JP2023103988A - 感光性樹脂組成物、感光性樹脂積層体、及びレジストパターンの形成方法 - Google Patents

感光性樹脂組成物、感光性樹脂積層体、及びレジストパターンの形成方法 Download PDF

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大介 宇野
Daisuke Uno
隆覚 櫻井
Ryukaku Sakurai
瞬 佐竹
shun Satake
秀昭 西本
Hideaki Nishimoto
裕樹 松尾
Hiroki Matsuo
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Abstract

【課題】現像性の向上と、最小現像時間が長くなることによる密着性の低下の抑制と、を実現でき、これらと同時に、解像性の向上をも実現できる、感光性樹脂層を提供する。【解決手段】 以下の成分:(A)アルカリ可溶性高分子、(B)エチレン性不飽和結合を有する化合物、及び(C)光重合開始剤、を含む感光性樹脂組成物であって、(A)成分が、少なくとも、下記のコモノマー成分:(a)メタクリル酸及び/又はアクリル酸、(b)N置換マレイミド系化合物、及び(c)芳香族構造又は脂環式構造を有する化合物(ただし(b)成分に該当する化合物を除く)、に由来する構成単位を有し、(A)成分における、(b)成分に由来する構成単位の質量割合(b1)が、0.01~5.0質量%である、感光性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、感光性樹脂組成物、感光性樹脂積層体、及びレジストパターンの形成方法に関する。
従来、パソコン及び携帯電話等の電子機器に搭載されるプリント配線板は、フォトリソグラフィ法により作製されてきた。フォトリソグラフィ法では、例えば、支持体と、感光性樹脂層と、を有する感光性樹脂積層体が、感光性樹脂層側(支持体とは反対側)から基板に積層される。かかる感光性樹脂層に対して露光及び現像行うことで、基板上にレジストパターンを形成でき、必要によりめっき処理を経た後、基板に対してエッチングを行うことができる。
ここで、密着性等に優れた硬化膜を得ることが可能な感光性樹脂組成物を提供することを目的とし、マレイミド由来の特定構造を有するアルカリ可溶性高分子を含む、感光性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
国際公開第2014/125884号
しかしながら、特許文献1の感光性樹脂組成物は、感光性樹脂層の基板への密着性と、得られるレジストパターンの解像性と、の両者の向上を図る観点で、改善の余地があった。
ここで、本発明者らは、特に、感光性樹脂層の基板への密着性に関して、最小現像時間が長くなることによる密着性の低下を抑制する観点に着目した。加えて、本発明者らは、アルカリ可溶性高分子におけるコモノマー成分として特定の成分が、現像性の向上に有効であることを見出した。
本発明は、上記実情に鑑みて提案されたものである。すなわち、本発明の目的は、アルカリ可溶性高分子におけるコモノマー成分としての、特定の成分の含有量を制御することで、現像性の向上と、最小現像時間が長くなることによる密着性の低下の抑制と、を実現でき、これらと同時に、解像性の向上をも実現できる、感光性樹脂組成物を提供することにある。また、本発明の目的は、かかる感光性樹脂組成物から得られる感光性樹脂層を備える感光性樹脂積層体、及びそれを用いて実現される、レジストパターンの形成方法、を提供することである。
すなわち、本発明の実施形態の例は、以下のとおりである。
[1]
以下の成分:
(A)アルカリ可溶性高分子、
(B)エチレン性不飽和結合を有する化合物、及び
(C)光重合開始剤、を含む感光性樹脂組成物であって、
前記(A)成分が、少なくとも、下記のコモノマー成分:
(a)メタクリル酸及び/又はアクリル酸、
(b)N置換マレイミド系化合物、及び
(c)芳香族構造又は脂環式構造を有する化合物(ただし(b)成分に該当する化合物を除く)、
に由来する構成単位を有し、
前記(A)成分における、前記(b)成分に由来する構成単位の質量割合(b1)が、0.01~5.0質量%である、感光性樹脂組成物。
[2]
前記(A)成分の重量平均分子量が、12,000以上である、項目1に記載の感光性樹脂組成物。
[3]
前記(A)成分の重量平均分子量が、19,000~65,000である、項目1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
[4]
前記(A)成分は、コモノマー成分として、(d)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位、を更に有する、項目1~3のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[5]
前記(d)成分は、ヒドロキシエチルメタクリレートである、項目4に記載の感光性樹脂組成物。
[6]
前記(b)成分が、ベンゼン環を有する、N置換マレイミド系化合物である、項目1~5のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[7]
前記(a)成分は、メタクリル酸を含む、項目1~6のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[8]
前記(A)成分における、酸コモノマー成分の合計は、1~65質量%である、項目1~7のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[9]
前記(c)成分は、スチレン及び/又はベンジル(メタ)アクリレートを含む、項目1~8のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[10]
前記(A)成分における、前記(c)成分に由来する構成単位の割合は、10~95質量%である、項目1~9のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[11]
前記感光性樹脂組成物の固形分総量を基準として、
前記(A)成分:10~90質量%、
前記(B)成分:5~70質量%、及び
前記(C)成分:0.01~20質量%、
を含む、項目1~10のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[12]
前記(A)成分は、複数のアルカリ可溶性高分子を含む、項目1~11のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[13]
前記複数のアルカリ可溶性高分子における、前記質量割合(b1)の質量平均が、0.01~5.0である、項目12に記載の感光性樹脂組成物。
[14]
前記(A)成分に含まれるアルカリ可溶性高分子の少なくとも一つは、
前記(a)成分~(c)成分に由来する構成単位を有し、かつ、前記質量割合(b1)を満たす、項目1~13のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[15]
前記(A)成分に含まれるアルカリ可溶性高分子のうち、
前記(a)成分~(c)成分に由来する構成単位を有し、かつ、前記質量割合(b1)を満たすアルカリ可溶性高分子、の割合は、10質量%以上である、項目1~14のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[16]
前記(A)成分の酸価が、50~600mgKOH/gである、項目1~15のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[17]
前記(B)成分は、ビスフェノールA構造、及び/又は水添ビスフェノールA構造を有する化合物を含む、項目1~16のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[18]
前記(B)成分は、一分子中に、前記エチレン性不飽和結合を3つ以上有する化合物を含む、項目1~17のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[19]
前記(C)成分は、ヘキサアリールビイミダゾール(HABI)化合物を含む、項目1~18のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[20]
(D)成分として、ロイコ染料を更に含む、項目1~19のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[21]
支持体と、項目1~20のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物から得られる感光性樹脂層と、を備える、感光性樹脂積層体。
[22]
前記支持体とは反対側に、保護フィルムを備える、項目21に記載の感光性樹脂積層体。
