JP2023063770A - 回路接続用接着剤フィルム、並びに回路接続構造体及びその製造方法 - Google Patents

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和也 成冨
Kazuya Narutoimi
孝 中澤
Takashi Nakazawa
将人 福井
Masato Fukui
融 和泉田
Toru Izumida
華世 稗島
Hanayo Hiejima
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Abstract

【課題】粘着付与層を設けなくとも、プラスチック基板との密着性に優れるとともに、接続抵抗及び導電粒子捕捉性に優れる回路接続構造体を作製することが可能な回路接続用接着剤フィルムを提供すること。【解決手段】回路接続用接着剤フィルム10が開示される。回路接続用接着剤フィルム10は、導電粒子4及び第1の接着剤成分を含有する第1の領域1と、第1の領域1に隣接して設けられた、第2の接着剤成分を含有する第2の領域2とを備える。第1の接着剤成分は、1,6-ヘキサンジオールに由来する骨格を有するエポキシ化合物を含む。【選択図】図1

Description

本開示は、回路接続用接着剤フィルム、並びに回路接続構造体及びその製造方法に関する。
従来、テレビ、PCモニタ、携帯電話、スマートホン等の各種表示手段として、液晶表示パネル、有機ELパネル等が用いられている。このような表示装置においては、ファインピッチ化、軽量薄型化等の観点から、駆動用ICを直接表示パネルのガラス基板上に実装するいわゆるCOG(chip on glass)実装が採用されている。
COG実装方式が採用された液晶表示パネルにおいては、例えば、透明電極(ITO(酸化インジウムスズ)等)を複数有する透明基板(ガラス基板等)上に、液晶駆動用IC等の半導体素子が接続される。半導体素子の電極端子と透明電極との接続のための接着材料として、接着剤中に導電粒子が分散された異方導電性を有する回路接続用接着剤フィルムが使用されている。例えば、半導体素子として液晶駆動用ICを実装する場合、液晶駆動用ICは、その実装面に透明電極に対応した複数の電極端子を有しており、異方導電性を有する回路接続用接着剤フィルムを介して液晶駆動用ICを透明基板上に熱圧着することによって、電極端子と透明電極とが接続されて、回路接続構造体を得ることができる。
近年、曲面を有するディスプレイ(フレキシブルディスプレイ)が提案されている。このようなフレキシブルディスプレイでは、基板としてガラス基板に替えて可撓性を有するプラスチック基板(ポリイミド基板等)が用いられるため、駆動用IC等の各種電子部品もプラスチック基板に実装されることとなる。そのような実装の方法として、異方導電性を有する回路接続用接着剤フィルムを用いるCOP(chip on plastic)実装が検討されている(例えば、特許文献1参照)。COP実装に用いられる回路接続用接着剤フィルムとしては、例えば、導電粒子を含有する導電性接着剤層と、導電粒子を含有しない絶縁性接着剤層とを備える2層フィルム型の回路接続用接着剤フィルムが知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開2016-054288号公報 特開2015-096603号公報
ところで、従来の回路接続用接着剤フィルムは、プラスチック基板との密着性が充分でない場合がある。そのため、プラスチック基板との密着性の改善の観点から、回路接続用接着剤フィルムでは、導電性接着剤層及び絶縁性接着剤層とは異なる層として、導電性接着剤層上の絶縁性接着剤層とは反対側の面に粘着付与層が設けられる場合がある。
しかしながら、本開示の発明者らの検討によると、粘着付与層が設けられた回路接続用接着剤フィルムは、プラスチック基板との密着性は向上するものの、粘着付与層が通常絶縁性であることから、接続抵抗が上昇する場合があり、また、実装時の粘着付与層の流動が導電性接着剤層の流動を助長して、得られる回路接続構造体において、電極端子と電極との間で導電粒子を捕捉できない場合があることが見出された。
そこで、本開示は、粘着付与層を設けなくとも、プラスチック基板との密着性に優れるとともに、接続抵抗及び導電粒子捕捉性に優れる回路接続構造体を作製することが可能な回路接続用接着剤フィルムを提供することを主な目的とする。
本開示の一側面は、回路接続用接着剤フィルムに関する。当該回路接続用接着剤フィルムは、導電粒子及び第1の接着剤成分を含有する第1の領域と、第1の領域に隣接して設けられた、第2の接着剤成分を含有する第2の領域とを備える。第1の接着剤成分は、1,6-ヘキサンジオールに由来する骨格を有するエポキシ化合物を含む。
本発明者らの検討によると、第1の接着剤成分が1,6-ヘキサンジオールに由来する骨格を有するエポキシ化合物を含むによって、回路接続用接着剤フィルムのプラスチック基板との密着性が改善することが見出された。また、本開示の一側面の回路接続用接着剤フィルムは、粘着付与層を設けていないことから、接続抵抗及び導電粒子捕捉性の性能の低下を防ぐことができ、結果として、接続抵抗及び導電粒子捕捉性に優れる回路接続構造体を作製することが可能となる。
第1の接着剤成分は、光硬化性樹脂成分の硬化物をさらに含んでいてもよい。この場合、光硬化性樹脂成分は、ラジカル重合性化合物を含んでいてもよい。
第1の接着剤成分は、1,6-ヘキサンジオールに由来する骨格を有するエポキシ化合物以外の熱硬化性樹脂成分をさらに含んでいてもよい。この場合、熱硬化性樹脂成分は、1,6-ヘキサンジオールに由来する骨格を有するエポキシ化合物以外のカチオン重合性化合物及び熱カチオン重合開始剤を含んでいてもよい。
本開示の他の一側面は、回路接続構造体の製造方法に関する。当該回路接続構造体の製造方法は、第1の電極を有する第1の回路部材と、第2の電極を有する第2の回路部材との間に、上記の回路接続用接着剤フィルム、又は、上記の回路接続用材料を介在させ、第1の回路部材及び第2の回路部材を熱圧着して、第1の電極及び第2の電極を互いに電気的に接続する工程を備える。
本開示の他の一側面は、回路接続構造体に関する。当該回路接続構造体は、第1の電極を有する第1の回路部材と、第2の電極を有する第2の回路部材と、第1の回路部材及び第2の回路部材の間に配置され、第1の電極及び第2の電極を互いに電気的に接続する回路接続部とを備える。回路接続部は、上記の回路接続用接着剤フィルムの硬化物を含む。
本開示によれば、粘着付与層を設けなくとも、プラスチック基板との密着性に優れるとともに、接続抵抗及び導電粒子捕捉性に優れる回路接続構造体を作製することが可能な回路接続用接着剤フィルムが提供される。このような回路接続用接着剤フィルムは、COP実装に好適に用いることができる。また、本開示によれば、このような回路接続用接着剤フィルムを用いた回路接続構造体及びその製造方法が提供される。
図1は、回路接続用接着剤フィルムの一実施形態を示す模式断面図である。 図2は、回路接続構造体の一実施形態を示す模式断面図である。 図3は、回路接続構造体の製造方法の一実施形態を示す模式断面図である。図3(a)及び図3(b)は、各工程を示す模式断面図である。
以下、図面を参照しながら本開示の実施形態について詳細に説明する。ただし、本開示は以下の実施形態に限定されるものではない。
本明細書中、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。また、個別に記載した上限値及び下限値は任意に組み合わせ可能である。また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート、及び、それに対応するメタクリレートの少なくとも一方を意味する。「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル酸」等の他の類似の表現においても同様である。また、「(ポリ)」とは「ポリ」の接頭語がある場合とない場合の双方を意味する。また、「A又はB」とは、A及びBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。また、以下で例示する材料は、特に断らない限り、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
[回路接続用接着剤フィルム]
図1は、回路接続用接着剤フィルムの一実施形態を示す模式断面図である。図1に示される回路接続用接着剤フィルム10(以下、単に「接着剤フィルム10」という場合がある。)は、導電粒子4及び第1の接着剤成分を含有する第1の領域1と、第1の領域1に隣接して設けられた、第2の接着剤成分を含有する第2の領域2とを備える(以下、「第1の接着剤成分」及び「第2の接着剤成分」を便宜的にまとめて「接着剤成分」として説明する場合がある。)。第1の領域1は、第1の接着剤フィルム(第1の接着剤層)から形成される領域であり得る。第2の領域2は、第2の接着剤フィルム(第2の接着剤層)から形成される領域であり得る。接着剤フィルム10は、第1の領域1と第2の領域2との2つの領域から構成され得る。接着剤フィルム10は、導電粒子4及び第1の接着剤成分を含有する第1の接着剤層と、第1の接着剤層上に設けられた、第2の接着剤成分を含有する第2の接着剤層とを備えているということもできる。接着剤フィルム10は、第1の接着剤層と第2の接着剤層とから構成され得る。
接着剤フィルム10は、導電粒子4が第1の領域1(第1の接着剤層)中に分散されている。そのため、接着剤フィルム10は、異方導電性接着剤フィルムであり得る。接着剤フィルム10は、第1の電極を有する第1の回路部材と、第2の電極を有する第2の回路部材との間に介在させ、第1の回路部材及び第2の回路部材を熱圧着して、第1の電極及び第2の電極を互いに電気的に接続するために用いられるものであってよい。
<第1の領域(第1の接着剤層)>
