JP2023064203A - 金属粉末および導電性ペースト - Google Patents

金属粉末および導電性ペースト Download PDF

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Keitaro Akai
恭三 増田
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Abstract

【課題】セラミック粉末と、焼結が起こる温度及び焼結による収縮の度合いがある程度以上にそろっており、積層セラミック電子部品を製造するための導電性ペーストに使用した場合に、誘電体層と導電体層の間に剥離や割れが発生するのを防止しうる、金属粉末を提供する。【解決手段】粒子表面に下記一般式(1)で表される化合物が付着しており、25℃から900℃まで昇温速度10℃/分で昇温する熱機械分析(TMA)を行ったとき、諸物性が特定の範囲にある、金属粉末。JPEG2023064203000008.jpg4487【選択図】図2

Description

本発明は金属粉末及びその関連技術に関する。
従来、積層セラミックコンデンサ(MLCC)や積層セラミックインダクタ(MLCI)などの積層セラミック電子部品の内部電極などを形成する導電性ペーストの材料として、銅粉や銀粉などの金属粉末が使用されている。
導電性ペーストは、金属粉末を樹脂や溶剤等の有機ビヒクルに分散させたもので、誘電体層を形成する誘電体膜(グリーンシート)と導電性ペーストの塗膜を交互に積層した積層体を焼成する工程などを経て、積層セラミック電子部品が製造される。
ここで焼成工程においては、低温、例えば常温から焼成温度まで前記積層体を昇温し、その焼成温度で所定時間保持される。誘電体(セラミック粉末)及び金属粉末の焼結は通常焼成温度に達する前から始まるが、これらの焼結が起こる温度や焼結による収縮の度合いが大きく異なると、誘電体層と導電体層の間に応力が発生して、層間の剥離や各層における割れが発生する場合がある。
近年の電子部品の小型化の要求に応じて金属粉末は微細化しており、その焼結が開始する温度は誘電体層となるセラミック粉末よりも低い場合が多く、金属粉末の焼結が先に始まるので、前記の剥離や割れが発生しやすい。
この問題に対して、金属粉末の焼結が開始する温度をセラミック粉末の焼結が開始する温度に近づけるべく、金属粉末の焼結が開始する温度を高めるため、金属粉末の粒子表面に表面処理を行うことが提案されている。例えば特許文献1及び2には、粒子表面にケイ素化合物によるコーティングを施した銅粉及び銀粉が開示されている。
特開2008-262916号公報 特開2009-079269号公報
特許文献1及び2には、銅粉または銀粉に対してケイ素化合物によるコーティングを施すことにより、その焼結開始温度が高まった旨が記載されている。焼結開始温度とは、所定の条件で銅粉や銀粉を焼結させたときの収縮量が所定の値になる温度であると、各文献で定義されている。
ところで上述の通り、セラミック粉末及び金属粉末の焼結が起こる温度や焼結による収縮の度合いが大きく異なると、誘電体層と導電体層の間に応力が発生して、層間の剥離や各層における割れが発生する場合がある。特許文献1及び2が着目した焼結開始温度は、前記の焼結が起こる温度(所定の温度範囲を持つものである)や焼結による収縮の度合いを十分に考慮したものとは言えない。
そこで本発明は、これらの要素を考慮して、セラミック粉末と、焼結が起こる温度及び焼結による収縮の度合い(以下「焼結挙動」ともいう)がある程度以上にそろっており、積層セラミック電子部品を製造するための導電性ペーストに使用した場合に、誘電体層と導電体層の間に剥離や割れが発生するのを防止しうる、金属粉末を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、金属粉末の、粒子表面に所定の化合物を付着させ、金属粉末に対して25℃から900℃まで昇温速度10℃/分で昇温する熱機械分析(TMA)を行ったとき、400~700℃までのdTMAの最大値が5~20μm/minであり、400~700℃におけるdTMAが最大となる温度が600℃以上であり、前記熱機械分析において収縮率が1%となるときの温度を焼結開始温度(℃)と定義したとき、当該焼結開始温度が480℃以上であり、前記金属粉末の、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50径)に対する、前記体積基準の累積90%粒子径(D90径)と前記体積基準の累積10%粒子径(D10径)との差の割合((D90径)-(D10径)/(D50径))を粒度分布差と定義したとき、前記焼結開始温度(℃)を粒度分布差で割った数値Xが390(℃)以上であるように調整することによって、金属粉末の焼結挙動が、セラミック粉末の焼結挙動とある程度以上にそろい、誘電体層と導電体層の間に剥離や割れが発生するのを防止しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下のとおりである。
[1]粒子表面に下記一般式(1)で表される化合物が付着している金属粉末であって、
25℃から900℃まで昇温速度10℃/分で昇温する熱機械分析(TMA)を行ったとき、400~700℃までのdTMAの最大値が5~20μm/minであり、400~700℃におけるdTMAが最大となる温度が600℃以上であり、
前記熱機械分析において収縮率が1%となるときの温度を焼結開始温度(℃)と定義したとき、当該焼結開始温度が480℃以上であり、
