JP2023075754A - ワインテイスト飲料 - Google Patents
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Abstract
【課題】ワインらしい発酵感およびワインらしい複雑味が付与または向上されたワインテイスト飲料を提供する。【解決手段】もろみ酢を含有するワインテイスト飲料とすることにより、前記課題を解決する。【選択図】なし
Description
本発明は、ワインテイスト飲料、その製造方法等に関する。
ワインテイスト飲料は、ワインのような味および香りを呈する飲料であって、酒税法により定義される果実酒、甘味果実酒、またはリキュールのいずれかに属するワインテイストアルコール飲料などが開発されている。さらに、近年では、アルコールを実質的に含まないけれどもワインのような香味を有し、ワインを飲用したような感覚を飲用者に与えるノンアルコールワインテイスト飲料も開発されている。
例えば特許文献1には、フィチン酸濃度、クエン酸濃度、酒石酸濃度、およびクエン酸濃度換算の総酸濃度量が所定の関係式を満たす、ワイン様の味わいの厚み及び適度な渋みを備えたワイン風味清涼飲料水が開示されている。
しかしながら、ワインテイスト飲料においては、ワインらしい発酵感やワインらしい複雑味のさらなる改善が求められている。特に、低アルコールワインテイスト飲料やノンアルコールワインテイスト飲料においては、ワインらしい発酵感やワインらしい複雑味が一般的なワインなどよりも明らかに劣っている場合が多く、その改善が強く求められている。また、上記した特許文献1のように有機酸を用いてノンアルコールワインテイスト飲料を調製した場合でも、同様に改善の余地がある。
そこで本発明は、ワインらしい発酵感およびワインらしい複雑味が付与または向上されたワインテイスト飲料を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明者は鋭意検討し、もろみ酢がワインテイスト飲料の香味などに大きな影響を与えることを明らかにした。そして、この知見から、もろみ酢を含有するワインテイスト飲料とすることにより、ワインらしい発酵感およびワインらしい複雑味が付与または向上されたものとなることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は次の<1>~<9>である。
<1>もろみ酢を含有する、ワインテイスト飲料。
<2>アルコール度数が12v/v%以下である、<1>に記載のワインテイスト飲料。
<3>ノンアルコールワインテイスト飲料である、<2>に記載のワインテイスト飲料。
<4>前記もろみ酢を0.01g/100ml以上5g/100ml以下含有する、<1>~<3>のいずれか1つに記載のワインテイスト飲料。
<5>没食子酸換算での総ポリフェノール含有量が10mg/100ml以上500mg/100ml以下である、<1>~<4>のいずれか1つに記載のワインテイスト飲料。
<6>ナリンギンを0.5mg/100ml以上含有する、<1>~<5>のいずれか1つに記載のワインテイスト飲料。
<7>酒石酸を0.05g/100ml以上含有する、<1>~<6>のいずれか1つに記載のワインテイスト飲料。
<8>もろみ酢を含有させる工程を含む、ワインテイスト飲料の製造方法。
<9>ワインテイスト飲料にもろみ酢を含有させることを特徴とする、ワインテイスト飲料の発酵感および複雑味を付与または向上する方法。
<1>もろみ酢を含有する、ワインテイスト飲料。
<2>アルコール度数が12v/v%以下である、<1>に記載のワインテイスト飲料。
<3>ノンアルコールワインテイスト飲料である、<2>に記載のワインテイスト飲料。
<4>前記もろみ酢を0.01g/100ml以上5g/100ml以下含有する、<1>~<3>のいずれか1つに記載のワインテイスト飲料。
<5>没食子酸換算での総ポリフェノール含有量が10mg/100ml以上500mg/100ml以下である、<1>~<4>のいずれか1つに記載のワインテイスト飲料。
<6>ナリンギンを0.5mg/100ml以上含有する、<1>~<5>のいずれか1つに記載のワインテイスト飲料。
