JP2023094288A - 靴底用部材、靴、及び、靴底用部材の製造方法 - Google Patents

靴底用部材、靴、及び、靴底用部材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 ポリウレタン樹脂を含有する接着層を介した第2靴底部材と第3靴底部材との接着強度が向上されている靴底用部材などを提供することを課題としている。【解決手段】 靴の底部に配置される第1靴底部材と、前記第1靴底部材よりも着用者の足裏側に配置される第2靴底部材と、前記第1靴底部材及び前記第2靴底部材の間に配置された第3靴底部材とを備え、ポリウレタン樹脂を含有する接着層を介して、前記第2靴底部材と前記第3靴底部材とが接着されており、前記第3靴底部材が、スチレン-ブタジエンゴムと乾式シリカとを少なくとも含むゴム組成物の架橋体である、靴底用部材などを提供する。【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば、靴の底部に配置されて使用される靴底用部材に関する。また、本発明は、上記の靴底用部材を備える靴、及び、上記の靴底用部材の製造方法に関する。
従来、靴底用部材を備えた靴が知られている。この種の靴は、例えば、靴の底部に配置される第1靴底部材と、該第1靴底部材よりも着用者の足裏側に配置される第2靴底部材とを有する靴底用部材を備える。第1靴底部材及び第2靴底部材は、含有するゴム種が互いに異なるゴム組成物でそれぞれ形成されている。換言すると、この種の靴は、例えば、第1靴底部材と第2靴底部材とが積層されたゴム積層体を靴底用部材として備える。
ゴム積層体としては、靴底用部材ではないものの、例えば、未加硫ゴム組成物からなる少なくとも2層の未加硫ゴム層が加硫接着されたものが知られている(例えば、特許文献1)。
特許文献1に記載のゴム積層体では、少なくとも1層の前記未加硫ゴム層が、ゴム成分の全量を100重量部としたとき、非ジエン系ゴムを50重量部以上含有する未加硫ゴム組成物からなる。また、特許文献1に記載のゴム積層体は、未加硫ゴム層のうち少なくとも一方の貼り合わせ面に、脂肪酸亜鉛または脂肪酸銅を塗布する塗布工程と、脂肪酸亜鉛または脂肪酸銅を塗布した貼り合わせ面が界面側となるように2層の前記未加硫ゴム層を貼り合わせた後、加硫接着する加硫接着工程とを経て製造されている。
特許文献1に記載のゴム積層体では、2層の間の界面接着性が向上されている。
特開2012-121302号公報
ところで、靴底で用いられる一般的な靴底用部材も、上記のゴム積層体と同様に積層構造を有し、例えば外側に配置される第1靴底部材と足裏側に配置される第2靴底部材とが積層されている。この種の靴底用部材において、例えばアウターソールである第1靴底部材は、スチレン-ブタジエンゴムなどを含むゴム組成物の架橋体である。この種の靴底用部材は、ポリウレタン樹脂を含む一般的なウレタン樹脂系接着剤によって第1靴底部材と第2靴底部材とが接着されて製造される場合が比較的多い。
しかしながら、例えばミッドソール又はアッパー材である第2靴底部材と、上記のごとき第1靴底部材とを一般的なウレタン樹脂系接着剤で単に接着しても、第1靴底部材と第2靴底部材との間の接着強度が必ずしも大きくならない。
これに対して、第1靴底部材と第2靴底部材とを強固に接着させるべく、これら部材の間に第3靴底部材をさらに配置して、斯かる第3靴底部材を介して第1靴底部材と第2靴底部材とを貼り合わせた積層体を靴底用部材として用いることが考えられる。第3靴底部材に含まれる成分を特定材料にすることによって、一般的なウレタン樹脂系接着剤の含有成分が、第3靴底部材に含まれる成分との間で良好な接着性能を発揮できると考えられる。これにより、第3靴底部材を介して第1靴底部材と第2靴底部材とを良好な接着強度で接着できると考えられる。特に、例えばミッドソール又はアッパー材などの第2靴底部材の材質は、様々な材質である場合が多いため、第2靴底部材の材質に影響されず一般的なウレタン樹脂系接着剤によって第2靴底部材と第3靴底部材とが十分な接着強度で接着されることが望まれている。
このように、一般的に使用されるウレタン樹脂系接着剤によって第2靴底部材が比較的良好な接着強度で接着された靴底用部材が要望されている。換言すると、ポリウレタン樹脂を含有する接着層を介した第2靴底部材と第3靴底部材との接着強度が向上されている靴底用部材が要望されている。さらに換言すると、一般的に使用されるウレタン樹脂系接着剤によって第2靴底部材と第3靴底部材とを接着することで、両部材の間における接着強度が向上されている靴底用部材が要望されている。
そこで、ポリウレタン樹脂を含有する接着層を介した第2靴底部材と第3靴底部材との接着強度が向上されている靴底用部材、及び、該靴底用部材を備える靴が要望されている。また、ポリウレタン樹脂を含有する接着層を介した第1靴底部材と第2靴底部材との接着強度を向上させる靴底用部材の製造方法が要望されている。
上記の問題点、要望点等に鑑み、本発明は、ポリウレタン樹脂を含有する接着層を介した第2靴底部材と第3靴底部材との接着強度が向上されている靴底用部材を提供することを課題とする。
また、本発明は、上記靴底用部材を備える靴を提供することを課題とする。
また、本発明は、ポリウレタン樹脂を含有する接着層を介した第1靴底部材と第2靴底部材との接着強度が向上された靴底用部材を製造できる、靴底用部材の製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決すべく、本発明に係る靴底用部材は、
靴の底部に配置される第1靴底部材と、前記第1靴底部材よりも着用者の足裏側に配置される第2靴底部材と、前記第1靴底部材及び前記第2靴底部材の間に配置された第3靴底部材とを備え、
ポリウレタン樹脂を含有する接着層を介して、前記第2靴底部材と前記第3靴底部材とが接着されており、
前記第3靴底部材が、スチレン-ブタジエンゴムと乾式シリカとを少なくとも含むゴム組成物の架橋体であることを特徴とする。
本発明に係る靴は、上記の靴底用部材を備える。
本発明に係る靴底用部材の製造方法は、靴の底部に配置される第1靴底部材と、前記第1靴底部材よりも着用者の足裏側に配置される第2靴底部材と、前記第1靴底部材及び前記第2靴底部材の間に配置された第3靴底部材とを備える靴底用部材の製造方法であって、
スチレン-ブタジエンゴムとシリカとを少なくとも含むゴム組成物に架橋処理を施すことによって前記第3靴底部材を作製する工程と、
ポリウレタン樹脂を含有する接着剤によって前記第2靴底部材と前記第3靴底部材とを接着する工程と、を備える。
本発明に係る靴底用部材及び靴では、ポリウレタン樹脂を含有する接着層を介した第2靴底部材と第3靴底部材との接着強度が向上されている。本発明に係る靴底用部材の製造方法は、ポリウレタン樹脂を含有する接着層を介した第2靴底部材と第3靴底部材との接着強度が向上された靴底用部材を製造できる。
図1は、本実施形態に係る靴底用部材及び靴の外観を表す模式図である。 図2は、本実施形態に係る靴底用部材の一例を靴の着用時において上下方向に切断した断面を表す模式断面図である。 図3は、本実施形態に係る靴底用部材の他の例を靴の着用時において上下方向に切断した断面を表す模式断面図である。 図4は、本実施形態に係る靴底用部材の製造方法の一例における様子を模式的に示す模式図である。 図5は、本実施形態に係る靴底用部材の製造方法の他の例における様子を模式的に示す模式図である。 図6は、本実施形態に係る靴底用部材の製造方法のさらに他の例における様子を模式的に示す模式図である。
以下、本発明に係る靴底用部材及び靴の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態の靴100は、図1に示すように、本実施形態の靴底用部材10を備える。
