JP2023072762A - 発酵種用小麦粉組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、発酵種を用いてパン類を製造しても、製パン性が良好で、容積が小さくなることなくソフトで風味が良好で、口溶けが良好な食感のパン類を得ることができる発酵種用小麦粉組成物を提供することを課題とする。【解決手段】揚げ物類の製造において、GBSSI-A1の酵素活性を欠損しておらず、GBSSI-B1及びGBSSI-D1の酵素活性を欠損し、かつ、SSIIa-A1、SSIIa-B1及びSSIIa-D1のうちのいずれか2つの酵素活性を欠損したコムギの収穫物を製粉して得られた小麦粉(GA-SX小麦粉)を含有する発酵種用小麦粉組成物を使用することで上記課題を解決する。【選択図】なし

Description

本発明は、発酵種用小麦粉組成物に関する。
発酵種は、小麦粉、水、食塩等の副資材、および乳酸菌や酵母等の微生物を混合し、一定温度で発酵させた製パン用資材を指し、食パンなど様々なパンの製造時に、その発酵種を一部加えることで、パンの風味や食感、日持ち向上の効果があり、パン業界では広く使用される。発酵種に使用する微生物としては、酵母、乳酸菌、麹菌など天然に存在するものや、単離した微生物を人工培養して単独又は複数の組み合わせたものが利用されている。
天然に存在する微生物を使用する発酵種のうち、穀物や果実などに付着している酵母や複数の微生物を利用し、その微生物叢(原始種)に糖類主体の発酵基質と水を加えて培養することにより元種を調製し、この元種、小麦粉等の穀粉及び水を使用し1回以上種継ぎして得られるものは熟成発酵種とも呼ばれ、パネトーネ種、サンフランシスコサワー種、ルヴァン種等のホワイトサワー種、ドイツサワー種等のライサワー種、ホップ種、ビール種、酒種、果実種等が知られている(非特許文献1)。
発酵種は乳酸菌や酵母などによって発酵され、それらの生産物によってパンに独特の風味や食感をもたらす。特に風味に関しては、製パン時における発酵種の添加量を増やすほど、焼成後のパンの風味は増強する。
しかし、発酵種は一定量の有機酸やエタノールを含んでおり、この発酵種を一定量以上パン生地に添加すると、パン生地が所望の体積まで膨らまずパンのボリュームが不足し、ソフトさを欠くパン品質となったり、膨らむために要する時間(ホイロ時間)が通常より延長されるという問題があった。特許文献1では、発酵種を1次発酵や2次発酵前にパン生地に添加すると、発酵種がエタノールをパン生地中に持ち込み、エタノールのためにパン酵母(イースト)による発酵(炭酸ガス発生)が阻害されてしまうという問題点があったところ、高濃度のエタノールを含有する中糖生地、高糖生地及び超高糖生地それぞれにおいて従来の菌株以上のガス発生量を示すパン酵母を使用することで、エタノールを含む発酵種を配合したパンにおいて、製パン時のホイロ時間の延長やパンのボリューム不足がなく、発酵種由来の風味が強くてソフトなパンが得られるということが開示されている。
また、パン酵母の添加量を増やした場合にはパンに過度な酵母臭が付き、好ましい風味のバランスを損ねたりするので、従来は、風味付けを目的に十分量の発酵種をパン生地に配合して発酵種由来の風味を持ちながらソフトなパンを効率よく作製することが困難であるという問題があった。特許文献2では、液種製パン法の配合条件と発酵条件とで作る各種生地(食パン、ロールパン、フランスパン、ドーナツ、ペストリー生地(デニッシュ生地、パイ生地、クロワッサン生地)スイートロール生地は、風味にイースト臭が残る等、風味、食感、口溶け等の品質面や製パン性の点で問題があったところ、本捏段階において、大豆、豆麹および/または麹と、塩とを含む材料から製造される発酵食品を含む液種を発酵させて得られる発酵液種を添加し混捏することで、問題を解決できることが開示されている。
発酵種を用いてパン類を製造しても、製パン性が良好で、容積が小さくなることなくソフトで風味が良好で、口溶けが良好な食感のパン類を得ることができるより簡便な方法が求められている。
WO2018/207779 特開2007-295903
伝統的パン種のおいしさと微生物の関わりについて 生物工学会誌 第90巻第6号、p329-334 (2012年)
