JP2013171745A - 銅粉ペースト、及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】チップ積層セラミックコンデンサー用電極の製造に好適に使用可能な、焼結遅延性に優れた、表面処理された銅粉ペースト、及びその製造方法を、提供すること。
【解決手段】
Siの付着量が銅粉1gに対して500〜16000μg、銅粉に対するNの重量%が0.05%以上である、表面処理された銅粉と、バインダーとが、溶剤に分散されて含まれる、銅粉ペースト。
【選択図】なし

Description

本発明は、チップ積層セラミックコンデンサー用電極の製造に適した、銅粉ペースト、及びその製造方法に関する。
チップ積層セラミックコンデンサーは、小型大容量という特徴のために、多くの電子機器で使用されている電子部品である。チップ積層セラミックコンデンサーは、セラミック誘電体と内部電極を層状に積み重ねて一体化した構造となっており、積層された各層がそれぞれコンデンサ素子を構成し、外部電極によってこれらの素子を電気的に並列となるように接続して、全体としてひとつの小型で大容量のコンデンサーとなっている。
チップ積層セラミックコンデンサーの製造においては、誘電体のシートが、次のように製造される。すなわち、まず、BaTiO3等の誘電体原料粉末に分散剤や成型助剤としての有機バインダ及び溶剤を加え、粉砕、混合、脱泡工程を経て、スラリーを得る。その後、ダイコータ等の塗布工法をにより、スラリーをPETフィルム等のキャリアフィルム上に薄く延ばして塗布する。それを乾燥して薄い誘電体シート(グリーンシート)を得る。
一方、チップ積層セラミックコンデンサーの内部電極の原料である金属粉末が、誘電体原料粉末の場合と同様に、分散剤や成型助剤としての有機バインダ及び溶剤との混合、脱泡工程を経て、スラリー状の銅粉ペースト(銅ペースト)となる。これを主にスクリーン印刷法によりグリーンシート(誘電体シート)上に内部電極を印刷し、乾燥した後に、印刷済のグリーンシートをキャリアフィルムから剥離して、このようなグリーンシートを、多数積層させる。
このようにして積層させたグリーンシートに数10〜数100MPaのプレス圧力を加えて一体化させた後、個々のチップに切断する。その後、焼成炉で内部電極層、誘電体層を1000℃前後の高温で焼結させる。このようにして、チップ積層セラミックコンデンサーが製造される。
このようなチップ積層セラミックコンデンサーの内部電極には、この技術が開発された当時はPtが使用されていたが、コストの観点からPd、Pd−Ag合金、現在はNiが主に使用されている。しかし、近年は環境規制の観点からNiをCuに置き換えることが求められるようになってきた。また、NiをCuに置き換えれば、原理的には、高周波用途で低インダクタンスが実現可能となる。また、Cuは、Niよりもさらにコストが安いという利点もある。
一方、コンデンサーの小型化に伴い、内部電極は薄層化する傾向にあり、次世代タイプでは1μm前後になると言われている。このため、銅粉ペーストに使用される、内部電極用粉末の粒子サイズはさらに小さいものが望まれるようになっている。
ところが、そもそもCuの融点は、Pt、Pd、Niに比べて低い。さらに、上記のように望まれている粒子の小径化による表面積の増加が引き起こす融点の低下により、内部電極粉末としてCuが採用された場合には、焼成時には、より低い温度でCu粉の溶融が始まる。これは電極層自体にクラックの発生を誘発する。また、降温後に電極層が急激に収縮するので、誘電体層と電極層の剥離(デラミネーション)が起こる可能性がある。このような不具合を避けるために、内部電極用金属粉には誘電体と同等の熱収縮特性が求められており、これを表す指標として焼結開始温度がある。
このような要望に対して、これまで、チップ積層セラミックコンデンサーの内部電極に適した銅粉ペーストを得るために、銅粉ペーストに使用されるCu粉に表面処理を行う方法が提案されてきた。
特許文献1(特許第4001438号)はCu粉を液中に分散させ、これに金属元素の水溶性塩の水溶液を添加し、pHを調整して金属酸化物をCu粉表面に固着させ、さらにこれらの表面処理銅粉を相互に衝突させて表面処理層の固着を強化させる技術である。しかし、工程が銅粉への金属酸化物の吸着、及び固着強化から構成されるので、生産性の点で問題がある。また、銅粉の粒径が0.5μmよりもさらに小さくなると、吸着させる金属酸化物粒子とサイズが近くなるので、銅粉への酸化物の吸着自体が困難になると予想される。
特許文献2(特許第4164009号)は、特定の官能基を有するシリコーンオイルで銅粉を被覆させる技術である。しかし、オイルとCu粉を混合するので、凝集しやすく、作業性の点で問題がある。また、オイルとCu粉の分離の際のろ過が、困難であり、作業性の点で問題がある。
特許文献3(特許第3646259号)は、銅粉表面で加水分解したアルコキシシランをアンモニア触媒で縮合重合させて、SiO2ゲルコーティング膜を形成させる技術である。しかし、粒径1μm以下の銅粉に適用した際に、触媒であるNH3を凝集を防ぐように連続添加しなければならないが、反応制御が添加の具体的な操作技能の巧拙に依存していて非常に難しく、作業性及び生産性の点で、問題がある。
特許第4001438号公報 特許第4164009号公報 特許第3646259号公報
このように、チップ積層セラミックコンデンサーの内部電極の製造に好適に使用可能な、焼結遅延性、作業性、及び生産性に優れた、銅粉ペーストが求められている。
そこで、本発明の目的は、チップ積層セラミックコンデンサー用電極の製造に好適に使用可能な、焼結遅延性に優れた、表面処理された銅粉ペースト、及びその製造方法を、提供することにある。
本発明者は鋭意検討の結果、銅粉とアミノシラン水溶液を混合して、アミノシランを銅粉表面に吸着させることで、表面処理後の凝集がなく、これによって、焼結遅延性が劇的に向上した銅粉ペーストを得られることを見出して、本発明に到達した。これらの製造の操作は、非常に簡単であり、高度な技能を必要とせず、作業性に優れ、生産性に優れている。また、このようにして得られた、表面処理された銅粉による銅粉ペーストは、粒子の小さい銅粉を使用した銅粉ペーストであるにもかかわらず、高い焼結開始温度を示すものとなっていた。
したがって、本発明は、次の(1)〜(27)にある。
(1)
Siの付着量が銅粉1gに対して500〜16000μg、銅粉に対するNの重量%が0.05%以上である、表面処理された銅粉が、溶剤に分散されて含まれる、銅粉ペースト。
(2)
Siの付着量が銅粉1gに対して500〜16000μg、銅粉に対するNの重量%が0.05%以上である、表面処理された銅粉と、
バインダ樹脂とが、溶剤に分散されて含まれる、(1)に記載の銅粉ペースト。
(3)
表面処理された銅粉が、シランカップリング剤で表面処理された銅粉である、(1)又は(2)に記載の銅粉ペースト。
(4)
シランカップリング剤がアミノシランである、(3)に記載の銅粉ペースト。
(5)
表面処理された銅粉において、銅粉に対するNの重量%が0.05%〜0.50%の範囲にある、(1)〜(4)のいずれかに記載の銅粉ペースト。