[23]
項目21又は22に記載の感光性樹脂積層体を基板に積層する工程、
積層された前記感光性樹脂積層体の前記感光性樹脂層を露光する工程、及び
露光した前記感光性樹脂層を現像する工程、
を有する、レジストパターン形成方法。
[24]
前記露光を、ダイレクトイメージング露光によって行う、項目23に記載のレジストパターン形成方法。
本発明に係る感光性樹脂組成物によれば、アルカリ可溶性高分子におけるコモノマー成分としての、特定の成分の含有量を制御することで、現像性の向上と、最小現像時間が長くなることによる密着性の低下の抑制と、を実現でき、これらと同時に、解像性の向上をも実現できる。また、本発明によれば、かかる感光性樹脂組成物から得られる感光性樹脂層を備える感光性樹脂積層体、及びそれを用いて実現される、レジストパターンの形成方法を提供することができる。
以下、本発明の実施形態(以下、「本実施形態」と略記する。)を説明する。ただし、本発明は、本実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。本実施形態において、「~」を用いて記載した数値範囲は、「~」の前後に記載された数値をその範囲内に含む。また、本実施形態において、段階的に記載されている数値範囲では、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えることができる。更に、本実施形態において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示された値に置き換えることもできる。
本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリル又はメタクリルを意味し、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル又はメタクリロイルを意味し、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
[感光性樹脂組成物]
〔概略構成〕
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、
以下の成分:
(A)アルカリ可溶性高分子、
(B)エチレン性不飽和結合を有する化合物、及び
(C)光重合開始剤、
を含む。本明細書では、上記(A)~(C)を、単に「(A)成分」~「(C)成分」とも称する。
そして、(A)成分が、少なくとも、下記のコモノマー成分:
(a)メタクリル酸及び/又はアクリル酸、
(b)N置換マレイミド系化合物、及び
(c)芳香族構造又は脂環式構造を有する化合物(ただし(b)成分に該当する化合物を除く)、
に由来する構成単位を有する。本明細書では、上記(a)を、単に「(a)成分」とも称し、上記(b)及び(c)を、単に「(b)成分」及び「(c)成分」とも称する。
ここで、(A)成分における、前記(b)成分に由来する構成単位の質量割合(b1)が、0.01~5.0質量%である。
かかる感光性樹脂組成物では、(A)成分におけるコモノマー成分としての(b)成分の含有量を制御することで、(A)成分における、共重合性とガラス転移温度(Tg)を制御することができる。これにより、現像性の向上と、最小現像時間が長くなることによる密着性の低下の抑制と、を実現でき、同時に、解像性の向上をも実現できる。
以下、感光性樹脂組成物を構成する各成分について説明する。
〔(A)成分:アルカリ可溶性高分子〕
(概略構成)
(A)成分は、アルカリ性溶液に可溶な高分子である。(A)成分は、カルボキシル基を有することが好ましく、また、本発明の効果を好適に得る観点から、50~600mgKOHの酸価を有することが好ましい。(A)成分は熱可塑性であることができる。(A)成分のかかる酸価は、60mgKOH/g以上でよく、80mgKOH/g以上でよく、500mgKOH/g以下でよく、400mgKOH/g以下でよい。
(A)成分の重量平均分子量は、好ましくは、5,000以上、10,000以上、12,000以上、19,000以上、20,000以上、又は23,000以上であり、好ましくは、500,000以下、200,000以下、100,000以下、70,000以下、又は65,000以下、である。(A)成分の重量平均分子量が上記の下限値以上であることで、感光性樹脂積層体の厚みを均一に維持し易くなり、また、現像液に対する耐性を確保し易くなる。また、(A)成分の重量平均分子量が上記の上限値以下であることで、感光性樹脂積層体の現像性を維持し易くなる。
また、(A)成分の重量平均分子量(Mw)と、(A)成分の数平均分子量(Mn)と、の比である多分散度(Mw/Mn)は、1.0~6.0であることが好ましい。
上記重量平均分子量及び多分散度は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレンの検量線を用いて測定した重量平均分子量及び多分散度を意味する。該重量平均分子量は、例えば、以下の条件で測定することができる。
(GPC条件)
ポンプ:日立 L-6000型(株式会社日立製作所製、商品名)
カラム:以下の計3本
Gelpack GL-R420
Gelpack GL-R430
Gelpack GL-R440(以上、日立化成株式会社製、商品名)
溶離液:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
流量:2.05mL/分
検出器:日立 L-3300型RI(株式会社日立製作所製、商品名)
感光性樹脂組成物における(A)成分の含有量(感光性樹脂組成物の固形分総量を基準とする。以下、特に明示しない限り、各含有成分において同様である。)は、好ましくは10~90質量%であり、より好ましくは20~80質量%であり、更に好ましくは30~60質量%である。(A)成分の含有量は、感光性樹脂層のアルカリ現像性を維持する観点から、上記下限値以上であることが好ましい。他方、露光によって形成されるレジストパターンがレジスト材料としての性能を十分に発揮する観点から、上記上限値以下であることが好ましい。
ここで、(A)成分は、少なくとも、下記のコモノマー成分:
(a)メタクリル酸及び/又はアクリル酸、
(b)N置換マレイミド系化合物、
(c)芳香族構造又は脂環式構造を有する化合物、
を重合することにより得られる。従って、(A)成分は、少なくとも、(a)成分、(b)成分、及び(c)成分、のそれぞれに由来する構成単位を有する。
((a)成分)
(a)成分は、メタクリル酸及び/又はアクリル酸である。一態様において、「メタクリル酸」は、化学式Cで表される化合物を指し、「アクリル酸」は、化学式Cで表される化合物を指す。
(a)成分は、メタクリル酸を含むことが好ましく、メタクリル酸であることがより好ましい。これによれば、(A)成分がメタクリル酸による貢献を得て、各種特性に優れた感光性樹脂層を実現し易くなる。
(a)成分は、メタクリル酸とアクリル酸とをともに含んでよい。アクリル酸は、メタクリル酸と比べて、そのガラス転移温度(Tg)が低い。従って、例えば、メタクリル酸及びアクリル酸の場合に着目したとき、少なくとも酸コモノマー成分について、その種類及び含有比率を制御することで、(A)成分全体としての疎水性を確保しつつ、かつ、解像性向上に有利なようにTgを調整することができる。
すなわち、メタクリル酸及びアクリル酸のうち、疎水性が比較的高いメタクリル酸による貢献を得ることで、レジストパターンの解像性の向上を図り易くなり、また、ガラス転移温度が比較的低いアクリル酸による貢献を得ることで、現像性の向上を図り易くなる。従って、両者の酸による貢献を好適に得ることができ、その結果、各種特性(感光性樹脂層の現像性、及びレジストパターンの解像性等)の向上を図り易くなる。
(A)成分における(a)成分の含有割合は、例えば、1~65質量%であることが好ましい。これによれば、アルカリ可溶性樹脂の現像性を確保しつつ、他のコモノマー成分が含まれる余地を確保することができ、各種用途に応じた組成設計の幅を広げ易くなる。なお、(A)成分における、コモノマー成分の構成単位の割合は、おおよそ、そのコモノマー成分の仕込み量に相当する。(a)成分の含有割合は、上記と同様の観点から、5~50質量%であることがより好ましく、15~35質量%であることが更に好ましい。
(b)成分
(b)成分は、N置換マレイミド系化合物である。すなわち、(A)成分は、(b)成分に由来するN置換マレイミド系構造を構成単位として含む。ここで、(c)成分と(b)成分とは、相互の共重合性が良好であるため、(A)成分において互いに隣接して導かれ易くなる。(A)成分において、疎水性の高い構造(芳香族構造又は脂環式構造、及びN置換マレイミド系構造)の割合が多い部分と、親水性の高い構造((メタ)アクリル酸構造等)の割合が多い部分と、ができることで、現像性の向上、及び現像ムラの改善が可能となる。その結果、現像性の向上と、最小現像時間が長くなることによる密着性の低下の抑制と、を実現でき、同時に、解像性の向上をも実現できる。(b)成分は、1種単独でもよく、2種以上を併用してもよい。
