JP2023075033A - ポリブチレンテレフタレートの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】PBTの製造工程から回収したPBTを解重合した後、再重合することで、品質に優れた再生PBTを高い生産性で製造する方法を提供する。【解決手段】チタン化合物をチタン原子として70ppm~200ppm、およびスズ化合物をスズ原子として10~300ppm含有するポリブチレンテレフタレートに、該ポリブチレンテレフタレートに対して0.7~2.0倍モルの1,4-ブタンジオール、および0.01~0.1wt%の酸化防止剤を添加して解重合し、その後、再重合することを特徴とする、ポリブチレンテレフタレートの製造方法。【選択図】なし
Description
本発明は、ポリブチレンテレフタレートの製造方法に関するものであり、とりわけ、ポリブチレンテレフタレートの製造工程から回収したポリブチレンテレフタレートを解重合した後、再重合することで、品質に優れた再生ポリブチレンテレフタレートを高い生産性で製造する方法に関する。
ポリブチレンテレフタレート(以下PBTと称する場合がある)は、結晶性熱可塑性ポリエステル樹脂として、優れた物理的、化学的性質を有するため、繊維、フィルム、その他の成形品など、種々の用途に広く用いられ、特に、強度や弾性率等の機械特性、耐熱性等に優れているため、エンジニアリングプラスチックとして広く用いられている。
PBTの主な製造方法としては、テレフタル酸と1,4-ブタンジオールに、チタン化合物触媒及び/又はスズ化合物触媒を添加してエステル化反応させ、ビスヒドロキシブチルテレフタレート(以下BHTと称する)を得るエステル化工程と、BHTを高温、高真空下で過剰の1,4-ブタンジオールを留出させつつ重縮合させて、高重合度PBTを得る重縮合工程とからなる直接重合法が広く用いられている。
近年、地球温暖化対策の一環であるプラスチックの資源循環への取組は、国際的に重要な課題であり、このようなPBTの製造工程から発生する品質規格外等のPBTポリマーを回収し、これを原料として再度PBTに再生する取組が求められている。
その方法として、特許文献1には、PBTに1,4-ブタンジオールと解重合触媒としてチタン触媒を添加して、そのチタン触媒の失活を抑制し、かつ、1,4-ブタンジオールのテトラヒドロフランへの転化率を減少させるために減圧下で解重合する方法が記載されている。
また、特許文献2には、上述した従来の直接重合法において、テレフタル酸と1,4-ブタンジオールにチタン化合物触媒及び/又はスズ化合物触媒を添加してエステル化反応させる工程に、回収PBT樹脂を溶融押し出し機などを用いて同時に添加する方法が記載されている。
しかしながら、特許文献1の方法では、解重合の際に触媒を追加添加しているため、解重合や再重合速度には有利であるが、溶液ヘイズの上昇やPBTポリマーが熱分解してカルボキシル末端基が上昇する可能性があり、品質の良い再生PBTを得るには不十分である。
また、特許文献2の方法は、エステル化反応が正の反応であるのに対し、回収PBTを投入して1,4-ブタンジオールで解重合する反応は負の反応であり、真逆の反応を同一の反応槽で実施しようとしており、反応論的に好ましくない。そのため、回収PBTの添加量は極微量という大きな欠点があるため、回収したPBTを効率良く解重合・再重合し、品質の良い再生PBTを得るには不十分である。
したがって、本発明は、PBTの製造工程から回収したPBTを解重合した後、再重合することで、品質に優れた再生PBTを高い生産性で製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、所定の触媒由来の金属を含むPBTに、所定のジオールと酸化防止剤を添加して解重合した後、再度、重合反応することを特徴とする再生PBTの製造方法が上記課題を解決することを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、
(1)チタン化合物をチタン原子として70ppm~200ppm、およびスズ化合物をスズ原子として10~300ppm含有するポリブチレンテレフタレートに、該ポリブチレンテレフタレートに対して0.7~2.0倍モルの1,4-ブタンジオール、および0.01~0.1wt%の酸化防止剤を添加して該ポリブチレンテレフタレートを解重合し、その後再重合することを特徴とする、ポリブチレンテレフタレートの製造方法。
(2)前記ポリブチレンテレフタレートを解重合するに際して、触媒を添加しないことを特徴とする(1)に記載のポリブチレンテレフタレートの製造方法。
(3)解重合と再重合とを異なる反応槽で回分式で実施し、解重合を実施する反応槽と再重合を実施する反応槽との間の移行管に少なくとも2つのフィルターを設置し、解重合物を濾過することを特徴とする、(1)または(2)に記載のポリブチレンテレフタレートの製造方法。
(4)ポリブチレンテレフタレートを解重合し、その後再重合した後に、不活性雰囲気中、170~200℃で、5~20時間固相重合することを特徴とする、(1)~(3)のいずれかに記載のポリブチレンテレフタレートの製造方法。
により構成される。
(1)チタン化合物をチタン原子として70ppm~200ppm、およびスズ化合物をスズ原子として10~300ppm含有するポリブチレンテレフタレートに、該ポリブチレンテレフタレートに対して0.7~2.0倍モルの1,4-ブタンジオール、および0.01~0.1wt%の酸化防止剤を添加して該ポリブチレンテレフタレートを解重合し、その後再重合することを特徴とする、ポリブチレンテレフタレートの製造方法。
(2)前記ポリブチレンテレフタレートを解重合するに際して、触媒を添加しないことを特徴とする(1)に記載のポリブチレンテレフタレートの製造方法。
(3)解重合と再重合とを異なる反応槽で回分式で実施し、解重合を実施する反応槽と再重合を実施する反応槽との間の移行管に少なくとも2つのフィルターを設置し、解重合物を濾過することを特徴とする、(1)または(2)に記載のポリブチレンテレフタレートの製造方法。
