JP2023064925A - シートクッション - Google Patents
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Abstract
【課題】クッション長の変化に応じてクッションカバーを適切に追従動作させることが可能なシートクッションを提供すること。
【解決手段】着座面の前後方向の長さを調節することが可能なクッション長可変機構40を備えるシートクッション1であり、クッションカバー30の縫い代部33とクッション後部2との間に架け渡される引込み部材50と、クッション前部3に設けられる押込み部材12Aと、を有する。押込み部材12Aは、クッション前部3がクッション後部2に接近する動作により引込み部材50に押し付け力を作用させ、引込み部材50を介してクッションカバー30をクッション前部3とクッション後部2との隙間Tに引き込む。
【選択図】図6
【解決手段】着座面の前後方向の長さを調節することが可能なクッション長可変機構40を備えるシートクッション1であり、クッションカバー30の縫い代部33とクッション後部2との間に架け渡される引込み部材50と、クッション前部3に設けられる押込み部材12Aと、を有する。押込み部材12Aは、クッション前部3がクッション後部2に接近する動作により引込み部材50に押し付け力を作用させ、引込み部材50を介してクッションカバー30をクッション前部3とクッション後部2との隙間Tに引き込む。
【選択図】図6
Description
本発明は、シートクッションに関する。詳しくは、着座面の前後方向の長さを調節することが可能なクッション長可変機構を備えるシートクッションに関する。
特許文献1には、着座面の前後方向の長さを調節することが可能なクッション長可変機構を備えるシートクッションが開示されている。クッション長可変機構は、シートクッションの前部を後部に対して前後方向にスライド可能に連結し、前部のスライドにより後部との間の全体長さを調節する構成とされる。
シートクッションの前部と後部とに跨ってクッションカバーが被せられる場合、クッションカバーをクッション長の変化に応じて適切に張り広げたり折り畳んだりできるようにする工夫が必要となる。そこで、本発明は、クッション長の変化に応じてクッションカバーを適切に追従動作させることが可能なシートクッションを提供する。
上記課題を解決する手段として、本発明のシートクッションは、次の手段をとる。すなわち、シートクッションは、着座面の前後方向の長さを調節することが可能なクッション長可変機構を備える。また、シートクッションは、着座面の後部を成すクッション後部を有する。また、シートクッションは、着座面の前部を成し、クッション長可変機構によりクッション後部に対して前後方向に接近離間するように動作するクッション前部を有する。また、シートクッションは、クッション前部とクッション後部とに跨って被せられる表皮材としてのクッションカバーを有する。
また、シートクッションは、クッションカバーのカバー裏面部とクッション前部及びクッション後部のうちの一方との間に架け渡される引込み部材を有する。また、シートクッションは、クッション前部及びクッション後部のうちの他方に設けられる押込み部材を有する。押込み部材は、クッション前部がクッション後部に接近する動作により引込み部材に押し付け力を作用させ、引込み部材を介してクッションカバーをクッション前部とクッション後部との隙間に引き込む。
上記構成によれば、クッション前部がクッション後部に接近する動作により、押込み部材が引込み部材に押し込まれて、クッションカバーが上記隙間内に引き込まれる。それにより、上記接近動作に伴って隙間の間で弛まされるクッションカバーの架橋部分が、上向きに撓むことなく下向きに撓んで、隙間内に適切に折り畳まれる。また、クッション前部がクッション後部から前方に離間する動作により、押込み部材の引込み部材に対する押し込みが緩和又は解除される。それにより、クッションカバーの架橋部分が、上記離間動作に伴って、押込み部材につかえることなく、隙間の大きさに合わせて適切に広げられる。このように、クッションカバーをクッション長の変化に応じて適切に追従動作させることができる。
また、本発明のシートクッションは、更に次のように構成されていても良い。引込み部材の上記一方に対する取り付けが、上記一方のフレームを成す一方フレームへの取り付けとされる。
上記構成によれば、引込み部材をパッド材等の撓みやすい部材に取り付ける場合と比べて、上記一方に対して強く位置固定した状態に取り付けることができる。したがって、押込み部材が押し込まれた際の引込み部材の引き込み量をより適切にコントロールすることができ、クッションカバーの引き込みをより適切に行うことができる。