<7>酒石酸を0.05g/100ml以上含有する、<1>~<6>のいずれか1つに記載のワインテイスト飲料。
<8>もろみ酢を含有させる工程を含む、ワインテイスト飲料の製造方法。
<9>ワインテイスト飲料にもろみ酢を含有させることを特徴とする、ワインテイスト飲料の発酵感および複雑味を付与または向上する方法。
本発明によれば、ワインらしい発酵感およびワインらしい複雑味が付与または向上されたワインテイスト飲料を提供することができる。
本発明について説明する。
本発明は、もろみ酢を含有するワインテイスト飲料(以下においては「本発明のワインテイスト飲料」という場合もある)、その製造方法等である。
本発明は、もろみ酢を含有するワインテイスト飲料(以下においては「本発明のワインテイスト飲料」という場合もある)、その製造方法等である。
ここで、本発明において「ワインテイスト飲料」とは、ワイン(ぶどうなどの果実または果汁を発酵させて得られた醸造酒)の様な味および香りを呈し、飲用の際にワインを飲用したような感覚を飲用者に与える飲料を意味する。したがって、本発明のワインテイスト飲料には、ワインだけでなく、例えば酒税法(令和元年法律第六十三号)により定義される果実酒、甘味果実酒、リキュールなどに分類されるワインテイストのアルコール飲料や、ワイン(赤ワイン、白ワインなど)のような味および香りを呈するノンアルコール飲料であるノンアルコールワインテイスト飲料が包含される。そして、このノンアルコールワインテイスト飲料としては、ワイン由来成分を含む原料(エキスなど)やワイン様フレーバー(香料など)を含有する飲料等が例示され、ワインテイストのノンアルコールチューハイや、ノンアルコール発泡性ワインテイスト飲料も包含される。特に本発明では、ぶどう果実またはぶどう果汁を原料としているワインのような味および香りを呈するものであるとより好ましい。
なお、「アルコール飲料」とは、酒税法において定義される酒類などの、アルコール度数が1v/v%以上である飲料を意味する。なお、この「アルコール度数(v/v%)」は、国税庁所定分析法(訓令)3清酒3-4アルコール分(ガスクロマトグラフ分析法)に基づいて測定される値である(以下においても同様である)。そして、本発明において「アルコール」とは、エタノールを意味する。
一方、「ノンアルコール飲料」とは、アルコール度数が1v/v%未満である飲料を意味する。このアルコール度数は1v/v%未満であれば特に制限されず、例えば0.000v/v%以上1v/v%未満であって良い。そして、この下限は、0.001v/v%以上、0.005v/v%以上、0.01v/v%以上、0.05v/v%以上、0.1v/v%以上、0.2v/v%以上、0.3v/v%以上、0.4v/v%以上、0.5v/v%以上、または0.6v/v%以上であって良い。また、この上限は、0.95v/v%以下、0.9v/v%以下、0.85v/v%以下、0.8v/v%以下、0.7v/v%以下、0.6v/v%以下、0.5v/v%以下、0.4v/v%以下、0.3v/v%以下、0.2v/v%以下、0.1v/v%以下、0.05v/v%以下、0.01v/v%以下、0.005v/v%以下、0.005v/v%未満、または0.004v/v%以下であって良い。特に、ノンアルコール飲料(ノンアルコールワインテイスト飲料)の場合、ワインらしい発酵感やワインらしい複雑味がより感じにくくなることが多いが、本発明のワインテイスト飲料では、ノンアルコールワインテイスト飲料としても上記効果が十分に発揮されることが大きな特徴である。
以下、本発明のワインテイスト飲料を構成する成分等について詳細に説明する。
本発明のワインテイスト飲料は、もろみ酢を含有する。これにより、ワインらしい発酵感およびワインらしい複雑味が付与または向上されたワインテイスト飲料とすることができる。同時に、厚み(ボディ感)を向上させることもできる。このもろみ酢は、焼酎(特に泡盛)の製造過程において生じたもろみ粕から圧搾濾過などによって得られた液体副産物であって、酢酸はほとんど含まれず、アミノ酸、クエン酸、リンゴ酸などが豊富に含まれるものである。つまり、酢酸を主成分とする食酢とは異なるものである。そして、本発明のワインテイスト飲料においては、市販品のもろみ酢(原液)を原料として使用しても良く、また、もろみ酢の原液が濃縮された濃縮物、もろみ酢の原液が希釈された希釈物、これらのいずれかが乾燥された粉末などを原料として使用しても良い。