(4)ポリブチレンテレフタレートを解重合し、その後再重合した後に、不活性雰囲気中、170~200℃で、5~20時間固相重合することを特徴とする、(1)~(3)のいずれかに記載のポリブチレンテレフタレートの製造方法。
により構成される。
本発明により、回収PBTを原料として、高い生産性で、安定し優れた品質の再生PBTを製造することができる。またこれにより、PBTの実用的なリサイクルが可能で、PBT樹脂の廃棄物減少と環境負荷低減に繋がる。さらに製造工程で回収した品質規格外のPBTを使用することもでき、原料費が安価で経済性に優れた生産プロセスの構築が可能となる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明におけるPBTは、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分および1,4-ブタンジオールを主成分とするジオール成分を用いて、エステル化反応またはエステル交換反応、それに続く重縮合反応によって得られた、主鎖にエステル結合を有する高分子量の熱可塑性ポリエステルである。ここで、「主成分とする」とは、ジカルボン酸成分のうちテレフタル酸が60モル%以上であり、ジオール成分のうち1,4-ブタンジオールが60モル%以上であることをいう。
他のジカルボン酸成分および/または他のジオール成分を共重合成分として一部用いることもできる。この場合、ジカルボン酸成分の例としてはイソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、セバシン酸、アジピン酸、ドデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。ジオール成分の例としてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の脂肪族ジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール、2,2-ビス(4’-ヒドロキシフェニル)プロパン等の芳香族ジオールなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらの共重合成分はそれぞれテレフタル酸または1,4-ブタンジオールに対して40モル%未満であることが好ましい。
本発明のポリブチレンテレフタレートの製造方法は、PBTの製造工程で発生する回収PBTを原料に用いる。本発明における「回収PBT」とは、例えばPBTの形態がペレット状で製造される事は一般的に公知の技術であるが、その場合において、ペレットの形状不良や、汚れの付着などにより、品位不良となって回収されたものを指す。また、品質を測定した結果、定められた品質規格を外れて製品とならなかったPBTを指す。本発明のポリブチレンテレフタレートの製造方法は、エステル化反応またはエステル交換反応と、それに続く重縮合反応を1つの反応槽で行う製造装置においても適用可能である。しかし、効率的に回収PBTを解重合し、それを再重合させ、原料中の異物等を除去するためには、エステル化反応またはエステル交換反応を実施する反応槽、および1つ以上の重縮合反応を実施する反応槽からなる回分式の製造装置が好ましく利用される。また、特に限定されるものではないが、エステル化反応またはエステル交換反応を実施する反応槽と重縮合反応を実施する反応槽とをつなぐ移行管の途中に、異物除去のためのフィルターを有する製造装置を用いることが好ましい。操業性を安定化させるため、目開きの異なる2つのフィルターを直列に設置する装置を使用することが好ましい。第1フィルターには目開き0.5mm以下のフィルターを、第2フィルターには目開き0.1mm以下のフィルターを設置することで、第2フィルターの急激な目詰まりによる操業性の悪化を防止でき、効率的に残存異物を除去することが可能となる。また、フィルターの目開きは除去したい異物の大きさに応じて適宜変更すればよく、本発明に限定されるものではない。
本発明のPBTの製造方法は、一般的な溶融重合装置、具体的には装置内に撹拌翼、精留塔、還流冷却器、窒素導入口、減圧口、ポリマー抜き出し口等を有する溶融重合装置に好ましく使用することができる。本発明のPBTの製造方法によると、原料として回収PBTを用いない、通常のPBTの製造方法において使用される、エステル化反応またはエステル交換反応を実施する反応槽、および1つ以上の重縮合反応を実施する反応槽からなる回分式の製造装置を利用し、再生PBTを製造することができる。
本発明における回収PBTの解重合方法は、本発明の目的を達成しうる範囲内であれば特に限定されるものではないが、回収PBTを200~250℃の範囲で加熱することが好ましい。200℃以上で加熱した場合、回収PBTが十分に溶解し、異物を濾過するフィルターが目詰まりを抑制できるため好ましく、250℃以下とすることでポリエステルの熱分解を抑制できるので、好ましい。この後、過剰な1,4-ブタンジオールを反応系外に留出させる。解重合する装置がエステル化反応またはエステル交換反応を実施する反応槽と、一つ以上の重縮合反応を実施する反応槽とからなる場合は、エステル化反応またはエステル交換反応を実施する反応槽において回収PBTを解重合し、その後移行管を介して解重合物を重縮合反応を実施する反応槽に移行する。そして真空下でさらに過剰な1,4-ブタンジオールを反応系外に留出させ重合度を上昇させる再重合を実施し、得られた再重合物をストランド状に吐出しストランドカッターでペレット化することで、再生PBTを得ることができる。
本発明のPBTの製造方法は、回収PBTを原料に用いるが、主たるジカルボン酸がテレフタル酸であり、主たるグリコール成分が1,4-ブタンジオールであるPBTを用いることが好ましい。また、本発明の製造方法は該PBTと1,4-ブタンジオールをPBT製造装置内のエステル化反応またはエステル交換反応を実施する反応槽に投入することが好ましい。該PBTの状態としてはペレット状、フレーク状またはペレット状とフレーク状の混合物であることが好ましい。ここで言うペレットとは、溶融PBTから、ストランドカッターによって製造した粒状物全般を指す。また、フレークとは、粉末から造粒装置により製造した粒状物やペレットまたはポリマーブロック状物が粉砕されることによりできた薄片を指す。ペレットおよびフレークの形状は特に限定されるものではない。
