JP2023103117A - 全固体電池の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】導電性異物の検出精度を向上することができる全固体電池の製造方法を提供する。【解決手段】電極体を含む全固体電池の製造方法であって、正極層と、負極層と、正極層及び負極層の間に配置される固体電解質層を含む電極体を準備する準備工程と、正極層と負極層との間に検査電圧を印加し、検査電圧に対する応答電流の波形を得る印加工程と、印加工程により得られた応答電流の波形により、電極体の良否を判定する判定工程と、を備え、検査電圧は実質的に単一周波数の正弦波である、全固体電池の製造方法である。【選択図】図1

Description

本願は全固体電池の製造方法に関し、全固体電池に混入した導電性異物を確実に検査するための製造方法に関するものであり、特に硫化物系全固体電池の検査において有効である。
特許文献1は、全固体電池の正極、負極間の固体電解質層に混入した導電性異物を検出する組電池の評価方法を開示している。具体的には、正極層と負極層との間にパルス電圧を印加し、パルス電圧に対する電流の応答波形により電極体の良否を判定し、固体電解質層内の導電性異物を検出している。ここで、特許文献1には、パルス電圧は正極層及び負極層において充放電反応が実質的に生じない時間幅を有することが記載されている。
特許文献2は、複数の電圧の正弦波信号が印加されて、組電池のリアクタンスが測定されることで、複数の電池のSOH分布を簡単に推定できる組電池の評価方法を開示している。また、特許文献2には、この技術は全固体電池にも適用可能であることが記載されている。
特開2020-205169号公報 特開2021-48019号公報
電解液を用いた液系電池では、多孔質樹脂のセパレータに電解液が含浸されて電解質層が形成されるが、電解液を含浸する前はイオン伝導性がなく絶縁性である。従って、液系電池に高電圧を印加すると、導電性異物によって薄くなっているセパレータ部位を絶縁破壊することができ、これにより現時点において短絡を起こしていない導電性異物を検出することができる。
一方で、全固体電池では、正極-固体電解質層-負極の電極体を形成した段階ですでにイオン伝導性があるために、高電圧を印加するとイオン伝導が起こり充放電反応や高電圧による劣化反応が発生することが考えられる。そのため、特許文献1では、充放電反応が発生しない短い時間幅のパルス電圧を印加することで、上記の反応を抑制しつつ、応答電流波形から導電性異物を検出していた。
しかしながら、単にパルス電圧を印加しただけでは、電池のサイズが異なると、特に大型のサイズになると、導電性異物が混入されていない全固体電池においても短絡と判定されるという誤検出が発生する問題があった。
この問題について、発明者らはさらに検討した結果、全固体電池において短時間に電圧を印加して導電性異物を検出する際に、印加する電圧波形によっては電極まで同じ波形で伝達しない事象を新たに見出した。この原因は、全固体電池の特に初期充電前の活性化していない状態では、電圧の周波数によって抵抗が大きく異なり、また配線も高周波数帯では周波数による応答が異なるためであると推測された。このことから、パルス電圧を印加しても同じ波形で電極に到達せず、電池サイズ、配線が変わると波形も異なり、また同一電池内においても場所によって波形が異なることから、導電性異物が混入していない電池のおいても過大な電流が流れて誤検出を起こし、導電性異物の混入場所によって検出できたり、検出できなかったりする不安定な現象が発生することを新たに知見した。
そこで、本開示の目的は、上記実情を鑑み、導電性異物の検出精度を向上することができる全固体電池の製造方法を提供することである。
本開示は上記課題を解決するための一つの態様として、電極体を含む全固体電池の製造方法であって、正極層と、負極層と、正極層及び負極層の間に配置される固体電解質層を含む電極体を準備する準備工程と、正極層と負極層との間に検査電圧を印加し、検査電圧に対する応答電流の波形を得る印加工程と、印加工程により得られた応答電流の波形により、電極体の良否を判定する判定工程と、を備え、検査電圧は実質的に単一周波数の正弦波である、全固体電池の製造方法を提供する。
