JP2023092848A - 合成セグメント及び土留構造物 - Google Patents
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Abstract
【課題】鋼殻の強度及び剛性を維持しつつ、鋼殻の内部に充填されるコンクリートの外周側の強度を向上させることができる合成セグメント及び土留構造物を提供すること。【解決手段】合成セグメントは、土留構造物の周方向及び軸方向に複数連結されることにより、土留構造物を構築する合成セグメントであって、鋼殻と、鋼殻の内部に充填されたコンクリートと、を備え、鋼殻は、軸方向に離間して設けられた一対の主桁と、主桁の外周側に接合されたスキンプレートと、主桁の周方向の両端部に接合された一対の継手板と、一対の主桁間に接合され、軸方向に延びた複数本の形状保持部材と、を有し、各形状保持部材は、スキンプレート側側面の軸方向における中央部が土留構造物の外周側から内周側に凹んだ凹形状を有し、スキンプレートと各形状保持部材との間には開口が形成されているものである。【選択図】図4
Description
本発明は、地中に沈設される土留構造物を形成する合成セグメント及び土留構造物に関するものである。
従来、鉛直方向の地下構造物を構築する土留構造物の圧入工法として、アーバンリング工法(登録商標)が知られている。アーバンリング工法は、土留パネルを沈設地点でリング状の構造物に組み立てて、圧入装置でリング状の構造物を地中に圧入する。そして、リング状の構造物を地中に圧入した後、リング状の構造物の内部を掘削して排土し、その上に新たなリング状の構造物を増設するといった作業工程を所定の深度まで繰り返すことにより、立坑等の地下構造物を構築するものである。
また、トンネル構築法の一つにシールド工法がある。シールド工法とは、立坑内に設置した掘進機を一定長さ掘進させる毎に、その後部で、例えば、円弧状の合成セグメントをリング状に組み立ててセグメントリングを構築し、これを順次、延長させて円筒形の覆工を形成してシールドトンネルを構築する工法である。
上記のような立坑またはトンネル等に用いられる合成セグメントは、土留構造物の軸方向端面を形成する主桁、周方向の端面を形成する継手板及び外周面を形成するスキンプレートを有する鋼殻の内部にコンクリート等の充填材を充填し、硬化させて形成されている(例えば、特許文献1を参照)。このような合成セグメントは、鋼殻とコンクリートとを一体に形成して強度及び剛性を確保することにより、周囲の地盤からの土圧に対し対抗することができる。また、合成セグメントは、土留構造物の軸方向に引張応力または圧縮応力が掛かるため、鋼殻の内部に土留構造物の軸方向に沿った方向に形状保持部材が設けられており、対向して配置された主桁の間に接合されている。鋼殻は、形状保持部材により主桁間の寸法が安定して保持される。
特許文献1の合成セグメントのように形状保持部材が設けられていた場合、鋼殻自体の強度及び剛性は確保できるものの、形状保持部材の間及び形状保持部材よりも内周側にある充填コンクリートは、土留構造物の周方向の荷重を受けて土留構造物の径方向の内側にコンクリートがはらみ出すように変位する。そこで、特許文献1においては、一対の主桁のそれぞれから対向する方向にフランジを突出させて充填したコンクリートのずれ止めとし、形状保持部材よりも土留構造物の内側に位置する充填コンクリートの内部に周方向に延びる鉄筋を配置することによってコンクリートを補強している。
しかしながら、特許文献1に記載の合成セグメントでは、外周側に位置する充填コンクリートは、形状保持部材が配置されているため補強ができず、コンクリートの外周側の強度が不十分になってしまう恐れがあった。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、鋼殻の強度及び剛性を維持しつつ、鋼殻の内部に充填されるコンクリートの外周側の強度を向上させることができる合成セグメント及び土留構造物を提供することを目的としている。
