JP2023065272A - 制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】クラッチの係合ショックや動力伝達までのタイムラグを低減すること。【解決手段】制御装置1は、エンジン3の出力判定部53を有し、エンジン3の再始動に際し、クラッチ41を非係合状態で維持する待機ステップS1と、エンジン3の出力が所定の目標出力に到達したとの判定がなされることを条件として、クラッチ41において動力伝達可能となる直前と推定される当接状態となるようにクラッチ41の係合状態を切り替える当接ステップS2と、クラッチ41が当接状態よりも更に動力伝達可能と推定される係合状態になるまで、クラッチ41の係合度を第一の上昇率で上昇させる第一係合度上昇ステップS3と、弾性部材47が圧縮されて潰し切られた状態に遷移することを条件として、クラッチ41の係合度を第一の上昇率よりも高い第二の上昇率で上昇させる第二係合度上昇ステップS4とを含む複数のステップを経てクラッチ41の係合制御を行う。【選択図】図2
Description
本発明は、クラッチの係合制御を行う制御装置に関する。さらに詳しくは、本発明は、エンジンにおいて発生した動力が入力される変速機に設けられたクラッチの係合制御を行う制御装置に関する。
従来、エンジン始動時等に、クラッチ機構(単にクラッチとも称する)や無段変速機を制御する技術が提供されている(例えば、特許文献1)。例えば、特許文献1には、油圧式クラッチのピストンストローク時間を短縮するための技術が開示されている。特許文献1に記載の油圧制御装置は、クラッチ係合時において、供給油量を増大させる初期段階の急速充填時間を設定することにより、ピストンストローク時間を短縮するものとされている。また、特許文献1に記載の油圧制御装置は、スロットル開度や油温に基づいて、供給油量を制御することにより、急速充填時間を制御し、これにより、ピストンストローク時間を短縮するものとされている。
しかしながら、特許文献1に記載の油圧制御装置は、エンジンの回転数が低い領域においても急速充填制御(ガタ詰め制御とも称する)を実施することになるため、アイドリングストップを搭載するCVT(無段変速機)搭載車両に適用した場合、ベルト滑りが発生する問題がある。具体的には、特許文献1に記載の油圧制御装置は、アイドリングストップ後のエンジン再始動の際に、CVTのベルト挟圧に十分な油量が充填されていない状態で、トルク伝達が開始されるため、ベルト滑りが発生する問題がある。
また、特許文献1に記載の油圧制御装置は、前記ガタ詰め制御における油圧制御において、係合ショックと、動力伝達までのタイムラグとの両立が困難である問題がある。また、特許文献1に記載の油圧制御装置は、特にクラッチにおける精度ばらつきを考慮するのが困難な問題もある。
そこで、本発明は、クラッチの係合ショックや動力伝達までのタイムラグを低減することが可能な制御装置を提供することを目的とする。また、本発明は、アイドリングストップからの再始動に適したクラッチの係合制御を提供可能な制御装置を提供することを目的とする。
(1)上述した課題を解決すべく提供される本発明の制御装置は、エンジンにおいて発生した動力が入力される変速機に設けられたクラッチの係合制御を行う制御装置であって、 前記エンジンの出力を判定する出力判定部を有し、前記クラッチは、係合時における衝撃を緩和するための弾性部材を有しており、前記エンジンの再始動に際し、前記クラッチを非係合状態で維持する待機ステップと、前記出力判定部において前記エンジンの出力が所定の目標出力に到達したとの判定がなされることを条件として、前記クラッチにおいて動力伝達可能となる直前と推定される当接状態となるように前記クラッチの係合状態を切り替える当接ステップと、前記クラッチが前記当接状態よりも更に動力伝達可能と推定される係合状態になるまで、前記クラッチの係合度を第一の上昇率で段階的あるいは連続的に上昇させる第一係合度上昇ステップと、前記弾性部材が圧縮されて潰し切られた状態に遷移することを条件として、前記クラッチの係合度を前記第一の上昇率よりも高い第二の上昇率で段階的あるいは連続的に上昇させる第二係合度上昇ステップと、を含む複数のステップを経て、前記クラッチの係合制御を行うこと、を特徴とするものである。
上述した制御装置は、エンジン再始動の初期段階において、クラッチを非係合状態で維持する待機ステップを有している。ここで、待機ステップでは、クラッチの組み込みばらつき等を考慮して、クラッチが非係合状態で維持されるようにするとよい。待機ステップでは、ばらつきの最大値においてクラッチが当接しない(動力が伝達されない)係合度に安全率を乗じた値が、制御値(クラッチ指示圧とも称する)として設定される。そのため、上述した制御装置は、エンジンの回転数が低い領域で、変速機の油圧が上がり切る前に動力伝達が開始されることを抑制できる。
また、上述した制御装置は、出力判定部においてエンジンの出力が所定の目標出力に到達したとの判定がなされることを条件として、クラッチにおいて動力伝達可能となる直前と推定される当接状態となるように前記クラッチの係合状態を切り替える当接ステップを有している。従って、上述した制御装置は、エンジンの出力(例えば、エンジンの回転数)が上がった段階で、例えば、ガタ詰め制御を行うことができる。そのため、上述した制御装置は、変速機における油圧が十分に高まった状態で、変速機を制御することができる。これにより、上述した制御装置は、例えば、無段変速機におけるベルトの滑りを効果的に抑制できる。また、上述した制御装置は、エンジンの出力が所定の目標出力に到達したとの判定がなされることを条件として、当接ステップにおける制御を行うので、当接ステップにおける係合状態(クラッチにおいて動力伝達可能となる直前と推定される当接状態)に至るまで一気に係合を進行させることができる。そのため、タイムラグの発生が抑制される。