本発明は、発酵種を用いてパン類を製造しても、製パン性が良好で、容積が小さくなることなくソフトで風味が良好で、口溶けが良好な食感のパン類を得ることができる発酵種用小麦粉組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、発酵種の製造において、GBSSI-A1の酵素活性を欠損しておらず、GBSSI-B1及びGBSSI-D1の酵素活性を欠損し、かつ、SSIIa-A1、SSIIa-B1及びSSIIa-D1のうちのいずれか2つの酵素活性を欠損したコムギの収穫物を製粉して得られた小麦粉(以下、「GA-SX小麦粉」と称する場合がある)とGA-SX小麦粉以外の小麦粉からなり、GA-SX小麦粉を小麦粉全量に対して25質量%以上含有する小麦粉組成物を使用すると、生地にべたつきがなく、さらには生地の伸展性が良好であり、内層がソフトで十分なボリュームのパン類の製造方法を提供することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の態様を包含する。
[1]GBSSI-A1の酵素活性を欠損しておらず、GBSSI-B1及びGBSSI-D1の酵素活性を欠損し、かつ、SSIIa-A1、SSIIa-B1及びSSIIa-D1のうちのいずれか2つの酵素活性を欠損したコムギの収穫物を製粉して得られた小麦粉(GA-SX小麦粉)を含有する、小麦粉からなる発酵種用小麦粉組成物。
[2]GA-SX小麦粉の含有率が25質量%以上である、[1]に記載の発酵種用小麦粉組成物。
[3]GA-SX小麦粉が、GBSSI-A1の酵素活性を欠損しておらず、GBSSI-B1及びGBSSI-D1の酵素活性を欠損し、かつ、SSIIa-A1の酵素活性を欠損しておらず、SSIIa-B1及びSSIIa-D1の酵素活性を欠損したコムギの収穫物を製粉して得られた小麦粉(GA-SA小麦粉)である、[1]又は[2]に記載の発酵種用小麦粉組成物。
[4][1]~[3]のいずれか1項に記載の発酵種用小麦粉組成物を含む、発酵種。
[5][4]に記載の発酵種を含む、パン類用生地。
[6][1]~[3]のいずれか1項に記載の発酵種用小麦粉組成物を使用する、発酵種の製造方法。
[7][6]に記載の方法で得られた発酵種を使用する、パン類用生地の製造方法。
[8][7]に記載の方法で得られたパン類用生地を焼成する工程を含む、パン類の製造方法。
本発明によれば、発酵種を用いても、生地にべたつきがなく、生地の伸展性が良好であり、内層がソフトで風味が良好で、口溶けが優れ十分なボリュームのパン類を得ることができる。
本発明の発酵種用小麦粉組成物は、GBSSI-A1の酵素活性を欠損しておらず、GBSSI-B1及びGBSSI-D1の酵素活性を欠損し、かつ、SSIIa-A1、SSIIa-B1及びSSIIa-D1のうちのいずれか2つの酵素活性を欠損したコムギの収穫物を製粉して得られた小麦粉(GA-SX小麦粉)を含む。
普通系コムギは、異質6倍体であり、その染色体には同祖染色体であるA、B、Dの3つのゲノムがそれぞれ1~7番まで存在する(1A~7A、1B~7B、1D~7D)。
「GBSSI」とは、アミロースの合成に関与する顆粒結合性澱粉合成酵素であり、GBSSI-A1、GBSSI-B1、GBSSI-D1が、それぞれ7A、4A、7D染色体上に座乗する遺伝子によってコードされている。
「SSIIa」とは、アミロペクチンの分岐鎖合成に関与する澱粉合成酵素であり、SSIIa-A1、SSIIa-B1、SSIIa-D1が、それぞれ7A、7B、7D染色体上に座乗する遺伝子によってコードされている。
「酵素活性を欠損する」とは、コムギ植物体内で正常な酵素活性を有するタンパク質が機能していないこと、好ましくは正常な酵素活性を有するタンパク質が発現していないことをいう。具体的には、遺伝子配列の変異(一つ又は複数の塩基の置換、欠失、挿入、逆位、転座などの変異をいい、遺伝子領域全体の欠失も含む)、mRNA転写の欠損、タンパク質翻訳の欠損、コムギ植物体内での酵素活性の阻害などの態様が挙げられ、野生型の酵素活性の10%未満、好ましくは5%未満、より好ましくは1%未満にまで酵素活性が低下ないし欠失していれば、いずれの態様であってもよい。