本開示の全固体電池の製造方法において、印加工程に用いられる検査電圧は実質的に単一周波数の正弦波である。これにより、同じ波形を電極に伝達させることができ、電池サイズや電池内の場所によらず導電性異物を安定的に確実に検出することができる。従って、本開示の全固体電池の製造方法によれば、導電性異物の検出精度を向上することができる。
一実施形態の全固体電池の製造方法のフローチャートである。 電極体10の概略断面図である。 正常電池を用いた場合における実施例1の検査電圧及び応答電流の測定結果である。 模擬異物混入電池1を用いた場合における実施例1の検査電圧及び応答電流の測定結果である。 固体電解質層の厚さと絶縁破壊電圧の関係を示す図である。 実施例におけるインピーダンス測定結果である。
本開示の全固体電池の製造方法について、一実施形態を参照しつつ説明する。
一実施形態は、電極体10を含む全固体電池の製造方法であって、正極層12と、負極層14と、正極層12及び負極層14の間に配置される固体電解質層16を含む電極体10を準備する準備工程S1と、正極層12と負極層14との間に検査電圧を印加し、検査電圧に対する応答電流の波形を得る印加工程S2と、印加工程S2により得られた応答電流の波形により、電極体10の良否を判定する判定工程S3と、を備え、検査電圧は実質的に単一周波数の正弦波であることを特徴としている。
図1に一実施形態のフローチャートを示した。図1に記載されている通り、一実施形態は準備工程S1、印加工程S2、及び判定工程S3を備えている。以下に各工程について説明する。
<準備工程S1>
準備工程S1は正極層12及び負極層14の間に配置される固体電解質層16を含む電極体10を準備する工程である。図2は電極体10の構造を表す概略断面図である。
(電極体10)
電極体10は特に限定されず、例えばリチウムイオン二次電池、リチウムイオンキャパシタ、電気二重層キャパシタ等の充放電可能な二次電池の組立体である。電極体10はバルク型であってもよく、薄膜型であってもよい。全固体電池において、電極体10を複数積層してもよい。
電極体10は公知の方法により組立てされ得る。例えば、粉体成形により、正極層12、負極層14および固体電解質層16の各層が形成されてもよい。例えば、スラリーの塗布により、正極層12、負極層14及び固体電解質層16の各層が形成されてもよい。例えば、圧縮成形により、正極層12、負極層14及び固体電解質層16が一体化されてもよい。
電極体10は、図示しない電池ケースに収容されていてもよい。電池ケースは、例えばアルミラミネート製であってもよい。図1の断面視において、固体電解質層16は、正極層12と負極層14との間に配置されている。正極層12と固体電解質層16とは界面接合されている。負極層14と固体電解質層16とは界面接合されている。このことにより、正極層12と負極層14と固体電解質層16とは、物理的に一体化されている。以下、各構成要素について順に説明する。
(正極層12)
正極層12は、正極集電体12aと、正極集電体12aの一方の表面に配置された正極合材層12bと、を備えている。ただし、正極合材層12bは正極集電体12aの両方の表面にそれぞれ配置されていてもよい。正極集電体12aは、導電性部材である。正極集電体12aは、外部接続用の正極端子に電気的に接続されている。電極体10の電気的処理は、正極端子を介して行われる。
正極集電体12aの材料は特に限定されるものではないが、例えば、Al、Ti、Cr、Fe、Ni、Cu、Pt、Au、ステンレス鋼(SUS)等の、導電性の良好な金属製である。正極集電体12aは、Alを含む金属製、例えば、アルミニウム製や、アルミニウムを含むアルミニウム合金製であってもよい。正極集電体12aは、例えば、Fe,Cr,Ni含有オーステナイト系ステンレス鋼、Fe,Cr含有フェライト系ステンレス鋼製、Fe,Cr含有マルテンサイト系ステンレス鋼製等であってもよい。正極集電体12aの厚みは、概ね50μm以下、例えば5~20μmであってもよい。