(6)
表面処理された銅粉が、表面処理された銅粉をさらに熱処理してNを除去した銅粉である、(1)〜(5)のいずれかに記載の銅粉ペースト。
(7)
表面処理された銅粉が、酸素雰囲気または不活性雰囲気下で熱処理してNを除去した銅粉である、(1)〜(5)のいずれかに記載の銅粉ペースト。
(8)
焼結開始温度が400℃以上である、(1)〜(7)のいずれかに記載の銅粉ペースト。
(9)
表面処理された銅粉が、アミノシランの水溶液と銅粉を混合、攪拌後に乾固して得たものである、(1)〜(8)のいずれかに記載の銅粉ペースト。
(10)
表面処理された銅粉が、銅粉1 gに対して、表面処理に供するアミノシランの量が0.01 mL以上で表面処理された銅粉である、(1)〜(9)のいずれかに記載の銅粉ペースト。
(11)
表面処理された銅粉が、アミノシランの量が0.05 mL以上で、銅粉との混合、攪拌時間が30分以下で表面処理された銅粉である、(10)に記載の銅粉ペースト。
(12)
アミノシランが、モノアミノシラン又はジアミノシランである(4)〜(11)のいずれかに記載の銅粉ペースト。
(13)
表面処理された銅粉が、湿式法で得られた原料銅粉が表面処理された銅粉である、(1)〜(12)のいずれかに記載の銅粉ペースト。
(14)
表面処理された銅粉が、D50≦1.5μmである、(1)〜(13)のいずれかに記載の銅粉ペースト。
(15)
表面処理された銅粉が、D50≦1.0μmである、(1)〜(13)のいずれかに記載の銅粉ペースト。
(16)
表面処理された銅粉が、D50≦0.5μm、Dmax≦1.0μmである、(1)〜(13)のいずれかに記載の銅粉ペースト。
(17)
表面処理された銅粉が、粒度分布が一山である、(1)〜(16)のいずれかに記載の銅粉ペースト。
(18)
銅粉ペーストが、内部電極用銅粉ペーストである、(1)〜(17)のいずれかに記載の銅粉ペースト。
(19)
銅粉ペーストが、外部電極用銅粉ペーストである、(1)〜(17)のいずれかに記載の銅粉ペースト。
(20)
溶剤が、アルコール溶剤、グリコールエーテル溶剤、アセテート溶剤、ケトン溶剤、又は炭化水素溶剤である、(1)〜(19)のいずれかに記載の銅粉ペースト。
(21)
アルコール溶剤が、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、イソプロピルアルコール、ブチルカルビトール、テルピネルオキシエタノール、ジヒドロテルピネルオキシエタノールからなる群から選択された1種以上である、(20)に記載の銅粉ペースト。
(22)
グリコールエーテル溶剤が、ブチルカルビトールからなる群から選択された1種以上である、(20)に記載の銅粉ペースト。
(23)
アセテート溶剤が、ブチルカルビトールアセテート、ジヒドロテルピネオールアセテート、テルピネオールアセテート、ジヒドロカルビルアセテート、カルビルアセテートからなる群から選択された1種以上である、(20)に記載の銅粉ペースト。
(24)
ケトン溶剤が、メチルエチルケトンである、(20)に記載の銅粉ペースト。
(25)
炭化水素溶剤が、トルエン、シクロヘキサンからなる群から選択された1種以上である、(20)に記載の銅粉ペースト。
(26)
表面処理された銅粉に対する、溶剤の質量比(溶剤/表面処理された銅粉)が、1/4〜1/1の範囲にある、(1)〜(25)のいずれかに記載の銅粉ペースト。
(27)
ポアサイズ5μm、有効面積9.0cm2のフィルターに0.3atmの減圧ろ過を行って、投入質量4gに対する透過した質量の割合の百分率(透過率)が、15分後に、35%以上である、(1)〜(26)のいずれかに記載の銅粉ペースト。
また、本発明は、次の(41)〜(44)にもある。
(41)
(1)〜(27)のいずれかに記載のペーストを使用して製造されたチップ積層セラミックコンデンサー。
(42)
(41)に記載のチップ積層セラミックコンデンサーを最外層に実装した多層基板。
(43)
(41)に記載のチップ積層セラミックコンデンサーを内層に実装した多層基板。
(44)
(42)又は(43)に記載の多層基板を搭載した電子部品。
また、本発明は、次の(51)〜(57)にもある。
(51)
Siの付着量が銅粉1gに対して500〜16000μg、銅粉に対するNの重量%が0.05%以上である、表面処理された銅粉を、溶剤に分散してペーストを調製する工程、
を含む、銅粉ペーストの製造方法。
(52)
ペーストを調製する工程が、
Siの付着量が銅粉1gに対して500〜16000μg、銅粉に対するNの重量%が0.05%以上である、表面処理された銅粉と、
バインダ樹脂とを、溶剤に分散してペーストを調製する工程、
である、(51)に記載の方法。
(53)
ペーストを調製する工程、の後に、
調製されたペーストを、フィルターでろ過する工程、
を含む、(51)又は(52)に記載の方法。
(54)
フィルターが、1〜8μmのポアサイズを有する、(53)に記載の方法。
(55)
フィルターでろ過する工程が、減圧ろ過又は加圧ろ過によって行われる、(53)又は(54)に記載の方法。
(56)
減圧ろ過の圧力が、0.1〜1.0atmの範囲の圧力である、(55)に記載の方法。
(57)
加圧ろ過の圧力が、0.1〜2.0atmの範囲の圧力である、(55)に記載の方法。
また、本発明は、次の(61)〜(79)にもある。
(61)
表面処理された銅粉が、
銅粉を、アミノシラン水溶液と混合して、銅粉分散液を調製する工程、
を含む、表面処理された銅粉を製造する方法によって製造された、表面処理された銅粉である、(51)〜(57)のいずれかに記載の方法。
(62)
銅粉分散液を撹拌する工程を含む、(61)に記載の方法。
(63)
銅粉分散液を超音波処理する工程を含む、(61)又は(62)に記載の方法。
(64)
超音波処理する工程が、1〜180分間の超音波処理を行う工程である、(63)に記載の方法。
(65)
銅粉分散液をろ過して銅粉を回収する工程、
ろ過して回収された銅粉を乾燥して、表面処理された銅粉を得る工程、
を含む、(61)〜(64)のいずれかに記載の方法。
(66)
乾燥が、50〜90℃で30〜120分間の加熱処理によって行われる、(65)に記載の方法。
(67)
乾燥が、酸素雰囲気又は不活性雰囲気下で行われる、(65)又は(66)に記載の方法。
(68)
銅分散液が、銅粉1gに対してアミノシラン0.025g以上を含んでいる、(61)〜(67)のいずれかに記載の方法。
(69)
アミノシラン水溶液が、次の式I:
2N−R1−Si(OR22(R3) (式I)
(ただし、上記式Iにおいて、
R1は、直鎖状又は分枝を有する、飽和又は不飽和の、置換又は非置換の、環式又は非環式の、複素環を有する又は複素環を有しない、C1〜C12の炭化水素の二価基であり、
R2は、C1〜C5のアルキル基であり、
R3は、C1〜C5のアルキル基、又はC1〜C5のアルコキシ基である。)
で表されるアミノシランの水溶液である、(61)〜(68)のいずれかに記載の方法。
(70)
