JP2015083714A - 複合粉末の製造方法およびこの製造方法により得られた複合粉末を用いた導電性厚膜ペーストおよび積層セラミック電子部品 - Google Patents

複合粉末の製造方法およびこの製造方法により得られた複合粉末を用いた導電性厚膜ペーストおよび積層セラミック電子部品 Download PDF

Info

Publication number
JP2015083714A
JP2015083714A JP2014180188A JP2014180188A JP2015083714A JP 2015083714 A JP2015083714 A JP 2015083714A JP 2014180188 A JP2014180188 A JP 2014180188A JP 2014180188 A JP2014180188 A JP 2014180188A JP 2015083714 A JP2015083714 A JP 2015083714A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
composite powder
producing
inorganic compound
metal component
mill base
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014180188A
Other languages
English (en)
Inventor
理一登 石川
Masahito Ishikawa
理一登 石川
緒方 直明
Naoaki Ogata
直明 緒方
英靖 大西
Hideyasu Onishi
英靖 大西
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Murata Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Murata Manufacturing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Murata Manufacturing Co Ltd filed Critical Murata Manufacturing Co Ltd
Priority to JP2014180188A priority Critical patent/JP2015083714A/ja
Publication of JP2015083714A publication Critical patent/JP2015083714A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Metal Powder And Suspensions Thereof (AREA)
  • Ceramic Capacitors (AREA)
  • Fixed Capacitors And Capacitor Manufacturing Machines (AREA)
  • Conductive Materials (AREA)

Abstract

【課題】安価な材料を用いて、セラミック電子部品を作製する際に電極連続性の良好な内部電極を形成することができる複合粉末の製造方法を提供するとともに、このような方法で作製された複合粉末を用いた導電性厚膜ペーストと、複合粉末を用いて電極を形成した積層セラミック電子部品を提供する。
【解決手段】金属成分と無機化合物を溶媒中で分散もしくは溶解した混濁液を100〜1000℃の温度で乾燥する。この場合、金属成分を溶媒中で分散して第1ミルベースとする工程と、無機化合物を溶媒中で分散もしくは溶解して第2ミルベースとする工程と、第1ミルベースと第2ミルベースとを混合撹拌して第3ミルベースとする工程と、第3ミルベースを100〜1000℃の温度で乾燥する工程とを含む複合粉末の製造方法とすることができる。
【選択図】なし