正極合材層12bは、少なくとも正極活物質を含んでいる。正極活物質は、電荷担体(例えばリチウムイオン)を可逆的に吸蔵および放出可能な材料である。正極活物質は特に限定されるものではないが、例えば、1種または2種以上の金属元素と酸素元素とを含有する金属酸化物が例示される。金属酸化物は、リチウム元素と、1種または2種以上の遷移金属元素と、酸素元素と、を含有する化合物であってもよい。金属酸化物の一好適例として、リチウムニッケル含有複合酸化物、リチウムコバルト含有複合酸化物、リチウムニッケルコバルト含有複合酸化物、リチウムマンガン含有複合酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン含有複合酸化物等のリチウム遷移金属複合酸化物が挙げられる。
正極合材層12bは、正極活物質に加えて、必要に応じてそれ以外の成分、例えば、固体電解質材料、バインダ、導電材、各種添加剤等を含んでもよい。固体電解質材料としては、例えば、硫化物固体電解質材料、酸化物固体電解質材料、窒化物固体電解質材料、ハロゲン化物固体電解質材料等の固体電解質材料が例示される。バインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマー(PVdF-HFP)等のハロゲン化ビニル樹脂や、ブタジエンゴム(SBR)、アクリレートブタジエンゴム(ABR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)等のゴム類が例示される。導電材としては、例えば、気相法炭素繊維、カーボンブラック等の炭素材料が例示される。
(負極層14)
負極層14は、負極集電体14aと、負極集電体14aの一方の表面に配置された負極合材層14bと、を備えている。ただし、負極合材層14bは負極集電体14aの両方の表面にそれぞれ配置されていてもよい。負極集電体14aは、導電性部材である。負極集電体14aは、外部接続用の負極端子に電気的に接続されている。電極体10の電気的処理は、負極端子を介して行われる。
負極集電体14aの材料は特に限定されるものではないが、例えば、Cu、Al、Ti、Cr、Fe、Ni、Pt、Au、ステンレス鋼(SUS)等の、導電性の良好な金属製である。負極集電体14aの材質は、正極集電体12aと同じであってもよく、異なっていてもよい。負極集電体14aは、Cuを含む金属製、例えば、銅製や、銅を含む銅合金製であってもよい。負極集電体14aは、例えば、Fe,Cr,Ni含有オーステナイト系ステンレス鋼、Fe,Cr含有フェライト系ステンレス鋼製、Fe,Cr含有マルテンサイト系ステンレス鋼製等であってもよい。負極集電体14aの厚みは、概ね50μm以下、例えば5~20μmであってもよい。
負極合材層14bは、少なくとも負極活物質を含んでいる。負極活物質は、電荷担体(例えばリチウムイオン)を可逆的に吸蔵および放出可能な材料である。特に限定されるものではないが、負極活物質としては、例えば、ハードカーボン、グラファイト、ホウ素添加炭素等の炭素材料や、Al、Si、Ti、In、Sn等の金属材料、上記金属元素を含む金属化合物、金属酸化物、Li金属化合物、Li金属酸化物等が挙げられる。
負極合材層14bは、負極活物質に加えて、必要に応じてそれ以外の成分、例えば、固体電解質材料、バインダ、導電材、各種添加剤等を含んでもよい。これらの成分としては、正極合材層12bに含有し得るものとして例示したものの中から1種または2種以上を適宜含有してもよい。
(固体電解質層16)
固体電解質層16は、正極合材層12bと負極合材層14bとの間に配置され、正極層12と負極層14との電子伝導を絶縁している。固体電解質層16は、電子は通さない絶縁体であるが、イオンを通すイオン伝導体である。固体電解質層16は、室温(25℃)で固体状である。
電極体10がリチウムイオン二次電池である場合、固体電解質層16は、Liイオン伝導性を有する。厚み方向Zにおいて、固体電解質層16は、典型的には、正極合材層12bおよび負極合材層14bよりも厚みが薄い。固体電解質層16は、正極集電体12aおよび/または負極集電体14aよりも厚みが薄くてもよいし、正極集電体12aおよび/
または負極集電体14aと同じ厚みでもよいし、正極集電体12aおよび/または負極集電体14aよりも厚くてもよい。固体電解質層16の厚みは、概ね0.1~300μm、典型的には1~50μm、さらには30μm以下、例えば10μm以下であってもよい。