また、本発明のシートクッションは、更に次のように構成されていても良い。押込み部材が、上記他方のフレームを成す他方フレームに固定されるフレーム材から成る。
上記構成によれば、押込み部材をパッド材等の撓みやすい部材に設ける場合と比べて、上記他方に対して強く位置固定した状態に設けることができる。したがって、押込み部材によって引込み部材を押し込む量をより適切にコントロールすることができ、クッションカバーの引き込みをより適切に行うことができる。
また、本発明のシートクッションは、更に次のように構成されていても良い。引込み部材が、クッション前部がクッション後部から最も離間する最大離間位置でも、クッションカバーに隙間へと引き込むテンションを作用させる。
上記構成によれば、クッションカバーの架橋部分を常に張った状態にすることができる。なお、引込み部材がクッション前部の最大離間位置においてクッションカバーに引き込みのテンションを掛ける状態としては、引込み部材が押込み部材によって押し込まれている状態と、引込み部材が押込み部材からの押し込みを受けない状態でもクッションカバーに引き込みのテンションを掛ける状態と、が挙げられる。
また、本発明のシートクッションは、更に次のように構成されていても良い。引込み部材が、押込み部材が押し付けられることで折れ曲がり状に撓む可撓部を備える。
上記構成によれば、引込み部材が押込み部材の押し付けにより撓むことで、引込み部材が撓まない構成と比べて、クッションカバーを常に押込み部材の近くで下方へと引き込むことができるようになる。したがって、クッションカバーを、クッション前部の接近離間する位置に応じてより適切に隙間内に引き込むことができる。
また、本発明のシートクッションは、更に次のように構成されていても良い。引込み部材が、カバー裏面部に沿ってシート幅方向に連続的に延びる形に縫合される第1引込み部と、第1引込み部に形成されたシート幅方向に筒状に延びる筒状部に通されるワイヤと、ワイヤのシート幅方向の一部と上記一方との間に架け渡される第2引込み部と、を有し、第2引込み部に押込み部材が押し付けられる。
上記構成によれば、押込み部材が引込み部材のシート幅方向の一部に設けられる第2引込み部に押し付けられることで、ワイヤを介して第1引込み部のシート幅方向の広い範囲に亘って引込み力が掛けられる。したがって、押込み部材を用いた引込み部材の引込み構造の合理化を図ることができる。
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。
《第1の実施形態》
(シートクッション1の概略構成)
始めに、本発明の第1の実施形態に係るシートクッション1の構成について、図1~図7を用いて説明する。なお、以下の説明において、前後上下左右等の各方向を示す場合には、各図中に示されたそれぞれの方向を指すものとする。また、以下の説明において、具体的な参照図を示さない場合、或いは参照図に該当する符号がない場合には、図1~図7のいずれかの図を適宜参照するものとする。
(シートクッション1の概略構成)
始めに、本発明の第1の実施形態に係るシートクッション1の構成について、図1~図7を用いて説明する。なお、以下の説明において、前後上下左右等の各方向を示す場合には、各図中に示されたそれぞれの方向を指すものとする。また、以下の説明において、具体的な参照図を示さない場合、或いは参照図に該当する符号がない場合には、図1~図7のいずれかの図を適宜参照するものとする。
図1に示すように、本実施形態に係るシートクッション1は、自動車のシートの着座部として構成される。上記シートは、着座者の背凭れ部となる図示しないシートバックと、上記シートクッション1と、を備える。
シートクッション1は、その骨格を成す金属製のクッションフレーム10と、クッションフレーム10の上部に組み付けられて着座者の尻部及び大腿部を下方から弾性的に支持する発泡ウレタン製のクッションパッド20と、を有する。また、シートクッション1は、上記クッションフレーム10上のクッションパッド20に上方から被せられてシートクッション1の表面全体を覆う合成皮革製のクッションカバー30を有する。
また、シートクッション1は、その着座面の前後方向の長さであるクッション長を調節することが可能な電動式のクッション長可変機構40を備える。クッション長可変機構40は、シートクッション1の着座面の後部を成すクッション後部2に対し、着座面の前部を成すクッション前部3を前後方向に接近離間させることでクッション長を変化させる構成とされる。