Description

この発明は、複合粉末の製造方法およびこの製造方法により得られた複合粉末を用いた導電性厚膜ペーストおよび積層セラミック電子部品に関し、特にたとえば、積層セラミック電子部品の内部電極を形成するために用いられる複合粉末の製造方法およびこの製造方法により得られた複合粉末を用いた導電性厚膜ペーストおよび積層セラミック電子部品に関する。
積層セラミックコンデンサ等の大容量化、小型化を図るためには、内部電極の薄層化が重要な課題である。しかしながら、内部電極を薄層化した場合には、それを形成する金属成分と、一般的に焼結温度が1000℃以上である誘電体セラミックシートとの間において、焼結時の収縮挙動に差異があり、それによる電極切れの課題が発生する。すなわち、焼結過程において、誘電体セラミックシートより金属成分が先に焼結され始め、セラミックが焼結開始する温度に達するまでに金属成分が過度に粒成長し、電極連続性が低下する。電極連続性が低下すると、積層セラミックコンデンサの静電容量が低下する。
このような課題を解決するために、ニッケル粉末を主成分とし、誘電体層と同じ組成物であって平均粒径が最大でも0.1μmの共材5〜30wt%添加し、それを導電体ペーストとして内部電極を形成し、誘電体層と内部電極層とを交互に積層形成した積層セラミック電子部品が開示されている(特許文献1参照)。
また、Ni粉末の焼結抑制効果を狙いとして、Ni微粉末表面上に、TiO2,MnO2,Cr23,Al23,SiO2,Y23,ZrO2,BaTiO3の中から選ばれる少なくとも1種以上の酸化物が存在する複合Ni粉末を作製することが開示されている。この場合、湿式法によりNiと前記酸化物とを水に投入し、加温およびpH調整することで酸化物を含む複合Ni粉末を得るという方法を採用している(特許文献2参照)。
また、平均粒径が10〜100nmで、銅微粒子の表面に、タングステン、モリブデン、タンタルから選ばれる少なくとも1種の高融点金属が存在する複合銅微粉が開示されている。このような複合銅微粉を得るために、銅または銅化合物と上述の高融点金属の化合物とを熱プラズマにより気化させ、得られた金属蒸気を凝縮させている。このように、高融点金属で銅の表面を被覆することにより、銅の焼結抑制効果を期待している(特許文献3参照)。
特開2001−110233号公報 特開平11−343501号公報 特開2007−211332号公報
特許文献1の場合、共材が金属成分の周囲に均質に配置されていなければ、共材の存在しない部分から金属成分の焼結が進んでしまい、十分な焼結抑制効果を得ることができず、電極連続性が低下するという課題がある。
また、特許文献2の場合、酸化物または複合酸化物をNi表面に形成する方法を採用しているが、これらの方法では、金属粉末に均一な酸化物層を形成することが非常に難しく、酸化物層が剥がれた箇所から金属成分の焼結が進んでしまい、十分な焼結抑制効果が得られないという課題がある。
また、引用文献3では、金属成分の表面に高融点金属を被覆しているが、高融点金属は高価なものが多く、量産には不向きであるという課題がある。
それゆえに、この発明の主たる目的は、安価な材料を用いて、セラミック電子部品を作製する際に電極連続性の良好な内部電極を形成することができる複合粉末の製造方法を提供することである。
また、この発明の他の目的は、このような方法で作製された複合粉末を用いた導電性厚膜ペーストと、複合粉末を用いて電極を形成した積層セラミック電子部品を提供することである。
この発明は、金属成分と無機化合物を溶媒中で分散もしくは溶解した混濁液を100〜1000℃の温度で乾燥することを特徴とする、複合粉末の製造方法である。
100〜1000℃の高温で乾燥すると、金属成分の周囲に無機化合物が均一に固着する。また、無機化合物として2成分以上を添加した場合、これらが乾燥中に金属成分表面で反応し、コート層を形成することで焼結抑制効果が高くなる場合がある。
温度が100℃より低い場合は,溶媒成分の乾燥が不十分であり、金属成分表面への無機化合物の固着が弱いため、焼結抑制効果は十分に発揮されない。また、温度が1000℃より高い場合は、乾燥中ならびに乾燥後に金属成分が焼結を開始してしまい、セラミック電子部品の作製時における焼成の際に、乾燥時における焼結開始後の状態を起点として焼結が進行してしまう。
このような複合粉末の製造方法において、溶媒は非水溶系の溶媒であることが好ましい。
溶媒として、非水溶系の低極性溶媒(非極性溶媒)を用いることにより、低極性溶媒と同じく低極性である無機化合物の表面エネルギーが近いため、無機化合物の高分散化が進み、噴霧前により均一に高分散状態で無機化合物が金属成分に付着し、噴霧乾燥時に緻密に固着し被覆する。
