JP2023061211A - 菓子用澱粉分解物 - Google Patents

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Atsushi Kono
智大 山本
Tomohiro Yamamoto
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優珠子 井川
Yumiko Igawa
博 石塚
Hiroshi Ishizuka
春香 金原(鈴木)
Kanehara, (Suzuki) Haruka
千歳 川井
Chitose Kawai
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Abstract

【課題】菓子類を喫食した際の崩壊感を向上させる技術を提供すること。【解決手段】本技術では、グルコース重合度(DP)8~19の含有量が32%以上、グルコース重合度(DP)20以上の含有量が30%以下、ヨウ素呈色値が0.15以上、である菓子用澱粉分解物を提供する。本技術に係る菓子用澱粉分解物は、菓子用組成物、菓子用生地、菓子に好適に用いることができる。本技術では、また、グルコース重合度(DP)8~19の含有量が32%以上、グルコース重合度(DP)20以上の含有量が30%以下、ヨウ素呈色値が0.15以上、である菓子用澱粉分解物を添加する添加工程を含む、菓子用生地または菓子の製造方法を提供する。【選択図】なし

Description

本技術は、菓子用澱粉分解物、菓子用組成物、菓子用生地、および菓子、並びに、菓子用生地または菓子の製造方法、および菓子に崩壊感を付与する方法に関する。
従来、飲食品分野においては、甘味料、味質調整、浸透圧調整、保湿剤、粉末化基材等の用途に澱粉分解物が利用されている。例えば、特許文献1には、グルコース重合度(DP)8~19の含有量が32%以上、グルコース重合度(DP)20以上の含有量が30%以下、である澱粉分解物を有し、該澱粉分解物の一部又は全部を、対象製品の原材料と共に結晶化することで該対象製品の品質を改質する技術が開示されている。
また、特許文献2には、グルコース重合度(DP)8~19の含量が32%以上、かつ、グルコース重合度(DP)20以上の含量が30%以下で、同一のDE値を示す既存の澱粉分解物に比べ、低粘度、低甘味、低浸透圧を示す新規な澱粉分解物が開示されている。
食品分野でも、特に菓子類の分野において、菓子類の食感を改善するために、油脂の配合量を工夫したり、乳化剤を添加したり、コーンスターチなどの澱粉を添加する方法等が知られている。例えば、特許文献3では、(a)カゼインナトリウム及び(b)DE値が7~11である分岐デキストリンを含有する水中油型乳化組成物を、ケーキ類用品質改良剤として用いることにより、ケーキ類の生地の気泡安定性を向上させ、ケーキ類の口どけを良好にする技術が開示されている。
国際公開第2020/230238号パンフレット 特開2010-226988号公報 特開2021-13362号公報
上記のように、菓子類分野において、菓子類の品質を向上させる技術は開発されつつあるが、さらなる開発が望まれているのが実情である。
そこで、本技術では、菓子類を喫食した際の崩壊感を向上させる技術を提供することを主目的とする。
本技術では、まず、グルコース重合度(DP)8~19の含有量が32%以上、
グルコース重合度(DP)20以上の含有量が30%以下、
ヨウ素呈色値が0.15以上、である菓子用澱粉分解物を提供する。
本技術では、次に、本技術に係る菓子用澱粉分解物を含有する、菓子用組成物を提供する。
本技術に係る菓子用澱粉分解物や、本技術に係る菓子用組成物は、菓子用生地に用いることができる。
菓子用生地中の菓子用澱粉分解物の含有量は、1.0~30質量%とすることができる。
本技術に係る菓子用澱粉分解物、本技術に係る菓子用組成物、および本技術に係る菓子用生地は、菓子に用いることができる。
本技術では、さらに、グルコース重合度(DP)8~19の含有量が32%以上、
グルコース重合度(DP)20以上の含有量が30%以下、
ヨウ素呈色値が0.15以上、である菓子用澱粉分解物を添加する添加工程を含む、菓子用生地または菓子の製造方法を提供する。
本技術では、加えて、グルコース重合度(DP)8~19の含有量が32%以上、
グルコース重合度(DP)20以上の含有量が30%以下、
ヨウ素呈色値が0.15以上、である菓子用澱粉分解物を添加する添加工程を含む、菓子に崩壊感を付与する方法を提供する。