また、シートクッション1は、クッション前部3とクッション後部2との間に跨って上方から被せられているクッションカバー30の架橋部分30Aに下方に引き込むテンションを作用させる引込み部材50を有する。引込み部材50は、クッション長可変機構40によりクッション前部3がクッション後部2に対して前後方向に接近離間する動作に合わせて、これらの間に跨るクッションカバー30の架橋部分30Aを適切に張り広げたり折り畳んだりできるようにコントロールする部材とされる(図2~図7参照)。ここで、クッション後部2が、本発明の「一方」に相当する。また、クッション前部3が、本発明の「他方」に相当する。
(シートクッション1の各部の構成)
以下、シートクッション1の各部の具体的な構成について説明する。図4~図7に示すように、クッションフレーム10は、クッション後部2の骨格を成す後部フレーム11と、クッション前部3の骨格を成す前部フレーム12と、を有する。後部フレーム11は、詳細な図示は省略されているが、クッション後部2の周縁に沿って延びる平面視枠形状に組まれた構成とされる。
以下、シートクッション1の各部の具体的な構成について説明する。図4~図7に示すように、クッションフレーム10は、クッション後部2の骨格を成す後部フレーム11と、クッション前部3の骨格を成す前部フレーム12と、を有する。後部フレーム11は、詳細な図示は省略されているが、クッション後部2の周縁に沿って延びる平面視枠形状に組まれた構成とされる。
後部フレーム11の枠前部は、高さ方向にパネル面を向けるフロントパネル11Aにより構成される。上記フロントパネル11Aにより、その上部に設けられるクッションパッド20の後部パッド21が下方から面状に広く支持され、当該領域上に圧し掛かる着座者の大腿部が下方から広く面状に支持される。
図5~図7に示すように、フロントパネル11Aの上面には、その左右2箇所の対称位置に、引掛ワイヤ11Cがそれぞれ溶着されている。これら引掛ワイヤ11Cには、後述する引込み部材50を構成する対応する各第2引込み部53の筒状部53Aの下端部分が通されて引掛けられる。各引掛ワイヤ11Cは、それぞれ、下角部が開口する開いた枠形状に折り曲げられた構成とされる。ここで、後部フレーム11が、本発明の「一方フレーム」に相当する。
各引掛ワイヤ11Cは、それぞれ、前傾向きに傾けられた姿勢で、それらの枠下部がフロントパネル11Aの上面に溶着されている。各引掛ワイヤ11Cは、それらの下角部の開口から、引込み部材50の対応する各第2引込み部53の筒状部53Aの下端部分が通されて、それらの枠上部に通された状態にセットされる。それにより、各引掛ワイヤ11Cは、これらに通された対応する各第2引込み部53の筒状部53Aを、それらの枠上部を支点に前後方向に揺動可能なように支持する。
図5に示すように、前部フレーム12は、クッション前部3の周縁に沿って延びる平面視U字形状に組まれた構成とされる。前部フレーム12のU字の前辺部は、側面視逆L字状に折り曲げられたパネル材から成る可動パネル12Aにより構成される。
可動パネル12Aは、その高さ方向にパネル面を向ける天板部により、その上部に設けられるクッションパッド20の前部パッド22(図6参照)を下方から面状に広く支持する。それにより、当該領域上に圧し掛かる着座者の大腿部が下方から広く面状に支持される。
図5に示すように、上記可動パネル12Aの左右2箇所の対称位置には、それぞれ、後方に向かってストレート状に延び出るガイドパイプ12Bが溶着されている。これらガイドパイプ12Bは、それぞれ、丸パイプ材から成り、前部フレーム12のU字の左右の各辺部を成す。
各ガイドパイプ12Bは、それぞれ、フロントパネル11Aの左右両縁部に形成された対応する角筒状の各ガイドレール11B内に前方から挿通された状態にセットされる。それにより、各ガイドパイプ12Bは、対応する各ガイドレール11Bに沿って前後方向にのみスライド可能となるように支持される。上記組み付けにより、前部フレーム12が、後部フレーム11に対して、前後方向にのみスライド可能となる状態に組み付けられている。
上記前部フレーム12の後部フレーム11に対する前後方向のスライドの可動範囲は、これらの間に設けられた図示しないスライド方向の当接構造により、図6に示す最大接近位置と、図7に示す最大離間位置と、の間の範囲に規制されている。前部フレーム12は、後述するクッション長可変機構40の駆動により、後部フレーム11に対して、前後方向に接近離間するように動かされたり任意の位置でブレーキ力を掛けられた状態に止められたりするようになっている。