本発明で使用する回収PBTは、その製造工程における触媒として、チタン触媒とスズ触媒の2種が併用されたものであることが好ましい。PBTの製造工程における触媒とは、エステル化反応またはエステル交換反応、及び重縮合反応のいずれかの工程で用いられる触媒を指す。チタン触媒とスズ触媒を併用することで、エステル化反応における1,4-ブタンジオールの添加量を減少させ、更に、1,4-ブタンジオールが脱水反応によってテトラヒドロフランに変化する量を減少させることができるため、コスト低減処方として好ましい。
チタン触媒としては、通常、チタン化合物が使用され、その具体例としては、酸化チタン、四塩化チタン等の無機チタン化合物、テトラメチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等のチタンアルコラート、テトラフェニルチタネート等のチタンフェノラート等が挙げられる。これらの中ではテトラアルキルチタネートが好ましく、その中ではテトラブチルチタネートが好ましい。
スズ触媒の具体例としては、ジブチルスズオキサイド、メチルフェニルスズオキサイド、テトラエチルスズ、ヘキサエチルジスズオキサイド、シクロヘキサへキシルジスズオキサイド、ジドデシルスズオキサイド、トリエチルスズハイドロオキサイド、トリフェニルスズハイドロオキサイド、トリイソブチルスズアセテート、ジブチルスズジアセテート、ジフェニルスズジラウレート、モノブチルスズオキサイド、モノブチルスズトリクロライド、ジブチルスズジクロライド、トリブチルスズクロライド、ジブチルスズサルファイド、ブチルヒドロキシスズオキサイドなどを挙げることができる。その中ではモノブチルスズオキサイドが好ましい。
本発明において、上記したチタン触媒及びスズ触媒を含む回収PBTを用いることで、解重合させる際に、新たに触媒を用いることなく、ポリマー中に含まれる触媒の活性によって解重合を進めることが可能となる。特に反応性が高く重合中に構造が変わりやすいチタン触媒は反応活性を失い易いが、比較的安定に存在するスズ触媒は反応活性を保持しやすい特徴がある。該回収PBT中に含まれる触媒由来のチタン含有量は、チタン原子として70~200ppmであることが必要であり、好ましくは90~180ppm、より好ましくは120~150ppmである。チタンの含有量が200ppmより多い場合は、色調、耐加水分解性、透明性、成形性などが悪化し、しかも、異物も増加する傾向にある。70ppmより少ない場合は、回収PBT中に残るチタン触媒活性が不足して、再重合における重合性が悪化することがある。
また、本発明において、該回収PBT中に含まれるスズ触媒由来のスズ含量は、スズ原子として10~300ppmであることが必要であり、好ましくは20~280ppm、より好ましくは100~200ppmである。含有量が300ppmより多い場合は色調の悪化を招き、10ppmよりも少ない場合は回収PBT中に残るスズ触媒活性が不足して、再重合における重合性が悪化することがある。チタン原子およびスズ原子の含有量は、湿式灰化などの方法でポリマー中の金属を回収した後、原子発光、原子吸光、Induced Coupled Plasma(ICP)等の方法を使用して測定することができる。
本発明のPBTの製造方法に際しては、回収PBTを解重合させるため、前記回収PBTに対して0.7~2.0倍モルの1,4-ブタンジオールを用いる必要がある。1,4-ブタンジオールは、好ましくは0.9~1.8倍モル、より好ましくは1.2~1.5倍モルである。0.7倍モルより1,4-ブタンジオールが少ないと解重合反応が完結せず所望の重合度のPBTを得ることができない。2.0倍モルより大きいと多額の原料費、用役費が必要となり、経済的に不利である。また、1,4-ブタンジオール以外のジオールを用いても構わないが、その配合量は全ジオールに対し、40モル%以下であることが好ましい。
本発明において、回収PBTを解重合させる際には酸化防止剤を添加する必要がある。酸化防止剤には、解重合の際の熱分解を抑制し、色調や溶液ヘイズの悪化を抑制する効果がある。酸化防止剤の例としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤および/またはホスファイト系酸化防止剤が挙げられる。
前記のヒンダードフェノール系酸化防止剤の具体例としては、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリチル-テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2-チオ-ジエチレンビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネートジエチルエステル、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビスもしくはトリス(3-t-ブチル-6-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナマミド)、N,N’-トリメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナマミド)などが挙げられる。
また、前記のホスファイト系酸化防止剤の例としては、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、アルキルアリル系ホスファイト、トリアルキルホスファイト、トリアリルホスファイト、ペンタエリスリトール系ホスファイト化合物などが挙げられる。