前記金属粉末の、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50径)に対する、前記体積基準の累積90%粒子径(D90径)と前記体積基準の累積10%粒子径(D10径)との差の割合((D90径)-(D10径)/(D50径))を粒度分布差と定義したとき、前記焼結開始温度(℃)を粒度分布差で割った数値Xが390(℃)以上である、金属粉末。
Figure 2023064203000002
(式(1)において、R1,R2及びR3はそれぞれ独立に炭素数1~5のアルキル基であり、Rは炭素数1~5のアルキレン基である)。
[2]前記金属が銅又は銀である、[1]に記載の金属粉末。
[3]前記熱機械分析において、700℃を超えて900℃以下におけるdTMAの最大値が23μm/min以上である、[1]又は[2]に記載の金属粉末。
[4]前記一般式(1)において、R1,R2及びR3がそれぞれ独立に炭素数1~3のアルキル基である、[1]~[3]のいずれかに記載の金属粉末。
[5]前記一般式(1)において、Rが炭素数1~3のアルキレン基である、[1]~[4]のいずれかに記載の金属粉末。
[6]レーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50径)が1~15μmである、[1]~[5]のいずれかに記載の金属粉末。
[7][1]~[6]のいずれかに記載の金属粉末が、有機溶剤及びバインダ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の中に分散している、導電性ペースト。
[8]金属粉末からなるコア粉末と下記一般式(1)で表される化合物とを混合することで、前記コア粉末の粒子表面に前記化合物を付着させる、[1]に記載の金属粉末の製造方法:
Figure 2023064203000003
(式(1)において、R1,R2及びR3はそれぞれ独立に炭素数1~5のアルキル基であり、Rは炭素数1~5のアルキレン基である)。
[9]前記金属が銅又は銀である、[8]に記載の金属粉末の製造方法。
[10]前記コア粉末のレーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50径)が1~15μmである、[8]又は[9]に記載の金属粉末の製造方法。
本発明によれば、セラミック粉末と、焼結挙動がある程度以上にそろっており、積層セラミック電子部品を製造するための導電性ペーストに使用した場合に、誘電体層と導電体層の間に剥離や割れが発生するのを防止しうる、金属粉末が提供される。
比較例1のCu粉末を含む導電性ペーストを使用して形成した塗膜を600℃で加熱して得られた熱処理物を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率5000倍で観察した結果を示す。 実施例1のCu粉末を含む導電性ペーストを使用して形成した塗膜を600℃又は700℃で加熱して得られた熱処理物をSEMにより倍率5000倍で観察した結果を示す((a)600℃加熱、(b)700℃加熱)。 比較例8のCu粉末を含む導電性ペーストを使用して形成した塗膜を600℃又は700℃で加熱して得られた熱処理物をSEMにより倍率5000倍で観察した結果を示す((a)600℃加熱、(b)700℃加熱)。 比較例10のCu粉末を含む導電性ペーストを使用して形成した塗膜を600℃で加熱して得られた熱処理物を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率5000倍で観察した結果を示す。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
[金属粉末]
本発明の金属粉末は、上記一般式(1)で表される化合物がその粒子表面に付着したものである。
<金属種>
本発明の金属粉末の金属種に特に限定はないが、具体例としては、Au(金)、Ag(銀)、Cu(銅)、Ni(ニッケル)、Zn(亜鉛)が挙げられる。これらの単金属からなる粉末でも、複数の金属の合金粉末でもよい。これらの中でも導電性に優れることから銀及び銅が好ましい。
<一般式(1)で表される化合物>
一般式(1)を再掲する。
Figure 2023064203000004
この式で表される化合物は、Rに結合したアミノ基により金属粉末の粒子表面に付着し、金属粉末の焼結挙動を、セラミック粉末の焼結挙動に近いものとすると考えられる。
一般式(1)において、R1,R2及びR3はそれぞれ独立に炭素数1~5のアルキル基であり、Rは炭素数1~5のアルキレン基である。金属粉末の焼結挙動をセラミック粉末の焼結挙動に近いものとする観点から、R1,R2及びR3はそれぞれ独立に炭素数1~3のアルキル基であることが好ましく、Rは炭素数1~3のアルキレン基であることが好ましい。一般式(1)で表される化合物の例としては、アミノプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
金属粉末の焼結挙動をセラミック粉末の焼結挙動に近いものとするために好適な式(1)の化合物の粒子表面への付着量は、金属粉末の金属種等によって異なるが、実験的に式(1)の化合物の付着量を変更して試験することで、各金属粉末において好適な付着量を求めることができる。
例を挙げると、略球状の銅粉末については、式(1)の化合物の付着量はケイ素(Si)換算で50~200ppmであることが好ましく、75~160ppmであることが好ましい。フレーク状の銅粉末については、式(1)の化合物の付着量はケイ素(Si)換算で90~350ppmであることが好ましく、100~280ppmであることが好ましい。また略球状の銀粉末については、式(1)の化合物の付着量はケイ素(Si)換算で30ppm以上であることが好ましく、80~550ppmであることが好ましい。
なお本発明において、式(1)の化合物の付着量は、金属粉末について後述の実施例の方法により求めたケイ素量(式(1)の化合物の質量を含めた金属粉末におけるケイ素の質量割合)であるものとする。