このような複合粉末の製造方法において、金属成分を溶媒中で分散して第1ミルベースとする工程と、無機化合物を溶媒中で分散もしくは溶解して第2ミルベースとする工程と、第1ミルベースと第2ミルベースとを混合撹拌して第3ミルベースとする工程と、第3ミルベースを100〜1000℃の温度で乾燥する工程とを含む製造方法とすることができる。
無機化合物と金属成分とを混合する間に、それぞれを溶媒中において十分な分散を施すことにより、これらを混合することでより均一に無機化合物が金属成分に付着し、それが乾燥時に緻密に固着するため、焼結抑制効果が高くなる。
また、無機化合物は、Mg,Ca,Sr,Ba,Ti,Mn,Cr,Al,Si,Y,Zrの塩からなる集合から選ばれる少なくとも1つを含むことが好ましい。また、希土類であるLa,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Luを用いてもよい。
このような無機化合物が金属成分の周囲に配置されることにより、焼結過程において過度の粒成長が抑制され、電極連続性が向上する効果を高めることができる。
また、無機化合物はABO3で表されるペロブスカイト型構造を有し、AはBa,Ca,Srの中から選ばれる少なくとも1つを含み、BはTi,Zrの中から選ばれる少なくとも1つを含むことが好ましい。
このような無機化合物が金属成分の周囲に配置されることにより、焼結過程において過度の粒成長が抑制され、電極連続性が向上する効果を高めることができる。
また、無機化合物の添加量は、金属成分に対して0.5〜30質量%であることが好ましい。
無機化合物の添加量が金属成分に対して0.5質量%より少ない場合、無機化合物が固着していない金属表面から焼結が進行し、熱収縮が顕著に発生する。また、無機化合物の添加量が金属成分に対して30質量%より大きい場合、無機化合物の添加量が多すぎるため、金属成分同士の接触が少なく、焼結が進行しにくいため、電極連続性が低下する。
また、金属成分の平均一次粒径は50nm〜1000nmであることが好ましい。
金属成分の平均一次粒径が50nmより小さい場合、金属成分同士の接触面積が大きく、過度に焼結が進んでしまう。また、金属成分の平均一次粒径が1000nmより大きい場合、金属粉末同士の接触面積が小さく、焼結が進行しにくいため、電極連続性が低下する。
また、無機化合物の比表面積が5〜500m2/gであることが好ましい。
無機化合物の比表面積が500m2/gより大きい場合、無機化合物が分散後に再凝集して、金属成分の周囲に均一に配置されない。無機化合物の比表面積が5m2/gより小さい場合、焼結抑制の効果が小さい。
また、乾燥する工程における雰囲気は、空気、不活性ガス、N2ガス、H2ガス、O2ガスの中から選ばれる少なくとも1つを含むものとすることができる。
これらのガスを用いて適切に雰囲気を制御することで、金属成分の酸化を抑制することができる。
また、金属成分は、Ag,Cu,Ni,Pdの中から選ばれる少なくとも1つ、またはこれらの中から選ばれる複数の金属成分からなる合金を含むことが好ましい。
積層セラミック電子部品の導電成分として機能するためには、上述のような金属または合金を使用することが好ましい。
また、この発明は、上述のいずれかに記載の複合粉末の製造方法によって製造された複合粉末を用いたことを特徴とする、導電性厚膜ペーストである。
さらに、この発明は、上述のいずれかに記載の複合粉末の製造方法によって製造された複合粉末を用いて電極を形成したことを特徴とする、積層セラミック電子部品である。
上述のような製造方法を用いて製造された複合粉末を使用して導電性厚膜ペーストを作製し、この導電性厚膜ペーストを用いてセラミックグリーンシート上に電極パターンを形成して積層し、焼成することにより、積層セラミック電子部品が得られる。このとき、導電性厚膜ペーストの焼成において、焼結抑制効果が働き、電極切れなどが発生していない内部電極を得ることができ、優れた特性を有する積層セラミック電子部品を得ることができる。
この発明によれば、安価な材料を用いて、セラミック電子部品を作製する際に電極連続性の良好な内部電極を形成することができる複合粉末の製造方法を提供することである。したがって、このような方法で作製された複合粉末を用いることにより、セラミックグリーンシート上に電極パターンを形成して焼成しても、電極連続性の良好な内部電極を有する積層セラミック電子部品を得ることができる導電性厚膜ペーストを得ることができ、優れた特性を有する積層セラミック電子部品を得ることができる。
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
以下に、複合粉末の製造方法について説明する。まず、純水に無機化合物ならびに金属成分が所定量投入された後、ボールミル等で分散して、混濁液が得られる。この際、純水の代わりに、有機溶媒が用いられてもよい。また、必要に応じて、分散剤などの添加剤が用いられてもよい。得られた混濁液を噴霧熱分解装置(大化原加工社製、RH−2)等の噴霧乾燥装置により、入口温度を100〜1000℃に調整して、50L/分の空気またはガスを流しながら噴霧乾燥を実施することにより、複合粉末が得られる。この明細書においては噴霧乾燥を例にするが、乾燥方法はこれに限定せず、気流乾燥や真空乾燥等も用いることができる。