本実施形態の靴100は、図1に示すように、アッパー材50と靴底用部材10とを備える。靴底用部材10は、靴の底部に配置される第1靴底部材11と、第1靴底部材11よりも着用者の足裏側に配置される第2靴底部材12と、第1靴底部材11及び第2靴底部材12の間に配置された第3靴底部材13とを有する。第2靴底部材12と第3靴底部材13とは、図2又は図3に示すように、ポリウレタン樹脂を含有する接着層17を介して接着されている。なお、図面における各図は模式図であり、実物における縦横の長さ比と必ずしも同じではない。
本実施形態において、第1靴底部材11は、例えばアウターソールであり、第2靴底部材12は、例えばミッドソール又はアッパー材である。第1靴底部材11と第2靴底部材12との間に配置された第3靴底部材13は、例えば、第1靴底部材11と第2靴底部材12とを互いに良好に接着させるために介在する補助部材として靴底用部材10に備えられている。
本実施形態における第1靴底部材11は、アウターソール全体を構成していてもよく、一方、アウターソールの一部を構成していてもよい。靴100は、例えば図1に示すように、靴100の側面や靴底において表面が露出した状態の第1靴底部材11を備えていてもよい。なお、第1靴底部材11の表面は、靴100の側面や靴底において露出していなくてもよい。
本実施形態の一例における第1靴底部材11、第2靴底部材12、及び第3靴底部材13は、それぞれ板状に形成されている。第1靴底部材11、第2靴底部材12、及び第3靴底部材13を厚さ方向の一方側から見たときの形状は、例えば、着用者の足裏形状と同様の形状である。第1靴底部材11、第2靴底部材12、及び第3靴底部材13は、靴100の底部に配置され、厚さ方向に積層されている。第2靴底部材12及び第3靴底部材13は、ポリウレタン樹脂を含有する接着層17を介して互いに接着されている。一方、第1靴底部材11及び第3靴底部材13は、例えば架橋処理時(後に詳述)に厚さ方向に圧縮力を受けることによって互いに接合(直接架橋接着など)している。
なお、第1靴底部材11及び第3靴底部材13の形状は、それぞれ、足裏を全て覆うようなシート形状であってもよい。一方、第1靴底部材11及び第3靴底部材13は、例えば面方向(着用時の前後左右方向)で不連続な複数のパーツ(部材片)をそれぞれ有してもよい(図3参照)。例えば複数のシート部材を有する第1靴底部材11及び第3靴底部材13を厚さ方向の一方側から見たときに、中央部分などに単数又は複数の孔が形成されていてもよい。同様に厚さ方向の一方側から見たときに、面方向に互いに離間した複数のパーツによって第1靴底部材11及び第3靴底部材13が構成されていてもよい。
第1靴底部材11の厚さは、特に限定されず、例えば、1mm以上20mm以下であってもよく、好ましくは2mm以上10mm以下である。第1靴底部材11の厚さは、第2靴底部材12及び第3靴底部材13のいずれの厚さよりも厚くてもよい。
第1靴底部材11の材質は、特に限定されない。例えば、第1靴底部材11の材質としては、後に詳述する第3靴底部材13に含まれるゴム成分と同様のゴム成分(例えば、スチレン-ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴムなどのうち少なくともいずれか)を含むゴム組成物の架橋体などが採用される。例えば、斯かる第1靴底部材11のゴム組成物は、架橋剤として硫黄を含んでもよく、シリカを含んでもよく、ステアリン酸を含んでもよい。
一方、第2靴底部材12の材質は、特に限定されないが、例えばゴム製である。第2靴底部材12は、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂若しくはオレフィン樹脂をベースとする架橋発泡体、天然皮革、人工皮革、ポリエチレンテレフタレート樹脂などのポリエステル樹脂、又は、ポリアミド樹脂などで形成されている。
本実施形態の靴底用部材10において、第3靴底部材13は、第1靴底部材11と第2靴底部材12との間に配置されている。第3靴底部材13の厚さは、特に限定されず、第1靴底部材11及び第3靴底部材13のいずれの厚さよりも薄くてもよい。第3靴底部材13の厚さは、例えば、0.1mm以上10.0mm以下であってもよく、好ましくは0.5mm以上5.0mm以下である。なお、第3靴底部材13の厚さは、原則として、無作為に選んだ少なくとも5ケ所における厚さの測定値を平均することによって求められる。無作為に選んだ箇所における複数の測定値における差が極端に大きい場合、最も薄い部分の厚さを採用してもよい。
第3靴底部材13は、スチレン-ブタジエンゴムと乾式シリカとを少なくとも含むゴム組成物の架橋体である。本実施形態では、上記のゴム組成物は、ゴム成分として、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)などをさらに含み得る。また、上記のゴム組成物は、シリカとして、湿式シリカをさらに含み得る。本実施形態では、上記のゴム組成物は、カップリング剤、架橋剤などをさらに含み得る。
スチレン-ブタジエンゴムは、スチレンとブタジエンとの共重合体から得られたゴムであれば特に限定されない。スチレン-ブタジエンゴムは、例えば、スチレンと1,3-ブタジエンとの共重合体から得られるゴムである。
上記のゴム組成物がスチレン-ブタジエンゴムと乾式シリカとを含むため、ポリウレタン樹脂を含有する接着層17を介した第3靴底部材13と第2靴底部材12との接着強度が向上されている。
スチレン-ブタジエンゴムにおけるスチレン含有量は、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることがさらに好ましい。このようなスチレン-ブタジエンゴムを上記のゴム組成物が含むことにより、斯かるゴム組成物の硬化体である第3靴底部材13は、より良好な強度を有することができる。また、第3靴底部材13と第2靴底部材12とが、ポリウレタン樹脂を含有する接着層17を介してより強く接着され得る。スチレン含有量は、60質量%以下であってもよく、50質量%以下であってもよい。なお、スチレン含有量は、JIS K6239によって求められる。
スチレン-ブタジエンゴムとしては、乳化重合によって得られたもの、溶液重合によって得られたものなどを採用できる。スチレン-ブタジエンゴムとしては、有機リチウム触媒等を用いたリビング重合によって分子中におけるブロック配列又はランダム配列が適度に調整されているという点で、溶液重合によって得られたものが好ましい。
スチレン-ブタジエンゴムの数平均分子量は、例えば、10000~500000程度であってもよい。
なお、上記のゴム組成物は、1種類のスチレン-ブタジエンゴムを含んでもよく、複数種のスチレン-ブタジエンゴムを含んでもよい。
上記のゴム組成物は、ブタジエンゴムをさらに含むことが好ましい。これにより、第3靴底部材13と第2靴底部材12とが、ポリウレタン樹脂を含有する接着層17を介してより強く接着され得る。
ブタジエンゴムは、ブタジエンの重合体から得られたゴムであれば、特に限定されない。ブタジエンゴムは、例えば、いわゆるローシスタイプであってもよく、ハイシスタイプであってもよい。ローシスタイプのブタジエンゴムでは、分子鎖を構成する主な単位がトランス-1,4単位であり、他の単位が1,2単位(ビニル単位)、又は、シス-1,4単位である。ハイシスタイプのブタジエンゴムでは、分子鎖を構成する単位の80%以上がシス-1,4単位である。ブタジエンゴムとしては、ハイシスタイプが好ましい。
また、ブタジエンゴムは、上記のような一般的なブタジエンゴム以外のブタジエンゴムであってもよい。例えば、ブタジエンゴムとしては、水酸基、カルボキシ基、アクリル基、イソシアネート基などの官能基が分子末端に導入された官能基含有ブタジエンゴムなどが挙げられる。
なお、上記のゴム組成物は、1種類のブタジエンゴムを含んでもよく、複数種のブタジエンゴムを含んでもよい。
