JP2023069448A - 正極及び非水電解質蓄電素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】非水電解質蓄電素子に用いたときに、その非水電解質蓄電素子が大きい電気容量と良好な出力性能とを発揮することができる正極、及びこのような正極を備える非水電解質蓄電素子を提供する。【解決手段】本発明の一態様に係る正極は、金属アルミニウムを含む正極基材、導電剤を含む中間層、及びリチウム遷移金属複合酸化物を含む正極活物質層をこの順に備え、上記リチウム遷移金属複合酸化物がニッケル元素を含有し、上記正極活物質層の単位面積当たりのニッケル元素含有量が1.1×10-4mol/cm2以上であり、上記正極活物質層の単位面積当たりの質量が0.017g/cm2以下である、非水電解質蓄電素子用の正極である。【選択図】図1

Description

本発明は、正極及び非水電解質蓄電素子に関する。
リチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池は、エネルギー密度の高さから、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器、自動車等に多用されている。上記非水電解質二次電池は、一般的には、セパレータで電気的に隔離された一対の電極を有する電極体、及び電極間に介在する非水電解質を備え、両電極間で電荷輸送イオンの受け渡しを行うことで充放電するよう構成される。また、二次電池以外の非水電解質蓄電素子として、リチウムイオンキャパシタや電気二重層キャパシタ等のキャパシタも広く普及している。
このような非水電解質蓄電素子の正極には、金属アルミニウム等の導電性の正極基材に、正極活物質を含む正極活物質層が積層されたものが広く用いられている。正極活物質としては、リチウム遷移金属複合酸化物等が公知であり、リチウムニッケル複合酸化物などのニッケル元素を含む正極活物質も採用されている(特許文献1参照)。
特開2017-107827号公報
非水電解質蓄電素子の電気容量を大きくするために、ニッケル元素含有割合の高い正極活物質を用いることが検討されている。しかし、ニッケル元素を含有する正極活物質を用いた場合、正極基材の金属アルミニウムを劣化させ、出力性能等の非水電解質蓄電素子性能が劣化する場合があることを発明者らは知見した。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、非水電解質蓄電素子に用いたときに、その非水電解質蓄電素子が大きい電気容量と良好な出力性能とを発揮することができる正極、及びこのような正極を備える非水電解質蓄電素子を提供することである。
本発明の一態様に係る正極は、金属アルミニウムを含む正極基材、導電剤を含む中間層、及びリチウム遷移金属複合酸化物を含む正極活物質層をこの順に備え、上記リチウム遷移金属複合酸化物がニッケル元素を含有し、上記正極活物質層の単位面積当たりのニッケル元素含有量が1.1×10-4mol/cm以上であり、上記正極活物質層の単位面積当たりの質量が0.017g/cm以下である、非水電解質蓄電素子用の正極である。
本発明の他の一態様に係る非水電解質蓄電素子は、本発明の一態様に係る正極を備える。
本発明の一態様に係る正極によれば、非水電解質蓄電素子に用いたときに、その非水電解質蓄電素子が大きい電気容量と良好な出力性能とを発揮することができる。
本発明の他の一態様に係る非水電解質蓄電素子は、大きい電気容量と良好な出力性能とを発揮することができる。
図1は、非水電解質蓄電素子の一実施形態を示す透視斜視図である。 図2は、非水電解質蓄電素子を複数個集合して構成した蓄電装置の一実施形態を示す概略図である。
初めに、本明細書によって開示される正極及び非水電解質蓄電素子の概要について説明する。
本発明の一態様に係る正極は、金属アルミニウムを含む正極基材、導電剤を含む中間層、及びリチウム遷移金属複合酸化物を含む正極活物質層をこの順に備え、上記リチウム遷移金属複合酸化物がニッケル元素を含有し、上記正極活物質層の単位面積当たりのニッケル元素含有量が1.1×10-4mol/cm以上であり、上記正極活物質層の単位面積当たりの質量が0.017g/cm以下である、非水電解質蓄電素子用の正極である。
当該正極によれば、非水電解質蓄電素子に用いたときに、その非水電解質蓄電素子が大きい電気容量と良好な出力性能とを発揮することができる。この理由は定かではないが、以下の理由が推測される。従来の非水電解質蓄電素子用の正極においては、ニッケル元素の含有割合の高い正極活物質を用いた場合、正極活物質に含まれるアルカリ成分の増加などにより、正極基材の金属アルミニウムが劣化する。具体的には、正極基材表面の金属アルミニウムが、アルカリ成分と反応して水酸化アルミニウムとなって導電性が低下し、正極基材の集電性能等が低下すると推測される。このため、従来の正極において正極活物質層の単位面積当たりのニッケル元素含有量を1.1×10-4mol/cm以上に大きくすると、初期の電気容量は大きくなるものの、正極基材の劣化により、出力性能が低下する。これに対し、本発明の一態様に係る正極においては、正極基材と正極活物質層との間に中間層を設けることで、正極活物質層から正極基材へのアルカリ成分の到達を抑制し、かつ正極活物質層の単位面積当たりの質量を0.017g/cm以下に抑えることで、正極基材の劣化が抑制される。また、本発明の一態様に係る正極においては、正極活物質層の単位面積当たりのニッケル元素含有量が1.1×10-4mol/cm以上であるため、電気容量も大きい。このようなことから、本発明の一態様に係る正極を用いることで、非水電解質蓄電素子が大きい電気容量と良好な出力性能とを発揮することができると推測される。
「正極活物質層の単位面積当たりのニッケル元素含有量(mol/cm)」は、以下の方法により求めることができる。測定対象の正極と、金属リチウム負極と、セパレータと、非水電解液とを用いて試験電池を組み立て、後述する「正極活物質層の単位面積当たりの放電容量」の測定と同様の方法により完全放電状態とする。再解体し、正極を取り出す。ジメチルカーボネートを用いて、取り出した正極に付着した成分(非水電解液等)を十分に洗浄し、室温にて24時間減圧乾燥後、所定面積の正極活物質層を採取し、このサンプルに含まれるニッケル元素の物質量(mol)を、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP)を用いて測定する。この測定されたニッケル元素の物質量(mol)を、測定に供したサンプルに対応する正極活物質層の面積(cm)で除した値を「正極活物質層の単位面積当たりのニッケル元素含有量(mol/cm)」とする。なお、正極基材の両面にそれぞれ正極活物質層が設けられている場合は、「正極活物質層の単位面積当たりのニッケル元素含有量(mol/cm)」は、一方の面における正極活物質層のニッケル元素含有量をいう。正極基材の一方の面にのみ正極活物質層が設けられている場合は、その一つの正極活物質層のニッケル元素含有量をいう。
「正極活物質層の単位面積当たりの質量(g/cm)」は、正極活物質層の質量(g)を、正極活物質層が積層されている面積(cm)で除した値である。なお、塗布により正極活物質層を形成する場合、「正極活物質層の単位面積当たりの質量(g/cm)」は、単位面積当たりの固形分換算の塗布質量である。また、正極基材の両面にそれぞれ正極活物質層が設けられている場合は、「正極活物質層の単位面積当たりの質量(g/cm)」は、一方の面における正極活物質層の質量をいう。正極基材の一方の面にのみ正極活物質層が設けられている場合は、その一つの正極活物質層の質量をいう。
