JP2023097884A - 密封装置および軸受装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】密封装置において、回転時に低摩擦化が可能であると共に、組み込み容易性を向上させる。【解決手段】密封装置20は、外方部材の円筒内周面21に取り付けられる第一円筒部43および第一円環部44を有する金属部材41と、金属部材41に設けられている弾性部材42と、を有するシール40と、内方部材の円筒外周面22に取り付けられる第二円筒部26および第二円環部27を有するスリンガ25とを備える。シール40とスリンガ25とが対向配置された状態で前記外方部材と前記内方部材との間に組み込まれる。弾性部材42は、第二円筒部26に向かって延びるリップ46と、リップ46の先端に設けられている複数の突起47とを有する。第二円筒部26が円筒外周面22に取り付けられる前である未装着状態で、リップ46は第二円筒部26に対して隙間を介して対向し、前記未装着状態で、突起47は第二円筒部26に対して締め代を有して接触する。【選択図】 図2

Description

本発明は、密封装置、および密封装置を備える軸受装置に関する。
自動車において、車輪を支持する装置として車輪用軸受装置(ハブユニット)が知られている。車輪用軸受装置は、車体側に取り付けられる外方部材(外輪)と、車輪が取り付けられるフランジを有する内方部材(ハブ軸)と、これら外輪と内方部材との間に設けられる複数の転動体とを備える。転動体が存在する軸受内部に泥水などの異物が浸入することを防止するため、外輪と内方部材との間に形成される環状空間の軸方向両側に密封装置が設けられる(特許文献1参照)。
特開2014-109330号公報
車輪用軸受装置が有する車両インナ側の密封装置は、図10に示すように、外輪99に取り付けられるシール91と、内方部材98の一部に取り付けられるスリンガ95とを有する。シール91は、ゴム製の弾性部材92を有し、その弾性部材92は、径方向内方に延びるリップ93を有する。リップ93は、スリンガ95が有する円筒部96に締め代を有して接触する。なお、図10では、前記締め代の説明のために、リップ93を円筒部96に重ねて記載している。
近年、自動車の走行時におけるエネルギー消費の低減が要求されている。そのため、車輪用軸受装置においても低摩擦化が望まれている。前記のとおり、リップ93の締め代が大きくなると、軸受回転時における摩擦力(摩擦抵抗)が大きくなる。さらに、スリンガ95は、内方部材98の一部に圧入により取り付けられることから、スリンガ95の円筒部96は弾性変形して拡径する。すると、リップ93の締め代がさらに大きくなり、軸受回転時における摩擦力が大きくなる。
そこで、リップ93を円筒部96に非接触とする構成が考えられる。しかし、この場合、車輪用軸受装置の製造において、密封装置90を、外輪99と内方部材98との間に装着する際、下記のような不都合が生じることが考えられる。
シール91とスリンガ95とが対向配置した状態で、つまり、シール91とスリンガ95とをセットにした状態で、密封装置90は外輪99と内方部材98との間に組み込まれる。前記のとおり、リップ93がスリンガ95の円筒部96に非接触であると、密封装置90の組み込みの際、シール91とスリンガ95とが容易に分離してしまい、その組み込みに失敗する可能性がある。
シール91とスリンガ95とをセットにした状態で、密封装置90を車輪用軸受装置へ組み込むことを容易とするためには、円筒部96に対するリップ93の締め代を大きくすればよい。しかし、この場合、軸受回転時におけるリップ93と円筒部96との間の摩擦力が大きくなってしまう。以上のように、従来では、密封装置の組み込み容易性と、軸受回転時の低摩擦化との両立は困難であった。
そこで、本開示では、密封装置において、回転時に低摩擦化が可能であると共に、組み込み容易性を向上させることを目的とする。