ここで、(b)成分が、ベンゼン環を有する、N置換マレイミド系化合物であることが好ましい。これによれば、(c)成分と(b)成分とが、相互の共重合性がより良好になり易く、従って、本発明の効果が得られ易くなる。
(b)成分としては、例えば、下記式(1):
Figure 2023103988000001
{式中、Rは、(置換基を有していて良い)アルキル基、芳香環を有する官能基、アシル基、ヘテロ元素官能基を示す。例えば、アルキル基としては、メチル基、エチル基、ブチル基、ドデシル基、シクロヘキシル基、ヒドロキシエチル基、芳香環を有する官能基としては、フェニル基、クロロフェニル基、ヒドロキシフェニル基、カルボキシフェニル基、ニトロフェニル基、ベンジル基、トリル基、ナフチル基、アシル基としてはメトキシカルボニル基、カルボキシ基、カルボキシエチル基、カルボキシブチル基またはカルボキシヘキシル基、ヘテロ元素官能基としてはヒドロキシル基等が挙げられる。}
(A)成分における(b)成分の含有割合は、0.01~5.0質量%であり、好ましくは0.02~3.0質量%であり、より好ましくは0.03~2.0質量%であり、更に好ましくは、0.04~1.0質量%であり、特に好ましくは0.05~0.5質量%である。かかる範囲によれば、現像性の向上と、最小現像時間が長くなることによる密着性の低下の抑制との両立を図り易い。
((c)成分)
(c)成分は、(A)成分を得るためのコモノマー成分の一つであり、芳香族構造又は脂環式構造を有する化合物である。(c)成分がかかる構成を有することで、レジストパターンの密着性の向上を図ることができる。(c)成分は1種単独でもよく、2種以上を併用してもよい。
芳香族構造を有する化合物としては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、スチレン、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ケイ皮酸、スチレン誘導体等が挙げられる。スチレン誘導体としては、例えば、4-メチルスチレン、4-ヒドロキシスチレン、4-メトキシスチレン、4-クロロスチレン、4-(クロロメチル)スチレン、4-ビニル安息香酸等が挙げられる。
脂環式構造を有する化合物としては、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の環状炭化水素基を1つ有する基又はそれらの誘導体からなる基を有する(メタ)アクリル酸エステル、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基、アダマンチル基、イソボルニル基等の環状炭化水素を2以上有する基又はそれらの誘導体からなる基を有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
(c)成分は、スチレン及び/又はベンジル(メタ)アクリレートを含むことが好ましく、なかでも、スチレンを含むことが好ましい。これによれば、現像時間が長期化する場合においても、レジストパターンの密着性の向上を図り易くなる。
(A)成分における(c)成分の含有割合は、10~95質量%であることが好ましく、20~90質量%であることがより好ましく、40~80質量%であることが更に好ましい。かかる範囲によれば、良好なアルカリ可溶性を維持し易く、かつ、レジストパターンの密着性の向上を図り易い。
((d)成分)
(A)成分は、コモノマー成分として、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリル酸エステル(「(d)成分」とも称する。)を更に含むことができる。かかる化合物は、水酸基(OH)を有しており、そのため、例えばメタクリル酸又はアクリル酸と比べて親水性が高い。よって、(A)成分は、(d)成分の任意的な併用により、感光性樹脂層の現像性を制御し易くなる。(d)成分は1種単独でもよく、2種以上を併用してもよい。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(d)成分は、ヒドロキシエチルメタクリレートを含むことが好ましい。これによれば、入手が容易であり、それでいて、現像性を制御し易い。
(A)成分における(d)成分の含有割合は、1.0~50質量%であることが好ましく、1.5~40質量%であることがより好ましく、2.0~20質量%であることが更に好ましい。
(d)成分は、(A)成分における、親水性の高い構造((メタ)アクリル酸構造等)の割合に貢献する。(d)成分、特にヒドロキシエチルメタクリレートを、(a)成分及び(b)~(c)成分に加えて併用することで、(A)成分における、疎水性と親水性とのバランスを制御し易い。
(他のコモノマー成分の更なる任意的な併用)
(A)成分は、上記コモノマー成分として選択可能なコモノマーの、いずれとも異なるコモノマー成分(「他のコモノマー成分」とも称する。)を、更に併用することができる。
他のコモノマー成分としては、例えば、メタクリル酸、アクリル酸とのいずれとも異なるエチレン性不飽和基を有するカルボン酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、共役ジエン化合物、極性モノマー(ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを除く。)、架橋性モノマー、酸無水物(例えば、マレイン酸無水物)等が挙げられる。
メタクリル酸、アクリル酸とのいずれとも異なるエチレン性不飽和基を有するカルボン酸としては、例えば、クロトン酸、マレイン酸半エステル、フマル酸半エステル、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、鎖状アルキルエステル及び環状アルキルエステルの双方を包含する概念であり、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、n-テトラデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、等が挙げられる。
共役ジエン化合物としては、例えば、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-フェニル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、4,5-ジエチル-1,3-オクタジエン、3-ブチル-1,3-オクタジエン等が挙げられる。
極性モノマーとしては、例えば、メタクリル酸2-アミノエチル等のアミノ基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α-クロロアクリロニトリル、α-シアノエチルアクリレート等のシアノ基含有モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸3,4-エポキシシクロヘキシル等のエポキシ基含有モノマー;等が挙げられる。
架橋性モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
((A)成分に関する各種態様)
(A)成分は、複数のアルカリ可溶性高分子を含むことができる。そして、複数のアルカリ可溶性高分子における上記質量割合(b1)は、質量平均であることができる。この場合、アルカリ可溶性高分子の全体として上記質量割合(b1)が満たされればよく、単独のアルカリ可溶性高分子としては上記質量割合(b1)を満たさない場合もあり得る。
他方、(A)成分に含まれるアルカリ可溶性高分子の少なくとも一つは、(a)~(c)成分と、に由来する構成単位を有し、かつ、質量割合(b1)を満たすことができる。すなわち、(A)成分がある単独のアルカリ可溶性高分子により構成される場合には該アルカリ可溶性高分子が、また、(A)成分が複数のアルカリ可溶性高分子により構成される場合にはその複数のうちの少なくとも一つのアルカリ可溶性高分子が、単独で、本発明の(A)成分として求められる必須要件を満たすことができる。
(A)成分に含まれるアルカリ可溶性高分子の少なくとも一つが、本発明の(A)成分として求められる必須要件を満たす場合、(A)成分に含まれるアルカリ可溶性高分子のうち、その要件を満たすアルカリ可溶性高分子の割合は、10質量%以上であることが好ましい。かかるアルカリ可溶性高分子の割合は、30質量%以上でもよく、40質量%以上でもよい。かかるアルカリ可溶性高分子の割合は、100質量%以下でもよく、60質量%以下でもよい。
〔(B)成分:エチレン性不飽和結合を有する化合物〕