本発明に係る合成セグメントは、土留構造物の周方向及び軸方向に複数連結されることにより、前記土留構造物を構築する合成セグメントであって、鋼殻と、前記鋼殻の内部に充填されたコンクリートと、を備え、前記鋼殻は、前記軸方向に離間して設けられた一対の主桁と、前記主桁の外周側に接合されたスキンプレートと、前記主桁の前記周方向の両端部に接合された一対の継手板と、前記一対の主桁間に接合され、前記軸方向に延びた複数本の形状保持部材と、を有し、各前記形状保持部材は、前記スキンプレート側側面の前記軸方向における中央部が前記土留構造物の外周側から内周側に凹んだ凹形状を有し、前記スキンプレートと各前記形状保持部材との間には開口が形成されているものである。
本発明に係る土留構造物は、上記の合成セグメントを前記周方向及び前記軸方向に複数組み合わせて形成されたものである。
本発明に係る合成セグメントによれば、各形状保持部材は、スキンプレート側側面の軸方向における中央部が土留構造物の外周側から内周側に凹んだ凹形状を有し、スキンプレートと各形状保持部材との間には開口が形成されている。そのため、スキンプレートと形状保持部材との間の開口に、主筋及び配力筋からなる鉄筋を配置できるようになるので、そうすることで鋼殻の内部に充填されるコンクリートの外周側の強度を向上させることができる。また、スキンプレートと形状保持部材との間の開口によって、形状保持部材の両側に存在するコンクリートが開口を通して土留構造物の周方向に連続することになるため、スムーズな荷重伝達が可能になり、土留構造物の径方向のずれ止め効果も得られる。さらに、スキンプレートと形状保持部材との間の開口に、スキンプレートと接合させる周方向に延びたずれ止め鉄筋を土留構造物の軸方向に複数設けた場合には、土留構造物の径方向のずれ止め効果を向上させることができる。
以下、実施の形態に係る合成セグメントについて図面等を参照しながら説明する。なお、図1を含む以下の図面では、各構成部材の相対的な寸法の関係及び形状等が実際のものとは異なる場合がある。また、以下の図面において、同一の符号を付したものは、同一またはこれに相当するものであり、このことは明細書の全文において共通することとする。また、理解を容易にするために方向を表す用語(例えば、上、下、左、右、前、後、表及び裏等)を適宜用いるが、それらの表記は、説明の便宜上の記載であり、装置、器具、あるいは部品等の配置、方向及び向きを限定するものではない。
実施の形態.
[土留構造物200]
図1は、実施の形態に係る土留構造物200の概念図である。なお、図1に示す、軸方向ADは、土留構造物200の軸方向を表しており、周方向CDは、土留構造物200の周方向を表している。また、径方向RDは、土留構造物200の径方向を表しており、Y1側は、土留構造物200の内周側を表しており、Y2側は、土留構造物200の外周側を表している。
[土留構造物200]
図1は、実施の形態に係る土留構造物200の概念図である。なお、図1に示す、軸方向ADは、土留構造物200の軸方向を表しており、周方向CDは、土留構造物200の周方向を表している。また、径方向RDは、土留構造物200の径方向を表しており、Y1側は、土留構造物200の内周側を表しており、Y2側は、土留構造物200の外周側を表している。
土留構造物200は、例えば圧入ケーソン工法の土留壁として用いられる構造物であり、圧入工法等の施工法において地中の掘削面を覆う構造物である。土留構造物200は、地盤に沈設される。土留構造物200は、筒状に形成されており、中空の部分を有している。土留構造物200は、セグメントリング150を複数有し、複数のセグメントリング150が、トンネルの延びる方向に連続して連結されて形成されている。
[セグメントリング150]
図2は、実施の形態に係るセグメントリング150を軸方向ADに見た概念図である。セグメントリング150は、地中の掘削面を覆う構造物である。セグメントリング150は、軸方向ADに見た場合に環状に形成されており、全体として筒状に形成されている。セグメントリング150は、例えば、円筒形状に形成されているが、円筒形状に限定されるものではなく、軸方向に見て楕円形状あるいは矩形状などでもよい。