固体電解質層16は、少なくとも固体電解質材料を含んでいる。固体電解質材料は、ガラス質(非結晶質)であってもよく、結晶化ガラス質であってもよく、結晶質であってもよい。固体電解質材料としては、硫化物固体電解質材料、酸化物固体電解質材料、窒化物固体電解質材料、ハロゲン化物固体電解質材料等が挙げられる。硫化物固体電解質材料としては、例えば、LiS-P系材料、LiS-GeS系材料、LiS-GeS-P系材料、LiS-SiS系材料、LiS-B系材料、LiPO-P系材料等の硫化物材料が例示される。また、上記硫化物材料にハロゲン元素を添加したハロゲン添加硫化物材料も好適である。酸化物固体電解質材料としては、例えば、リチウムランタンジルコニウム含有複合酸化物(LLZO)、Alドープ-LLZO、リチウムランタンチタン含有複合酸化物(LLTO)、Alドープ-LLTO、リン酸リチウムオキシナイトライド(LIPON)等が例示される。固体電解質層16は、固体電解質材料として、イオン伝導性の高い硫化物固体電解質材料を含んでいてもよい。
固体電解質層16は、固体電解質材料に加えて、必要に応じてそれ以外の成分、例えば、バインダ、各種添加剤等を含んでもよい。これらの成分としては、正極合材層12bに含有し得るものとして例示したものの中から1種または2種以上を適宜含有してもよい。
なお、固体電解質層16は製造工程において、導電性異物が含まれ得る。従って、固体電解質層16は導電性異物が含まれていてもよい。ただし、このような導電性異物が含まれている固体電解質層16を有する電極体は後述する判定工程S3により良好でないと判定される。導電性異物とは、製造工程において混入され得る金属片等の導電性物質である。
<印加工程S2>
印加工程S2は、正極層12と負極層14との間に検査電圧を印加し、検査電圧に対する応答電流の波形を得る工程である。ここで、検査電圧は実質的に単一周波数の正弦波であることを特徴としている。「実質的に」とは、実施上の誤差を含めることを意味する。例えば、検査電圧の周波数以外の周波数の電圧が検査電圧の10%以下の範囲内であるとき、単一の周波数であるとみなす。より精度を高める観点から、検査電圧の周波数以外の周波数の電圧が検査電圧の5%以下の範囲内であるとき、単一の周波数であるとみなしてもよい。検査電圧は単一周波数の正弦波であってもよい。
検査電圧の印加は公知の電源により実施することができる。具体的には、電源のプラス端子を正極層12に接続し、マイナス端子を負極層14に接続して、電源から所定の検査電圧を電極体10に印加する。応答電流の波形は、公知の電流測定装置により取得することができる。
検査電圧の正弦波の周波数は100Hz以上であってもよく、1kHz以上であってもよい。これにより、電極反応を抑制することができる。検査電圧の正弦波の周波数の上限値は特に限定されない。例えば、検査電圧の正弦波の周波数は1MHz以下であってもよく、1000kHz以下でもよく、100kHz以下でもよい。
検査電圧の正弦波の振幅は、充電電圧以上、固体電解質層16の厚み(単位を「μm」とする。)と50Vとの積で求められる電圧以下若しくは未満としてもよい。これにより、導電性異物が含まれている固体電解質層16を絶縁破壊することができる。また、検査電圧の振幅を当該範囲に設定することで、固体電解質層16の厚さに応じて印加する電圧の大きさを決定することができる。さらに、現時点において短絡を引き起こしていない導電性異物を含む固体電解質層を絶縁破壊することが可能となり、導電性異物の検出精度を向上することができる。ここで、充電電圧は電極体10を充電可能な電圧を意味し、電極体10に充電可能な最大電圧としてもよい。
検査電圧は、正弦波の1周期の整数倍の波形であってもよい。これにより、充放電反応などの可逆反応が生じても、電圧印加前の状態に戻すことができる。また、電極体10のダメージ評価が容易になる。
検査電圧の印加時間は0.1秒以下としてよい。これにより、内部発熱により電極体10の温度上昇を抑制することができ、電極体10への熱ダメージを抑制することができる。また、電極体10の温度上昇は抵抗低下を導き、これにより応答電流が増加して誤検知を引き起こす虞があるが、このような誤検知も低減することができる。検査電圧の印加時間の下限は特に限定されない。例えば、検査電圧の印加時間は1周期以上であってもよい。
