JP2023095653A - 作業車 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、電動モータを用いた場合には、操作速度を減速するために用いるギヤ噛合箇所でのバックラッシュによる位置の不安定さや、フィードバックの感度によってはチャタリングが発生するなどの問題がある点で改善の余地がある。このようなギヤ噛合箇所でのバックラッシュ発生を回避するための手段として、例えば二枚重ねにした特殊構造のギヤを用いた場合には、組付け分解時の調整の煩わしさや、構造の複雑さを招くなどの問題がある。
動力出力用の静油圧式無段変速装置と、
変速操作用の電動モータと、
前記電動モータの変速操作軸と前記静油圧式無段変速装置のトラニオン軸とを連係する連係機構と、が備えられ、
前記連係機構に、第一ギヤを有し、前記変速操作軸に連係する第一連係部と、前記第一ギヤに対して噛合する第二ギヤを有し、前記トラニオン軸に連係する第二連係部と、が備えられ、
前記第一ギヤの回転方向とは逆の回転方向において前記第一ギヤの歯面と前記第二ギヤの歯面が当接するように、前記第二ギヤを前記第一ギヤに押しつけ付勢する付勢機構が備えられたものである。
したがって、二枚重ねのギヤ伝動機構などの複雑な構造を要することなく、第一ギヤと第二ギヤとを、常に歯面同士が当接する状態にして変速操作でき、電動モータの変速操作軸から静油圧式無段変速装置のトラニオン軸への操作を安定良く行わせることができる利点がある。
前記付勢機構に、前記トラニオン軸と一体に揺動する揺動アームと、前記トラニオン軸の軸心と平行な軸心回りで揺動作動する操作体と、が備えられ、
前記揺動アームにカムが備えられ、
前記操作体にカムフォロワが備えられ、
前記カムフォロワを前記カムに向けて付勢する付勢バネが備えられ、
前記付勢バネ及び前記カムフォロワによる前記カムへの押圧作用に伴う前記揺動アームの揺動方向が、前記第二ギヤの歯面を前記第一ギヤの歯面に近づける方向であると好適である。
前記操作体に備えたカムフォロワを、前記トラニオン軸と一体に揺動する揺動アームに形成されたカムに向けて付勢する付勢バネが備えられ、
前記付勢バネは、前記操作体を支持する軸部に巻回された状態で、前記ケーシングに内装されたトーションバネであると好適である。
尚、本実施形態での説明における前後方向及び左右方向は、特段の説明がない限り、次のように記載している。つまり、本発明を適用した作業車の作業走行時における前進側の進行方向(図1における矢印F参照)が「前」、後進側への進行方向(図1における矢印B参照)が「後」、その前後方向での前向き姿勢を基準としての右側に相当する方向(図3における矢印R参照)が「右」、同様に左側に相当する方向(図3における矢印L参照)が「左」である。
図1は、本発明の実施形態にかかる静油圧式無段変速装置12が装備された作業車の一例であるトラクタの全体を示す側面図である。この図に示すように、トラクタは、左及び右の前車輪1Fが操向及び駆動自在に装備され、左及び右の後車輪1Rが駆動自在に装備された車体1を備えている。車体1の前部に原動部2が設けられ、車体1の後部に運転キャビン30付きの運転部3が設けられている。車体1は、前車輪1F及び後車輪1Rに、原動部2及び運転部3を支持させる車体フレーム10を備えている。
ミッションケース13は後車輪1Rに支持されている。このミッションケース13の後部に揺動昇降操作自在に設けた左右一対のリフトアーム14を有したリンク機構15、及び車体フレーム10の後部に設けた動力取り出し軸16が備えられている。
主変速レバー33は、左右の後輪フェンダ37のうちの、左側の後輪フェンダ37の前面に配設され、運転座席31に塔座した姿勢で運転者が操作可能であるように配設されている。シャトルレバー34は、ステアリングハンドル32を取り付けたハンドルポスト38の左側部に装備されており、運転座席31に塔座した姿勢の運転者が左手で操作可能であるように設けてある。