第1の領域1(第1の接着剤層)は、導電粒子4(以下、「(A)成分」という場合がある。)及び接着剤成分(以下、「(B)成分」という場合がある。)を含有する。
(A)成分:導電粒子
(A)成分は、導電性を有する粒子であれば特に制限されず、Au、Ag、Pd、Ni、Cu、はんだ等の金属で構成された金属粒子、導電性カーボンで構成された導電性カーボン粒子などであってよい。(A)成分は、金、パラジウム、及びニッケルからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含んでいてもよい。(A)成分は、非導電性のガラス、セラミック、プラスチック(ポリスチレン等)などを含む核と、上記金属又は導電性カーボンを含み、核を被覆する被覆層とを備える被覆導電粒子であってもよい。これらの中でも、(A)成分は、好ましくは熱溶融性の金属で形成された金属粒子、又はプラスチックを含む核と、金属又は導電性カーボンを含み、核を被覆する被覆層とを備える被覆導電粒子である。このような被覆導電粒子は、熱硬化性樹脂成分の硬化物を加熱又は加圧により変形させることが容易であるため、電極同士を電気的に接続する際に、電極と(A)成分との接触面積を増加させ、電極間の導電性をより向上させることができる。
(A)成分は、上記の金属粒子、導電性カーボン粒子、又は被覆導電粒子と、樹脂等の絶縁材料を含み、該粒子の表面を被覆する絶縁層とを備える絶縁被覆導電粒子であってもよい。(A)成分が絶縁被覆導電粒子であると、(A)成分の含有量が多い場合であっても、粒子の表面が樹脂で被覆されているため、(A)成分同士の接触による短絡の発生を抑制でき、また、隣り合う電極回路間の絶縁性を向上させることもできる。(A)成分は、上記の各種導電粒子の1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
(A)成分の最大粒径は、電極の最小間隔(隣り合う電極間の最短距離)よりも小さいことが必要である。(A)成分の最大粒径は、分散性及び導電性に優れる観点から、1.0μm以上、2.0μm以上、又は2.5μm以上であってよい。(A)成分の最大粒径は、分散性及び導電性に優れる観点から、20μm以下、10μm以下、又は5μm以下であってよい。本明細書では、任意の導電粒子300個(pcs)について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた観察により粒径の測定を行い、得られた最も大きい値を(A)成分の最大粒径とする。なお、(A)成分が突起を有する場合等、(A)成分が球形ではない場合、(A)成分の粒径は、SEMの画像における導電粒子に外接する円の直径とする。
(A)成分の平均粒径は、分散性及び導電性に優れる観点から、1.0μm以上、2.0μm以上、又は2.5μm以上であってよい。(A)成分の平均粒径は、分散性及び導電性に優れる観点から、20μm以下、10μm以下、又は5μm以下であってよい。本明細書では、任意の導電粒子300個(pcs)について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた観察により粒径の測定を行い、得られた粒径の平均値を平均粒径とする。
第1の領域1(第1の接着剤層)において、(A)成分は均一に分散されていることが好ましい。接着剤フィルム10における(A)成分の粒子密度は、安定した接続抵抗が得られる観点から、100個/mm以上、1000個/mm以上、3000個/mm以上、又は5000個/mm以上、であってよい。接着剤フィルム10における(A)成分の粒子密度は、隣り合う電極間の絶縁性を向上する観点から、100000個/mm以下、70000個/mm以下、50000個/mm以下、又は30000個/mm以下であってよい。
(A)成分の含有量は、導電性をより向上させることができる観点から、第1の領域(第1の接着剤層)の全質量を基準として、1質量%以上、5質量%以上、又は10質量%以上であってよい。(A)成分の含有量は、短絡を抑制し易い観点から、第1の領域(第1の接着剤層)の全質量を基準として、60質量%以下、50質量%以下、又は40質量%以下であってよい。(A)成分の含有量が上記範囲であると、本開示の効果が顕著に奏される傾向にある。なお、組成物又は組成物層中の(A)成分の含有量(組成物又は組成物層の全質量基準)は上記範囲と同様であってよい。
(B)成分:接着剤成分
(B)成分は、1,6-ヘキサンジオールに由来する骨格を有するエポキシ化合物(以下、「(B1)成分」という場合がある。)を含む。(B1)成分は、カチオン硬化系の重合性化合物であり、カチオン硬化系の熱硬化性樹脂成分の一成分として作用し得る。(B)成分は、(B1)成分以外の重合性化合物(以下、「(B2)成分」という場合がある。)、重合開始剤(以下、「(B3)成分」という場合がある。)等をさらに含んでいてもよい。(B)成分は、(B1)成分と、(B2)成分と(B3)成分との組み合わせからなる硬化性樹脂成分及び/又は硬化性樹脂成分の硬化物とを含んでいてもよい。
第1の領域1(第1の接着剤層)を構成する接着剤成分(第1の接着剤成分)は、光硬化性樹脂成分の硬化物を含んでいてもよい。第1の接着剤成分が光硬化性樹脂成分の硬化物を含むことによって、(A)成分の導電粒子捕捉性をより一層向上させることができる。この場合、第1の接着剤成分は、(B3)成分として光重合開始剤を含んでいてもよい。光硬化性樹脂成分の硬化物を含む第1の接着剤成分を含有する第1の領域1(第1の接着剤層)は、例えば、光硬化性樹脂成分を含有する組成物層に対して光エネルギーを照射し、光硬化性樹脂成分を硬化させることによって得ることができる。光硬化性樹脂成分は、カチオン硬化系(後述の(B2C)成分と(B3CL)成分との組み合わせ)であっても、ラジカル硬化系(後述の(B2R)成分と(B3RL)成分との組み合わせ)であってもよい。光硬化性樹脂成分は、ラジカル硬化系であることが好ましく、後述の(B2R)成分を含んでいてもよい。
第1の領域1(第1の接着剤層)を構成する接着剤成分(第1の接着剤成分)は、光硬化性樹脂成分の硬化物に加えて、(B1)成分以外の熱硬化性樹脂成分(以下、第1の領域1(第1の接着剤層)を構成する(B1)成分以外の熱硬化性樹脂成分を「第1の熱硬化性樹脂成分」という場合がある。)をさらに含んでいてもよい。この場合、第1の接着剤成分は、(B3)成分として熱重合開始剤をさらに含んでいてもよい。(B1)成分、光硬化性樹脂成分の硬化物、及び第1の熱硬化性樹脂成分を含む第1の接着剤成分を含有する第1の領域1(第1の接着剤層)は、例えば、(B1)成分、光硬化性樹脂成分、及び第1の熱硬化性樹脂成分を含有する組成物層に対して光エネルギーを照射し、光硬化性樹脂成分を硬化させることによって得ることができる。第1の熱硬化性樹脂成分は、カチオン硬化系(後述の(B2C)成分と(B3CH)成分との組み合わせ)であっても、ラジカル硬化系(後述の(B2R)成分と(B3RH)成分との組み合わせ)であってもよく、カチオン硬化系であることが好ましい。第1の熱硬化性樹脂成分は、後述の(B2C)成分及び(B3CH)成分を含んでいてもよい。光硬化性樹脂成分の硬化系と熱硬化性樹脂成分の硬化系とは異なっていることが好ましく、光硬化性樹脂成分がラジカル硬化系であり、かつ熱硬化性樹脂成分がカチオン硬化系であることがより好ましい。
((B1)成分:1,6-ヘキサンジオールに由来する骨格を有するエポキシ化合物)
(B1)成分は、分子内に、1,6-ヘキサンジオールに由来する骨格を少なくとも1つ有するとともに、エポキシ基を少なくとも1つ有する化合物(又は樹脂)を意味する。(B1)成分は、ラジカルによって反応するラジカル重合性基(例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基、スチリル基、アルケニル基、アルケニレン基、マレイミド基等)を有していてもよく、有していなくてもよい。(B1)成分は、特に制限されず、目的とする実装温度、実装時間、保存安定性等によって適宜選定することができる。(B1)成分は、カチオン重合性化合物であり、カチオン硬化系の熱硬化性樹脂成分の一成分として作用し得る。(B1)成分は、例えば、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルに由来する構造単位を有するエポキシ化合物であってよく、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルとビスフェノールFとの共重合体であってもよい。
(B1)成分の重量平均分子量(Mw)は、導電粒子捕捉性の観点から、例えば、1000以上であってよく、1500以上又は2000以上であってもよい。(B1)成分の重量平均分子量(Mw)は、接続抵抗性の観点から、50000以下であってよく、45000以上又は40000以上であってもよい。なお、本明細書において、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、標準ポリスチレンによる検量線を用いて換算した値を意味する。
(B1)成分のガラス転移温度(Tg)は、接着性の観点から、例えば、50℃以下であってよく、40℃以下又は30℃以下であってもよい。(B1)成分のガラス転移温度(Tg)は、例えば、-30℃以上、-10℃以上、又は0℃以上であってよい。なお、本明細書において、ガラス転移温度(Tg)は、DSC(熱示差走査熱量計)を用いて測定された値を意味する。
(B1)成分の市販品としては、例えば、YX7110B80、YX7180BH40(いずれも1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルとビスフェノールFとの共重合体、三菱ケミカル株式会社製)等が挙げられる。
(B1)成分の含有量は、(B)成分(第1の接着剤成分)の全質量を基準として、例えば、1~40質量%、5~30質量%、又は10~20質量%であってよい。なお、組成物又は組成物層中の(B1)成分の含有量(組成物又は組成物層の全質量基準)は上記範囲と同様であってよい。
((B2)成分:(B1)成分以外の重合性化合物)