イソプレンゴムは、イソプレンの重合体から得られたゴムであれば、特に限定されない。イソプレンゴムは、通常、シス-1,4ポリイソプレン構造を分子中に有する。イソプレンゴムは、分子中に、1,2ポリイソプレン構造、3,4ポリイソプレン構造、1,2ポリイソプレン構造、又はトランス-1,4ポリイソプレン構造を有してもよい。
エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)は、エチレンとプロピレンとジエンとの共重合体から得られたゴムであれば、特に限定されない。エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)では、通常、ジエンとして5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)が採用されている。ジエンの一部としてジシクロペンタジエン(DCP)、又は、1,4-ヘキサジエン(HD)が採用されていてもよい。エチレンとプロピレンとの共重合比は、質量比で、例えばエチレン:プロピレン=0.1~9:1であってもよい。換言するとプロピレン100質量部に対してエチレンが10質量部以上900質量部以下の共重合比であってもよい。また、エチレン及びプロピレンの総量とジエンとの共重合比は、質量比で、例えば(エチレン及びプロピレン):ジエン=4~99:1であってもよい。換言するとジエン1質量部に対してエチレン及びプロピレンの総量が4質量部以上99質量部以下の共重合比であってもよい。
上記のゴム組成物におけるゴム成分(スチレン-ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴムなどを含む)の含有率は、60質量%以上であることが好ましく、65質量%以上であることがより好ましい。これにより、上記のゴム組成物の架橋体である第3靴底部材13が、適度な軟質性を有し得る。従って、第3靴底部材13を有する靴底用部材10を備えた靴100は、着用者の足裏への良好なフィット感を有し、また、歩行時の良好な屈曲性を有し得る。
なお、上記のゴム組成物における上記ゴム成分の含有率は、90質量%以下であってもよく、85質量%以下であってもよい。
上記のゴム組成物中のゴム成分に占めるスチレン-ブタジエンゴムの質量割合は、半分以上であることが好ましく、ゴム成分100質量部のうちスチレン-ブタジエンゴムが60質量部以上を占めることがより好ましい。これにより、第3靴底部材13と第2靴底部材12とが、ポリウレタン樹脂を含有する接着層17を介してより強く接着され得る。なお、スチレン-ブタジエンゴムの量は、ゴム成分100質量部のうち80質量部以下であってもよい。
上記のゴム組成物中のゴム成分100質量部のうち(ゴム成分の量を100質量部としたときに)ブタジエンゴムが20質量部以上を占めることが好ましい。これにより、第3靴底部材13と第2靴底部材12とが、ポリウレタン樹脂を含有する接着層17を介してより強く接着され得る。なお、ブタジエンゴムの量は、ゴム成分100質量部のうち70質量部以下であってもよい。
上記のゴム組成物中のゴム成分100質量部のうちイソプレンゴムの量が20質量部未満であることが好ましい。これにより、第3靴底部材13と第2靴底部材12とが、ポリウレタン樹脂を含有する接着層17を介してより強く接着され得る。
上記のゴム組成物中のゴム成分100質量部のうちエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)が10質量部以上を占めることが好ましい。これにより、第3靴底部材13と第2靴底部材12とが、ポリウレタン樹脂を含有する接着層17を介してより強く接着され得る。なお、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)の量は、ゴム成分100質量部のうち30質量部以下であってもよい。
本実施形態において、上記のゴム組成物は、少なくとも乾式シリカをシリカとして含む。上記のゴム組成物は、シリカとして湿式シリカをさらに含んでもよい。なお、上記のゴム組成物に含まれるシリカは、粒子状である。
上記のゴム組成物が乾式シリカを含むため、上記のゴム組成物の架橋体である第3靴底部材13は、良好な強度を有することができる。また、ポリウレタン樹脂を含有する接着層17を介した第3靴底部材13と第2靴底部材12との接着強度が向上されている。
乾式シリカは、燃焼法やアーク法などの乾式法によって一次粒子に近い形で得られる。乾式シリカとしては、ヒュームドシリカが好ましい。乾式シリカの平均粒子径は、5nm以上50nm以下であることが好ましい。BET法による乾式シリカの比表面積は、50m/g以上500m/g以下であることが好ましい。
湿式シリカは、沈降法やゲル法などの湿式法によって凝集粒子として得られる。
上記のゴム組成物は、ゴム成分(スチレン-ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、EPDMなど)の総量100質量部に対して、20質量部以上60質量部以下の乾式シリカを含むことが好ましく、35質量部以上45質量部以下の乾式シリカを含むことがより好ましい。
なお、上記のゴム組成物におけるシリカの総含有率(乾式シリカ及び湿式シリカの合計の含有率)は、20質量%以上60質量%以下であることが好ましい。
本実施形態において、上記のゴム組成物は、カップリング剤又は架橋剤の少なくとも一方を含むことが好ましく、カップリング剤及び架橋剤の両方を含むことがより好ましい。これにより、第3靴底部材13と第2靴底部材12とが、ポリウレタン樹脂を含有する接着層17を介してより強く接着され得る。
本実施形態において、上記のゴム組成物は、少なくともスチレン-ブタジエンゴムと乾式シリカとを化学的に結合させるためのカップリング剤を含み得る。
カップリング剤(シランカップリング剤)は、分子中に少なくともアルコキシシラン構造を有する化合物である。
上記のゴム組成物は、シリカ(乾式シリカ及び湿式シリカの総量)100質量部に対して5質量部以上10質量部以下のカップリング剤を含むことが好ましい。
カップリング剤としては、シランカップリング剤(アルコキシシラン化合物)などが採用できる。カップリング剤としては、例えば、メルカプト系シランカップリング剤、モノスルフィド系シランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング剤、テトラスルフィド系シランカップリング剤などが挙げられる。シランカップリング剤としては、第3靴底部材13がより大きい強度を有することができるという点で、メルカプト系シランカップリング剤及びモノスルフィド系シランカップリング剤からなる群より選ばれる1種以上が好ましい。
メルカプト系シランカップリング剤は、上記のゴム組成物中で乾式シリカをより十分に分散させることができる。そのため、第3靴底部材13がより大きい強度を有し得る。
メルカプト系シランカップリング剤としては、例えば、2-メルカプトエチルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、2-メルカプトエチルメチルジメトキシシラン、2-メルカプトエチルメチルジエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、4-メルカプトブチルトリメトキシシラン、4-メルカプトブチルトリエトキシシラン等が挙げられる。また、メルカプト系シランカップリング剤としては、上記のアルコキシシシラン化合物のメトキシ基またはエトキシ基をジオールで置換・縮合したシランカップリング剤などが挙げられる。
メルカプト系シランカップリング剤としては、エトキシ基を有するシランカップリング剤またはエトキシ基をジオールで置換・縮合したシランカップリング剤が好ましい。