図5に示すように、可動パネル12Aの天板部の左右2箇所の対称位置には、それぞれ、天板部の後縁から後斜め下方に折れ曲がり状に延び出る押込み部12Cが形成されている。これら押込み部12Cは、上述した引込み部材50の各第2引込み部53の正面位置にそれぞれ形成されている。
これら押込み部12Cは、図6に示すように、前部フレーム12が後部フレーム11に向かって後方に接近する移動に伴って、引込み部材50の対応する各第2引込み部53に前方から押し付けられる。それにより、各押込み部12Cは、引込み部材50の対応する各第2引込み部53の押圧部分を、それぞれ、後方に向かって折れ曲がり状に押し撓ませながら下方へと引き込む。
この引き込みにより、クッションカバー30の架橋部分30Aが、前部パッド22と後部パッド21との間の狭い隙間T内に引き込まれて側面視V字状に折り畳まれる。ここで、各第2引込み部53が、本発明の「可撓部」に相当する。また、各押込み部12Cを備える可動パネル12Aが、本発明の「押込み部材」に相当する。
各押込み部12Cは、図6に示すように、前部フレーム12が後部フレーム11に対して最も接近する最大接近位置に移動した状態では、各引掛ワイヤ11Cを後方に越える位置まで移動する。各押込み部12Cは、上記位置への移動に伴い、引込み部材50の対応する各第2引込み部53に対する押圧位置を徐々に変化させていく。しかし、各押込み部12Cは、可動パネル12Aの天板部から後斜め下方に折れ曲がり状に延びる形状とされることにより、前部フレーム12が図6に示す最大接近位置まで移動した状態においても、後述する引込み部材50のワイヤ52や第1引込み部51とは当接せず、対応する各第2引込み部53とのみ当接した状態をとるようになっている。
また、各押込み部12Cは、図7に示すように、前部フレーム12が後部フレーム11から前方へ離間する移動に伴って、引込み部材50の対応する各第2引込み部53から前方に引き離される。それにより、引込み部材50の各第2引込み部53が、対応する各押込み部12Cによる押し込み状態からそれぞれ解放されて、クッションカバー30の架橋部分30Aに作用させる引き込み力を緩和させる。それにより、クッションカバー30の架橋部分30Aが、前部パッド22と後部パッド21との間の広い隙間Tに亘って面一状に張り広げられる。
クッションパッド20は、上述したクッションフレーム10の後部フレーム11上に組み付く後部パッド21と、前部フレーム12上に組み付く前部パッド22と、に2分割された構成とされる。これら後部パッド21と前部パッド22とは、後部フレーム11と前部フレーム12とにそれぞれ組み付けられた後、これらに跨ってクッションカバー30が上方から被せられる。そして、後部パッド21と前部パッド22とは、上記被せられたクッションカバー30の前後左右の各周縁部が後部フレーム11と前部フレーム12とに止着されることにより、これらに対して個別に位置固定された状態に保持される。
クッションカバー30は、後部パッド21上に被せられる後部カバー31と、前部パッド22上に被せられる前部カバー32と、をひと繋ぎ状に有する1枚のカバー構造から成る。上記後部カバー31と前部カバー32とは、互いの縁部同士が縫い合わされることにより、1枚に繋ぎ合わされている。上記後部カバー31と前部カバー32との縁部同士が縫い合わされる縫い代部33は、これらのカバー裏側(図示下側)に出っ張る形に縫製されている。
上記縫い代部33は、図7に示すように、クッション前部3がクッション後部2から前方に最も離間する最大離間位置に移動した状態において、これらの間の隙間T上に位置するように形成されている。すなわち、クッションカバー30の後部カバー31は、クッション前部3が最大離間位置に移動した状態において、後部パッド21から前方へ延び出る延出部分(架橋部分30A)を有する構成とされる。
また、前部カバー32は、クッション前部3が最大離間位置に移動した状態において、前部パッド22から後方へ延び出る延出部分(架橋部分30A)を有する構成とされる。クッションカバー30は、クッション前部3がクッション後部2に向かって後方に接近する移動に伴って、上記縫い代部33に縫合された引込み部材50によって、上記隙間T内にV字状に折り畳まれる形に引き込まれる。ここで、縫い代部33が、本発明の「カバー裏面部」に相当する。
図5に示すように、クッション長可変機構40は、フロントパネル11Aの下部に固定されたモータ41と、モータ41の回転出力部に動力伝達可能なように連結されてモータ41から前方に延び出す送りねじ42と、を有する。送りねじ42は、その前端が、可動パネル12Aに連結されている。