GA-SX小麦粉としては、酵素活性を欠損した2種類のSSIIaの組み合わせにより、以下の小麦粉が挙げられる。
GA-SA小麦粉:GBSSI-A1の酵素活性を欠損しておらず、GBSSI-B1及びGBSSI-D1の酵素活性を欠損し、かつ、SSIIa-A1の酵素活性を欠損しておらず、SSIIa-B1及びSSIIa-D1の酵素活性を欠損したコムギの収穫物を製粉して得られた小麦粉;
GA-SB小麦粉:GBSSI-A1の酵素活性を欠損しておらず、GBSSI-B1及びGBSSI-D1の酵素活性を欠損し、かつ、SSIIa-B1の酵素活性を欠損しておらず、SSIIa-A1及びSSIIa-D1の酵素活性を欠損したコムギの収穫物を製粉して得られた小麦粉;
GA-SD小麦粉:GBSSI-A1の酵素活性を欠損しておらず、GBSSI-B1及びGBSSI-D1の酵素活性を欠損し、かつ、SSIIa-D1の酵素活性を欠損しておらず、SSIIa-A1及びSSIIa-B1の酵素活性を欠損したコムギの収穫物を製粉して得られた小麦粉。
これらのうち、GA-SA小麦粉が好ましい。
GA-SX小麦粉は、公知の方法、例えば、特開2013-188206号記載の方法に従って、製造することができる。
本発明の発酵種用小麦粉組成物は小麦粉からなり、GA-SX小麦粉に加え、さらに他の小麦粉を含んでいてもよい。他の小麦粉としてはGA-SX小麦以外の小麦から製粉した小麦粉であれば特に限定はない。例えば、GBSSI(GBSSI-A1、GBSSI-B1及びGBSSI-D1)及びSSIIa(SSIIa-A1,SSIIa-B1及びSSIIa-D1)の6種の酵素活性の欠損の組み合わせ(ただし、GA-SXを除く)で酵素活性を欠損した小麦並びにGBSSI及びSSIIaの何れの酵素活性も欠損していない小麦から製粉した小麦粉が挙げられる。あるいは一般に使用される、強力粉、中力粉、薄力粉及びそれらの混合物であってよい。
本発明の発酵種用小麦粉組成物は、GA-SX小麦粉を含むことで、標準的な発酵種用小麦粉のみで製造した発酵種を添加したパンよりも生地にべたつきがなく、生地の伸展性が良好であり、内層がソフトで十分なボリュームのパン類を得ることができる。本発明の発酵種用小麦粉組成物は、GA-SX小麦粉を発酵種用小麦粉組成物の全量に対して25質量%以上含有することが好ましい。GA-SX小麦粉の含有量は、発酵種用小麦粉組成物の全量に対し、25~100質量%であることがさらに好ましく、50~100質量%であることがより好ましい。もっとも好ましくは、本発明の発酵種用小麦粉組成物は、GA-SX小麦粉そのもの(発酵種用小麦粉組成物の全量に対してGA-SX小麦粉が100質量%)であり、その場合、最も良好な製パン性やパンのボリューム、およびソフトな食感を有するパン類が得られる。
本発明の発酵種は上記発酵種用小麦粉組成物を含む。
本発明において発酵種は、発酵種用小麦粉組成物と水を混ぜて酵母や乳酸菌等の微生物によって予め発酵させたパン種のことを意味する。
本発明の発酵種は発酵種用小麦粉組成物、水、食塩等の副資材、および発酵種用スターターとして乳酸菌や酵母等の微生物を混合し、発酵させたものを含む。発酵種用スターターとしては酵母、乳酸菌、麹菌などの単離した微生物を人工培養して得た単独又は複数の組み合わせを利用することができ、微生物の培養液の形態であってもよいし、既存の発酵種であってもよく、またサフ社製の「LV1」、オリエンタル酵母社製の「アクティブサワーR」の様な市販品を使用することもできる。
また本発明の発酵種は、穀物や果実などに付着している酵母や複数の微生物を利用し、その微生物叢(原始種)に糖類主体の発酵基質と水を加えて培養することにより元種を調製し、この元種を発酵種用スターターとし、発酵種用小麦粉組成物及び水を混合し、発酵させて1回以上種継ぎして得られる熟成発酵種も含む。このような熟成発酵種として、パネトーネ種、サンフランシスコサワー種、ルヴァン種等のホワイトサワー種、ドイツサワー種等のライサワー種、ホップ種、ビール種、酒種、果実種等を挙げることが出来る。
本発明の発酵種は、発酵種用スターターとして少なくとも乳酸菌を含むことが好ましく、少なくとも乳酸菌と酵母を含むことがより好ましい。