モノスルフィド系シランカップリング剤は、例えば、下記一般式(1)で表される。
Figure 2023094288000002
ただし、一般式(1)において、「R」は、炭素数1以上20以下の、アルキル基、アルケニル基、又は、アシル基のいずれかであり、前記アルキル基、前記アルケニル基、又は、前記アシル基は、1以上の置換基を有してもよい。「R」は、炭素数1以上20以下の、アルカンジイル基、アルケンジイル基、カルボニル基のいずれかであり、前記のアルカンジイル基、アルケンジイル基、又は、カルボニル基は、1以上の置換基を有してもよい。「X」は、下記一般式(2)で表されるアルコキシシリル基である。
Figure 2023094288000003
(ただし、式中の「R」、「R」、及び、「R」は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、又は、アルコキシ基のいずれかであり、「R」、「R」、及び「R」のうちの少なくとも1つがアルコキシ基である。)
「R」は、炭素数4以上12以下の非置換のアシル基であることが好ましい。「R」は、炭素数2以上5以下の非置換のアルカンジイル基であることが好ましい。「X」は、トリメトキシシリル基、又は、トリエトキシシリル基であることが好ましい。
モノスルフィド系シランカップリング剤は、下記一般式(3)又は一般式(4)でそれぞれ表される、3-アルカノイルチオ-1-プロピルトリメトキシシラン、又は、3-アルカノイルチオ-1-プロピルトリエトキシシランのいずれかであることが好ましい。
Figure 2023094288000004
(ただし、「n」は2以上10以下の整数を表し「m」は2以上5以下の整数を表している。)
Figure 2023094288000005
(ただし、「n」は2以上10以下の整数を表し「m」は2以上5以下の整数を表している。)
一般式(3)及び一般式(4)でそれぞれ表されるモノスルフィド系シランカップリング剤としては、「n」が「6」であり、「m」が「3」であるものが特に好ましい。具体的には、モノスルフィド系シランカップリング剤は、3-オクタノイルチオ-1-プロピルトリメトキシシラン、又は、3-オクタノイルチオ-1-プロピルトリエトキシシランであることが特に好ましい。
このような好ましいモノスルフィド系シランカップリング剤は、分子末端に適度な長さのアルキル基を有することから、ゴム組成物に良好な可塑化を発揮させることができる。また、ゴム組成物を架橋して得られる第3靴底部材13が比較的低い硬度を有することができる。
エポキシ系シランカップリング剤としては、例えば、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
テトラスルフィド系シランカップリング剤としては、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-ベンゾチアゾールテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィドなどが挙げられる。
上記のゴム組成物に含まれ得る架橋剤は、上記のゴム組成物中のゴム成分の架橋反応を促進させる化合物である。架橋剤としては、例えば、有機過酸化物、又は、硫黄などが挙げられる。
本実施形態において、上記のゴム組成物は、架橋剤を含み、架橋剤が有機過酸化物であることが好ましい。これにより、第3靴底部材13と第2靴底部材12とが、ポリウレタン樹脂を含有する接着層17を介してより強く接着され得る。
一方、第3靴底部材13と第1靴底部材11とがより強く接合(接着)され得るという点では、第3靴底部材13のゴム組成物は、架橋剤を含み、架橋剤が硫黄であることが好ましい。
有機過酸化物としては、例えば、1,1-ビス(1,1-ジメチルエチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ビス(1,1-ジメチルブチルパーオキシ)シクロヘキサン、4,4-ビス[(t-ブチル)パーオキシ]ペンタン酸ブチル、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルα-クミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)-2,5-ジメチル-3-ヘキシン、ジベンゾイルパーオキサイド、ビス(4-メチルベンゾイル)パーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ヘキシルパーオキシベンゾエート、1,1-ビス(t-ブチルジオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンなどが挙げられる。
上記のゴム組成物は、架橋剤としての硫黄と、硫黄による架橋反応を促進させる架橋促進剤とを含んでもよい。架橋促進剤としては、例えば、チアゾール系架橋促進剤、チウラム系架橋促進剤などが挙げられる。
チアゾール系架橋促進剤としては、例えば、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール亜鉛、2-メルカプトチアゾリン、ジベンゾチアジル・ジスルフィド(ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド)、2-(2,4-ジニトロフェニルチオ)ベンゾチアゾール、2-(N,N-ジエチルチオ・カルバモイルチオ)ベンゾチアゾール、2-(2,6-ジメチル-4-モルホリノチオ)ベンゾチアゾール、2-(4’-モルホリノ・ジチオ)ベンゾチアゾールなどが挙げられる。
チウラム系架橋促進剤としては、例えば、TMTD(テトラメチルチウラムジスルフィド)、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、ジペンタメチレンチウラムジスルフィドなどが挙げられる。
上記のゴム組成物は、脂肪酸を含んでもよい。脂肪酸は、金属塩、アンモニウム塩などの塩の状態であってもよい。
脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸などが挙げられる。
脂肪酸の塩としては、マグネシウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩などが挙げられる。
上記のゴム組成物における脂肪酸の含有率は、1質量%未満であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましく、上記のゴム組成物が脂肪酸を含まないことがより好ましい。これにより、第3靴底部材13と第2靴底部材12とが、ポリウレタン樹脂を含有する接着層17を介してより強く接着され得る。
本実施形態において、上記のゴム組成物は、ゴム成分100質量部のうちスチレン-ブタジエンゴムを20質量部以上40質量部以下含み、且つ、ゴム成分100質量部に対して乾式シリカを40質量部以上80質量部以下含むことが好ましい。このとき、シリカの総量は、ゴム成分100質量部に対して40質量部以上80質量部以下であることが好ましい。このようなゴム組成物であることにより、第3靴底部材13と第2靴底部材12とが、ポリウレタン樹脂を含有する接着層17を介してより強く接着され得る。
また、本実施形態において、上記のゴム組成物は、ゴム成分100質量部のうちスチレン-ブタジエンゴムを60質量部以上80質量部以下含み、且つ、ゴム成分100質量部に対して20質量部以上60質量部以下の乾式シリカを含むことが好ましい。このとき、シリカの総量は、ゴム成分100質量部に対して30質量部以上60質量部以下であることが好ましい。このようなゴム組成物であることにより、第3靴底部材13と第2靴底部材12とが、ポリウレタン樹脂を含有する接着層17を介してより強く接着され得る。