図2は、実施の形態に係るセグメントリング150を軸方向ADに見た概念図である。セグメントリング150は、地中の掘削面を覆う構造物である。セグメントリング150は、軸方向ADに見た場合に環状に形成されており、全体として筒状に形成されている。セグメントリング150は、例えば、円筒形状に形成されているが、円筒形状に限定されるものではなく、軸方向に見て楕円形状あるいは矩形状などでもよい。
土留構造物200は、複数のセグメントリング150が土留構造物200の延びる方向、すなわち、軸方向ADに沿って連結されることで構築される。土留構造物200が例えばシールド工法に用いられる場合には、土留構造物200は、トンネルの断面の1周分(1リング)ずつセグメントリング150が配置されることにより構築される。したがって、セグメントリング150は、土留構造物200において、トンネルの延びる方向の1単位を構成する。
セグメントリング150は、周方向CDにおいて、複数の合成セグメント100に分割されている。すなわち、複数の合成セグメント100が環状に配置され、隣接する合成セグメント100同士が互いに連結されることによりセグメントリング150が形成される。なお、図2に示すセグメントリング150は、周方向CDにおいて、合成セグメント100の大きさが略等しいように記載されているが、合成セグメント100の大きさは周方向CDにおける設置位置によってそれぞれ異なる大きさに形成されてもよい。
図1に示すように、土留構造物200において、軸方向ADに隣接するセグメントリング150は、セグメントリング150を構成する合成セグメント100の位置が周方向CDにずれた配置状態で組み立てられている。より具体的には、土留構造物200において、セグメントリング150を構成する合成セグメント100が千鳥配置の関係となるように構築されている。
[合成セグメント100]
図3は、実施の形態に係る合成セグメント100を模式的に示した斜視図である。図4は、実施の形態に係る合成セグメント100の鋼殻10を内周側から見た斜視図である。図5は、実施の形態に係る合成セグメント100の鋼殻10を外周側から見た斜視図である。図6は、実施の形態に係る合成セグメント100の鋼殻10を側方から見た縦断面模式図である。
図3は、実施の形態に係る合成セグメント100を模式的に示した斜視図である。図4は、実施の形態に係る合成セグメント100の鋼殻10を内周側から見た斜視図である。図5は、実施の形態に係る合成セグメント100の鋼殻10を外周側から見た斜視図である。図6は、実施の形態に係る合成セグメント100の鋼殻10を側方から見た縦断面模式図である。
合成セグメント100は、環状に配置され周方向CDに互いに連結されることにより地中の掘削面を覆う筒状に形成されたセグメントリング150を構成する。また、セグメントリング150は、軸方向ADに沿って連結されることにより土留構造物200を構築する。つまり、合成セグメント100は、周方向CD及び軸方向ADに複数連結されることにより、土留構造物200を構築する。
合成セグメント100は、複数の鋼材を組み合わせて構成される箱形の構造である。合成セグメント100は、セグメントリング150の軸方向ADに見た場合に円弧状に形成されており、全体として湾曲した形状に形成されている。
また、合成セグメント100は、5つの面が囲まれて径方向RDのY1側が開口した円弧状の鋼殻10と、その内部に充填される充填材であるコンクリート80とを有し、これら鋼殻10及びコンクリート80が一体化されている。
図3~図6に示すように、鋼殻10は、周方向CDに沿って円弧状に形成された鋼板からなる一対の主桁11と、一対の主桁11の外周側に溶接接合された鋼板からなるスキンプレート16と、一対の主桁11及びスキンプレート16の両端部に溶接接合された長方形状に形成された鋼板からなる一対の継手板12と、一対の継手板12間において、周方向CDに間隔を空けて配置され、軸方向ADに延びた複数の形状保持部材20と、を備え、径方向RDのY1側(内周側)が開口している。
スキンプレート16は、軸方向ADに見て円弧状に形成されているとともに、径方向RDに見て長方形状に形成されている。スキンプレート16は、鋼殻10が地中に設置された状態において、合成セグメント100の周壁を構成する。