<熱機械分析(TMA)特性>
本発明の金属粉末は、常温(25℃)から900℃まで昇温する熱機械分析(TMA)を行ったときの400~700℃におけるdTMA、焼結開始温度、及び焼結温度を後述する粒度分布差で割った数値が所定の範囲にある。TMAは以下のように実施する。
金属粉末0.5gと、当該粉末に対して質量割合2%のビヒクル(Mitsubishi Plastics BR-105(三菱樹脂株式会社製)とテルピネオールの、質量割合3:7(BR-105:テルピネオール)の混合物)を混合し、プレス機を用いて荷重360Nで20秒間押し固めて測定試料(5mmφ)を作製する。この測定試料を直径5mm、高さ3mmのアルミナパンに詰めて、熱機械分析(TMA)装置(セイコーインスツルメンツ株式会社製のTMA/SS6200)の試料ホルダ(シリンダ)にセットし、測定プローブにより、N雰囲気下で、測定荷重49mNの荷重を付与して、常温から昇温速度10℃/分で900℃まで昇温して、測定試料の収縮量を測定する。
測定(昇温)開始から2秒ごとに収縮量及びその時の温度を記録する。温度T(℃)におけるdTMAを求めたい場合、測定結果から温度がTである時間(昇温開始後の経過時間)を求め、その時間の2秒前の収縮量(S-2)及び2秒後の収縮量(S+2)から、下記式によりdTMAが求められる。
dTMA=(S+2-S-2)/4(秒)
なお測定開始から2秒後のdTMAは、測定開始から2秒後の収縮量を上記式のS+2に代入し、S-2には0を代入して、分母を4から2に変更して求める。測定終了時の点におけるdTMAは、測定終了時の点での収縮量を上記式のS+2に代入し、測定終了2秒前の収縮量をS-2に代入して、分母を4から2に変更して求める。
(400℃以上700℃以下における最大dTMA温度)
セラミック粉末は高温で焼結が始まるので、400~700℃という温度範囲のうち、低温側ではセラミック粉末の焼結は実質起こらない。そのため、前記温度範囲のうち600℃以下の早い段階で金属粉末のdTMAが大きい数値となると、金属粉末とセラミック粉末の焼結挙動が大きく異なることになる。そこで本発明の金属粉末は、熱機械分析したときの400~700℃の温度範囲におけるdTMAが最大となる温度(最大dTMA温度)が600℃以上(つまり600~700℃)の範囲にあるように設定される。金属粉末の金属種等に応じて、当該粉末の粒子に付着する一般式(1)で表される化合物の付着量を変動させることで、400~700℃における金属粉末の最大dTMA温度を600℃以上にすることができる。付着量を多くするほど最大dTMA温度が高温になる傾向にある。
(400℃以上700℃以下における最大dTMA)
本発明の金属粉末については、熱機械分析したときの400~700℃の温度範囲におけるdTMAの最大値(最大dTMA)が、5~20μm/minの範囲にある。前述の通り本発明の金属粉末の、熱機械分析したときの400~700℃での最大dTMA温度は600℃以上であるが、この温度範囲でセラミック粉末の焼結が開始する。この際のセラミック粉末の焼結による収縮の度合い(収縮速度)と金属粉末の焼結による収縮の度合いをそろえるために、金属粉末のdTMAの最大値が前記の範囲にあるように設定される。当該最大値は好ましくは6~18μm/minである。
金属粉末の金属種等に応じて、当該粉末の粒子に付着する一般式(1)で表される化合物の量を変動させることで、400~700℃における金属粉末のdTMAの最大値を前記の範囲にすることができる。付着量を多くするほどdTMAの最大値が小さくなる傾向にある。
(焼結開始温度)
本発明の金属粉末については、熱機械分析したときに、測定試料の収縮率が1%となるときの温度を焼結開始温度(℃)と定義したとき、当該焼結開始温度が480℃以上であり、高温で焼結が始まるセラミック粉末と焼結挙動が近い。セラミック粉末の焼結挙動と金属粉末の焼結挙動をそろえる観点から、前記焼結開始温度は550~800℃であることが好ましく、590~750℃であることがより好ましい。
金属粉末の金属種等に応じて、当該粉末の粒子に付着する一般式(1)で表される化合物の量を変動させることで、焼結開始温度を前記の範囲にすることができる。付着量を多くするほど焼結開始温度が高くなる傾向にある。
(数値X(焼結開始温度/粒度分布差))
本発明の金属粉末の、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50径)に対する、同様に測定した体積基準の累積90%粒子径(D90径)と同様に測定した体積基準の累積10%粒子径(D10径)との差の割合((D90径)-(D10径)/(D50径))を粒度分布差と定義したとき、前記焼結開始温度(℃)を粒度分布差で割った数値(焼結開始温度/粒度分布差)が390(℃)以上である。
粒度分布差の数値が小さいと金属粉末の粒度分布がシャープであり、この場合粉末の最密充填が起こりにくく、焼結開始温度は高くなる傾向にある。数値Xは、焼結開始温度への粒度分布差の影響を除いた、焼結性の指標である。セラミック粉末の焼結挙動と金属粉末の焼結挙動をそろえる観点から、前記数値Xは好ましくは450~700(℃)であり、より好ましくは500~650(℃)である。
金属粉末の金属種等に応じて、当該粉末の粒子に付着する一般式(1)で表される化合物の量を変動させることで、数値Xを前記の範囲にすることができる。付着量を多くするほど数値Xが高くなる傾向にある。
(400℃以上600℃未満におけるdTMA)