本開示の密封装置は、外方部材の円筒内周面に取り付けられる第一円筒部および前記第一円筒部から径方向内方へ延びる第一円環部を有する金属部材と、前記金属部材に設けられている弾性部材と、を有するシールと、内方部材の円筒外周面に取り付けられる第二円筒部および前記第二円筒部から径方向外方へ延びる第二円環部を有するスリンガと、を備え、前記シールと前記スリンガとが対向配置された状態で前記外方部材と前記内方部材との間に組み込まれる密封装置であって、前記弾性部材は、前記第二円筒部に向かって延びるリップと、前記リップの先端に設けられている複数の突起と、を有し、前記第二円筒部が前記円筒外周面に取り付けられる前である未装着状態で、前記リップは前記第二円筒部に対して隙間を介して対向し、前記未装着状態で、前記突起は前記第二円筒部に対して締め代を有して接触する。
本開示の密封装置によれば、前記未装着状態で、弾性部材のリップは、スリンガの第二円筒部に対して隙間を介して対向する。このため、第二円筒部が、内方部材の円筒外周面に取り付けられることで、弾性変形して拡径しても、シールとスリンガとが相対回転した際に、第二円筒部とリップとの間の摺動抵抗が高くなることを抑えることができる。このため、回転時の低摩擦化が可能となる。しかも、前記未装着状態では、シールが有する弾性部材の複数の突起が、スリンガの第二円筒部に対して締め代を有して接触することで、突起と第二円筒部との間に作用する静止摩擦力によって、シールとスリンガと分離し難くなる。このため、密封装置の装着容易性が向上する。
(2)好ましくは、前記第二円筒部は、前記円筒外周面に取り付けられることで拡径方向に弾性変形可能であり、前記第二円筒部が前記円筒外周面に取り付けられた後である装着完了状態で、前記リップは前記第二円筒部に対して締め代を有しないで接触する。
この構成によれば、回転時の低摩擦化が実現可能となると共に、リップによるシール性能も確保される。
(3)前記装着完了状態でシールとスリンガとが相対回転すると、突起の先部は摩耗して円筒面に沿った面となる。つまり、前記相対回転が継続すると、前記突起は、その先端に、円筒面に沿った面を有する。突起の先部が摩耗して円筒面に沿った面となることで、第二円筒部との間の摩擦がさらに低減される。
(4)好ましくは、前記突起の幅は、前記突起の高さよりも大きい。この場合、突起と第二円筒部との間に作用する静止摩擦力を大きくすることが可能となり、シールとスリンガと分離し難くなる。つまり、シールとスリンガとの相互間の保持力が高くなる。
(5)本開示の軸受装置は、円筒内周面を有する外方部材と、円筒外周面を有する内方部材と、前記外方部材と前記内方部材との間に設けられている複数の転動体と、前記外方部材と前記内方部材との間に設けられている前記密封装置と、を備える。本開示の軸受装置によれば、前記密封装置を備えることで、回転時の低摩擦化が可能となり、しかも、外方部材と内方部材との間に対する密封装置の装着容易性が向上する。
本開示によれば、密封装置において、回転時に低摩擦化が可能であると共に、組み込み容易性が向上する。
図1は、本開示の軸受装置の一例を示す断面図である。 図2は、軸方向一方側の密封装置の断面図である。 図3は、シールの一部を示す斜視図である。 図4は、未装着状態のリップの先端部を示す拡大断面図である。 図5は、未装着状態のリップの先端部を示す拡大断面図である。 図6は、装着完了状態を示す断面図である。 図7は、突起の説明図である。 図8は、突起の変形例の説明図である。 図9は、軸受装置の回転が継続した後の突起を示す説明図である。 図10は、従来の密封装置の断面図である。
〔軸受装置について〕
図1は、本開示の軸受装置の一例を示す断面図である。図1に示す軸受装置10は、自動車に用いられる車輪用軸受装置(ハブユニット)である。軸受装置10は、自動車の車体に設けられている懸架装置に対して車輪を回転自在に支持する。軸受装置10は、円筒形状を有する外方部材、その径方向内側に位置する内方部材、および、これら外方部材と内方部材との間に設けられている複数の転動体を備える。本実施形態では、外方部材は外輪11であり、内方部材は内軸部材(ハブ軸)12であり、転動体は玉13である。
軸受装置10は、さらに、玉13を保持する環状の保持器14、および、二列の玉13が存在する軸受内部への異物の進入を防止する密封装置19,20を備える。外輪11と内軸部材12とは同心状に配置される。外輪11の中心線と内軸部材12の中心線とは一致し、その中心線を軸受装置10の中心線Cとする。本実施形態では、外輪11に対して内軸部材12が中心線C回りに回転可能となる。