主桁11は、スキンプレート16の軸方向ADの両端、つまり上端及び下端に設けられており、鋼殻10の上面及び下面を形成する。鋼殻10が地中に設置された状態において、スキンプレート16の上端に設けられた主桁11は、合成セグメント100の天井壁を形成し、スキンプレート16の下端に設けられた主桁11は、合成セグメント100の底壁を形成する。
継手板12は、スキンプレート16の周方向CDの両端、つまり左端及び右端に設けられており、鋼殻10の左側面及び右側面を形成する。鋼殻10が地中に設置された状態において、スキンプレート16の周方向CDの両端に設けられた継手板12は、合成セグメント100の側壁を形成する。
鋼殻10は、一対の主桁11間に設けられ、軸方向ADに延びた形状保持部材20を備えている。形状保持部材20は、周方向CDに間隔を空けて複数設けられており、一対の主桁11と直角になるように配置されている。また、形状保持部材20は、例えば鋼板からなる板状部材で構成されており、スキンプレート16側側面の軸方向ADにおける中央部がY2側(外周側)からY1側(内周側)に凹んだ凹形状を有し、スキンプレート16と形状保持部材20との間には開口60が形成されている。ただし、形状保持部材20は、鋼板に限定されない。また、形状保持部材20の短手方向の寸法は、継手板12の短手方向の寸法より短くなっている。また、形状保持部材20は、合成セグメント100の製作上、主桁11間の寸法を確保するために設けられている。
なお、形状保持部材20は、図示例の場合、周方向CDに小間隔を空けて一対となるように配置されており、さらに周方向CDに大間隔を空けて一対の形状保持部材20が3つ配置されている。つまり、形状保持部材20は、周方向CDに大小の間隔を空けて6つ配置されている。なお、形状保持部材20は、周方向CDに小間隔を空けて一対となるように配置されていなくてもよく、また、形状保持部材20の形状、設置個数は、図示例に限定されず、例えば鋼殻10の大きさ及び形状等を考慮して決定される。
主桁11には、軸方向ADに配置された上下に隣り合う鋼殻10同士を連結するための連結孔13が複数形成されている。上下に隣り合う鋼殻10は、主桁11を突き合わせ、連結孔13に挿通したボルトの軸部をナットで締結することで連結される。なお、上下に隣り合う鋼殻10を連結する部品として、ボルト及びナットを用いる代わりにワンタッチ継手を用いてもよい。
継手板12には、周方向CDに配置された左右に隣り合う鋼殻10同士を連結するための連結孔14が複数形成されている。左右に隣り合う鋼殻10は、継手板12を突き合わせ、連結孔14に挿通したボルトの軸部をナットで締結することで連結される。
なお、図示した連結孔13、14の形成数はそれぞれ一例であって、図示例に限定されず、例えば鋼殻10の大きさ及び形状等を考慮して決定される。
コンクリート80の下部には、周方向CDに間隔を空けて複数のボルトボックス81が形成されている。このボルトボックス81は、それぞれ連結孔13に対応する位置に形成されている。そして、鋼殻10の内部にコンクリート80が充填された後で、ボルトボックス81から連結孔13にボルトを挿通してナットで締結できるようになっている。また、コンクリート80の周方向CDの両端部には、軸方向ADに間隔を空けて複数のボルトボックス82が形成されている。このボルトボックス82は、それぞれ連結孔14に対応する位置に形成されている。そして、鋼殻10の内部にコンクリート80が充填された後で、ボルトボックス82から連結孔14にボルトを挿通してナットで締結できるようになっている。
スキンプレート16の内面側には、周方向CDに延びたずれ止め鉄筋52が設けられている。このずれ止め鉄筋52は、開口60内において軸方向ADに間隔を空けて複数設けられており、また、スキンプレート16の内面と当接しており、その当接箇所で溶接接合されている。ずれ止め鉄筋52は、図示例の場合、軸方向ADに間隔を空けて2つ配置されている。ずれ止め鉄筋52は、鋼殻10にコンクリート80を定着させて、鋼殻10からコンクリート80が剥がれるのを防止するためのコンクリート定着部材である。つまり、ずれ止め鉄筋52によって、鋼殻10とコンクリート80との一体化を強固にしている。