なお、このもろみ酢(原液)のpH、クエン酸含有量、リンゴ酸含有量、およびアミノ酸含有量については、限定されるものではないが、例えばpHが2.0~4.5、クエン酸含有量が700~2000mg/100ml、リンゴ酸含有量が40~300mg/100ml、および総アミノ酸含有量(総遊離アミノ酸濃度)が500~6000mg/100mlであるものなどが例示される。これらはいずれも、公知の方法により測定することができる。
そして、本発明のワインテイスト飲料においては、もろみ酢の含有量を0.01g/100ml以上とするのが好ましく、0.02g/100ml以上とするのがより好ましく、0.025g/100ml以上とするのがさらに好ましい。ワインテイスト飲料にワインらしい発酵感およびワインらしい複雑味を十分に付与する、あるいはこれらを十分に向上させることができるからである。また、厚みも付与または向上させることができる。なお、このもろみ酢の含有量は、もろみ酢の原液としての含有量(もろみ酢原液換算での含有量)を意味し、濃縮物、希釈物、粉末などを使用する場合には、その濃縮率や希釈率などから換算して調整を行えば良い。以下においても同様である。
また、本発明のワインテイスト飲料においては、もろみ酢の含有量を好ましくは5g/100ml以下、より好ましくは4g/100ml以下、さらに好ましくは3g/100ml以下、さらに好ましくは2g/100ml以下、さらに好ましくは1g/100ml以下となるように調整すると、上記したワインらしい発酵感やワインらしい複雑味を高く維持し易いためより好適である。
さらに、上記したようなもろみ酢を含む本発明のワインテイスト飲料は、没食子酸換算での総ポリフェノール含有量が10mg/100ml以上500mg/100ml以下であるのが好ましい。ワインらしい発酵感やワインらしい複雑味を高く保ちつつ渋味などを好適に感じられるようにすることができるからである。なお、この没食子酸換算での総ポリフェノール含有量の下限は、15mg/100ml以上であるとより好ましく、20mg/100ml以上であるとさらに好ましく、25mg/100ml以上であるとさらに好ましい。また、上限は、400mg/100ml以下であるのが好ましく、300mg/100ml以下であるのがより好ましく、200mg/100ml以下であるのがさらに好ましく、150mg/100ml以下であるのがさらに好ましく、100mg/100ml以下であるのがさらに好ましい。
この「没食子酸換算での総ポリフェノール含有量」とは、V.L.Singleton,and C.Kramer.Am.J.Enol.And Vitic.22:161-166(1971)に記載されているTotal phenolの測定方法に基づき測定されるものである。具体的には、ポリフェノール濃度10~50mg/Lに希釈したサンプル溶液1mLに、10倍容量に希釈したフェノール試薬(Folin-Ciocalteu´s試薬)5mLを加えた後、75g/L-炭酸ナトリウム溶液4mLを加え、室温で2時間反応させ、分光光度計にて765nmの吸光度を測定し、蒸留水を対照として、10~50mg/Lの無水没食子酸の水溶液を検量線に用い、没食子酸換算の値を総ポリフェノール濃度として求めたものである。したがって、この没食子酸換算での総ポリフェノール含有量には、後述するナリンギンの含有量も没食子酸換算値として含まれる。
また、没食子酸(Gallic acid:C7H6O5)とは、下記式(1)で表される化合物であって、没食子、五倍子、茶の葉、醸造ワインなどに含まれる、加水分解性タンニンの基本骨格を有するポリフェノールの一種である。