本開示の説明に関して、前記中心線Cに沿う方向を「軸方向」と定義する。この軸方向に、中心線Cに平行な方向も含まれる。軸受装置10が車体に取り付けられた状態で、車両インナ側を軸方向一方側と定義し、車両アウタ側を軸方向他方側と定義する。前記中心線Cに直交する方向を「径方向」と定義する。前記中心線Cを中心とする円に沿った方向を「周方向」と定義する。内軸部材12が中心線C回りに回転する方向が「周方向」となる。
外輪11は、機械構造用炭素鋼または軸受鋼等により形成されている。外輪11は、円筒形状であり、その内周側の一部に、密封装置20の装着面となる円筒内周面21を有する。外輪11は、その外周側にフランジ11cを有し、フランジ11cはボルトにより車体側の懸架装置に固定される。外輪11の内周面に、複列(二列)の外側軌道11b1,11b2が設けられている。
内軸部材12は、内軸16と内輪17とを有する。内軸16および内輪17は、機械構造用炭素鋼または軸受鋼等により形成されている。内軸16は、軸方向に沿って延びる軸本体16aと、軸本体16aの軸方向他方側から径方向外方に突出するフランジ部16bとを有する。軸本体16aとフランジ部16bとは一体である。フランジ部16bに、車輪およびブレーキディスク(図示せず)が取り付けられる。
内輪17は、環状の部材である。内輪17は、内軸16の軸方向一方側の端部に固定される。内輪17は、軸本体16aに軸方向一方側から圧入され嵌合する。図1に示すように、軸本体16aの軸方向一方側の端部16cを径方向外方へ塑性変形させて加締めることによって、内輪17は内軸16に固定される。内輪17が、密封装置20の装着面となる円筒外周面22を有する。
軸本体16aの外周面の一部に、内側軌道16eが設けられている。内側軌道16eは、軸方向他方側の外側軌道11b2と対向する。内輪17の外周面に、内輪軌道17eが設けられている。内輪軌道17eは、軸方向一方側の外側軌道11b1と対向する。
玉13は、軸受鋼により形成されている。軸方向一方側の第一の列に含まれる複数の玉13が、外側軌道11b1と内輪軌道17eとの間に設けられている。軸方向他方側の第二の列に含まれる複数の玉13が、外側軌道11b2と内側軌道16eとの間に設けられている。
〔密封装置について〕
外輪11と内軸部材12との間に形成される環状空間の軸方向の両側に、密封装置19,20が装着されている。密封装置19,20は、外部から軸受内部に泥水などの異物が浸入することを防止する。密封装置19,20それぞれは全体として環状であり、密封装置19,20それぞれの中心線は、軸受装置10の中心線Cと一致する。図2は、軸方向一方側の密封装置20の断面図である。密封装置20は、シール40とスリンガ25とを備える。図2では、外輪11および内輪17を想像線(二点鎖線)で示している。
図2に示すようなシール40とスリンガ25とが対向配置された状態で、つまり、シール40とスリンガ25とをセットにした状態で、密封装置20は外輪11の軸方向の端部と内軸部材12が有する内輪17との間に組み込まれる。シール40は外輪11の軸方向の端部に装着され、スリンガ25は内軸部材12が有する内輪17に装着される。シール40と共にスリンガ25(後述の第二円筒部26)が、内輪17の円筒外周面22に取り付けられる前の状態を「未装着状態」と称する。シール40と共にスリンガ25(第二円筒部26)が内輪17の円筒外周面22に取り付けられた後の状態を「装着完了状態」と称する。
スリンガ25は、ステンレス鋼などの金属製であり、金属板が所定形状に折り曲げ形成されて製造される。スリンガ25は、第二円筒部26と第二円環部27とを有する。図2に示すスリンガ25は、さらに第三円筒部28を有し、スリンガ25に、着磁パルサリング29が装着されている。
第二円筒部26は、円筒形状を有し、内輪17の円筒外周面22に取り付けられる。第二円環部27は、円環形状を有する。第二円環部27は、第二円筒部26の軸方向一方側の端部35から径方向外方へ延びて設けられている。第三円筒部28は、円筒形状を有する。第三円筒部28は、第二円環部27の径方向外側の端部34から軸方向他方側へ延びて設けられている。着磁パルサリング29は、ゴム製であり、そのゴム部分は、第二円環部27および第三円筒部28を覆っている。