本発明の発酵種は発酵種用小麦粉組成物を使用する以外は常法に従って製造することができ、例えば発酵種用小麦粉組成物、水、食塩、発酵種用スターターを混合しミキサー等を使用して、ミキシングして発酵種生地を得ることができる。発酵種の資材としてはライ麦等の穀粉、ブドウ糖やショ糖など微生物が資化できる糖類、モルトなどを使用することもできる。
加水量に制限はなく、例えば製パン時のハンドリング、生地の硬さ、発酵の強弱などの目的に合わせて量を調整することが可能である。一般的には発酵種製造時に使用される加水量は、小麦粉100質量部に対して、80~300質量部で使用されることが好ましい。80質量部未満や300質量部を超えると、発酵が不十分となり、風味等の乏しい発酵種が生じる。
得られた発酵種生地をプラスチック製の容器に入れ蓋をしたのち、発酵種生地を発酵させるが、微生物の増殖に適した条件の観点から発酵温度は、20~35℃で発酵することが好ましく、25~30℃で発酵することがさらに好ましい。発酵時間は、12~48時間行うことが好ましく、18~30時間で行うことがさらに好ましい。
熟成発酵種に関しても、種継ぎに使用する穀粉として発酵種用小麦粉組成物を使用する以外は熟成発酵種の種類に応じた常法に従って製造することができる。例えば、ルヴァン種などライ麦に付着した微生物(乳酸菌、酵母など)を利用した熟成発酵種では、ライ麦粉100質量部、水120質量部、モルトエキス4質量部を十分に混合し、28℃で24時間静置して元種を得た後、得られた元種100質量部に小麦粉100質量部と水100質量部とを十分に混合して28℃で24時間発酵させる(種継ぎ工程1回目)。続いてこの発酵物100質量部に小麦粉100質量部と水100質量部とを十分に混合して28℃で24時間発酵させる(種継ぎ工程2回目)。このような種継ぎ工程を例えば4回繰り返して熟成発酵種を得ることができる。熟成発酵種の製造において、最終の種継ぎに発酵種用小麦粉組成物を使用することが好ましい。
得られた発酵種は、すぐにパン類の製造に使用しても良く、またパン類の製造に使用するまで冷蔵保存することもできる。
本発明のパン類用生地は上記発酵種を含む。
また本発明のパン類用生地は上記発酵種を使用すること、本発明のパン類は上記パン類用生地を焼成する工程を含む以外は常法に従って製造することができる。
例えば、ストレート法、中種法、液種法、湯種法、などの各種常法に従って行うことができる。
ストレート法は、全材料を最初から混ぜて生地を製造する方法である。例えば、発酵種を含む全材料を配合、混捏し、生地をつくり、該生地を発酵した後、適当な大きさに分割し、室温でベンチタイムをとり、成形、ホイロを行なった後、焼成する。
中種法は、生地に使用する材料を2段階に分けて混ぜ、生地を製造する方法である。例えば生地に使用する小麦粉の一部にイーストと水を加えて中種生地をつくり1次発酵を行ない、残りの材料と混捏し、生地をつくる。その後室温でフロアタイムをとり、適当な大きさに分割した後、室温でベンチタイムをとり、成形、ホイロを行なった後、焼成する。発酵種は1段階目に混合してもよく、2段階目に混合してもよく、2段階に分けて混合してもよい。
液種法は、生地に使用する材料の一部で液種を作ってから製造する方法である。例えば生地に使用する小麦粉の一部および小麦粉と同量の水とイーストを加えて液種をつくって発酵を行なった後、残りの材料と混捏し、生地をつくる。その後室温でフロアタイムをとり、適当な大きさに分割した後、室温でベンチタイムをとり、成形、ホイロを行なった後、焼成する。発酵種は液種を作製する工程で混合してもよいし、液種と材料を混捏する工程で混合してもよい。
湯種法は、生地に使用する材料の一部で湯種を作製して製造する方法である。例えば生地に使用する小麦粉の一部に熱湯と塩を加える、もしくは小麦粉の一部に水と塩を加えた後に加温することにより得られる湯種生地を、ストレート法や中種法の混捏時に加えて生地をつくり、その後室温でフロアタイムをとり、適当な大きさに分割した後、室温でベンチタイムをとり、成形、ホイロを行なった後、焼成する。発酵種は、湯種以外の材料と混捏する工程で混合してもよい。