この明細書において、無機化合物ならびに金属成分を含んだスラリーをスプレー状に噴霧しながら加熱する方法は、全て噴霧乾燥と呼称することとする。この噴霧乾燥の過程において、無機化合物同士が反応し、反応物によって金属成分の表面に被覆層が形成されることがある。
なお、上述のように、純水または有機溶媒中に無機化合物および金属成分を投入して混濁液を作製する方法を「混合分散」と呼称し、次に説明する混濁液の作製方法を「単独分散」と呼称することとする。
まず、純水に無機化合物が所定量投入された後、ボールミル等で分散して第1ミルベースが得られる。この際に、純水の代わりに有機溶媒が用いられてもよい。有機溶媒としては、例えば、非水溶系の低極性溶媒であるアセトンやエタノールなどを挙げることができる。また、必要に応じて、分散剤などの添加剤が用いられてもよい。次に、純水に金属成分を所定量投入した後、ボールミル等で分散することにより、第2ミルベースが得られる。この際、純水の代わりに有機溶媒が用いられてもよい。有機溶媒としては、例えば、非水溶系の低極性溶媒であるアセトンやエタノールなどを挙げることができる。また、必要に応じて、分散剤などの添加剤が用いられてもよい。これらの第1ミルベースと第2ミルベースとを混合撹拌することにより、第3ミルベースが得られる。この第3ミルベースを撹拌した状態で、噴霧熱分解装置(大化原加工社製、RH−2)等により、入口温度100〜1000℃の温度に調整して噴霧乾燥して、複合粉末が得られる。
上述のそれぞれの方法において、無機化合物は、Mg,Ca,Sr,Ba,Ti,Mn,Cr,Al,Si,Y,Zrの塩からなる集合から、少なくとも1つを含むことが好ましい。また、希土類であるLa,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Luを用いてもよい。前記の無機化合物は、ABO3のペロブスカイト型構造を有し、Aは例えばBa,Ca,Sr等であり、Bは例えばTi,Zr等であって、これらの成分のうち少なくとも1つを含むものであることが好ましい。
無機化合物の添加量は、金属成分に対して0.5〜30質量%であることが好ましい。また、金属成分の平均一次粒径は、50nm〜1000nmの範囲にあることが好ましい。さらに、無機化合物の比表面積は、5〜500m2/gの範囲にあることが好ましい。また、噴霧乾燥工程における雰囲気は、空気、不活性ガス、N2ガス、H2ガス、O2ガスから選ばれる少なくとも1つを含む雰囲気であることが好ましい。
また、複合粉末を得るために用いられる金属成分としては、Ag,Cu,Ni,Pdのうちの少なくとも1つまたは合金を含むことが好ましい。
このようにして得られた複合粉末を用いて、導電性ペーストを作製することができる。そのために、まず、得られた複合粉末と有機溶剤とを所定量秤量し、撹拌してミルベースAが作製される。ここで、必要に応じて、任意量の分散剤や添加剤を混練してもよい。次に、3本ロールミル等の分散方法により、ミルベースAを混練し、金属粉末を均一に分散させて、ミルベースBが得られる。さらに、ミルベースBに所定量のバインダ樹脂と、有機溶剤とを秤量・撹拌して、導電性ペーストが作製される。この際に、必要に応じて、任意量の添加剤を混練してもよい。また、必要に応じて、ミルベースAと異なる有機溶剤を混合してもよい。
このようにして得られた導電性ペーストを用いて、積層セラミック電子部品を作製することができる。そのために、セラミックグリーンシートが準備される。セラミックグリーンシート上の所定の位置に、導電性ペーストを印刷し、それによって導体膜が形成される。導体膜が形成されたセラミックグリーンシートを含む複数のセラミックグリーンシートが積層・圧着され、それによって生の積層体が作製される。この生の積層体を焼成することにより、積層セラミック電子部品が作製される。
得られた複合粉末について、熱収縮率が測定される。この場合、得られた複合粉末から任意量の粉末が採取され、58.8Paの圧力で直径約4mm、高さ約2mmの円柱状のペレットが作製される。そのペレットを用いて、熱機械分析装置(理学電機社製、TMA8310)を用いて、N2ガス雰囲気中、昇温速度10℃/分で昇温して熱収縮率が測定される。
この熱収縮率は、金属粉末ならびに複合粉末が焼結して収縮する現象の指標となり、熱収縮が大きいほど焼結が進行することを示す。判定は、600℃、800℃、1000℃の収縮率を比較し、600〜1000℃の全てにおいて熱収縮率が3%以上の場合は「×」印、600℃における熱収縮率は3%以下であるが、800〜1000℃における熱収縮率が3%以上の場合は「△」印、600〜800℃における熱収縮率は3%以下であるが、1000℃における熱収縮率が3%以上の場合は「○」印、600〜1000℃の全てにおいて熱収縮率が3%以下の場合「◎」印が付される。
