JP2023084831A - アルミニウム合金 - Google Patents

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Abstract

【課題】本開示は、高い強度及び優れた耐SCC性を有するアルミニウム合金を提供することを目的とする。を提供することである。【解決手段】本実施形態は、0.70質量%以上1.00質量%以下のCu、及び0.40質量%以上1.00質量%以下のMnを含むアルミニウム合金である。【選択図】なし

Description

本開示は、アルミニウム合金に関する。
Al-Mg(アルミニウム-マグネシウム)系合金、Al-Mg-Si(アルミニウム-マグネシウム-シリコン)系合金、Al-Mg-Si-Cu(アルミニウム-マグネシウム-シリコン-銅)系合金等のMgを含むアルミニウム合金は、その比重が冷延鋼板の1/3程度であるにもかかわらず、冷延鋼板と同等の強度を有している。また、Al-Mg-Si系合金及びAl-Mg-Si-Cu系合金等のアルミニウム合金は、ベークハード性、つまり、塗装焼き付け等の際に加熱することにより、加熱前に比べて強度が向上する特性を有している。これらの特性を活かし、軽量化が強く望まれている自動車用ボディシートやボディパネル等の分野において、アルミニウム合金への置き換えが進展しつつある。
アルミニウム合金に関する技術として、例えば、特許文献1では、Mg:0.70~1.50質量%、Si:0.80~1.30質量%、Cu:0.30~0.90質量%、Fe:0.10~0.40質量%、Ti:0.005~0.15質量%を含み、更に、Mn:0.10~0.60質量%、Cr:0.10~0.45質量%、Zr:0.05~0.30質量%のうち一種または二種以上を含み、残部がAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金から構成されるアルミニウム合金鍛造材であって、最大応力が発生する部位でのQ相の長軸が50~500nmであることを特徴とするアルミニウム合金鍛造材が開示されている。
特開2015-193903号公報
自働車用構造部材には、軽量、高強度、及び優れた耐応力腐食割れ性が求められる。以下、耐応力腐食割れ性を、耐SCC性と称す(SCC:Stress Corrosion Cracking)。そのような観点から、特許文献1に開示されるような、Al-Mg-Si系合金が使用される場合がある。Al-Mg-Si系合金の強度を高める手法として、Cuを添加する手法が知られている。しかしながら、背反として、Cu添加は、Al-Mg-Si系合金の耐SCC性を低下させることが課題となっている。そこで、高強度を維持しつつ、優れた耐SCC性を有するアルミニウム合金の開発が求められている。
そこで、本開示は、高い強度及び優れた耐SCC性を有するアルミニウム合金を提供することを目的とする。
(1) 0.70質量%以上1.00質量%以下のCu、及び0.40質量%以上1.00質量%以下のMnを含むアルミニウム合金。
(2) 0.10質量%以上3.00質量%以下のSi、0.050質量%以上1.00質量%以下のFe、及び0.10質量%以上3.00質量%以下のMgをさらに含み、
0.50質量%以下のCr、0.50質量%以下のZn、0.50質量%以下のTiからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含有してもよく、
残部がAl及び不可避的不純物からなる、(1)に記載のアルミニウム合金。
本開示により、高い強度及び優れた耐SCC性を有するアルミニウム合金を提供することができる。
実施例及び比較例における引張試験の結果を示すグラフである。 実施例及び比較例におけるMn量と溶融開始温度の関係を示すグラフである。
本実施形態は、0.70質量%以上1.00質量%以下のCu、及び0.40質量%以上1.00質量%以下のMnを含むアルミニウム合金である。
本実施形態により、高い強度及び優れた耐SCC性を有するアルミニウム合金を提供することができる。
以下、本実施形態について説明する。
(アルミニウム合金)