本発明において、回収PBTを解重合させる際に用いる酸化防止剤の添加量は、前記回収PBTの量に対して、0.01~0.1wt%である必要がある。好ましくは0.03~0.08wt%、より好ましくは0.04~0.06wt%である。酸化防止剤の添加量が、前記回収PBTの投入量に対して、0.01wt%未満の場合は、回収PBTの解重合時に熱分解反応が進み、再重合PBTのカルボキシル末端基濃度が上昇するとともにポリマーの透明性、色調も悪化する。酸化防止剤の添加量が、前記回収PBTの量に対して0.1wt%より多く添加すると、回収PBTの解重合時に過剰分の酸化防止剤そのものが異物化し、前記したフィルターを急激に詰まらせて操業性が悪化し、再生PBT中の異物量も多くなるなど、操業性と品質が悪化する。
本発明において、エステル化反応またはエステル交換反応を実施する反応槽、すなわち解重合を実施する反応槽と、重縮合反応を実施する反応槽、すなわち再重合を実施する反応槽とをつなぐ移行管の途中に、異物を除去する目的でフィルターを設置することが好ましい。特に、回収PBTを使用して再生PBTとする際には、PBT中の異物が多いものや、回収する過程で異物が混入する可能性が高いため、フィルターで異物を除去することが重要である。また、工程でのフィルター閉塞防止やPBTの異物低減の観点から、直列に少なくとも2つのフィルターを移行管の途中に設置することがより好ましい。ここでいう、フィルターとは、エステル化反応またはエステル交換反応槽の出口から出る溶融粘度数10~100ポイズ程度の流体を濾過できるフィルターであれば、一般に公知なものが使用できる。フィルターの濾材としては、例えば、濾過精度を決定するファインメッシュと補強メッシュ及び保護メッシュとを数枚重ね、焼結により完全に一体化加工した積層金属メッシュ、ステンレスの金属繊維のフェルトを積層し、焼結した金属不織布等が挙げられる。また、フィルターの形状としては、バスケットタイプ、ディスクタイプ、リーフディスクタイプ、チューブタイプ、フラット型円筒タイプ及びプリーツ型円筒タイプ、プリーツ型キャンドルタイプ等が挙げられる。これらフィルターは、設置箇所の流体の粘度、圧力及び温度等の条件により、適宜選択して使用することができるが、洗浄性などの観点から、直列に少なくとも2つのフィルターを設置する場合において、第1フィルターはフラット型円筒タイプが好ましく、第2フィルターはプリーツ形キャンドルタイプが好ましい。ここでいう「第1フィルター」とは、原料に用いる回収PBTから持ち込まれる比較的大きなサイズの異物を除去するため、エステル化反応またはエステル交換反応槽の出口に設置するフィルターを示す。また、「第2フィルター」とは、原料に用いる回収PBTに由来する比較的小さなサイズの異物や、解重合工程で発生しうる微細な異物を除去するため、第1フィルターの後部に設置するフィルターを示す。
また、これらフィルターの目開きは、濾過効率等の面から、第1フィルター目開きは0.3~0.1mmの範囲とするのが好ましく、第2フィルター目開きは0.08~0.03mmの範囲とするのが好ましいが、特に限定されるものではなく、適宜選択して使用する事ができる。上記のように、目開きの異なるものを直列に設置することによって第2フィルターの急激な目詰まりを引き起こす事なく効率的に異物を除去することが可能となり、操業性を安定化させることが可能となる。
一般に、ポリエステルは末端カルボキシル基濃度が高いほど耐加水分解性が悪化することが知られており(例えば特許文献2)、PBTにおいても、カルボキシル末端基濃度が高いほど湿熱下での加水分解反応速度が大きく、加水分解による分子量低下、ひいては機械的物性などの低下を招くことが問題となる。
本発明において、高い加水分解性を付与するために、再重合した後、さらに固相重合を行ってもよい。本発明においては固相重合に用いる装置・方法は特に限定されないが、固相重合は、減圧下または窒素などの不活性雰囲気下で行われることが一般的である。不活性雰囲気中であることが好ましい。固相重合温度は、反応速度および生産性の点から、170℃以上が好ましく、180℃以上がより好ましい。一方、PBT同士の融着を抑制する点から、200℃以下が好ましく、190℃以下がより好ましい。固相重合温度は、上記範囲内で任意に設定可能である。固相重合の時間は、特に制限されないが、カルボキシル末端基濃度をより低減したい場合や融点が低い共重合系のPBTの場合には、低温で長時間の条件が選択され、生産効率を上げたい場合には高温で短時間の条件が選択される。一般的には、所定の温度に達した後、5~20時間が好ましく、8~16時間がより好ましい。
以下、本発明の内容および効果を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り以下の記載例に限定されるものではない。なお、実施例中の各特性値は以下の測定方法で実施した。
(1)回分式反応槽間設置フィルターの目詰まり評価
回収PBTの解重合反応終了後、エステル化反応またはエステル交換反応の反応槽を、窒素ガスを用いて2kgf/cm2に加圧し、再重合を行う重縮合反応の反応槽へ解重合物を移行する際、移行管の途中に異物を除去する目的で直列に設けられた2つのフィルター(第1フィルター:フラット型円筒タイプ、目開き0.15mm、第2フィルター:プリーツ型キャンドルタイプ、目開き0.06mm)を、解重合物が全量通過するのに要した時間を計測し、240秒以下の場合を目詰まり無しと判定して合格:○とし、240秒を超えた場合を目詰まり有りと判定して不合格:×とした。
回収PBTの解重合反応終了後、エステル化反応またはエステル交換反応の反応槽を、窒素ガスを用いて2kgf/cm2に加圧し、再重合を行う重縮合反応の反応槽へ解重合物を移行する際、移行管の途中に異物を除去する目的で直列に設けられた2つのフィルター(第1フィルター:フラット型円筒タイプ、目開き0.15mm、第2フィルター:プリーツ型キャンドルタイプ、目開き0.06mm)を、解重合物が全量通過するのに要した時間を計測し、240秒以下の場合を目詰まり無しと判定して合格:○とし、240秒を超えた場合を目詰まり有りと判定して不合格:×とした。
(2)PBTの重合反応性評価
重合時間(h:min):重縮合反応の反応槽内での再重合反応開始を起点とし、重縮合反応によるポリマー粘度の上昇に伴い、撹拌トルクが所定の値に達するまでの所要時間を計測し、所要時間が3時間20分を超えた場合は不合格と判定した。