R1が、置換又は非置換の、C1〜C12の直鎖状飽和炭化水素の二価基、置換又は非置換の、C1〜C12の分枝状飽和炭化水素の二価基、置換又は非置換の、C1〜C12の直鎖状不飽和炭化水素の二価基、置換又は非置換の、C1〜C12の分枝状不飽和炭化水素の二価基、置換又は非置換の、C1〜C12の環式炭化水素の二価基、置換又は非置換の、C1〜C12の複素環式炭化水素の二価基、置換又は非置換の、C1〜C12の芳香族炭化水素の二価基、からなる群から選択された基である、(69)に記載の方法。
(71)
R1が、 −(CH2n−、−(CH2n−(CH)m−(CH2j-1−、−(CH2n−(CC)−(CH2n-1−、−(CH2n−NH−(CH2m−、−(CH2n−NH−(CH2m−NH−(CH2j−、−(CH2n-1−(CH)NH2−(CH2m-1−、−(CH2n-1−(CH)NH2−(CH2m-1−NH−(CH2j− からなる群から選択された基である(ただし、n、m、jは、1以上の整数である)、(69)に記載の方法。
(72)
R1が、−(CH2n−、又は−(CH2n−NH−(CH2m−である、(69)に記載の方法。
(73)
n、m、jが、それぞれ独立に、1、2又は3である、(71)〜(72)のいずれかに記載の方法。
(74)
R2が、メチル基又はエチル基である、(69)〜(73)のいずれかに記載の方法。
(75)
R3が、メチル基、エチル基、メトキシ基又はエトキシ基である、(69)〜(74)のいずれかに記載の方法。
(76)
銅粉が、湿式法によって製造された銅粉である、(61)〜(75)のいずれかに記載の方法。
(77)
(61)〜(76)のいずれかに記載の方法であって、
表面処理された銅粉が、
Siの付着量が銅粉1gに対して500〜16000μgであり、
銅粉に対するNの重量%が0.05%以上であり、
焼結開始温度が400℃以上である、方法。
(78)
(51)〜(57)、(61)〜(77)のいずれかに記載の製造方法によって製造された銅粉ペーストを、基材に塗布する工程、
基材に塗布された導電性銅ペーストを加熱焼成する工程、
を含む、電極を製造する方法。
(79)
電極が、チップ積層セラミックコンデンサー用電極である、(78)に記載の方法。
また、本発明は、次の(81)〜(83)にもある。
(81)
(51)〜(57)、(61)〜(77)のいずれかに記載の製造方法によって製造された銅粉ペースト。
(82)
(78)に記載の製造方法によって製造された、電極。
(83)
(79)に記載の製造方法によって製造された、チップ積層セラミックコンデンサー用電極。
また、本発明は、次の(91)〜(92)にもある。
(91)
(51)〜(57)、(61)〜(77)のいずれかに記載の方法によって製造された銅粉ペーストであって、
ポアサイズ5μm、面積9cm2のフィルターに0.3atmの減圧ろ過を行って、投入質量4gに対する透過した質量の割合の百分率(透過率)が、15分後に、35%以上である、銅粉ペースト。
(92)
(78)又は(79)に記載の製造方法によって製造された、電極。
本発明に係る銅粉ペーストに使用される、表面処理された銅粉は、表面処理後にも凝集することなく、焼結遅延性に優れ、粒子の小さい銅粉であっても高い焼結開始温度を示す。そこで、本発明による銅粉ペーストは、焼結遅延性に優れ、ペースト内の銅粉の分散性にも優れたものとなっているために、電極剥離などの製造上の問題を回避して、チップ積層セラミックコンデンサー用電極の製造を、有利に行うことができる。また、この表面処理された銅粉は、原料となる銅粉に対して非常に簡単な処理を行って製造でき、本発明による銅粉ペーストの製造は、この表面処理された銅粉に対して非常に簡単な処理を行って製造できるので、高度な技能を必要とせず、作業性及び生産性に優れたものである。
図1は表面処理された銅粉の表面に垂直な断面のTEM像である。
以下に本発明を実施の態様をあげて詳細に説明する。本発明は以下にあげる具体的な実施の態様に限定されるものではない。
本発明においては、銅粉を、アミノシラン水溶液と混合して、銅粉分散液を調製する工程、を行って、この銅粉分散液から、表面処理された銅粉を得ることができ、このようにして得られた、表面処理された銅粉を、溶剤に分散してペーストを調製する工程、を行って、銅粉ペーストを製造することができる。
好ましい実施の態様において、溶剤には、表面処理された銅粉に加えて、さらにバインダーを分散させることができ、所望により他の添加剤を加えることもできる。
表面処理された銅粉は、詳細には後述のようにして得ることができる。表面処理に供される原料となる銅粉から出発して、この原料銅粉に対して表面処理を行ったうえで、バインダ樹脂等とともに溶剤に分散させて銅粉ペーストを得ることも、本発明の範囲内である。さらに、表面処理に供される原料銅粉の製造から出発して、銅粉ペーストを得ることも、本発明の範囲内である。
本発明に使用される溶剤は、電子材料のスクリーン印刷用ペーストに使用される溶剤を使用することができ、このような溶剤として、例えば、アルコール溶剤、グリコールエーテル溶剤、アセテート溶剤、ケトン溶剤、及び炭化水素溶剤を挙げることができる。アルコール溶剤としては、例えば、テルピネオール、イソプロピルアルコール、ブチルカルビトールを挙げることができる。テルピネオールとしては、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオールを挙げることができ、特にα−テルピネオールが好ましい。グリコールエーテル溶剤としては、例えば、ブチルカルビトールを挙げることができる。アセテート溶剤としては、例えば、ブチルカルビトールアセテートを挙げることができる。ケトン溶剤としては、例えば、メチルエチルケトンを挙げることができる。炭化水素溶剤としては、例えば、トルエン、シクロヘキサンを挙げることができる。好適な実施の態様において、溶剤として、テルピネオール、イソプロピルアルコール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、メチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサンからなる群から選択された1種以上を使用することができ、好ましくは、α−テルピネオール、ブチルカルビトール、及びブチルカルビトールアセテートからなる群から選択された1種以上を使用することができる。
本発明に係る銅粉ペーストは、好適な実施の態様において、表面処理された銅粉に対する、溶剤の質量比(溶剤/表面処理された銅粉)は、例えば、1/4〜1/1の範囲、好ましくは1/3〜1/1.5の範囲とすることができる。
本発明に使用されるバインダーとしては基板との密着力を向上させるものであれば使用することができ、このようなバインダーとして、セルロース系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂を挙げることができる。好適な実施の態様において、例えば、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル酸エステル樹脂を使用することができる。