本発明の一態様に係る正極においては、満充電状態における正極電位を4.23V vs.Li/Liとし、完全放電状態における正極電位を3.00V vs.Li/Liとしたときの上記正極活物質層の単位面積当たりの放電容量が3.00mAh/cm以上であることが好ましい。
この正極によれば、非水電解質蓄電素子の電気容量をより大きくすることができる。なお、上記放電容量の測定は、以下の方法により行うものとする。測定対象の正極と、金属リチウム負極と、セパレータと、非水電解液とを用いて試験電池を組み立てる。非水電解液としては、EC(エチレンカーボネート)、EMC(エチルメチルカーボネート)及びDMC(ジメチルカーボネート)を体積比率30:35:35で混合した非水溶媒にLiPFを1.2mol/dmの濃度で溶かして調製したものを用いる。組み立てた試験電池について、25℃において、充電電流1.00mA/cm、充電終止電圧4.23Vとして5時間の定電流充電を行い、満充電状態とする。20分の休止期間後、放電電流1.00mA/cm、放電終止電圧3.00Vとして定電流放電を行い、完全放電状態とする。このときの放電電気量を放電容量とする。なお、上記試験電池においては、負極として金属リチウム負極を用いているため、充電終止電圧及び放電終止電圧におけるリチウムの酸化還元電位に対する正極電位は、上記試験電池の充電終止電圧及び放電終止電圧に実質的に等しい。
上記中間層の単位面積当たりの質量が0.05g/m以上1g/m以下であることが好ましい。
このような正極によれば、正極が厚くなることを抑制しつつ、アルカリ成分に対する十分な遮断機能を発揮させ、出力性能をより高めることができる。なお、正極基材の両面にそれぞれ正極活物質層及び中間層が設けられている場合は、「中間層の単位面積当たりの質量(g/cm)」は、一方の面における中間層の質量をいう。正極基材の一方の面にのみ正極活物質層及び中間層が設けられている場合は、その一つの中間層の質量をいう。
上記リチウム遷移金属複合酸化物における遷移金属元素に占めるニッケル元素の含有割合が、50モル%以上であることが好ましい。
このような正極によれば、ニッケル元素の含有割合の高いリチウム遷移金属複合酸化物が用いられているため、電気容量をより高めることができる。
上記中間層に含まれる上記導電剤の平均粒径が40nm以下であることが好ましい。
このような正極によれば、中間層における導電剤同士の密着性が高まり、空隙が小さくなることなどにより、中間層の導電性やアルカリ成分に対する遮断機能等を高めることなどができる。
本発明の他の一態様に係る非水電解質蓄電素子は、本発明の一態様に係る正極を備える。
この非水電解質蓄電素子は、大きい電気容量と良好な出力性能とを発揮することができる。
本発明の一実施形態に係る正極、及び非水電解質蓄電素子等について詳述する。なお、各実施形態に用いられる各構成部材(各構成要素)の名称は、背景技術に用いられる各構成部材(各構成要素)の名称と異なる場合がある。
<正極>
本発明の一実施形態に係る正極は、正極基材と、中間層と、正極活物質層とをこの順に備える。中間層及び正極活物質層は、正極基材の両面にそれぞれ積層されていてもよいし、正極基材の一方の面にのみ積層されていてもよい。当該正極は、通常、これらの層を有する多層のシートであってよい。当該正極は、非水電解質二次電池等の非水電解質蓄電素子用の電極である。
(正極基材)
正極基材は、導電性を有する。「導電性」を有するとは、JIS-H-0505(1975年)に準拠して測定される体積抵抗率が10Ω・cm以下であることを意味し、「非導電性」とは、上記体積抵抗率が10Ω・cm超であることを意味する。
正極基材は、金属アルミニウムを含む。正極基材の材質は、通常、金属アルミニウム単体又はアルミニウム合金である。正極基材における金属アルミニウムの含有量としては、90質量%以上が好ましく、99質量%以上がより好ましく、実質的に100質量%であってもよい。正極基材には、金属アルミニウム以外の他の成分が含有されていてもよい。
正極基材は、膜状又は板状である。正極基材としては、箔、蒸着膜等が挙げられ、コストの観点から箔が好ましい。したがって、正極基材としてはアルミニウム箔又はアルミニウム合金箔が好ましい。金属アルミニウム単体又はアルミニウム合金としては、JIS-H-4000(2014年)又はJIS-H4160(2006年)に規定されるA1085、A3003、A1N30等が例示できる。
正極基材の平均厚さは、3μm以上50μm以下が好ましく、5μm以上40μm以下がより好ましく、8μm以上30μm以下がさらに好ましく、10μm以上25μm以下が特に好ましい。正極基材の平均厚さを上記の範囲とすることで、正極基材の強度を高めつつ、非水電解質蓄電素子の体積当たりのエネルギー密度を高めることができる。正極基材の「平均厚さ」とは、所定の面積の正極基材を打ち抜いた際の打ち抜き質量を、正極基材の真密度及び打ち抜き面積で除した値をいう。後述する「負極基材」の平均厚さについても、同様に定義される。
(中間層)
中間層は、正極基材と正極活物質層との間に配される層である。
中間層は、導電剤を含む。導電剤は、導電性を有する成分であり、通常、導電性を有する粒子である。当該正極においては、中間層を有することで、正極活物質層から正極基材表面へのアルカリ成分の到達を抑制し、正極基材の劣化を抑制することができるため、非水電解質蓄電素子が良好な出力性能を発揮することができる。また、中間層が導電剤を含むことで、正極基材と正極活物質層との接触抵抗が低減される。
導電剤は、導電性を有する材料であれば特に限定されない。このような導電剤としては、例えば炭素質材料、金属、導電性セラミックス等が挙げられる。炭素質材料としては、黒鉛、非黒鉛化炭素、グラフェン系炭素等が挙げられる。非黒鉛化炭素としては、カーボンナノファイバー、ピッチ系炭素繊維、カーボンブラック等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等が挙げられる。グラフェン系炭素としては、グラフェン、カーボンナノチューブ(CNT)、フラーレン等が挙げられる。導電剤の形状としては、粉状、繊維状等が挙げられる。導電剤としては、これらの材料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、これらの材料を複合化して用いてもよい。例えば、カーボンブラックとCNTとを複合化した材料を用いてもよい。これらの中でも、導電性及び塗工性の観点より、炭素質材料が好ましく、カーボンブラックがより好ましく、アセチレンブラックがさらに好ましい。
炭素質材料等の導電剤は、その表面が例えば無機酸化物(例えば金属酸化物)等の他の成分で被覆されていないことが好ましく、実質的に炭素質材料のみから構成されていることがより好ましい。炭素質材料は一般的に疎水性であり、一方、金属酸化物等は一般的に親水性である。疎水性の導電剤を用いることで、正極活物質層からアルカリ成分(例えばアルカリ成分を含む水分)が中間層に浸透して正極基材表面に到達することをより効果的に抑制することができる。そのため、アルカリ成分に対する十分な遮断機能をより確実に発揮させることができる。
導電剤の平均粒径は、例えば、1nm以上200nm以下が好ましく、10nm以上100nm以下がより好ましく、この上限は40nmがさらに好ましい。導電剤の平均粒径を上記範囲とすることで、導電性やアルカリ成分に対する遮断機能等をより高めることなどができる。「平均粒径」とは、JIS-Z-8825(2013年)に準拠し、粒子を溶媒で希釈した希釈液に対しレーザ回折・散乱法により測定した粒径分布に基づき、JIS-Z-8819-2(2001年)に準拠し計算される体積基準積算分布が50%となる値を意味する。以下、他の材料の平均粒径についても、同様に定義される。