重合時間(h:min):重縮合反応の反応槽内での再重合反応開始を起点とし、重縮合反応によるポリマー粘度の上昇に伴い、撹拌トルクが所定の値に達するまでの所要時間を計測し、所要時間が3時間20分を超えた場合は不合格と判定した。
(3)PBTの固有粘度
PBT1.25gをo-クロロフェノール15ccに溶解後、25℃で測定し、固有粘度を測定した。固有粘度0.8に満たない場合は不合格と判定した。
PBT1.25gをo-クロロフェノール15ccに溶解後、25℃で測定し、固有粘度を測定した。固有粘度0.8に満たない場合は不合格と判定した。
(4)PBTの色調(b値)
スガ試験機(株)製のSMカラーマシンを使用して得られた再生PBTのb値を測定し、13.0を超えた場合は不合格と判定した。
スガ試験機(株)製のSMカラーマシンを使用して得られた再生PBTのb値を測定し、13.0を超えた場合は不合格と判定した。
(5)PBTの溶液ヘイズ(%)
PBT5.4gをフェノールと四塩化エタンの混合溶媒(60:40(重量比))40mlに加熱溶解し、この溶液を30mmのセルにいれて積分式ヘイズメーター(日本精密光学製)で測定した。この値が大きいほどポリマー中のテレフタル酸残存量や触媒等の異物が多いといえるため、20.0%を超えた場合は不合格と判定した。
PBT5.4gをフェノールと四塩化エタンの混合溶媒(60:40(重量比))40mlに加熱溶解し、この溶液を30mmのセルにいれて積分式ヘイズメーター(日本精密光学製)で測定した。この値が大きいほどポリマー中のテレフタル酸残存量や触媒等の異物が多いといえるため、20.0%を超えた場合は不合格と判定した。
(6)PBTのカルボキシル末端基濃度(eq/t)
PBT0.5gをベンジルアルコール25mL溶解し、0.01N水酸化ナトリウム水溶液で滴定することによってカルボキシル末端基濃度を測定し、35.0eq/tを超えた場合は不合格とした。
PBT0.5gをベンジルアルコール25mL溶解し、0.01N水酸化ナトリウム水溶液で滴定することによってカルボキシル末端基濃度を測定し、35.0eq/tを超えた場合は不合格とした。
(7)PBTの異物個数(個/100g)
ペレット状PBT100gを、拡大鏡を用いてペレット表面を目視で観察視し、異物が確認されたペレットについて、夾雑物測定図表(JIS P 8208、JIS P 8145)を用いて異物の大きさを判定及び個数を測定し、0.1mm2未満(異物:小)の異物個数が10個を超えた場合は不合格、または0.1mm2以上の異物(異物:大)が1個以上の場合は不合格と判定した。
ペレット状PBT100gを、拡大鏡を用いてペレット表面を目視で観察視し、異物が確認されたペレットについて、夾雑物測定図表(JIS P 8208、JIS P 8145)を用いて異物の大きさを判定及び個数を測定し、0.1mm2未満(異物:小)の異物個数が10個を超えた場合は不合格、または0.1mm2以上の異物(異物:大)が1個以上の場合は不合格と判定した。
(8)PBTの耐加水分解性
実施例により得られたPBTを用いて、ASTM D-638に従って、ASTM1号ダンベル試験片を作製し、引張降伏強度を測定した。測定は5回行い、その平均値を引張降伏強度とした。また、同様に作成した試験片について、TABAI ESPEC製PRESSURE COOKER TPC-411を用いて、温度121℃、相対湿度100%、加水分解処理時間50時間の条件で加水分解処理を行った。加水分解処理後の試験片について、前記同様に引張降伏強度を測定した。加水分解処理前の引張降伏強度に対する加水分解処理後の引張降伏強度の比を保持率として算出した。保持率が大きい程、高い耐加水分解性を有することを示す。
実施例により得られたPBTを用いて、ASTM D-638に従って、ASTM1号ダンベル試験片を作製し、引張降伏強度を測定した。測定は5回行い、その平均値を引張降伏強度とした。また、同様に作成した試験片について、TABAI ESPEC製PRESSURE COOKER TPC-411を用いて、温度121℃、相対湿度100%、加水分解処理時間50時間の条件で加水分解処理を行った。加水分解処理後の試験片について、前記同様に引張降伏強度を測定した。加水分解処理前の引張降伏強度に対する加水分解処理後の引張降伏強度の比を保持率として算出した。保持率が大きい程、高い耐加水分解性を有することを示す。
[実施例1]
原料投入口、移行口、精留塔、環流冷却器、窒素導入口、撹拌翼を有するSUS316L製エステル化反応槽と、環流冷却器、窒素導入口、減圧口、撹拌翼、ポリマー抜き出し口等を有するSUS316L製重縮合反応槽、およびこれらをつなぐ移行管を有し、この移行管に異物を除去する目的で直列に設けられた2つのフィルター(第1フィルター:目開き0.15mmフラット型円筒タイプ、第2フィルター:目開き0.06mmプリーツ型キャンドルタイプ)を有する反応装置を用い、次のようにPBTポリマー屑の解重合と再重合を行った。
原料投入口、移行口、精留塔、環流冷却器、窒素導入口、撹拌翼を有するSUS316L製エステル化反応槽と、環流冷却器、窒素導入口、減圧口、撹拌翼、ポリマー抜き出し口等を有するSUS316L製重縮合反応槽、およびこれらをつなぐ移行管を有し、この移行管に異物を除去する目的で直列に設けられた2つのフィルター(第1フィルター:目開き0.15mmフラット型円筒タイプ、第2フィルター:目開き0.06mmプリーツ型キャンドルタイプ)を有する反応装置を用い、次のようにPBTポリマー屑の解重合と再重合を行った。