表面処理された銅粉、バインダ樹脂等を、溶剤に分散してペーストを調製する操作は、公知の分散手段によって行うことができ、所望により、撹拌、混練、超音波処理を行ってもよい。
本発明の好ましい実施の態様において、表面処理された銅粉と、バインダ樹脂とを、溶剤に分散してペーストを調製する工程、の後に、調製されたペーストを、フィルターでろ過する工程が、行われる。このようなフィルターによるろ過は、銅粉ペーストによって、微細な配線や、極薄の導電層(電極)を形成するために、行われる。好適な実施の態様において、フィルターは、例えば、1〜8μm、好ましくは1〜5μmのポアサイズを有するフィルターを使用することができる。好適な実施の態様において、フィルターによるろ過は、減圧ろ過又は加圧ろ過によって行われる。減圧ろ過の圧力は、例えば、0.1〜1.0atm、好ましくは0.2〜0.6の範囲の圧力とすることができる。加圧ろ過の圧力は、例えば、0.1〜2.0atm、好ましくは0.2〜1.0の範囲の圧力とすることができる。
好適な実施の態様において、本発明に係る銅粉ペーストは、ポアサイズ5μm、面積9cm2のフィルターに0.3atmの減圧ろ過を行って、投入質量4gに対する透過した質量の割合の百分率(透過率)が、1分後に、例えば、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、とすることができ、15分後に、例えば、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、とすることができる。
ろ過された銅粉ペーストは、含有される銅粉のうち粒径の過大なものや凝集してしまったものが除去されている点で、微細な配線や極薄の導電層(電極)を形成するために好ましいものとなるが、ろ過前の銅粉ペーストが、ろ過容易な状態、すなわち含有される銅粉の粒径が十分に小さく且つ凝集が十分に低減されたものとなっていなければ、フィルターの目詰まりや銅粉ペーストの回収率の低さから、ろ過の操作そのものが困難となる。本発明に係る銅粉ペーストは、このようなフィルターによるろ過の実際の操作が、容易であって、十分に高い回収率を達成できるような、銅粉の分散状態となっている点においても、優れたものとなっている。本発明に係る銅粉ペーストが、このように優れた分散状態となっている理由は不明であるが、本発明者は、表面処理された銅粉の優れた表面状態そのものに、起因しているのではないかと考えている。
表面処理に供される銅粉としては、公知の方法によって製造された銅粉を使用することができる。例えば、銅粉は、乾式法によって製造された銅粉、湿式法によって製造された銅粉のいずれも使用することができる。湿式法によって製造された銅粉は、本発明による表面の処理まであわせて一貫して湿式プロセスになる点で好適である。
アミノシラン水溶液は、シランカップリング剤として使用可能なアミノシランの水溶液である。好ましい実施の態様において、アミノシランの使用量は、銅粉分散液としたときの銅粉の質量1gに対して、アミノシランの質量が、0.025g以上、好ましくは0.050g以上、さらに好ましくは0.075g以上、さらに好ましくは0.10g以上を含むものとすることができ、あるいは、例えば、0.025〜0.500g、0.025〜0.250g、0.025〜0.100gの範囲の量を含むものとすることができる。好ましい実施の態様において、アミノシランの使用量は、銅粉分散液としたときの銅粉の質量1gに対して、25℃におけるアミノシランの体積が、0.01mL以上、0.025mL以上、好ましくは0.050mL以上、さらに好ましくは0.075mL以上、さらに好ましくは0.10mL以上を含むものとすることができ、あるいは、例えば、0.025〜0.500mL、0.025〜0.250mL、0.025〜0.100mLの範囲の量を含むものとすることができる。
好ましい実施の態様において、アミノシランとして、1以上のアミノ基及び/又はイミノ基を含むシランを使用することができる。アミノシランに含まれるアミノ基及びイミノ基の数は、例えばそれぞれ1〜4個、好ましくはそれぞれ1〜3個、さらに好ましくは1〜2個とすることができる。好適な実施の態様において、アミノシランに含まれるアミノ基及びイミノ基の数は、それぞれ1個とすることができる。アミノシランに含まれるアミノ基及びイミノ基の数の合計が、1個であるアミノシランは特にモノアミノシラン、2個であるアミノシランは特にジアミノシラン、3個であるアミノシランは特にトリアミノシランと、呼ぶことができる。モノアミノシラン、ジアミノシランは、本発明において好適に使用することができる。好適な実施の態様において、アミノシランとして、アミノ基1個を含むモノアミノシランを使用することができる。好適な実施の態様において、アミノシランは、少なくとも1個、例えば1個のアミノ基を、分子の末端に、好ましくは直鎖状又は分枝状の鎖状分子の末端に、含むものとすることができる。
アミノシランとしては、例えば、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、1-アミノプロピルトリメトキシシラン、2-アミノプロピルトリメトキシシラン、1、2-ジアミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノ‐1‐プロぺニルトリメトキシシラン、3-アミノ‐1‐プロピニルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3- アミノプロピルトリエトキシシラン、3- アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2- アミノエチル)-3- アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2- アミノエチル)-3- アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-(N- フェニル) アミノプロピルトリメトキシシランをあげることできる。
好ましい実施の態様において、次式Iで表されるアミノシランを使用することができる。
2N−R1−Si(OR22(R3) (式I)
上記式Iにおいて、
R1は、直鎖状又は分枝を有する、飽和又は不飽和の、置換又は非置換の、環式又は非環式の、複素環を有する又は複素環を有しない、C1〜C12の炭化水素の二価基であり、
R2は、C1〜C5のアルキル基であり、
R3は、C1〜C5のアルキル基、又はC1〜C5のアルコキシ基である。
好ましい実施の態様において、上記式IのR1は、直鎖状又は分枝を有する、飽和又は不飽和の、置換又は非置換の、環式又は非環式の、複素環を有する又は複素環を有しない、C1〜C12の炭化水素の二価基であり、さらに好ましくは、R1は、置換又は非置換の、C1〜C12の直鎖状飽和炭化水素の二価基、置換又は非置換の、C1〜C12の分枝状飽和炭化水素の二価基、置換又は非置換の、C1〜C12の直鎖状不飽和炭化水素の二価基、置換又は非置換の、C1〜C12の分枝状不飽和炭化水素の二価基、置換又は非置換の、C1〜C12の環式炭化水素の二価基、置換又は非置換の、C1〜C12の複素環式炭化水素の二価基、置換又は非置換の、C1〜C12の芳香族炭化水素の二価基、からなる群から選択された基とすることができる。好ましい実施の態様において、上記式IのR1は、C1〜C12の、飽和又は不飽和の鎖状炭化水素の二価基であり、さらに好ましくは、鎖状構造の両末端の原子が遊離原子価を有する二価基である。好ましい実施の態様において、二価基の炭素数は、例えばC1〜C12、好ましくはC1〜C8、好ましくはC1〜C6、好ましくはC1〜C3とすることができる。