本実施形態に係るアルミニウム合金は、0.70質量%以上1.00質量%以下のCu、及び0.40質量%以上1.00質量%以下のMnを含む。すなわち、アルミニウム合金は、Al以外の必須成分として、Cu及びMnを含み、Cuの含量は、0.70質量%以上1.00質量%以下であり、Mnの含量は、0.40質量%以上1.00質量%以下である。Cu量が0.70質量%以上1.00質量%以下かつMn量が0.40質量%以上1.00質量%以下である場合、優れた引張強度を有し、かつ優れた耐SCC性を有するアルミニウム合金を提供することができる。また、本実施形態に係るアルミニウム合金は、鋳造割れが発生し難く、高い溶融開始温度を有するという点においても優れている。
アルミニウム合金には、これらの必須成分に加えて、Si、Fe、及びMgを含むことができる。Siの含量は、0.10質量%以上3.00質量%以下であることが好ましい。Feの含量は、0.050質量%以上1.00質量%以下であることが好ましい。Mgの含量は、0.10質量%以上3.00質量%以下であることが好ましい。
また、アルミニウム合金は、Cr、Zn及びTiからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含有してもよい。Crの含量は、0.50質量%以下であることが好ましい。Znの含量は、0.50質量%以下であることが好ましい。Tiの含量は、0.50質量%以下であることが好ましい。
本実施形態において、アルミニウム合金の組成は、ICP(Inductively Coupled Plasma/高周波誘導結合プラズマ)発光分光分析法により測定することができる。
以下に、アルミニウム合金の成分について詳細に説明する。
・Cu
本実施形態に係るアルミニウム合金は、0.70質量%以上1.00質量%以下のCuを含む。Cuの含量を0.70質量%以上とすることにより、引張強度を向上させることができる。また、Cuの含量を1.00質量%以下とすることにより、耐SCC性を向上させることができる。アルミニウム合金中のCuの含量は、0.75質量%以上であることが好ましい。また、アルミニウム合金中のCuの含量は、0.95質量%以下であることが好ましい。
Cuの一部は、アルミニウム合金中において、Alマトリクスに固溶した固溶Cuとして存在している。また、Alマトリクス中に固溶していないCuは、AlやMn等の他の金属との金属間化合物の形態で存在し得る。
・Mn
本実施形態に係るアルミニウム合金は、0.40質量%以上1.00質量%以下のMnを含む。Mnの含量を0.40質量%以上とすることにより、溶融開始温度を高くすることができる。また、Mnの含量を1.00質量%以下とすることにより、鋳造割れの発生を抑制することができる。アルミニウム合金中のMnの含量は、0.45質量%以上であることが好ましく、0.50質量%以上であることが好ましく、0.55質量%以上であることが好ましく、0.60質量%以上であることが好ましい。また、アルミニウム合金中のMnの含量は、0.99質量%以下であることが好ましい。
Mnの一部は、アルミニウム合金中において、Alマトリクスに固溶した固溶Mnとして存在している。また、Alマトリクス中に固溶していないMnは、Al-(Fe,Mn)-Si系金属間化合物、Al-Mn-Si系金属間化合物等の金属間化合物の形態で存在し得る。
・Si
本実施形態に係るアルミニウム合金は、Siを含むことができる。Siの含量は、0.10質量%以上3.00質量%以下であることが好ましい。アルミニウム合金中のSiの含量を前記範囲とすることにより、Alマトリクス中のSiの固溶量を多くすることができる。その結果、ひずみの導入量が小さい塑性加工においても加工硬化による強度の上昇量を大きくすることができる。Siの含量は、0.30質量%以上であることが好ましく、0.50質量%以上であることが好ましく、0.70質量%以上であることが好ましい。また、Siの含量は、2.50質量%以下であることが好ましく、2.00質量%以下であることが好ましく、1.50質量%以下であることが好ましい。
Siの一部は、アルミニウム合金中において、Alマトリクスに固溶した固溶Siとして存在している。また、Alマトリクス中に固溶していないSiは、単体Siや、Mg2Si、Al-(Fe,Mn)-Si系金属間化合物、Al-Mn-Si系金属間化合物、Al-Fe-Si系金属間化合物等の金属間化合物の形態で存在し得る。
・Fe