なお、ずれ止め鉄筋52は、スキンプレート16との当接箇所全てで溶接接合されていなくてもよく、スキンプレート16との当接箇所の一部で溶接接合されていればよい。また、ずれ止め鉄筋52の形状及び設置個数は、図示例に限定されず、例えば鋼殻10の大きさ及び形状等を考慮して決定される。
このように、スキンプレート16の内面にずれ止め鉄筋52を設けることにより、コンクリート80が剥がれる方向である径方向RDのY1側(内周側)へのコンクリート80のずれを抑制し、コンクリート80の高い定着効果が得られる。さらに、ずれ止め鉄筋52を設けることで、合成セグメント100の周方向CDに加わる荷重に対する強度を向上させることができる。
また、コンクリート80内には、径方向RDのY1側(内周側)に配置された内側鉄筋40と、Y2側(外周側)に配置された外側鉄筋41とが設けられている。具体的には、外側鉄筋41は、形状保持部材20とスキンプレート16との間に形成された開口60に配置されており、内側鉄筋40は、形状保持部材20よりも内周側に配置されている。このように、内側鉄筋40及び外側鉄筋41は、ずれ止め鉄筋52を主桁11の内面及びスキンプレート16の内面に当接させたことによって確保した鋼殻10内のスペースに配置されている。
内側鉄筋40は、軸方向ADに間隔を空けて配置され、周方向CDに延びた複数の主筋42と、周方向CDに間隔を空けて配置され、軸方向ADに延びた複数の配力筋44とで構成されている。そして、主筋42は、配力筋44のスキンプレート16とは反対側と当接しており、その当接箇所が接合されて、それらは一体化されている。また、配力筋44は、先端部がL字状に湾曲した形状を有しており、複数の主筋42を挟んでいる。また、配力筋44の先端部が、形状保持部材20に溶接接合されている。このように、配力筋44と形状保持部材20とを接合することで、腹圧力に対する抵抗性を向上させることができる。ここで、腹圧力とは、筒状に形成された土留構造物200が引張りを受ける区間において、土留構造物200に配置された主筋42に引張力が発生した場合に、土留構造物200の中心方向に向かう副次的な法線方向の力である。
外側鉄筋41は、軸方向ADに間隔を空けて配置され、周方向CDに延びた複数の主筋43と、周方向CDに間隔を空けて配置され、軸方向ADに延びた複数の配力筋45とで構成されている。そして、主筋43は、配力筋45のスキンプレート16とは反対側と当接しており、その当接箇所が接合されて、それらは一体化されている。また、配力筋45は、先端部が直線形状を有しており、先端部が形状保持部材20に溶接接合されている。このように、配力筋45と形状保持部材20とを接合することで、腹圧力に対する抵抗性を向上させることができる。
なお、主筋42、43は、配力筋44、45との当接箇所全てで溶接接合されていなくてもよく、配力筋44、45との当接箇所の一部で溶接接合されていればよい。また、上記では、配力筋44は、その先端部がL字状に湾曲しているとしたが、図示例に限定されず、その先端部が直線形状でもよい。また、配力筋45は、その先端部が直線形状としたが、図示例に限定されず、その先端部がL字状に湾曲していてもよい。また、主筋42、43は、配力筋44、45のスキンプレート16とは反対側と当接しているとしたが、図示例に限定されず、配力筋44、45のスキンプレート16側と当接していてもよい。
主筋42、43は、図示例の場合、軸方向ADに間隔を空けて4つ配置されている。また、配力筋44は、図示例の場合、軸方向ADに位置をずらして2つ配置されており、その2つが周方向CDに小間隔を空けて一対となるように配置されており、さらに周方向CDに大間隔を空けて一対の配力筋44が3つ配置されている。また、配力筋45は、図示例の場合、周方向CDに小間隔を空けて一対となるように配置されており、さらに周方向CDに大間隔を空けて一対の配力筋45が3つ配置されている。つまり、配力筋44は、周方向CDに大小の間隔を空けて12配置されており、配力筋45は、周方向CDに大小の間隔を空けて6つ配置されている。