好ましい実施の態様において、上記式IのR1は、 −(CH2n−、−(CH2n−(CH)m−(CH2j-1−、−(CH2n−(CC)−(CH2n-1−、−(CH2n−NH−(CH2m−、−(CH2n−NH−(CH2m−NH−(CH2j−、−(CH2n-1−(CH)NH2−(CH2m-1−、−(CH2n-1−(CH)NH2−(CH2m-1−NH−(CH2j− からなる群から選択された基である(ただし、n、m、jは、1以上の整数である)とすることができる。(ただし、上記(CC)は、CとCの三重結合を表す。)好ましい実施の態様において、R1は、−(CH2n−、又は−(CH2n−NH−(CH2m−とすることができる。(ただし、上記(CC)は、CとCの三重結合を表す。)好ましい実施の態様において、上記の二価基であるR1の水素は、アミノ基で置換されていてもよく、例えば1〜3個の水素、例えば1〜2個の水素、例えば1個の水素が、アミノ基によって置換されていてもよい。
好ましい実施の態様において、上記式Iのn、m、jは、それぞれ独立に、1以上12以下の整数、好ましくは1以上6以下の整数、さらに好ましくは1以上4以下の整数とすることができ、例えば、1、2、3、4から選択された整数とすることができ、例えば、1、2又は3とすることができる。
好ましい実施の態様において、上記式IのR2は、C1〜C5のアルキル基、好ましくはC1〜C3のアルキル基、さらに好ましくはC1〜C2のアルキル基とすることができ、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、又はプロピル基とすることでき、好ましくは、メチル基又はエチル基とすることができる。
好ましい実施の態様において、上記式IのR3は、アルキル基として、C1〜C5のアルキル基、好ましくはC1〜C3のアルキル基、さらに好ましくはC1〜C2のアルキル基とすることができ、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、又はプロピル基とすることでき、好ましくは、メチル基又はエチル基とすることができる。また、上記式IのR3は、アルコキシ基として、C1〜C5のアルコキシ基、好ましくはC1〜C3のアルコキシ基、さらに好ましくはC1〜C2のアルコキシ基とすることができ、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、又はプロポキシ基とすることでき、好ましくは、メトキシ基又はエトキシ基とすることができる。
アミノシラン水溶液は、公知の方法によって、銅粉と混合することができる。混合にあたっては、適宜、公知の方法によって撹拌を行うことができる。好適な実施の態様において、混合は、例えば、常温で行うことができ、例えば、5〜80℃、10〜40℃、20〜30℃の範囲の温度で行うことができる。
好ましい実施の態様において、銅粉分散液は、混合して、超音波処理を行うことができる。超音波処理の処理時間は、銅粉分散液の状態に応じて選択するが、好ましくは1〜180分間、さらに好ましくは3〜150分間、さらに好ましくは10〜120分間、さらに好ましくは20〜80分間とすることができる。
好ましい実施の態様において、超音波処理は、100mlあたり、好ましくは50〜600W、さらに好ましくは100〜600Wの出力で行うことができる。好ましい実施の態様において、超音波処理は、好ましくは10〜1MHz、さらに好ましくは20〜1MHz、さらに好ましくは50〜1MHzの周波数で行うことができる。
銅粉分散液のなかの銅粉は、上述のようにして、アミノシランによる表面処理を受けた後に、分散液から分離して、表面処理された銅粉として、回収することができる。この分離と回収には、公知の手段を使用することができ、例えば、ろ過、遠心分離、デカンテーション(decantation)などを使用することができる。分離回収に続けて、所望により、乾燥を行うことができる。乾燥には、公知の手段を使用することができ、例えば、加熱による乾燥を行うことができる。加熱乾燥は、例えば、50〜90℃、60〜80℃の温度で、例えば、30〜120分間、45〜90分間の加熱処理によって、行うことができる。加熱乾燥に続けて、銅粉に対して、所望により、さらに粉砕処理を行ってもよい。また、回収された表面処理された銅粉に対しては、防錆、あるいは、ペースト中での分散性を向上させること等を目的として、有機物等をさらに表面処理された銅粉の表面に吸着させてもよい。
上述のように、好ましい実施の態様において、表面処理に供される銅粉は、湿式法による銅粉を使用することができる。好適な実施の態様において、湿式法による銅粉の製造方法として、アラビアゴムの添加剤を含む水性溶媒中に亜酸化銅を添加してスラリーを作製する工程、スラリーに希硫酸を5秒以内に一度に添加して不均化反応を行う工程、を含む方法によって製造される銅粉を使用することができる。好適な実施の態様において、上記スラリーは、室温(20〜25℃)以下に保持するとともに、同様に室温以下に保持した希硫酸を添加して、不均化反応を行うことができる。好適な実施の態様において、上記スラリーは、7℃以下に保持するとともに、同様に7℃以下に保持した希硫酸を添加して、不均化反応を行うことができる。好適な実施の態様において、希硫酸の添加は、pH2.5以下、好ましくはpH2.0以下、さらに好ましくはpH1.5以下となるように、添加することができる。好適な実施の態様において、スラリーへの希硫酸の添加は、5分以内、好ましくは1分以内、さらに好ましくは30秒以内、さらに好ましくは10秒以内、さらに好ましくは5秒以内となるように、添加することができる。好適な実施の態様において、上記不均化反応は10分間で終了するものとすることができる。好適な実施の態様において、上記スラリー中のアラビアゴムの濃度は、0.229〜1.143g/Lとすることができる。上記亜酸化銅としては、公知の方法で使用された亜酸化銅、好ましくは亜酸化銅粒子を使用することができ、この亜酸化銅粒子の粒径等は不均化反応によって生成する銅粉の粒子の粒径等とは直接に関係がないので、粗粒の亜酸化銅粒子を使用することができる。この不均化反応の原理は次のようなものである:
Cu2O+H2SO4 → Cu↓+CuSO4+H2
この不均化によって得られた銅粉は、所望により、洗浄、防錆、ろ過、乾燥、解砕、分級を行って、その後にアミノシランと混合することもできるが、好ましい実施の態様において、所望により、洗浄、防錆、ろ過を行った後に、乾燥を行うことなく、そのままアミノシラン水溶液と混合することができる。