中間層における導電剤の含有量は、10質量%以上80質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましく、25質量%以上40質量%以下がさらに好ましい。中間層における導電剤の含有量を上記範囲とすることで、導電剤同士又は他の層との密着性及び導電性等をバランスよく好適化することができ、非水電解質蓄電素子の出力性能等を高めることができる。また、正極活物質層からアルカリ成分(例えばアルカリ成分を含む水分)が中間層に浸透して正極基材表面に到達することを抑制でき、アルカリ成分に対する十分な遮断機能を発揮させ得る。
中間層は、導電剤の他、バインダをさらに含むことが好ましい。バインダとしては、例えばフッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル、ポリイミド等の熱可塑性樹脂;エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のエラストマー;多糖類高分子等を挙げることができる。中間層におけるバインダとしては、多糖類高分子が好ましい。多糖類高分子としては、キトサン、キチン、セルロース、これらの誘導体等を挙げることができ、これらの中でも、キトサン、キチン及びこれらの誘導体が好ましく、キトサン及びこの誘導体がより好ましい。キトサン誘導体としては、ヒドロキシエチルキトサン、ヒドロキシプロピルキトサン等のヒドロキシアルキルキトサン等が挙げられる。また、キトサン等の各誘導体は、耐久性等の観点から、サリチル酸、ピロメリット酸、クエン酸、トリメリット酸等の有機酸と反応させて得られる架橋構造を有するものも好適に用いることができる。
中間層におけるバインダの含有量は、20質量%以上80質量%以下が好ましく、50質量%以上75質量%以下がより好ましい。バインダの含有量を上記の範囲とすることで、導電剤を安定して保持し、良好な導電性を維持して発揮することなどができる。
中間層は、導電剤及びバインダ以外の他の成分をさらに含んでいてもよい。他の成分としては、非導電性のフィラー(例えば金属酸化物)等を挙げることができる。但し、中間層における導電剤及びバインダの合計含有量が、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましく、99質量%以上がよりさらに好ましい。中間層は、実質的に導電剤及びバインダのみから構成されていてもよい。ここに開示される技術は、中間層が導電剤及びバインダ以外の他の成分を含まない態様で好ましく実施され得る。中間層がこのような構成であることで、中間層が良好な導電性を発揮しつつ、疎水性の中間層となって、正極活物質層から正極基材へのアルカリ成分の到達を十分に低減させることができる。このため、このようにすることで、非水電解質蓄電素子の電気容量をより大きくし、出力性能をより高めることができる。
中間層の単位面積当たりの質量としては、0.05g/m以上1g/m以下が好ましく、0.1g/m以上0.5g/m以下がより好ましい。中間層の単位面積当たりの質量を上記範囲とすることで、正極が厚くなることを抑制しつつ、アルカリ成分に対する十分な遮断機能を発揮させることができる。
(正極活物質層)
正極活物質層は、正極活物質を含む。正極活物質層は、必要に応じて、導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。
正極活物質は、ニッケル元素を含有するリチウム遷移金属複合酸化物を含む。ニッケル元素を含有するリチウム遷移金属複合酸化物における遷移金属元素(Me)に占めるニッケル元素(Ni)の含有割合(Ni/Me)の下限としては、例えば30モル%であってもよいが、50モル%が好ましく、70モル%がより好ましく、80モル%がさらに好ましい。このような、ニッケル元素の含有割合の高いリチウム遷移金属複合酸化物を用いることで、電気容量を大きくすることができる。一方、このニッケル元素の含有割合(Ni/Me)の上限としては、例えば100モル%であってよく、90モル%であってもよい。上記ニッケル元素の含有割合(Ni/Me)は、上記いずれかの下限以上上記いずれかの上限以下であってよい。
ニッケル元素を含有するリチウム遷移金属複合酸化物は、マンガン元素及びコバルト元素の少なくとも一方をさらに含むことが好ましく、マンガン元素及びコバルト元素の双方をさらに含むことがより好ましい。ニッケル元素を含有するリチウム遷移金属複合酸化物における遷移金属元素(Me)に占めるマンガン元素(Mn)の含有割合(Mn/Me)としては、1モル%以上30モル%以下が好ましく、5モル%以上15モル%以下がより好ましい。ニッケル元素を含有するリチウム遷移金属複合酸化物における遷移金属元素(Me)に占めるコバルト元素(Co)の含有割合(Co/Me)としては、1モル%以上30モル%以下が好ましく、5モル%以上15モル%以下がより好ましい。
ニッケル元素を含有するリチウム遷移金属複合酸化物における遷移金属元素(Me)に対するリチウム元素(Li)の含有割合(Li/Me)としては、1以上1.5未満が好ましく、1であってもよい。
ニッケル元素を含むリチウム遷移金属複合酸化物としては、例えば層状のα-NaFeO型結晶構造を有するLi[LiNi(1-x)]O(0≦x≦0.5)、Li[LiNiαCo(1-x-α)]O(0≦x≦0.5、0<α<1、0<x+α<1)、Li[LiNiαMnβCo(1-x-α-β)]O(0≦x<0.5、0<α<1、0<β<1、0<x+α+β<1)等、スピネル型結晶構造を有するLiNiγMn(2-γ)等を挙げることができる。これらの材料は表面が他の材料で被覆されていてもよい。また、これら材料は1種単独で用いられていてもよく、2種以上が混合して用いられていてもよい。
これらの中でも、層状のα-NaFeO型結晶構造を有する化合物が好ましく、Li[LiNiαMnβCo(1-x-α-β)]O(0≦x<0.5、0<α<1、0<β<1、0<x+α+β<1)がより好ましい。このとき、0.7<α<0.9、0.05<β<0.2、及び0.05<1-x-α-β<0.2であることがより好ましい。
ニッケルを含有するリチウム遷移金属複合酸化物の具体例としては、例えばLiNi3/5Co1/5Mn1/5、LiNi1/2Co1/5Mn3/10、LiNi1/2Co3/10Mn1/5、LiNi8/10Co1/10Mn1/10等を挙げることができる。なお、上記リチウム遷移金属複合酸化物を示す化学式は、最初の充電処理(すなわち、正極、負極、電解質等の電池構成要素を組み立てた後に初めて行う充電処理)が行われる前の状態の組成又は上述した方法により完全放電状態とした状態の組成を示すものとする。
正極活物質層におけるニッケル元素を含有するリチウム遷移金属複合酸化物の含有量は、70質量%以上99質量%以下が好ましく、80質量%以上99質量%以下がより好ましく、90質量%以上98.5質量%以下がさらに好ましい。ニッケル元素を含有するリチウム遷移金属複合酸化物の含有量を上記の範囲とすることで、正極活物質層の高エネルギー密度化と製造性を両立できる。また、正極活物質層におけるニッケル元素を含有するリチウム遷移金属複合酸化物の含有割合が高い場合、アルカリ成分が増えること及び相対的にバインダの含有量が減ることなどにより、従来の正極であれば、正極活物質層の剥離が生じやすくなり、出力性能が低下しやすくなる傾向がある。そのため、正極活物質層におけるニッケル元素を含有するリチウム遷移金属複合酸化物の含有量が例えば92質量%以上、さらには94質量%以上である場合、本発明の利点がより効果的に奏される。いくつかの態様において、上記リチウム遷移金属複合酸化物の含有量は、95質量%以上であってもよく、98質量%以上であってもよい。