クッション長可変機構40は、シートクッション1の車幅方向の外側部に設けられた不図示の電動スイッチが操作されることにより、モータ41が対応する操作方向に回転駆動される。それにより、送りねじ42が対応する操作方向に回転駆動されて、モータ41に対して前後方向に移動する。それにより、送りねじ42の前端に連結された可動パネル12Aが、フロントパネル11Aに対して前後方向に接近離間するように動かされる。
(引込み部材50)
図5に示すように、引込み部材50は、シート幅方向に延びる帯状の綿布から成る第1引込み部51と、引込み部の下端部に沿ってシート幅方向に延びる形に通された金属製のワイヤ52と、を有する。また、引込み部材50は、上記ワイヤ52の左右2箇所の対称位置と、前述したフロントパネル11A上に設けられた対応する各引掛ワイヤ11Cと、の間に架け渡された縦長帯状の綿布から成る左右一対の第2引込み部53を有する。第1引込み部51及び各第2引込み部53は、それぞれ、クッションカバー30よりも伸張性の低い綿布により形成されている。
図5に示すように、引込み部材50は、シート幅方向に延びる帯状の綿布から成る第1引込み部51と、引込み部の下端部に沿ってシート幅方向に延びる形に通された金属製のワイヤ52と、を有する。また、引込み部材50は、上記ワイヤ52の左右2箇所の対称位置と、前述したフロントパネル11A上に設けられた対応する各引掛ワイヤ11Cと、の間に架け渡された縦長帯状の綿布から成る左右一対の第2引込み部53を有する。第1引込み部51及び各第2引込み部53は、それぞれ、クッションカバー30よりも伸張性の低い綿布により形成されている。
第1引込み部51は、後部カバー31と前部カバー32との縫い代部33に沿ってシート幅方向に連続的に延びる形に縫合されている。具体的には、第1引込み部51は、側面視がU字状となる形に折り返されて、その両端が縫い代部33に縫合されている。それにより、第1引込み部51は、シート幅方向に筒状に延びる筒状部51Aを有する形に形成されている。
ワイヤ52は、第1引込み部51の筒状部51A内にシート幅方向に通された状態に設けられる。詳しくは、ワイヤ52は、上記筒状部51Aにおけるシート幅方向の全域に亘って通された状態に設けられている。上記組み付けにより、ワイヤ52は、第1引込み部51の下部の左右2箇所の対称位置に形成された各開口51Bから露出した状態に設けられる。
各第2引込み部53は、それぞれ、全体がシート幅方向に筒状に延びる形に縫製された筒状部53Aを有する形に形成されている。各第2引込み部53は、それらの筒状部53Aの上端部分が、上記第1引込み部51の各開口51B内において、第1引込み部51の筒状部51A内に通されるワイヤ52がこれらの内部にも通されることで、ワイヤ52を介して第1引込み部51と繋がった状態に組み付けられる。また、各第2引込み部53は、それらの筒状部53Aの下端部分が、上述したフロントパネル11A上に設けられた各引掛ワイヤ11Cに通されることで、各引掛ワイヤ11Cを介してフロントパネル11Aと繋がった状態に組み付けられる。
上記組み付けにより、引込み部材50は、クッションカバー30の架橋部分30Aの裏側の縫い代部33とフロントパネル11Aとの間に架け渡された状態に設けられる。上記引込み部材50は、図7に示すように、クッション前部3が前方に最も離間した状態では、前述した各押込み部12Cによる押し込みを受けず、クッションカバー30の縫い代部33とフロントパネル11Aの各引掛ワイヤ11Cとの間に真っ直ぐ張られた姿勢状態をとる。
すなわち、引込み部材50は、クッション前部3が前方に最も離間した状態において、弛んだ状態とはならず、クッションカバー30の縫い代部33に下方に引き込むテンションを作用させるように長さ設定されている。そのため、クッションカバー30の架橋部分30Aは、上記クッション前部3が前方に最も離間した状態においては、その当接する後部パッド21の前縁の上角部と、前部パッド22の後縁の上角部と、引込み部材50と繋がる縫い代部33の3点において、それぞれ異なる方向にテンションが掛けられた状態に張設される。
その結果、クッションカバー30の架橋部分30Aは、上記3点における支持により、面剛性が高められた状態に張設される。したがって、この架橋部分30Aに着座者の大腿部が圧し掛かっても、面剛性の高められた架橋部分30Aにおいて大腿部を適切に支持することができ、クッション感の抜けが感じられにくくなる。
詳しくは、上記引込み部材50は、上記クッション前部3の最大離間位置への移動により、隙間T上に面一状に張り広げられるクッションカバー30の架橋部分30Aの形状を崩さない程度に下方に引き込むテンションを掛けるようになっている。したがって、クッションカバー30の架橋部分30Aの見栄えやクッション感を損なうことなく、架橋部分30Aの面剛性を適切に高めることができる。