スリンガ25は金属製であることから、弾性変形可能であり、第二円筒部26は径方向について弾性変形可能である。未装着状態で、第二円筒部26の内径は、円筒外周面22の外径よりも小さい。このため、装着完了状態で、つまり、第二円筒部26は、円筒外周面22に取り付けられることで、拡径方向に弾性変形する。未装着状態での第二円筒部26の内径と円筒外周面22の外径との差の半分の値について、装着完了状態で第二円筒部26は半径方向に弾性変形して拡径する。
シール40は、金属部材41と弾性部材42とを有する。金属部材41は、ステンレス鋼などの金属製であり、金属板が所定形状に折り曲げ形成されて製造される。弾性部材42はゴム製であり、弾性を有する。
金属部材41は、第一円筒部43と第一円環部44とを有する。第一円筒部43は、円筒形状を有し、外輪11の円筒内周面21に取り付けられる。第一円環部44は、第一円筒部43の軸方向他方側の端部33から径方向内方へ延びて設けられている。第一円環部44は、その径方向の途中に、径方向内側に向かうにしたがって軸方向一方に傾斜する傾斜部32を有するが、第一円環部44は、全体として円環形状を有する。
弾性部材42は、金属部材41に設けられている。具体的に説明すると、弾性部材42は金属部材41に加硫接着されており、金属部材41と一体となっている。弾性部材42は、金属部材41を覆う被覆部49と、第二円環部27に接触可能である第一のリップ45と、第二円筒部26に接触可能である第二のリップ46とを有する。
第一のリップ45は、被覆部49の径方向内側部50から第二円環部27に向かって延びて設けられている。第一のリップ45は、径方向内側部50から、軸方向一方側に向かうにしたがって径方向外側(軸受外部側)に延びて設けられている。第一のリップ45は、締め代を有して第二円環部27に接触する。第一のリップ45は、軸方向一方側の軸受外部からの泥水などの異物が、軸受内部に浸入することを防ぐためのリップである。
スリンガ25の第二円環部27に接触するリップは、第一のリップ45のみである。前記のような異物が軸受内部に浸入することを防ぐためのリップとして、本実施形態の密封装置20は、一つの第一のリップ45のみを有する。異物が軸受内部に浸入することを防ぐために、スリンガ25に接近するにしたがって軸受外部側に向かうように延びて設けられているリップは、第一のリップ45以外に、存在しない。
異物が軸受内部に浸入することを防ぐために、第二円筒部26に接近するにしたがって軸方向一方側(軸受外部側)に向かうように延びて設けられ、かつ、第二円筒部26に接触するリップは、存在しない。後に説明するが、第二のリップ46は、グリースリップであり、第二円筒部26に接近するにしたがって軸方向他方側(軸受内部側)に向かうように延びて設けられている。
図2に示す本実施形態では、被覆部49のうち、第一円筒部43を被覆する円筒膜部49aと、スリンガ25の一部との間に、軸方向に長い筒状の隙間eが形成されている。スリンガ25の前記一部は、着磁パルサリング29のうち、第三円筒部28を被覆している円筒状の部分29aである。スリンガ25とシール40との間に、前記隙間eを一部に含むラビリンス隙間が形成されている。これにより、スリンガ25とシール40との間に異物が浸入し難く構成されている。
第二のリップ46は、被覆部49の径方向内側部50から第二円筒部26に向かって延びて設けられている。第二のリップ46は、径方向内側部50から、径方向内側に向かうにしたがって軸方向他方側(軸受内部側)に延びて設けられている。第二円筒部26は、シール40の金属部材41の径方向内方に位置する。第二のリップ46は、玉13が設けられている軸受内部のグリースが、第二円筒部26の外周面26aを通じて、軸受外部側に漏れ出るのを防ぐためのリップであり、グリースリップとも呼ばれる。密封装置20において、第二円筒部26に接触するリップはグリースリップである第二のリップ46のみである。以下の説明では、第二のリップ46を単に「リップ46」と称する場合がある。
弾性部材42は、リップ46の内周側の先端に設けられている複数の突起47を有する。図3は、シール40の一部を示す斜視図である。突起47は、環状であるリップ46の先端46aに沿って、周方向について間隔をあけて複数設けられている。本実施形態では、突起47は、周方向について等間隔をあけて複数設けられている。