また、上述した制御装置は、クラッチが当接状態よりも更に動力伝達可能と推定される係合状態になるまで、前記クラッチの係合度を第一の上昇率で段階的あるいは連続的に上昇させる第一係合度上昇ステップを有している。従って、上述した制御装置は、クラッチが一気に係合することを抑制できるので、係合ショックを低減できる。
また、上述した制御装置は、弾性部材が圧縮されて潰し切られた状態に遷移することを条件として、前記クラッチの係合度を第一の上昇率よりも高い第二の上昇率で段階的あるいは連続的に上昇させる第二係合度上昇ステップを有している。従って、上述した制御装置は、第二係合度上昇ステップにおいて、クラッチが完全に係合する状態に至るまで、迅速に係合度を高めていくことができる。これにより、上述した制御装置は、クラッチの係合におけるタイムラグの発生を抑制すると共に、クラッチの係合が一気に進むことによる係合ショックを抑制することができる。このように、上述した制御装置は、クラッチの係合ショックの抑制と、動力伝達までのタイムラグの抑制との相反する問題を解決することができる。
(2)上述した本発明の制御装置は、前記目標出力が、前記エンジンの完爆した状態の出力であるとよい。
上述した制御装置は、かかる構成とすることにより、エンジンの完爆が起こる際に、当接ステップにおいてクラッチを当接状態とすることができる。すなわち、エンジンの完爆が起こる際にクラッチの係合を開始することができるので、例えば、無段変速機のベルトの挟圧が十分に確保されてから、クラッチによる動力の伝達を開始することができる。言い換えれば、無段変速機のベルトの挟圧が十分でないときに、クラッチによる動力の伝達が開始されることを抑制できる。これにより、上述した制御装置は、無段変速機におけるベルトの滑りを効果的に抑制できる。
(3)上述した本発明の制御装置は、前記クラッチが、油圧制御式クラッチであるとよい。
上述した本発明の制御装置は、油圧制御式クラッチに適正した精度の良い制御を行うことができる。
(4)上述した本発明の制御装置は、前記当接ステップにおける前記係合度の上昇率が、前記第二係合度上昇ステップにおける前記係合度の上昇率よりも大きいとよい。
上述した制御装置は、かかる構成とすることにより、当接ステップにおける係合状態(クラッチにおいて動力伝達可能となる直前と推定される当接状態)に至るまで一気に係合を進行させることができる。また、上述した制御装置は、第二係合度上昇ステップにおける係合度の上昇率により係合度を確実なものとすることができる。これらにより、上述した制御装置は、係合初期における当接ステップでの時間を短縮でき、第二係合度上昇ステップにおいて、係合完了までの時間を短縮できる。
(5)上述した本発明の制御装置は、前記再始動が、前記エンジンのアイドリングストップからの復帰と連動して行われるとよい。
上述した本発明の制御装置は、かかる構成とすることにより、アイドリングストップからの復帰におけるタイムラグの発生を抑制できる。これにより、アイドリングストップからの復帰が円滑に行われ、運転者が違和感なく運転操作に集中できる効果が期待できる。
(6)上述した本発明の制御装置は、前記クラッチが前記当接状態から係合が完了する状態に至る過程において、前記弾性部材が圧縮されて潰し切られた状態に遷移するとよい。
上述した制御装置は、かかる構成とすることにより、クラッチの係合時における衝撃を緩和することができ、係合後に確実に動力を伝達することができる。
(7)上述した本発明の制御装置は、前記クラッチの圧力を検出するクラッチ圧センサを有しており、前記クラッチの係合度が、前記クラッチ圧センサの出力値に基づいて判定されるとよい。
上述した制御装置は、かかる構成とすることにより、クラッチの係合に係る圧力が正確に取得できる。そのため、上述した制御装置は、クラッチの係合に係る圧力に基づいて、精度の良い制御を行うことができる。
(8)上述した本発明の制御装置は、前記変速機が、CVTであり、前記待機ステップにおいて、前記CVTにおける耐ベルト滑り性能を発揮できるまで待機するとよい。
上述した制御装置は、変速機がCVT(無段変速機とも称する)であり、変速のためのベルトを有するものとされている。また、上述した制御装置は、待機ステップにおいて、CVTにおける耐ベルト滑り性能を発揮できるまで待機するものとされている。従って、上述した制御装置は、CVTのベルトの挟圧が十分でないときに、クラッチによる動力の伝達が開始されることを抑制できる。これにより、上述した制御装置は、CVTにおけるベルトの滑りを効果的に抑制できる。そのため、上述した制御装置は、CVTのベルトへの負担を抑制することができ、CVTの耐久性向上効果の発揮が期待できる。
本発明は、クラッチの係合ショックや動力伝達までのタイムラグを低減することが可能な制御装置を提供することができる。また、本発明は、アイドリングストップからの再始動に適したクラッチの係合制御を提供可能な制御装置を提供することができる。
以下、本発明の実施形態に係る制御装置1について、図1~図5を参照しつつ説明する。なお、制御装置1の説明に先立って、制御装置1が設けられた車両2の概要について説明する。
図1に示すように、車両2には、制御装置1(図2参照)に加え、エンジン3、及び変速ユニット10が設けられている。なお、以下の説明では、動力源となるエンジン3からの入力方向(動力伝達方向)において、動力源(エンジン)から見た手前(前方)を単に「前方Fr」と、奥側(後方)を単に「後方Rr」と記載して説明する場合がある。