上記引込み部材50は、図6に示すように、クッション前部3がクッション後部2に最も接近する最大接近位置へと移動することにより、前述した各押込み部12Cが対応する各第2引込み部53に前方から押し込まれる。それにより、引込み部材50は、各第2引込み部53の押し込まれた各部分が、下端側の各引掛ワイヤ11Cを支点に、後方へと折れ曲がる形に押し撓まされる。
そしてそれにより、引込み部材50は、上記押し撓まされた各第2引込み部53がワイヤ52を下方に引き込んで、ワイヤ52を介して第1引込み部51を下方に引き込む。その際、引込み部材50は、各押込み部12Cによってシート幅方向の一部分にしか設けられていない各第2引込み部53が押し込まれる構成であっても、ワイヤ52を介して第1引込み部51をシート幅方向の広い範囲に亘って下方へと引き込む力を作用させる。
したがって、上記引込み部材50によって、クッションカバー30の縫い代部33に対し、シート幅方向の広い範囲に亘って下方に引き込む力を均一に作用させることができる。また、上記引込み部材50が、各押込み部12Cの押し込みにより折れ曲がり状に撓む構成となっていることから、撓まない構成と比べると、クッションカバー30の縫い代部33を常に各押込み部12Cの付近で下方へと引き込むことができる。したがって、クッションカバー30を、クッション前部3の接近離間する位置に応じてより適切に隙間T内に引き込むことができる。
以上をまとめると、本実施形態に係るシートクッション1は、次のような構成となっている。なお、以下において括弧書きで付す符号は、上記実施形態で示した各構成に対応する符号である。
すなわち、シートクッション(1)は、着座面の前後方向の長さを調節することが可能なクッション長可変機構(40)を備える。また、シートクッション(1)は、着座面の後部を成すクッション後部(2)を有する。また、シートクッション(1)は、着座面の前部を成し、クッション長可変機構(40)によりクッション後部(2)に対して前後方向に接近離間するように動作するクッション前部(3)を有する。また、シートクッション(1)は、クッション前部(3)とクッション後部(2)とに跨って被せられる表皮材としてのクッションカバー(30)を有する。
また、シートクッション(1)は、クッションカバー(30)のカバー裏面部(33)とクッション前部(3)及びクッション後部(2)のうちの一方(2)との間に架け渡される引込み部材(50)を有する。また、シートクッション(1)は、クッション前部(3)及びクッション後部(2)のうちの他方(3)に設けられる押込み部材(12A)を有する。押込み部材(12A)は、クッション前部(3)がクッション後部(2)に接近する動作により引込み部材(50)に押し付け力を作用させ、引込み部材(50)を介してクッションカバー(30)をクッション前部(3)とクッション後部(2)との隙間(T)に引き込む。
上記構成によれば、クッション前部(3)がクッション後部(2)に接近する動作により、押込み部材(12A)が引込み部材(50)に押し込まれて、クッションカバー(30)が上記隙間(T)内に引き込まれる。それにより、上記接近動作に伴って隙間(T)の間で弛まされるクッションカバー(30)の架橋部分(30A)が、上向きに撓むことなく下向きに撓んで、隙間(T)内に適切に折り畳まれる。
また、クッション前部(3)がクッション後部(2)から前方に離間する動作により、押込み部材(12A)の引込み部材(50)に対する押し込みが緩和又は解除される。それにより、クッションカバー(30)の架橋部分(30A)が、上記離間動作に伴って、押込み部材(12A)につかえることなく、隙間(T)の大きさに合わせて適切に広げられる。このように、クッションカバー(30)をクッション長の変化に応じて適切に追従動作させることができる。
また、引込み部材(50)の上記一方(2)に対する取り付けが、上記一方(2)のフレームを成す一方フレーム(11)への取り付けとされる。上記構成によれば、引込み部材(50)をパッド材等の撓みやすい部材に取り付ける場合と比べて、上記一方(2)に対して強く位置固定した状態に取り付けることができる。したがって、押込み部材(12A)が押し込まれた際の引込み部材(50)の引き込み量をより適切にコントロールすることができ、クッションカバー(30)の引き込みをより適切に行うことができる。
また、押込み部材(12A)が、上記他方(3)のフレームを成す他方フレーム(12)に固定されるフレーム材から成る。上記構成によれば、押込み部材(12A)をパッド材等の撓みやすい部材に設ける場合と比べて、上記他方(3)に対して強く位置固定した状態に設けることができる。したがって、押込み部材(12A)によって引込み部材(50)を押し込む量をより適切にコントロールすることができ、クッションカバー(30)の引き込みをより適切に行うことができる。