上記のゴム組成物は、本発明の効果が著しく損なわれない範囲内で、上述した成分以外の成分をさらに含んでもよい。上記のゴム組成物は、例えば、パラフィン系若しくはナフテン系のプロセスオイルなどの硬さ調整剤、テルペン樹脂などの粘着性付与剤、活性亜鉛華などの活性剤、老化防止剤、加工助剤、無機充填剤、抗菌剤、香料などを適宜含んでもよい。
JIS K7312に従って測定された第3靴底部材の硬度は、第1靴底部材の硬度よりも大きいことが好ましい。これにより、第3靴底部材13と第2靴底部材12とが、ポリウレタン樹脂を含有する接着層17を介してより強く接着され得る。
第3靴底部材の硬度及び第1靴底部材の硬度は、JIS K7312-1996、「熱硬化性ポリウレタンエラストマー 成形物の物理試験方法」に記載されている「硬さ試験」(タイプA硬さ試験)の測定方法によって測定される。
第3靴底部材の硬度は、70以上であることが好ましく、72以上であることがより好まし。第3靴底部材の硬度が70以上であることにより、第3靴底部材13と第2靴底部材12とが、ポリウレタン樹脂を含有する接着層17を介してより強く接着され得る。
なお、第3靴底部材の硬度は、90以下であってもよく、80以下であってもよい。
上記の靴底用部材10において第3靴底部材13と第2靴底部材12との間に配置されている接着層17は、ポリウレタン樹脂を含有する。接着層17は、一般的に使用されているウレタン樹脂系接着剤が硬化されたものである。ウレタン樹脂系接着剤は、ウレタン樹脂が有機溶媒に溶解した溶液状態であってもよく、水を含む液体中にウレタン樹脂が分散したエマルジョン状態であってもよい。
本実施形態の靴底用部材10は、上述したゴム組成物の架橋体である第3靴底部材13が、ポリウレタン樹脂を含有する接着層17を介して、第2靴底部材12と接着されている構成を有する。接着層17を形成することとなる接着剤は、一般的に使用されるポリウレタン樹脂を含有する接着剤である。この接着剤の成分と、第3靴底部材13との親和性が比較的高いため、第3靴底部材13と第2靴底部材12とを比較的強く接着できると考えられる。なお、本実施形態において、接着層17は、第1靴底部材11又は第3靴底部材13に含まれるようなゴム成分の架橋体を含まない。
続いて、本実施形態の靴底用部材の製造方法について説明する。
本実施形態の靴底用部材の製造方法は、
靴の底部に配置される第1靴底部材と、第1靴底部材よりも着用者の足裏側に配置される第2靴底部材と、第1靴底部材及び第2靴底部材の間に配置された第3靴底部材とを備える靴底用部材の製造方法であって、
スチレン-ブタジエンゴムとシリカとを少なくとも含むゴム組成物に架橋処理を施すことによって第3靴底部材を作製する工程と、
ポリウレタン樹脂を含有する接着剤によって第2靴底部材と第3靴底部材とを接着する工程(接着工程)と、を備える。
好ましくは、本実施形態の靴底用部材の製造方法は、上記接着工程の前に、未架橋状態のゴム組成物で形成された予備形成シートに架橋処理を施すことによって第1靴底部材を作製する工程を備え、
第1靴底部材を作製する工程と第3靴底部材を作製する工程とを同時に実施しつつ、第1靴底部材と第3靴底部材とを接合する(一体化工程)。
具体的には、本実施形態の靴底用部材の製造方法は、
(I)第1靴底部材を作製する工程と、(II)第2靴底部材を作製する工程と、(III)第3靴底部材を作製する工程と、(IV)第1靴底部材と第3靴底部材とを接合する工程(一体化工程)と、(V)ポリウレタン樹脂を含有する接着剤によって第2靴底部材と第3靴底部材とを接着する工程(接着工程)と、を備える。
上記の(I)第1靴底部材を作製する工程では、例えば、ゴム成分及び架橋剤などを含むゴム組成物をカレンダーロールなどによってシート化し、さらに所望の形状に裁断して、未架橋状態の予備成形シートを作製する。その後、予備成形シートに対して金型内などにおいて架橋処理を施すことによって第1靴底部材を作製する。架橋処理は、例えば図4に示すように、第1靴底部材の予備成形シート11’及び未架橋状態の第3靴底部材の予備成形シート13’の両方に対して同時に施すことができる(後に詳述)。
上記の(II)第2靴底部材を作製する工程では、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)などの熱可塑性樹脂と架橋剤と発泡剤とを含む樹脂組成物を金型内に充填し、架橋処理を施しつつ発泡させることによって第2靴底部材を作製する。なお、上記の(II)第2靴底部材を作製する工程では、市販されている樹脂シート(例えば熱可塑性ポリウレタン樹脂シート)を採用してもよい。
上記の(III)第3靴底部材を作製する工程は、例えば、以下の混合工程と、シート化工程と、架橋処理工程とを有する。具体的には、(III)第3靴底部材を作製する工程は、
スチレン-ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、乾式シリカ、シランカップリング剤、及び架橋剤といった原材料を混合する工程(混合工程)と、
上記のごとく混合して調製したゴム組成物をシート化して、未架橋状態の第3靴底部材の予備成形シート13’を作製する工程(シート化工程)と、
第3靴底部材の予備成形シート13’に圧縮力を加えつつゴム組成物に加熱処理を施して、ゴム組成物の架橋体である第3靴底部材13を作製する工程(架橋処理工程)と、を有する。
混合工程では、例えば、バンバリーミキサー、加圧ニーダーなどの混練装置を用いて、上述した原材料を110℃~150℃程度の温度において混錬する。
シート化工程では、例えば、ゴム組成物をカレンダーロールなどに供給し、該カレンダーロールでゴム組成物をさらに混錬する。そして、混錬されたゴム組成物をカレンダーロールなどによってシート化する。さらに、所望の形状となるように裁断し、未架橋状態の予備成形シートを作製する。
架橋処理工程では、例えば、上述したゴム成分などを含むゴム組成物をカレンダーロールによってシート化し、さらに所望の形状に裁断して、未架橋状態の第3靴底部材の予備成形シート13’を作製する。続いて、第3靴底部材の予備成形シート13’に対して金型内において架橋処理(熱プレス)を施すことによって、所望形状の架橋体(架橋ゴム)からなる第3靴底部材13を作製する。なお、第3靴底部材の予備成形シート13’に対する架橋処理と、第1靴底部材の予備成形シート11’に対する架橋処理とは、上記の一体化工程において同時に実施できる。
上記の一体化工程では、第1靴底部材と第3靴底部材とを接合する。上記の一体化工程では、作製された第1靴底部材と作製された第3靴底部材とを接合してもよく、第1靴底部材及び第3靴底部材のうち少なくとも一方を作製しつつ第1靴底部材と第3靴底部材とを接合してもよい。
本実施形態において、一体化工程では、図4に示すように、第1靴底部材の予備成形シート11’及び第3靴底部材の予備成形シート13’の両方に架橋処理を施して第1靴底部材及び第3靴底部材の両方を作製しつつ、第1靴底部材11と第3靴底部材13とを接合(結合)させる。換言すると、本実施形態においては、(I)第1靴底部材を作製する工程と、(II)第2靴底部材を作製する工程と、(IV)第1靴底部材と第3靴底部材とを接合させて互いに直接接着する工程(一体化工程)とを並行して実施する。
このようにして第1靴底部材及び第3靴底部材の積層体を作製することによって、より簡便に靴底用部材を製造できる。また、有害な有機溶媒などを含む接着剤を使用して第1靴底部材及び第3靴底部材を接着しなくても、十分な接着強度で第1靴底部材と第3靴底部材とを接合できる。
一体化工程は、例えば、160℃において15MPaの圧縮力を10分間することによって実施できる。
上記のようにして、第3靴底部材13と第1靴底部材11とを直接貼り合わせて互いに接合させつつ、架橋体となった第1靴底部材11、及び、架橋体となった第3靴底部材13を得ることができる。作製された第1靴底部材11と第3靴底部材13とは、厚さ方向に積層された状態で一体化されている。従って、第1靴底部材11と第3靴底部材13との間には、接着剤由来の接着層などは存在しない。