エンジン3には、エンジン3の燃焼室への吸気量を調整するためのスロットルバルブ4(図2参照)、燃料を吸入空気に噴射するインジェクタ(燃料噴射装置、図示せず)及び燃焼室内に電気放電を生じさせる点火プラグ(図示せず)などが設けられている。また、エンジン3には、その始動のためのスタータ(図示せず)が付随して設けられている。エンジン3の動力は、変速ユニット10を介して、デファレンシャルギヤ(図示せず)に伝達され、デファレンシャルギヤからドライブシャフト(図示せず)を介してそれぞれ左右の駆動輪(図示せず)に伝達される。
変速ユニット10は、走行用の駆動源としてのエンジン3が発生する動力を変速するユニットである。図1に示すように、変速ユニット10は、トルクコンバータ12、入力軸13、出力軸15、無段変速機20(CVT20)、リバース伝達機構30、前進クラッチ41(クラッチ装置40)、及び後進クラッチ49(クラッチ装置40)が設けられている。また、変速ユニット10には、タービン回転センサ60、プライマリプーリ回転センサ61、セカンダリプーリ回転センサ62等のセンサが設けられている(図2参照)。
トルクコンバータ12は、ポンプインペラ(図示せず)、タービンランナ(図示せず)及びロックアップ機構(ロックアップクラッチ)を備えている。ポンプインペラには、エンジン3の出力軸(E/G出力軸)が連結されており、E/G出力軸と同一の回転軸線を中心に一体的に回転可能となっている。タービンランナは、ポンプインペラと同一の回転軸線を中心に回転可能に設けられている。ロックアップ機構は、ポンプインペラとタービンランナとを直結/分離するために設けられている。ロックアップ機構が係合(ロックアップオン)されると、ポンプインペラとタービンランナとが直結され、ロックアップ機構が解放(ロックアップオフ)されると、ポンプインペラとタービンランナとが分離される。
入力軸13は、軸線がトルクコンバータの回転軸線と一致するように配置されている。また、入力軸13には、入力軸ギヤ14が一体に形成されている。入力軸13の前方Frの端部は、トルクコンバータ内に挿入されている。
出力軸15は、入力軸13に対して後方Rrに間隔を空けて配置されている。出力軸15は、軸線が入力軸13の軸線と沿うように配置されている。出力軸15には、出力軸ギヤ16が一体に形成されている。出力軸ギヤ16は、後述するセカンダリ出力ギヤ25と噛み合っている。
無段変速機20には、プライマリ軸21、セカンダリ軸23、プライマリプーリ26、セカンダリプーリ27、及びベルト28が設けられている。
プライマリ軸21には、プライマリ入力ギヤ22が相対回転可能に取り付けられている。プライマリ入力ギヤ22は、入力軸ギヤ14と噛み合っている。セカンダリ軸23には、セカンダリ入力ギヤ24、及びセカンダリ出力ギヤ25が取り付けられている。セカンダリ入力ギヤ24は、セカンダリ軸23に対して相対回転可能となっている。セカンダリ出力ギヤ25は、セカンダリ軸23に対して相対回転不能に取り付けられている。セカンダリ出力ギヤ25は、出力軸15に設けられた出力軸ギヤ16と噛み合っている。
無段変速機20は、プライマリプーリ26とセカンダリプーリ27との間に、ベルト28が掛け渡されている。無段変速機20では、プライマリプーリ26及びセカンダリプーリ27の各油圧室(図示せず)に供給される油圧が制御されて、プライマリプーリ26及びセカンダリプーリ27の各溝幅が変更されることにより、ベルト変速比(プライマリプーリ26とセカンダリプーリ27とのプーリ比)が一定の変速比範囲内で連続的に無段階で変更される。
リバース伝達機構30は、入力軸13の動力(回転)をセカンダリ入力ギヤ24に伝達する機構である。リバース伝達機構30には、リバースアイドラ軸31、第一リバースギヤ32、及び第二リバースギヤ33が設けられている。第一リバースギヤ32は、リバースアイドラ軸31と一体に形成されて、入力軸ギヤ14と噛み合っている。第二リバースギヤ33は、第一リバースギヤ32の後方Rrにおいて、リバースアイドラ軸31と一体に形成され、セカンダリ入力ギヤ24と噛み合っている。
前進クラッチ41(クラッチ装置40)は、プライマリ軸21に対するプライマリ入力ギヤ22の回転を許容/禁止するために設けられている。図3及び図4に示すように、前進クラッチ41は、クラッチドラム42、クラッチピストン43、摩擦材44、油圧室45、リターンスプリング46、クッショニング材47(弾性部材47とも称する)等を備えたクラッチ装置40を形成している。クラッチドラム42とクラッチピストン43との間には、油圧室45が形成されている。また、クラッチピストン43は、リターンスプリング46により、後方Rrに弾性的に付勢されている。油圧室45は、ソレノイド(図示せず)の出力値に応じて、油圧室45内へのオイルの供給を制御することができる。
図1に示すように、前進クラッチ41が係合した状態(係合状態)では、プライマリ軸21に対するプライマリ入力ギヤ22の相対回転が禁止される。言い方を換えれば、前進クラッチ41の係合により、プライマリ軸21とプライマリ入力ギヤ22とが、一体的に回転する。一方、前進クラッチ41が解放された状態(解放状態)では、プライマリ軸21に対するプライマリ入力ギヤ22の相対回転が許容される。そのため、プライマリ入力ギヤ22が回転しても、その回転がプライマリ軸21に伝達されない。
後進クラッチ49(クラッチ装置40)は、セカンダリ軸23に対するセカンダリ入力ギヤ24の回転を許容/禁止するために設けられている。後進クラッチ49は、前進クラッチ41と同様の構成を有しているため、詳細な説明を省略する。