また、得られた複合粉末を用いて作製した導電性ペーストで電極を形成した場合の電極連続性が評価される。そのために、厚さ3μmの誘電体グリーンシート上に塗布厚1μmとなるように導電性ペーストを印刷し、導体膜が形成される。この印刷物が、昇温速度10℃/分の条件で昇温し、1100℃にて2時間、N2雰囲気中で焼成される。その後、シートの裏面から透過光を照射し、金属顕微鏡を用いて倍率100倍の条件で、導体膜表面が10視野観察される。これらの観察画像全体の中で導体膜が被覆している面積の平均が「被覆率」として算出され、電極連続性の指標とされる。判定として、被覆率が60%以上のものに「○」印が付され、被覆率が60%より低いものに「×」印が付される。
熱収縮評価ならびに電極連続性評価において、1つでも「△」印および「×」印が付されている場合、総合判定として「×」印が付され、その他のものについては、総合判定として「○」印が付される。
上述の噴霧乾燥において、入口温度を80〜1100℃の間で調整し、複合粉末を作製した。これらの複合粉末を用いて、熱収縮率評価および電極連続性評価を実施した。そして、実施例についての結果を表1に示し、比較例についての結果を表2に示した。
表1から明らかなように、入口温度が100〜1000℃の場合、600〜800℃における熱収縮率が3%以下となり、焼結抑制効果が高いことが確認された。また、電極被覆率も68%以上となり、電極連続性が高いことが確認された。
一方、入口温度が80℃の場合、表2に示すように、600℃の時点で熱収縮率が18.23%となり、大幅に熱収縮していることが確認された。また、電極被覆率も46.0%となり、電極連続性が低下することが確認された。これは、入口温度が80℃の場合、溶媒成分の乾燥が不十分であり、金属成分の表面への無機化合物の固着が弱いため、焼結抑制効果が十分に発揮されないためであると考えられる。
また、入口温度が1100℃の場合、表2に示すように、800℃における熱収縮率が5.33%、1000℃における熱収縮率が16.89%となり、100〜1000℃に比べると、熱収縮が進んでいる。また、電極連続性が60%以下と低いことが確認された。これは、入口温度が高すぎるため、噴霧中ならびに噴霧後に金属成分が焼結を開始してしまい、焼成時にはその部分を起点にして焼結が進行してしまうためであると考えられる。
上述の単独分散により第3ミルベースを作製し、第3ミルベースを入口温度100〜1000℃で噴霧乾燥して複合粉末を作製し、熱収縮率評価および電極連続性評価を行って、その結果を表3に示した。
表3からわかるように、単独分散方式を採用した場合、600〜1000℃における熱収縮率は1%未満であり、混合分散方式を採用した表1の実施例1−1〜1−4よりも高い焼結抑制挙動を示していることが確認された。また、電極被覆率も88.8%となり、高い電極連続性を示していることが確認された。これは、無機化合物と金属成分とを混合する前に、それぞれに十分な分散を施すことで、噴霧前により均一に無機化合物が金属成分に付着し、噴霧乾燥時に緻密に固着するためであると考えられる。
また、表3からわかるように、非水溶系の低極性溶媒(非極性溶媒)であるアセトン、エタノールを採用した実施例2−2、実施例2−3においては、600〜1000℃における熱収縮率の値は、溶媒として水を採用した実施例2−1の熱収縮率よりも低く、焼結抑制効果を高めていることが確認された。また、電極被覆率もそれぞれ89.9%、90.5%となり、実施例2−1よりも高い電極連続性を示していることが確認された。これは、非水溶系の低極性溶媒で無機化合物と金属成分とを混合することで、低極性溶媒と同じく低極性である無機化合物の表面エネルギーが近いため、無機化合物の高分散化が進み、噴霧前により均一に高分散状態で無機化合物が金属成分に付着し、噴霧乾燥時に緻密に固着し被覆するためである。
複合粉末を作製するために使用される無機化合物として、Mg,Ca,Sr,Ba,Ti,Mn,Cr,Al,Si,Y,Zrの塩からなる集合より少なくとも1つを選択した。これらの無機化合物を用いて複合粉末を作製し、熱収縮率評価および電極連続性評価を行って、その結果を表4に示した。
表4からわかるように、本実施例に使用した無機化合物においては、600〜1000℃における熱収縮率がいずれも3%以下で焼結抑制効果が高く、電極被覆率も80%以上となり、高い電極連続性が得られることが確認された。これは、これらの無機化合物が金属成分の周囲に配置されることにより、焼結過程において過度の粒成長が抑制され、電極連続性が向上する効果が高まるためであると考えられる。