図4は、未装着状態のリップ46の先端部を示す拡大断面図である。図4に示す断面は、中心線C(図1参照)を含み、かつ、一つの突起47を通過する面における断面である。なお、図4では説明を容易にするため、突起47を実際よりも大きく(誇張して)示している。図5は、未装着状態のリップ46の先端部を示す拡大断面図である。図5に示す断面は、中心線C(図1参照)を含みかつ突起47以外の部分51(図3参照)を通過する面における断面である。図4および図5は共に、スリンガ25(図2参照)の第二円筒部26が、円筒外周面22に取り付けられる前である未装着状態を示す。
図4に示すように、突起47は、リップ46の先端46aから径方向内方に突出して設けられている。複数の突起47の形状は全て同じである。複数の突起47の径方向内側の端47eを通過する仮想円K1の直径d1は、未装着状態における第二円筒部26の外周面26aの外径D1よりも小さい(d1<D1)。このため、未装着状態で、突起47は第二円筒部26に対して締め代を有して接触する。
これに対して、図5に示すように、未装着状態で、リップ46の突起47以外の部分51は、第二円筒部26に対して隙間αを介して対向する。つまり、リップ46のうち、突起47以外の部分51の先端46aの内径d2は、未装着状態における第二円筒部26の外周面26aの外径D1よりも大きい(d2>D1)。
図6は、スリンガ25の第二円筒部26が、円筒外周面22(図2参照)に取り付けられた後である装着完了状態を示す断面図である。前記のとおり、装着完了状態では、未装着状態と比較して、第二円筒部26は弾性変形して拡径する。装着完了状態における第二円筒部26の外周面26aの外径を「D2」とする(D2>D1)。外径D2は、内輪17(図2参照)の外径D0に、第二円筒部26の板厚tの2倍を加えた値と同じとなる。
図6に示すように、装着完了状態で、リップ46(突起47以外の部分51の先端46a)は第二円筒部26に対して接触する。本実施形態では、装着完了状態で、リップ46は第二円筒部26に対して締め代を有しないで接触する。突起47以外の部分51では、第二円筒部26の外周面26aに対するリップ46の締め代がゼロであることから、外周面26aに対するリップ46の接触態様は、ゼロタッチと称される。
ここで、リップ46に関する前記「締め代を有しない」、つまり、リップ46の「ゼロタッチ」について説明する。「締め代を有しない」「ゼロタッチ」は、次の条件1または条件2を満たす場合であると説明できる。
<条件1>
内輪17(図2)の外径D0に第二円筒部26の板厚tの2倍を加えた値が、リップ46のうち、突起47以外の部分51の先端46aの内径d2と一致する条件。
<条件2>
装着完了状態で、環状であるリップ46の先端46aに向かって、光を軸方向一方から照射した場合に、軸方向他方から観察すると、周方向に沿って、その光が見える領域と、その光が見えない領域とが存在する条件。
条件1は、設計図面に基づいて判断することが可能である。条件2は、実際では各部に製造誤差が生じたり、組み立て寸法誤差が生じることに基づく条件であり、ゼロタッチであれば、理論上、光は全周にわたって見えないはずであるが、前記誤差などによって想定される条件である。
なお、条件2に関連して、ゼロタッチではない場合について参考として説明する。前記光が全周にわたって完全に見える場合、リップ46の先端46aと第二円筒部26の外周面26aとの間に、全周にわたって隙間が形成されていて、ゼロタッチではなく、締め代はマイナスの値であると言える。これとは反対に、前記光が全周にわたって見えない場合、前記誤差を考慮すると、リップ46の先端46aは、第二円筒部26の外周面26aにプラスの値の締め代を有して接触していると考えられ、ゼロタッチではない。
図7は、突起47の説明図である。図7は、突起47およびその周囲を軸方向から見た図である。突起47は、リップ46の環状である先端46aから径方向内側に突出している部分である。本実施形態では、突起47の幅Wは、突起47の高さHよりも大きい(W>H)。突起47の幅Wは、周方向に沿った幅寸法である。突起47の高さHは、先端46aから突起47の径方向内側の端47eまでの密封装置20の径方向に沿った寸法である。