正極活物質層には、ニッケル元素を含有するリチウム遷移金属複合酸化物以外の他の正極活物質がさらに含まれていてもよい。このような他の正極活物質としては、ニッケル元素を含有しないリチウム遷移金属複合酸化物、ポリアニオン化合物、カルコゲン化合物、硫黄等、従来公知の正極活物質を挙げることができる。これらの材料は表面が他の材料で被覆されていてもよい。また、これら材料は1種が単独で用いられていてもよく、2種以上が混合して用いられていてもよい。
正極活物質に占めるニッケル元素を含有するリチウム遷移金属複合酸化物の含有量の下限としては、80質量%が好ましく90質量%がより好ましく、95質量%がさらに好ましく、99質量%がよりさらに好ましい。正極活物質は、実質的にニッケル元素を含有するリチウム遷移金属複合酸化物のみであってもよい。このように、正極活物質に占めるニッケル元素を含有するリチウム遷移金属複合酸化物の含有量を増やすことで、非水電解質蓄電素子の電気容量をより大きくすることができる。
正極活物質は、通常、粒子状である。正極活物質の平均粒径は、例えば、0.1μm以上20μm以下とすることが好ましい。正極活物質の平均粒径を上記下限以上とすることで、正極活物質の製造又は取り扱いが容易になる。正極活物質の平均粒径を上記上限以下とすることで、正極活物質層の導電性が向上する。なお、正極活物質と他の材料との複合体を用いる場合、該複合体の平均粒径を正極活物質の平均粒径とする。
粒子を所定の粒径で得るためには粉砕機や分級機等が用いられる。粉砕方法として、例えば、乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ジェットミル、カウンタージェットミル、旋回気流型ジェットミル又は篩等を用いる方法が挙げられる。粉砕時には水、あるいはヘキサン等の有機溶剤を共存させた湿式粉砕を用いることもできる。分級方法としては、篩や風力分級機等が、乾式、湿式ともに必要に応じて用いられる。
正極活物質層における正極活物質の含有量は、70質量%以上99質量%以下が好ましく、80質量%以上99質量%以下がより好ましく、90質量%以上98質量%以下がさらに好ましい。正極活物質の含有量を上記の範囲とすることで、正極活物質層の高エネルギー密度化と製造性を両立できる。
正極活物質層における導電剤としては、中間層における導電剤として例示したものと同様のものを挙げることができる。正極活物質層における導電剤の含有量は、0.2質量%以上10質量%以下が好ましく、0.5質量%以上8質量%以下がより好ましく、1質量%以上5質量%以下がさらに好ましい。正極活物質層における導電剤の含有量を上記の範囲とすることで、非水電解質蓄電素子のエネルギー密度を高めることができる。
正極活物質層におけるバインダとしては、中間層におけるバインダとして例示したものと同様のものを挙げることができる。正極活物質層におけるバインダの含有量は、0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、0.3質量%以上5質量%以下がより好ましい。正極活物質層におけるバインダの含有量を上記の範囲とすることで、正極活物質を安定して保持することができる。特に、正極活物質層におけるニッケル元素を含有するリチウム遷移金属複合酸化物の含有割合が高く、かつ相対的にバインダの含有割合が少ない場合、従来の正極であれば、正極活物質層の剥離が生じやすくなり、出力性能が低下しやすくなる傾向がある。そのため、正極活物質層におけるバインダの含有量が例えば2質量%以下、さらには1質量%以下である場合、本発明の利点がより効果的に奏される。
増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース等の多糖類高分子が挙げられる。増粘剤がリチウム等と反応する官能基を有する場合、予めメチル化等によりこの官能基を失活させてもよい。
フィラーとしては、例えばポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、二酸化ケイ素、アルミナ、二酸化チタン、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、アルミノケイ酸塩等の無機酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、炭酸カルシウム等の炭酸塩、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、硫酸バリウム等の難溶性のイオン結晶、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物、タルク、モンモリロナイト、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイト、マイカ等の鉱物資源由来物質又はこれらの人造物等が挙げられる。
正極活物質層は、B、N、P、F、Cl、Br、I等の典型非金属元素、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ga、Ge、Sn、Sr、Ba等の典型金属元素、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Zr、Nb、W等の遷移金属元素を正極活物質、導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー以外の成分として含有してもよい。
正極活物質層は、中和剤を実質的に含まないことが好ましい。この場合、通常、当該正極における正極活物質層は、アルカリ性である。正極活物質層から正極基材表面へのアルカリ成分の到達を抑制するためには、正極活物質層中に中和剤を含有させ、正極活物質層中のアルカリ成分含有量自体を低減させることも考えられる。しかし、中和剤を正極活物質に含有させた場合、中和剤が不純物となり、非水電解質蓄電素子の性能に影響を与える場合がある。すなわち、正極活物質層に中和剤を実質的に含有させないことで、非水電解質蓄電素子の出力性能をより高めることができる。正極活物質層における中和剤の含有量としては、1質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましく、0.01質量%以下(例えば0.001質量%以下)がさらに好ましい。なお、中和剤としては、クエン酸、マレイン酸等の有機酸が挙げられる。
正極活物質層の単位面積当たりのニッケル元素含有量の下限は、1.1×10-4mol/cmであり、1.2×10-4mol/cmが好ましく、1.25×10-4mol/cmがより好ましい場合もある。正極活物質層の単位面積当たりのニッケル元素含有量を上記下限以上とすることで、非水電解質蓄電素子の電気容量を大きくすることができる。正極活物質層の単位面積当たりのニッケル元素含有量の上限としては、例えば2×10-4mol/cmであり、1.6×10-4mol/cmであってもよく、1.4×10-4mol/cmであってもよく、1.3×10-4mol/cmであってもよい。正極活物質層の単位面積当たりのニッケル元素含有量は、上記いずれかの下限以上上記いずれかの上限以下であってよい。