本発明の金属粉末は、金属粉末の焼結挙動を誘電体粉末の焼結挙動とそろえる観点から、400℃以上600℃未満におけるdTMAが12μm/min以下であることが好ましく、5μm/min以下であることがより好ましく、3μm/min以下であることが更に好ましい。また同様な観点から、400℃以上600℃未満におけるdTMAの最大値が、400~700℃におけるdTMAの最大値の9/10以下であることが好ましく、1/2以下であることがより好ましく、1/5以下であることが更に好ましい。
(700℃を超えて900℃以下におけるdTMA)
本発明の金属粉末は、上述の通り熱機械分析において400~700℃の範囲では600℃以上という高温側において、所定の最大dTMAが観察される。そして本発明の金属粉末は、前記温度範囲よりも高温の、700℃を超えて900℃以下という領域において更に焼結が進行する。そのため、当該温度範囲におけるdTMAの最大値(最大dTMA)は23μm/min以上であることが好ましい。最大dTMAの上限値は特に制限されるものではないが、通常100μm/min程度である。また、この温度範囲における粉末の焼結による収縮は、通常400~700℃における粉末の収縮よりも強い。そのため、700℃を超えて900℃以下の領域でのdTMAの最大値は、400~700℃の領域でのdTMAの最大値の2~10倍であることが好ましい。
(常温(25℃)以上400℃未満におけるdTMA)
本発明の金属粉末は、金属粉末の焼結挙動を誘電体粉末の焼結挙動とそろえる観点から、常温(25℃)以上400℃未満における温度領域では焼結を実質的に起こさないことが望ましい。しかし、本発明で実施する熱機械分析では測定試料の作製にビヒクルを用いるため、前記温度領域において、ビヒクルの蒸発や分解に起因する収縮が観察される場合がある。そのため前記温度領域において、dTMAの最大値が10μm/min程度となることがある。
本発明の金属粉末が400℃未満の温度領域で焼結を実質的に起こさないことは、400℃まで昇温した金属粉末を顕微鏡観察して金属粉末がネッキングを起こしていないことをもって直接観測することができるし、400~700℃の領域で所定の最大dTMAを示し、更に700℃を超えて900℃という領域でも所定の高い最大dTMAを示すことを確認することで間接的に観測することができる。
<平均粒子径>
本発明の金属粉末のレーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50径)は、1~15μmであることが好ましく、金属粉末をさらに小型化した電子部品の内部電極などを形成する導電性ペーストの材料として使用する場合には、1~8μmであることがさらに好ましい。
<酸素量、炭素量、窒素量>
本発明の金属粉末中の酸素量は、1質量%以下であることが好ましく、0.02~0.7質量%であることがさらに好ましい。本発明の金属粉末中の炭素量は、0.5質量%以下であることが好ましく、0.01~0.35質量%であることがより好ましい。本発明の金属粉末中の窒素量は、0.1質量%以下であることが好ましく、0.04質量%以下であることがより好ましい。
<BET比表面積>
本発明の金属粉末のBET比表面積は、0.05~1.2m/gであることが好ましく、0.1~1.0m/gであることがさらに好ましい。
<充填率>
本発明の金属粉末の充填率(金属粉末のタップ密度の、対応するバルク金属の密度に対する比率)は、金属粉末を導電性ペーストの材料として使用して導電体層を形成する場合に粉末の充填性を高めて良好な導電性の導電体層を形成するために、35%以上であることが好ましく、前記の点と、充填率の向上には限度があることから、40~75%であることがより好ましい。
<形状>
本発明の金属粉末の形状は、球状やフレーク状や粒状の形状のいずれの形状でもよく、形状が揃っていない不定形状でもよい。
[金属粉末の製造方法]
次に、本発明の金属粉末の製造方法の実施の形態について説明する。当該製造方法では、コア粉末の粒子表面に上記一般式(1)で表される化合物を付着させて金属粉末を製造する。製造された金属粉末について、25℃から900℃まで昇温する熱機械分析(TMA)を行ったとき、400~700℃までのdTMAの最大値は5~20μm/minであり、400~700℃におけるdTMAが最大となる温度は600℃以上であり、焼結開始温度が480℃以上であり、数値X(焼結開始温度/粒度分布差)が390(℃)以上である。以下、本発明の金属粉末の製造方法における各構成について説明する。
<コア粉末>
コア粉末は、上記一般式(1)の化合物を付着させる対象であり、その金属種や形状は本発明の金属粉末の金属種や形状と同様である。コア粉末は湿式還元法やアトマイズ法や気相法など、従来公知の方法で製造可能であり、また市販もされている。
コア粉末のレーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50径)は、1~15μmであることが好ましく、製造された金属粉末をさらに小型化した電子部品の内部電極などを形成する導電性ペーストの材料として使用する場合には、コア粉末のD50径は1~8μmであることがさらに好ましい。
<一般式(1)で表される化合物の付着>
コア粉末と一般式(1)で表される化合物を混合することで、当該化合物をコア粉末の粒子表面に付着させることができる。混合の方法は特に制限されず、乾式混合でも湿式混合でもよい。
また、一般式(1)の化合物の仕込み量とコア粉末の粒子表面への付着量の関係は、混合の方法により変動しうるが、実験的に求めておくことができる。仕込み量を増やすと付着量が増える関係にある。なお本発明において、式(1)の化合物の付着量は、金属粉末について後述の実施例の方法により求めたケイ素量であるものとする。
[導電性ペースト]