内側鉄筋40及び外側鉄筋41は、コンクリート80に埋め込み固定されることで、コンクリート80の強度を向上させている。なお、内側鉄筋40及び外側鉄筋41の形状及び設置個数は、図示例に限定されず、例えば合成セグメント100の大きさ及び形状等を考慮して決定される。
図7は、実施の形態に係る合成セグメント100の第1変形例による鋼殻10を側方から見た縦断面模式図である。
実施の形態の第1変形例では、コンクリート80内には、内側鉄筋40及び外側鉄筋41を連結する連結鉄筋46が設けられている。連結鉄筋46は、図示例の場合、軸方向ADに間隔を空けて2つ、さらに、周方向CDに間隔を空けて6つ配置されている。この連結鉄筋46は、内側鉄筋40の軸方向ADの両側の主筋42及び外側鉄筋41の軸方向ADの両側の主筋43を囲う、つまり、径方向RDにおいて、連結鉄筋46が主筋42、43を跨ぐことで内側鉄筋40と外側鉄筋41とを連結し、それらの位置を保持するものである。このように、内側鉄筋40と外側鉄筋41とを連結する連結鉄筋46を設けることで、コンクリート80の強度をより向上させている。なお、連結鉄筋46の形状及び設置個数は、図示例に限定されず、内側鉄筋40及び外側鉄筋41の位置を保持できる形状及び設置個数であればよい。また、連結鉄筋46は、内側鉄筋40の軸方向ADの両側の主筋42及び外側鉄筋41の軸方向ADの両側の主筋43を囲うことで内側鉄筋40と外側鉄筋41とを連結し、それらの位置を保持するものであるとしたが、図示例に限定されない。例えば、内側鉄筋40の主筋42と外側鉄筋41の主筋43とを鉄線で結ぶ等、内側鉄筋40と外側鉄筋41との位置を保持できるような構造であれば、他の構造でもよい。
図8は、実施の形態に係る合成セグメント100の第2変形例による鋼殻10を側方から見た縦断面模式図である。
上記では、外側鉄筋41は、複数の主筋43と複数の配力筋45とで構成されているとしたが、それに限定されず、図8に示すように、外側鉄筋41は、複数の主筋43のみで構成してもよい。これは、外側鉄筋41はスキンプレート16の近くに配置されており、配力筋45による周方向CDに加わる荷重に対する強度を、スキンプレート16で補うことができるためである。ただし、配力筋45を設けた方が、周方向CDに加わる荷重に対する強度を向上させることができる。
以上、実施の形態に係る合成セグメント100は、周方向CD及び軸方向ADに複数連結されることにより、土留構造物200を構築する合成セグメント100であって、鋼殻10と、鋼殻10の内部に充填されたコンクリート80と、を備え、鋼殻10は、軸方向ADに離間して設けられた一対の主桁11と、主桁11の外周側に接合されたスキンプレート16と、主桁11の周方向CDの両端部に接合された一対の継手板12と、一対の主桁11間に接合され、軸方向ADに延びた複数本の形状保持部材20と、を有し、各形状保持部材20は、スキンプレート16側側面の軸方向ADにおける中央部が土留構造物200の外周側から内周側に凹んだ凹形状を有し、スキンプレート16と各形状保持部材20との間には開口60が形成されているものである。
実施の形態に係る合成セグメント100によれば、各形状保持部材20は、スキンプレート16側側面の軸方向ADにおける中央部が土留構造物200の外周側から内周側に凹んだ凹形状を有し、スキンプレート16と各形状保持部材20との間には開口60が形成されている。そのため、スキンプレート16と形状保持部材20との間の開口60に、主筋43及び配力筋45からなる鉄筋を配置できるようになるので、そうすることで鋼殻10の内部に充填されるコンクリート80の外周側の強度を向上させることができる。また、スキンプレート16と形状保持部材20との間の開口60によって、形状保持部材20の両側に存在するコンクリート80が開口を通して周方向CDに連続することになるため、スムーズな荷重伝達が可能になり、径方向RDのずれ止め効果も得られる。さらに、スキンプレート16と形状保持部材20との間の開口60に、スキンプレート16と接合させる周方向CDに延びたずれ止め鉄筋52を軸方向ADに複数設けた場合には、径方向RDのずれ止め効果を向上させることができる。