製パン時における発酵種の添加量は、パン類用生地に使用する小麦粉(発酵種用小麦粉組成物とそれ以外の生地用小麦粉の合計)100質量部に対して50質量部以下であれば制限はなく、パンへの風味の付与に合わせて添加量を調整することが可能である。その際、添加した発酵種の量に応じて、製パン時に小麦粉と水の量を減らしておけば良い。
パン類用生地に使用する小麦粉のうち、発酵種用小麦粉以外の小麦粉(生地用小麦粉という)の種類は特に限定されない。生地用小麦粉は、生地用小麦粉の全量に対してGA-SX小麦以外の小麦から製粉した小麦粉を好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上含み、最も好ましくは、生地用小麦粉はGA-SX小麦以外の小麦から製粉した小麦粉からなる。
一般的には、パン製造時に使用される小麦粉全量に対して、発酵種中のGA-SX小麦粉が2~30質量%で使用されることが好ましい。30質量部を超えると製パン性が劣る傾向になり、2質量部未満であると充分な風味が付与できない傾向にある。
パン類生地には、通常パン生地の製造に使用される原料であればいずれも配合することができ、例えば、さらにライ麦粉、コーンフラワー、大麦粉、米粉などの穀粉類;小麦ふすま、米ぬか等の糠類;イースト、イーストフード;発酵調味料、発酵風味剤等の発酵生成物類:タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、小麦澱粉などの澱粉類及びこれらにα化、エーテル化、エステル化、アセチル化、架橋処理等を行った加工澱粉類;ブドウ糖、果糖、乳糖、砂糖、イソマルトースなどの糖類;卵黄、卵白、全卵及びそれらを粉末化したものやその他の卵に由来する成分である卵成分;粉乳、脱脂粉乳、大豆粉乳等の乳成分;グルテン、大豆蛋白、小麦蛋白、えんどう豆蛋白等のタンパク質類;ショートニング、ラード、マーガリン、バター、液状油等の油脂類;乳化剤;食塩等の無機塩類;保存料;香料;香辛料;ビタミン;カルシウム等の強化剤等の通常パン製造に用いる副原料を配合することができる。
本発明の製造方法により得られるパン類としては、例えば食パン、ロールパン等が挙げられる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
<製造例1 発酵種の製造>
(1)GA-SA小麦粉、又は標準的な小麦粉(ニップン社製、商品名「イーグル」)を下記表1に記載した割合で混合して、発酵種用小麦粉組成物を得た。
表1
Figure 2023072762000001

(2)発酵種用小麦粉組成物100質量部、水100質量部、食塩2質量部、発酵種用スターター(サフ社製、商品名「LV1」)0.5質量部を加え、市販の卓上ミキサー(品川工業所社製、商品名「5DM」)を使用して、低速1分、高速2分でミキシングして発酵種生地を得た。前記発酵種用スターターには、酵母と乳酸菌が含まれる。
(3)この生地をプラスチック製の容器に入れ蓋をしたのち、温度28℃に置き、24時間発酵させ発酵種を得た。
<試験例1 発酵種の炭酸ガス発生量の測定>
製造例1の発酵種生地を各々40gずつ試料瓶に入れ、ガス発生量測定器(アトー社製、商品名「ファーモグラフII-w AF-1101w型」)で28℃、24時間後の炭酸ガス発生量(ml)を測定した。結果を下記表2に示す。
表2
Figure 2023072762000002

GA-SA小麦粉の割合が増加するにつれて発酵種の炭酸ガス発生量が増加した。炭酸ガス発生量は発酵種を使用して作製するパン生地の膨化度の指標とすることができ、GA-SA小麦粉を使用した発酵種を添加したパンは比容積が増大することが示唆された。
<製造例2:食パンの製造>
表3 製パン配合表(質量部)
Figure 2023072762000003

発酵種を添加したパンの配合は、それぞれ発酵種分の小麦粉5質量部、水5質量部、塩0.1質量部を差し引いた。なお生地用小麦粉として標準的な小麦粉(ニップン社製、商品名「イーグル」)を使用した。
(1)表3の製パン材料(油脂以外)を加え、市販の製パン用ミキサー(エスケーミキサー社製、商品名「SK200」)を使用して、低速2分、中速3分、高速1分でミキシングし、更に油脂5質量部を加え、低速1分、中速3分、高速5分でミキシングしてパン生地を得た。
(2)この生地を温度27℃、相対湿度75%の環境下で60分間発酵させた。