後進クラッチ49が係合した状態(係合状態)では、セカンダリ軸23に対するセカンダリ入力ギヤ24の相対回転が禁止される。言い方を換えれば、後進クラッチ49の係合により、セカンダリ軸23とセカンダリ入力ギヤ24とが、一体的に回転する。一方、後進クラッチ49が解放された状態(解放状態)では、セカンダリ軸23に対するセカンダリ入力ギヤ24の相対回転が許容される。そのため、セカンダリ入力ギヤ24が回転しても、その回転がセカンダリ軸23に伝達されない。
以下の説明では、前進クラッチ41、及び後進クラッチ49を総称して、単に「クラッチ装置40」と記載して説明する場合がある。
なお、クラッチ装置40は、後述するクラッチ指示圧P(クラッチ装置40の油圧の目標値)によって油圧室に供給されるオイル量が制御されている。
<動力伝達経路について>
続いて、動力伝達経路について説明する。
続いて、動力伝達経路について説明する。
図1に示すように、車両2の前進時には、前進クラッチ41が係合し、後進クラッチ49が解放される。エンジン3からトルクコンバータ12を介して入力軸13に入力された動力は、前進クラッチ41の係合により、入力軸ギヤ14からプライマリ入力ギヤ22を介してプライマリ軸21に伝達される。一方、入力軸13に入力される動力が入力軸ギヤ14からセカンダリ入力ギヤ24に伝達されて、セカンダリ入力ギヤ24が回転しても、後進クラッチ49の解放により、セカンダリ入力ギヤ24がセカンダリ軸23(セカンダリ軸23)に対して空転し、セカンダリ軸23に動力が伝達されない。
プライマリ軸21に伝達された動力は、プライマリプーリ26とセカンダリプーリ27とのプーリ比に応じたベルト変速比で変速されて、セカンダリ軸23に伝達される。そして、セカンダリ軸23に伝達される動力は、セカンダリ出力ギヤ25から出力軸ギヤ16を介して出力軸15に伝達される。
車両2の後進時には、前進クラッチ41が解放されて、後進クラッチ49が係合される。エンジン3からトルクコンバータ12を介して入力軸13に入力された動力は、後進クラッチ49の係合により、入力軸ギヤ14からリバース伝達機構30及びセカンダリ入力ギヤ24を介してセカンダリ軸23に伝達される。このとき、セカンダリ軸23は、車両の前進時と逆方向に回転する。セカンダリ軸23に伝達された動力は、セカンダリ出力ギヤ25から出力軸ギヤ16を介して出力軸15に伝達される。
一方、入力軸13に入力された動力が入力軸ギヤ14からプライマリ入力ギヤ22に伝達されて、プライマリ入力ギヤ22が回転しても、前進クラッチ41の解放により、プライマリ入力ギヤ22がプライマリ軸21に対して空転し、プライマリ軸21に動力が伝達されない。
<制御装置、及びセンサについて>
続いて、図2を参照しつつ、制御装置1、及び制御装置1に接続された各センサについて説明する。
続いて、図2を参照しつつ、制御装置1、及び制御装置1に接続された各センサについて説明する。
制御装置1は、マイコンを含む構成の複数のECU(Electronic control unit:電子制御ユニット)を含んでいる。マイコンには、たとえば、ROMやフラッシュメモリなどの不揮発性メモリが内蔵されている。各ECUは、CAN(Controller area network)通信プロトコルによる双方向通信が可能に接続されている(図2参照)。
図2に示すように、複数のECUには、エンジン制御のためのエンジンECU50、及び変速制御のための変速機ECU51が含まれている。また複数のECUには、ブレーキ制御のためのブレーキECU(図示せず)、IDS(アイドリングストップ)制御のためのECU等が含まれる。エンジンECU50には、出力判定部52が接続されている。エンジンECU50や変速機ECU51には、制御に必要な各種センサが接続されている。
エンジンECU50は、各種センサの検出信号から取得した情報および/または他のECUから入力される種々の情報などに基づいて、エンジン3の始動、停止および出力調整のため、スロットルバルブ4、インジェクタ、点火プラグおよびスタータなどを制御する。また、エンジンECU50は、アイドリングストップの際のエンジン3の停止制御やアイドリングストップからの復帰の際のエンジン3の再始動制御を行うことができる。アイドリングストップからの復帰は、ブレーキの解除やアクセルの踏み込みを適宜のセンサで検知することにより開始される。
変速機ECU51には、タービン回転センサ60、プライマリプーリ回転センサ61、セカンダリプーリ回転センサ62、及びクラッチ圧センサ63等が接続されている。
タービン回転センサ60は、トルクコンバータ12(図1参照)のタービンランナの回転に同期したパルス信号を検出信号として出力する。そのパルス信号の周波数は、タービンランナの回転数に対応するので、変速機ECU51は、タービン回転センサ60から入力されるパルス信号の周波数をタービン回転数に換算する。タービンランナと入力軸13とは、一体に回転するので、タービン回転数は入力軸13の回転数と同じとなる。
プライマリプーリ回転センサ61は、プライマリプーリ26の回転に同期したパルス信号を検出信号として出力する。そのパルス信号の周波数は、プライマリプーリ26の回転数に対応するので、変速機ECU51は、プライマリプーリ回転センサ61から入力されるパルス信号の周波数をプライマリプーリ回転数に換算する。
セカンダリプーリ回転センサ62は、セカンダリプーリ27の回転に同期したパルス信号を検出信号として出力する。そのパルス信号の周波数は、セカンダリプーリ27の回転数に対応するので、変速機ECU51は、セカンダリプーリ回転センサ62から入力されるパルス信号の周波数をセカンダリプーリ回転数に換算する。