本実施形態に係るアルミニウム合金は、Feを含むことができる。Feの含量は、0.050質量%以上1.00質量%以下であることが好ましい。アルミニウム合金中のFeの含量を前記範囲とすることにより、Alマトリクス中のFeの固溶量を多くすることができる。また、鋳造原料としてアルミニウム製品(再利用品を含む)を使用する場合、アルミニウム合金中のFeの含量が多くなる傾向にある。アルミニウム合金中のFeの含量を0.050質量%以上とすることにより、鋳造原料に占めるアルミニウム製品(再利用品を含む)の比率を高めることができる。その結果、アルミニウム合金の材料コストを低減することができる。Feの含量は、0.10質量%以上であることが好ましく、0.15質量%以上であることが好ましい。また、Feの含量は、0.50質量%以下であることが好ましく、0.30質量%以下であることが好ましい。
Feの一部は、アルミニウム合金中において、Alマトリクスに固溶した固溶Feとして存在している。また、Alマトリクス中に固溶していないFeは、Al-Fe-Si系金属間化合物やAl-(Fe,Mn)-Si系金属間化合物等の金属間化合物の形態で存在し得る。
・Mg
本実施形態に係るアルミニウム合金は、Mgを含むことができる。Mgの含量は、0.10質量%以上3.00質量%以下であることが好ましい。アルミニウム合金中のMgの含量を前記範囲とすることにより、Alマトリクス中のMgの固溶量を多くすることができる。また、アルミニウム合金中のMgの含量を前記範囲とすることにより、アルミニウム合金中のMg2Siの量を多くすることができる。その結果、析出強化によりアルミニウム合金の強度を高くすることができる。アルミニウム合金の強度をより高くする観点からは、Mgの含有量を0.30質量%以上とすることが好ましい。Mgの含量は、0.30質量%以上であることが好ましく、0.40質量%以上であることが好ましく、0.50質量%以上であることが好ましく、0.60質量%以上であることが好ましく、0.70質量%以上であることが好ましい。また、Mgの含量は、2.50質量%以下であることが好ましく、2.00質量%以下であることが好ましく、1.50質量%以下であることが好ましい。
Mgの一部は、アルミニウム合金中において、Alマトリクスに固溶した固溶Mgとして存在している。また、Alマトリクス中に固溶していないMgは、Mg2Si等の金属間化合物の形態で存在し得る。
・Cr
本実施形態に係るアルミニウム合金は、0.50質量%以下のCrを含んでいてもよい。Crの含量は、例えば、0.0010質量%以上である。アルミニウム合金にCrを添加することにより、強度の向上、結晶粒の微細化及び表面処理性の向上等の作用効果を奏することができる。一方、Crの含量が過度に多くなると、アルミニウム合金中に粗大な金属間化合物が形成されやすくなり、プレス成形性の低下を招くおそれがある。Crの含有量を0.50質量%以下とすることにより、プレス成形性の低下を回避しつつ前述した作用効果を奏することができる。
・Zn
本実施形態に係るアルミニウム合金は、0.50質量%以下のZnを含んでいてもよい。Znの含量は、例えば、0.0010質量%以上である。アルミニウム合金にZnを添加することにより、強度の向上、結晶粒の微細化及び表面処理性の向上等の作用効果を奏することができる。一方、Znの含量が過度に多くなると、アルミニウム合金の耐食性の低下を招くおそれがある。Znの含量を0.50質量%以下とすることにより、耐食性の低下を回避しつつ前述した作用効果を奏することができる。
・Ti
本実施形態に係るアルミニウム合金は、0.50質量%以下のTiを含んでいてもよい。Tiの含量は、例えば、0.0010質量%以上である。アルミニウム合金にTiを添加することにより、鋳塊組織を微細化し、鋳造時の割れの発生を抑制するとともに、熱間圧延時の圧延性を向上することができる。一方、Tiの含量が過度に多くなると、アルミニウム合金中に粗大な晶出物が形成されやすくなり、圧延性やプレス成形性の低下を招くおそれがある。Tiの含量を0.50質量%以下とすることにより、粗大な晶出物の形成を抑制しつつ、前述した作用効果を奏することができる。
・その他の元素
本実施形態に係るアルミニウム合金は、前述した金属の他に、例えば、0.050質量%以下のNi、0.050質量%以下のZr、及び/又は0.050質量%以下のBiを含み得る。
(アルミニウム合金の製造方法)
以下に、本実施形態に係るアルミニウム合金の製造方法の例を説明する。アルミニウム合金の製造方法は、例えば、注湯工程と凝固工程とを含み得る。