エンジン20の動力が伝えられる静油圧式無段変速装置12では、アキシャルプランジャ型の油圧ポンプ(図外)及び油圧モータ(図外)を備えている。油圧ポンプの斜板角(図外)が変更調節されることにより油圧モータ(図外)から出力される出力軸(図外)の回転数が変更される。この出力軸の変速された動力をミッションケース13に伝達するように構成されている。
油圧ポンプの斜板角の変更は、静油圧式無段変速装置12の外壁12aから横外方へ突出するトラニオン軸12bの正逆方向の回動操作によって行われる。トラニオン軸12bの回動操作は、静油圧式無段変速装置12の外部に設けた電動アクチュエータとしての正逆転可能な電動モータ4によって行われる。
ECU35は電源部36に接続されており、電源部36から制御用の電力が供給されている。ECU35からの制御信号がCAN通信によって電動モータ4に送信される。電動モータ4には電源部36からの駆動用の電力が供給されており、ECU35からの制御信号に基づいて、トラニオン軸12bを正逆方向に回動操作して、静油圧式無段変速装置12の斜板角度を変更する。
シャトルレバー34は、無段階ではなく、前進位置FF、中立位置NN、後進位置RR、の予め設定された三位置に操作位置を切り換え可能に構成されている。シャトルレバー34が上記三位置のうちの何れの操作位置に切り換えられたかが、シャトルレバー34のボリューム34aで検出される。このボリューム34aでの操作位置の検出信号が指令された進行方向を示す信号としてECU35に入力される。
電動モータ4では、ECU35からの制御信号に基づいて、トラニオン軸12bを正逆方向に回動操作して、指令された駆動速度で指令された進行方向への駆動が行われるように、静油圧式無段変速装置12の作動を制御する。
図1、図3、及び図4に示されるように、静油圧式無段変速装置12の右横側方の外壁12aに、中継操作装置5が取り付けられている。
この中継操作装置5は、電動モータ4による変速操作を静油圧式無段変速装置12に伝えるためのものであり、次のように構成されている。
これらの連係機構5Aと付勢機構5Bとは、共通のケーシング50に内装されている。ケーシング50は、静油圧式無段変速装置12の外壁12aに対して止めボルト17等の固定具を用いて脱着可能に固定されている。
電動モータ4には、ローターやステータを内装するモータケース40と、モータケース40から突出する変速操作軸41と、が備えられている。モータケース40が、ケーシング50のうちの、後述するケーシング蓋部50bの外側に連結固定されている。モータケース40から突出する変速操作軸41が、ケーシング蓋部50bを貫いて、ケーシング50のうちの、ケーシング本体50a内部に突入する状態で設置されている。
カム51aは、静油圧式無段変速装置12のトラニオン軸12bが中立位置に位置している状態では、図4及び図5に示すように、トラニオン軸12bの軸心P2と変速操作軸41の軸心P1とを結ぶ仮想線分a1を境にした線対称であるように形成されている。
そして、トラニオン軸12bの軸心P2に近く板厚が大である肉厚箇所と、軸心P2から遠く板厚が小である薄肉箇所との境界となる段差部分に前記カム51aが形成され、そのカム51aの存在箇所よりもトラニオン軸12bの軸心P2から遠い箇所であるところの、揺動アーム51の端縁部分に、従動ギヤ52が形成されている。
操作体55には、カムフォロワ56をカム51aに向けて付勢する付勢バネ57が備えられている。付勢バネ57はトーションバネによって構成され、中間部が偏心輪部分54を巻回する状態で軸部53に装着され、一端部がカムフォロワ56の軸部56aに巻回され、他端部がケーシング50の周壁内面に当接している。