以下、本技術を実施するための好適な形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。
1.菓子用澱粉分解物
本技術に係る菓子用澱粉分解物は、グルコース重合度(以下「DP」と称する)8~19の含有量が32%以上、かつ、DP20以上の含有量が30%以下、ヨウ素呈色値が0.15以上である。本技術に係る菓子用澱粉分解物は、一般的な澱粉分解物、具体的には、澱粉原料を酸および/またはα-アミラーゼにより分解して得られた澱粉分解物と比較して、DP20以上の含有量が少なく、DP8~19の含有量が多く、ヨウ素呈色値が高い。DP20以上の含有量が少ないため、飲食物等の風味を損なう恐れのある澱粉分解物特有の風味が少ない。また、DP8~19の含有量が多いため、すなわちDP1~7の含有量が低いため、低甘味、低浸透圧、低吸湿性を示す。さらに、ヨウ素呈色値が高いことは、DP16以上の直鎖状糖分子が多く含まれることを意味するが、このことにより、菓子類を喫食した際の崩壊感を向上させると考えられる。
本技術に係る菓子用澱粉分解物は、DP8~19の含有量が32%以上であれば、その含有量は特に限定されないが、好ましくは40%以上、より好ましくは43%以上、さらに好ましくは48%以上である。DP8~19の含有量が増加するほど、より低甘味、低浸透圧、低吸湿性を示す。
本技術に係る菓子用澱粉分解物は、DP20以上の含有量が30%以下であれば、その含有量は特に限定されないが、好ましくは28%以下、より好ましくは25%以下である。DP20以上の含有量が少なくなるほど、デキストリン特有の風味がより低減される。
また、本技術に係る菓子用澱粉分解物のDP20以上の含有量の下限値は、本技術の効果を損なわない限り特に限定されないが、好ましくは15%以上、より好ましくは18%以上である。
本技術に係る菓子用澱粉分解物のヨウ素呈色値は、後述する実施例に記載の方法によって測定された値である。
ヨウ素による呈色反応は、DP16以上の直鎖状の糖鎖の存在を示すものであり、DP20以上の含有量が多い澱粉分解物においては、DP16以上の直鎖状の糖鎖が多く存在するため呈色反応を示すが、DP20以上の含有量が少ない澱粉分解物では通常呈色反応を示さないか、示したとしてもヨウ素呈色値は非常に低い値となる。本技術に係る菓子用澱粉分解物は、DP20以上の含有量が少ないにも関わらず、DP16以上の直鎖状糖分子が含まれるため、ヨウ素による呈色反応を示す。本技術に係る菓子用澱粉分解物は、ヨウ素呈色値が0.15以上であれば、特に限定されないが、より好ましくは0.30以上、さらに好ましくは0.35以上である。ヨウ素呈色値が高いほど、DP16以上の直鎖状糖分子が多く含まれ、菓子類を喫食した際の崩壊感をより向上させる。
本技術に係る菓子用澱粉分解物は、澱粉原料、例えば、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、米澱粉、小麦澱粉、サゴ澱粉等の澱粉(地上系澱粉)、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、甘藷澱粉等のような地下茎または根由来の澱粉(地下系澱粉)、あるいはこれら澱粉に物理的、化学的な加工を単独または複数組み合せて施した加工澱粉等を分解(糖化)することによって得られるものである。使用する澱粉原料は、特に限定されず、あらゆる澱粉原料を用いることができる。
本技術に係る菓子用澱粉分解物のDP8以上の含有量は、本技術の効果を損なわない限り特に限定されないが、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上である。DP8以上の含有量が高い澱粉分解物を用いることで、より低甘味、低浸透圧、低吸湿性を示す。
本技術に係る菓子用澱粉分解物のβ-アミラーゼ消化試験における残存率は、本技術の効果を損なわない限り特に限定されないが、好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下である。β-アミラーゼ消化試験における残存率が低い澱粉分解物、詳細は後述するがすなわち直鎖状糖分子が多く含まれる澱粉分解物を用いることで、菓子類を喫食した際の崩壊感をより向上させる。
本技術において、β-アミラーゼ消化試験における残存率は、後述する実施例に記載の方法によって測定された値である。なお、β-アミラーゼは、グルコースポリマーを非還元末端からマルトース単位で分解する酵素で、α-1,6結合などの分岐結合があると、分解が止まることが知られている。そのため、澱粉分解物のβ-アミラーゼ消化試験による評価は、構造的な視点でα-1,4結合が連続する直鎖状部分を有する程度を示す指標となる。すなわち、ヨウ素による呈色反応ではDP16以上の直鎖状糖分子、β-アミラーゼ消化試験による評価では澱粉分解物全体の直鎖状糖分子についての指標となる。