複合粉末を作製するために使用される無機化合物の添加量を金属成分に対して0.2〜50質量%に調整し、得られた複合粉末について、熱収縮率評価および電極連続性評価を実施した。そして、実施例についての結果を表5に示し、比較例についての結果を表6に示した。
表5からわかるように、無機化合物の添加量が金属成分に対して0.5〜30質量%の場合、600〜1000℃における熱収縮率がいずれも3%以下で、焼結抑制効果が高く、電極被覆率も80%以上となり、高い電極連続性が得られた。
一方、表6からわかるように、無機化合物の添加量が金属成分に対して0.2質量%の場合、800℃における熱収縮率が18.4%と大きく、十分な焼結抑制効果が得られないことが確認された。これは、無機化合物の添加量が少ないために、無機化合物が固着していない金属表面が存在し、その部分から焼結が進行して熱収縮が起こったものであると考えられる。
また、無機化合物の添加量が金属成分に対して50質量%の場合、電極被覆率が60%より低くなり、電極連続性が低下した。これは、無機化合物の添加量が過度に多いために、金属成分同士の接触が少なく、焼結の進行が少ないためであると考えられる。
複合粉末を作製するための金属成分の平均一次粒径を30〜1500nmに調整して、得られた複合粉末について、熱収縮率評価および電極連続性評価を実施した。ここでの平均一次粒径は、走査型電子顕微鏡を用いて、任意倍率にて画像を取得し、各々の観察画像について200個の粉末を無作為に選択し、これらの直径を測定して、200個の粉末の直径の平均値を算出して、平均一次粒径とした。そして、実施例についての結果を表7に示し、比較例についての結果を表8に示した。
表7からわかるように、金属成分の平均一次粒径が50〜1000nmの場合、600〜1000℃における熱収縮率が1%以下となり、高い焼結抑制効果が得られることが確認された。また、電極被覆率は78%以上であり、電極連続性も高いことが確認された。
一方、表8からわかるように、金属成分の平均一次粒径が30nmの場合、600℃における熱収縮率は0.45%であったが、800〜1000℃における熱収縮率は12%以上となり、焼結抑制効果が低いことが確認された。これは、金属成分同士の接触面積が大きく、焼結が進行するためであると考えられる。
また、金属成分の平均一次粒径が1500nmの場合、600〜1000℃における熱収縮率は1%以下であり、焼結抑制効果は高いが、電極被覆率は50.5%と低く、電極連続性が低いことが確認された。これは、金属粉末同士の接触面積が小さく、焼結が進行しないため、電極連続性が低下したものと考えられる。
複合粉末を得るための無機化合物の比表面積を3〜600m2/gに調整し、得られた複合粉末について、熱収縮率評価および電極連続性評価を実施した。ここでの比表面積は、比表面積測定装置(マックソープ)により、粒子表面へのN2吸着量により比表面積を計測した値である。そして、実施例についての結果を表9に示し、比較例についての結果を表10に示した。
表9からわかるように、無機化合物の比表面積が5〜500m2/gの場合、600〜1000℃における熱収縮率は1%以下であり、高い焼結抑制効果が得られることが確認された。また、電極被覆率は76%以上であり、電極連続性が高いことが確認された。
一方、表10からわかるように、無機化合物の比表面積が3m2/gの場合、800〜1000℃における熱収縮率が11%以上となり、焼結抑制効果が低下した。
また、無機化合物の比表面積が600m2/gの場合、800〜1000℃における熱収縮率が9%以上となり、焼結抑制効果が低下することが確認された。これは、無機化合物が分散後に再凝集して、金属成分の周囲に均一に配置されないためであると考えられる。
上述の噴霧乾燥時における雰囲気を空気中および不活性ガスであるAr,H2+N2,O2+N2雰囲気として、複合粉末を作製し、熱収縮率評価および電極連続性評価を実施した。そして、これらの実施例についての結果を表11に示した。
表11からわかるように、これらの場合は、全て600〜1000℃における熱収縮率が1%以下であり、高い焼結抑制効果が得られることが確認された。また、電極被覆率はいずれも78%以上であり、電極連続性も高いことが確認された。
複合粉末を作製するための金属成分をNi,Ag,Pd,SUS317として、複合粉末を作製し、熱収縮率評価および電極連続性評価を実施した。ここで、SUS317はステンレスの合金であり、その組成には、Niを11〜15%、Crを18〜20%、Moを3〜4%含有するものである。そして、これらの実施例についての結果を表12に示した。
表12からわかるように、これらの場合は、全て600〜1000℃における熱収縮率が1%以下であり、高い焼結抑制効果が得られることが確認された。また、電極被覆率はいずれも79%以上であり、電極連続性も高いことが確認された。