また、引込み部材(50)が、クッション前部(3)がクッション後部(2)から最も離間する最大離間位置でも、クッションカバー(30)に隙間(T)へと引き込むテンションを作用させる。上記構成によれば、クッションカバー(30)の架橋部分(30A)を常に張った状態にすることができる。
また、引込み部材(50)が、押込み部材(12A)が押し付けられることで折れ曲がり状に撓む可撓部(53)を備える。上記構成によれば、引込み部材(50)が押込み部材(12A)の押し付けにより撓むことで、引込み部材(50)が撓まない構成と比べて、クッションカバー(30)を常に押込み部材(12A)の近くで下方へと引き込むことができるようになる。したがって、クッションカバー(30)を、クッション前部(3)の接近離間する位置に応じてより適切に隙間(T)内に引き込むことができる。
また、引込み部材(50)が、カバー裏面部(33)に沿ってシート幅方向に連続的に延びる形に縫合される第1引込み部(51)と、第1引込み部(51)に形成されたシート幅方向に筒状に延びる筒状部(51A)に通されるワイヤ(52)と、ワイヤ(52)のシート幅方向の一部と上記一方(2)との間に架け渡される第2引込み部(53)と、を有し、第2引込み部(53)に押込み部材(12A)が押し付けられる。
上記構成によれば、押込み部材(12A)が引込み部材(50)のシート幅方向の一部に設けられる第2引込み部(53)に押し付けられることで、ワイヤ(52)を介して第1引込み部(51)のシート幅方向の広い範囲に亘って引込み力が掛けられる。したがって、押込み部材(12A)を用いた引込み部材(50)の引込み構造の合理化を図ることができる。
《その他の実施形態について》
以上、本発明の実施形態を1つの実施形態を用いて説明したが、本発明は上記実施形態のほか、以下に示す様々な形態で実施することができるものである。
以上、本発明の実施形態を1つの実施形態を用いて説明したが、本発明は上記実施形態のほか、以下に示す様々な形態で実施することができるものである。
1.本発明のシートクッションは、自動車等の車両に搭載されるシートに適用されるものの他、航空機・船舶等の車両以外の乗物に搭載されるシートに適用されるものであっても良い。また、シートクッションは、スポーツ施設や劇場、コンサート会場、イベント会場等の各種施設に設置される観覧席やマッサージシート等の乗物以外のシートに適用されるものであっても良い。
2.クッションカバーは、合成皮革から成るものの他、天然皮革から成るものであっても良い。また、クッションカバーは、ファブリックから成るものであっても良い。また、クッションカバーの引込み部材と繋げられるカバー裏面部は、カバーピース同士の縫合される縫い代部の他、カバーピースの中間箇所である一般面部であっても良い。
3.引込み部材が、クッションカバーのカバー裏面部とクッション前部との間に架け渡され、押込み部材が、クッション後部に設けられても良い。このような構成であっても、クッション前部の後方移動により、押込み部材を引込み部材に押し込んで、引込み部材を介してクッションカバーを引き込む構成をとることは可能である。
引込み部材のクッション前部及びクッション後部のうちの一方に対する取り付けは、パッド等のフレーム以外の箇所であっても良い。また、押込み部材は、クッション前部及びクッション後部のうちの他方のフレームでなくパッド等のフレーム以外の部材に設けられる構成であっても良い。
引込み部材は、押込み部材が押し付けられても折れ曲がり状に撓まない剛体から成る構成であっても良い。また、引込み部材は、クッション前部がクッション後部から最も離間する最大離間位置において、クッションカバーにテンションを作用させない弛んだ状態をとる構成であっても良い。また、引込み部材は、上記最大離間位置でも、押込み部材により押し付けられた状態をとる構成であっても良い。
引込み部材は、上記実施形態で示したように、そのシート幅方向に離間した2箇所の部位が押込み部材によって押し込まれる構成の他、シート幅方向の中央1箇所、又はシート幅方向に離間した3箇所以上の部位が押込み部材によって押し込まれる構成であっても良い。また、引込み部材は、そのシート幅方向の全域に亘って押込み部材により押し込まれる構成であっても良い。引込み部材は、上記実施形態で示したような、第1引込み部とワイヤと第2引込み部とから成る引込み構造から成るものの他、1枚の綿布のみにより形成されるものであっても良い。