本技術に係る菓子用澱粉分解物のDE(dextrose equivalent)は、本技術の効果を損なわない限り特に限定されないが、好ましくはDE30以下、より好ましくはDE10~25、さらに好ましくはDE13~20である。DEがこの範囲の澱粉分解物を用いることで、より低甘味、低浸透圧、低吸湿性を示し、かつ、菓子類を喫食した際の崩壊感をより向上させる。
なお、「DE(dextrose equivalent)」とは、デキストロース当量とも称され、還元糖をグルコースとして測定し、その全固形分に対する割合(下記数式(1)参照)を示す値である。このDE値は、澱粉の加水分解の程度(分解度)、すなわち糖化の進行の程度を示す指標である。
[数1]
DE=[(直接還元糖(グルコースとして表示))/全固形分]×100 ・・・(1)
本技術に係る菓子用澱粉分解物の製造方法については、本技術の効果を損なわない限り、特に限定されることはない。例えば、澱粉原料を、一般的な酸や酵素を用いた処理や、各種クロマトグラフィー、膜分離、エタノール沈殿等の所定操作を、適宜組み合わせて行うことによって澱粉分解物を得ることができる。
本技術に係る菓子用澱粉分解物を効率的に得る方法として、澱粉原料に、少なくとも枝切り酵素と枝作り酵素を作用させる方法がある。一例としては、澱粉原料を酸および/またはα-アミラーゼで液化した後、枝作り酵素、枝切り酵素の順で作用させる。枝切り酵素(debranching enzyme)は、澱粉の分岐点であるα-1,6-グルコシド結合を加水分解する反応を触媒する酵素の総称である。枝作り酵素(branching enzyme)とは、α-1,4-グルコシド結合でつながった直鎖グルカンに作用して、α-1,6-グルコシド結合を作る働きを持った酵素の総称である。
すなわち、枝切り酵素は、澱粉の分岐鎖の分解に関与する酵素であり、枝作り酵素は、澱粉の分岐鎖の合成に用いる酵素である。従って、両者は通常、一緒に用いられることはない。しかし、全く逆の作用を示す両酵素を組み合わせて用いることにより、本技術に係る菓子用澱粉分解物を確実に製造することができる。両酵素の作用順序は、実施例に示すように、同時または枝作り酵素作用後に枝切り酵素を作用させた方が、それにより得られた澱粉分解物を用いることで、菓子類を喫食した際の崩壊感を向上させることができるため、好ましい。
前記枝切り酵素は、特に限定されない。例えば、プルラナーゼ(Pullulanase, pullulan 6-glucan hydrolase)、アミロ-1,6-グルコシダーゼ/4-α-グルカノトランスフェラーゼ(amylo-1,6-glucosidase/4-α-glucanotransferase)を挙げることができ、より好適な一例としては、イソアミラーゼ(Isoamylase, glycogen 6-glucanohydrolase)を用いることができる。
また、前記枝作り酵素も特に限定されない。例えば、動物や細菌等から精製したもの、または、馬鈴薯、イネ種実、トウモロコシ種実等の植物から精製したもの、市販された酵素製剤等を用いることができる。
本技術に係る菓子用澱粉分解物の製造方法では、前記酵素反応の後に、不純物を除去する工程を行うことも可能である。不純物の除去方法としては、特に限定されず、公知の方法を1種または2種以上自由に組み合わせて用いることができる。例えば、ろ過、活性炭脱色、イオン精製等の方法を挙げることができる。
更に、本技術に係る菓子用澱粉分解物は、酵素反応後の澱粉分解物を含む液状品として用いることも可能であるが、真空乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥等により脱水乾燥し、粉末化することも可能である。また、クロマトグラフィーや膜分離によって一部成分を分画して用いることも可能である。
2.菓子用組成物
本技術に係る菓子用澱粉分解物は、本技術の効果を損なわない限り、菓子の材料と共に、菓子用組成物として流通させることができる。即ち、菓子用ミックス、菓子の素等として流通させることができる。