そして、本発明のワインテイスト飲料においては、製剤や食品添加物だけでなく食品原料中に含まれるものなども含めて飲料に配合可能なポリフェノールであれば含有させることができ(例えばぶどう果実等に含まれるアントシアニン類、レスベラトール、タンニン類など)、含まれるポリフェノールの種類は限定されない。そして、この「ポリフェノール」には、いわゆるポリフェノール(分子内に複数のフェノール性ヒドロキシ基を有する化合物)に加え、グアイアコールおよびチロソールといったフェノール性ヒドロキシ基を一つ有する化合物も含まれる。例えば、フラボノイド型ポリフェノールとしては、フラバノール類、フラボン類、イソフラボン類、アントシアニン類、フラバノン類、フラボノール類等およびそれら重合体が挙げられる。フラバノール類の具体例としては、カテキン、エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート等が挙げられる。フラボン類の具体例としては、フラボン、アピゲニン、ルテオニン、アピゲニニジン、ルテリオニジン、バイカレイン等が挙げられる。イソフラボン類の具体例としては、ゲニステイン、ダイゼイン、ダイジン、グリシテイン、エクオール等が挙げられる。アントシアニン類の具体例としては、ペラルゴニジン、シアニジン、ペツニジン、ペオニジン、ペチュニジン、デルフィニジン、マルビジン等が挙げられる。フラバノン類の具体例としては、後述するナリンギンや、ヘスペリジン、リキリチゲン等が挙げられる。フラボノール類の具体例としては、ケルセチン、ケンフェロール、ミリセチン等が挙げられる。
なお、本発明のワインテイスト飲料がポリフェノールとして没食子酸を含有する(没食子酸含有量が0mg/100ml超である)場合には、ワインらしい複雑味や渋味などが好適に感じられ易くなることから、その含有量が400mg/100ml以下であるのが好ましく、350mg/100ml以下であるのがより好ましく、300mg/100ml以下であるのがさらに好ましく、200mg/100ml以下であるのがさらに好ましく、150mg/100ml以下であるのがさらに好ましく、100mg/100ml以下であるのがさらに好ましく、50mg/100ml以下であるのがさらに好ましい。さらに、本発明のワインテイスト飲料の没食子酸換算での総ポリフェノール含有量におけるこの没食子酸の含有量の割合(質量割合)は、75%以下であって良く、50%以下であって良く、25%以下であって良い。なお、本発明では、没食子酸が含まれない(没食子酸含有量が0mg/100mlである)構成であっても構わない。
ここで、本発明のワインテイスト飲料における没食子酸の含有量は、例えば、サンプルを適宜希釈して、HPLC等を用いた検量線法などの公知の方法により測定することができる。
さらに、本発明のワインテイスト飲料は、ナリンギン(Naringin:C27H32O14)を0.5mg/100ml以上含有するのが好ましい。ワインテイスト飲料のワインらしい発酵感やワインらしい複雑味を高く保ちつつ厚みをより向上させることができるからである。また、ポリフェノールを一定量含有させた場合などにおいて味の丸みが低減することがあるが、このナリンギンを所定量含有させることによって味の丸みを維持することもできる。ナリンギンは、下記式(2)で表される化合物であって、ナリンゲニン(5,7,4´-トリヒドロキシフラバノン)の7位の水酸基にL-ラムノシル-(α1→2)-グルコースがβ結合した構造を有するフラボノイド配糖体の一種であり、柑橘類に多く含まれ、ナリンジンとも呼ばれる。なお、ワインの原料として汎用されるぶどう果実やぶどう果汁には、このナリンギンは通常含まれていない。そして、本発明のワインテイスト飲料においては、精製されたナリンギン(ナリンギン製剤)だけでなく、柑橘果皮等から水、熱水、およびエタノールからなる群から選ばれる1以上を溶媒として用いて抽出して得られた抽出物やこれを含む香料などのナリンギン含有原料も使用することができる。ナリンギンを多く含む柑橘類としては、例えば、グレープフルーツ類やタンゼロ類の果皮などが示される。また、このナリンギンは、市販品(例えば食品添加物など)を使用してもよい。