本発明の金属粉末の実施の形態を導電性ペーストの材料として使用する場合、この金属粉末を有機溶剤及びバインダ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種である有機ビヒクルの中に分散させることで、導電性ペーストを作製することができる。前記有機溶剤の例としては飽和脂肪族炭化水素類、不飽和脂肪族炭化水素類、ケトン類、芳香族炭化水素類、グリコールエーテル類、エステル類及びアルコール類が挙げられる。前記バインダ樹脂の例としては、エチルセルロースなどのセルロース樹脂やアクリル樹脂が挙げられる。有機溶剤及びバインダ樹脂は、2種以上を混合して使用してもよい。
また、必要に応じて、この導電性ペーストにはガラスフリット、無機酸化物、分散剤などを添加してもよい。
導電性ペースト中の本発明の金属粉末の含有量は、導電性ペーストの製造コストおよび導電体層の導電性の観点から、4.5~97.5質量%であることが好ましく、70~95質量%であることがさらに好ましい。
また、導電性ペーストには、1種以上の他の金属粉末(熱機械分析に関する本発明の金属粉末の要件を満足しない、銀と錫の合金粉末、錫粉末などの金属粉末。以下「任意粉末」ともいう)を添加してもよい。この任意粉末は、本発明による金属粉末の実施の形態と形状や粒径が異なる粉末でもよい。
任意粉末のレーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50径)は、導電性ペーストを焼成して薄い導電体層を形成するために、0.5~20μmであることが好ましい。また、任意粉末の導電性ペースト中の含有量は、1~94質量%であることが好ましく、3~28質量%であることがさらに好ましい。なお、導電性ペースト中の金属粉末と任意粉末の含有量の合計は、60~98.5質量%であることが好ましく、74~98質量%であることがさらに好ましい。
また、導電性ペースト中の金属粉末の分散性や導電性ペーストの適切な粘度を考慮して、有機溶剤の含有量は0.8~20質量%であることが好ましく、0.8~15質量%であることがさらに好ましい。また、導電性ペースト中のバインダ樹脂の含有量は、導電性ペースト中の金属粉末の分散性や導電性ペーストの導電性の観点から、0.1~10質量%であることが好ましく、0.1~6質量%であることがさらに好ましい。
また、導電性ペースト中のガラスフリットの含有量は、導電性ペーストの焼結性の観点から、0.1~20質量%であることが好ましく、0.1~10質量%であることがさらに好ましい。このガラスフリットは、2種以上を混合して使用してもよい。
このような導電性ペーストは、例えば、各構成要素を計量して所定の容器に入れ、らいかい機、万能攪拌機、ニーダーなどを用いて予備混練した後、3本ロールで本混練することによって作製することができる。また、必要に応じて、その後、さらに有機溶剤を添加して、粘度調整を行ってもよい。また、ガラスフリットや無機酸化物と有機溶剤やバインダ樹脂を混練して粒度を下げた後、最後に金属粉末を追加して本混練してもよい。
[積層セラミック電子部品]
例えば、本発明の導電性ペーストを塗布して形成される塗膜と、誘電体膜(グリーンシート)とを積層した積層体を焼成することで、前記塗膜中の金属粉末を焼結させて導電体層を形成し、誘電体膜中のチタン酸バリウムなどのセラミック粉末を焼結させて誘電体層(セラミック層)を形成し、この焼成工程を経た前記積層体の導電体層と誘電体層の積層方向側面に外部電極を形成するなどの工程を経て、積層セラミック電子部品が製造される。
前記焼成工程において、前記金属粉末はセラミック粉末と焼結挙動がある程度以上にそろっているので、導電体層と誘電体層の間の剥離や各層の割れが発生しにくい。
前記焼成工程における焼成温度は、例えば600~1000℃程度とすることができ、700~900℃程度であることがより好ましい。また、焼成の実施前に、真空乾燥などにより予備乾燥を行うことにより、導電性ペーストの塗膜及び誘電体膜中の有機溶剤などの揮発成分を除去してもよい。また、これらがバインダ樹脂を含む場合は、焼成の実施前に、バインダ樹脂の含有量を低減させる脱バインダ工程として250~400℃の低温で加熱することが好ましい。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されない。
<<球状Cu粉末>>
[比較例1]
大気雰囲気下、タンディッシュ炉中で電気銅40kgを1600℃に加熱した溶湯に還元剤としてカーボン粉を添加し、その溶湯をタンディッシュ炉下部から落下させながら、水アトマイズ装置により大気中で高圧水(水圧:150MPa、水量:160L/分、pH:10)を吹付けて粉砕・凝固させ、得られた粉末をろ過し、水洗し、乾燥し、解砕し、分級して、Cu粉末を得た。
この比較例1に係るCu粉末について、以下の評価を行った。
<Si量>
Siは、重量法により、以下のように分析を行った。まず、試料(Cu粉末)に塩酸と過塩素酸を加えて加熱分解し、過塩素酸の白煙が発生するまで加熱した。引き続き加熱して乾固させた。放冷後、水と塩酸を加えて加温して可溶性塩類を溶解させた。続いて、不溶解残渣を、ろ紙を用いてろ過し、残渣をろ紙ごとるつぼに移し、乾燥、灰化させた。放冷後、るつぼごと秤量した。少量の硫酸とフッ化水素酸を加え、加熱して乾固させた後、強熱した。放冷後、るつぼごと秤量した。そして、1回目の秤量値から2回目の秤量値を差し引き、重量差をSiOとして計算してSi量を求めた。その結果、Si量は検出限界以下だった。従って、本試料(Cu粉末)の作製に使用した電気銅も、Siを実質的に含まないものであったと言える。
<TMA評価>