本技術に係る菓子用組成物に用いる菓子の材料としては、例えば、小麦粉、米粉、そば粉、大麦粉、ライ麦粉、トウモロコシ粉、ひえ粉、あわ粉、大豆粉、ホワイトソルガム粉あるいはこれら穀粉に加熱処理を施した加熱穀粉等の穀粉類;コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、米澱粉、小麦澱粉等の澱粉(地上系澱粉)、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、甘藷澱粉等のような地下茎または根由来の澱粉(地下系澱粉)あるいはこれら澱粉に物理的、化学的な加工を単独または複数組み合せて施した加工澱粉等の澱粉類;デキストリン、オリゴ糖、ぶどう糖、粉末水あめ、砂糖等の糖質;グルテン等の小麦由来たん白質、卵由来たん白質、大豆由来たん白質、乳由来たん白質等のたん白素材;粉末油脂、サラダ油、ショートニング等の油脂;粉末セルロース、結晶セルロース、イヌリン、難消化性澱粉等の食物繊維;カラギーナン、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビンガム等の増粘剤;重曹等の膨張剤;食塩等の塩類;乳化剤、pH調整剤、香辛料、調味料、ビタミン類、ミネラル類、色素、香料等が挙げられる。
本技術に係る菓子用組成物における前記菓子用澱粉分解物の含有量は、本技術の効果を損なわない限り特に限定されないが、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは5.0質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上である。
3.菓子用生地
本技術に係る菓子用澱粉分解物や、本技術に係る菓子用組成物は、菓子用生地に好適に用いることができる。すなわち、本技術に係る菓子用生地は、本技術に係る菓子用澱粉分解物、および/または、本技術に係る菓子用組成物を用いて製造された生地である。
本技術に係る菓子用生地における前記菓子用澱粉分解物の含有量の下限値は、本技術の効果を損なわない限り特に限定されないが、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは1.5質量%以上である。また、本技術に係る菓子用生地における前記菓子用澱粉分解物の含有量の上限値は、本技術の効果を損なわない限り特に限定されないが、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下である。
本技術に係る菓子用生地は、冷蔵、チルド、冷凍等の状態、すなわち、冷蔵バッター、冷凍バッター、冷蔵生地玉、成形冷蔵生地、冷凍生地玉、成形冷凍生地等の形態で流通させることが可能である。
4.菓子
本技術に係る菓子用澱粉分解物、本技術に係る菓子用組成物、および本技術に係る菓子用生地は、菓子に好適に用いることができる。すなわち、本技術に係る菓子は、本技術に係る菓子用澱粉分解物、本技術に係る菓子用組成物、および本技術に係る菓子用生地から選択される一以上を用いて製造された菓子である。
本技術に係る菓子としては、例えば、マフィン、ドーナツ、スコーン、ワッフル、クレープ、シュー、クッキー、サブレ、ビスケット、スポンジケーキ、パイ、ホットケーキ、バターケーキ、カステラ、クラッカー、ボーロ、たい焼、どら焼、人形焼、今川焼、かりんとう、焼きメレンゲ、マカロン、ダックワーズ、煎餅等が挙げられる。
5.菓子用生地の製造方法、菓子の製造方法、および菓子に崩壊感を付与する方法
本技術に係る菓子用生地の製造方法、菓子の製造方法、および菓子に崩壊感を付与する方法は、本技術に係る菓子用澱粉分解物を添加する添加工程を含むことを特徴とする。
添加工程を行うタイミングは、本発明の効果を損なわない限り、菓子用生地や菓子の製造工程に応じて、自由に設定することができる。例えば、菓子の製造工程の任意のタイミングにおいて、菓子に用いる材料の全部または一部と、本技術に係る菓子用澱粉分解物と、を混合する方法、菓子に用いる材料の全部または一部と、本技術に係る菓子用澱粉分解物とを用いて菓子用組成物を製造した上で、製造された菓子用組成物を用いて菓子用生地を製造し、該菓子用生地を用いて菓子を製造する方法等を挙げることができる。
以下、実施例に基づいて本技術を更に詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例は、本技術の代表的な実施例の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。
<分析方法>
[枝作り酵素の活性]