上記の(V)接着工程は、例えば、
第3靴底部材13の一方の面であって第2靴底部材12と接着される面に前処理を施す工程(前処理工程)と、
前処理が施された第3靴底部材13の面と、あらかじめ用意しておいた第2靴底部材12との間に、ポリウレタン樹脂を含有する接着剤を配置して、第3靴底部材13と第2靴底部材12との積層体に対して厚さ方向に圧縮力を与えることによって、両部材を接着する工程(圧縮工程)と、を有する。
前処理工程は、必要であれば実施される。前処理工程では、接着後の接着強度をより高めるために、必要に応じて、第3靴底部材13における接着される面、又は、第2靴底部材12における接着される面の少なくともいずれか一方に対して、前処理を施す。前処理としては、例えば、表面を研磨する処理、又は、有機溶剤を含む前処理液を塗布する処理が採用される。
圧縮工程では、例えば、第3靴底部材13の一方の面に接着剤を塗布する。次に、接着剤が塗布された面と、シート状の第2靴底部材12の片面とを対向させつつ、第3靴底部材13及び第2靴底部材12の積層体に対して厚さ方向に圧縮力を加える。
上記の(V)接着工程において使用する接着剤は、一般的なウレタン樹脂系接着剤である。ウレタン樹脂系接着剤としては、ウレタン樹脂が有機溶媒に溶解してなる溶液タイプ、水を含む液体にウレタン樹脂を含む粒子が分散したエマルジョンタイプが挙げられる。一般的に、溶液タイプの上記接着剤を使用して接着工程を実施した場合よりも、エマルジョンタイプの上記接着剤を使用して接着工程を実施した場合の方が、第3靴底部材13と第2靴底部材12との間の接着強度がより小さくなる。エマルジョンタイプの上記接着剤では、接着成分であるウレタン樹脂が接着剤中で均一に溶解せず、分散しているためと考えられる。
しかしながら、溶液タイプの上記接着剤は、有機溶剤を含むため、製造工程において揮発した有機溶剤が空気中に放出されることとなる。そのため、人体への安全性の観点、火災予防の観点、地球環境保護の観点で、溶液タイプの上記接着剤の使用を抑える必要がある。
そこで、エマルジョンタイプの上記接着剤を使用した場合であっても、第3靴底部材13と第2靴底部材12との間において良好な接着強度を発揮させることができる製造方法が要望されている。
本実施形態の製造方法では、エマルジョンタイプの上記接着剤を使用する場合、第3靴底部材13と第2靴底部材12との間の接着強度を大きくするために、例えば図5に示すような方法を採用できる。
斯かる方法では、上述した前処理工程を実施する。前処理工程では、例えば図5に示すように、第3靴底部材13の一方の面であって後に第2靴底部材12と接着される面に、有機溶媒を含む前処理液Aを塗布する(図5の(5-2)を参照)。この前処理液Aによって、第2靴底部材12との間の接着強度がより大きくなり得る。
次に、前処理工程では、例えば60℃程度に加熱することによって、前処理液Aに含まれる有機溶媒を揮発させる(図5の(5-3)を参照)。
続いて、前処理液Aを塗布した面に、上述したエマルジョンタイプの上記接着剤Bを塗布する(図5の(5-4)を参照)。
さらに、例えば60℃程度に加熱することによって、エマルジョンタイプの上記接着剤Bに含まれる水などの液体を揮発させる(図5の(5-5)を参照)。
そして、上記接着剤を塗布した面に、第2靴底部材12の片面を重ね合わせて、第3靴底部材13と第2靴底部材12とを接着させる(図5の(5-6)を参照)。
図5に示すような製造方法によれば、比較的大きい接着強度を発揮できるが、有機溶媒を使用するため、地球環境保護の観点では、あまり望ましくない。このように、有機溶媒を含まないエマルジョンタイプの上記接着剤を使用する場合であっても、上述した前処理工程のように有機溶媒を含有する前処理液を使用すること等は、可能な限り控える必要がある。
上述した図5に示すような製造方法に対して、図6に示すような以下の製造方法であっても、エマルジョンタイプの上記接着剤を使用し且つ前処理工程を実施せずに、第3靴底部材13と第2靴底部材12との間の接着強度を高めることができる。詳しくは、上述した図5に示す方法から前処理液を塗布する操作を除いた製造方法を実施できる。
より詳しくは、本実施形態の製造方法では、例えば図6に示すように、第3靴底部材13の一方の面であって後に第2靴底部材12と接着される面に、有機溶媒を含む前処理液を塗布することなく、上述したエマルジョンタイプの上記接着剤Bを塗布する(図6の(6-2)を参照)。
次に、例えば60℃程度に加熱することによって、エマルジョンタイプの上記接着剤Bに含まれる水などの液体を揮発させる(図6の(6-3)を参照)。
そして、上記接着剤を塗布した面に、第2靴底部材12の片面を重ね合わせて、第3靴底部材13と第2靴底部材12とを接着させる(図6の(6-4)を参照)。
図6に示した製造方法で靴底用部材10を製造すると、エマルジョンタイプの上記接着剤を使用するため、第3靴底部材13と第2靴底部材12との間の接着強度が比較的低くなり得ると予想される。しかしながら、本実施形態の製造方法では、上述した特定組成のゴム組成物の架橋体で第3靴底部材13が形成されているため、エマルジョンタイプの上記接着剤を用いて図6に示すような方法で靴底用部材10を製造しても、第3靴底部材13と第2靴底部材12との間の接着強度が十分に大きくなる。なお、本実施形態において、溶液タイプの接着剤を使用して靴底用部材10を製造しても、第3靴底部材13と第2靴底部材12との間の接着強度は、十分に大きくなる。
上記のごとく製造された靴底用部材10を備える靴100は、例えば、スポーツ用シューズの用途で使用される。上記の靴100は、その他、例えばスニーカーの用途で使用されてもよい。
本実施形態の靴底用部材、靴、及び、靴底用部材の製造方法は上記例示の通りであるが、本発明は、上記例示の靴底用部材、靴、及び、靴底用部材の製造方法に限定されるものではない。
即ち、一般的な靴底用部材、靴、又は、靴底用部材の製造方法において用いられる種々の形態が、本発明の効果を損ねない範囲において、採用され得る。
本明細書によって開示される事項は、以下のものを含む。
(1)
靴の底部に配置される第1靴底部材と、前記第1靴底部材よりも着用者の足裏側に配置される第2靴底部材と、前記第1靴底部材及び前記第2靴底部材の間に配置された第3靴底部材とを備え、
ポリウレタン樹脂を含有する接着層を介して、前記第2靴底部材と前記第3靴底部材とが接着されており、
前記第3靴底部材が、スチレン-ブタジエンゴムと乾式シリカとを少なくとも含むゴム組成物の架橋体である、靴底用部材。
(2)
JIS K7312に従って測定された前記第1靴底部材の硬度よりも、前記第3靴底部材の硬度の方が大きい、上記(1)に記載の靴底用部材。
(3)
前記第3靴底部材の硬度が70以上である、上記(2)に記載の靴底用部材。
(4)
前記ゴム組成物がブタジエンゴムをさらに含む、上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の靴底用部材。
(5)
前記ゴム組成物がカップリング剤又は架橋剤の少なくとも一方をさらに含む、上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の靴底用部材。
(6)
前記ゴム組成物が前記架橋剤をさらに含み、前記架橋剤が有機過酸化物又は硫黄である、上記(5)に記載の靴底用部材。
(7)
前記ゴム組成物における脂肪酸の含有率が1質量%未満である、上記(1)乃至(6)のいずれかに記載の靴底用部材。
(8)
前記ゴム組成物中のゴム成分100質量部のうちイソプレンゴムの量が20質量部未満である、上記(1)乃至(7)のいずれかに記載の靴底用部材。
(9)