この構造により、ケーシング50の周壁内面が付勢バネ57の他端部に対する反力受けとなり、付勢バネ57の一端部がカムフォロワ56をカム51aに対して常に押し付ける方向に付勢している。
付勢バネ57の付勢力は、揺動アーム51を強制的に揺動させてトラニオン軸12bを中立に戻すほどの付勢力を有したものではなく、駆動ギヤ42と従動ギヤ52との間におけるバックラッシュ分だけ揺動アーム51を揺動させ得る程度の付勢力を有したものである。
操作体55を支持する軸部53には、偏心輪部分54が一体に形成されている。この偏心輪部分54を軸心P3回りで回動させることにより、偏心輪部分54を巻回する状態で装着されている付勢バネ57の付勢方向を微調節し、カム51aに対するカムフォロワ56の対応位置を微調節することができる。
図3に示すように、ケーシング本体50aの底部が静油圧式無段変速装置12の外壁12aに対向する状態で、ケーシング50が静油圧式無段変速装置12に固定される。電動モータ4はケーシング蓋部50bに固定されており、ケーシング50とともに静油圧式無段変速装置12に対して脱着することができる。
図2及び図5乃至図7に基づいて、電動モータ4の変速操作をトラニオン軸12bに伝える際の、中継操作装置5での動作形態について説明する。
この状態において、中継操作装置5のカムフォロワ56をカム51aに向けて付勢する付勢バネ57付勢力f1の作用方向は、トラニオン軸12bの軸心P2と変速操作軸41の軸心P1とを結ぶ線分a1と合致する位置で、トラニオン軸12bの軸心P2が存在する側に向いている。
このとき、カムフォロワ56に当接する位置におけるカム51aの反力の方向は、図5に示す反力f2,f2の方向である。反力f2,f2の作用方向は、前記線分a1を挟んで互いに逆向きにほぼ等角度で交差しているので、揺動アーム51は、トラニオン軸12bの軸心P2回りで時計方向にも反時計方向にも揺動せず、中立位置に保たれる。
このとき、カムフォロワ56に当接する位置におけるカム51aの反力の方向は、図6に示す反力f2の方向である。
反力f2の作用方向は、前記線分a1の片側、図6中では左側に向いている。このとき、操作体55の軸心P3からカムフォロワ56までの距離は一定であるため、カムフォロワ56に作用している反力f2の向き(左方向)とは逆に、相対的に右方向へ揺動アーム51を引き寄せるように作用し、図中の拡大部分に示すように、揺動アーム51側の従動ギヤ52が駆動ギヤ42の歯面に当接する方向faに寄せられて、この位置を保つ状態となる。つまり、前進走行中は、常に揺動アーム51側の従動ギヤ52が駆動ギヤ42の歯面に当接した状態で駆動され、ほとんどバックラッシュが生じない状態で駆動される。
このとき、カムフォロワ56に当接する位置におけるカム51aの反力の方向は、図6に示す反力f2の方向である。
反力f2の作用方向は、前記線分a1の片側、図7中では右側に向いている。このとき、操作体55の軸心P3からカムフォロワ56までの距離は一定であるため、カムフォロワ56に作用している反力f2の向き(右方向)とは逆に、相対的に左方向へ向けて揺動アーム51を押すように作用し、図中の拡大部分に示すように、揺動アーム51側の従動ギヤ52が駆動ギヤ42の歯面に当接する方向faに寄せられて、この位置を保つ状態となる。つまり、後進走行中は、常に揺動アーム51側の従動ギヤ52が駆動ギヤ42の歯面に当接した状態で駆動され、ほとんどバックラッシュが生じない状態で駆動される。
以下に、別実施形態を示す。下記の各別実施形態は、矛盾が生じない限り、複数組み合わせて用いてもよい。なお、本発明の範囲は、これらの実施形態の内容に限定されるものではない。