PBTポリマー製造装置の製造過程から回収したPBTであって、チタン含有量がチタン原子として150ppm、スズ含有量がスズ原子として200ppmの回収PBT1000kgと、1,4-ブタンジオール491kg(回収PBTに対して1.2倍モル)と、ヒンダードフェノール系酸化防止剤としてペンタエリスリチル-テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]0.5kg(回収PBTに対して0.05wt%)をエステル化反応槽に投入し、徐々に加熱した。加熱開始から30分後に撹拌を開始し、その後さらに230℃まで昇温を続け、3時間かけて解重合を行った。次いで、解重合後のエステル化反応槽に、再重合用の触媒としてテトラブチルチタネートを0.17kg(解重合前に投入した回収PBT量に対して0.017wt%)投入し、3分間撹拌した後、窒素ガスで2kgf/cm2まで加圧し、溶融状態のまま移行管に設けた2つのフィルターを経由して重縮合反応缶に移行した。次いで撹拌しながら重縮合反応缶内圧力を40分かけて133.3Pa以下に制御しながら徐々に減圧し、温度245℃で重縮合反応を行い、再重合によるポリマー粘度の上昇に伴って撹拌トルクが所定の値に達したところで重縮合反応を完了した。その後、重縮合反応槽内を窒素ガスで加圧し、口金を経由してポリマーをストランド状に吐出してペレット状にした。このようにして得られた再生PBTの重合時間、固有粘度、カルボキシル末端基濃度、溶液ヘイズ、色調(b値)、異物個数(異物:小、異物:大)を測定して、結果を表1に示した。再生PBTの生産性に優れ、ポリマー物性においても固有粘度、カルボキシル末端基濃度、溶液ヘイズ、色調(b値)、異物小個数・異物大個数いずれも合格判定のものが得られた。
[実施例2]
実施例1において、回収PBT中のチタン含有量がチタン原子として70ppmとした以外は全く同様に行った。その結果を表1に示した。重合時間が少し延びる傾向が見られたが、品質は問題ないものが得られた。
実施例1において、回収PBT中のチタン含有量がチタン原子として70ppmとした以外は全く同様に行った。その結果を表1に示した。重合時間が少し延びる傾向が見られたが、品質は問題ないものが得られた。
[実施例3]
実施例1において、回収PBT中のチタン含有量がチタン原子として200ppmとした以外は全く同様に行った。その結果を表1に示した。重合時間に少し短縮傾向が見られ、品質においては、カルボキシル末端基濃度、溶液ヘイズ、色調(b値)が少し高くなる傾向が見られたが使用上は問題のない範囲のものが得られた。
実施例1において、回収PBT中のチタン含有量がチタン原子として200ppmとした以外は全く同様に行った。その結果を表1に示した。重合時間に少し短縮傾向が見られ、品質においては、カルボキシル末端基濃度、溶液ヘイズ、色調(b値)が少し高くなる傾向が見られたが使用上は問題のない範囲のものが得られた。
[実施例4]
実施例1において、回収PBT中のスズ含有量がスズ原子として20ppmとした以外は全く同様に行った。その結果を表1に示した。重合時間が少し延びる傾向が見られたが、品質は問題ないものが得られた。
実施例1において、回収PBT中のスズ含有量がスズ原子として20ppmとした以外は全く同様に行った。その結果を表1に示した。重合時間が少し延びる傾向が見られたが、品質は問題ないものが得られた。
[実施例5]
実施例1において、回収PBT中のスズ含有量がスズ原子として280ppmとした以外は全く同様に行った。その結果を表1に示した。重合時間に少し短縮傾向が見られ、品質においては、溶液ヘイズ、色調(b値)が少し高くなる傾向が見られたが、使用上は問題のない範囲のものが得られた。
実施例1において、回収PBT中のスズ含有量がスズ原子として280ppmとした以外は全く同様に行った。その結果を表1に示した。重合時間に少し短縮傾向が見られ、品質においては、溶液ヘイズ、色調(b値)が少し高くなる傾向が見られたが、使用上は問題のない範囲のものが得られた。
[実施例6]
実施例1において、1,4-ブタンジオールの投入量を286kg(回収PBTに対して0.7倍モル)とした以外は全く同様に行った。その結果を表1に示した。1、4ブタンジオールのモル比を下げたため、解重合速度が低下し、その結果、重合時間が延長、品質においても、カルボキシル末端基濃度、溶液ヘイズ、色調(b値)のいずれも上昇傾向が見られたが使用できる範疇のものであった。
実施例1において、1,4-ブタンジオールの投入量を286kg(回収PBTに対して0.7倍モル)とした以外は全く同様に行った。その結果を表1に示した。1、4ブタンジオールのモル比を下げたため、解重合速度が低下し、その結果、重合時間が延長、品質においても、カルボキシル末端基濃度、溶液ヘイズ、色調(b値)のいずれも上昇傾向が見られたが使用できる範疇のものであった。
[実施例7]
実施例1において、1,4-ブタンジオールの投入量を818kg(回収PBTに対して2.0倍モル)とした以外は全く同様に行った。その結果を表1に示した。1、4ブタンジオールのモル比を上げたため、解重合速度が上昇し、反応性は問題なく、品質のおいても1、4ブタンジオールの若干の分解などで若干のb値アップが見られた以外は、品質の良いものが得られた。
実施例1において、1,4-ブタンジオールの投入量を818kg(回収PBTに対して2.0倍モル)とした以外は全く同様に行った。その結果を表1に示した。1、4ブタンジオールのモル比を上げたため、解重合速度が上昇し、反応性は問題なく、品質のおいても1、4ブタンジオールの若干の分解などで若干のb値アップが見られた以外は、品質の良いものが得られた。
[実施例8]
実施例1において、ヒンダードフェノール系酸化防止剤の投入量を0.1kg(回収PBTに対して0.01wt%)とした以外は全く同様に行った。その結果を表1に示した。ヒンダードフェノール系酸化防止剤の投入量を低下させたため解重合反応およびその後の重縮合反応中にポリマーの熱分解が一部促進されたためかカルボキシル末端基濃度の上昇傾向が見られたが、使用できる範疇のものが得られた。
実施例1において、ヒンダードフェノール系酸化防止剤の投入量を0.1kg(回収PBTに対して0.01wt%)とした以外は全く同様に行った。その結果を表1に示した。ヒンダードフェノール系酸化防止剤の投入量を低下させたため解重合反応およびその後の重縮合反応中にポリマーの熱分解が一部促進されたためかカルボキシル末端基濃度の上昇傾向が見られたが、使用できる範疇のものが得られた。
[実施例9]