正極活物質層の単位面積当たりの質量の上限は、0.017g/cmであり、0.0165g/cmが好ましい。正極活物質層の単位面積当たりの質量を上記上限以下とすることで、正極活物質層に含まれるアルカリ成分の正極基材への到達量を低減し、非水電解質蓄電素子の出力性能を高めることができる。いくつかの態様において、正極活物質層の単位面積当たりの質量は、0.0161g/cm以下であってもよく、0.0158g/cm以下であってもよい。正極活物質層の単位面積当たりの質量の下限としては、0.014g/cmが好ましく、0.015g/cmがより好ましく、0.0155g/cmがさらに好ましい。正極活物質層の単位面積当たりの質量を上記下限以上とすることで、非水電解質蓄電素子の電気容量をより大きくすることができる。正極活物質層の単位面積当たりの質量は、上記いずれかの下限以上上記いずれかの上限以下とすることができる。
当該正極における満充電状態における正極電位を4.23V vs.Li/Liとし、完全放電状態における正極電位を3.00V vs.Li/Liとしたときの正極活物質層の単位面積当たりの放電容量は特に限定されず、例えば2.5mAh/cm以上であってよいが、3.00mAh/cm以上であることが好ましく、3.05mAh/cm以上であることがより好ましい。このような場合、非水電解質蓄電素子の電気容量をより大きくすることができる。一方、この正極活物質層の単位面積当たりの放電容量は、例えば3.5mAh/cm以下であってよく、3.3mAh/cm以下であってもよく、3.2mAh/cm以下であってもよい。この正極活物質層の単位面積当たりの放電容量は、上記いずれかの下限以上上記いずれかの上限以下とすることができる。
<正極の製造方法>
本発明の一実施形態に係る正極は、例えば、正極基材の表面に中間層を形成すること、及び中間層の表面に正極活物質層を形成することを備える製造方法により得ることができる。
中間層の形成は、中間層を構成する各成分と分散媒とを含む中間層形成用ペーストの塗布及び乾燥により行うことができる。正極活物質層の形成は、正極活物質層を構成する各成分と分散媒とを含む正極活物質層形成用ペースト(正極合剤ペースト)の塗布及び乾燥により行うことができる。
中間層形成用ペースト及び正極活物質層形成用ペーストの塗布方法としては特に限定されず、ローラーコーティング、スクリーンコーティング、スピンコーティング等の公知の方法により行うことができる。なお、塗布及び乾燥後、公知の方法により、中間層及び正極活物質層を厚さ方向に押圧してもよい。
<非水電解質蓄電素子>
本発明の一実施形態に係る非水電解質蓄電素子(以下、単に「蓄電素子」ともいう。)は、正極と、負極と、非水電解質とを備える。正極及び負極は、通常、セパレータを介して積層又は巻回された電極体を形成する。この電極体は容器に収納され、この容器内に非水電解質が充填される。非水電解質は、正極と負極との間に介在する。非水電解質蓄電素子の一例として、非水電解質二次電池(以下、単に「二次電池」ともいう。)について説明する。
(正極)
正極は、上述した本発明の一実施形態に係る正極である。
(負極)
負極は、負極基材と、当該負極基材に直接又は中間層を介して配される負極活物質層とを有する。中間層の構成は特に限定されず、例えば上記正極で例示した構成から選択することができる。負極は、通常、これらの層を有する多層のシートであってよい。
負極基材は、導電性を有する。負極基材の材質としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼、アルミニウム等の金属又はこれらの合金が用いられる。これらの中でも銅又は銅合金が好ましい。負極基材としては、箔、蒸着膜等が挙げられ、コストの観点から箔が好ましい。したがって、負極基材としては銅箔又は銅合金箔が好ましい。銅箔の例としては、圧延銅箔、電解銅箔等が挙げられる。
負極基材の平均厚さは、2μm以上35μm以下が好ましく、3μm以上30μm以下がより好ましく、4μm以上25μm以下がさらに好ましく、5μm以上20μm以下が特に好ましい。負極基材の平均厚さを上記の範囲とすることで、負極基材の強度を高めつつ、二次電池の体積当たりのエネルギー密度を高めることができる。
負極活物質層は、負極活物質を含む。負極活物質層は、必要に応じて導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー等の任意成分は、上記正極で例示した材料から選択できる。
負極活物層は、B、N、P、F、Cl、Br、I等の典型非金属元素、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ga、Ge、Sn、Sr、Ba等の典型金属元素、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Zr、Ta、Hf、Nb、W等の遷移金属元素を負極活物質、導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー以外の成分として含有してもよい。
負極活物質としては、公知の負極活物質の中から適宜選択できる。リチウムイオン二次電池用の負極活物質としては、通常、リチウムイオンを吸蔵及び放出することができる材料が用いられる。負極活物質としては、例えば、金属Li;Si、Sn等の金属又は半金属;Si酸化物、Ti酸化物、Sn酸化物等の金属酸化物又は半金属酸化物;LiTi12、LiTiO2、TiNb等のチタン含有酸化物;ポリリン酸化合物;炭化ケイ素;黒鉛(グラファイト)、非黒鉛質炭素(易黒鉛化性炭素又は難黒鉛化性炭素)等の炭素材料等が挙げられる。これらの材料の中でも、黒鉛及び非黒鉛質炭素が好ましい。負極活物質層においては、これら材料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
「黒鉛」とは、充放電前又は放電状態において、X線回折法により決定される(002)面の平均格子面間隔(d002)が0.33nm以上0.34nm未満の炭素材料をいう。黒鉛としては、天然黒鉛、人造黒鉛が挙げられる。安定した物性の材料を入手できるという観点で、人造黒鉛が好ましい。
「非黒鉛質炭素」とは、充放電前又は放電状態においてX線回折法により決定される(002)面の平均格子面間隔(d002)が0.34nm以上0.42nm以下の炭素材料をいう。非黒鉛質炭素としては、難黒鉛化性炭素や、易黒鉛化性炭素が挙げられる。非黒鉛質炭素としては、例えば、樹脂由来の材料、石油ピッチまたは石油ピッチ由来の材料、石油コークスまたは石油コークス由来の材料、植物由来の材料、アルコール由来の材料等が挙げられる。
ここで、炭素材料の「放電状態」とは、負極活物質である炭素材料から、充放電に伴い吸蔵放出可能なリチウムイオンが十分に放出されるように放電された状態を意味する。例えば、負極活物質として炭素材料を含む負極を作用極として、金属リチウムを対極として用いた単極電池において、開回路電圧が0.7V以上である状態である。
「難黒鉛化性炭素」とは、上記d002が0.36nm以上0.42nm以下の炭素材料をいう。
「易黒鉛化性炭素」とは、上記d002が0.34nm以上0.36nm未満の炭素材料をいう。
負極活物質は、通常、粒子状である。負極活物質の平均粒径は、例えば、1μm以上100μm以下とすることができる。負極活物質が炭素材料、チタン含有酸化物又はポリリン酸化合物である場合、その平均粒径は、1μm以上100μm以下であってもよい。負極活物質が、Si、Sn、Si酸化物、又は、Sn酸化物等である場合、その平均粒径は、1nm以上1μm以下であってもよい。負極活物質の平均粒径を上記下限以上とすることで、負極活物質の製造又は取り扱いが容易になる。負極活物質の平均粒径を上記上限以下とすることで、負極活物質層の導電性が向上する。粒子を所定の粒径で得るためには粉砕機や分級機等が用いられる。粉砕方法及び粉級方法は、例えば、上記正極で例示した方法から選択できる。