(B2)成分は、カチオン重合性化合物(以下、「(B2C)成分」という場合がある。)であっても、ラジカル重合性化合物(以下、「(B2R)成分」という場合がある。)であってもよい。(B2)成分は、(B2C)成分であることが好ましい。
・(B2C)成分:カチオン重合性化合物
(B2C)成分は、カチオン重合開始剤(光カチオン重合開始剤、熱カチオン重合開始剤等)と反応することによって架橋する化合物であり、(B1)成分は、(B2C)成分に包含されない。なお、(B2C)成分は、ラジカルによって反応するラジカル重合性基を有しない化合物を意味し、(B2C)成分は、後述の(B2R)成分に包含されない。(B2C)成分としては、例えば、多官能エポキシ化合物(ただし、(B1)成分を除く。)、多官能オキセタン化合物、多官能脂環式エポキシ化合物(ただし、(B1)成分を除く。)等が挙げられる。(B2C)成分は、1種を単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。
(B)成分は、(B2C)成分として、接続抵抗の低減効果がさらに向上し、接続信頼性により優れる観点から、例えば、多官能オキセタン化合物及び多官能脂環式エポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含んでいてもよく、多官能オキセタン化合物及び多官能脂環式エポキシ化合物の両方を含むことが好ましい。
多官能エポキシ化合物としては、例えば、エピクロルヒドリンと、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD等のビスフェノール化合物とから誘導されるビスフェノール型エポキシ樹脂;エピクロルヒドリンと、フェノールノボラック又はクレゾールノボラック等のノボラック樹脂とから誘導されるエポキシノボラック樹脂;グリシジルアミン、グリシジルエーテル、ビフェニル、脂環式等の1分子内に2つ以上のグリシジル基を有する各種のエポキシ化合物などが挙げられる。これらは、1種の化合物を単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。
多官能オキセタン化合物は、オキセタニル基を2つ以上有し、かつラジカル重合性基を有しない化合物であれば特に制限なく使用することができる。オキセタン化合物の市販品としては、例えば、ETERNACOLL OXBP(商品名、宇部興産株式会社製)、OXSQ、OXT-121、OXT-221(商品名、東亜合成株式会社製)等が挙げられる。これらは、1種の化合物を単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。
多官能脂環式エポキシ化合物は、脂環式エポキシ基(例えば、エポキシシクロヘキシル基)を2つ以上有し、かつラジカル重合性基を有しない化合物であれば特に制限なく使用することができる。脂環式エポキシ化合物の市販品としては、例えば、CEL8010、CEL2021P、CEL2081(商品名、株式会社ダイセル株式会社製)等が挙げられる。これらは、1種の化合物を単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。
・(B2R)成分:ラジカル重合性化合物
(B2R)成分は、ラジカル重合開始剤(光ラジカル重合開始剤、熱ラジカル重合開始剤成分等)から発生したラジカルによって重合する化合物である。(B2R)成分は、モノマー、又は、1種若しくは2種以上のモノマーが重合してなるポリマー(又はオリゴマー)のいずれであってもよい。(B2R)成分は、1種を単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。
(B2R)成分は、ラジカルによって反応するラジカル重合性基を有する化合物である。ラジカル重合性基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基、スチリル基、アルケニル基、アルケニレン基、マレイミド基等が挙げられる。(B2R)成分が有するラジカル重合性基の数(官能基数)は、重合後、所望の溶融粘度が得られ易く、接続抵抗の低減効果がより向上し、接続信頼性により優れる観点から、2以上であってよく、重合時の硬化収縮を抑制する観点から、10以下であってよい。また、架橋密度と硬化収縮とのバランスをとるために、ラジカル重合性基の数が上記範囲内にある化合物に加えて、ラジカル重合性基の数が上記範囲外にある化合物を使用してもよい。
(B2R)成分は、導電粒子の流動を抑制する観点から、例えば、多官能(2官能以上)の(メタ)アクリレートを含んでいてもよい。多官能(2官能以上)の(メタ)アクリレートは、2官能の(メタ)アクリレートであってよく、2官能の(メタ)アクリレートは、2官能の芳香族(メタ)アクリレートであってよい。
多官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化2-メチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート等の脂肪族(メタ)アクリレート;エトキシ化ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールF型ジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールF型ジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ビスフェノールF型ジ(メタ)アクリレート、エトキシ化フルオレン型ジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化フルオレン型ジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化フルオレン型ジ(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の脂肪族(メタ)アクリレート;ビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート、フェノールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート等の芳香族エポキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
多官能(2官能以上)の(メタ)アクリレートの含有量は、接続抵抗の低減効果と粒子流動の抑制とを両立させる観点から、(B2R)成分の全質量を基準として、例えば、40~100質量%、50~100質量%、又は60~100質量%であってよい。
(B2R)成分は、多官能(2官能以上)の(メタ)アクリレートに加えて、単官能の(メタ)アクリレートをさらに含んでいてもよい。単官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、(メタ)アクリル酸;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチルヘプチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、モノ(2-(メタ)アクリロイロキシエチル)スクシネート等の脂肪族(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、o-ビフェニル(メタ)アクリレート、1-ナフチル(メタ)アクリレート、2-ナフチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、p-クミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、o-フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、1-ナフトキシエチル(メタ)アクリレート、2-ナフトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-(o-フェニルフェノキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-(1-ナフトキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-(2-ナフトキシ)プロピル(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有する(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等の脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリレート、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル(メタ)アクリレート等のオキセタニル基を有する(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
単官能の(メタ)アクリレートの含有量は、(B2R)成分の全質量を基準として、例えば、0~60質量%、0~50質量%、又は0~40質量%であってよい。
(B2R)成分は、多官能(2官能以上)及び単官能の(メタ)アクリレートに加えて、その他のラジカル重合性化合物を含んでいてもよい。その他のラジカル重合性化合物としては、例えば、マレイミド化合物、ビニルエーテル化合物、アリル化合物、スチレン誘導体、アクリルアミド誘導体、ナジイミド誘導体等が挙げられる。その他のラジカル重合性化合物の含有量は、(B2R)成分の全質量を基準として、例えば、0~40質量%であってよい。
((B3)成分:重合開始剤)