そして、本発明のワインテイスト飲料においては、このナリンギンの含有量が0.5mg/100ml以上であるのが好ましいが、1.0mg/100ml以上とするのがより好ましく、1.5mg/100ml以上とするのがさらに好ましく、2.0mg/100ml以上とするのがさらに好ましい。また、上限は、限定されるものではないが、20mg/100ml以下であって良く、15mg/100ml以下であって良く、10mg/100ml以下であって良い。なお、このナリンギンの含有量は、前述したナリンギン製剤やナリンギン含有原料などの使用により調整することができ、これらを複数併用しても良い。そして、ナリンギン製剤とナリンギン含有原料との併用や、複数のナリンギン含有原料の併用などにおいては、それら由来のナリンギンを合算した量が上記した範囲内となるように調整する。
ここで、本発明のワインテイスト飲料におけるナリンギンの含有量についても、例えば、サンプルを適宜希釈して、HPLC等を用いた公知の方法により測定することができる。
さらに、本発明のワインテイスト飲料は、有機酸(酒石酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、グルコン酸、酢酸など)またはその塩を含有するものであっても良い。特に、酒石酸を含有するワインテイスト飲料とすると、ワインらしい酸味を含めた複雑味などが向上し易いため非常に好ましい。
例えば、本発明のワインテイスト飲料は、酒石酸含有量を0.05g/100ml以上、より好ましくは0.1g/100ml以上とすると非常に好適である。そして、この上限は1g/100ml以下であって良く、さらには0.5g/100ml以下であって良く、さらには0.3g/100ml以下であって良い。なお、この酒石酸は、天然に比較的多く存在するL-酒石酸であるのが好ましいが、D-酒石酸、DL-酒石酸などであっても構わない。
そして、本発明のワインテイスト飲料は甘味料が含まれていても良い。甘味料としては、糖類(グルコース、フルクトース、ガラクトース、ショ糖、マルトース、ラクトース、オリゴ糖、果糖ぶどう糖液糖、トレハロースなど)、糖アルコール(キシリトール、エリスリトールなど)、高甘味度甘味料(アセスルファムK、スクラロース、アスパルテームなど)等が例示される。特に、本発明のワインテイスト飲料が糖類を含有するものであると、前述した効果がさらに発揮され易い。
さらに、本発明のワインテイスト飲料は香料が含まれていても良い。香料は、食品の製造または加工の工程で、所定の香気を付与または増強するために添加される添加物またはその製剤であり、この香料の具体例としては、限定されるものではないが、果実様フレーバーなどが好ましいものとして示される。なお、本発明のワインテイスト飲料は、もろみ酢を含有させることにより、ワイン様フレーバーなどの香料との相乗効果(特にワインらしい発酵感のさらなる向上効果)も発揮され易くなる。特に、ノンアルコールワインテイスト飲料では、この相乗効果がより発揮され易い。
また、本発明のワインテイスト飲料は、ぶどう果実由来成分(果肉、果汁、果皮、これらのエキスや発酵液、浸漬液などから選ばれる1以上)を含有するのがより好ましく、特にぶどう果汁を含有するワインテイスト飲料であるのがさらに好ましい。前述したもろみ酢などとの併用によって、ワインらしい発酵感やワインらしい複雑味などを付与または向上させ易いからである。例えば、本発明のワインテイスト飲料がノンアルコール飲料である場合、このぶどう果汁の含有量は、ストレート果汁に換算した果汁含有率として1w/w%以上であって良く、10w/w%以上であって良く、20w/w%以上であって良い。また上限は80w/w%以下であって良く、70w/w%以下であって良い。ここで、ぶどう果汁とは、ぶどう果実を搾った搾汁、あるいは、その濃縮液、濃縮還元液、または希釈液であり、果肉や果皮などが含まれていても良い。また、ストレート果汁に換算した果汁含有率とは、飲料の総質量に対する、この飲料中に含まれるぶどう果汁をJAS(日本農林規格)に準じてストレート果汁に換算した質量の割合である。
なお、本発明のワインテイスト飲料には、本発明の効果に大きな影響を与えない範囲において、上記以外に、塩類(塩化ナトリウム、塩化カリウムなど)、リン酸またはその塩、食物繊維、着色料(カラメル色素、クチナシ色素、果汁色素など)、調味料、酸化防止剤(ビタミンC、ビタミンEなど)、乳化剤等を原料として任意に使用することができる。