負極活物質層における負極活物質の含有量は、60質量%以上99質量%以下が好ましく、90質量%以上98質量%以下がより好ましい。負極活物質の含有量を上記の範囲とすることで、負極活物質層の高エネルギー密度化と製造性を両立できる。
(セパレータ)
セパレータは、公知のセパレータの中から適宜選択できる。セパレータとして、例えば、基材層のみからなるセパレータ、基材層の一方の面又は双方の面に耐熱粒子とバインダとを含む耐熱層が形成されたセパレータ等を使用することができる。セパレータの基材層の形状としては、例えば織布、不織布、多孔質樹脂フィルム等が挙げられる。これらの形状の中でも、強度の観点から多孔質樹脂フィルムが好ましく、非水電解質の保液性の観点から不織布が好ましい。セパレータの基材層の材料としては、シャットダウン機能の観点から例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンが好ましく、耐酸化分解性の観点から例えばポリイミドやアラミド等が好ましい。セパレータの基材層として、これらの樹脂を複合した材料を用いてもよい。
耐熱層に含まれる耐熱粒子は、1気圧の空気雰囲気下で室温から500℃まで昇温したときの質量減少が5%以下であるものが好ましく、室温から800℃まで昇温したときの質量減少が5%以下であるものがさらに好ましい。質量減少が所定以下である材料として無機化合物が挙げられる。無機化合物として、例えば酸化鉄、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、アルミノケイ酸塩等の酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物;窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物;炭酸カルシウム等の炭酸塩;硫酸バリウム等の硫酸塩;フッ化カルシウム、フッ化バリウム、チタン酸バリウム等の難溶性のイオン結晶;シリコン、ダイヤモンド等の共有結合性結晶;タルク、モンモリロナイト、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイト、マイカ等の鉱物資源由来物質又はこれらの人造物等が挙げられる。無機化合物として、これらの物質の単体又は複合体を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらの無機化合物の中でも、非水電解質蓄電素子の安全性の観点から、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、又はアルミノケイ酸塩が好ましい。
セパレータの空孔率は、強度の観点から80体積%以下が好ましく、放電性能の観点から20体積%以上が好ましい。ここで、「空孔率」とは、体積基準の値であり、水銀ポロシメータでの測定値を意味する。
セパレータとして、ポリマーと非水電解質とで構成されるポリマーゲルを用いてもよい。ポリマーとして、例えばポリアクリロニトリル、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリメチルメタアクリレート、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。ポリマーゲルを用いると、漏液を抑制する効果がある。セパレータとして、上述したような多孔質樹脂フィルム又は不織布等とポリマーゲルとを併用してもよい。
(非水電解質)
非水電解質としては、公知の非水電解質の中から適宜選択できる。非水電解質には、非水電解液を用いてもよい。非水電解液は、非水溶媒と、この非水溶媒に溶解されている電解質塩とを含む。
非水溶媒としては、公知の非水溶媒の中から適宜選択できる。非水溶媒としては、環状カーボネート、鎖状カーボネート、カルボン酸エステル、リン酸エステル、スルホン酸エステル、エーテル、アミド、ニトリル等が挙げられる。非水溶媒として、これらの化合物に含まれる水素原子の一部がハロゲンに置換されたものを用いてもよい。
環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、クロロエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)、スチレンカーボネート、1-フェニルビニレンカーボネート、1,2-ジフェニルビニレンカーボネート等が挙げられる。これらの中でもECが好ましい。
鎖状カーボネートとしては、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジフェニルカーボネート、トリフルオロエチルメチルカーボネート、ビス(トリフルオロエチル)カーボネート等が挙げられる。これらの中でもEMCが好ましい。
非水溶媒として、環状カーボネート又は鎖状カーボネートを用いることが好ましく、環状カーボネートと鎖状カーボネートとを併用することがより好ましい。環状カーボネートを用いることで、電解質塩の解離を促進して非水電解液のイオン伝導度を向上させることができる。鎖状カーボネートを用いることで、非水電解液の粘度を低く抑えることができる。環状カーボネートと鎖状カーボネートとを併用する場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの体積比率(環状カーボネート:鎖状カーボネート)としては、例えば、5:95から50:50の範囲とすることが好ましい。
電解質塩としては、公知の電解質塩から適宜選択できる。電解質塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、オニウム塩等が挙げられる。これらの中でもリチウム塩が好ましい。
リチウム塩としては、LiPF、LiPO、LiBF、LiClO、LiN(SOF)等の無機リチウム塩、LiSOCF、LiN(SOCF、LiN(SO、LiN(SOCF)(SO)、LiC(SOCF、LiC(SO等のハロゲン化炭化水素基を有するリチウム塩等が挙げられる。これらの中でも、無機リチウム塩が好ましく、LiPFがより好ましい。
非水電解液における電解質塩の含有量は、20℃1気圧下において、0.1mol/dm以上2.5mol/dm以下が好ましく、0.3mol/dm以上2.0mol/dm以下がより好ましく、0.5mol/dm以上1.7mol/dm以下がさらに好ましく、0.7mol/dm以上1.5mol/dm以下が特に好ましい。電解質塩の含有量を上記の範囲とすることで、非水電解液のイオン伝導度を高めることができる。