基質溶液として、0.1M酢酸緩衝液(pH5.2)にアミロース(シグマ アルドリッチ社製、A0512)を0.1質量%溶解したアミロース溶液を用いた。50μLの基質液に50μLの酵素液を添加し、30℃で30分間反応させた後、ヨウ素-ヨウ化カリウム溶液(0.39mMヨウ素-6mMヨウ化カリウム-3.8mM塩酸混合用液)を2mL加え反応を停止させた。ブランク溶液として、酵素液の代わりに水を添加したものを調製した。反応停止から15分後に660nmの吸光度を測定した。枝作り酵素の酵素活性量1単位は、上記の条件で試験する時、660nmの吸光度を1分間に1%低下させる酵素活性量とした。
[DP8~19、DP20以上、DP8以上の含有量]
下記の表1に示す条件で高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて分析を行い、検出されたピーク面積比率に基づいて、DP8~19およびDP20以上、DP8以上の含有量を測定した。
Figure 2023061211000001
[ヨウ素呈色値測定]
5mLの水を分注した試験管に、試料(澱粉分解物)を固形分として25mg添加して10分間煮沸し、溶解、混合した。これに、ヨウ素呈色液(0.2質量/体積%ヨウ素、および2質量/体積%ヨウ化カリウム)を100μL添加し、撹拌後、30℃で20分間放置後、分光光度計にて、光路長10mmのガラスセルを用いて、660nmの吸光度を測定し、試料を添加しない場合の吸光度測定値との差をヨウ素呈色値とした。
[β-アミラーゼ消化試験における残存率]
澱粉分解物を10mM酢酸緩衝液(pH5.5)に煮沸で溶解し調製した固形分濃度10質量%溶液10mLに、β-アミラーゼ(ナガセケムテックス株式会社製)10μLを添加し、55℃で72時間反応させた後、100℃で10分加熱処理をすることで反応を停止した。反応液をイオン交換樹脂にて脱塩し、下記の方法によりDP4以上の含有量を測定し、その値を残存率とした。
[DP4以上の含有量]
下記の表2に示す条件で液体クロマトグラフィーにて分析を行い、検出されたピーク面積比率に基づいて、DP4以上の含有量を測定した。
Figure 2023061211000002
[DE]
DEの測定は、「澱粉糖関連工業分析法」(澱粉糖技術部会編)の5~6ページに記載のレインエイノン法に従って算出した。
<澱粉分解物の製造>
澱粉分解物の製造では、枝作り酵素の一例として、Eur. J. Biochem. 59, p615-625 (1975)の方法に則って、精製した馬鈴薯由来の酵素(以下「馬鈴薯由来枝作り酵素」とする)と、Branchzyme(ノボザイムズ株式会社製、以下「細菌由来枝作り酵素」とする)を用いた。
[澱粉分解物A]
10質量%水酸化カルシウムにてpH5.8に調整した30質量%のコーンスターチスラリーに、α-アミラーゼ(リコザイムスープラ、ノボザイムズジャパン株式会社製)を、固形分(g)当たり0.2質量%添加し、ジェットクッカー(温度110℃)で液化した。この液化液を95℃で保温し、経時的にDEを測定し、DE8になった時点で、10質量%塩酸でpH4に調整し、煮沸により反応を停止した。反応を停止した糖液のpHを5.8に調整した後、細菌由来枝作り酵素を固形分(g)当たり500ユニット添加し、65℃で40時間反応させた。その後枝切り酵素(GODO-FIA、合同酒精株式会社製)を固形分(g)当たり0.5質量%添加し、50℃で48時間反応させた。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色、イオン精製し、固形分濃度40質量%に濃縮した。該濃縮液をスプレードライヤーで粉末化し澱粉分解物Aを得た。
[澱粉分解物B]
10質量%水酸化カルシウムにてpH5.8に調整した30質量%のタピオカ粉末スラリーに、α-アミラーゼ(クライスターゼT10S、天野エンザイム株式会社製)を、固形分(g)当たり0.2質量%添加し、ジェットクッカー(温度110℃)で液化した。この液化液を95℃で保温し、経時的にDEを測定し、DE15になった時点で、10質量%塩酸でpH4に調整し、煮沸により反応を停止した。反応を停止した糖液のpHを5.8に調整した後、馬鈴薯由来枝作り酵素を固形分(g)当たり2000ユニット添加し、35℃で30時間反応させた。その後pHを4.2に調整し、枝切り酵素(イソアミラーゼ、シグマアルドリッチジャパン株式会社製)を固形分(g)当たり1.0質量%添加し、45℃で30時間反応させた。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色、イオン精製し、固形分濃度60質量%に濃縮した。該濃縮液を、スプレードライヤーで粉末化し澱粉分解物Bを得た。
[澱粉分解物C]