<判定工程S3>
判定工程S3は、印加工程S2により得られた応答電流の波形により、電極体10の良否を判定する工程である。詳しくは、判定工程S3は、印加工程S2により得られた応答電流の波形が所定の値より大きい場合、若しくは、印加工程S2における検査電圧と応答電流とから求められる複素インピーダンスの大きさが所定の範囲外に変化した場合に、電極体10の良否を判定する工程である。これらの判定方法は単独であっても、組み合わせてもよい。
まず、1つ目の判定方法について説明する。印加工程S2により得られた応答電流の波形が所定の値より大きい場合、すなわち、応答電流の波形が過大である場合、導電性異物による固体電解質層16の絶縁破壊が生じているとみなし、電極体10が不良品であると判定する。また、応答電流の波形が過大でない場合、電極体10は良品であると判定する。
ここで、1つ目の判定方法における「所定の値」とは、導電性異物が含まれていない電極体10の応答電流の波形と、導電性異物が含まれている電極体10の応答電流の波形との比較に基づいて、適宜設定することができる。例えば、導電性異物が含まれていない電極体10の応答電流絶対値の最大値に対して、10%を超える電流値である。
続いて、2つ目の判定方法について説明する。印加工程S2における検査電圧と応答電流とから求められる複素インピーダンスの大きさが所定の範囲外に変化した場合に、導電性異物による固体電解質層16の絶縁破壊が生じている若しくは生じる虞があるとみなし、電極体10が不良品であると判定する。複素インピーダンスの大きさが所定の範囲内の変化であった場合、電極体10が良品であると判定する。複素インピーダンスは公知の方法から算出することができる。
2つ目の判定方法の利点は、検査電圧により導電性異物を含む固体電解質層16に絶縁破壊が生じていない場合、すなわち、1つ目の方法により電極体10が良品と判定された場合であっても、複素インピーダンスの大きさから将来的に絶縁破壊が生じ得る電極体10を判定できることである。
ここで、2つ目の方法における「所定の範囲」とは、印加工程S2前の電極体10の複素インピーダンスの値±10%の範囲である。
<補足>
(インピーダンス測定工程)
一実施形態はさらにインピーダンス測定工程を備えていてもよい。インピーダンス測定工程は任意の工程であり、判定工程S3の後に実施される。インピーダンス測定工程は、電極体10のインピーダンスを測定する工程である。また、インピーダンス測定工程を実施する場合、印加工程S2の前に、電極体10のインピーダンスを測定してもよい。インピーダンス測定工程は公知のインピーダンス測定装置によって実施することができる。インピーダンス測定工程の各条件は特に限定されず、インピーダンス測定に適した周波数、電圧を適宜選択することができる。
一実施形態がインピーダンス測定工程を備えることにより、導電性異物以外の原因による所定の欠陥を検知することができる。例えば、「所定の欠陥」とは、例えば固体電解質層の亀裂や正極・負極の剥離などである。このような欠陥が電極体10に生じている場合、印加工程S2において、電極体10に検査電圧を印加すると、電極体10の内部に変化が生じ、インピーダンスが変化する。従って、印加工程S2前後のインピーダンスの変化が所定の範囲外であった場合、判定工程S3において良品であると判定された場合であっても、不良品として判定してもよい。「所定の範囲」とは、例えば印加工程S2前の電極体10の所定の周波数におけるインピーダンスの値±10%の範囲である。「所定の周波数」は、例えば1kHzである。
(冷却工程)
一実施形態はさらに冷却工程を備えていてもよい。冷却工程は任意の工程であり、印加工程S2の前に実施される。冷却工程は、電極体10を冷却する工程である。電極体10を冷却することにより電極体10の抵抗を増加することができるため、印加工程S2における応答電流の大きさを低減することができる。応答電流の大きさを低減すると、印加工程S2で用いる電源を小型化することができる。
冷却工程における電極体10の冷却温度は特に限定されないが、例えば0℃以下であってもよく、-10℃以下であってもよく、-20℃以下であってもよい。例えば、電極体10の温度が-30℃である場合、印加工程S2における応答電流の大きさを、25℃(室温)の電極体10を用いる場合と比較して、1/10程度に低減することができる。下限値は特に限定されないが、例えば電極体10の温度が-196℃以上としてもよく、-100℃以上としてもよく、-50℃以上としてもよい。