また、実施の形態に係る合成セグメント100において、コンクリート80内には、周方向CDに延び、軸方向ADに間隔を空けて設けられた複数の主筋42、43と、軸方向ADに延び、周方向CDに間隔を空けて設けられた複数の配力筋44、45と、で構成された内側鉄筋40及び外側鉄筋41が設けられており、外側鉄筋41は、開口60に配置され、内側鉄筋40は、形状保持部材20よりも土留構造物200の内周側に配置されている。
実施の形態に係る合成セグメント100によれば、スキンプレート16と形状保持部材20との間の開口60に外側鉄筋41を配置することにより、鋼殻10の内部に充填されるコンクリート80の外周側の強度を向上させることができる。
また、実施の形態に係る合成セグメント100において、コンクリート80内には、内側鉄筋40と外側鉄筋41とを連結する連結鉄筋46が設けられている。
実施の形態に係る合成セグメント100によれば、内側鉄筋40と外側鉄筋41とを連結する連結鉄筋46がコンクリート80内に設けられる。そうすることで、コンクリート80の強度をより向上させることができる。
また、実施の形態に係る合成セグメント100において、鋼殻10は、周方向CDに延びたずれ止め鉄筋52を有し、ずれ止め鉄筋52は、開口60内において軸方向ADに間隔を空けて複数設けられ、スキンプレート16の内面に接合されている。
実施の形態に係る合成セグメント100によれば、スキンプレート16の内面にずれ止め鉄筋52を設けることで、コンクリート80が剥がれる方向である径方向RDのY1側(内周側)へのコンクリート80のずれを抑制し、コンクリート80の高い定着効果が得られる。さらに、ずれ止め鉄筋52を設けることで、合成セグメント100の周方向CDに加わる荷重に対する強度を向上させることができる。
10 鋼殻、11 主桁、12 継手板、13 連結孔、14 連結孔、16 スキンプレート、20 形状保持部材、40 内側鉄筋、41 外側鉄筋、42 主筋、43 主筋、44 配力筋、45 配力筋、46 連結鉄筋、52 ずれ止め鉄筋、60 開口、80 コンクリート、81 ボルトボックス、82 ボルトボックス、100 合成セグメント、150 セグメントリング、200 土留構造物。
Claims (5)
- 土留構造物の周方向及び軸方向に複数連結されることにより、前記土留構造物を構築する合成セグメントであって、
鋼殻と、
前記鋼殻の内部に充填されたコンクリートと、を備え、
前記鋼殻は、
前記軸方向に離間して設けられた一対の主桁と、
前記主桁の外周側に接合されたスキンプレートと、
前記主桁の前記周方向の両端部に接合された一対の継手板と、
前記一対の主桁間に接合され、前記軸方向に延びた複数本の形状保持部材と、を有し、
各前記形状保持部材は、
前記スキンプレート側側面の前記軸方向における中央部が前記土留構造物の外周側から内周側に凹んだ凹形状を有し、
前記スキンプレートと各前記形状保持部材との間には開口が形成されている
合成セグメント。 - 前記コンクリート内には、
前記周方向に延び、前記軸方向に間隔を空けて設けられた複数の主筋と、
前記軸方向に延び、前記周方向に間隔を空けて設けられた複数の配力筋と、で構成された内側鉄筋及び外側鉄筋が設けられており、
前記外側鉄筋は、前記開口に配置され、
前記内側鉄筋は、前記形状保持部材よりも前記内周側に配置されている
請求項1に記載の合成セグメント。 - 前記コンクリート内には、
前記内側鉄筋と前記外側鉄筋とを連結する連結鉄筋が設けられている
請求項2に記載の合成セグメント。 - 前記鋼殻は、
前記周方向に延びたずれ止め鉄筋を有し、
前記ずれ止め鉄筋は、
前記開口内において前記軸方向に間隔を空けて複数設けられ、前記スキンプレートの内面に接合されている
請求項1~3のいずれか一項に記載の合成セグメント。 - 請求項1~4のいずれか一項に記載の合成セグメントを前記周方向及び前記軸方向に複数組み合わせて形成された
土留構造物。
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- 2021-12-22 JP JP2021208096A patent/JP2023092848A/ja active Pending
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