10質量%塩酸にてpH2に調整した30質量%のコーンスターチスラリーを、130℃の温度条件でDE13まで分解した。常圧に戻した後、10質量%水酸化ナトリウムを用いて中和することにより反応を停止した糖液のpHを5.8に調整した後、細菌由来枝作り酵素を固形分(g)当たり400ユニット添加し、65℃で48時間反応させた。その後枝切り酵素(GODO-FIA、合同酒精株式会社製)を固形分(g)当たり1.0質量%添加し、50℃で60時間反応させた。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色、イオン精製し、スプレードライヤーで粉末化し澱粉分解物Cを得た。
[澱粉分解物D]
10質量%水酸化カルシウムにてpH5.8に調整した30質量%のコーンスターチスラリーに、α-アミラーゼ(クライスターゼT10S、天野エンザイム株式会社製)を、固形分(g)当たり0.2質量%添加し、ジェットクッカー(温度110℃)で液化した。この液化液を95℃で保温し、経時的にDEを測定し、DE8になった時点で、10質量%塩酸でpH4に調整し、煮沸により反応を停止した。反応を停止した糖液のpHを5.8に調整した後、細菌由来枝作り酵素を固形分(g)当たり600ユニット添加し、65℃で15時間反応させた。その後枝切り酵素(GODO-FIA、合同酒精株式会社製)を固形分(g)当たり0.5質量%添加し、50℃で40時間反応させた。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色、イオン精製し、固形分濃度45質量%に濃縮した。該濃縮液を、スプレードライヤーで粉末化し澱粉分解物Dを得た。
[澱粉分解物E]
10質量%水酸化カルシウムにてpH5.8に調整した30質量%のコーンスターチスラリーに、α-アミラーゼ(リコザイムスープラ、ノボザイムズジャパン株式会社製)を、固形分(g)当たり0.3質量%添加し、ジェットクッカー(温度110℃)で液化した。この液化液を95℃で保温し、経時的にDEを測定し、DE30になった時点で、10質量%塩酸でpH4に調整し、煮沸により反応を停止した。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色、イオン精製し、固形分濃度40質量%に濃縮した。該濃縮液をスプレードライヤーで粉末化し澱粉分解物Eを得た。
[澱粉分解物F]
10質量%水酸化カルシウムにてpH5.8に調整した30質量%のコーンスターチスラリーに、α-アミラーゼ(リコザイムスープラ、ノボザイムズジャパン株式会社製)を、固形分(g)当たり0.2質量%添加し、ジェットクッカー(温度110℃)で液化した。この液化液を95℃で保温し、経時的にDEを測定し、DE13になった時点で、10質量%塩酸でpH4に調整し、煮沸により反応を停止した。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色、イオン精製し、固形分濃度40質量%に濃縮した。該濃縮液をスプレードライヤーで粉末化し澱粉分解物Fを得た。
<各澱粉分解物の分析>
前記で得られた澱粉分解物A~FのDP8~19、DP20以上、およびDP8以上の含有量、ヨウ素呈色値、β-アミラーゼ消化試験における残存率、DEについて、前述した方法で評価した。結果を下記の表3に示す。
Figure 2023061211000003
<実験例1>
実験例1では、各種澱粉分解物を用いて、クッキーを製造した場合における効果の違いを検証した。
(1)クッキーの製造
1.下記表4に示す分量のバターを常温(25℃)にし、撹拌しながら下記表4に示す分量のグラニュー糖を投入した。
2.下記表4に示す残りの材料を投入して混錬し、クッキー用生地を調製した。
3.調製した生地を、4℃にて20分間休ませた。
4.休ませた生地を、厚さ5mmに延ばして型抜きし、180℃のオーブンで20分間焼成して、クッキーを製造した。
(2)評価
製造したクッキーの崩壊感、硬さ、および厚みについて、下記の評価基準に基づいて、訓練を受けた専門のパネル10名が評価を行い、その平均点を評価点とした。
[崩壊感]
5 コントロールと比較して、口の中でほろほろとほぐれ、非常に良好
4 コントロールと比較して、口の中でほろほろとややほぐれ、良好
3 コントロールと同等
2 コントロールと比較して、口の中でややほぐれにくく、やや悪い
1 コントロールと比較して、口の中でほぐれにくく、悪い
[硬さ]
5 コントロールと比較して、硬さがあり、非常に良好
4 コントロールと比較して、やや硬さがあり、良好
3 コントロールと同等