前記ゴム組成物に含まれるゴム成分100質量部のうち20質量部以上40質量部以下が前記スチレン-ブタジエンゴムであり、且つ、前記ゴム組成物が前記ゴム成分100質量部に対して40質量部以上の前記乾式シリカを含む、上記(1)乃至(8)のいずれかに記載の靴底用部材。
(10)
前記ゴム組成物に含まれるゴム成分100質量部のうち60質量部以上80質量部以下が前記スチレン-ブタジエンゴムであり、且つ、前記ゴム組成物が前記ゴム成分100質量部に対して20質量部以上の前記乾式シリカを含む、上記(1)乃至(8)のいずれかに記載の靴底用部材。
(11)
前記第1靴底部材は、スチレン-ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、及びニトリルゴムのうち少なくとも1種をゴム成分として含み、シリカ及び硫黄のうち少なくとも一方をさらに含む、上記(1)乃至(10)のいずれかに記載の靴底用部材。
(12)
前記第2靴底部材12は、ミッドソール又はアッパー材である、上記(1)乃至(11)のいずれかに記載の靴底用部材。
(13)
上記(1)乃至(12)のいずれかに記載された靴底用部材を備える靴。
(14)
靴の底部に配置される第1靴底部材と、前記第1靴底部材よりも着用者の足裏側に配置される第2靴底部材と、前記第1靴底部材及び前記第2靴底部材の間に配置された第3靴底部材とを備える靴底用部材の製造方法であって、
スチレン-ブタジエンゴムとシリカとを少なくとも含むゴム組成物に架橋処理を施すことによって前記第3靴底部材を作製する工程と、
ポリウレタン樹脂を含有する接着剤によって前記第2靴底部材と前記第3靴底部材とを接着する工程と、を備える、靴底用部材の製造方法。
(15)
前記接着する工程の前に、未架橋状態のゴム組成物で形成された予備形成シートに架橋処理を施すことによって前記第1靴底部材を作製する工程を備え、
前記第1靴底部材を作製する工程と前記第3靴底部材を作製する工程とを同時に実施しつつ、前記第1靴底部材と前記第3靴底部材とを接合する、上記(14)に記載の靴底用部材の製造方法。
(16)
前記接着剤が、水を含む液体に前記ポリウレタン樹脂が分散したエマルジョンタイプの接着剤である、上記(14)又は(15)に記載の靴底用部材の製造方法。
次に実験例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下のようにして、第1靴底部材と第3靴底部材とを接合し、さらに、第3靴底部材と第2靴底部材とを接着剤によって接着し、靴底用部材を製造した。各実施例及び各比較例の第3靴底部材を作製するための原料、及び、第1靴底部材を作製するためのゴム組成物の配合組成を表1乃至表4に示す。
<第1靴底部材>
第1靴底部材を作製するために、以下の配合組成で組成物を調製した。そして、斯かる組成物から、後に説明する方法によって予備成形シートを形成した。
そして、後述するように、第1靴底部材の予備成形シートと、第3靴底部材の予備成形シートとを重ね合わせて圧縮力を加えつつ、加熱することにより、第1靴底部材と第3靴底部材とが接合した積層体を得た。製造方法の詳細については、後に説明する。上述した測定方法によって測定した第1靴底部材の硬度(架橋処理後の強度)は、表1に示す通りである。第1靴底部材の厚さは、いずれも3.5mmであった。
[第1靴底部材用のゴム組成物の配合原料]
(1)ゴム成分
・S-SBR:スチレン-ブタジエンゴム
製品名「アサプレン303」(旭化成社製)
分子中におけるスチレンの割合:46質量%
・BR:ブタジエンゴム
製品名「Nipol BR1220」(日本ゼオン社製)
・IR:イソプレンゴム
製品名「Nipol IR2200」(日本ゼオン社製)
・NBR:ニトリルゴム
製品名「N230S」(JSR社製)
(2)シリカ
・湿式シリカ
製品名「ウルトラジルVN3」(デグサ社製)
平均粒子径:18nm/BET法による比表面積:170[m/g]
(3)カップリング剤
・SiTS:テトラスルフィド系カップリング剤 化学名:ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド
製品名「Si-69」(デグサジャパン社製)
・SiSH:メルカプト系カップリング剤 化学名:2-メルカプトエチルトリエトキシシラン
製品名「NXT-Z-100」(モメンティブ社製)
(4)脂肪酸
・ステアリン酸(市販品)
(5)活性剤
・活性剤-1
製品名「PEG#400」(日油社製)
・活性剤-2
製品名「活性亜鉛華No.2」(本荘ケミカル社製)
(6)架橋剤
・CrS:硫黄(市販品)
(7)架橋促進剤
・DM(チアゾール系架橋促進剤 化学名:ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド)
製品名「ノクセラーDM-P」(大内新興化学工業社製)
・M(チアゾール系架橋促進剤 化学名:2-メルカプトベンゾチアゾール)
製品名「ノクセラーM-P」(大内新興化学工業社製)
・TS(チウラム系架橋促進剤 化学名:テトラメチルチラウムモノスルフィド)
製品名「ノクセラーTS」(大内新興化学工業社製)
(8)プロセスオイル
・プロセスオイル-1
製品名「JOMOプロセスP200」(JX日鉱日石エネルギー社製)
・プロセスオイル-2
製品名「Hexamoll DINCH」(BASF社製)
Figure 2023094288000006
<第2靴底部材>
第2靴底部材として、熱可塑性ポリウレタン樹脂製のシート(板状 厚さ2mm JIS K7312に準拠したA硬度95)を用意した。
<第3靴底部材>
第3靴底部材を作製するために、以下の各表に示す配合組成で組成物を調製した。そして、斯かる組成物で予備成形シートを形成した。製造方法の詳細については、後に説明する。
[第3靴底部材用のゴム組成物の配合原料]
(i)ゴム成分
・EPDM:エチレンプロピレンジエンゴム
製品名「EP21」(JSR社製)
分子中におけるジエンの割合:5.8質量%
(ii)シリカ
・乾式シリカ:ヒュームドシリカ
製品名「アエロジル200V」(日本アエロジル社製)
平均粒子径:12nm/BET法による比表面積:200[m/g]
・湿式シリカ
上記の通り
(iii)カップリング剤
・SiSH:
上記の通り
・SiMS:モノスルフィド系カップリング剤 化学名:3-オクタノイルチオ-1-プロピルトリエトキシシラン
製品名「NXT-Silane」(モメンティブ社製)
・SiEP:エポキシ系カップリング剤 化学名:グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
製品名「A-187」(モメンティブ社製)
・SiTS
上記の通り
(iv)架橋剤
・CrPO:有機過酸化物を含む架橋剤
1,1-ビス(ターシャリーブチルペルオキシ)シクロヘキサンと乾式シリカとを1:1質量比で混合したもの
(v)プロセスオイル
上記の通り
[ウレタン樹脂系接着剤(エマルジョンタイプ)]
1液型水性ウレタン接着剤(不揮発性分49質量%、pH約7、粘度約7000mPa・s[BM型粘度計])
(実施例1~16)
表2~表4に示す各配合組成により各成分を混合して、第3靴底部材用の各ゴム組成物(未加硫状態)を調製した(混合工程)。
次に、ゴム組成物をシート化して、未架橋状態の第3靴底部材の予備成形シートを作製した(シート化工程)。
続いて、第3靴底部材の予備成形シートに圧縮力を加えつつゴム組成物に加熱処理を施して、ゴム組成物の架橋体である第3靴底部材を作製した(架橋処理工程)。
ただし、架橋処理工程を実施するときに、第3靴底部材の予備成形シートと、上記の第1靴底部材の予備成形シートとを重ね合わせ、加熱プレス処理を行いつつ両方の予備成形シートに架橋処理を施した。これにより、第1靴底部材と第3靴底部材とを接合させて一体化した(一体化工程)。
加熱プレス処理は、160℃、15MPaの条件で10分間であった。