好適な実施の態様において、上記不均化反応によって得られる銅粉は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定した平均粒径が0.25μm以下である。好適な実施の態様において、上記不均化反応によって得られる銅粉は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定したD10、D90、Dmaxが、[Dmax≦D50×3、D90≦D50×2、D10≧D50×0.5]の関係式を満たし、かつ粒径の分布が単一のピークを有する。好適な実施の態様において、上記不均化反応によって得られる銅粉は、レーザー回折式粒度分布測定装置による測定で、粒度分布が一山である(単一のピークを有する)。好適な実施の態様において、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定した値が、[D50≦1.5μm]であり、好ましくは[D50≦1.0μm]であり、さらに好ましくは[D50≦0.5μm、Dmax≦1.0μm]である。レーザー回折式粒度分布測定装置として、例えば、島津製作所製SALD−2100を使用することができる。
このようにして得られる表面処理された銅粉は、優れた焼結遅延性を有する。焼結遅延性の指標として、焼結開始温度がある。これは金属粉から成る圧粉体を還元性雰囲気中で昇温し、ある一定の体積変化(収縮)が起こったときの温度のことである。本明細書では1%の体積収縮が起こるときの温度を焼結開始温度とする。具体的には、実施例の記載の通りに測定した。焼結開始温度が高いことは、焼結遅延性に優れていることを意味する。
好適な実施の態様において、このようにして得られる表面処理された銅粉の焼結開始温度は、450℃以上、好ましくは500℃以上、さらに好ましくは600℃以上、さらに好ましくは700℃以上、さらに好ましくは780℃以上、さらに好ましくは800℃以上、さらに好ましくは810℃以上、さらに好ましくは840℃以上、さらに好ましくは900℃以上、さらに好ましくは920℃以上、さらに好ましくは950℃以上とすることができる。従来、高い焼結開始温度が求められる場合に使用されてきたNi超微粉(平均粒径0.2〜0.4μm)の焼結開始温度が、500〜600℃の範囲にあることと比較すると、この表面処理された銅粉は、Niよりも安価で入手容易なCuを使用して、微細な粒子でありながら、同等以上の優れた焼結遅延性を有するものとなっている。
好適な実施の態様において、表面処理された銅粉は、圧粉体を還元性雰囲気中で昇温して焼結体を形成することができる。得られた焼結体は、優れた電極として形成される。この焼結のプロセスは、特に、チップ積層セラミックコンデンサーの内部電極の製造に好適に使用可能である。この焼結体は、特に、チップ積層セラミックコンデンサーの内部電極として、好適に使用可能である。本発明の好適な実施の態様において、SiO2粒子は電極断面に分散しており、極薄電極の形成を可能にすると同時に、電極の信頼性(品質)を低下させることがない。
好適な実施の態様において、表面処理された銅粉は、銅粉1gに対して、Siの付着量が、一般に500〜16000μg、好ましくは500〜3000μgとすることができる。このSi付着量は、ICP(誘導結合プラズマ原子発光分析法)によって求めることができる。好適な実施の態様において、さらに、銅粉重量に対して0.05wt%以上のNを含むものとすることができる。シランカップリング剤が銅粉に吸着するメカニズムは不明であるが、本発明者は、シランカップリング剤末端のアミノ基の窒素と銅との間で働く相互作用で吸着していると考えている。
好適な実施の態様において、表面処理された銅粉は、表面処理によって形成された、Si含有層の厚み(Si厚み)が、一般に0.6〜25nm、好ましくは1.0〜25nm、さらに好ましくは1.5〜20nmとすることができる。このSi含有層の厚み(Si厚み)とは、表面処理された銅粉の表面の断面において、EDS(エネルギー分散型X線分析)による測定を行って、全原子に対するSi原子の存在比が最大となる深さでのSi原子の存在量を100%としたときに、Si原子の存在量が10%以上である範囲であると、規定することができる。表面処理された銅粉の表面の断面は、試料切片において観察した少なくとも100個以上の銅粉粒子のなかから、5個選択して、それぞれその最も明瞭な境界を、表面処理された銅粉の表面に垂直な断面であると扱って、測定及び集計を行うことができる。
好適な実施の態様において、表面処理された銅粉は、銅粉に対するNの重量%が、例えば0.05重量%以上、好ましくは0.06重量%以上、さらに好ましくは0.07重量%以上とすることができ、例えば0.05〜0.50重量%、好ましくは0.06〜0.45重量%、さらに好ましくは0.08〜0.40重量%の範囲とすることができる。銅粉に対するNの重量%は、銅粉を高温で溶融させ、発生したNO2から付着N量を算出することができる。
好適な実施の態様において、表面処理された銅粉は、XPS(X線光電子分光)分析法のsurvey測定で表面のNが、例えば1.0%以上、好ましくは1.4%以上、さらに好ましくは1.5%以上、さらに好ましくは1.6%以上で、あるいは例えば1.0〜6.0%、好ましくは1.4〜6.0%、さらに好ましくは1.5〜6.0%、さらに好ましくは1.6〜6.0%の範囲にあって、Nの光電子が、例えば1000cps(count per second)以上、好ましくは1200cps以上、あるいは例えば1000〜9000cps、好ましくは1200〜8000cpsの範囲であるものとすることができる。
好適な実施の態様において、表面処理された銅粉は、XPS(X線光電子分光)分析法のsurvey測定で表面のSiが、例えば0.6%以上、好ましくは0.8%以上、さらに好ましくは1.0%以上、さらに好ましくは1.1%以上、さらに好ましくは1.2%以上、さらに好ましくは1.3%以上で、さらに好ましくは1.4%以上、あるいは例えば0.6〜4.0%、好ましくは0.8〜4.0%、さらに好ましくは1.0〜4.0%、さらに好ましくは1.1〜4.0%、さらに好ましくは1.2〜4.0%、さらに好ましくは1.3〜4.0%、さらに好ましくは1.4〜4.0%の範囲にあって、Siの光電子が、例えば1000cps(count per second)以上、好ましくは1200cps以上、あるいは例えば1000〜12000cps、好ましくは1200〜12000cpsの範囲であるものとすることができる。
以下に実施例をあげて、本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
[表面処理銅粉の製造]
以下のように表面処理された銅粉を製造した。
[湿式法による製粉]
表面処理に供される銅粉20gを、湿式法によって製造した。得られた銅粉は、次のような特性であった。測定は、レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所製SALD−2100)を使用した。
D50 0.12μm
分布一山
[シラン水溶液の調製]
次の各種のシランを使用したシラン水溶液をそれぞれ50ml調製した。

