JP6759684B2 - 車両駆動部の制御装置およびプログラム - Google Patents
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Description
特許文献1のエンジン始動制御装置は、アイドルストップ中にクランキングするための駆動要求があった場合にモータジェネレータが力行を開始し、エンジンの始動条件が成立した場合にはエンジンの燃料噴射を行ってエンジンを始動させる。アイドルストップ機能を有する車両では、アクセルを殆ど踏み込まない微速走行(クリープ)時にエンジンの燃料噴射を行わず、モータジェネレータの力行のみで走行させることで燃費を向上させることが可能である。
ここで、伝達機構とは、エンジン20の動力を駆動輪160側に断続する機構であって、例えばプラネタリギアユニット70が適用できる。また、電動機は、エンジン20を補助するものであって、例えばモータ30が適用できる。
図1は、本実施形態の車両100の一部の構成を示す図である。
車両100は、車両駆動部10、ディファレンシャルギア110、制御装置130、バッテリ150、駆動輪160等を備える。
車両駆動部10は、エンジン20、モータ30、自動変速装置40等を有し、いわゆるハイブリッド車両の駆動部として機能する。
モータ30は、エンジン20を補助して車両100を走行させる駆動源となる電動機の機能と、発電によりバッテリ150を充電する発電機の機能とを併せ持つモータジェネレータである。具体的には、モータ30は、車両100の微速走行時にはバッテリ150から供給される電力で駆動されることで力行運転を行う。一方、モータ30は、車両100を制動する場合には回生運転を行う。なお、図1に示すように、モータ30の出力は、モータプーリ31、ベルト32、および、クランクシャフトプーリ21を介してエンジン20のクランクシャフトに伝達される。
図2は、自動変速装置40の概略を示す模式図である。
自動変速装置40は、トルクコンバータ50、巻掛伝動式変速機60、プラネタリギアユニット70、終減速ギア機構90を有する。
巻掛伝動式変速機60は、ベルト接触径の変化により入力回転数と出力回転数の比である変速比を無段階に変化させる。巻掛伝動式変速機60は、プライマリプーリ61、セカンダリプーリ62、ベルト63を有する。プライマリプーリ61は、固定プーリ61aと、スライドプーリ61bとから構成される。スライドプーリ61bは、プライマリ油圧室64に導かれる油圧によりスライドする。セカンダリプーリ62は、固定プーリ62aと、スライドプーリ62bとから構成される。スライドプーリ62bは、セカンダリ油圧室65に導かれる油圧によりスライドする。巻掛伝動式変速機60により変速された動力は、セカンダリプーリシャフト66を介してプラネタリギアユニット70に出力される。
図3は、プラネタリギアユニット70の構成を示す模式図である。
プラネタリギアユニット70は、複数の伝達部材として、フロントサンギア71、第1ピニオン72a,72b、リアサンギア73、第2ピニオン74、共通キャリア75、リングギア76、ケース77を有する。フロントサンギア71は、セカンダリプーリシャフト66の回転に伴って回転し、第1ピニオン72aおよび第2ピニオン74と噛合する。第1ピニオン72bは、リングギア76と噛合する。第2ピニオン74は、リングギア76およびリアサンギア73と噛合する。共通キャリア75は、第1ピニオン72a、72bの公転および第2ピニオン74の公転に伴って回転することで、出力シャフト91を回転させる。また、プラネタリギアユニット70は、係合部材として、リアサンギア73をケース77に係合させるローブレーキ78、共通キャリア75とリングギア76とを係合させるハイクラッチ79、リングギア76をケース77に係合させるリバースブレーキ80を有する。
車両100のセレクトレバーが前進かつ高速に選択されている場合には、ハイクラッチ79に油圧が供給されることで、ハイクラッチ79が共通キャリア75とリングギア76とを係合する。したがって、セカンダリプーリシャフト66から、フロントサンギア71、第1ピニオン72a,72b、第2ピニオン74、および、共通キャリア75を介して出力シャフト91に回転数が同一のまま伝達される。このとき、セカンダリプーリシャフト66と出力シャフト91との回転方向は同一である。
車両100のセレクトレバーが後退に選択されている場合には、リバースブレーキ80に油圧が供給されることで、リバースブレーキ80がリングギア76をケース77に係合する。したがって、セカンダリプーリシャフト66から、フロントサンギア71、第1ピニオン72a,72b、および、共通キャリア75を介して出力シャフト91に伝達される。このとき、セカンダリプーリシャフト66と出力シャフト91との回転方向は逆転する。