2 コントロールと比較して、やや硬さが無く、やや悪い
1 コントロールと比較して、硬さが無く、悪い
[厚み]
5 コントロールと比較して、焼成前の厚みが維持され、非常に良好
4 コントロールと比較して、焼成前の厚みがやや維持され、良好
3 コントロールと同等
2 コントロールと比較して、焼成前の厚みよりやや薄くなり、やや悪い
1 コントロールと比較して、焼成前の厚みより薄くなり、悪い
(3)結果
結果を下記の表4に示す。
Figure 2023061211000004
(4)考察
DP8~19の含有量が32%以上、DP20以上の含有量が30%以下、ヨウ素呈色値が0.15以上である澱粉分解物A~Dを用いたサンプル1~10のクッキーは、全ての評価が良好であった。
一方、DP8~19の含有率が32%未満、ヨウ素呈色値が0.15未満である澱粉分解物Eを用いたサンプル11は、硬さと厚みの評価がコントロールと同程度であるものの、崩壊感の評価が不良であった。また、DP20以上の含有量が30%を超える澱粉分解物Fを用いたサンプル12は、硬さと厚みの評価は良好であるものの、崩壊感の評価が不良であった。さらに、焼成時に生地がだれてしまい、焼成前の厚みが維持されなかった。
サンプル1~7の中で比較すると、クッキー用生地にDP8~19の含有量が32%以上、DP20以上の含有量が30%以下、ヨウ素呈色値が0.15以上である澱粉分解物Aを35%添加したサンプル7は、サンプル1~6に比べてクッキー用生地をまとめるのが少々困難であった。よって、本技術に係る菓子用生地におけるDP8~19が32%以上、DP20以上の含有量が30%以下、ヨウ素呈色値が0.15以上である菓子用澱粉分解物の上限値は30質量%以下が好ましいことが分かった。
これらの結果から、本技術に係る菓子用澱粉分解物を用いれば、菓子の崩壊感を向上させることが分かった。
<実験例2>
実験例2では、澱粉分解物Aを用いてパイを製造した場合と、澱粉分解物を用いずにパイを製造した場合における効果の違いを検証した。
(1)パイの製造
1.ビニール袋に、下記表5に示す分量の小麦粉(強力粉、薄力粉)、精製塩、澱粉分解物Aを入れて粉類を混合し、菓子用組成物とした。
2.前記菓子用組成物をミキサーボウルに入れ、賽の目にカットした下記表5に示す分量の練込油脂を加え、中速で1分間ミキシングした。
3.2に下記表5に示す分量の水を混ぜ、捏ね上げ温度20~22℃にて、低速3分、掻き落とし後、中速1分でミキシングしてパイ用生地を調製した。
4.調製した生地をまとめてビニール袋に入れ、薄く延ばし、-4℃で一昼夜休ませた。
5.休ませた生地に、下記表5に示す分量の折込油脂を折り込みながら、三つ折り2回→冷却を2回繰り返し、さらに三つ折りを1回(合計三つ折り5回)行って、成形した。
6.成形した生地を、4~4.5mmに圧延して、径60mmの菊型で抜いた。(生地重量:20~23g)
7.型抜きした生地を、天板に並べ、上段210℃、下段200℃のオーブンで18分間焼成し、パイを製造した。
なお、澱粉分解物Aを用いずに、前記と同様の方法でパイを製造したものをコントロールとした。
(2)評価
製造したパイを下記表5に示す条件で保存した後、崩壊感については前記実験例1と同一の評価基準に基づいて、歯切れ、および口溶けについて、下記の評価基準に基づいて、訓練を受けた専門のパネル10名が評価を行い、その平均点を評価点とした。
[歯切れ]
5 コントロールと比較して、歯通りが良く非常に良好
4 コントロールと比較して、やや歯通りが良く、良好
3 コントロールと同等
2 コントロールと比較して、ややヒキがあり、やや悪い
1 コントロールと比較して、ヒキがあり、悪い
[口溶け]
5 コントロールと比較して、口の中に残ることなく、非常に良好
4 コントロールと比較して、口の中にほとんど残らず、良好
3 コントロールと同等
2 コントロールと比較して、口の中にやや残り、やや悪い
1 コントロールと比較して、口の中に残り、悪い
(3)結果
結果を下記の表5に示す。
Figure 2023061211000005
(4)考察
DP8~19の含有量が32%以上、DP20以上の含有量が30%以下、ヨウ素呈色値が0.15以上である澱粉分解物Aを用いたサンプル13のパイは、全ての保管状態において、全ての評価が良好であった。
パイは、焼成後時間が経過すると歯切れや、口溶けなどの食感が悪くなる傾向があるが、前記の結果から、本技術に係る菓子用澱粉分解物を用いれば、製造されたパイを常温(20~25℃)で保管した場合の崩壊感、歯切れ、口溶けの低下を抑制できることが分かった。