(3)発酵させた生地を1個当たり230gとなるように分割した。この際に製パン性を評価した。
(4)分割後、室温で20分間のベンチタイムを取り、モルダー(成形機)を用いてパン生地を成形した。
(5)成形生地を焼型(100mm×240mm×60mm)に投入し、温度38℃、相対湿度85%の環境下で、焼型の高さに生地が膨らむまでホイロ発酵させた。
(6)ホイロ発酵後、焼型に蓋をし、200℃に予熱したオーブンに入れ、200℃で30分間焼成し、食パンを得た。
<試験例2>
製造例2に従い、製造例1で作製した発酵種を添加し食パンを製造した。なお、発酵種無添加パンを参考例として3点とした。
(1)焼成後、速やかにパンの重量と菜種置換法*により体積を測定し、比容積(体積÷重量)を求めた。
* 菜種置換法:一定容量の容器に満杯に詰めた菜種の体積から、同じ容器にパンと菜種を詰めて満杯にしたときの菜種の体積を差引くことで、パンの体積を求める方法。
(2)得られた食パンの粗熱を取った後、樹脂製袋に入れて密封して一晩静置した。その後、厚さ18mmにスライスし、熟練パネラー10名により、表4に記載の評価基準に従って食パンを官能評価した。結果を表5-1~5-3に示す。
表4 評価基準
Figure 2023072762000004
表5-1 製パン結果
Figure 2023072762000005
GA-SX小麦粉を使用せず標準的な小麦粉のみ(発酵種用小麦粉組成物の全量に対して標準的な小麦粉が100質量%)で作製した発酵種を添加したパン(比較例1)では、発酵種を添加しないパン(参考例1)に比べて比容積が低下し、口溶けやソフトさは大差ないのに対し、GA-SX小麦粉の含有量が増すほどに比容積、つまりパンのボリュームが上昇し、口溶けやソフトさと言ったパンの食感も向上した。また製パン性についても同様の結果になった。特にGA-SX小麦粉そのもの(発酵種用小麦粉組成物の全量に対してGA-SX小麦粉が100質量%)の場合、最も良好なパンのボリューム、およびソフトな食感を有するパンが得られた。
表5-2 製パン結果
Figure 2023072762000006
表5-3 製パン結果
Figure 2023072762000007
発酵種用小麦粉組成物としてGA-SA小麦粉を使用した場合は、標準的な小麦粉(イーグル)を使用した場合と比較して比容積及び官能評価ともに優れており、GA-SA小麦粉を発酵種用小麦粉とした場合の有効性が示された。
パン類の製造に使用する小麦粉の全質量に対する発酵種に使用するGA-SA小麦粉の比率が増加するにつれて風味が増したが、発酵種に使用するGA-SA小麦粉の比率が30質量%を超えると製パン性が劣る傾向にあった。

Claims (8)

  1. GBSSI-A1の酵素活性を欠損しておらず、GBSSI-B1及びGBSSI-D1の酵素活性を欠損し、かつ、SSIIa-A1、SSIIa-B1及びSSIIa-D1のうちのいずれか2つの酵素活性を欠損したコムギの収穫物を製粉して得られた小麦粉(GA-SX小麦粉)を含有する、小麦粉からなる発酵種用小麦粉組成物。
  2. GA-SX小麦粉の含有率が25質量%以上である、請求項1に記載の発酵種用小麦粉組成物。
  3. GA-SX小麦粉が、GBSSI-A1の酵素活性を欠損しておらず、GBSSI-B1及びGBSSI-D1の酵素活性を欠損し、かつ、SSIIa-A1の酵素活性を欠損しておらず、SSIIa-B1及びSSIIa-D1の酵素活性を欠損したコムギの収穫物を製粉して得られた小麦粉(GA-SA小麦粉)である、請求項1又は2に記載の発酵種用小麦粉組成物。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の発酵種用小麦粉組成物を含む、発酵種。
  5. 請求項4に記載の発酵種を含む、パン類用生地。
  6. 請求項1~3のいずれか1項に記載の発酵種用小麦粉組成物を使用する、発酵種の製造方法。
  7. 請求項6に記載の方法で得られた発酵種を使用する、パン類用生地の製造方法。
  8. 請求項7に記載の方法で得られたパン類用生地を焼成する工程を含む、パン類の製造方法。
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