クラッチ圧センサ63は、クラッチ装置40における油圧室45の油圧に同期したパルス信号を検出信号として出力する。そのパルス信号の周波数に基づいて、クラッチ装置40の油圧が検出される。また、制御装置1は、クラッチ圧センサ63で検出される油圧の出力値に基づいて、クラッチ41が当接状態から動力伝達可能と推定される状態に遷移したことを(検知)判定できる。
変速機ECU51は、各種センサの検出信号から取得した情報および/または他のECUから入力される種々の情報などに基づいて、変速ユニット10の各部にオイルを供給するための油圧回路に含まれるバルブ(図示せず)を制御する。バルブには、前進クラッチ41や後進クラッチ49の油圧を制御するためのソレノイドバルブなどが含まれる。ソレノイドバルブには、電流値により出力油圧を制御可能なバルブ、たとえば、ノーマルオープンタイプのリニアソレノイドバルブが用いられている。ソレノイドバルブは、ソレノイドの出力値に応じて出力油圧が制御される。
<クラッチの動作について>
次に、図3及び図4を参照しつつ、前進クラッチ41の動作について、図3及び図4に基づいて、以下に説明する。なお、前進クラッチ41及び後進クラッチ49の構成は同様であるので、以下では前進クラッチ41を例として説明する。
次に、図3及び図4を参照しつつ、前進クラッチ41の動作について、図3及び図4に基づいて、以下に説明する。なお、前進クラッチ41及び後進クラッチ49の構成は同様であるので、以下では前進クラッチ41を例として説明する。
図3(a)に示すように、クッショニング材47は、クラッチピストン43と摩擦材44との間に配されており、クラッチピストン43と摩擦材44とが直接的に接触することを抑制している。図3(b)に示すように、クッショニング材47は、所定の弾性力を有しており、クラッチピストン43が摩擦材44に向けて進行する際に所定の弾性力でクラッチピストン43を後方Rr側に付勢する。これにより、クラッチピストン43が係合する際の、係合ショックの発生が抑制される。
図4(c)に示すように、油圧室45にオイルが供給されて油圧が上昇すると、クラッチピストン43が前方Frに移動して摩擦材44を、クッショニング材47を介して後方Rrから押圧する。また、クラッチピストン43は、クッショニング材47を押圧して圧縮することにより、クッショニング材47を弾性力に抗して潰し切ることができる。これにより、クラッチピストン43は、摩擦材44に対して動力を確実に伝達することができる。また、図4(d)に示すように、油圧室45の油圧がさらに上昇すると、クッショニング材47が完全に押し潰されて、摩擦材44が圧接され、前進クラッチ41が完全に係合する。一方、前進クラッチ41の係合状態から油圧が開放されると、リターンスプリング46の付勢力により、クラッチピストン43が後方Rrに移動し、摩擦材44の圧接が解除されて、前進クラッチ41が解放される。
<エンジン再始動時のクラッチ係合制御について>
次に、エンジン3の再始動時に係る前進クラッチ41の係合制御について説明する。なお、本実施形態では、例えば、アイドリングストップからエンジン3が再始動する場合を例として説明する。また、本実施形態では、エンジン3の再始動時において主となる車両前進時における前進クラッチ41(単に、クラッチ41とも称する)の係合制御について説明する。以下では、エンジン3の係合制御の説明に先立って、各文言の内容について説明する。
次に、エンジン3の再始動時に係る前進クラッチ41の係合制御について説明する。なお、本実施形態では、例えば、アイドリングストップからエンジン3が再始動する場合を例として説明する。また、本実施形態では、エンジン3の再始動時において主となる車両前進時における前進クラッチ41(単に、クラッチ41とも称する)の係合制御について説明する。以下では、エンジン3の係合制御の説明に先立って、各文言の内容について説明する。
「クラッチ指示圧P」とは、クラッチ41の油圧の目標値である。より具体的には、クラッチ指示圧Pは、クラッチ41に設けられた油圧室45の油圧の目標値となっている。
「タービン回転数」とは、タービン回転センサ60の検知により取得されたタービン回転数である。
「クラッチ係合度」とは、クラッチ41の係合の進行度合いである。本実施形態のクラッチ係合度は、上述したように、油圧(ソレノイドの出力)に応じたクラッチピストン43の進行に伴って、変化するものである。また、本実施形態では、クラッチ係合度は、上述のクラッチ指示圧Pに応じて変化するものとされている。なお、以下の説明において、クラッチ係合度は、単に係合度と称することがある。
「ガタ詰め制御」とは、クラッチ41においてガタを詰める(バックラッシュを詰める)ための制御とされており、本発明では、動力伝達可能となる直前と推定される当接直前状態となるようにクラッチ41の係合状態が切り替えられる制御とされている。
制御装置1は、エンジン始動時に、クラッチ指示圧Pに応じてスロットルバルブ4の開度を決定する。
続いて、エンジン始動時の制御について、図5を参照しつつ時系列的に説明する。図5は、クラッチ係合制御中のエンジン制御(スロットル制御)を時系列的に示すタイミングチャートである。
図5に示すように、エンジン停止時(アイドリングストップ時)にブレーキの踏み込みが解除されると、ブレーキ解除操作時(タイミングT1)から時間E1後のタイミングT2に至るまで、クラッチ41が非係合状態(待機ステップS1)で維持される。一方、エンジン3が再始動され、次第に出力が高められる。ここで、タイミングT2は、エンジン3における目標出力が、完爆した状態と推定される出力、あるいは、完爆した状態の出力とされている。前記目標出力は、出力判定部52によって判定することができる。