例えば、第一連係部G1に複数個のギヤを備えたり、第二連係部G2に複数個のギヤを備えたり、あるいは第一連係部G1と第二連係部G2との双方に複数個のギヤを備えたものであってもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
また、静油圧式無段変速装置12のモータが、トラクタに備えた副変速機構として用いられるものであっても差し支えない。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
5A 連係機構
5B 付勢機構
6 センサ
12 静油圧式無段変速装置
12b トラニオン軸
41 変速操作軸
42 第一ギヤ(駆動ギヤ)
50 ケーシング
51 揺動アーム
51a カム
52 第二ギヤ(従動ギヤ)
55 操作体
56 カムフォロワ
57 付勢バネ
G1 第一連係部
G2 第二連係部
P1 軸心
P2 軸心
P3 軸心(揺動支点)
a1 仮想線分
b1 線分
b2 線分
Claims (11)
- 動力出力用の静油圧式無段変速装置と、
変速操作用の電動モータと、
前記電動モータの変速操作軸と前記静油圧式無段変速装置のトラニオン軸とを連係する連係機構と、が備えられ、
前記連係機構に、前記変速操作軸に連係する第一連係部と、前記トラニオン軸に連係する第二連係部と、が備えられ、
前記第一連係部に備えた第一ギヤに対して噛合する前記第二連係部の第二ギヤを、前記第一ギヤの回転方向とは逆の回転方向において、歯面同士が当接するように前記第一ギヤに押しつけ付勢する付勢機構が備えられた作業車。 - 前記付勢機構に、前記トラニオン軸と一体に揺動する揺動アームと、前記トラニオン軸の軸心と平行な軸心回りで揺動作動する操作体と、が備えられ、
前記揺動アームにカムが備えられ、
前記操作体にカムフォロワが備えられ、
前記カムフォロワを前記カムに向けて付勢する付勢バネが備えられ、
前記付勢バネ及び前記カムフォロワによる前記カムへの押圧作用に伴う前記揺動アームの揺動方向が、前記第二ギヤの歯面を前記第一ギヤの歯面に近づける方向である請求項1記載の作業車。 - 前記第二ギヤと前記カムとは、前記トラニオン軸の軸心方向での位置が互いに異なる箇所において、前記揺動アームに形成されている請求項2記載の作業車。
- 前記トラニオン軸と前記変速操作軸とを結ぶ仮想線分に直交する方向において、前記トラニオン軸の軸心を通る線分と、前記変速操作軸の軸心を通る線分との間隔内に、前記操作体の揺動支点が設けられている請求項2又は3記載の作業車。
- 前記静油圧式無段変速装置の外壁に、前記連係機構及び前記付勢機構を内装するケーシングが取り付けられている請求項1~4のいずれか一項記載の作業車。
- 前記電動モータは前記ケーシングの外部で前記ケーシングに支持されている請求項5記載の作業車。
- 前記静油圧式無段変速装置の斜板角度を検出するセンサが前記ケーシングに支持されている請求項5又は6記載の作業車。
- 前記付勢機構に、前記トラニオン軸の軸心と平行な軸心回りで揺動作動する操作体が備えられ、
前記操作体に備えたカムフォロワを、前記トラニオン軸と一体に揺動する揺動アームに形成されたカムに向けて付勢する付勢バネが備えられ、
前記付勢バネは、前記操作体を支持する軸部に巻回された状態で、前記ケーシングに内装されたトーションバネである請求項5~7のいずれか一項記載の作業車。 - 前記前記トーションバネは、前記カムフォロワに作用する反力を受ける側の端部が前記ケーシングに支持されている請求項8記載の作業車。
- 前記静油圧式無段変速装置のポンプが、トラクタに備えた主変速機構であり、前記トラニオン軸は、前記ポンプの斜板角度を変更するものである請求項1~9のいずれか一項記載の作業車。
- 前記静油圧式無段変速装置のモータが、前記トラクタに備えた副変速機構である請求項10記載の作業車。
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