そして、本発明のワインテイスト飲料は、ワインらしい香味とし易いことから、20℃における炭酸ガス圧(スニフト有り)が0.05MPa未満である非発泡性飲料であるのが好ましい。特に、本発明のワインテイスト飲料がノンアルコール飲料である場合には、非発泡性飲料とするのが非常に好ましい。しかしながら、20℃における炭酸ガス圧(スニフト有り)が0.05MPa以上である発泡性飲料(炭酸飲料)であっても構わない。この場合の炭酸ガス圧は0.10MPa以上、さらには0.15MPa以上、さらには0.20MPa以上、さらには0.25MPa以上、さらには0.30MPa以上、さらには0.35MPa以上、さらには0.40MPa以上、さらには0.45MPa以上であっても良い。そして、上限は0.50MPa以下であって良い。また、この炭酸ガスは、原料として使用する炭酸水由来のものであっても良いし、カーボネーション(炭酸ガス圧入)工程により飲料に付与されたものであっても良い。そして、このカーボネーション工程は、バッチ式で行っても良いし、配管路に炭酸ガス圧入システム(カーボネーター)が組み込まれたインライン方式で連続的に行っても良い。また、このカーボネーション工程は、フォーミング(泡噴き)の発生等を避けるために、液の液温を10℃以下(好ましくは4℃以下)として行うのが好適である。
なお、本発明のワインテイスト飲料がアルコール飲料である場合、そのアルコール度数は、1v/v%以上であれば特に限定されないが、例えば、下限として2v/v%以上、さらには3v/v%以上、さらには4v/v%以上の範囲が示され、上限として20v/v%以下、さらには15v/v%以下、さらには12v/v%以下、さらには10v/v%以下、さらには9v/v%以下、さらには8v/v%以下、さらには7v/v%以下、さらには6v/v%以下の範囲が示される。特に、本発明のワインテイスト飲料がアルコール飲料である場合には、そのアルコール度数が12v/v%以下、さらには10v/v%以下、さらには8v/v%以下であると上記効果がより発揮され易い。
また、このアルコール度数は、その製造工程において使用する酒類(蒸留酒、醸造酒、原料用アルコールなど)のアルコール度数や、その配合割合などによって調整することができる。さらには、発酵アルコール飲料の場合においては、アルコール発酵工程の発酵条件を制御することによりアルコール度数を調整することもできる。
また、このアルコール度数は、その製造工程において使用する酒類(蒸留酒、醸造酒、原料用アルコールなど)のアルコール度数や、その配合割合などによって調整することができる。さらには、発酵アルコール飲料の場合においては、アルコール発酵工程の発酵条件を制御することによりアルコール度数を調整することもできる。
本発明のワインテイスト飲料の製造方法は、もろみ酢を含有させる工程を含めば、他は飲料製造における常法にしたがえば良く、特段限定はされない。そして、アルコール飲料の場合には、その製造において、酵母によるアルコール発酵工程を経て発酵アルコール飲料を製造しても良く、あるいは蒸留酒等の酒類を原料として用いた調合工程を経て(アルコール発酵工程を経ないで)非発酵アルコール飲料を製造しても良い。例えば、ウォッカや原料用アルコール等のベース酒にもろみ酢、ぶどう果汁、糖類、有機酸、香料などを混合して容量を調整し、必要であればろ過、殺菌などを行って製品とする方法が例示される。また、ノンアルコール飲料の場合には、例えば、ベースとなる純水等にもろみ酢、ぶどう果汁、糖類、有機酸、香料などを混合して容量を調整し、必要であればろ過、殺菌、均質化などを行って製品とする方法が例示される。なお、本発明のワインテイスト飲料は、非発酵アルコール飲料またはノンアルコール飲料、つまりアルコール発酵工程を経ないで製造された飲料であると特に効果が発揮され易いのが特徴である。
さらに、この製造方法は、必要であれば、もろみ酢の含有量を0.01g/100ml以上5g/100ml以下とする工程、没食子酸換算での総ポリフェノール含有量を10mg/100ml以上500mg/100ml以下とする工程、ナリンギンを0.5mg/100ml以上含有させる工程、酒石酸を0.05g/100ml以上含有させる工程などを含んでいても良い。また、これらはさらに、前述したそれぞれのより好ましい範囲に含まれるように調整等をしても良い。