Claims (12)

  1. 金属成分と無機化合物を溶媒中で分散もしくは溶解した混濁液を入口温度が100〜1000℃の温度で乾燥することを特徴とする、複合粉末の製造方法。
  2. 前記溶媒は、非水溶系の溶媒であることを特徴とする、請求項1に記載の複合粉末の製造方法。
  3. 前記金属成分を溶媒中で分散して第1ミルベースとする工程、
    前記無機化合物を溶媒中で分散もしくは溶解して第2ミルベースとする工程、
    前記第1ミルベースと前記第2ミルベースとを混合撹拌して第3ミルベースとする工程、および
    前記第3ミルベースを入口温度が100〜1000℃の温度で乾燥する工程を含む、請求項1または請求項2に記載の複合粉末の製造方法。
  4. 前記無機化合物は、Mg,Ca,Sr,Ba,Ti,Mn,Cr,Al,Si,Y,Zrの塩からなる集合から選ばれる少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の複合粉末の製造方法。
  5. 前記無機化合物はABO3で表されるペロブスカイト型構造を有し、AはBa,Ca,Srの中から選ばれる少なくとも1つを含み、BはTi,Zrの中から選ばれる少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の複合粉末の製造方法。
  6. 前記無機化合物の添加量は、前記金属成分に対して0.5〜30質量%であることを特徴とする、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の複合粉末の製造方法。
  7. 前記金属成分の平均一次粒径は50nm〜1000nmであることを特徴とする、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の複合粉末の製造方法。
  8. 前記無機化合物の比表面積が5〜500m2/gであることを特徴とする、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の複合粉末の製造方法。
  9. 前記乾燥する工程における雰囲気は、空気、不活性ガス、N2ガス、H2ガス、O2ガスの中から選ばれる少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の複合粉末の製造方法。
  10. 前記金属成分は、Ag,Cu,Ni,Pdの中から選ばれる少なくとも1つ、またはこれらの中から選ばれる複数の金属成分からなる合金を含むことを特徴とする、請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の複合粉末の製造方法。
  11. 請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の複合粉末の製造方法によって製造された複合粉末を用いたことを特徴とする、導電性厚膜ペースト。
  12. 請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の複合粉末の製造方法によって製造された複合粉末を用いて電極を形成したことを特徴とする、積層セラミック電子部品。
JP2014180188A 2013-09-18 2014-09-04 複合粉末の製造方法およびこの製造方法により得られた複合粉末を用いた導電性厚膜ペーストおよび積層セラミック電子部品 Pending JP2015083714A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014180188A JP2015083714A (ja) 2013-09-18 2014-09-04 複合粉末の製造方法およびこの製造方法により得られた複合粉末を用いた導電性厚膜ペーストおよび積層セラミック電子部品