(B2)成分として(B2C)成分を用いる場合、(B3)成分は、光カチオン重合開始剤(以下、「(B3CL)成分」という場合がある。)であっても、熱カチオン重合開始剤(以下、「(B3CH)成分」という場合がある。)であってもよい。(B2C)成分と(B3CL)成分とを組み合わせることによって、光硬化性樹脂成分となり得る。(B2C)成分と(B3CH)成分とを組み合わせることによって、熱硬化性樹脂成分となり得る。
・(B3CL)成分:光カチオン重合開始剤
(B3CL)成分は、150~750nmの範囲内の波長を含む光、好ましくは254~405nmの範囲内の波長を含む光、さらに好ましくは365nmの波長を含む光(例えば紫外光)の照射によってカチオン重合を開始させる物質を発生する重合開始剤である。なお、(B3CL)成分は、後述の(B3CH)成分として作用するものがあり得る。
(B3CL)成分は、例えば、BF 、BR (Rは、2以上のフッ素原子又は2以上のトリフルオロメチル基で置換されたフェニル基を示す。)、PF 、SbF 、AsF 等のアニオンを有する、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、アンモニウム塩、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、アニリニウム塩等のオニウム塩などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。
(B3CL)成分の市販品としては、例えば、CPI-100P、CPI-110P、CPI-101A、CPI-200K、CPI-210S(いずれもサンアプロ株式会社製)、UVI-6990、UVI-6992、UVI-6976(いずれもダウ・ケミカル日本株式会社製)、SP-150、SP-152、SP-170、SP-172、SP-300(いずれも株式会社ADEKA製)等が挙げられる。
(B3CL)成分の含有量は、第1の領域(第1の接着剤層)を形成するための接着剤フィルムの形成性及び硬化性を担保する観点から、(B2C)成分の100質量部に対して、例えば、0.1~15質量部、0.3~12質量部、0.5~10質量部、又は1~5質量部であってよい。
・(B3CH)成分:熱カチオン重合開始剤
(B3CH)成分は、熱(例えば、40~150℃)によってカチオン重合を開始させる物質を発生する重合開始剤である。なお、(B3CH)成分は、上記の(B3CL)成分として作用するものがあり得る。
(B3CH)成分は、(B3CL)成分と同様に、例えば、BF 、BR (Rは、2以上のフッ素原子又は2以上のトリフルオロメチル基で置換されたフェニル基を示す。)、PF 、SbF 、AsF 等のアニオンを有する、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、アンモニウム塩、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、アニリニウム塩等のオニウム塩などが挙げられる。(B3CH)成分は、例えば、BR (Rは、2以上のフッ素原子又は2以上のトリフルオロメチル基で置換されたフェニル基を示す。)を有するアニリニウム塩であってよい。これらは、1種を単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。
(B3CH)成分の市販品としては、例えば、CP-66、CP-77(いずれも株式会社ADEKA製)、SI-25、SI-45、SI-60、SI-60L、SI-60LA、SI-60B、SI-80L、SI-100L、SI-110L、SI-180L(いずれも三新化学工業株式会社製)、CI-2855(日本曹達株式会社製)、PI-2074(ローディア・ジャパン株式会社製)、CXC-1821(King Industries社製)等が挙げられる。
(B3CH)成分の含有量は、第1の領域(第1の接着剤層)を形成するための接着剤フィルムの形成性及び硬化性を担保する観点から、(B2C)成分の100質量部に対して、例えば、0.1~50質量部、0.5~40質量部、1~30質量部、又は5~20質量部であってよい。
(B2)成分として(B2R)成分を用いる場合、(B3)成分は、光ラジカル重合開始剤(以下、「(B3RL)成分」という場合がある。)であっても、熱ラジカル重合開始剤(以下、「(B3RH)成分」という場合がある。)であってもよい。(B2R)成分と(B3RL)成分とを組み合わせることによって、光硬化性樹脂成分となり得る。(B2R)成分と(B3RH)成分とを組み合わせることによって、熱硬化性樹脂成分となり得る。
・(B3RL)成分:光ラジカル重合開始剤
(B3RL)成分は、150~750nmの範囲内の波長を含む光、好ましくは254~405nmの範囲内の波長を含む光、さらに好ましくは365nmの波長を含む光(例えば紫外光)の照射によってラジカルを発生する重合開始剤である。(B3RL)成分は、1種を単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。
(B3RL)成分は、光により分解して遊離ラジカルを発生する。つまり、(B3RL)成分は、外部からの光エネルギーの付与によりラジカルを発生する化合物である。(B3RL)成分は、オキシムエステル構造、ビスイミダゾール構造、アクリジン構造、α-アミノアルキルフェノン構造、アミノベンゾフェノン構造、N-フェニルグリシン構造、アシルホスフィンオキサイド構造、ベンジルジメチルケタール構造、α-ヒドロキシアルキルフェノン構造等の構造を有する化合物であってよい。(B3RL)成分は、1種を単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。(B3RL)成分は、所望の溶融粘度が得られ易い観点、及び、接続抵抗の低減効果により優れる観点から、オキシムエステル構造、α-アミノアルキルフェノン構造、及びアシルホスフィンオキサイド構造からなる群より選択される少なくとも1種の構造を有する化合物であってもよい。
オキシムエステル構造を有する化合物の具体例としては、1-フェニル-1,2-ブタンジオン-2-(o-メトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-メトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-o-ベンゾイルオキシム、1,3-ジフェニルプロパントリオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-3-エトキシプロパントリオン-2-(o-ベンゾイル)オキシム、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)フェニル-,2-(o-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(o-アセチルオキシム)等が挙げられる。
α-アミノアルキルフェノン構造を有する化合物の具体例としては、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1等が挙げられる。
アシルホスフィンオキサイド構造を有する化合物の具体例としては、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6,-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイド等が挙げられる。
(B3RL)成分の含有量は、導電粒子の流動抑制の観点から、(B2R)成分の100質量部に対して、例えば、0.1~10質量部、0.5~7質量部、又は1~5質量部であってよい。
・(B3RH)成分:熱ラジカル重合開始剤
(B3RH)成分は、熱によってラジカルを発生する重合開始剤である。(B3RH)成分の1時間半減期温度は、例えば、50~100℃でであってよい。(B3RH)成分は、1種を単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。
(B3RH)成分としては、例えば、オクタノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ステアリルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド;t-ブチルパーオキシピバレート、t-ヘキシルパーオキシピバレート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシラウリレート、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシアセテート等のパーオキシエステル;並びに、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2’-ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物などが挙げられる。
(B3RH)成分の含有量は、導電粒子の流動抑制の観点から、(B2R)成分の100質量部に対して、例えば、0.1~15質量部、0.3~12質量部、又は0.5~10質量部であってよい。
(B)成分(第1の接着剤成分)は、光硬化性樹脂成分の硬化物を含んでいてもよい。この場合、光硬化性樹脂成分の硬化物の含有量は、(B)成分(第1の接着剤成分)の全質量を基準として、5~60質量%、10~50質量%、又は20~40質量%であってよい。なお、組成物又は組成物層中の光硬化性樹脂成分の含有量(組成物又は組成物層の全質量基準)は上記範囲と同様であってよい。
(B)成分(第1の接着剤成分)は、光硬化性樹脂成分の硬化物に加えて、熱硬化性樹脂成分をさらに含んでいてもよい。この場合、熱硬化性樹脂成分の含有量は、(B)成分(第1の接着剤成分)の全質量を基準として、40~95質量%、50~90質量%、又は60~80質量%であってよい。なお、組成物又は組成物層中の熱硬化性樹脂成分の含有量(組成物又は組成物層の全質量基準)は上記範囲と同様であってよい。