4.クッション長可変機構は、電動式の他、使用者によるレバーの手動操作によりロック・アンロックを切り替えて、クッション前部をクッション後部に対して前後方向の任意の位置に移動させることが可能な手動式の構成であっても良い。
1 シートクッション
2 クッション後部(一方)
3 クッション前部(他方)
10 クッションフレーム
11 後部フレーム(一方フレーム)
11A フロントパネル
11B ガイドレール
11C 引掛ワイヤ
12 前部フレーム(他方フレーム)
12A 可動パネル(押込み部材)
12B ガイドパイプ
12C 押込み部
20 クッションパッド
21 後部パッド
22 前部パッド
30 クッションカバー
30A 架橋部分
31 後部カバー
32 前部カバー
33 縫い代部(カバー裏面部)
40 クッション長可変機構
41 モータ
42 送りねじ
50 引込み部材
51 第1引込み部
51A 筒状部
51B 開口
52 ワイヤ
53 第2引込み部(可撓部)
53A 筒状部
53B 筒状部
T 隙間
2 クッション後部(一方)
3 クッション前部(他方)
10 クッションフレーム
11 後部フレーム(一方フレーム)
11A フロントパネル
11B ガイドレール
11C 引掛ワイヤ
12 前部フレーム(他方フレーム)
12A 可動パネル(押込み部材)
12B ガイドパイプ
12C 押込み部
20 クッションパッド
21 後部パッド
22 前部パッド
30 クッションカバー
30A 架橋部分
31 後部カバー
32 前部カバー
33 縫い代部(カバー裏面部)
40 クッション長可変機構
41 モータ
42 送りねじ
50 引込み部材
51 第1引込み部
51A 筒状部
51B 開口
52 ワイヤ
53 第2引込み部(可撓部)
53A 筒状部
53B 筒状部
T 隙間
Claims (6)
- 着座面の前後方向の長さを調節することが可能なクッション長可変機構を備えるシートクッションであって、
前記着座面の後部を成すクッション後部と、
前記着座面の前部を成し、前記クッション長可変機構により前記クッション後部に対して前後方向に接近離間するように動作するクッション前部と、
前記クッション前部と前記クッション後部とに跨って被せられる表皮材としてのクッションカバーと、
前記クッションカバーのカバー裏面部と前記クッション前部及び前記クッション後部のうちの一方との間に架け渡される引込み部材と、
前記クッション前部及び前記クッション後部のうちの他方に設けられ、前記クッション前部が前記クッション後部に接近する動作により前記引込み部材に押し付け力を作用させて該引込み部材を介して前記クッションカバーを前記クッション前部と前記クッション後部との隙間に引き込む押込み部材と、を有するシートクッション。 - 請求項1に記載のシートクッションであって、
前記引込み部材の前記一方に対する取り付けが、前記一方のフレームを成す一方フレームへの取り付けとされるシートクッション。 - 請求項1又は請求項2に記載のシートクッションであって、
前記押込み部材が、前記他方のフレームを成す他方フレームに固定されるフレーム材から成るシートクッション。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載のシートクッションであって、
前記引込み部材が、前記クッション前部が前記クッション後部から最も離間する最大離間位置でも、前記クッションカバーに前記隙間へと引き込むテンションを作用させるシートクッション。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載のシートクッションであって、
前記引込み部材が、前記押込み部材が押し付けられることで折れ曲がり状に撓む可撓部を備えるシートクッション。 - 請求項1から請求項5のいずれかに記載のシートクッションであって、
前記引込み部材が、前記カバー裏面部に沿ってシート幅方向に連続的に延びる形に縫合される第1引込み部と、該第1引込み部に形成されたシート幅方向に筒状に延びる筒状部に通されるワイヤと、該ワイヤのシート幅方向の一部と前記一方との間に架け渡される第2引込み部と、を有し、該第2引込み部に前記押込み部材が押し付けられるシートクッション。
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- 2022-09-20 US US17/948,584 patent/US11938845B2/en active Active
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