待機ステップS1では、クラッチ41を非係合状態に維持するためのクラッチ指示圧Pでクラッチ41の係合が制御される。ここで、待機ステップS1では、クラッチ41の組み込みばらつき等を考慮して、クラッチ41が非係合状態で維持される。また、待機ステップS1では、ばらつきの最大値においてクラッチ41が当接しない(動力が伝達されない)係合度に安全率を乗じた値が、クラッチ指示圧P(制御値とも称する)として設定される。待機ステップS1におけるクラッチ指示圧Pは、例えば、0(ゼロ)よりも大きく、後述する当接ステップS2におけるクラッチ指示圧P(クラッチ当接圧、設計下限値)よりも小さく設定される。これにより、クラッチ41が確実に非係合状態に保たれる。
また、待機ステップS1では、無段変速機20における耐ベルト滑り性能が発揮できるまでクラッチ41の係合が待機される。これにより、制御装置1は、無段変速機20のベルト28の挟圧が十分でないときに、クラッチ41による動力の伝達が開始されることを抑制でき、ベルト28の滑りを効果的に抑制できる。そのため、制御装置1は、ベルト28への負担を抑制することができ、無段変速機20の耐久性を向上できる。言い換えれば、制御装置1は、エンジン3の回転数が低い領域で、変速機の油圧が上がり切る前に動力伝達が開始されることを抑制できる。
出力判定部52においてエンジン3の出力が目標出力(完爆)に到達した(タイミングT2)との判定がなされると、これを条件として、クラッチ41において動力伝達可能となる直前と推定される当接状態となるようにクラッチ41の係合状態が切り替えられる(当接ステップS2)。当接ステップS2は、クラッチ41におけるクラッチピストン43が、油圧室45に供給されたオイルにより押圧されてクッショニング材47に当接した状態とされる(図3(b)参照)。そのため、クラッチ41のタービン回転の吹き上がりが抑制される。また、当接ステップS2では、タイミングT2からE2時間後のタイミングT3となるまで、最大のクラッチ指示圧Pで、クラッチピストン43が進行する。これにより、タービン回転のプライマリ軸21への引き込み(スイープ)が開始される。
このように、制御装置1は、エンジン3の出力(例えば、エンジンの回転数)が上がった段階で、例えば、ガタ詰め制御を行うことができる。そのため、制御装置1は、無段変速機20における油圧が十分に高まった状態で、無段変速機20を制御することができる。これにより、無段変速機20におけるベルト28の滑りが、効果的に抑制される。また、制御装置1は、エンジン3の出力が所定の目標出力に到達したとの判定がなされることを条件として、当接ステップS2における制御を行うので、当接ステップS2における係合状態(クラッチ41において動力伝達可能になると推定される当接状態)に至るまで一気に係合を進行させることができる。そのため、タイムラグの発生が抑制される。
当接ステップS2において、時間E2が経過し、タイミングT3となると、クラッチピストン43が、クッショニング材47への当接状態よりも更に動力伝達可能と推定される係合状態になるまで、クラッチ41の係合度が第一の上昇率で連続的に上昇させる制御が行われる(第一係合度上昇ステップS3)。
ここで、クラッチ41(クラッチピストン43)が、当接状態及び当接状態よりも更に動力伝達可能と推定される係合状態となったか否かは、クラッチ圧センサ63により検知することができる。すなわち、クラッチ41の係合に係る圧力が正確に取得できる。そのため、制御装置1は、クラッチ41の係合に係る圧力に基づいて、精度の良い制御を行うことができる。
なお、クラッチ41の係合度は、第一の上昇率で連続的に上昇するものだけではなく、第一の上昇率で段階的に上昇するものでもよい。第一係合度上昇ステップS3では、クッショニング材47がクラッチピストン43により圧縮されて潰し切られた状態に遷移する(図4(c)参照)。そのため、第一係合度上昇ステップS3では、クラッチ41の係合時における衝撃(係合ショックとも称する)が、クッショニング材47によって緩和される。すなわち、制御装置1は、クラッチ41が一気に係合することを抑制できるので、係合ショックを低減できる。
また、第一係合度上昇ステップS3では、クッショニング材47が圧縮されて潰し切られるので、係合後に動力が確実に伝達される。なお、上述した第一の上昇率は、クラッチ41において係合ショックが、発生しないような上昇率とすることが望ましい。
このように、第一係合度上昇ステップS3において、クラッチ係合度(クラッチ指示圧P)が高められてE3時間後のタイミングT4に到達し、クラッチ41の係合が完了する直前の状態(動力を確実に伝達可能と推定される状態)に到達する。また、これを条件として、クラッチ係合度を前記第一の上昇率よりも高い第二の上昇率で段階的あるいは連続的に上昇させる制御が行われる(第二係合度上昇ステップS4)。このとき、クラッチピストン43は、クッショニング材47に向けてさらに押し込まれる。すなわち、第二係合度上昇ステップS4では、クラッチ41が完全に係合する状態(係合が完了する状態)に至るまで、迅速にクラッチ係合度が高められる。これにより、制御装置1は、クラッチ41の係合におけるタイムラグの発生を抑制すると共に、クラッチ41の係合が一気に進むことによる係合ショックを抑制する制御を行うことができる。従って、制御装置1は、クラッチ41の係合ショックの抑制と、動力伝達までのタイムラグの抑制との相反する問題を解決することができる。