Cu粉末の熱機械分析(TMA)は以下のようにして実施した。Cu粉末0.5gと、当該粉末に対して質量割合2%のビヒクル(Mitsubishi Plastics BR-105(三菱樹脂株式会社製)とテルピネオールの、質量割合3:7(BR-105:テルピネオール)の混合物)を混合し、プレス機を用いて荷重360Nで20秒間押し固めて5mmφの測定試料を作製した。この測定試料を直径5mm、高さ3mmのアルミナパンに詰めて、熱機械分析(TMA)装置(セイコーインスツルメンツ株式会社製のTMA/SS6200)の試料ホルダ(シリンダ)にセットし、測定プローブにより、N雰囲気下で、測定荷重49mNの荷重を付与して、常温(25℃)から昇温速度10℃/分で900℃まで昇温して、測定試料の収縮量を測定した。
測定(昇温)開始から2秒ごとに収縮量及びその時の温度を記録した。温度T(℃)におけるdTMAを求める場合、測定結果から温度がTである時間(昇温開始後の経過時間)を求め、その時間の2秒前の収縮量(S-2)及び2秒後の収縮量(S+2)から、下記式によりdTMAを求めた。
dTMA=(S+2-S-2)/4(秒)
以上の評価の結果、焼結開始温度(1%収縮時の温度)は503℃であり、400~700℃の範囲において最大dTMA温度は501℃であり、そのときのdTMA値(最大dTMA値)は51.4μm/minだった。また、常温~400℃におけるdTMAの最大値は7.4μm/minであり、400℃~600℃におけるdTMAの最大値は51.4μm/minであり、700℃~900℃におけるdTMAの最大値は8.8μm/minであった。
<BET比表面積>
Cu粉末のBET比表面積を、BET比表面積測定器(株式会社マウンテック製のMacsorb)を使用して、測定器内に105℃で20分間窒素ガスを流して脱気して粉末の粒子表面の夾雑物を除去した後、窒素とヘリウムの混合ガス(N:30体積%、He:70体積%)を流しながら、BET1点法により測定した。その結果、BET比表面積は0.80m/gであった。
<充填率>
Cu粉末のタップ密度として、特開2007-263860号公報に記載された方法と同様に、Cu粉末を内径6mm×高さ11.9mmの有底円筒形のダイに容積の80%まで充填してCu粉末層を形成し、このCu粉末層の上面に0.160N/mの圧力を均一に加えて、この圧力でCu粉末がこれ以上密に充填されなくなるまでCu粉末を圧縮した後、Cu粉末層の高さを測定し、このCu粉末層の高さの測定値と、充填されたCu粉末の重量とから、Cu粉末のタップ密度を求めた。その結果、タップ密度は4.2g/cmであった。この数値と銅のバルク密度8.96g/cmとから、Cu粉末の充填率は47.3%と計算された。
<酸素量及び窒素量>
Cu粉末の酸素量及び窒素量を酸素・窒素・水素分析装置(株式会社堀場製作所製のEMGA-920)により測定したところ、酸素量は0.38質量%であり、窒素量は0.01質量%未満だった。
<炭素量>
Cu粉末中の炭素量を炭素・硫黄分析装置(株式会社堀場製作所製のEMIA-920V2)により測定したところ、炭素量は0.01質量%だった。
<粒度分布>
レーザー回折式粒度分布測定装置(SYMPATEC社製のへロス粒度分布測定装置(HELOS&RODOS(気流式の分散モジュール)))を使用して、窒素ガスで分散圧5barで分散させてCu粉末の粒度分布を評価し、体積基準の累積10%粒子径(D10径)、累積50%粒子径(D50径)、累積90%粒子径(D90径)及び累積99%粒子径(D99径)を求めた。その結果、D10径は0.60μmであり、D50径は1.55μmであり、D90径は2.71μmであり、D99径は4.99μmであり、粒度分布差((D90径)-(D10径)/(D50径))は1.36だった。
以上の評価結果を後記表1にまとめた。
[比較例2]
比較例1に係るCu粉末にTEOS(オルトケイ酸テトラエチル)コートを施した。具体的には以下のとおりである。
Cu粉末80gに対して、表面処理剤としてTEOS0.06g(Cu粉100質量部に対して0.074質量部,Si量換算では101ppm)を加えて、Cu粉を解砕しながら、Cu粉と表面処理剤を混合して、3-アミノプロピルトリメトキシシランで表面処理されたCu粉を得た。
得られた比較例2に係るCu粉末について、比較例1と同様に、Si量、TMA、BET比表面積、充填率、酸素量、窒素量、炭素量及び粒度分布の評価を行った。結果は後記表1に示した。
[比較例3]
TEOSコートに使用したTEOS量を、Si量換算で200ppmに変更した以外は、比較例2と同様にして、比較例3に係るCu粉末を得た。当該Cu粉末について、比較例1と同様に、Si量、TMA、BET比表面積、充填率、酸素量、窒素量、炭素量及び粒度分布の評価を行った。結果は後記表1に示した。
[比較例4]
TEOSコートに使用したTEOS量を、Si量換算で400ppmに変更した以外は、比較例2と同様にして、比較例4に係るCu粉末を得た。当該Cu粉末について、比較例1と同様に、Si量、TMA、BET比表面積、充填率、酸素量、窒素量、炭素量及び粒度分布の評価を行った。結果は後記表1に示した。
[比較例5]
TEOSコートに使用したTEOS量を、Si量換算で800ppmに変更した以外は、比較例2と同様にして、比較例5に係るCu粉末を得た。当該Cu粉末について、比較例1と同様に、Si量、TMA、BET比表面積、充填率、酸素量、窒素量、炭素量及び粒度分布の評価を行った。結果は後記表1に示した。
[比較例6]
大気雰囲気下、タンディッシュ炉中で電気銅40kgを1600℃に加熱した溶湯に還元剤としてカーボン粉を添加し、その溶湯をタンディッシュ炉下部から落下させながら、水アトマイズ装置により大気中で高圧水(水圧:150MPa、水量:160L/分、pH:10)を吹付けて粉砕・凝固させ、得られた粉末をろ過し、水洗し、乾燥し、解砕し(本解砕は、Cu粉末100質量部に対して0.24質量部のステアリン酸を混合して実施した)、分級して、Cu粉末を得た。