なお、プラネタリギアユニット70の入力側および出力側では、それぞれ回転数を検出するセンサを有する。具体的には、入力側の回転数センサは、セカンダリプーリ62の回転数を検出するセカンダリプーリ回転数センサ85である。一方、出力側の回転数センサは、リダクションギア92の回転数を検出するリダクションギア回転数センサ86である。
ディファレンシャルギア110は、左右の駆動輪160にそれぞれ接続されている左右のドライブシャフトに対して状況に応じた回転数差を与えることで、車両100を円滑に走行させる。
ECU131は、エンジン20およびモータ30等を制御するコンピュータとして機能するエレクトロニックコントロールユニットである。ECU131は、CPU、メモリ、入力インタフェース、出力インタフェースを含んで構成される。ECU131は、CPUがメモリに記憶されたプログラムを実行することで、エンジン20およびモータ30等を制御する。
TCU132は、自動変速装置40を制御するコンピュータとして機能するトランスミッションコントロールユニットである。TCU132は、CPU、メモリ、入力インタフェース、出力インタフェースを含んで構成される。TCU132は、CPUがメモリに記憶されたプログラムを実行することで、自動変速装置40を制御する。
ECU131およびTCU132とは互いに通信可能である。
ECU131には、クランク角度センサ133、カム角度センサ134、アクセル開度センサ135、ブレーキペダルストロークセンサ136、バッテリ状態センサ137、セレクトレバーセンサ138、車速センサ139により検出された情報等が入力される。
ECU131は、アクセル開度センサ135により検出された情報等に基づいてインジェクタ140、点火プラグ141およびスロットルバルブ142等を制御してエンジン20を駆動させる。すなわち、ECU131は、エンジン20を制御するエンジン制御手段の一例に相当する。
また、ECU131は、アクセル開度センサ135、ブレーキペダルストロークセンサ136およびバッテリ状態センサ137により検出された情報等に基づいてモータ30を制御する。すなわち、ECU131は、モータ30を制御する電動機制御手段の一例に相当する。
なお、ECU131は、車速センサ139により検出された情報から車速を算出する。また、ECU131は、アクセル開度センサ135により検出された情報からアクセル開度を算出する。また、ECU131は、ブレーキペダルストロークセンサ136により検出された情報から、ブレーキペダルの操作および解放を判定する。また、ECU131は、バッテリ状態センサ137により検出された情報からバッテリ充電率を算出する。
TCU132は、アクセル開度センサ135およびセレクトレバーセンサ138により検出された情報等に基づいて、巻掛伝動式変速機60の変速比およびプラネタリギアユニット70内の伝達部材間の係合を、コントロールバルブユニット144を介して制御する。
また、TCU132は、セカンダリプーリ回転数センサ85、リダクションギア回転数センサ86により検出された情報等に基づいてプラネタリギアユニット70内の伝達部材間の係合状態を判定する。
図5のフローチャートは、ECU131およびTCU132それぞれのCPUがメモリに格納されたプログラムを実行して、ECU131とTCU132とが互いに通信することで実現する。
図6のタイムチャートは、上からエンジン回転数(rpm)、モータ電流(A)、メイン油圧(MPa)、クラッチ係合率(%)、車速(km/h)、アクセル開度(%)、燃料噴射ON/OFF、アイドルストップ実施/中止、気筒判別完了/未完了を示している。また、横軸が時間を示している。
S13では、ECU131は燃料噴射を開始する準備ができたか否かを判定する。具体的には、ECU131は、クランク角度センサ133およびカム角度センサ134により検出された情報に基づいて各気筒が吸気行程、圧縮行程、膨張行程および排気行程の何れであるかの気筒判別を実施する。気筒判別することでECU131は何れの気筒に燃料噴射すればよいかを把握でき、即時にエンジン20に燃料噴射して再始動できる状態となる。図6では、時間t2のタイミングで気筒判別を完了したことを示している。
図6では、モータ30の目標回転数は時間t2から漸増し、所定の目標回転数Bから一定になっていることを示している。また、図6では、モータの目標回転数が漸増することに応じて実線で示すエンジン回転数も漸増するが、モータの目標回転数が一定になったにも関わらずエンジン回転数が上昇する。この上昇は、エンジン20の駆動分がエンジン回転数に加えられたためである。なお、目標回転数Bは、微速走行時においてモータ30のみでエンジン20を駆動するときの後述する目標回転数Cよりも回転数を加算した回転数である。