さらに、以下のようにして接着工程を実施し、第2靴底部材と第3靴底部材とを接着した。詳しくは、第2靴底部材と接着される側の第3靴底部材の面を研磨した。研磨した面に上記の接着剤を塗布し、60℃、7分間の乾燥処理を実施した。その後、圧力を加えつつ、塗布面を第2靴底部材と貼り合わせて、靴底用部材を製造した。
(比較例1~3)
表2~表4に示す各配合組成で、上記の各実施例と同様にしてゴム組成物を調製し、同様にして靴底用部材を製造した。
Figure 2023094288000007
Figure 2023094288000008
Figure 2023094288000009
<第2靴底部材と第3靴底部材との間の接着強度の測定>
各実施例、各比較例で製造された靴底用部材の試験サンプルについて、第2靴底部材と第3靴底部材との間の接着強度を測定した。測定は、「接着剤-はく離接着強さ試験方法-第3部:T形はく離(JIS K6854-3:1999)」に準拠した。
測定結果を表2乃至表4にそれぞれ示す。
表2乃至表4から把握されるように、実施例の靴底用部材は、比較例の靴底用部材に比べて、第2靴底部材と第3靴底部材との間の接着強度が良好であった。ゴム組成物のゴム成分におけるスチレン-ブタジエンゴムの含有割合が高いほど、第2靴底部材と第3靴底部材との間の接着強度が高くなる傾向があった。
表2乃至表4に示される結果から把握されることを以下に記載する。
ゴム組成物がイソプレンゴムを含有すると、接着強度が低くなる傾向があったが、イソプレンゴムをゴム組成物に比較的少量配合することは可能である。
ゴム組成物における乾式シリカの量が増えるほど、接着強度が高くなる傾向があった。また、ゴム組成物は、シリカとして乾式シリカ及び湿式シリカの両方を含んでもよい。また、ゴム組成物中のスチレン-ブタジエンゴムと乾式シリカとの量比を特定の比に設定することよって、接着強度がより向上する傾向があった。
第1靴底部材の強度を高めるという点では、ゴム組成物にカップリング剤を配合することが好ましい。
実施例12において接着強度があまり大きくないが、この原因は、ゴム組成物におけるイソプレンゴムの含有量が比較的多いことにある。表4に示すように、実施例12における乾式シリカを湿式シリカに置き換えて同様に靴底用部材を製造すると(比較例2)、接着強度は実施例12の接着強度よりも、さらに小さくなった。
なお、比較例3において接着強度がやや大きいが、この原因は、ゴム組成物におけるゴム成分及び乾式シリカの量比が適切であるためである。比較例3における湿式シリカを乾式シリカに置き換えて同様に靴底用部材を製造した例(実施例4)では、表1に示すように接着強度がかなり大きくなった。
第3靴底部材の硬度に着目すると、第3靴底部材の硬度が70以上であることによって、第2靴底部材と第3靴底部材との間の接着強度がより大きくなる傾向があった。一般的にシリカの配合量が増えるとシリカを含むゴム組成物の硬化体の硬度は大きくなるといわれている。上記実験においては、第3靴底部材におけるシリカの配合量が増えることに伴って、第3靴底部材の硬度が大きくなり、しかも、シリカ粒子表面のあるシラノール基と、エマルジョンタイプのウレタン樹脂系接着剤との化学的相互作用が高まったと考えられる。これが、第2靴底部材と第3靴底部材との間の接着強度がより高くなった理由の1つと考えられる。
<第1靴底部材と第3靴底部材との間の接合力の測定>
第1靴底部材と、実施例4又は実施例11の第3靴底部材との間の接合力について、上記の接着力の測定方法と同様の方法によってそれぞれ評価した。結果を表5に示す。
Figure 2023094288000010
表5から把握されるように、第3靴底部材のゴム組成物に、架橋剤として硫黄を配合する方が、架橋剤として有機過酸化物を配合するよりも、第1靴底部材と第3靴底部材との間の接合力が向上した。
第1靴底部材と第3靴底部材とを接着剤を使わずに上記のごとく接合させることによって、以下のような利点がある。
従来、例えば架橋ゴムで形成されたアウターソールと、アウターソールよりも足裏側に配置された部材とを接着させるために、一般的には有機溶媒を含む接着剤が使用される。この種の接着剤としては、例えば塩素系ゴムを有機溶媒に溶解させた接着剤が使用される。より具体的には、トリクロロイソシアヌル酸やクロロプレンゴムを含む接着剤が使用される。
また、上記のごとき一般的な接着剤に含まれる有機溶媒は、揮発性有機溶剤(VOC)であり、揮発する際に作業者が直接吸引すると健康への被害を及ぼす場合がある。また、揮発性有機溶剤(VOC)が大気中に放出されると、環境汚染の原因となったり、光化学スモッグの要因なったりし得る。
このような接着剤に対して、近年、人体への影響が比較的小さいと考えられるトルエン(シンナー)などが揮発性有機溶剤(VOC)として採用されている。しかしながら、トルエン(シンナー)であっても、依然として地球環境に対して負荷がかかる。
これに対して、上記の実験のように接着剤としてエマルジョンタイプの接着剤を使用することによって、上述したような有機溶媒による地球環境への負荷を減らすことができる。しかも、第2靴底部材及び第3靴底部材という各ゴム組成物の架橋体を互いに良好な接着強度で接着させることができる。
本発明の靴底用部材は、靴の底部に配置されて好適に使用される。本発明の靴は、着用者の各足に着用されて好適に使用される。本発明の靴は、例えば、スポーツ用シューズの用途で好適に使用される。
本発明の靴底用部材の製造方法は、上記の靴底用部材を製造するために好適に使用される。
100:靴、
10:靴底用部材、
11:第1靴底部材、 12:第2靴底部材、 13:第3靴底部材、
17:接着層、
50:アッパー材。

Claims (7)

  1. 靴の底部に配置される第1靴底部材と、前記第1靴底部材よりも着用者の足裏側に配置される第2靴底部材と、前記第1靴底部材及び前記第2靴底部材の間に配置された第3靴底部材とを備え、
    ポリウレタン樹脂を含有する接着層を介して、前記第2靴底部材と前記第3靴底部材とが接着されており、
    前記第3靴底部材が、スチレン-ブタジエンゴムと乾式シリカとを少なくとも含むゴム組成物の架橋体である、靴底用部材。
  2. JIS K7312に従って測定された前記第1靴底部材の硬度よりも、前記第3靴底部材の硬度の方が大きい、請求項1に記載の靴底用部材。
  3. 前記第3靴底部材の硬度が70以上である、請求項1又は2に記載の靴底用部材。
  4. 前記ゴム組成物が前記架橋剤をさらに含み、前記架橋剤が有機過酸化物又は硫黄である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の靴底用部材。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載された靴底用部材を備える靴。
  6. 靴の底部に配置される第1靴底部材と、前記第1靴底部材よりも着用者の足裏側に配置される第2靴底部材と、前記第1靴底部材及び前記第2靴底部材の間に配置された第3靴底部材とを備える靴底用部材の製造方法であって、
    スチレン-ブタジエンゴムとシリカとを少なくとも含むゴム組成物に架橋処理を施すことによって前記第3靴底部材を作製する工程と、
    ポリウレタン樹脂を含有する接着剤によって前記第2靴底部材と前記第3靴底部材とを接着する工程と、を備える、靴底用部材の製造方法。
  7. 前記接着する工程の前に、未架橋状態のゴム組成物で形成された予備形成シートに架橋処理を施すことによって前記第1靴底部材を作製する工程を備え、
    前記第1靴底部材を作製する工程と前記第3靴底部材を作製する工程とを同時に実施しつつ、前記第1靴底部材と前記第3靴底部材とを接合する、請求項6に記載の靴底用部材の製造方法。
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