(B)成分は、その構造中に、エチレン性不飽和結合を有する化合物である。(B)成分は、ビスフェノールA構造、及び/又は水添ビスフェノールA構造を有する化合物を含むことが好ましい。これによれば、本発明の効果を奏し易くなる。(B)成分の総量のうち、ビスフェノールA構造、及び/又は水添ビスフェノールA構造を有する化合物が、30質量%以上、50質量%以上、80質量%以上、90質量%以上含まれてよい。(B)成分のうち、ビスフェノールA構造、及び/又は水添ビスフェノールA構造を有する化合物の含量が、他の(B)成分の各化合物の含量の中で、最も多くてよい。なお、(B)成分としては、エチレン性不飽和結合を1個有する化合物、エチレン性不飽和結合を2個有する化合物、エチレン性不飽和結合を3個有する化合物、エチレン性不飽和結合を4個有する化合物、及びエチレン性不飽和結合を5個以上有する化合物、が挙げられる。異なる種類のこれらの化合物が併用されてもよい。
(B)成分として、例えば、エチレン性不飽和結合を2個有する化合物と、エチレン性不飽和結合を3個以上有する化合物とは、併用されてよく、また、エチレン性不飽和結合を3個以上有する、互いに異なる化合物は、併用されてよい。エチレン性不飽和結合を3個以上有する化合物としては、例えば、4個のエチレン性不飽和結合、5個のエチレン性不飽和結合、又は6個のエチレン性不飽和結合、を有する化合物が挙げられる。なかでも、(B)成分は、一分子中に、エチレン性不飽和結合を3つ以上有する化合物を含むことが好ましく、また、一分子中に、エチレン性不飽和結合を4つ以上有する化合物を含むことも好ましい。
具体的に、(B)成分に含まれてよい化合物の種類としては、
ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均5モルずつのEO(エチレンオキサイド)を付加したポリエチレングリコールのジメタクリレート、
ジペンタエリスリトールに平均13モルのEO(エチレンオキサイド)を付加したヘキサメタクリレート、
ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均1モルずつのEO(エチレンオキサイド)を付加したポリエチレングリコールのジメタクリレート、
EO(エチレンオキサイド)変性水添ビスフェノールAジメタクリレート、
ポリテトラメチレングリコールジメタクリレート、
ペンタエリスリトールに平均15モルのEO(エチレンオキサイド)を付加したテトラメタクリレート、
ポリ(プロピレングリコール)ジメタクリレート、
EO(エチレンオキサイド)変性ビスフェノールAジメタクリレート、
グリセリンに平均9モルのEO(エチレンオキサイド)を付加したトリメタクリレート、及び
ペンタエリスリトールに平均9モルのEO(エチレンオキサイド)を付加したテトラメタクリレート、等が挙げられる。
具体的に、(B)成分としては、例えば、ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均1モル~15モルずつのアルキレンオキサイドを付加したポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンに平均3モル~25モルのアルキレンオキサイドを付加したポリアルキレントリオールのトリ(メタ)アクリレート;グリセリン;トリメチロールプロパン;ペンタエリスリトール;ジグリセリン;ジトリメチロールプロパン;イソシアヌレート環等にポリアルキレンオキシド基を付加したり、ε-カプロラクトン変性したりすることにより得られたアルコールを(メタ)アクリレートに変換することで得られる化合物、又はそれらをアルキレンオキシド基又はε-カプロラクトンで変性せずに、直接(メタ)アクリル酸を反応させた化合物;ペンタエリスリトールに平均4モル~35モルのアルキレンオキサイドを付加したポリオールのテトラ(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールに平均4~30モルのアルキレンオキサイドを付加したポリオールのヘキサ(メタ)アクリレート;等を挙げることができる。これらは1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
感光性樹脂組成物における(B)成分の含有量は、好ましくは5~70質量%、より好ましくは20~60質量%、更に好ましくは30~50質量%である。(B)成分の含有量は、感光性樹脂層の硬化不良、及び現像時間の遅延を抑える観点から、上記の下限値以上であることが好ましい。また、硬化した感光性樹脂層の除去性を向上させる観点から、上記の上限値以下であることが好ましい。
〔(C)成分:光重合開始剤〕
(C)成分は、活性光線によりラジカルを発生し、これにより、(B)成分の重合を開始させることができる化合物である。
(C)成分としては、例えば、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、N-アリール-α-アミノ酸化合物、キノン化合物、芳香族ケトン化合物、アントラセン誘導体、アセトフェノン化合物、アシルフォスフィンオキサイド化合物、ベンゾイン化合物、ベンゾインエーテル化合物、ジアルキルケタール化合物、チオキサントン化合物、ジアルキルアミノ安息香酸エステル化合物、オキシムエステル化合物、アクリジン化合物、ピラゾリン誘導体、N-アリールアミノ酸のエステル化合物、及びハロゲン化合物等が挙げられる。
ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルビイミダゾール(別名:2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール)、2,2’,5-トリス-(o-クロロフェニル)-4-(3,4-ジメトキシフェニル)-4’,5’-ジフェニルビイミダゾール、2,4-ビス-(o-クロロフェニル)-5-(3,4-ジメトキシフェニル)-ジフェニルビイミダゾール、2,4,5-トリス-(o-クロロフェニル)-ジフェニルビイミダゾール、2-(o-クロロフェニル)-ビス-4,5-(3,4-ジメトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2-フルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2,3-ジフルオロメチルフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2,4-ジフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2,5-ジフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2,6-ジフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2,3,4-トリフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2,3,5-トリフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2,3,6-トリフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2,4,6-トリフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2,3,4,5-テトラフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、2,2’-ビス-(2,3,4,6-テトラフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、及び2,2’-ビス-(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス-(3-メトキシフェニル)-ビイミダゾール、ロフィン二量体等が挙げられる。
ロフィン二量体、すなわち、2,4,5-トリアリールイミダゾールの二量体としては、例えば、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ビス-(m-メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2-(p-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体等が挙げられる。なかでも、高感度、解像性及び密着性の観点から、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体が好ましい。
N-アリール-α-アミノ酸化合物としては、例えば、N-フェニルグリシン、N-メチル-N-フェニルグリシン、N-エチル-N-フェニルグリシン等が挙げられる。なかでも、N-フェニルグリシンは、増感効果が高いため好ましい。