非水電解液は、添加剤を含んでもよい。添加剤としては、例えばビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロヘキシルベンゼン、t-ブチルベンゼン、t-アミルベンゼン、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の芳香族化合物;2-フルオロビフェニル、o-シクロヘキシルフルオロベンゼン、p-シクロヘキシルフルオロベンゼン等の前記芳香族化合物の部分ハロゲン化物;2,4-ジフルオロアニソール、2,5-ジフルオロアニソール、2,6-ジフルオロアニソール、3,5-ジフルオロアニソール等のハロゲン化アニソール化合物;ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物;亜硫酸エチレン、亜硫酸プロピレン、亜硫酸ジメチル、硫酸ジメチル、硫酸エチレン、スルホラン、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシド、ジフェニルスルフィド、4,4’-ビス(2,2-ジオキソ-1,3,2-ジオキサチオラン)、4-メチルスルホニルオキシメチル-2,2-ジオキソ-1,3,2-ジオキサチオラン、チオアニソール、ジフェニルジスルフィド、ジピリジニウムジスルフィド、1,3-プロペンスルトン、1,3-プロパンスルトン、1,4-ブタンスルトン、1,4-ブテンスルトン、パーフルオロオクタン、ホウ酸トリストリメチルシリル、リン酸トリストリメチルシリル、チタン酸テトラキストリメチルシリル等が挙げられる。これら添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
非水電解液に含まれる添加剤の含有量は、非水電解液全体の質量に対して0.01質量%以上10質量%以下であると好ましく、0.1質量%以上7質量%以下であるとより好ましく、0.2質量%以上5質量%以下であるとさらに好ましく、0.3質量%以上3質量%以下であると特に好ましい。添加剤の含有量を上記の範囲とすることで、高温保存後の容量維持性能又はサイクル性能を向上させたり、安全性をより向上させたりすることができる。
非水電解質には、固体電解質を用いてもよく、非水電解液と固体電解質とを併用してもよい。
固体電解質としては、リチウム、ナトリウム、カルシウム等のイオンの伝導性を有し、常温(例えば15℃から25℃)において固体である任意の材料から選択できる。固体電解質としては、例えば、硫化物固体電解質、酸化物固体電解質、酸窒化物固体電解質、ポリマー固体電解質等が挙げられる。
硫化物固体電解質としては、例えばLiS-P、LiI-LiS-P、Li10Ge-P12等が挙げられる。
本実施形態の非水電解質蓄電素子の形状については特に限定されるものではなく、例えば、円筒型電池、角型電池、扁平型電池、コイン型電池、ボタン型電池等が挙げられる。
図1に角型電池の一例としての非水電解質蓄電素子1を示す。なお、同図は、容器内部を透視した図としている。セパレータを挟んで巻回された正極及び負極を有する電極体2が角型の容器3に収納される。正極は正極リード41を介して正極端子4と電気的に接続されている。負極は負極リード51を介して負極端子5と電気的に接続されている。
<蓄電装置>
本実施形態の非水電解質蓄電素子は、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)等の自動車用電源、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器用電源、又は電力貯蔵用電源等に、複数の非水電解質蓄電素子1を集合して構成した蓄電ユニット(バッテリーモジュール)として搭載することができる。この場合、蓄電ユニットに含まれる少なくとも一つの非水電解質蓄電素子に対して、本発明の技術が適用されていればよい。
図2に、電気的に接続された二以上の非水電解質蓄電素子1が集合した蓄電ユニット20をさらに集合した蓄電装置30の一例を示す。蓄電装置30は、二以上の非水電解質蓄電素子1を電気的に接続するバスバ(図示せず)、及び二以上の蓄電ユニット20を電気的に接続するバスバ(図示せず)を備えていてもよい。蓄電ユニット20又は蓄電装置30は、一以上の非水電解質蓄電素子の状態を監視する状態監視装置(図示せず)を備えていてもよい。
<非水電解質蓄電素子の製造方法>
本実施形態の非水電解質蓄電素子の製造方法は、公知の方法から適宜選択できる。当該製造方法は、例えば、電極体を準備することと、非水電解質を準備することと、電極体及び非水電解質を容器に収容することとを備える。電極体を準備することは、正極及び負極を準備することと、正極及び負極を、セパレータを介して積層又は巻回することにより電極体を形成することとを備える。非水電解質を容器に収容することは、公知の方法から適宜選択できる。例えば、非水電解質に非水電解液を用いる場合、容器に形成された注入口から非水電解液を注入した後、注入口を封止すればよい。
<その他の実施形態>
尚、本発明の非水電解質蓄電素子は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えてもよい。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成又は周知技術に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。また、ある実施形態の構成に対して周知技術を付加することができる。
上記実施形態では、非水電解質蓄電素子が充放電可能な非水電解質二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)として用いられる場合について説明したが、非水電解質蓄電素子の種類、形状、寸法、容量等は任意である。本発明は、種々の二次電池、電気二重層キャパシタ又はリチウムイオンキャパシタ等のキャパシタにも適用できる。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明する。本発明は以下の実施例に限定されない。
(正極の作製)
[実施例1]
正極基材としてのアルミニウム箔(平均厚さ15μm)の表面に、以下の要領で中間層を形成した。導電剤であるアセチレンブラック、及びバインダであるキトサンを30:70の質量比(固形分換算)で秤量した。これらと分散媒としての水とを混ぜ、中間層形成用ペーストを調製した。この中間層形成用ペーストをアルミニウム箔の片面に塗布した。その後、乾燥を行い、中間層を得た。
正極活物質であるLiNi8/10Co1/10Mn1/10、導電剤であるアセチレンブラック、及びバインダであるPVDFを96:3:1の質量比(固形分換算)で秤量した。これらと分散媒としてのNMP(N-メチルピロリドン)とを混ぜ、正極活物質層形成用ペーストを調製した。この正極活物質層形成用ペーストを中間層の表面に塗布し、乾燥することで分散媒を除去した。その後、ローラープレス機により加圧成形し、実施例1の正極を得た。
得られた正極における中間層の単位面積当たりの質量は0.5g/mであった。得られた正極における正極活物質層の単位面積当たりの質量は0.01617g/cmであり、正極活物質層の単位面積当たりのニッケル元素含有量は1.274×10-4mol/cmであった。
[実施例2]
正極活物質、導電剤及びバインダの質量比(固形分換算)を94:4:2とし、正極活物質層形成用ペーストの塗布量を変え、正極活物質層の単位面積当たりの質量を表1のとおりとしたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の正極を得た。
[実施例3]
正極活物質、導電剤及びバインダの質量比(固形分換算)を98:1:1とし、正極活物質層形成用ペーストの塗布量を変え、正極活物質層の単位面積当たりの質量を表1のとおりとしたこと以外は実施例1と同様にして、実施例3の正極を得た。
[比較例1]
中間層を設けずに、正極基材としてのアルミニウム箔上に直接正極活物質層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の正極を得た。
[比較例2]
正極活物質層形成用ペーストの調製の際、中和剤であるクエン酸をさらに添加したこと以外は比較例1と同様にして、比較例2の正極を得た。
[比較例3]
正極活物質層形成用ペーストの塗布量を変え、正極活物質層の単位面積当たりの質量を表1のとおりとしたこと以外は比較例1と同様にして、比較例3の正極を得た。