そして、本発明のワインテイスト飲料は、上記のようにして得られた飲料が金属製容器(アルミ製容器、スチール製容器など)、ペットボトル容器、ガラス製容器、紙容器などに充填された容器詰飲料とするのが好ましい。このような容器詰飲料とすることにより、香味などの経時劣化を抑制しやすいだけでなく、流通や販売などにおける利便性がより高まる。
以上のような構成である本発明のワインテイスト飲料は、ワインらしい(ワインのような)発酵感およびワインらしい(ワインのような)複雑味が付与または向上されたものとなり、さらに、厚み(ボディ感)も付与または向上されたものとなり、香味全体としても優れたものとなる。特に、赤ワインテイスト飲料において上記効果がより発揮され易い。
なお、本発明は、ワインテイスト飲料にもろみ酢を含有させることを特徴とする、ワインテイスト飲料の発酵感および複雑味を付与または向上する方法を提供するものであるとも言える。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において様々な変形が可能である。
<ノンアルコールワインテイスト飲料の調製および官能評価>
ぶどう果汁(濃縮果汁)、糖類(果糖ぶどう糖液糖)、もろみ酢(株式会社沖縄物産企業連合製、沖縄宝島もろみ酢習慣)、L-酒石酸、および香料(ワインフレーバー)を原料として使用し、これらを純水に所定量添加混合して、得られるサンプルの果汁由来ポリフェノール含有量、もろみ酢含有量、およびL-酒石酸含有量(果汁由来のものも含む)が下記表1上段に記載の量となるようなノンアルコールワインテイスト飲料サンプル(サンプル1~5、いずれも赤ワインテイストでありアルコール度数は0.5v/v%未満となるように設計)を調製した。なお、下記表1中の「果汁由来ポリフェノール(mg/100ml)」は、配合されたぶどう果汁(濃縮果汁)に含まれる没食子酸換算での総ポリフェノール含有量を前述したTotal phenolの測定方法に基づき測定し、これをノンアルコールワインテイスト飲料サンプルの100ml当たりの量として算出した値である。また、サンプル1は、もろみ酢無添加のサンプルとした。
ぶどう果汁(濃縮果汁)、糖類(果糖ぶどう糖液糖)、もろみ酢(株式会社沖縄物産企業連合製、沖縄宝島もろみ酢習慣)、L-酒石酸、および香料(ワインフレーバー)を原料として使用し、これらを純水に所定量添加混合して、得られるサンプルの果汁由来ポリフェノール含有量、もろみ酢含有量、およびL-酒石酸含有量(果汁由来のものも含む)が下記表1上段に記載の量となるようなノンアルコールワインテイスト飲料サンプル(サンプル1~5、いずれも赤ワインテイストでありアルコール度数は0.5v/v%未満となるように設計)を調製した。なお、下記表1中の「果汁由来ポリフェノール(mg/100ml)」は、配合されたぶどう果汁(濃縮果汁)に含まれる没食子酸換算での総ポリフェノール含有量を前述したTotal phenolの測定方法に基づき測定し、これをノンアルコールワインテイスト飲料サンプルの100ml当たりの量として算出した値である。また、サンプル1は、もろみ酢無添加のサンプルとした。
同様に、ぶどう果汁(濃縮果汁)、糖類(果糖ぶどう糖液糖)、もろみ酢(株式会社沖縄物産企業連合製、沖縄宝島もろみ酢習慣)、L-酒石酸、ナリンギン、没食子酸、および香料(ワインフレーバー)を原料として使用し、これらを純水に所定量添加混合して、得られるサンプルの果汁由来ポリフェノール含有量、没食子酸添加量、ナリンギン含有量、もろみ酢含有量、およびL-酒石酸含有量(果汁由来のものも含む)が下記表2上段に記載の量となるようなノンアルコールワインテイスト飲料サンプル(サンプル6~7)も調製した。なお、下記表2中の「果汁由来ポリフェノール(mg/100ml)」も上記と同じであり、「没食子酸(mg/100ml)」はノンアルコールワインテイスト飲料サンプルの100ml当たりの没食子酸添加量である(つまりサンプル3およびサンプル6は没食子酸無添加のサンプルである)。したがって、これらでは、この「果汁由来ポリフェノール(mg/100ml)」および「没食子酸(mg/100ml)」と、上記のナリンギン含有量から得られる没食子酸換算でのポリフェノール含有量との合計が、没食子酸換算での総ポリフェノール含有量となる。