キノン化合物としては、例えば、2-エチルアントラキノン、オクタエチルアントラキノン、1,2-ベンズアントラキノン、2,3-ベンズアントラキノン、2-フェニルアントラキノン、2,3-ジフェニルアントラキノン、1-クロロアントラキノン、2-クロロアントラキノン、2-メチルアントラキノン、1,4-ナフトキノン、9,10-フェナントラキノン、2-メチル-1,4-ナフトキノン、2,3-ジメチルアントラキノン、3-クロロ-2-メチルアントラキノン等が挙げられる。
芳香族ケトン化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン[4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン]、4-メトキシ-4’-ジメチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。芳香族ケトン化合物としては、増感効果及び密着性の観点から、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンも挙げられる。
本明細書では、用語「アントラセン誘導体」は、アントラセン及びそれから誘導される化合物の両方を含むものである。アントラセン誘導体としては、例えば、アントラセン、9,10-ジアルコキシアントラセン、9,10-ジメトキシアントラセン、9,10-ジエトキシアントラセン、9,10-ジブトキシアントラセン、9,10-ジフェニルアントラセン、2-エチルアントラキノン、オクタエチルアントラキノン、1,2-ベンズアントラキノン、2,3-ベンズアントラキノン、2-フェニルアントラキノン、2,3-ジフェニルアントラキノン、1-クロロアントラキノン等が挙げられる。増感効果及び密着性の観点からは、9,10-ジブトキシアントラセン、9,10-ジフェニルアントラセンが好ましく、特に、9,10-ジフェニルアントラセンが好ましい。
アセトフェノン化合物としては、例えば、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-(4-ドデシルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-プロパノン-1等が挙げられる。アセトフェノン化合物の市販品としては、例えば、イルガキュアシリーズ(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製:イルガキュア-907、イルガキュア-369、及びイルガキュア-379等)が挙げられる。
アシルフォスフィンオキサイド化合物としては、例えば、2,4,6-トリメチルベンジルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フォスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。アシルフォスフィンオキサイド化合物の市販品としては、例えば、ルシリンTPO(BASF社製)、及びイルガキュア-819(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)が挙げられる。
ベンゾイン化合物及びベンゾインエーテル化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等が挙げられる。
ジアルキルケタール化合物としては、例えば、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール等が挙げられる。
チオキサントン化合物としては、例えば、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2-クロルチオキサントン等が挙げられる。
ジアルキルアミノ安息香酸エステル化合物としては、例えば、ジメチルアミノ安息香酸エチル、ジエチルアミノ安息香酸エチル、エチル-p-ジメチルアミノベンゾエート、2-エチルヘキシル-4-(ジメチルアミノ)ベンゾエート等が挙げられる。
オキシムエステル化合物としては、例えば、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-O-ベンゾイルオキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(O-エトキシカルボニル)オキシム等が挙げられる。オキシムエステル化合物の市販品としては、例えば、CGI-325、イルガキュア-OXE01、及びイルガキュア-OXE02(いずれもチバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)が挙げられる。
アクリジン化合物としては、感度、解像性、入手性等の点で、1,7-ビス(9,9’-アクリジニル)ヘプタン又は9-フェニルアクリジンが好ましい。
ピラゾリン誘導体としては、密着性及びレジストパターンの矩形性の観点から、1-フェニル-3-(4-tert-ブチル-スチリル)-5-(4-tert-ブチル-フェニル)-ピラゾリン、1-フェニル-3-(4-ビフェニル)-5-(4-tert-ブチル-フェニル)-ピラゾリン及び1-フェニル-3-(4-ビフェニル)-5-(4-tert-オクチル-フェニル)-ピラゾリンが好ましい。
N-アリールアミノ酸のエステル化合物としては、例えば、N-フェニルグリシンのメチルエステル、N-フェニルグリシンのエチルエステル、N-フェニルグリシンのn-プロピルエステル、N-フェニルグリシンのイソプロピルエステル、N-フェニルグリシンの1-ブチルエステル、N-フェニルグリシンの2-ブチルエステル、N-フェニルグリシンのtertブチルエステル、N-フェニルグリシンのペンチルエステル、N-フェニルグリシンのヘキシルエステル、N-フェニルグリシンのペンチルエステル、N-フェニルグリシンのオクチルエステル等が挙げられる。
ハロゲン化合物としては、例えば、臭化アミル、臭化イソアミル、臭化イソブチレン、臭化エチレン、臭化ジフェニルメチル、臭化ベンジル、臭化メチレン、トリブロモメチルフェニルスルフォン、四臭化炭素、トリス(2,3-ジブロモプロピル)ホスフェート、トリクロロアセトアミド、ヨウ化アミル、ヨウ化イソブチル、1,1,1-トリクロロ-2,2-ビス(p-クロロフェニル)エタン、クロル化トリアジン化合物、ジアリルヨードニウム化合物等が挙げられる。なかでも、トリブロモメチルフェニルスルフォンが好ましい。
感光性樹脂組成物における(C)成分の含有量は、0.01~20質量%が好ましく、0.5~10質量%がより好ましい。(C)成分の含有量を上記範囲内に調整することにより、十分な感度を得られ易くなるため、感光性樹脂層の底部にまで十分に光を透過させ易くなり、ひいては、高解像を実現し易くなる。
高感度、解像性及び密着性の観点から、(C)成分はロフィン二量体を含むことが好ましい。この場合、感光性樹脂組成物中のロフィン二量体の含有量は、0.1~15質量%が好ましく、0.5~10質量%がより好ましい。
(C)成分は、アントラセン誘導体と、ヘキサアリールビイミダゾール化合物と、を含むことが好ましい。この場合、感光性樹脂組成物中の(C)成分(例えば、アントラセン誘導体)の含有量は、0.5質量%以下であることが好ましく、0.01質量%~0.4質量%であることがより好ましく、また感光性樹脂組成物中のヘキサアリールビイミダゾール化合物の含有量は、0.1~10質量%であることが好ましく、0.5~5質量%であることがより好ましい。
〔(D)成分:ロイコ染料〕
(D)成分は、未露光部の発色性と、優れた剥離特性を付与するために、本実施形態の感光性樹脂組成物に配合することができる。
(D)成分としては、例えば、ロイコクリスタルバイオレット(トリス[4-(ジメチルアミノ)フェニル]メタン)、3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド等が挙げられる。なかでも、ロイコクリスタルバイオレットが好ましい。
感光性樹脂組成物における(D)成分の含有量は、該感光性樹脂組成物の固形分の合計質量に対して、0.01~2質量%であることが好ましく、0.1~1.5質量%であることがより好ましい。(D)成分の含有量をこの範囲内に調節することで、良好な発色性と感度とを実現することができる。
〔他の成分〕
感光性樹脂組成物は、所望により、ベース染料((D)成分以外の染料)、酸化防止剤、安定化剤、増感剤、可塑剤、等を含むことができる。他の成分は、上記(A)~(D)以外の成分である。
ベース染料としては、例えば、ベーシックグリーン1[CAS番号(以下、同じ):633-03-4](例えば、Aizen Diamond Green GH、商品名、保土谷化学工業製)、フクシン[632-99-5]、メチルバイオレット[603-47-4]、メチルグリーン[82-94-0]、ビクトリアブルーB[2580-56-5]、ベーシックブルー7[2390-60-5](例えば、Aizen Victoria Pure Blue BOH、商品名、保土谷化学工業製)、ローダミンB[81-88-9]、ローダミン6G[989-38-8]、ベーシックイエロー2[2465-27-2]等が挙げられる。なかでも、着色性、色相安定性、及び露光コントラストを向上させる観点から、ベーシックグリーン1が好ましい。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用可能である。
