、前記TS7外面よりも大きいトイレットロールの製造方法であって、
    前記方法は、前記2枚のシートが重ね合わされた前記2プライのトイレットペーパーを形成する形成工程と、形成された前記2プライのトイレットペーパーを所定の長さだけ所定の巻直径で前記紙管の周りにロール状に巻き取る巻取工程と、を含み、
    前記形成工程は、前記TS7外面が13dBV2rms以上20dBV2rms以下となり、前記TS7内面が前記TS7外面よりも大きくなるように、
    (1)前記2枚のシートとして紙質が異なるシートを用い、当該2枚のシートのそれぞれの紙面全体にエンボス加工を施すことなく当該2枚のシートを重ね合わせるノーエンボス工程、
    (2)前記2枚のシートとして紙質が同一または異なるシートを用い、当該2枚のシートのそれぞれの紙面全体にエンボス加工条件が異なるエンボス加工を施してから当該2枚のシートを重ね合わせるダブルエンボス工程、
    (3)前記2枚のシートとして紙質が同一または異なるシートを用い、当該2枚のシートを重ね合わせた状態にて当該2枚のシートの紙面全体に一括的なエンボス加工を施すシングルエンボス工程、
    のうちから選択される一の工程を含み、
    前記巻き取り工程は、形成された前記2プライのトイレットペーパーの先端部を前記紙管に接着剤を介して巻き付ける工程と、形成された前記2プライのトイレットペーパーの巻き終わりの終端部を、前記ロールの表面に接着剤によって糊付けする工程と、を含む
    ことを特徴とするトイレットロールの製造方法。
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