ここで、本実施形態では、当接ステップS2における係合度の上昇率が、第二係合度上昇ステップS4における係合度の上昇率よりも大きいものとされている。従って、制御装置1は、当接ステップS2における係合状態(クラッチ41において動力伝達可能になると推定される当接状態)に至るまで一気に係合を進行させる制御を行うことができる。また、制御装置1は、第二係合度上昇ステップS4における係合度の上昇率により係合度を確実なものとすることができる。これらにより、制御装置1は、係合初期における当接ステップS2での時間を短縮でき、第二係合度上昇ステップS4において、係合完了までの時間を短縮できる。なお、第二係合度上昇ステップS4では、タイミングT4からE4時間後のタイミングT5に至るまでの間で係合度が高められる。
タービン回転数は、クラッチ41の係合に伴って、クラッチ41のトルク伝達容量が上昇することにより、タービン回転数がピークから降下する。また、タービン回転数は、クラッチ41が完全に係合することにより、降下が停止し、プライマリプーリ26の回転数と一致する。
上述したように、制御装置1は、エンジン3の再始動が、アイドリングストップからの復帰と連動して行われるものとされている。従って、制御装置1は、アイドリングストップからの復帰におけるタイムラグの発生を抑制できる。これにより、アイドリングストップからの復帰が円滑に行われ、運転者が違和感なく運転操作に集中できる効果が期待できる。
以上が、本発明に係る制御装置1の実施形態であるが、本発明の制御装置1は、上述した実施形態に係るものに限定されるものではなく、様々な変形を行うことができる。
本実施形態では、前進クラッチ41について説明したが、本発明の制御装置1は、前進クラッチ41だけではなく、後進クラッチ49も含めた各種のクラッチ装置40に適用できる。また、出力判定部52は、エンジンECU50と別途に設けられるものだけではなく、エンジンECU50やその他のECUに含まれるものでもよい。また、本実施形態では、第一係合度上昇ステップS3及び第二係合度上昇ステップS4における係合度の上昇率が連続的(直線的)に変化するものを例示したが、係合度の上昇率は、段階的に変化するものや曲線的に変化するものなど各種の形態の上昇率を採用することができる。
本実施形態では、当接ステップS2を経た後、第一係合度上昇ステップS3及び第二係合度上昇ステップS4を経てクラッチ装置40の係合制御が行われるものとしているが、本発明の制御装置1は、これには限定されない。例えば、当接ステップS2を経た後、3段階以上の係合度上昇ステップが実行されたり、単一の係合度上昇ステップが実行されたりするものでもよい。また、第一係合度上昇ステップS3及び第二係合度上昇ステップS4における係合度の上昇率は、クラッチ装置40の構成や特性に応じて、適宜、上昇率を変更することができる。例えば、係合させる際の係合ショックが小さいクラッチ装置40の場合は、第一係合度上昇ステップS3における第一の上昇率を大きく設定すればよく、係合ショックが大きいクラッチ装置40の場合は、第一の上昇率を小さく設定すればよい。また、本実施形態では、当接ステップS2における係合度の上昇率が、第二係合度上昇ステップS4における係合度の上昇率よりも大きいものを例示したが、本発明の制御装置1は、これには限定されない。例えば、当接ステップS2における係合度の上昇率が、第二係合度上昇ステップS4における係合度の上昇率と同等のものや、当該係合度の上昇率を下回るものであってもよい。
本実施形態では、待機ステップS1において、非係合状態として、クラッチ装置40の構成部品のバラツキを考慮して算出するものを例示しているが、待機ステップS1は、エンジン3からの動力(トルク)が伝達されない条件であれば、各種のクラッチ指示圧Pに基づくものとすることができる。
本実施形態では、待機ステップS1から当接ステップS2に遷移させる際にエンジン3の目標出力が、完爆した状態の出力であることを判定の条件としているが、これには限定されず、目標出力は、各種の出力条件を設定することができる。前記目標出力による判定(完爆判定)は、例えば、エンジン回転数が所定の閾値以上となる条件、エンジン3の再始動後に所定時間以上経過する条件、無段変速機20におけるベルト28の挟圧が所定の閾値以上となる条件など、各種の条件に基づいて行うことができる。
本実施形態では、当接ステップS2において、クラッチ装置40におけるソレノイドの出力(クラッチ指示圧P、クラッチ係合度)を最大値に高めているが、これには限定されず、当接ステップS2におけるソレノイドの出力(クラッチ指示圧P)は、各種の出力値とすることができる。例えば、ソレノイドの出力は、クラッチ装置40の残圧の有無や残圧の高さに応じて出力値を可変のものとすることができる。また、前記の他、ソレノイドの出力は、例えば、クラッチ装置40の解放からの時間やタービン回転数、あるいは、入力軸の回転数などのクラッチ装置40の係合状態を考慮して、各種の出力値(電流値)を可変のものとすることができる。
本実施形態では、クラッチ装置40として油圧制御式クラッチを用いているが、これには限定されず、本発明の制御装置1は、各種方式のクラッチ装置40を用いることができる。例えば、クラッチ装置40が、電磁制御式クラッチであってもよい。
本実施形態では、エンジン3の再始動が、アイドリングストップからの復帰と連動して行われるものを例示したが、エンジン3の再始動は、アイドリングストップからの復帰だけではなく、各種の再始動条件を採用することができる。
本実施形態では、クラッチ装置40が、クッショニング材47により、係合ショックを低減するものとしたが、クッショニング材47に代えて各種の弾性部材を採用することができる。例えば、弾性部材47がバネで形成されていてもよい。また、本実施形態では、クッショニング材47が圧縮されて潰し切られた状態に遷移することを、第一係合度上昇ステップS3から第二係合度上昇ステップS4に切り替えるための判定条件としているが、本発明の制御装置1は、これには限定されない。前記判定条件は、係合度の上昇率を上げても係合ショックが出ないタイミングであれば、各種の条件を設定することができる。例えば、前記判定条件は、係合進行度合いが分かる時間やタービン回転数等に基づいて設定してもよい。