実施例1において、ヒンダードフェノール系酸化防止剤の投入量を1.0kg(回収PBTに対して0.1wt%)とした以外は全く同様に行った。その結果を表1に示した。ヒンダードフェノール系酸化防止剤の投入量を増加させたため、解重合反応およびその後の重縮合反応中に、ヒンダードフェノール系酸化防止剤自体の一部の熱分解が発生したためか溶液ヘイズの上昇傾向が見られたが、使用できる範疇のものが得られた。
実施例1において、ヒンダードフェノール系酸化防止剤の投入量を1.0kg(回収PBTに対して0.1wt%)とした以外は全く同様に行った。その結果を表1に示した。ヒンダードフェノール系酸化防止剤の投入量を増加させたため、解重合反応およびその後の重縮合反応中に、ヒンダードフェノール系酸化防止剤自体の一部の熱分解が発生したためか溶液ヘイズの上昇傾向が見られたが、使用できる範疇のものが得られた。
[実施例10]
実施例1において、解重合開始前に、解重合触媒としてチタン触媒(テトラブチルチタネート)を0.35kg(回収PBTに対して0.035wt%)添加した以外は全く同様に行った。その結果を表1に示した。テトラブチルチタネートの添加量を上げたことによって、重合時間も短縮されたが、平行して、分解反応も促進されたためかカルボキシル末端基濃度、色調(b値)の上昇傾向が見られたが、使用できる範疇のものが得られた。
実施例1において、解重合開始前に、解重合触媒としてチタン触媒(テトラブチルチタネート)を0.35kg(回収PBTに対して0.035wt%)添加した以外は全く同様に行った。その結果を表1に示した。テトラブチルチタネートの添加量を上げたことによって、重合時間も短縮されたが、平行して、分解反応も促進されたためかカルボキシル末端基濃度、色調(b値)の上昇傾向が見られたが、使用できる範疇のものが得られた。
[実施例11]
実施例1において、移行管に異物を除去する目的で設けたフィルターを、第1フィルターのみとした以外は全く同様に行った。その結果を表1に示した。フィルターを1つにしたことによって、異物小個数の上昇傾向が見られたが、使用できる範疇のものが得られた。
実施例1において、移行管に異物を除去する目的で設けたフィルターを、第1フィルターのみとした以外は全く同様に行った。その結果を表1に示した。フィルターを1つにしたことによって、異物小個数の上昇傾向が見られたが、使用できる範疇のものが得られた。
[実施例12]
実施例1において、移行管にフィルターを設けなかった以外は全く同様に行った。その結果を表1に示した。フィルターを無くしたことで、異物小個数の更なる上昇傾向が見られたが、使用できる範疇のものが得られた。
実施例1において、移行管にフィルターを設けなかった以外は全く同様に行った。その結果を表1に示した。フィルターを無くしたことで、異物小個数の更なる上昇傾向が見られたが、使用できる範疇のものが得られた。
[実施例13]
実施例1によって得られたPBTペレットを、内容積200Lのダブルコーン型のジャケット付き固相重合装置に仕込み、減圧/窒素置換を3回繰り返した。次に、圧力を133Pa以下にコントロールし、185℃まで昇温させた。内温が185℃に達してから13時間固相重合を行い、その後ジャケット熱媒を冷却し始め、内温が40℃以下になった時点で内容物を取り出した。得られたPBTの末端カルボキシル基濃度、耐加水分解性を測定した。固相重合を行う前の実施例1によって得られたPBTの耐加水分解性も測定し、それぞれの結果を表2に示した。固相重合を行う前と比較して、カルボキシル末端基濃度が低下し、耐加水分解性が向上したPBTが得られた。
実施例1によって得られたPBTペレットを、内容積200Lのダブルコーン型のジャケット付き固相重合装置に仕込み、減圧/窒素置換を3回繰り返した。次に、圧力を133Pa以下にコントロールし、185℃まで昇温させた。内温が185℃に達してから13時間固相重合を行い、その後ジャケット熱媒を冷却し始め、内温が40℃以下になった時点で内容物を取り出した。得られたPBTの末端カルボキシル基濃度、耐加水分解性を測定した。固相重合を行う前の実施例1によって得られたPBTの耐加水分解性も測定し、それぞれの結果を表2に示した。固相重合を行う前と比較して、カルボキシル末端基濃度が低下し、耐加水分解性が向上したPBTが得られた。
[実施例14~15]
実施例13において 固相重合の温度、時間を表2に示す条件に変更した以外は全く同様に行い、結果を表2に示した。固相重合を行う前と比較して、カルボキシル末端基濃度が低下し、耐加水分解性が向上したPBTが得られた。
実施例13において 固相重合の温度、時間を表2に示す条件に変更した以外は全く同様に行い、結果を表2に示した。固相重合を行う前と比較して、カルボキシル末端基濃度が低下し、耐加水分解性が向上したPBTが得られた。
[比較例1]
実施例1において、回収PBT中のチタン含有量がチタン原子として50ppmとした以外は全く同様に行った。その結果を表1に示した。原料に用いる回収PBTに含有する触媒由来のチタン量が少なすぎるため、回収PBT中の触媒活性が不足して重合時間が大幅に遅延し、カルボキシル末端基濃度やb値が悪化して不合格判定となった。
実施例1において、回収PBT中のチタン含有量がチタン原子として50ppmとした以外は全く同様に行った。その結果を表1に示した。原料に用いる回収PBTに含有する触媒由来のチタン量が少なすぎるため、回収PBT中の触媒活性が不足して重合時間が大幅に遅延し、カルボキシル末端基濃度やb値が悪化して不合格判定となった。
[比較例2]
実施例1において、回収PBT中のチタン含有量がチタン原子として220ppmとした以外は全く同様に行った。その結果を表1に示した。原料に用いる回収PBTに含有する触媒由来のチタン量が多すぎるため、移行管に設けたフィルターが目詰まりを起こし、得られた再重合PBTポリマーのカルボキシル末端基濃度、溶液ヘイズ、色調b値が悪化し、異物小個数・異物大個数いずれも増加して不合格判定となった。