(B)成分(第1の接着剤成分)の含有量は、第1の領域(第1の接着剤層)を形成するための接着剤フィルムの硬化性を担保する観点から、第1の領域(第1の接着剤層)の全質量を基準として、5質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、又は20質量%以上であってよい。(B)成分(第1の接着剤成分)の含有量は、第1の領域(第1の接着剤層)を形成するための接着剤フィルムの形成性を担保する観点から、第1の領域(第1の接着剤層)の全質量を基準として、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、又は50質量%以下であってよい。(B)成分(第1の接着剤成分)の含有量が上記範囲であると、本開示の効果が顕著に奏される傾向にある。なお、組成物又は組成物層中の(B)成分(第1の接着剤成分)の含有量(組成物又は組成物層の全質量基準)は上記範囲と同様であってよい。
その他の成分
第1の領域1(第1の接着剤層)は、(A)成分及び(B)成分以外にその他の成分をさらに含有していてもよい。その他の成分としては、例えば、熱可塑性樹脂(以下、「(C)成分」という場合がある。)、カップリング剤(以下、「(D)成分」という場合がある。)等が挙げられる。
(C)成分:熱可塑性樹脂
(C)成分としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、アクリルゴム、エポキシ樹脂(25℃で固形)等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。(A)成分及び(B)成分を含有する組成物が(C)成分をさらに含有することによって、当該組成物から組成物層(さらには第1の接着剤層)を容易に形成することができる。これらの中でも、(C)成分は、例えば、フェノキシ樹脂であってよい。
(C)成分の含有量は、第1の領域(第1の接着剤層)の全質量を基準として、1質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、又は15質量%以上であってよく、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、又は40質量%以下であってよい。なお、組成物又は組成物層中の(C)成分の含有量(組成物又は組成物層の全質量基準)は上記範囲と同様であってよい。
(D)成分:カップリング剤
(D)成分としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、アミノ基、イミダゾール基、エポキシ基等の有機官能基を有するシランカップリング剤、テトラアルコキシシラン等のシラン化合物、テトラアルコキシチタネート誘導体、ポリジアルキルチタネート誘導体などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。第1の接着剤層が(D)成分を含有することによって、接着性をさらに向上させることができる。(D)成分は、例えば、シランカップリング剤であってよい。(D)成分の含有量は、第1の領域(第1の接着剤層)の全質量を基準として、0.1~10質量%であってよい。なお、組成物又は組成物層中の(D)成分の含有量(組成物又は組成物層の全質量基準)は上記範囲と同様であってよい。
その他の添加剤
第1の領域1(第1の接着剤層)は、軟化剤、促進剤、劣化防止剤、着色剤、難燃化剤、チキソトロピック剤等のその他の添加剤をさらに含有していてもよい。その他の添加剤の含有量は、第1の領域(第1の接着剤層)の全質量を基準として、例えば、0.1~10質量%であってよい。なお、組成物又は組成物層中のその他の添加剤の含有量(組成物又は組成物層の全質量基準)は上記範囲と同様であってよい。
第1の領域1の厚さd1は、例えば、5μm以下であってよい。第1の領域1の厚さd1は、4.5μm以下又は4μm以下であってもよい。第1の領域1の厚さd1が5μm以下であることによって、回路接続時の導電粒子をより一層効率的に捕捉することができる。第1の領域1の厚さd1は、例えば、0.1μm以上、0.5μm以上、又は0.7μm以上であってよい。
第1の領域1の厚さd1は、例えば、接着剤フィルムを2枚のガラス(厚さ:1mm程度)で挟み込み、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:JER811、三菱ケミカル株式会社製)100gと、硬化剤(商品名:エポマウント硬化剤、リファインテック株式会社製)10gとからなる樹脂組成物で注型後に、研磨機を用いて断面研磨を行い、走査型電子顕微鏡(SEM、商品名:SE-8020、株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用いて測定することによって求めることができる。また、図1に示されるように、導電粒子4の一部が第1の領域1の表面から露出(例えば、第2の領域2側に突出)している場合、第1の領域1における第2の領域2側とは反対側の主面1aから、隣り合う導電粒子4,4の離間部分に位置する第1の領域1と第2の領域2との境界Sまでの距離(図1においてd1で示す距離)が第1の領域1の厚さであり、導電粒子4の露出部分は第1の領域1の厚さには含まれない。導電粒子4の露出部分の長さは、例えば、0.1μm以上であってよく、5μm以下であってよい。
一方、接着剤フィルムを、例えば、第1の接着剤フィルムと第2の接着剤フィルムとを貼り合わせて作製する場合、接着剤フィルム中で第1の接着剤フィルムの厚さが維持され易いことから、第1の接着剤フィルムの厚さを第1の領域1の厚さd1としてもよい。なお、導電粒子の一部が第1の接着剤フィルムの表面から露出している場合、導電粒子の露出部分は第1の接着剤フィルムの厚さには含まれない。
<第2の領域(第2の接着剤層)>
第2の領域2(第2の接着剤層)は、(B)成分(第2の接着剤成分)を含有する。第2の接着剤成分は、第1の接着剤成分と同一であっても異なっていてもよい。
(B)成分(第2の接着剤成分)は、(B1)成分、(B2)成分、(B3)成分等を含んでいてもよい。(B)成分(第2の接着剤成分)は、(B1)成分を含んでいても含んでいなくてもよいが、(B1)成分を必ずしも含んでいなくてもよく、(B2)成分と(B3)成分との組み合わせからなる硬化性樹脂成分及び/又は硬化性樹脂成分の硬化物を含んでいてもよい。なお、第2の領域2(第2の接着剤層)で使用される(B1)成分、(B2)成分、及び(B3)成分は、第1の領域1(第1の接着剤層)で使用される(B1)成分、(B2)成分、及び(B3)成分と同様であることから、ここでは詳細な説明は省略する。
(B)成分(第2の接着剤成分)は、硬化性樹脂成分の硬化物を含んでいても含んでいなくてもよいが、硬化性樹脂成分の硬化物を必ずしも含んでいなくてもよく、熱硬化性樹脂成分(以下、第2の領域2(第2の接着剤層)を構成する熱硬化性樹脂成分を「第2の熱硬化性樹脂成分」という場合がある。)で構成されていることが好ましい。この場合、第2の接着剤成分は、(B3)成分として熱重合開始剤を含んでいてもよい。熱硬化性樹脂成分は、カチオン硬化系((B2C)成分と(B3CH)成分との組み合わせ)であっても、ラジカル硬化系((B2R)成分と(B3RH)成分との組み合わせ)であってもよく、カチオン硬化系であることが好ましい。第2の熱硬化性樹脂成分は、第1の熱硬化性樹脂成分と同一であっても異なっていてもよいが、硬化系が共通していることが好ましい。
(B)成分(第2の接着剤成分)の含有量は、第2の領域(第2の接着剤層)を形成するための接着剤フィルムの硬化性を担保する観点から、第2の領域(第2の接着剤層)の全質量を基準として、10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、又は40質量%以上であってよい。(B)成分(第2の接着剤成分)の含有量は、第2の領域(第2の接着剤層)を形成するための接着剤フィルムの形成性を担保する観点から、第2の領域(第2の接着剤層)の全質量を基準として、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、又は55質量%以下であってよい。(B)成分(第2の接着剤成分)の含有量が上記範囲であると、本開示の効果が顕著に奏される傾向にある。なお、組成物又は組成物層中の(B)成分(第2の接着剤成分)の含有量(組成物又は組成物層の全質量基準)は上記範囲と同様であってよい。
第2の領域2(第2の接着剤層)は、第1の領域1(第1の接着剤層)におけるその他の成分及びその他の添加剤をさらに含有していてもよい。その他の成分及びその他の添加剤の好ましい態様は、第1の領域1(第1の接着剤層)の好ましい態様と同様である。
(C)成分の含有量は、第2の領域(第2の接着剤層)の全質量を基準として、10質量%以上、20質量%以上、又は30質量%以上であってよく、70質量%以下、60質量%以下、又は50質量%以下であってよい。
(D)成分の含有量は、第2の領域(第2の接着剤層)の全質量を基準として、0.1~10質量%であってよい。
第2の領域2(第2の接着剤層)は、充填材(以下、「(E)成分」という場合がある。)をさらに含有していてもよい。
(E)成分:充填材
(E)成分としては、例えば、非導電性のフィラー(例えば、非導電粒子)が挙げられる。(E)成分は、無機フィラー及び有機フィラーのいずれであってもよい。無機フィラーとしては、例えば、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、シリカ-アルミナ微粒子、チタニア微粒子、ジルコニア微粒子等の金属酸化物微粒子;金属窒化物微粒子などの無機微粒子が挙げられる。有機フィラーとしては、例えば、シリコーン微粒子、メタアクリレート・ブタジエン・スチレン微粒子、アクリル・シリコーン微粒子、ポリアミド微粒子、ポリイミド微粒子等の有機微粒子が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。(E)成分は、例えば、シリカ微粒子であってよい。(E)成分の含有量は、第2の領域(第2の接着剤層)の全質量を基準として、1質量%以上、5質量%以上、又は10質量%以上であってよく、50質量%以下、40質量%以下、又は30質量%以下であってよい。なお、組成物又は組成物層中の(E)成分の含有量(組成物又は組成物層の全質量基準)は上記範囲と同様であってよい。