注湯工程は、全体を100質量%としたときに、本実施形態に係るアルミニウム合金の組成を有する合金溶湯を鋳型に注湯する工程である。本実施形態に係るアルミニウム合金の製造方法は、例えば、連続鋳造、重力鋳造、加圧鋳造、又はダイカスト鋳造することができ、これらの中でも連続鋳造が好ましい。また、鋳造に使用される鋳型も砂型、金型等を問わない。
鋳造原料は、特に制限されることはないが、例えば、自動車用アルミニウム部品のスクラップを鋳造原料として使用することができる。
凝固工程は、注湯工程後の合金溶湯を冷却させて凝固させる工程である。鋳型の材質、鋳型の肉厚、鋳物の寸法(あるいは鋳型のキャビティの寸法)、冷却方法等を適宜選択して冷却速度(凝固速度)を調整することができる。
本実施形態に係るアルミニウム合金の製造方法は、さらに、熱間加工工程を含んでもよい。熱間加工工程としては、例えば、熱間鍛造工程又は熱間押出工程が挙げられる。熱間鍛造工程は、鋳造後のビレットを鍛造し、成形する工程である。また、熱間押出工程は、鋳造後のビレットを押出機により押出することで、長手の押出棒を成形する手法である。熱間加工後に冷間加工を施してもよい。
本実施形態に係るアルミニウム合金の製造方法は、さらに、熱間加工工程後に、アルミニウム合金に溶体化熱処理および/または時効熱処理を施す熱処理工程を含むのが好ましい。
溶体化熱処理は、アルミニウム合金を高温で保持した後に急冷し、過飽和固溶体を形成する熱処理である。時効熱処理は、アルミニウム合金を比較的低温で加熱保持して過飽和に固溶した元素を析出させて、適度な硬さを付与するための熱処理である。これらの熱処理によって、微細な析出物が均一に分散し、強度、延性および靭性が高度にバランスしたアルミニウム合金が得られる。これらの熱処理条件は、鋳物の組成、要求される特性等に応じて選択すればよい。たとえば、溶体化熱処理は、450℃~600℃で0.5~10時間の加熱保持後、急冷すればよい。加熱温度は、490℃~570℃、保持時間を0.5~3時間とするのが好ましく、コストと特性とのバランスが良好である。また、時効熱処理は、たとえば、140℃~250℃で1~20時間保持すればよい。加熱温度を160~200℃、保持時間を1~5時間とするのが好ましく、コストと特性とのバランスが良好である。
(用途)
本実施形態に係るアルミニウム合金は、強度、耐食性が同時に要求される押出品、鍛造品、あるいはそれらの原料(インゴット等)として好適に用いられる。たとえば、車両の足回り用部材がある。足回り部材としては、アッパーアーム、ロアアーム、ナックル、アクスルキャリア、ディスクホイール、クロスメンバ等が挙げられる。これらの部材に本実施形態に係るアルミニウム合金を適用すると、軽量効果が大きく、性能向上も図れる。
また、本実施形態に係るアルミニウム合金は、展伸材として利用可能である。
以下に、本実施形態について実施例を用いて説明する。なお、本実施形態に係るアルミニウム合金の具体的な態様は実施例の態様に限定されるものではなく、本開示の趣旨を損なわない範囲で適宜構成を変更することができる。
実施例及び比較例では、まず、連続鋳造により、表1に示す組成を有する試験材を作製した。
Figure 2023084831000001
比較例2の試験材C2は、A6110合金である。また、表1中の記号「Bal.」は、当該成分が残余成分(Balance)であることを示す記号である。また、表1の数値における単位は、質量%である。試験材の組成は、試験材の切り粉をICP(Inductively Coupled Plasma/高周波誘導結合プラズマ)発光分光分析法により測定した。
各試験材について、溶体化処理及び時効処理を順次行った。溶体化処理の条件としては、555℃±5℃で2時間加熱し、直ちに焼入れ(水冷)を行った。溶体化処理が完了した後、直ちに時効処理を行った。時効処理における加熱温度は、185℃とし、保持時間は5時間とした。
以上により、アルミニウム合金(試験材E1~E4及びC1~C8)を作製した。
[評価]
次に、得られた試験材E1~E4並びにC1~C8について、引張強度、溶融開始温度、及び耐SCC性を主に評価した。
(引張強度)
試験材からJIS Z2241に規定される5号試験片を採取した。この試験片を用い、JIS Z2241に準拠した方法により引張試験を行うことにより引張強度を測定した。結果を図1に示す。図1に示す引張強度の結果について、AA6110合金の引張強度を基準(0%)とする相対値として示した。なお、試験材C4は局部溶融(バーニング)、試験材C5は鋳造割れのため、引張強度の試験を行わなかった。