本実施形態では、突起47は、球面に沿った形状を有する。これは、リップ46を含む弾性部材42は金型によって成形されるためである。つまり、その金型の一部に、極細のボールエンドミルによって球面に沿った形状の凹部を形成し、その凹部に、弾性部材42を構成するゴム材料が充填され、それが硬化することで球面に沿った突起47が形成される。これにより、微小な突起47を容易に形成することが可能となる。
図8は、突起47の変形例の説明図である。図8に示す変形例では、突起47の高さHが、突起47の幅Wよりも大きい(H>W)。この場合、後にも説明するが、突起47の先部が摩耗によって消失しやすい。
または、図示しないが、突起47の高さHが、突起47の幅Wと同じであってもよい(H=W)。
突起47の形状は、球面に沿った形状(図7参照)以外に、他であってもよく、例えば断面が台形または三角形状(図8参照)となる突起47であってもよい。
密封装置20が軸受装置10に装着され、軸受装置10が回転すると、シール40とスリンガ25とは相対的に回転する。装着完了状態で、突起47は締め代を有して、第二円筒部26に接触する。このため、突起47の先部は徐々に摩耗し、突起47の先部はやがて摩耗して円筒面に沿った平滑な面48となる(図9参照)。つまり、軸受装置10の回転が継続すると、突起47は、その先端に、円筒面に沿った面48を有する。図9は、軸受装置10の回転が継続した後の突起47を示す説明図である。円筒面に沿った面48は摩耗面である。継続使用すると、突起47は、その周囲に先側に向かって小さくなる側面53と、その先端に円筒面に沿った面48とを有する。
〔本実施形態の密封装置20について〕
以上のように、本実施形態の密封装置20は、シール40とスリンガ25とを備える。シール40は、外輪11の円筒内周面21に取り付けられる第一円筒部43および第一円環部44を有する金属部材41と、金属部材41に設けられている弾性部材42とを有する。スリンガ25は、内軸部材12が有する内輪17の円筒外周面22に取り付けられる第二円筒部26および第二円環部27を有する。シール40とスリンガ25とが対向配置された状態で、密封装置20は外輪11と内輪17との間に組み込まれる。
弾性部材42は、第二円筒部26に向かって延びるリップ46と、リップ46の先端46aに設けられている複数の突起47とを有する。図5に示すように、未装着状態で、リップ46(突起47以外の部分51)は第二円筒部26に対して隙間αを介して対向する。図4に示すように、未装着状態で、突起47は第二円筒部26に対して締め代を有して接触する。
本実施形態の密封装置20によれば、未装着状態で(図5参照)リップ46(突起47以外の部分51)は第二円筒部26に対して隙間αを介して対向する。このため、第二円筒部26が内輪17の円筒外周面22に取り付けられることで弾性変形して拡径しても(図6参照)、軸受回転に伴って、シール40とスリンガ25とが相対回転した際に、第二円筒部26とリップ46との間の摺動抵抗が高くなることを抑えることができる。このため、回転時の低摩擦化が可能となる。
しかも、未装着状態では(図4参照)複数の突起47が第二円筒部26に対して締め代を有して接触する。シール40とスリンガ25とが対向配置された状態で、密封装置20は外輪11と内輪17との間に組み込まれるが、複数の突起47と第二円筒部26との間に作用する静止摩擦力によって、シール40とスリンガ25と分離し難くなる。このため、密封装置20の装着容易性が向上する。
各突起47は微小であり、第二円筒部26との接触範囲は極小さく、突起47と第二円筒部26との間の摺動抵抗は極小さい。また、軸受装置10の回転が継続すると、突起47の先端が摩耗して締め代がやがて消失し、突起47による摺動抵抗がゼロに近づく。未装着状態における突起47の前記締め代は、密封装置20の中心線を鉛直方向とし、シール40とスリンガ25とのうちの一方の部材を上位置、他方の部材を下位置とした場合に、前記一方の部材を保持した際に、前記他方の部材をその自重によって落下させないだけの静止摩擦力を生じさせ得る締め代である。