[比較例4]
正極活物質層形成用ペーストの塗布量を変え、正極活物質層の単位面積当たりの質量を表1のとおりとしたこと以外は実施例1と同様にして、比較例4の正極を得た。
[比較例5]
正極活物質としてLiNi3/5Co1/5Mn1/5を用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例5の正極を得た。
[比較例6]
正極活物質層形成用ペーストの塗布量を変え、正極活物質層の単位面積当たりの質量を表1のとおりとしたこと以外は比較例5と同様にして、比較例6の正極を得た。
[比較例7]
中間層を設けずに、正極基材としてのアルミニウム箔上に直接正極活物質層を形成したこと以外は比較例5と同様にして、比較例7の正極を得た。
実施例2から3及び比較例1から7の各正極の正極活物質層の単位面積当たりのニッケル元素含有量は、表1に示す通りであった。
(正極活物質層の単位面積当たりの放電容量)
実施例及び比較例で得られた各正極について、満充電状態における電位を4.23V vs.Li/Liとし、完全放電状態における正極電位を3.00V vs.Li/Liとしたときの正極活物質層の単位面積当たりの放電容量を上述した方法にて測定した。測定結果を表1に示す。
(非水電解質蓄電素子の作製)
[非水電解質蓄電素子用正極の作製]
上述した実施例及び比較例で得られた各正極と同様にして、正極基材としてのアルミニウム箔の両面に中間層及び正極活物質層を形成した実施例及び比較例の各非水電解質蓄電素子用正極を得た。
[非水電解質蓄電素子用負極の作製]
負極活物質である黒鉛、バインダであるSBR、及び増粘剤であるCMCを98:1:1の質量比(固形分換算)で秤量した。これらと分散媒としての水とを混ぜ、負極活物質層形成用ペーストを調製した。この負極活物質層形成用ペーストを、負極基材としての銅箔の両面に塗布し、乾燥することで分散媒を除去した。その後、ローラープレス機により加圧成形し、非水電解質蓄電素子用負極を得た。
[非水電解質蓄電素子の組み立て]
上記実施例及び比較例の各非水電解質蓄電素子用正極及び上記非水電解質蓄電素子用負極をポリエチレン製のセパレータを介して巻回し、正極と負極とが巻回された電極体を得た。また、EC及びEMCを体積比率30:70で混合した非水溶媒に、電解質塩であるLiPFを1.4mol/dmの濃度で溶かした非水電解質を調製した。上記電極体と非水電解質とを用いて実施例及び比較例の各非水電解質蓄電素子を作製した。
[初期容量]
実施例及び比較例の各非水電解質蓄電素子について、以下の方法により初期容量を測定した。25℃の恒温槽内で以下の試験を実施した。上限電圧4.15Vにて充電電流1mA/cmの定電流充電した後、4.15Vで定電圧充電を実施した。充電の終了条件は、充電開始から5時間とした。10分間の休止期間を設けた後、下限電圧2.75Vにて放電電流1mA/cmの定電流放電を実施し、この放電時の電気量を初期容量とした。初期容量の測定結果を表1に示す。なお、表1に示す初期容量の測定結果は、実施例1を100%とする相対値である。
(正極基材表面の白色化の有無)
別途同様の手順で作製した実施例及び比較例の各正極について、正極活物質層及び中間層を剥離し、正極基材表面の白色化の有無を目視にて確認した。なお、正極基材表面の白色化は、金属アルミニウムがアルカリ成分と反応して、水酸化アルミニウムが生成することにより起こると考えられる。白色化の有無の確認結果を表1に示す。
(出力性能)
実施例及び比較例の各非水電解質蓄電素子について、以下の方法により出力性能を測定した。上記の初期容量試験により1Cを定め、放電状態から、温度25℃において、充電電流0.5C、充電時間1時間にて定電流充電し、SOC(State of Charge)を50%に調整した。そして、温度25℃において、放電電流0.2C、0.5C及び1.0Cのそれぞれで10秒間の定電流放電を実施した。各放電後は0.5Cの電流で定電流充電を行い、放電電気量分を補充電し、SOCが50%から乖離しないようにした。得られた各電流における1秒目の電圧をプロットし、直線を得た。その傾きの値を直流抵抗DCRとし、また、切片を通電前電圧Voとして得た。そして、{(Vo-2.5)/DCR}×2.5の式によって、出力を算出した。出力の測定結果を表1に示す。なお、表1に示す出力の測定結果は、実施例1の出力を100%とする相対値である。
Figure 2023069448000002
表1に示すように、中間層を有さず、正極活物質層の単位面積当たりのニッケル元素含有量が多い正極を用いた比較例1は、金属アルミニウムを含む正極基材が白色化し、出力が低い。比較例1に対して、正極活物質層に中和剤を添加した正極を用いた比較例2は、正極基材の白色化は抑制されているものの、出力が低い。中間層を有さず、正極活物質層の単位面積当たりの質量が大きい正極を用いた比較例3、及び中間層を有するが、正極活物質層の単位面積当たりの質量が大きい正極を用いた比較例4、6は、いずれも初期容量は大きいが、出力は低い。正極活物質層の単位面積当たりのニッケル元素含有量が少ない正極を用いた比較例5、7は、初期容量が小さい。
上記各比較例に対し、中間層を有し、正極活物質層の単位面積当たりのニッケル元素含有量が1.1×10-4mol/cm以上であり、正極活物質層の単位面積当たりの質量が0.017g/cm以下である正極を用いた実施例1から3は、初期容量がいずれも97%以上で大きく、正極基材の白色化が抑制されており、かつ出力が100%以上の結果となった。以上の結果から、当該正極は、非水電解質蓄電素子に用いたときに、その非水電解質蓄電素子が大きい電気容量と良好な出力性能とを発揮することができることが示された。なお、例えば実施例1と比較例5、6との対比などから、正極基材の白色化の有無及び出力の高さは、正極活物質層の単位面積当たりのニッケル元素含有量と、正極活物質層の単位面積当たりの質量との双方が影響を与えていることがわかる。
1 非水電解質蓄電素子
2 電極体
3 容器
4 正極端子
41 正極リード
5 負極端子
51 負極リード
20 蓄電ユニット
30 蓄電装置

Claims (6)

  1. 金属アルミニウムを含む正極基材、導電剤を含む中間層、及びリチウム遷移金属複合酸化物を含む正極活物質層をこの順に備え、
    上記リチウム遷移金属複合酸化物がニッケル元素を含有し、
    上記正極活物質層の単位面積当たりのニッケル元素含有量が1.1×10-4mol/cm以上であり、
    上記正極活物質層の単位面積当たりの質量が0.017g/cm以下である、非水電解質蓄電素子用の正極。
  2. 満充電状態における正極電位を4.23V vs.Li/Liとし、完全放電状態における正極電位を3.00V vs.Li/Liとしたときの上記正極活物質層の単位面積当たりの放電容量が3.00mAh/cm以上である、請求項1の正極。
  3. 上記中間層の単位面積当たりの質量が0.05g/m以上1g/m以下である、請求項1又は請求項2の正極。
  4. 上記リチウム遷移金属複合酸化物における遷移金属元素に占めるニッケル元素の含有割合が、50モル%以上である、請求項1から請求項3のいずれか1項の正極。
  5. 上記中間層に含まれる上記導電剤の平均粒径が40nm以下である、請求項1から請求項4のいずれか1項の正極。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項の正極を備える非水電解質蓄電素子。
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