以上、一実施形態を用いて、本開示の全固体電池の製造方法について説明した。本開示の全固体電池の製造方法において、印加工程に用いられる検査電圧は実質的に単一周波数の正弦波である。これにより、同じ波形を電極に伝達させることができ、電池サイズや電池内の場所によらず導電性異物を安定的に確実に検出することができる。従って、本開示の全固体電池の製造方法によれば、導電性異物の検出精度を向上することができる。
以下、実施例を用いて本開示についてさらに説明する。ただし、本開示は実施例の形態に限定されるものではない。
[導電性異物の検出]
以下の通り、評価用の電池をそれぞれ作製した。
(正極の作製)
正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO)と、硫化物系固体電解質としてLiS-P(質量比;LiS:P=70:30)とを、重量比率が正極活物質:硫化物系固体電解質=75:25となるように秤量した。そして、正極活物質100重量部に対してPVdF系バインダを4重量部、導電材(アセチレンブラック)を6重量部秤量した。これらを酪酸ブチルに固形分70重量%となるように調合し、攪拌機で混練することにより、正極活物質層形成用の組成物(正極スラリー)を得た。
(負極の作製)
負極活物質としてカーボンと、硫化物系固体電解質としてLiS-P(質量比;LiS:P=70:30)とを、重量比率が負極活物質:硫化物系固体電解質=55:45となるように秤量した。そして、負極活物質100重量部に対してPVdF系バインダを6重量部、導電材(アセチレンブラック)を6重量部秤量した。これらを酪酸ブチルに固形分70重量%となるように調合し、攪拌機で混練することにより、負極活物質層形成用の組成物(負極スラリー)を得た。
(固体電解質の作製)
上記正負極スラリーに使用したものと同様の硫化物系固体電解質98重量部、SBR系バインダを2重量部秤量した。これらを、ヘプタン溶媒中に固形分70重量%となるように調合し、超音波分散装置を用いて2分間超音波分散処理することにより、固体電解質層形成用の組成物(固体電解質スラリー)を得た。
(電極体の作製)
上記正極スラリーをAl箔(正極集電体)の片面に塗工し、乾燥させることで、正極活物質層を形成した。次に、Cu箔(負極集電体)の片面に、上記負極スラリーを塗工し、乾燥させることで、負極活物質層を形成した。続いて、上記固体電解質スラリーを負極活物質層に塗工し、乾燥させることで、固体電解質層を形成した。そして、正極活物質層と負極活物質層との間に、固体電解質層が配置されるように積層して、プレスすることで、電極体を作製した。電極体を外装材に収納することで正常電池を作製した。
また、固体電解質層に直径50μm、長さ1mmのCuワイヤ(導電性異物)を添加した以外、正常電池と同様の方法で模擬異物混入電池1を作製した。さらに固体電解質層に直径100μm、長さ1mmのCuワイヤ(導電性異物)を添加した以外、正常電池と同様の方法で模擬異物混入電池2を作製した。
続いて、作製した正常電池、模擬異物混入電池1、模擬異物混入電池2に対し、検査電圧を印加し、検査電圧に対する応答電流の波形を得た。以下に各試験例の条件を示した。
実施例1では、波形を正弦波とし、周波数1kHz、振幅100V、1周期の条件で検査電圧をそれぞれの電池に印加した。
比較例1では、波形を矩形波とし、振幅100V、1msecの条件で検査電圧を、それぞれの電池に印加した。
実施例2では、波形を正弦波とし、周波数1kHz、振幅100V、0.1秒の条件で検査電圧をそれぞれの電池に印加した。
実施例3では、波形を正弦波とし、周波数100kHz、振幅100V、1周期の条件で検査電圧をそれぞれの電池に印加した。
そして、得られた応答電流の波形から異物検知ができているか否かを評価した。模擬異物混入電池1、2の両方に導電性異物が含まれていることを検知できた場合を「◎」、模擬異物混入電池2にのみに導電性異物が含まれていることを検知できた場合を「〇」、模擬異物混入電池1、2のいずれにも導電性異物が含まれていることを検知できなかった場合を「×」と評価した。