感光性樹脂組成物におけるベース染料の含有量は、好ましくは0.001~3質量%であり、より好ましくは0.01~2質量%であり、更に好ましくは0.04~1質量%である。ベース染料の含有量は、良好な着色性を得る観点から、上記の下限値以上であることが好ましく、他方、感光性樹脂層の感度を維持する観点から、上記の上限値以下であることが好ましい。
酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト(例えば、ADEKA社製、商品名:TPP)、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト(例えば、旭電化工業社製、商品名2112)、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト(例えば旭電化工業社製、商品名:1178)、ビス(モノノニルフェニル)-ジノニルフェニルホスファイト(例えば、旭電化工業社製、商品名:329K)等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用可能である。
感光性樹脂組成物における酸化防止剤の含有量は、好ましくは0.01~0.8質量%であり、より好ましくは0.01~0.3質量%である。酸化防止剤の含有量は、レジストパターンの色相安定性を良好に発現させ、かつ、感光性樹脂層の感度を向上させる観点から、上記の下限値以上であることが好ましい。他方、レジストパターンの発色性を抑えながら色相安定性を良好に発現させ、かつ、密着性を向上させる観点から、上記の上限値以下であることが好ましい。
安定化剤は、感光性樹脂組成物の熱安定性及び/又は保存安定性を向上させる観点で用いることができる。安定化剤としては、例えば、ラジカル重合禁止剤と、グリシジル基を有するアルキレンオキシド化合物と、の少なくとも一方が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用可能である。
ラジカル重合禁止剤としては、例えば、p-メトキシフェノール、ハイドロキノン、ピロガロール、ナフチルアミン、tert-ブチルカテコール、塩化第一銅、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩(例えば、ニトロソフェニルヒドロキシルアミンが3モル付加したアルミニウム塩など)、ジフェニルニトロソアミン等が挙げられる。なかでも、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、又はニトロソフェニルヒドロキシルアミンが3モル付加したアルミニウム塩が好ましい。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用可能である。
グリシジル基を有するアルキレンオキシド化合物としては、例えば、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(例えば、共栄社化学(株)製エポライト1500NP)、ノナエチレングリコールジグリシジルエーテル(例えば、共栄社化学(株)製エポライト400E)、ビスフェノールA-プロピレンオキシド 2モル付加物ジグリシジルエーテル(例えば、共栄社化学(株)製エポライト3002)、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(例えば、共栄社化学(株)製エポライト1600)等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用可能である。
感光性樹脂組成物における、ラジカル重合禁止剤と、グリシジル基を有するアルキレンオキシド化合物と、の合計含有量は、好ましくは0.001~3質量%であり、より好ましくは0.05~1質量%である。合計含有量は、感光性樹脂組成物に良好な保存安定性を付与する観点から、上記の下限値以上であることが好ましく、他方、感光性樹脂層の感度を維持する観点から、上記の上限値以下であることが好ましい。
[感光性樹脂組成物調合液]
感光性樹脂組成物に溶媒を添加することで、感光性樹脂組成物調合液を作製できる。好適な溶媒としては、例えば、アセトン及びメチルエチルケトン(MEK)等のケトン類;メタノール、エタノール、及びイソプロピルアルコール等のアルコール類;が挙げられる。感光性樹脂組成物調合液の粘度が25℃で500~4000mPa・secとなるように、感光性樹脂組成物に溶媒を添加することが好ましい。
[感光性樹脂積層体、ドライフィルムレジスト及び転写フィルム]
感光性樹脂組成物又は感光性樹脂組成物調合液を用いて、感光性樹脂層、ひいては感光性樹脂積層体を得ることができる。感光性樹脂積層体は、例えば、支持体(支持フィルム)と、支持体に積層された感光性樹脂層と、を有する。感光性樹脂積層体は、必要により、支持体とは反対側の面に保護フィルムを有することができる。感光性樹脂積層体は、本発明の効果を顕著に奏し易くなる観点から、ドライフィルムレジスト又は転写フィルムであることが好ましく、ドライフィルムレジストであることがより好ましい。
支持体は、露光光源から放射される光を透過する透明なものであることが望ましい。このような支持体としては、好ましくはプラスチックフィルムであり、具体的には例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、塩化ビニリデン共重合フィルム、ポリメタクリル酸メチル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、スチレン共重合体フィルム、ポリアミドフィルム、セルロース誘導体フィルム等が挙げられる。これらのフィルムは、必要に応じて延伸されたものを使用してよい。
支持体のヘイズは5以下であることが好ましい。支持体の厚みは、薄い方が画像形成性及び経済性の面で有利であるが、強度を維持する機能も考慮すると、10~30μmであることが好ましい。
上記で説明された感光性樹脂層は、感光性樹脂組成物を含むか、又は感光性樹脂組成物から成ることができる。感光性樹脂積層体における感光性樹脂層の膜厚は、好ましくは、3~100μmであり、より好ましくは10~50μm、更に好ましくは15~50μmである。感光性樹脂層の厚みが3μmに近づくほど、解像性は向上し、100μmに近づくほど、膜強度が向上するので、用途に応じて適宜選択することができる。
感光性樹脂積層体に用いられる保護フィルムの重要な特性は、適当な密着力を有することである。つまり、保護フィルムの感光性樹脂層に対する密着力が、支持体の感光性樹脂層に対する密着力よりも充分小さく、保護フィルムが感光性樹脂積層体から容易に剥離できることが好ましい。保護フィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタラートフィルム、ポリエステルフィルムなどを用いることができる。保護フィルムの膜厚は、10~100μmが好ましく、10~50μmがより好ましい。
感光性樹脂層から保護フィルムを好適に剥がせるよう、離型層を、保護フィルムの表面に付与することができる。離型層は、例えば、シリコーン化合物と、非シリコーン化合物と、に分類される。
シリコーン化合物としては、例えば、両末端シラノールポリジメチルシロキサンと、ポリメチル水素シロキサン又はポリメチルメトキシシロキサンと、を反応させた縮合反応型シリコーン樹脂;ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体又はジメチルシロキサン・メチルヘキセニルシロキサン共重合体と、ポリメチル水素シロキサンと、を反応させた付加反応型シリコーン樹脂;アクリルシリコーン及びエポキシ基含有シリコーン等を、紫外線又は電子線で硬化させた紫外線硬化型又は電子線硬化型シリコーン樹脂;エポキシ変性シリコーン樹脂(シリコーンエポキシ)、ポリエステル変性シリコーン樹脂(シリコーンポリエステル)、アクリル変性シリコーン樹脂(シリコーンアクリル)、フェノール変性シリコーン樹脂(シリコーンフェノール)、アルキッド変性シリコーン樹脂(シリコーンアルキッド)、メラミン変性シリコーン樹脂(シリコーンメラミン)等の変性シリコーン樹脂;が挙げられる。
非シリコーン化合物としては、例えば、アルキド(又はアルキッドともいう)樹脂、長鎖アルキル系樹脂、アクリル系樹脂、及びポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。
離型層の膜厚は、好ましくは0.001~2μm、より好ましくは0.005~1μm、更に好ましくは0.01~0.5μmである。膜厚が上記上限値以下であれば、塗膜外観が良好になり易く、また、塗膜を十分に硬化させ易くなる。他方、膜厚が上記下限値以上の場合、十分な離型性を確保し易くなる。