シラン:ジアミノシランA−1120(MOMENTIVE社製)
アミノシランA−1110(MOMENTIVE社製)
エポキシシランZ−6040(東レダウコーニング社製)
メチルトリメトキシシランKBM−13(信越シリコーン社製)
3-フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン(MOMENTIVE社製)

濃度は0.5〜15vol%の範囲で調製した。また、アミノ系シラン以外は希硫酸でpHを4に調整した。
各種のシランの構造式は、以下である。
ジアミノシランA−1120:
2N−C24−NH−C36−Si(OCH33

アミノシランA−1110:
2N−C36−Si(OCH33

エポキシシランZ−6040:

メチルトリメトキシシランKBM−13:
3C−Si(OCH33

3-フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン:
65−NH−C36−Si(OCH33
[シラン水溶液との混合による表面処理]
銅粉20gと各シラン水溶液50mlを混合撹拌して、銅粉分散液を調製し、直ちに60分間(又は120分間)の超音波処理を行った(株式会社テックジャム製、超音波洗浄器 3周波タイプ / W−113)(出力100W、周波数100kHz)。この60分間の所要時間を表1では、混合撹拌時間と記載した。操作は室温で行った。
また、表1の記載のように、いくつかの実施例では回転羽による攪拌混合(300rpm)を上記超音波攪拌と併用するか、回転羽による攪拌のみでシランカップリング剤を銅粉に吸着させた。
銅粉分散液をろ過して、表面処理された銅粉を回収し、70℃1時間で加熱乾燥して、表面処理された銅粉を得た。
各実施例及び比較例についての表面処理された銅粉で行った処理を、表1にまとめた。
[表面処理された銅粉の評価]
上述の操作によって得られた、表面処理された銅粉に対して、以下の方法によって評価を行った。
[銅粉サイズ測定]
銅粉の大きさについて、次の手段で測定を行った。その結果は、表2にまとめた。
レーザー回折式粒度分布測定(島津製作所SLAD−2100)
[TMAによる測定]
表面処理された銅粉によって、サンプルを作製して、TMA(Thermomechanical Analyzer)を使用して、焼結開始温度を、次の条件で測定した。
サンプル作製条件
圧粉体サイズ:7mmφ×5mm高さ
成型圧力:1Ton/cm2(1000kg重/cm2
(潤滑剤として0.5wt%のステアリン酸亜鉛を添加)
測定条件
装置:島津製作所TMA−50
昇温:5℃/分
雰囲気:2vol%H2−N2(300cc/分)
荷重:98.0mN
このように、測定対象の銅粉に0.5wt%のステアリン酸亜鉛を添加して混合し、この混合物を直径7mmの筒体に装填し,上部からポンチを押し込んで1Ton/cm2で3秒保持する加圧を付与し,高さ約5mm相当の円柱状に成形した。この成形体を,軸を鉛直方向にして且つ軸方向に98.0mNの荷重を付与した条件で,昇温炉に装填し,2vol%H2−N2(300cc/分)流量中で昇温速度5℃/分,測定範囲:50〜1000℃に連続的に昇温してゆき,成形体の高さ変化(膨張・収縮の変化)を自動記録した。成形体の高さ変化(収縮)が始まり,その収縮率が1%に達したところの温度を「焼結開始温度」とした。各実施例及び比較例についての表面処理された銅粉での焼結開始温度の測定結果は、表3にまとめた。
[分析]
表面処理された銅粉の表面に付着したSi、N及びCを次の条件で分析した。この結果は、表3にまとめた。

付着量 Si・・・表面処理された銅粉を酸で溶解し、ICP(誘導結合プラズマ原子発光分析法)で定量して、表面処理された銅粉の単位質量(g)に対する、付着したSiの質量(μg)を求めた。
N、C・・・銅粉を高温で溶融させ、発生したNO2、CO2から付着N、C量を算出して、銅粉の全表面に付いたN,Cの量を測定することで、表面処理された銅粉の質量に対する、付着したN,Cの質量の質量%(重量%)を求めた。
上記の比較例1〜5の他に、シランカップリング剤としてテトラエトキシシラン(TEOS)を用い、アンモニアを触媒として用いて銅粉に表面処理をして、比較実験を行ったが、テトラエトキシシランを用いた場合には、得られた表面処理銅粉が凝集してしまい、肉眼による観察によって、均一な表面処理と粒径が得られていないと思われる状態となっていた。この場合、表面処理前にD50=0.13μm、Dmax=0.44μmであったが、表面処理後にはD50=0.87μm、Dmax=3.1μmといずれも7倍程度大きくなっていた。また、粒度分布は表面処理前に1山であったものが2山となっていた。
これらの結果、本発明に係る、アミノシラン水溶液を混合して製造した表面処理された銅粉は、その製造方法が極めて簡易であるにもかかわらず、微少な大きさの銅粉であるにもかかわらず、ニッケル等の高融点金属の微粉と同等以上に、高い焼結開始温度を有していることがわかった。また、この表面処理された銅粉からは、チップ積層セラミックコンデンサーの電極の製造工程と同様の焼結によって焼結体を製造することができること、このように製造(形成)された焼結体断面にはSiO2粒子が分散していることが、わかった。
また、上記の結果から、十分な焼結遅延性を実現するためには、シランカップリング剤としては、アミノ基を有するアミノシランであることが必要であることがわかった。また、アミノシランとしては、末端にアミノ基を有するアミノシランが好ましいことがわかった。比較例4においては、銅粉に対して十分な量のSiが付着しているように見えるにもかかわらず、十分な焼結遅延性が実現されていない。この理由は不明であるが、本発明者は、比較例4においては、アミノシランが、末端にアミノ基を有する構造となっておらず、加えて、ベンゼン環がアミノ基よりも末端に存在するために、あたかも立体障害のような状態が生じていて、焼結のための昇温の途中で、いったんは銅粉に付着したアミノシランあるいはSiが、早い時期に銅粉から脱離してしまうためではないかと、推測している。
[湿式法による一貫製造]
以下のように、微細な銅粉を製造し、さらに製造した銅粉をアミノシランによって表面処理して、本発明に係る、表面処理された銅粉を、湿式法による一貫製造を行った。
(1) アラビアゴム 0.2 g + 純水 350 mL に、亜酸化銅 50 g を添加した。
(2) 次に、希硫酸(25wt%)50 mLを一時に添加した。
(3) これを、回転羽で攪拌後(300rpm×10分)、60分放置した。
(4) 次に、沈殿に対して、洗浄を行った。
洗浄は、最初に、上澄み液を除去し、純水350 mLを加えて攪拌( 300rpm×10分)後、60分放置し、上澄み液を除去し、純水350 mLを加えて攪拌( 300rpm×10分)後、60分放置し、上澄み液を除去することによって行った。
(5) 次に、アミノシラン処理を行った。
アミノシラン処理は、アミノシラン水溶液(50mL)を加えて60分攪拌し、この際に、回転羽(300rpm)+超音波(株式会社テックジャム製、超音波洗浄器 3周波タイプ / W−113)(出力100W、周波数100kHz)の処理を、行った。これとは別に、回転羽のみ(300rpm)の処理、超音波のみの処理を別途行った。アミノシランとして、ジアミノシランA−1120(MOMENTIVE社製)、アミノシランA−1110(MOMENTIVE社製)を、それぞれ使用した。
(6) 次に、ろ過を行って、沈殿を分離した。
(7) 次に、分離した沈殿を、乾燥した。乾燥(70℃×2h)は、大気雰囲気での乾燥、及び窒素中で乾燥を、それぞれ行った。
このようにして、表面処理された、微細な銅粉を、一貫製造によって得た。このようにして得られた表面処理された銅粉は、上記実施例の表面処理された銅粉と同様に、優れた焼結遅延性を有すると同時に、その焼結体断面に存在するSiO2の大粒子の数は小さなものであった。また、この一貫製造は、最終的な製品を得るまで乾燥することなく行うことができ、簡便で作業性に優れていた。
[銅粉ペーストの製造]
実施例2,3,5及び比較例1、2によって製造したそれぞれのアミノシラン処理銅粉、バインダーを、溶剤に分散させて、銅粉ペーストを製造した。このときの表面処理銅粉:溶剤:バインダーの質量比は、65:28:7であった。これらをそれぞれ、実施例9、10、11、及び比較例5、6として、以後の測定に用いた。なお、これらの実施例9、10、11、及び比較例5,6において、バインダーを混合せずに、表面処理銅粉:溶剤の質量比を、65:35として混合して分散させた銅粉ペーストを製造して、あわせて以後の測定に用いた。

実施例2の表面処理銅粉: シラン濃度 2vol%によるジアミノシラン処理
実施例3の表面処理銅粉: シラン濃度 4vol%によるジアミノシラン処理
実施例5の表面処理銅粉: シラン濃度 10vol%によるジアミノシラン処理
比較例1の表面処理銅粉: BTA処理のみ
比較例2の表面処理銅粉: シラン濃度 10vol%によるエポキシシラン処理