本実施形態では、クラッチ圧センサ63等のセンサに基づいて、各ステップ(S1~S4)が切り替えられているが、例えば、クラッチ指示圧P及びクラッチ係合度に基づく推定値によって、各ステップ(S1~S4)の切り替え判定が行われてもよい。また、本実施形態では、待機ステップS1において、無段変速機20における耐ベルト滑り性能を発揮できるまで待機するようにしているが、変速機の種類や形態に応じて、待機ステップS1での条件は、各種の設定を行うことができる。また、本実施形態では、無段変速機20を備えた車両2(CVT車)を一例として示したが、本発明の制御装置1は、CVT車以外にも、AT車などに採用してもよい。また、クラッチ装置40は、CVT車の前進クラッチ41及び後進クラッチ49に限定されず、AT車のクラッチ装置であってもよい。
以上が、本発明に係る制御装置の各種の実施形態や変形例であるが、本発明は上述した実施形態や変形例において例示したものに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲でその教示及び精神から他の実施形態があり得ることは当業者に容易に理解できよう。
本発明の制御装置は、エンジンを搭載する各種車両におけるクラッチの係合制御に利用することができる。
1 :制御装置
3 :エンジン
40 :クラッチ装置
41 :前進クラッチ(クラッチ、クラッチ装置)
52 :出力判定部
63 :クラッチ圧センサ
P :クラッチ指示圧
S1 :待機ステップ
S2 :当接ステップ
S3 :第一係合度上昇ステップ
S4 :第二係合度上昇ステップ
3 :エンジン
40 :クラッチ装置
41 :前進クラッチ(クラッチ、クラッチ装置)
52 :出力判定部
63 :クラッチ圧センサ
P :クラッチ指示圧
S1 :待機ステップ
S2 :当接ステップ
S3 :第一係合度上昇ステップ
S4 :第二係合度上昇ステップ
Claims (5)
- エンジンにおいて発生した動力が入力される変速機に設けられたクラッチの係合制御を行う制御装置であって、
前記エンジンの出力を判定する出力判定部を有し、
前記クラッチは、係合時における衝撃を緩和するための弾性部材を有しており、
前記エンジンの再始動に際し、
前記クラッチを非係合状態で維持する待機ステップと、
前記出力判定部において前記エンジンの出力が所定の目標出力に到達したとの判定がなされることを条件として、前記クラッチにおいて動力伝達可能となる直前と推定される当接状態となるように前記クラッチの係合状態を切り替える当接ステップと、
前記クラッチが前記当接状態よりも更に動力伝達可能と推定される係合状態になるまで、前記クラッチの係合度を第一の上昇率で段階的あるいは連続的に上昇させる第一係合度上昇ステップと、
前記弾性部材が圧縮されて潰し切られた状態に遷移することを条件として、前記クラッチの係合度を前記第一の上昇率よりも高い第二の上昇率で段階的あるいは連続的に上昇させる第二係合度上昇ステップと、
を含む複数のステップを経て、前記クラッチの係合制御を行うこと、を特徴とする制御装置。 - 前記目標出力が、前記エンジンの完爆した状態の出力であること、を特徴とする請求項1に記載の制御装置。
- 前記当接ステップにおける前記係合度の上昇率が、前記第二係合度上昇ステップにおける前記係合度の上昇率よりも大きいこと、を特徴とする請求項1又は2に記載の制御装置。
- 前記再始動が、前記エンジンのアイドリングストップからの復帰と連動して行われること、を特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の制御装置。
- 前記クラッチの圧力を検出するクラッチ圧センサを有しており、
前記クラッチの係合度が、前記クラッチ圧センサの出力値に基づいて判定されること、を特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021175985A JP2023065272A (ja) | 2021-10-27 | 2021-10-27 | 制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP2021175985A JP2023065272A (ja) | 2021-10-27 | 2021-10-27 | 制御装置 |
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Family
ID=86281923
Family Applications (1)
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JP2021175985A Pending JP2023065272A (ja) | 2021-10-27 | 2021-10-27 | 制御装置 |
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Country | Link |
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-
2021
- 2021-10-27 JP JP2021175985A patent/JP2023065272A/ja active Pending
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