通常、微速走行時のモータ30の回転数は小さいために、ローブレーキ78がケース77とリアサンギア73とを十分に係合させるのに必要な油圧を得るまで時間を要する。一方、本実施形態では、モータ30の回転数を高く設定している上に、エンジン20が駆動している分だけ短時間でエンジン回転数が上昇する。したがって、自動変速装置40内でリークした分のオイルを吐出させて、必要な油圧を短時間に得ることができることから、迅速に係合率が閾値以上に到達する。
ECU131は係合率が閾値以上である旨の情報を受信した場合には目標回転数を加算した状態を解除する条件を満たしたと判定してS18に進む。一方、ECU131は係合率が閾値未満である旨の情報を受信した場合には目標回転数を加算した状態を解除する条件を満たしていないと判定してS15に戻り、係合率が閾値以上になるまで処理を繰り返す。図6では、閾値となる係合率Eを破線で示している。また、図6では、時間t3のタイミングで係合率が閾値以上になったことを示している。
また、本実施形態によれば、ECU131は、プラネタリギアユニット70内の伝達部材間を係合するための油圧が確保された場合に、インジェクタ140による燃料噴射を停止する。したがって、燃費の向上を図ることができる。
上述した実施形態では、伝達機構がプラネタリギアユニット70である場合について説明したが、この場合に限られず、アイドルストップの自動停止によって伝達部材間を係合するための油圧が低下してしまう伝達機構であれば同様に適用することができる。
また、例えば、ECU131は自動変速装置40内のメイン油圧が上昇を開始してからの経過時間が、判定時間を経過することをトリガーとして、燃料噴射の停止、および、モータ30の回転数の漸減を行ってもよい。
上述した実施形態では、プラネタリギアユニット70は、巻掛伝動式変速機60の後段(動力の流れの下流側)に配置する場合について説明したが、この場合に限られない。例えば、プラネタリギアユニット70は、巻掛伝動式変速機60の前段(動力の流れの上流側)かつトルクコンバータ50の後段に配置してもよい。
上述した実施形態では、エンジン20がガソリンエンジンを前提として説明したが、この場合に限られず、ディーゼルエンジン等であってもよい。
なお、本発明には、上述したプログラムおよびそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体が含まれる。
Claims (4)
- エンジンと、
前記エンジンの動力を駆動輪側に伝達する伝達機構と、
前記エンジンのクランクシャフトによって動作して、前記伝達機構内の伝達部材間を係合するための油圧を生成する機械式のオイルポンプと、
前記エンジンの前記クランクシャフトを回転させる電動機と、を備える車両駆動部の制御装置であって、
所定条件に応じて前記エンジンの自動停止および再始動を制御するエンジン制御手段を有し、
前記エンジン制御手段によって前記エンジンが自動停止された状態からブレーキペダルが解放されたときに、前記電動機を作動させて前記エンジンの再始動を行い、前記伝達部材間の係合率が所定係合率となるまで前記電動機と前記エンジンの駆動を継続することを特徴とする車両駆動部の制御装置。 - 前記伝達部材間の係合率が所定係合率となるまで、前記車両の微速走行時における前記電動機の回転数よりも高くした状態で前記電動機を駆動する電動機制御手段を有することを特徴とする請求項1に記載の車両駆動部の制御装置。
- 前記エンジン制御手段は、
前記伝達部材間の係合率が所定係合率となった場合であって、アクセル開度が所定開度未満の場合には、燃料噴射を停止することを特徴とする請求項1または2に記載の車両駆動部の制御装置。 - エンジンと、
前記エンジンの動力を駆動輪側に伝達する伝達機構と、
前記エンジンのクランクシャフトの回転によって動作して、前記伝達機構内の伝達部材間を係合するための油圧を生成する機械式のオイルポンプと、
前記エンジンの前記クランクシャフトを回転させる電動機と、を備える車両駆動部を制御するためのプログラムであって、
所定条件に応じて前記エンジンの自動停止および再始動を制御するエンジン制御ステップと、
前記エンジン制御ステップによって前記エンジンが自動停止された状態からブレーキペダルが解放されたときに、前記電動機を作動させて前記エンジンの再始動を行い、前記伝達部材間の係合率が所定係合率となるまで前記電動機と前記エンジンの駆動を継続する制御ステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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