この比較例6に係るCu粉末について、比較例1と同様に、Si量、TMA、BET比表面積、充填率、酸素量、窒素量、炭素量及び粒度分布の評価を行った。Si量の評価結果(後掲の表1参照)から、Cu粉末の原料である電気銅はSiを実質的に含んでいなかったと言える。
[実施例1]
比較例6で得られたCu粉末に対して3-アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS)を、Si量換算で100ppm使用して表面処理した。具体的には以下のとおりである。
Cu粉末120gに対して、表面処理剤としてAPTMS0.077g(Cu粉100質量部に対して0.064質量部)を加えて、Cu粉を解砕しながら、Cu粉と表面処理剤を混合して、APTMSで表面処理されたCu粉末を得た。
得られた実施例1に係るCu粉末について、比較例6と同様に、Si量、TMA、BET比表面積、充填率、酸素量、窒素量、炭素量及び粒度分布の評価を行った。結果は後記表1に示した。
[比較例7]
APTMSの使用量をSi量換算で200ppmに変更した以外は実施例1と同様にして、比較例7に係るCu粉末を得た。当該Cu粉末について、比較例6と同様に、Si量、TMA、BET比表面積、充填率、酸素量、窒素量、炭素量及び粒度分布の評価を行った。結果は後記表1に示した。
[比較例8]
APTMSの使用量をSi量換算で400ppmに変更した以外は実施例1と同様にして、比較例8に係るCu粉末を得た。当該Cu粉末について、比較例6と同様に、Si量、TMA、BET比表面積、充填率、酸素量、窒素量、炭素量及び粒度分布の評価を行った。結果は後記表1に示した。
<<フレーク状Cu粉末>>
[比較例9]
比較例6で製造された略球状のCu粉末に対してフレーク化処理を施した。具体的には以下のとおりである。
(フレーク化)
Cu粉末1.732kgとステアリン酸(ST5000)を5.2g、径が0.5mmのジルコニアビーズ10.5kgと工業用アルコール(日本アルコール販売(株)製 ソルミックスAP7)0.93gをアトライターに投入し、窒素雰囲気中で、回転数360rpmで180分粉砕後、得られたスラリーをろ過し、乾燥してフレーク状銅粉末を得た。
得られた比較例9に係るCu粉末について、比較例6と同様に、Si量、TMA、BET比表面積、充填率、酸素量、窒素量、炭素量及び粒度分布の評価を行った。結果は後記表1に示した。
[比較例10]
比較例9に係るCu粉末に対して、Si量換算で50ppmのAPTMSをコートした。具体的には以下のとおりである。
Cu粉末150gに対して、表面処理剤として3-アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS)0.096g(Cu粉末100質量部に対して0.064質量部)を加えて、Cu粉末を解砕しながら、Cu粉末と表面処理剤を混合して、APTMSで表面処理されたCu粉末を得た。
得られた比較例10に係るCu粉末について、比較例6と同様に、Si量、TMA、BET比表面積、充填率、酸素量、窒素量、炭素量及び粒度分布の評価を行った。結果は後記表1に示した。
[実施例2]
APTMSの使用量を、Si量換算で100ppmに変更した以外は比較例10と同様にして、実施例2に係るCu粉末を得た。当該Cu粉末について、比較例6と同様に、Si量、TMA、BET比表面積、充填率、酸素量、窒素量、炭素量及び粒度分布の評価を行った。結果は後記表1に示した。
[実施例3]
APTMSの使用量を、Si量換算で200ppmに変更した以外は比較例10と同様にして、実施例3に係るCu粉末を得た。当該Cu粉末について、比較例6と同様に、Si量、TMA、BET比表面積、充填率、酸素量、窒素量、炭素量及び粒度分布の評価を行った。結果は後記表1に示した。
[比較例11]
APTMSの使用量を、Si量換算で400ppmに変更した以外は比較例10と同様にして、比較例11に係るCu粉末を得た。当該Cu粉末について、比較例6と同様に、Si量、TMA、BET比表面積、充填率、酸素量、窒素量、炭素量及び粒度分布の評価を行った。結果は後記表1に示した。
<<球状Ag粉末>>
[比較例12]
大気雰囲気下、タンディッシュ炉中でショット銀40kgを1400℃に加熱した溶湯をタンディッシュ炉下部から落下させながら、水アトマイズ装置により大気中で高圧水(水圧:70MPa、水量:160L/分、pH:5.8)を吹付けて粉砕・凝固させ、得られた粉末をろ過し、水洗し、乾燥し、解砕し、分級して、Ag粉末を得た。
この比較例12に係るAg粉末について、比較例1と同様に、Si量、TMA、BET比表面積、充填率、酸素量、窒素量、炭素量及び粒度分布の評価を行った。結果は後記表1に示した。Si量の評価結果(後掲の表1参照)から、Ag粉末の原料であるショット銀はSiを実質的に含んでいなかったと言える。
[実施例4]
比較例12に係るAg粉末に対して、Si量換算で100ppmのAPTMSをコートした。具体的には以下のとおりである。
Ag粉末150gに対して、表面処理剤として3-アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS)0.096g(銀粉100質量部に対して0.064質量部)を加えて、銀粉を解砕しながら、銀粉と表面処理剤を混合して、APTMSで表面処理されたAg粉末を得た。
得られた実施例4に係るAg粉末について、比較例1と同様に、Si量、TMA、BET比表面積、充填率、酸素量、窒素量、炭素量及び粒度分布の評価を行った。結果は後記表1に示した。
[比較例14]
大気雰囲気下、タンディッシュ炉中でショット銀40kgを1600℃に加熱した溶湯をタンディッシュ炉下部から落下させながら、水アトマイズ装置により大気中で高圧水(水圧:150MPa、水量:160L/分、pH:5.8)を吹付けて粉砕・凝固させ、得られた粉末をろ過し、水洗し、乾燥し、解砕し、分級して、Ag粉末を得た。