結果を表1に示した。表1の通り、実施例1の条件を用いた場合、適切に異物が混入された電池を検知することができた。比較例1の条件では矩形波を用いているため、何れの電池であっても、応答電流が過大となり導電性異物の検知ができなかった。実施例2、3の条件では、実施例1ほどの精度を有していないものの、導電性異物の検知が可能であった。
ここで、一例として、正常電池を用いた場合における実施例1の検査電圧及び応答電流の測定結果を図3に、模擬異物混入電池1を用いた場合における実施例1の検査電圧及び応答電流の測定結果を図4に示した。図3より、正常電池においては、電圧は正弦波の形のまま電極に伝達し、応答電流は電池のインピーダンスに応じた値で流れることがわかる。一方で、図4より、模擬異物混入電池1においては、電圧は正弦波から乱れ、応答電流は断続的に過大な値が流れることが観察できる。このように、検査電圧を印加し、応答電流の波形を得ることにより、導電性異物を検知することが可能となる。
[固体電解質層の絶縁破壊]
固体電解質層を絶縁破壊可能な検査電圧の大きさを検討した。図5に、固体電解質層の厚さと絶縁破壊電圧の関係を示した。図5に示した通り、固体電解質の厚さに比例して絶縁破壊電圧が増加し、1μm当たり50Vの電圧値になることがわかった。従って、この値より大きな検査電圧を印加すると正常電池であっても絶縁破壊が起き、過大電流が流れると考えられる。例えば、固体電解質層が2μmである場合は、検査電圧を100V未満にすることで正常電池は絶縁破壊を起こさないが、固体電解質層に導電性異物が含まれ、電極間の距離が短くなっている異物混入電池は絶縁破壊を起こす。
[インピーダンス測定]
次にインピーダンス測定による導電性異物の検査結果を示す。正常電池と模擬異物混入電池1を用い、実施例1の条件で検査電圧を印加する前後において、それぞれの電池の交流インピーダンスを測定した。インピーダンス測定は、周波数2MHzから0.1Hz、振幅10mVの条件で実施した。図6に結果を示した。
図6に示した通り、検査電圧印加前の電池の交流インピーダンスはいずれも同様であった。一方で、検査電圧印加後の正常電池の交流インピーダンスは、検査電圧印加前に比べて、若干の変化が生じた。また、模擬異物混入電池1の交流インピーダンスは、検査電圧印加前に比べて、大きく変化した。
検査電圧により絶縁破壊が生じている模擬異物混入電池1において、検査電圧印加前後の交流インピーダンスが大きく変化することは理解できる。一方で、正常電池においても、検査電圧印加前後の交流インピーダンスが変化している。これは、検査電圧の印加によって、電池内の欠陥、例えば固体電解質層の亀裂や正極・負極の剥離などが生じたためと考えられる。ただし、正常電池のように、交流インピーダンスの変化が所定の範囲内であれば問題にはならない。例えば、周波数0.1Hzにおける交流インピーダンスの変化が印加前±10%の範囲内であれば、問題ないと考えられる。
図6の結果より次のことがわかる。すなわち、検査電圧の印加による評価(導電性異物検査評価)が良好であったとしても、上記した電池内の欠陥は判定することができない。しかしながら、検査電圧印加前後の交流インピーダンスを測定することにより、電池内の欠陥による以上を検知することができる。従って、電極体の異常をさらに精度良く検知することができる。
10 電極体
12 正極
12a 正極集電体
12b 正極合材層
14 負極
14a 負極集電体
14b 負極合材層
16 固体電解質層

Claims (1)

  1. 電極体を含む全固体電池の製造方法であって、
    正極層と、負極層と、前記正極層及び前記負極層の間に配置される固体電解質層を含む前記電極体を準備する準備工程と、
    前記正極層と前記負極層との間に検査電圧を印加し、検査電圧に対する応答電流の波形を得る印加工程と、
    前記印加工程により得られた前記応答電流の波形により、前記電極体の良否を判定する判定工程と、を備え、
    前記検査電圧は実質的に単一周波数の正弦波である、
    全固体電池の製造方法。
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