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013193482 2013-09-18
JP2013193482 2013-09-18
JP2014180188A JP2015083714A (ja) 2013-09-18 2014-09-04 複合粉末の製造方法およびこの製造方法により得られた複合粉末を用いた導電性厚膜ペーストおよび積層セラミック電子部品

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2015083714A true JP2015083714A (ja) 2015-04-30

Family

ID=53047452

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014180188A Pending JP2015083714A (ja) 2013-09-18 2014-09-04 複合粉末の製造方法およびこの製造方法により得られた複合粉末を用いた導電性厚膜ペーストおよび積層セラミック電子部品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2015083714A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018056433A (ja) * 2016-09-30 2018-04-05 住友金属鉱山株式会社 積層セラミック電子部品の内部電極膜の評価方法、並びに、積層セラミック電子部品の製造方法
CN110770941A (zh) * 2017-12-27 2020-02-07 株式会社Lg化学 制造隔板的方法、由此形成的隔板以及包括所述隔板的电化学装置
WO2024004394A1 (ja) * 2022-06-26 2024-01-04 株式会社村田製作所 積層セラミックコンデンサ
WO2024004391A1 (ja) * 2022-06-26 2024-01-04 株式会社村田製作所 導電性ペースト

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011219802A (ja) * 2010-04-07 2011-11-04 Noritake Co Ltd コアシェル粒子及びその製造方法

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011219802A (ja) * 2010-04-07 2011-11-04 Noritake Co Ltd コアシェル粒子及びその製造方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018056433A (ja) * 2016-09-30 2018-04-05 住友金属鉱山株式会社 積層セラミック電子部品の内部電極膜の評価方法、並びに、積層セラミック電子部品の製造方法
CN110770941A (zh) * 2017-12-27 2020-02-07 株式会社Lg化学 制造隔板的方法、由此形成的隔板以及包括所述隔板的电化学装置
CN110770941B (zh) * 2017-12-27 2021-12-14 株式会社Lg化学 制造隔板的方法、由此形成的隔板以及包括所述隔板的电化学装置
WO2024004394A1 (ja) * 2022-06-26 2024-01-04 株式会社村田製作所 積層セラミックコンデンサ
WO2024004391A1 (ja) * 2022-06-26 2024-01-04 株式会社村田製作所 導電性ペースト

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI511167B (zh) Conductive paste, laminated ceramic electronic parts, and the method of manufacturing the laminated ceramic electronic parts
JP2010067418A (ja) 導体ペーストおよびその製造方法
JP2011057511A (ja) セラミック電子部品およびその製造方法
JP2012169620A (ja) 積層セラミック電子部品及びその製造方法
KR20180101504A (ko) 니켈 분말
JP2015083714A (ja) 複合粉末の製造方法およびこの製造方法により得られた複合粉末を用いた導電性厚膜ペーストおよび積層セラミック電子部品
US10083793B2 (en) Metal powder, method for producing the same, conductive paste including metal powder, and multilayer ceramic electronic component
JP4303715B2 (ja) 導電性ペーストおよび積層型電子部品の製造方法
JP6287220B2 (ja) 複合粉末
JP5630363B2 (ja) 導電性ペーストおよびその製造方法
JP2011132071A (ja) 誘電体セラミックス材料の製造方法
JP7338634B2 (ja) Niペーストおよび積層セラミックコンデンサ
JP2009024204A (ja) 炭化物被覆ニッケル粉末およびその製造方法
JP6856701B2 (ja) 内部電極用ペーストおよび積層セラミック電子部品の製造方法
JPH06333722A (ja) 磁性フェライトの製造方法、磁性フェライト、積層型インダクタ部品、および複合積層部品
JP6798251B2 (ja) 導電層の製造方法
JP6649840B2 (ja) 導体形成用ペースト
JP2008218974A (ja) 電子部品およびその製造方法
JP2010077501A (ja) ニッケル−銅合金粉末およびその製法、導体ペースト、ならびに電子部品
JP5459952B2 (ja) 誘電体セラミックス材料の製造方法
JP6809280B2 (ja) 導電性ペーストの製造方法
JP5231387B2 (ja) 誘電体セラミックス材料の製造方法
JP5459951B2 (ja) セラミックスラリーの製造方法
JP2018195405A (ja) 内部電極用導電性ペーストの製造方法および電子部品の製造方法
JP2009228070A (ja) 卑金属粉末およびその製法、導体ペースト、ならびに電子部品

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170808

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180618

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180626

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180813

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20180911