図1に示されるように、Cu量が増加するほど、引張強度が向上しており、引張強度が9~10%以上を達成するためには、実施例1~4及び比較例6~8で示されるように、Cu量が0.70質量%以上であることが有利であることが分かる。
(溶融開始温度)
図2に、Mn量と溶融開始温度の関係を示す。
図2より、Mn量が低いほど、溶融開始温度が下がる傾向があることが分かる。本実施例において、溶体化処理の温度は555℃であり、この温度を下回ると鍛造時の加工発熱に伴い、局部溶融(バーニング)による欠陥の発生が懸念される(比較例4)。そのため、Mn量を0.40%以上に増加させることで溶融開始温度を555℃以上に向上させ、鍛造時の局部溶融を抑制し得る。また、Mn量が1.00質量%を超える場合は、鋳造割れが発生し易いことが確認された(比較例5)。
[耐SCC試験]
JIS H 8711に準拠する方法により、耐SCC試験を行った。具体的には、Cリング形状(外径19mm、内径16mm、厚さ8mm)の試験片を作製する。そして、応力集中部における引張応力の負荷方向が押出方向と一致するように、試験片に対して一定の応力を負荷し、その状態で、25℃±3℃の温度環境下において、3.5%塩水(pH6.4-7.2)へ10分間浸漬し、その後に50分間乾燥させるという工程を1サイクルとして繰り返し行った。60日後、試験片に割れが発生していないか目視で確認し、試験片に割れが発生していない場合は合格と判定した。
実施例1~4では、耐SCC試験後もCリングを貫通するような割れは発生しなかった。高いCu量を有する比較例7および比較例8では、SCCによりCリングを貫通するほどの割れが発生していることが分かる。そのため、耐SCC性を満足するためには、Cu量を1.00質量%以下であることが有利である。
以上の結果を以下にまとめる。引張強度がプラス10%を達成する観点から、Cu量が0.70質量%以上であることが有利である(図1、引張強度)。しかし、Cu量が0.70質量%以上である場合であっても、Mn量が1.00質量%を超える場合は、鋳造割れが発生し易い。また、Cu量が0.70質量%以上である場合であっても、Mn量が0.40質量%未満である場合は、溶融開始温度が低いことから、局部溶融による欠陥が発生し易い。また、Cu量が1.00質量%を超える場合、SCCによる割れが発生し易い(比較例7及び8)。したがって、換言すると、Cu量が0.70質量%以上1.00質量%以下、かつMn量が0.40質量%以上1.00質量%以下であるアルミニウム合金は、優れた引張強度を有し、鋳造割れが発生し難く、高い溶融開始温度を有し、優れた耐SCC性を有することができることが分かる。
本明細書中に記載した数値範囲の上限値及び/又は下限値は、それぞれ任意に組み合わせて好ましい範囲を規定することができる。例えば、数値範囲の上限値及び下限値を任意に組み合わせて好ましい範囲を規定することができ、数値範囲の上限値同士を任意に組み合わせて好ましい範囲を規定することができ、また、数値範囲の下限値同士を任意に組み合わせて好ましい範囲を規定することができる。
この記載した開示に続く特許請求の範囲は、本明細書においてこの記載した開示に明示的に組み込まれ、各請求項は個別の実施形態として独立している。本開示は独立請求項をその従属請求項によって置き換えたもの全てを含む。さらに、独立請求項及びそれに続く従属請求項から誘導される追加的な実施形態も、この記載した明細書に明示的に組み込まれる。
当業者であれば本開示を最大限に利用するために上記の説明を用いることができる。本明細書に開示した特許請求の範囲及び実施形態は、単に説明的及び例示的なものであり、いかなる意味でも本開示の範囲を限定しないと解釈すべきである。本開示の助けを借りて、本開示の基本原理から逸脱することなく上記の実施形態の詳細に変更を加えることができる。換言すれば、上記の明細書に具体的に開示した実施形態の種々の改変及び改善は、本開示の範囲内である。
以上、本実施形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲における設計変更があっても、それらは本開示に含まれるものである。

Claims (1)

  1. 0.70質量%以上1.00質量%以下のCu、及び0.40質量%以上1.00質量%以下のMnを含むアルミニウム合金。
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