そして、得られた各サンプルにおける、厚み(ボディ感)、ワインらしい複雑味、ワインらしい発酵感、およびワインテイスト飲料としての総合評価について、訓練され官能的識別能力を備えた6名のパネリストにより、以下に示す評価基準を用いて各サンプルを官能評価した。
[厚み(ボディ感)の評価基準]
サンプル1における厚み(ボディ感)を-1(弱い)とし、このサンプル1との対比として、それぞれ、-2(非常に弱い)から2(非常に強い)の5段階により比較官能評価を行った。
サンプル1における厚み(ボディ感)を-1(弱い)とし、このサンプル1との対比として、それぞれ、-2(非常に弱い)から2(非常に強い)の5段階により比較官能評価を行った。
[ワインらしい複雑味の評価基準]
サンプル1におけるワインらしい複雑味を-2(非常に弱い)とし、このサンプル1との対比として、それぞれ、-2(非常に弱い(サンプル1と同等))から2(非常に強い)の5段階により比較官能評価を行った。
サンプル1におけるワインらしい複雑味を-2(非常に弱い)とし、このサンプル1との対比として、それぞれ、-2(非常に弱い(サンプル1と同等))から2(非常に強い)の5段階により比較官能評価を行った。
[ワインらしい発酵感の評価基準]
サンプル1におけるワインらしい発酵感を-1(弱い)とし、このサンプル1との対比として、それぞれ、-2(非常に弱い)から2(非常に強い)の5段階により比較官能評価を行った。
サンプル1におけるワインらしい発酵感を-1(弱い)とし、このサンプル1との対比として、それぞれ、-2(非常に弱い)から2(非常に強い)の5段階により比較官能評価を行った。
[総合評価の評価基準]
ワインの香味に近く且つ香味全体として優れているという観点での評価を、-2(非常に悪い)から2(非常に良い)の5段階により絶対評価を行った。
ワインの香味に近く且つ香味全体として優れているという観点での評価を、-2(非常に悪い)から2(非常に良い)の5段階により絶対評価を行った。
この官能評価結果(6名のパネリストの評価平均値)を下記表1下段および表2下段に示した。この結果から、もろみ酢を含有するサンプル2~7は、いずれも厚み(ボディ感)、ワインらしい複雑味、およびワインらしい発酵感がもろみ酢を含まないサンプル1よりも明らかに向上しており、ワインテイスト飲料としての総合評価も高まり、好ましい香味のノンアルコールワインテイスト飲料であることが明らかとなった。また、もろみ酢とともにナリンギンを所定量含むノンアルコールワインテイスト飲料とすることにより、特に厚み(ボディ感)がより向上することが示された(サンプル6~7)。特にサンプル6では、ワインらしい複雑味やワインテイスト飲料としての総合評価も非常に高まっていた。
Claims (9)
- もろみ酢を含有する、ワインテイスト飲料。
- アルコール度数が12v/v%以下である、請求項1に記載のワインテイスト飲料。
- ノンアルコールワインテイスト飲料である、請求項2に記載のワインテイスト飲料。
- 前記もろみ酢を0.01g/100ml以上5g/100ml以下含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のワインテイスト飲料。
- 没食子酸換算での総ポリフェノール含有量が10mg/100ml以上500mg/100ml以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載のワインテイスト飲料。
- ナリンギンを0.5mg/100ml以上含有する、請求項1~5のいずれか1項に記載のワインテイスト飲料。
- 酒石酸を0.05g/100ml以上含有する、請求項1~6のいずれか1項に記載のワインテイスト飲料。
- もろみ酢を含有させる工程を含む、ワインテイスト飲料の製造方法。
- ワインテイスト飲料にもろみ酢を含有させることを特徴とする、ワインテイスト飲料の発酵感および複雑味を付与または向上する方法。
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