実施例1において、回収PBT中のチタン含有量がチタン原子として220ppmとした以外は全く同様に行った。その結果を表1に示した。原料に用いる回収PBTに含有する触媒由来のチタン量が多すぎるため、移行管に設けたフィルターが目詰まりを起こし、得られた再重合PBTポリマーのカルボキシル末端基濃度、溶液ヘイズ、色調b値が悪化し、異物小個数・異物大個数いずれも増加して不合格判定となった。
[比較例3]
実施例1において、回収PBT中のスズ含有量がスズ原子として0ppmとした以外は全く同様に行った。その結果を表1に示した。原料に用いる回収PBTに含有する触媒由来のスズ量が少なすぎるため、回収PBT中の触媒活性が不足して重合時間が大幅に遅延して、3時間40分で反応を打ち切りとした。固有粘度とカルボキシル末端基濃度悪化して不合格判定となった。
実施例1において、回収PBT中のスズ含有量がスズ原子として0ppmとした以外は全く同様に行った。その結果を表1に示した。原料に用いる回収PBTに含有する触媒由来のスズ量が少なすぎるため、回収PBT中の触媒活性が不足して重合時間が大幅に遅延して、3時間40分で反応を打ち切りとした。固有粘度とカルボキシル末端基濃度悪化して不合格判定となった。
[比較例4]
実施例1において、回収PBT中のスズ含有量がスズ原子として320ppmとした以外は全く同様に行った。その結果を表1に示した。原料に用いる回収PBTに含有する触媒由来のスズ量が多すぎるため、移行管に設けたフィルターが目詰まりを起こし、得られた再重合PBTポリマーのカルボキシル末端基濃度、溶液ヘイズ、色調b値が悪化し、異物小個数・異物大個数いずれも増加して不合格判定となった。
実施例1において、回収PBT中のスズ含有量がスズ原子として320ppmとした以外は全く同様に行った。その結果を表1に示した。原料に用いる回収PBTに含有する触媒由来のスズ量が多すぎるため、移行管に設けたフィルターが目詰まりを起こし、得られた再重合PBTポリマーのカルボキシル末端基濃度、溶液ヘイズ、色調b値が悪化し、異物小個数・異物大個数いずれも増加して不合格判定となった。
[比較例5]
実施例1において、1,4-ブタンジオールの投入量を245kg(回収PBTに対して0.6倍モル)とした以外は全く同様に行った。その結果を表1に示した。1,4-ブタンジオールの投入量が不足して解重合反応が完結せず、フィルターに目詰まりが認められ、重合時間も大幅に遅延し、4時間で反応を打ち切りとした。固有粘度、カルボキシル末端基濃度、溶液ヘイズ、色調b値が悪化して不合格判定となった。
実施例1において、1,4-ブタンジオールの投入量を245kg(回収PBTに対して0.6倍モル)とした以外は全く同様に行った。その結果を表1に示した。1,4-ブタンジオールの投入量が不足して解重合反応が完結せず、フィルターに目詰まりが認められ、重合時間も大幅に遅延し、4時間で反応を打ち切りとした。固有粘度、カルボキシル末端基濃度、溶液ヘイズ、色調b値が悪化して不合格判定となった。
[比較例6]
実施例1において、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を投入しなかった以外は全く同様に行った。その結果を表1に示した。酸化防止剤を添加しなかったことで回収PBTの解重合時に熱分解反応が進み、再重合ポリマーのカルボキシル末端基濃度が上昇するとともにポリマーの透明性、色調も悪化し、不合格判定となった。
実施例1において、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を投入しなかった以外は全く同様に行った。その結果を表1に示した。酸化防止剤を添加しなかったことで回収PBTの解重合時に熱分解反応が進み、再重合ポリマーのカルボキシル末端基濃度が上昇するとともにポリマーの透明性、色調も悪化し、不合格判定となった。
[比較例7]
実施例1において、ヒンダードフェノール系酸化防止剤の投入量を1.2kg(回収PBTに対して0.12wt%)とした以外は全く同様に行った。その結果を表1に示した。酸化防止剤を過剰に添加したため、回収PBTの解重合時に過剰分の酸化防止剤そのものが異物化し、フィルターが目詰まりを起こし、溶液ヘイズと異物小個数・異物大個数が悪化して不合格判定となった。
実施例1において、ヒンダードフェノール系酸化防止剤の投入量を1.2kg(回収PBTに対して0.12wt%)とした以外は全く同様に行った。その結果を表1に示した。酸化防止剤を過剰に添加したため、回収PBTの解重合時に過剰分の酸化防止剤そのものが異物化し、フィルターが目詰まりを起こし、溶液ヘイズと異物小個数・異物大個数が悪化して不合格判定となった。
Claims (4)
- チタン化合物をチタン原子として70ppm~200ppm、およびスズ化合物をスズ原子として10~300ppm含有するポリブチレンテレフタレートに、該ポリブチレンテレフタレートに対して0.7~2.0倍モルの1,4-ブタンジオール、および0.01~0.1wt%の酸化防止剤を添加して該ポリブチレンテレフタレートを解重合し、その後再重合することを特徴とする、ポリブチレンテレフタレートの製造方法。
- 前記ポリブチレンテレフタレートを解重合するに際して、触媒を添加しないことを特徴とする請求項1に記載のポリブチレンテレフタレートの製造方法。
- 解重合と再重合とを異なる反応槽を用いて回分式で実施し、解重合を実施する反応槽と再重合を実施する反応槽との間の移行管に少なくとも2つのフィルターを設置し、解重合物を濾過することを特徴とする、請求項1または2に記載のポリブチレンテレフタレートの製造方法。
- ポリブチレンテレフタレートを解重合し、その後再重合した後に、不活性雰囲気中、170~200℃で、5~20時間固相重合することを特徴とする、請求項1または2に記載のポリブチレンテレフタレートの製造方法。
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JP2022168185A Pending JP2023075033A (ja) | 2021-11-18 | 2022-10-20 | ポリブチレンテレフタレートの製造方法 |
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