その他の添加剤の含有量は、第2の領域(第2の接着剤層)の全質量を基準として、例えば、0.1~10質量%であってよい。
第2の領域2の厚さd2は、接着する回路部材の電極の高さ等に応じて適宜設定してよい。第2の領域2の厚さd2は、電極間のスペースを充分に充填して電極を封止することができ、より良好な接続信頼性が得られる観点から、5μm以上又は7μm以上であってよく、20μm以下又は15μm以下であってよい。
第2の領域2の厚さd2は、第1の領域1の厚さd1と同様の手法によって求めることができる。なお、導電粒子4の一部が第1の領域1の表面から露出(例えば、第2の領域2側に突出)している場合、第2の領域2における第1の領域1側とは反対側の主面2aから、隣り合う導電粒子4,4の離間部分に位置する第1の領域1と第2の領域2との境界Sまでの距離(図1においてd2で示す距離)が第2の領域2の厚さである。
一方、接着剤フィルムを、例えば、第1の接着剤フィルムと第2の接着剤フィルムとを貼り合わせて作製する場合、接着剤フィルム中で第2の接着剤フィルムの厚さが維持され易いことから、第2の接着剤フィルムの厚さを第2の領域2の厚さd2としてもよい。
接着剤フィルム10の厚さ(接着剤フィルム10を構成するすべての層の厚さの合計(d1+d2))は、例えば、5μm以上又は8μm以上であってよく、25μm以下又は20μm以下であってよい。
接着剤フィルム10では、導電粒子4が第1の領域1中に分散されている。そのため、接着剤フィルム10は、異方導電性接着剤フィルムであり得る。接着剤フィルム10は、第1の電極を有する第1の回路部材と、第2の電極を有する第2の回路部材との間に介在させ、第1の回路部材及び第2の回路部材を熱圧着して、第1の電極及び第2の電極を互いに電気的に接続するために用いられる。
接着剤フィルム10によれば、COP実装に適用した場合においても、接続抵抗及び接続信頼性に優れる回路接続構造体を形成することが可能となる。
上記実施形態の回路接続用接着剤フィルムは、異方導電性接着剤フィルムであるが、回路接続用接着剤フィルムは、異方導電性を示さない導電性接着剤フィルムであってもよい。
<回路接続用接着剤フィルムの製造方法>
一実施形態の回路接続用接着剤フィルムの製造方法は、(A)成分及び(B)成分(第1の接着剤成分)を含有する第1の接着剤層を形成する工程(第1の工程)と、第1の接着剤層上に、(B)成分(第2の接着剤成分)を含有する第2の接着剤層を積層する工程(第2の工程)とを備える。
第1の工程では、例えば、まず、(A)成分及び(B)成分、並びに必要に応じて添加されるその他の成分及びその他の添加剤を含有する組成物を、有機溶媒中で撹拌混合、混錬等を行うことによって、溶解又は分散させ、ワニス組成物を調製する。その後、離型処理を施した基材上に、ワニス組成物をナイフコーター、ロールコーター、アプリケーター、コンマコーター、ダイコーター等を用いて塗布した後、加熱によって有機溶媒を揮発させて、基材上に組成物からなる組成物層(第1の接着剤層)を形成する。このとき、ワニス組成物の塗布量を調整することによって、最終的に得られる第1の接着剤層(第1の接着剤フィルム)の厚さを調整することができる。
(B)成分(第1の接着剤成分)として光硬化性樹脂成分を含む場合、第1の工程は、(A)成分及び(B)成分を含有する組成物からなる組成物層に対して、光硬化性樹脂成分を硬化させ、(A)成分及び(B)成分としての光硬化性樹脂成分の硬化物を含有する接着剤層を形成する工程であってよい。このとき、組成物は、熱硬化性樹脂成分を含み得る。すなわち、接着剤層は(A)成分並びに(B)成分としての光硬化性樹脂成分の硬化物及び熱硬化性樹脂成分を含有する接着剤層であり得る。第1の接着剤層は、第1の接着剤フィルムということができる。
ワニス組成物の調製において使用される有機溶媒は、各成分を均一に溶解又は分散し得る特性を有するものであれば特に制限されない。このような有機溶媒としては、例えば、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等が挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。ワニス組成物の調製の際の撹拌混合又は混錬は、例えば、撹拌機、らいかい機、3本ロール、ボールミル、ビーズミル、ホモディスパー等を用いて行うことができる。
基材は、有機溶媒を揮発させる際の加熱条件に耐え得る耐熱性を有するものであれば特に制限されない。このような基材としては、例えば、延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリオレフィン、ポリアセテート、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、ポリイミド、セルロース、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、合成ゴム系、液晶ポリマー等からなる基材(例えば、フィルム)を用いることができる。
基材へ塗布したワニス組成物から有機溶媒を揮発させる際の加熱条件は、使用する有機溶媒等に合わせて適宜設定することができる。加熱条件は、例えば、40~120℃で0.1~10分間であってよい。
第1の接着剤層には、有機溶媒の一部が除去されずに残存していてもよい。第1の接着剤層における有機溶媒の含有量は、例えば、第1の接着剤層の全質量を基準として、10質量%以下であってよい。
(A)成分及び(B)成分としての光硬化性樹脂成分の硬化物を含有する接着剤層を形成する工程においては、150~750nmの範囲内の波長を含む照射光(例えば、紫外光)を用いて光照射を行うことが好ましい。光照射は、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、LED光源等を使用して行うことができる。光照射の積算光量は、適宜設定することができるが、例えば、500~3000mJ/cmであってよい。
第2の工程は、第1の接着剤層上に第2の接着剤層を積層する工程である。第2の工程では、例えば、まず、(B)成分、並びに必要に応じて添加されるその他の成分及びその他の添加剤を用いること(及び光照射を行わないこと)以外は、第1の工程と同様にして、基材上に第2の接着剤層を形成し、第2の接着剤フィルムを得る。次いで、第1の接着剤フィルムと第2の接着剤フィルムとを貼り合わせることによって第1の接着剤層上に第2の接着剤層を積層することができる。また、第2の工程では、例えば、第1の接着剤層上に、(C)成分、並びに必要に応じて添加されるその他の成分及びその他の添加剤を用いて得られるワニス組成物を塗布し、有機溶媒を揮発させることによっても、第1の接着剤層上に第2の接着剤層を積層することができる。
第2の接着剤層には、有機溶媒の一部が除去されずに残存していてもよい。第2の接着剤層における有機溶媒の含有量は、例えば、第2の接着剤層の全質量を基準として、10質量%以下であってよい。
第1の接着剤フィルムと第2の接着剤フィルムとを貼り合わせる方法としては、例えば、加熱プレス、ロールラミネート、真空ラミネート等の方法が挙げられる。ラミネートは、例えば、0~80℃の温度条件下で行うことができる。
<回路接続構造体及びその製造方法>
以下、回路接続用材料として上記の回路接続用接着剤フィルム10を用いた回路接続構造体及びその製造方法について説明する。
図2は、回路接続構造体の一実施形態を示す模式断面図である。図2に示すように、回路接続構造体20は、第1の回路基板11及び第1の回路基板11の主面11a上に形成された第1の電極12を有する第1の回路部材13と、第2の回路基板14及び第2の回路基板14の主面14a上に形成された第2の電極15を有する第2の回路部材16と、第1の回路部材13及び第2の回路部材16の間に配置され、第1の電極12及び第2の電極15を互いに電気的に接続する回路接続部17とを備えている。
第1の回路部材13及び第2の回路部材16は、互いに同一であっても異なっていてもよい。第1の回路部材13及び第2の回路部材16は、回路電極が形成されているガラス基板又はプラスチック基板;プリント配線板;セラミック配線板;フレキシブル配線板;駆動用IC等のICチップなどであってよい。第1の回路基板11及び第2の回路基板14は、半導体、ガラス、セラミック等の無機物、ポリイミド、ポリカーボネート等の有機物(プラスチック)、ガラス/エポキシ等の複合物などで形成されていてよい。第1の回路基板11は、プラスチック基板であってよく、ポリイミド基板であってもよい。第1の回路部材13は、例えば、回路電極が形成されているプラスチック基板であってよく、回路電極が形成されているポリイミド基板であってもよい。第2の回路部材16は、例えば、駆動用IC等のICチップであってよい。
第1の電極12及び第2の電極15は、金、銀、錫、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、銅、アルミ、モリブデン、チタン等の金属、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、インジウムガリウム亜鉛酸化物(IGZO)等の酸化物などを含む電極であってよい。第1の電極12及び第2の電極15は、これら金属、酸化物等の2種以上を積層してなる電極であってもよい。2種以上を積層してなる電極は、2層以上であってよく、3層以上であってよい。第1の回路部材13がプラスチック基板である場合、第1の電極12は、最表面にチタン層を有する電極であってよい。第1の電極12及び第2の電極15は回路電極であってよく、バンプ電極であってもよい。第1の電極12及び第2の電極15の少なくとも一方は、バンプ電極であってよい。図2では、第1の電極12が回路電極であり、第2の電極15がバンプ電極である態様である。