[感光性樹脂積層体の作製方法]
感光性樹脂積層体は、支持体に、感光性樹脂層と、必要により保護フィルムと、を順次積層することで作製することができる。作製方法としては、例えば、感光性樹脂層に用いる感光性樹脂組成物を、これらを溶解する溶剤と混ぜ合わせ、感光性樹脂組成物調合液(塗工液)を作製する。次いで、支持体に、塗工液をバーコータ又はロールコーターを用いて塗布し、乾燥させて、支持体に感光性樹脂層を積層する。そして、必要により、感光性樹脂層に保護フィルムをラミネートすることにより、感光性樹脂積層体を作製することができる。
[レジストパターンの形成方法]
本実施形態に係る感光性樹脂積層体を用いるレジストパターンの形成方法は、以下の工程:
感光性樹脂積層体を基板に積層する積層工程;
積層された感光性樹脂積層体の感光性樹脂層を露光する露光工程;及び
露光した感光性樹脂層を現像する現像工程;
を、好ましくはこの順に、含む。
〔積層工程(ラミネート工程)〕
積層工程では、具体的には、感光性樹脂積層体が保護フィルムを有する場合には感光性樹脂積層体から保護フィルムを剥離した後、ラミネーターで感光性樹脂層を基板表面に加熱圧着し、1回又は複数回ラミネートする。基板の材料としては、例えば、銅、ステンレス鋼(SUS)、ガラス、酸化インジウムスズ(ITO)等が挙げられる。ラミネート時の加熱温度は一般に40℃~160℃である。加熱圧着は、ロールを備えたラミネーターを使用するか、又は基板と感光性樹脂層との積層物を数回繰り返してロールに通すことにより行なうことができる。加熱圧着は、所望により、減圧環境下で行うことができる。
〔露光工程〕
露光工程では、露光機を用いて感光性樹脂層を活性光に露光する。露光は、所望により、支持体を剥離した後に行うことができる。フォトマスクを通して露光する場合には、露光量は、光源照度及び露光時間により決定され、光量計を用いて測定してもよい。露光工程では、ダイレクトイメージング露光を行なってもよい。ダイレクトイメージング露光においては、フォトマスクを使用せず基板上に直接描画装置によって露光する。光源としては、波長350nm~410nmの半導体レーザー又は超高圧水銀灯が用いられる。描画パターンがコンピュータによって制御される場合、露光量は、露光光源の照度及び基板の移動速度によって決定される。
露光工程で使用する光照射方法は、投影露光法、プロキシミティー露光法、コンタクト露光法、ダイレクトイメージング露光法、電子線直描法から選択される少なくとも1種類の方法であることが好ましく、投影露光方法またはダイレクトイメージング露光法により行うことがより好ましい。
〔現像工程〕
現像工程では、支持体を剥離した後、感光性樹脂層の非露光部(非パターン部)を、現像液に溶解させて除去する。現像液は、アルカリ水溶液を含む。ネガ型の感光性樹脂組成物を使用した場合、現像工程では、未露光部を除去することでレジストパターンを得る。ポジ型の感光性樹脂組成物を使用した場合、露光部を除去することでレジストパターンを得る。
アルカリ水溶液としては、Na2CO3、K2CO3等の、無機アルカリ水溶液を用いることが好ましい。アルカリ水溶液は、感光性樹脂層の特性に合わせて選択でき、好ましくは、0.2~2質量%の濃度のNa2CO3水溶液である。アルカリ水溶液には、界面活性剤と、消泡剤と、現像を促進させるための少量の有機溶剤と、等を混入させることができる。現像工程における現像液の温度は、18~40℃の範囲で一定温度に保つことが好ましい。
必要により、現像工程後、得られたレジストパターンを100~300℃で加熱する、加熱工程を行うことができる。加熱工程を実施することで、レジストパターンの耐薬品性、及び解像性を向上させ易くなる。ここでの加熱は、熱風、赤外線、遠赤外線等の方式を用いて行うことができる。
〔エッチング工程〕
上記のレジストパターンの形成方法によってレジストパターンを形成し、次いで、必要によりめっき処理を行った後、基板に対してエッチングを行うことによって、レジストパターンに対応する配線パターンを基板に形成することができる。
エッチング工程は、例えば、レジストパターンの上からエッチング液を吹き付ける手法を採用することができる。エッチング方法としては、酸性エッチング、アルカリエッチング等が挙げられる。エッチング液としては、例えば、塩酸水溶液、塩化第二鉄水溶液、又はそれらの混合物等が挙げられる。
めっき処理は、既知のめっき法に従って、現像により露出した部分を、金属めっき(例えば硫酸銅めっき液による金属めっき)又ははんだめっきすることにより行うことができる。
めっき処理を行う場合はそのめっき処理の後、めっき処理を省略する場合はエッチング工程の後、現像液よりも強いアルカリ性を有する水溶液(剥離液)により、レジストパターンを剥離することができる。剥離液は、例えば、濃度が約2~5質量%、かつ、温度が約40℃~70℃の、NaOH又はKOHの水溶液が好ましい。
上述した各種パラメータは、特に断りのない限り、後述する実施例における測定方法に準じて測定される。以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
[実施例1~14及び比較例1~5]
<1.感光性樹脂組成物の調製>
後掲する表に示す各成分を混合し、さらに、溶媒であるアセトンを固形分が60質量%となるまで添加し、十分に攪拌、混合して感光性樹脂組成物調合液を調製した。表中の値は、固形分量である。
<2.感光性樹脂積層体の製造>
得られた調合液を、16μm厚のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムからなる支持体(東レ(株)製、QS71)に、バーコータを用いて均一に塗布し、95℃の乾燥機中で3分間乾燥することで、感光性樹脂層(ドライフィルム)を形成した。感光性樹脂層の厚みは、25μmであった。その後、感光性樹脂層の、PETフィルムを形成していない側に、保護フィルムとして19μmポリエチレンフィルム(タマポリ(株)製、GF-18)を張り合わせ、これにより、感光性樹脂積層体を得た。
<3.基板の整面>
評価基板として、18μm圧延銅箔を積層した0.4mm厚の銅張積層板を、10質量%HSO水溶液で基板表面を洗浄した。
<4.評価用基板の作製>
ラミネート:
感光性樹脂積層体のポリエチレンフィルム(保護フィルム)を剥がしながら、ホットロールラミネーター(旭化成エレクトロニクス(株)製、AL-700)を用い、上記のとおり整面した後50℃に予熱した基板に、感光性樹脂積層体をロール温度105℃でラミネートした。これにより、評価用基板を得た。エアー圧力は0.35MPa、ラミネート速度は1.5m/minとした。
露光:
直接描画露光機(オーク製作所製FDi-3、主波長400nm)により、所定のダイレクトイメージング(DI)露光用の描画パターンを用いて、評価用基板を露光した。
加熱:
露光後1分経過した評価用基板を、ホットロールラミネーター(旭化成(株)社製、AL-700)を用いて加熱した。ロール温度は105℃、エアー圧は0.30MPa、ラミネート速度は1m/minであった。
現像:
PETフィルム(支持体)を剥離した後、(株)フジ機工製現像装置を用いて、フルコーンタイプのノズルから、スプレー圧0.15MPaで、30℃の1質量%Na2CO3水溶液を、最小現像時間の2倍の時間に亘ってスプレーした。これにより、感光性樹脂層の未露光部分を溶解除去した(現像)。現像後、現像時間の1.5倍の時間に亘って純水で洗浄し、エアーナイフで水切り処理後、温風乾燥を行うことによって、評価用硬化膜を有する基板を得た。
<5.評価方法>
最小現像時間:
本評価には、感光性樹脂積層体を、上記<ラミネート>に記載の方法でラミネートした、評価用基板を用いた。評価用基板から支持体を剥離した後、露光していない感光性樹脂層をスプレー圧0.15MPaで、30℃の1質量%NaCO水溶液を用いて、現像した。現像を開始してから、感光性樹脂層の未露光部分が完全に溶解除去されたことを目視で確認できるまでの最短の時間を、最小現像時間とした。最小現像時間(単位:秒)が短いほど、現像性が良好であることを意味する。最小現像時間を下記のような基準によって評価した。
A:20秒以下
B:20秒を超え、かつ、30秒以下
C:30秒を超え、かつ、40秒以下
D:40秒を超える
解像度評価:
本評価には、感光性樹脂積層体を、上記<ラミネート>に記載の方法でラミネートした、評価用基板を用いた。評価用基板に対し、種々のサイズで、ライン/スペース=1/1のポジパターン又はネガパターンを直接描画露光した。その後、上記<現像>に記載の方法によって現像した。得られたパターンについて、形成されていた最小のパターン幅を光学顕微鏡により観察し、以下の基準によって解像性を評価した。
A:最小パターン幅が5μm以下
B:最小パターン幅が5μmを超え、かつ、6μm以下
C:最小パターン幅が6μmを超え、かつ、7μm以下
D:最小パターン幅が7μmを超える
密着性評価:
本評価には、感光性樹脂積層体を、上記<ラミネート>に記載の方法でラミネートした後、15分経過後の評価用基板を用いた。評価用基板に対し、種々のサイズで、独立ラインのパターンを直接描画露光した。その後、上記<現像>に記載の方法によって現像した。得られたパターンを光学顕微鏡により、倍率100倍で観察し、以下の基準によって密着性を評価した。正常に形成とは、レジストに蛇行及び欠けが生じていないことを指す。
A:正常に形成された最小パターンが8μm以下
B:正常に形成された最小パターンが8μmを超え、かつ、9μm以下
C:正常に形成された最小パターンが9μmを超え、かつ、10μm以下
D:正常に形成された最小パターンが10μmを超える
プレスフロー評価:
感光性樹脂積層体を2.5cm角に切り出し、カバーフィルム(保護フィルム)を剥がした後、PETフィルム10cm角の中央に挟み、40℃に加熱した油圧プレスにより、100kgの力を5分間加えた。その後、感光性樹脂層のはみ出し幅を4方向(計8点)において測定し、その平均値を求めた。本試験は2回行い、その平均値をプレスフロー試験の値とし、以下の基準によってプレスフローを評価した。
A:100μm以下
B:100μmを超え、かつ、150μm以下
C:150μmを超え、かつ、200μm以下
D:200μmを超える
支持体の引き剥がし強度(タック性):
本評価には、上記<ラミネート>に記載の方法で、感光性樹脂積層体を片面にラミネートした評価用基板を用意し、24時間23℃、50%相対湿度下に放置した。その後、1インチ幅の支持体(本実施例ではPETフィルム)を100mm/minの速度で180°引き剥がし、そのときの強度を、テンシロンRTM-500(東洋精機製)で測定し、以下の基準によって引き剥がし強度を評価した。
A:引き剥がし強度が、3.0gf未満
D:引き剥がし強度が、3.0gf以上
剥離試験:
本評価では、35μm圧延銅箔を積層した1.6mm厚の銅張積層板の表面を、湿式バフロール研磨により整面したものを、評価用基板として用いた。研磨は、スリーエム(株)製、スコッチブライト(登録商標)HD♯600を用い、2回行った。
感光性樹脂層の厚みが25μmである感光性樹脂積層体からポリエチレンフィルムを剥がしながら、整面後の評価用基板に、ホットロールラミネーター(旭化成(株)製、AL-700)を用いて、ロール温度105℃、エアー圧力0.35MPa、及びラミネート速度1.5m/分の条件下でラミネートした。
ラミネート後15分経過した評価用基板を用い、該評価用基板に対し、4cm×6cmの長方形パターンを、上記<露光>に記載の方法で露光した後、上記<現像>に記載の方法によって現像した。得られた評価用基板を4cm×6cmに切り出し、50℃、R-101(三菱ガス化学(株)製)の剥離液に浸し、評価用基板から感光性樹脂層が完全に剥離するまでの時間を測定し、これを剥離時間として、以下の基準によって剥離性を評価した。
A:剥離時間が、20s以下
B:剥離時間が、20sを超え、かつ、25s以下
D:剥離時間が、25sを超える

Claims (24)

  1. 以下の成分:
    (A)アルカリ可溶性高分子、
    (B)エチレン性不飽和結合を有する化合物、及び
    (C)光重合開始剤、を含む感光性樹脂組成物であって、
    前記(A)成分が、少なくとも、下記のコモノマー成分:
    (a)メタクリル酸及び/又はアクリル酸、
    (b)N置換マレイミド系化合物、及び
    (c)芳香族構造又は脂環式構造を有する化合物(ただし(b)成分に該当する化合物を除く)、
    に由来する構成単位を有し、
    前記(A)成分における、前記(b)成分に由来する構成単位の質量割合(b1)が、0.01~5.0質量%である、感光性樹脂組成物。
  2. 前記(A)成分の重量平均分子量が、12,000以上である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  3. 前記(A)成分の重量平均分子量が、19,000~65,000である、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
  4. 前記(A)成分は、コモノマー成分として、(d)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位、を更に有する、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
  5. 前記(d)成分は、ヒドロキシエチルメタクリレートである、請求項4に記載の感光性樹脂組成物。
  6. 前記(b)成分が、ベンゼン環を有する、N置換マレイミド系化合物である、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
  7. 前記(a)成分は、メタクリル酸を含む、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
  8. 前記(A)成分における、酸コモノマー成分の合計は、1~65質量%である、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
  9. 前記(c)成分は、スチレン及び/又はベンジル(メタ)アクリレートを含む、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
  10. 前記(A)成分における、前記(c)成分に由来する構成単位の割合は、10~95質量%である、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
  11. 前記感光性樹脂組成物の固形分総量を基準として、
    前記(A)成分:10~90質量%、
    前記(B)成分:5~70質量%、及び
    前記(C)成分:0.01~20質量%、
    を含む、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
  12. 前記(A)成分は、複数のアルカリ可溶性高分子を含む、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
  13. 前記複数のアルカリ可溶性高分子における、前記質量割合(b1)の質量平均が、0.01~5.0である、請求項12に記載の感光性樹脂組成物。
  14. 前記(A)成分に含まれるアルカリ可溶性高分子の少なくとも一つは、
    前記(a)成分~(c)成分に由来する構成単位を有し、かつ、前記質量割合(b1)を満たす、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
  15. 前記(A)成分に含まれるアルカリ可溶性高分子のうち、
    前記(a)成分~(c)成分に由来する構成単位を有し、かつ、前記質量割合(b1)を満たすアルカリ可溶性高分子、の割合は、10質量%以上である、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
  16. 前記(A)成分の酸価が、50~600mgKOH/gである、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
  17. 前記(B)成分は、ビスフェノールA構造、及び/又は水添ビスフェノールA構造を有する化合物を含む、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
  18. 前記(B)成分は、一分子中に、前記エチレン性不飽和結合を3つ以上有する化合物を含む、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
  19. 前記(C)成分は、ヘキサアリールビイミダゾール(HABI)化合物を含む、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
  20. (D)成分として、ロイコ染料を更に含む、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
  21. 支持体と、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物から得られる感光性樹脂層と、を備える、感光性樹脂積層体。
  22. 前記支持体とは反対側に、保護フィルムを備える、請求項21に記載の感光性樹脂積層体。
  23. 請求項21又は22に記載の感光性樹脂積層体を基板に積層する工程、
    積層された前記感光性樹脂積層体の前記感光性樹脂層を露光する工程、及び
    露光した前記感光性樹脂層を現像する工程、
    を有する、レジストパターン形成方法。
  24. 前記露光を、ダイレクトイメージング露光によって行う、請求項23に記載のレジストパターン形成方法。
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