バインダー: ポリビニルブチラール樹脂

溶剤: α−テルピネオール

上記表面処理銅粉、バインダー、溶剤を3本ロールで混練し、内部電極用ペーストを得た。
[フィルターろ過の透過率測定]
上記のように製造した銅粉ペーストを、ポアサイズ5μmのガラスフィルターに、0.2atmで減圧ろ過を行って、15分後までの透過量(g)を測定して、最初にフィルターに投入した量(g)に対する割合を百分率で算出して、透過率(%)とした。実施例9、10、11、及び比較例5、6(バインダ樹脂あり、なし)について得られた結果を、次の表4に示す。
このように、ジアミノシランによって表面処理された銅粉は、比較例と比べて、いずれの条件でも、少なくとも8〜9倍以上という、著しく優れた透過率を示すことがわかった。
上記フィルターろ過した銅粉ペーストは、誘電体粉末のペーストのシート上に約1μm厚に塗布したところ、銅粉ペーストの均一なシートを容易に得ることができた。これを焼結したところ、誘電体層と銅による導電性層が剥離することなく、電極を製造することができた。
銅粉は、粒子サイズが小さくなるほど、凝集が顕著になる。そして、すでに述べたように、凝集が生じてしまうと、作業性や生産性がそれだけでも低下する。さらに、チップ積層セラミックコンデンサーの内部電極を形成させる場合には、スクリーン印刷などの印刷技術が使用されるが、そのためには、印刷直前に銅粉粒子を含む銅粉ペーストを、微小なポアサイズを有するフィルターで濾過する必要がある。ところが、精密な印刷のために粒子サイズの小さな銅粉を使用すると凝集が起こりやすくなり、銅粉ペーストのなかで銅粉が凝集してしまうとフィルターを通過することができなくなってしまって、電極パターンを印刷することができないという事態が生じる。フィルターが詰まると、単に銅粉ペーストの利用の効率(収率)が低下することにとどまらず、フィルターの交換のために、印刷装置全体を停止しなければならないといった事態が、さらに生じる。そのため、銅粉の凝集を防ぐことは、電極製造において重要である。
このような状況のもとで、本発明に係る銅粉ペーストは、焼結遅延性に優れていることに加えて、凝集が防がれて、フィルター透過性にも優れているものとなっているために、印刷技術を用いた電極製造に、好適に使用可能なものとなっていることがわかった。
本発明による銅粉ペーストは、焼結遅延性に優れ、ペースト内の銅粉の分散性にも優れたものとなっているために、電極剥離などの製造上の問題を回避して、チップ積層コンデンサー用電極の製造を、有利に行うことができる。また、本発明による銅粉ペーストの製造は、この表面処理された銅粉に対して非常に簡単な処理を行って製造できるので、高度な技能を必要とせず、作業性及び生産性に優れたものである。本発明は、産業上有用な発明である。

Claims (21)

  1. Siの付着量が銅粉1gに対して500〜16000μg、銅粉に対するNの重量%が0.05%以上である、表面処理された銅粉が、溶剤に分散されて含まれる、銅粉ペースト。
  2. 表面処理された銅粉に加えて、バインダ樹脂が、溶剤に分散されて含まれる、請求項1に記載の銅粉ペースト。
  3. 表面処理された銅粉が、シランカップリング剤で表面処理された銅粉である、請求項1又は請求項2に記載の銅粉ペースト。
  4. シランカップリング剤がアミノシランである、請求項3に記載の銅粉ペースト。
  5. 溶剤が、アルコール溶剤、グリコールエーテル溶剤、アセテート溶剤、ケトン溶剤、又は炭化水素溶剤である、請求項1〜4のいずれかに記載の銅粉ペースト。
  6. ポアサイズ5μm、有効面積9.0cm2のフィルターに0.3atmの減圧ろ過を行って、投入質量4gに対する透過した質量の割合の百分率(透過率)が、15分後に、35%以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の銅粉ペースト。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のペーストを使用して製造されたチップ積層セラミックコンデンサー。
  8. Siの付着量が銅粉1gに対して500〜16000μg、銅粉に対するNの重量%が0.05%以上である、表面処理された銅粉を、溶剤に分散してペーストを調製する工程、
    を含む、銅粉ペーストの製造方法。
  9. ペーストを調製する工程が、
    表面処理された銅粉に加えて、さらに、バインダ樹脂を、溶剤に分散してペーストを調製する工程、である、請求項8に記載の方法。
  10. ペーストを調製する工程、の後に、
    調製されたペーストを、フィルターでろ過する工程、
    を含む、請求項8又は請求項9に記載の方法。
  11. フィルターが、1〜8μmのポアサイズを有する、請求項10に記載の方法。
  12. フィルターでろ過する工程が、減圧ろ過又は加圧ろ過によって行われる、請求項10又は請求項11に記載の方法。
  13. 表面処理された銅粉が、
    銅粉を、アミノシラン水溶液と混合して、銅粉分散液を調製する工程、
    を含む、表面処理された銅粉を製造する方法によって製造された、表面処理された銅粉である、請求項8〜12のいずれかに記載の方法。
  14. 銅分散液が、銅粉1gに対してアミノシラン0.025g以上を含んでいる、請求項13に記載の方法。
  15. アミノシラン水溶液が、次の式I:
    2N−R1−Si(OR22(R3) (式I)
    (ただし、上記式Iにおいて、
    R1は、直鎖状又は分枝を有する、飽和又は不飽和の、置換又は非置換の、環式又は非環式の、複素環を有する又は複素環を有しない、C1〜C12の炭化水素の二価基であり、
    R2は、C1〜C5のアルキル基であり、
    R3は、C1〜C5のアルキル基、又はC1〜C5のアルコキシ基である。)
    で表されるアミノシランの水溶液である、請求項13又は請求項14に記載の方法。
  16. R1が、 −(CH2n−、−(CH2n−(CH)m−(CH2j-1−、−(CH2n−(CC)−(CH2n-1−、−(CH2n−NH−(CH2m−、−(CH2n−NH−(CH2m−NH−(CH2j−、−(CH2n-1−(CH)NH2−(CH2m-1−、−(CH2n-1−(CH)NH2−(CH2m-1−NH−(CH2j− からなる群から選択された基である(ただし、n、m、jは、1以上の整数である)、請求項15に記載の方法。
  17. 銅粉が、湿式法によって製造された銅粉である、請求項8〜16のいずれかに記載の方法。
  18. 請求項8〜17のいずれかに記載の方法であって、
    表面処理された銅粉が、
    Siの付着量が銅粉1gに対して500〜16000μgであり、
    銅粉に対するNの重量%が0.05%以上であり、
    焼結開始温度が400℃以上である、方法。
  19. 請求項8〜18のいずれかに記載の製造方法によって製造された銅粉ペーストを、基材に塗布する工程、
    基材に塗布された導電性銅ペーストを加熱焼成する工程、
    を含む、電極を製造する方法。
  20. 電極が、チップ積層セラミックコンデンサー用電極である、請求項19に記載の方法。
  21. 請求項8〜18のいずれかに記載の製造方法によって製造された銅粉ペーストであって、
    ポアサイズ5μm、有効面積9.0cm2のフィルターに0.3atmの減圧ろ過を行って、投入質量4gに対する透過した質量の割合の百分率(透過率)が、15分後に、35%以上である、銅粉ペースト。
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