回路接続部17は、上記の接着剤フィルム10の硬化物を含む。回路接続部17は、上記の接着剤フィルム10の硬化物からなっていてもよい。回路接続部17は、例えば、第1の回路部材13と第2の回路部材16とが互いに対向する方向(以下、「対向方向」という。)における第1の回路部材13側に位置し、上記の第1の領域における導電粒子4以外の、(B)成分(第1の接着剤成分)の硬化物からなる第1の硬化物領域18と、対向方向における第2の回路部材16側に位置し、上記の第2の領域における(B)成分(第2の接着剤成分)の硬化物からなる第2の硬化物領域19と、少なくとも第1の電極12及び第2の電極15の間に介在して第1の電極12及び第2の電極15を互いに電気的に接続する導電粒子4とを有している。回路接続部17は、図2に示されるように、第1の硬化物領域18と第2の硬化物領域19との間に、2つの明確な領域を有していなくてもよく、第1の領域に由来する硬化物と第2の領域に由来する硬化物とが混在して1つの領域を形成していてもよい。
回路接続構造体は、例えば、有機EL素子が規則的に配置されたプラスチック基板と、映像表示用のドライバーである駆動回路素子とが接続されたフレキシブルな有機電界発光カラーディスプレイ(有機ELディスプレイ)、有機EL素子が規則的に配置されたプラスチック基板と、タッチパッド等の位置入力素子とが接続されたタッチパネルなどが挙げられる。回路接続構造体は、スマートホン、タブレット、テレビ、乗り物のナビゲーションシステム、ウェアラブル端末等の各種モニタ;家具;家電;日用品などに適用することができる。
図3は、回路接続構造体の製造方法の一実施形態を示す模式断面図である。図3(a)及び図3(b)は、各工程を示す模式断面図である。図3に示すように、回路接続構造体20の製造方法は、第1の電極12を有する第1の回路部材13と、第2の電極15を有する第2の回路部材16との間に、上記の接着剤フィルム10を介在させ、第1の回路部材13及び第2の回路部材16を熱圧着して、第1の電極12及び第2の電極15を互いに電気的に接続する工程を備える。
具体的には、図3(a)に示すように、まず、第1の回路基板11及び第1の回路基板11の主面11a上に形成された第1の電極12を備える第1の回路部材13と、第2の回路基板14及び第2の回路基板14の主面14a上に形成された第2の電極15を備える第2の回路部材16とを準備する。
次に、第1の回路部材13及び第2の回路部材16を、第1の電極12及び第2の電極15が互いに対向するように配置し、第1の回路部材13と第2の回路部材16との間に接着剤フィルム10を配置する。例えば、図3(a)に示すように、第1の接着剤層側が第1の回路基板11の主面11aと対向するようにして接着剤フィルム10を第1の回路部材13上にラミネートする。次に、第1の回路基板11上の第1の電極12と、第2の回路基板14上の第2の電極15とが互いに対向するように、接着剤フィルム10がラミネートされた第1の回路部材13上に第2の回路部材16を配置する。
そして、図3(b)に示すように、第1の回路部材13、接着剤フィルム10、及び第2の回路部材16を加熱しながら、第1の回路部材13と第2の回路部材16とを厚さ方向に加圧することで、第1の回路部材13と第2の回路部材16とを互いに熱圧着する。この際、図3(b)において矢印で示すように、第2の接着剤層は、流動可能な未硬化の熱硬化性成分を有していることから、第2の電極15間同士の空隙を埋めるように流動すると共に、上記加熱によって硬化する。これにより、第1の電極12及び第2の電極15が導電粒子4を介して互いに電気的に接続され、また、第1の回路部材13及び第2の回路部材16が互いに接着されて、図2に示す回路接続構造体20を得ることができる。本実施形態の回路接続構造体20の製造方法では、光、熱、湿気等によって第1の接着剤層の一部が硬化された層といえるため、導電粒子4が第1の接着剤層中に固定されており、また、第1の接着剤層が上記熱圧着時にほとんど流動せず、導電粒子が効率的に対向する電極間で捕捉されるため、対向する第1の電極12及び第2の電極15間の接続抵抗が低減される。また、第1の接着剤層の厚さが5μm以下であると、回路接続時の導電粒子をより一層効率的に捕捉することができる傾向にある。
熱圧着する場合の加熱温度は、適宜設定することができるが、例えば、50~190℃あってよい。加圧は、被着体に損傷を与えない範囲であれば特に制限されないが、COG実装の場合は、例えば、バンプ電極での面積換算圧力10~100MPaであってよい。これらの加熱及び加圧の時間は、0.5~120秒間の範囲であってよい。また、COP(chip on plastic)実装の場合、例えば、バンプ電極での面積換算圧力0.1~50MPaであってよい。
以下、本開示について実施例を挙げてより具体的に説明する。ただし、本開示はこれら実施例に限定されるものではない。
[第1の接着剤フィルム(第1の接着剤層)、第2の接着剤フィルム(第2の接着剤層)、及び第3の接着剤フィルム(第3の接着剤層)の作製]
これらの作製においては、下記に示す材料を用いた。なお、第3の接着剤フィルム(第3の接着剤層)は比較例として使用するためのものであり、第2の接着剤フィルム(第2の接着剤層)上の第1の接着剤フィルム(第1の接着剤層)の反対側の面に貼り付けられる粘着付与層に相当するものである。
(A)導電粒子
A-1:プラスチック核体の表面にNiめっきを施し、最表面をPdで置換めっきを施した、平均粒径3.2μmの導電粒子を使用
(B)接着剤成分
(B1)1,6-ヘキサンジオールに由来する骨格を有するエポキシ化合物
B1-1:YX7110B80(1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルとビスフェノールFとの共重合体、三菱ケミカル株式会社製、Mw:2000、Tg:25℃)
B1-2:YX7180BH40(1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルとビスフェノールFとの共重合体、三菱ケミカル株式会社製、Mw:40000、Tg:15℃)
(B2)(B1)成分以外の重合性化合物
(B2C)カチオン硬化性化合物
B2C-1:EXA-4850-1000(ポリプロピレングリコール骨格を有するエポキシ化合物(樹脂)、DIC株式会社製、Mw:700、Tg:30~40℃)
B2C-2:YL980(ビスフェノールA型二官能エポキシ化合物(樹脂)、三菱ケミカル株式会社製、Mw:400、Tg:140℃)
B2C-3:CEL2021P(3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(脂環式エポキシ化合物)、株式会社ダイセル株式会社製)
B2C-4:OXT-221(3-エチル-3{[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ]メチル}オキセタン(オキセタン化合物)、東亜合成株式会社製)
(B2R)ラジカル硬化性化合物
B2R-1:A-BPEF70T(エトキシ化フルオレン型ジ(メタ)アクリレート(2官能)、新中村化学工業株式会社製)、トルエンで不揮発分70質量%に希釈したものを使用
B2R-2:VR-90(ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート(2官能)(ビニルエステル樹脂)、昭和電工株式会社製)
(B3)重合開始剤
(B3CH)熱カチオン重合開始剤
B3CH-1:CXC-1821(N-(p-メトキシベンジル)-N,N-ジメチルアニリウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、King Industries社製)
(B3RL)光ラジカル重合開始剤
B3RL-1:Irgacure907(α-アミノアルキルフェノン構造を有する化合物、BASF社製)
(C)熱可塑性樹脂
C-1:FX293(ビフェニル、フルオレン型フェノキシ樹脂、Mw:45000、ガラス転移温度:158℃、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製)、メチルエチルケトンで不揮発分40質量%に希釈したものを使用
C-2:YP-70(ビスフェノールA型及びビスフェノールF型の共重合型フェノキシ樹脂、Mw:55000、ガラス転移温度:70℃、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製)、メチルエチルケトンで不揮発分50質量%に希釈したものを使用
(D)成分:カップリング剤
D-1:SH-6040(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、東レ・ダウコーニング株式会社製)
(E)成分:充填材
E-1:SE2050(シリカ微粒子、株式会社アドマテックス製)
<第1の接着剤フィルム(第1の接着剤層)の作製>
表1に示す材料を表1に示す組成比(表1の数値は不揮発分量を意味する。)で混合した組成物を得た後、離型処理を施した基材である、厚さ50μmの離型処理されたPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムの上に磁場を掛けながら塗工し、有機溶媒等を乾燥することによって、各成分を含有する組成物層1a~1eを得た。組成物層1a~1eの乾燥後の厚さは3μmであった。次いで、組成物層1a~1eに対して光照射すること(UV照射:メタルハライドランプ、積算光量:1500~2500mJ/cm)によって、第1の接着剤フィルム1A~1Eを得た。第1の接着剤フィルム1A~1Eの厚さは3.5μmであった。第1の接着剤フィルム1A~1Eは、光硬化性樹脂成分の硬化物と、熱硬化性樹脂成分とを含有するものである。
Figure 2023063770000002
<第2の接着剤フィルム(第2の接着剤層)の作製>