図6に示すように、装着完了状態で、リップ46は第二円筒部26に対して締め代を有しないで接触する。このため、回転時の低摩擦化が実現可能となると共に、リップ46による、グリースリップとしてのシール性能も確保される。
装着完了状態でシール40とスリンガ25とが相対回転すると、突起47の先端は摩耗して円筒面に沿った面48となる(図9参照)。つまり、前記相対回転が継続すると、突起47は、その先端に、円筒面に沿った面48を有する。突起47の先端が摩耗して円筒面に沿った面48となることで、前記締め代がやがて消失し、第二円筒部26との間の摩擦がさらに低減される。
図7に示す形態では、突起47の幅Wは突起47の高さHよりも大きい。この場合、突起47の幅Wが突起47の高さHよりも小さい場合(図8)と比較して、突起47と第二円筒部26との間に作用する静止摩擦力を大きくすることが可能となり、シール40とスリンガ25と分離し難くなる。つまり、シール40とスリンガ25との相互間の保持力が高くなる。
以上のような本実施形態の密封装置20を備える軸受装置10では、回転時の低摩擦化が可能となり、自動車におけるエネルギー消費の低減に貢献する。
〔その他〕
前記の密封装置20は、車輪用軸受装置以外の軸受装置に用いられてもよい。
突起47の数は変更可能であるが、突起47は周方向に沿って間隔をあけて(等間隔で)3つ以上設けられるのが好ましい。
図3に示すように、本実施形態では、突起47は複数箇所に点状となって(ピンポイント)で設けられているが、突起47は周方向に長い形態を有していてもよい。
今回開示した実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された構成と均等の範囲内でのすべての変更が含まれる。
10 軸受装置
11 外輪(外方部材)
12 内軸部材(内方部材)
13 玉(転動体)
20 密封装置
21 円筒内周面
22 円筒外周面
25 スリンガ
26 第二円筒部
27 第二円環部
40 シール
41 金属部材
42 弾性部材
43 第一円筒部
44 第一円環部
46 第二のリップ(リップ)
46a 先端
47 突起
48 円筒面に沿った面

Claims (5)

  1. 外方部材の円筒内周面に取り付けられる第一円筒部および前記第一円筒部から径方向内方へ延びる第一円環部を有する金属部材と、前記金属部材に設けられている弾性部材と、を有するシールと、
    内方部材の円筒外周面に取り付けられる第二円筒部および前記第二円筒部から径方向外方へ延びる第二円環部を有するスリンガと、
    を備え、
    前記シールと前記スリンガとが対向配置された状態で前記外方部材と前記内方部材との間に組み込まれる密封装置であって、
    前記弾性部材は、前記第二円筒部に向かって延びるリップと、前記リップの先端に設けられている複数の突起と、を有し、
    前記第二円筒部が前記円筒外周面に取り付けられる前である未装着状態で、前記リップは前記第二円筒部に対して隙間を介して対向し、
    前記未装着状態で、前記突起は前記第二円筒部に対して締め代を有して接触する、
    密封装置。
  2. 前記第二円筒部は、前記円筒外周面に取り付けられることで拡径方向に弾性変形可能であり、
    前記第二円筒部が前記円筒外周面に取り付けられた後である装着完了状態で、前記リップは前記第二円筒部に対して締め代を有しないで接触する、請求項1に記載の密封装置。
  3. 前記突起は、その先端に、円筒面に沿った面を有する、請求項1または請求項2に記載の密封装置。
  4. 前記突起の幅は、前記突起の高さよりも大きい、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の密封装置。
  5. 円筒内周面を有する外方部材と、円筒外周面を有する内方部材と、前記外方部材と前記内方部材との間に設けられている複数の転動体と、前記外方部材と前記内方部材との間に設けられている密封装置と、を備え、
    前記密封装置は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の密封装置である、軸受装置。
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