この比較例14に係るAg粉末について、比較例1と同様に、Si量、TMA、BET比表面積、充填率、酸素量、窒素量、炭素量及び粒度分布の評価を行った。結果は後記表1に示した。
[実施例5]
比較例14に係るAg粉末に対して、Si量換算で100ppmのAPTMSをコートした。具体的には以下のとおりである。
Ag粉末150gに対して、表面処理剤として3-アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS)0.096g(銀粉100質量部に対して0.064質量部)を加えて、銀粉を解砕しながら、銀粉と表面処理剤を混合して、APTMSで表面処理されたAg粉末を得た。
得られた実施例5に係るAg粉末について、比較例1と同様に、Si量、TMA、BET比表面積、充填率、酸素量、窒素量、炭素量及び粒度分布の評価を行った。結果は後記表1に示した。
[比較例15]
APTMSの使用量を、Si量換算で1000ppmに変更した以外は実施例5と同様にして、比較例15に係るAg粉末を得た。当該Ag粉末について、比較例1と同様に、Si量、TMA、BET比表面積、充填率、酸素量、窒素量、炭素量及び粒度分布の評価を行った。結果は下記表1に示した。
Figure 2023064203000005
<ペースト評価>
比較例1、実施例1、比較例8及び比較例10のCu粉末9gとBCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート)1gを混錬機で1400rpm、30sec混合して得た導電性ペーストを、アルミナ基板上に塗布した。その後、前記基板上に形成された塗膜を窒素雰囲気下において、規定温度(600℃又は700℃)まで5℃/minの速さで昇温し、その温度で10min保持した後、加熱を止め窒素雰囲気下で自然冷却した。
得られた、前記塗膜の熱処理物を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率5000倍で観察した。結果を図1(比較例1(600℃加熱))、図2(実施例1((a)600℃加熱、(b)700℃加熱))、図3(比較例8((a)600℃加熱、(b)700℃加熱))及び図4(比較例10(600℃加熱))に示す。
比較例1は600℃での加熱により焼結が進行している。実施例1は600℃での加熱では焼結が実質的に起こっておらず、700℃での加熱では焼結が進行している。比較例8は600℃での加熱では焼結が実質的に起こっておらず、700℃での加熱では、焼結が起こっているがわずかである。比較例10は600℃での加熱により焼結が進行している。

Claims (10)

  1. 粒子表面に下記一般式(1)で表される化合物が付着している金属粉末であって、
    25℃から900℃まで昇温速度10℃/分で昇温する熱機械分析(TMA)を行ったとき、400~700℃までのdTMAの最大値が5~20μm/minであり、400~700℃におけるdTMAが最大となる温度が600℃以上であり、
    前記熱機械分析において収縮率が1%となるときの温度を焼結開始温度(℃)と定義したとき、当該焼結開始温度が480℃以上であり、
    前記金属粉末の、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50径)に対する、前記体積基準の累積90%粒子径(D90径)と前記体積基準の累積10%粒子径(D10径)との差の割合((D90径)-(D10径)/(D50径))を粒度分布差と定義したとき、前記焼結開始温度(℃)を粒度分布差で割った数値Xが390(℃)以上である、金属粉末。
    Figure 2023064203000006
    (式(1)において、R1,R2及びR3はそれぞれ独立に炭素数1~5のアルキル基であり、Rは炭素数1~5のアルキレン基である)。
  2. 前記金属が銅又は銀である、請求項1に記載の金属粉末。
  3. 前記熱機械分析において、700℃を超えて900℃以下におけるdTMAの最大値が23μm/min以上である、請求項1又は2に記載の金属粉末。
  4. 前記一般式(1)において、R1,R2及びR3がそれぞれ独立に炭素数1~3のアルキル基である、請求項1~3のいずれかに記載の金属粉末。
  5. 前記一般式(1)において、Rが炭素数1~3のアルキレン基である、請求項1~4のいずれかに記載の金属粉末。
  6. レーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50径)が1~15μmである、請求項1~5のいずれかに記載の金属粉末。
  7. 請求項1~6のいずれかに記載の金属粉末が、有機溶剤及びバインダ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の中に分散している、導電性ペースト。
  8. 金属粉末からなるコア粉末と下記一般式(1)で表される化合物とを混合することで、前記コア粉末の粒子表面に前記化合物を付着させる、請求項1に記載の金属粉末の製造方法:
    Figure 2023064203000007
    (式(1)において、R1,R2及びR3はそれぞれ独立に炭素数1~5のアルキル基であり、Rは炭素数1~5のアルキレン基である)。
  9. 前記金属が銅又は銀である、請求項8に記載の金属粉末の製造方法。
  10. 前記コア粉末のレーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50径)が1~15μmである、請求項8又は9に記載の金属粉末の製造方法。

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