表2に示す材料を表2に示す組成比(表2の数値は不揮発分量を意味する。)で混合した後、離型処理を施した基材である、厚さ50μmの離型処理されたPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムの上に塗工し、有機溶媒等を乾燥することによって、第2の接着剤フィルム(第2の接着剤層)2Aを得た。第2の接着剤フィルム2Aの乾燥後の厚さは9μmであった。
Figure 2023063770000003
<第3の接着剤フィルム(第3の接着剤層)の作製>
表3に示す材料を表3に示す組成比(表3の数値は不揮発分量を意味する。)で混合した後、離型処理を施した基材である、厚さ50μmの離型処理されたPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムの上に塗工し、有機溶媒等を乾燥することによって、第3の接着剤フィルム(第3の接着剤層)3Aを得た。第3の接着剤フィルム3Aの乾燥後の厚さは1μmであった。
Figure 2023063770000004
(実施例1、2及び比較例1~4)
[接着剤フィルムの作製]
上記で作製した第1の接着剤フィルム、第2の接着剤フィルム、及び第3の接着剤フィルムを用いて、表4に示す構成の接着剤フィルムを作製した。まず、第1の接着剤フィルムと第2の接着剤フィルムとを50℃に加熱したホットロールラミネータで貼り合わせた。次いで、必要に応じて、第1の接着剤フィルムの基材(離型PETフィルム)を剥がし、第1の接着剤フィルムと第3の接着剤フィルムとを50℃に加熱したホットロールラミネータで貼り合わせた。これらの操作によって、実施例1、2及び比較例1~4の接着剤フィルムを得た。
[接続抵抗の評価]
(回路部材の準備)
第1の回路部材として、Ti/Al/Ti回路付きプラスチック基板(厚さ:0.05mm)を準備した。第2の回路部材として、金バンプ付きICチップ(0.9mm×20.3mm、厚さ:0.3mm、バンプ電極の大きさ:12μm×100μm、バンプ電極間のスペース(ピッチ):24μm、バンプ電極の厚さ:8μm)を準備した。
(回路接続構造体の作製)
実施例1、2及び比較例1~4の各接着剤フィルムを用いて回路接続構造体の作製を行った。接着剤フィルムを2.0mm幅に切り出し、第1の接着剤層と第1の回路部材とが接するように、接着剤フィルムを第1の回路部材上に配置した。セラミックヒータからなるステージとツール(8mm×50mm)とから構成される熱仮圧着装置(LD-06、株式会社大橋製作所製)を用いて、70℃、0.98MPa(10kgf/cm)の条件で2秒間加熱及び加圧して、第1の回路部材に接着剤フィルムを貼り付け、接着剤フィルムの第1の回路部材とは反対側の離型フィルムを剥離した。次いで、第1の回路部材のバンプ電極と第2の回路部材の回路電極との位置合わせを行った後、ヒートツールを8mm×45mmで用い、緩衝材として厚さ50μmのテフロン(登録商標)を介し、接続条件180℃、バンプ電極での面積換算圧力20MPaの条件で5秒間加熱及び加圧して、接着剤フィルムの第2の接着剤層を第2の回路部材に貼り付けて、回路接続構造体を作製した。
(接続抵抗の評価)
作製した回路接続構造体について、初期の接続抵抗(導通抵抗)を4端子法によって測定した。測定には、株式会社アドバンテスト製の定電流電源装置R-6145を用いて、一定電流(1mA)を回路接続構造体の第1の回路部材の回路電極-第2の回路部材の回路電極間(接続部)に印加した。電流の印加時における接続部の電位差を、株式会社アドバンテスト製のデジタルマルチメーター(R-6557)を用いて測定した。電位差を任意の14点で測定し、その平均値を求めた。結果を表4に示す。接続抵抗値が小さいほど、対向する電極間において良好な導通特性を確保できているといえる。
A:1Ω未満
B:1Ω以上2Ω未満
C:2Ω以上
[導電粒子捕捉性の評価]
第1の回路部材として、Al付きガラス基板(厚さ:0.5mm)を用いた以外は、[接続抵抗の評価]と同様にして、回路接続構造体を作製した。作製した回路接続構造体をAl付きガラス基板から、微分干渉顕微鏡(商品名:L300ND、株式会社ニコン社製)を用いて観察し、金バンプ1個あたりに存在している導電粒子数を測定し、その平均値を求めた。1つの回路接続構造体に対して、金バンプ上に存在する導電粒子数の測定対象を100箇所とし、この100箇所の平均値を導電粒子捕捉数として、下記の基準で評価した。結果を表4に示す。導電粒子捕捉数が大きいほど、対向する電極間において良好な導通特性を確保できているといえる。
A:12個以上
B:10個以上12個未満
C:10個未満
[ポリイミド基板との密着力の評価]
(評価サンプルの作製)
実施例1、2及び比較例1~4の各接着剤フィルムを用いて、ポリイミド基板との密着力を測定した。ポリイミド基板(ポリイミドフィルム、カプトン500H、東レ・デュポン株式会社製、厚さ:0.125mm)を準備した。接着剤フィルムは、2.5mm×30mmに切り出したものを使用した。接着剤フィルムの第1の接着剤層又は第3の接着剤層側がポリイミド基板に接するように、接着剤フィルムをポリイミド基板上に配置した。セラミックヒータからなるステージとツール(8mm×50mm)とから構成される熱仮圧着装置(LD-06、株式会社大橋製作所製)を用いて、緩衝材として厚さ200μmのシリコーンフィルムを介し、60℃、1MPaの条件で1秒間加熱及び加圧して、ポリイミド基板に接着剤フィルムを貼り付け、接着剤フィルムのポリイミド基板とは反対側の離型処理されたPETを剥離した。次いで、ポリエチレンテープ(日東電工株式会社製、ダンプロンNo.335PE、幅2.3mm)を準備し、接着剤フィルムの第2の接着剤フィルム側の表面上であって、接着フィルムの幅(2.5mm)の中央に位置するようにポリエチレンテープを貼り合わせて評価サンプルを作製した。
(ポリイミド基板との密着力の評価)
作製した評価サンプルのポリイミド基板を固定して、テンシロン万能材料試験機を用いて、ポリエチレンテープを90°の角度、50mm/分の速度で引っ張り、引張強度を測定した。この評価においては、ポリエチレンテープとともに接着剤フィルムが一緒に引き剥がされるため、接着剤フィルムとポリイミド基板との密着力を測定することができる。測定は複数回行い、引張強度の平均値を下記の基準で評価した。結果を表4に示す。
A:100N/m以上
B:50N/m以上100N/m未満
C:50N/m未満
Figure 2023063770000005
表4の結果から、上記の課題の項目で説明したとおり、粘着付与層に相当する層が設けられていない比較例4の接着剤フィルムは、ポリイミド基板との密着力の点で充分でなかった。一方で、粘着付与層に相当する層が設けられた3層構成の比較例3の接着剤フィルムは、ポリイミド基板との密着力の点で優れる傾向にあるものの、接続抵抗の点及び導電粒子捕捉性の点で充分でなかった。
比較例3及び比較例4の結果に対して、実施例1、2の接着剤フィルムは、接続抵抗、導電粒子捕捉性、及びプラスチックフィルムとの密着力の全ての項目において優れていた。一方で、1,6-ヘキサンジオールに由来する骨格を有するエポキシ化合物を用いていない(1,6-ヘキサンジオールに由来する骨格を有するエポキシ化合物以外のエポキシ化合物(樹脂)を用いた)比較例1、2の接着剤フィルムは、導電粒子捕捉性の点で充分でない傾向にあることが判明した。これらの結果から、本開示の回路接続用接着剤フィルムは、粘着付与層を設けなくとも、プラスチック基板との密着性に優れるとともに、接続抵抗及び導電粒子捕捉性に優れる回路接続構造体を作製することが可能であることが確認された。
1…第1の領域、2…第2の領域、4…導電粒子、10…回路接続用接着剤フィルム(接着剤フィルム)、11…第1の回路基板、12…第1の電極(回路電極)、13…第1の回路部材、14…第2の回路基板、15…第2の電極(バンプ電極)、16…第2の回路部材、17…回路接続部、18…第1の硬化物領域、19…第2の硬化物領域、20…回路接続構造体。

Claims (7)

  1. 導電粒子及び第1の接着剤成分を含有する第1の領域と、
    前記第1の領域に隣接して設けられた、第2の接着剤成分を含有する第2の領域と、
    を備え、
    前記第1の接着剤成分が1,6-ヘキサンジオールに由来する骨格を有するエポキシ化合物を含む、
    回路接続用接着剤フィルム。
  2. 前記第1の接着剤成分が光硬化性樹脂成分の硬化物をさらに含む、
    請求項1に記載の回路接続用接着剤フィルム。
  3. 前記光硬化性樹脂成分がラジカル重合性化合物を含む、
    請求項2に記載の回路接続用接着剤フィルム。
  4. 前記第1の接着剤成分が、前記1,6-ヘキサンジオールに由来する骨格を有するエポキシ化合物以外の熱硬化性樹脂成分をさらに含む、
    請求項2又は3に記載の回路接続用接着剤フィルム。
  5. 前記熱硬化性樹脂成分が、前記1,6-ヘキサンジオールに由来する骨格を有するエポキシ化合物以外のカチオン重合性化合物及び熱カチオン重合開始剤を含む、
    請求項4に記載の回路接続用接着剤フィルム。
  6. 第1の電極を有する第1の回路部材と、第2の電極を有する第2の回路部材との間に、請求項1~5のいずれか一項に記載の回路接続用接着剤フィルムを介在させ、前記第1の回路部材及び前記第2の回路部材を熱圧着して、前記第1の電極及び前記第2の電極を互いに電気的に接続する工程を備える、
    回路接続構造体の製造方法。
  7. 第1の電極を有する第1の回路部材と、
    第2の電極を有する第2の回路部材と、
    前記第1の回路部材及び前記第2の回路部材の間に配置され、前記第1の電極及び前記第2の電極を互いに電気的に接続する回路接続部と、
    を備え、
    前記回路接続部が、請求項1~5のいずれか一項に記載の回路接続用接着剤フィルムの硬化物を含む、
    回路接続構造体。
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