また、特に、パイを冷蔵保管した場合、一般的には食感の劣化が顕著となるが、前記の結果から、本技術に係る菓子用澱粉分解物を用いれば、製造されたパイを冷蔵環境下で保管した場合であっても、崩壊感、歯切れ、口溶けの低下を抑制できることが分かった。
<実験例3>
実験例3では、各種澱粉分解物を用いて、焼きメレンゲを製造した場合における効果の違いを検証した。
(1)焼きメレンゲの製造
1.下記表6に示す分量の卵白を冷やしながら、電動泡立て器で30秒間泡立てた。
2.下記表6に示す分量のグラニュー糖と澱粉分解物を混合したものを、1を泡立てながら、30秒間かけて徐々に加えた。
3.さらに3分間泡立てた。
4.絞り器で成型後、110℃で2時間焼成し、焼きメレンゲを製造した。
(2)評価
製造した焼きメレンゲを、崩壊感については、前記実験例1と同一の評価基準に基づいて、口溶けについては、前記実験例2と同一の評価基準に基づいて、歯への付きにくさ、およびべたつきのなさについては、下記の評価基準に基づいて、訓練を受けた専門のパネル10名が評価を行い、その平均点を評価点とした。
[歯への付きにくさ]
5 コントロールと比較して、まったく歯につかず、非常に良好
4 コントロールと比較して、歯につきにくく、良好
3 コントロールと同等
2 コントロールと比較して、やや歯につきやすく、やや悪い
1 コントロールと比較して、歯につきやすく、悪い
[べたつきのなさ]
5 コントロールと比較して、べたつきがなく、非常に良好
4 コントロールと比較して、ほとんどべたつきがなく、良好
3 コントロールと同等
2 コントロールと比較して、ややべたつきがあり、やや悪い
1 コントロールと比較して、べたつきがあり、悪い
(3)結果
結果を下記の表6に示す。
Figure 2023061211000006
(4)考察
DP8~19の含有量が32%以上、DP20以上の含有量が30%以下、ヨウ素呈色値が0.15以上である澱粉分解物Aを用いたサンプル14の焼きメレンゲは、全ての評価が良好であった。
一方、DP20以上の含有量が30%を超える澱粉分解物Fを用いたサンプル15はべたつきのなさは良好なものの、崩壊感、口溶け、および歯への付きにくさの評価が劣っていた。
これらの結果から、本技術に係る菓子用澱粉分解物を用いれば、菓子の崩壊感、口溶け、および歯への付きにくさを向上させることが分かった。
<実験例4>
実験例4では、澱粉分解物Aを用いてかりんとうを製造した場合と、澱粉分解物を用いずにかりんとうを製造した場合における効果の違いを検証した。
(1)かりんとう製造
1.下記表7に示す材料をすべてボウルに入れ、5分間混合した。
2.生地をひとまとめにし、常温(25℃)で15分間寝かせた。
3.生地を0.8cm程度の厚みに延ばし、1cm幅×長さ6cmの棒状に切り、160℃のサラダ油で5分間油ちょうした。
4.一度引き揚げた後、さらに180℃のサラダ油で8分間油ちょうした。
5.油ちょう後、冷めないうちにコーティング(グラニュー糖と水を2:1で混合し加熱したもの)し、かりんとうを製造した。
(2)評価
製造したかりんとうの崩壊感、および硬さについて、前記実験例1と同一の評価基準に基づいて、訓練を受けた専門のパネル10名が評価を行い、その平均点を評価点とした。
(3)結果
結果を下記の表7に示す。
Figure 2023061211000007
(4)考察
DP8~19の含有量が32%以上、DP20以上の含有量が30%以下、ヨウ素呈色値が0.15以上である澱粉分解物Aを用いたサンプル16および17のかりんとうは、全ての評価が良好であった。
これらの結果から、本技術に係る菓子用澱粉分解物を用いれば、菓子の崩壊感、および硬さを向上させることが分かった。
<実験例5>
実験例5では、澱粉分解物Aを用いて小麦煎餅を製造した場合と、澱粉分解物を用いずに小麦煎餅を製造した場合における効果の違いを検証した。
(1)小麦煎餅の製造
1.下記表8に示す水以外の材料を袋に計量し、袋を振って混合し、菓子用組成物とした。
2.温度を測定しながら、調製後の生地温度が20℃になるように、適宜水の温度を調整しながら、ボウルに水を入れ、1の混合物を入れて、ホイッパーで100回手混ぜした。
3.メッシュで濾し、ダマを潰して混ぜ込み、小麦煎餅用の生地を調製した。
4.調製した生地40gを、ワッフル焼成器を用い、185±3℃にて、3分30秒間焼成し、小麦煎餅を製造した。
(2)評価
製造した小麦煎餅を、約5分間放冷し、2gのシリカゲルとともに袋に入れ密封し、-30℃の冷凍庫で9日間保存した後、常温(25℃)で解凍し、崩壊感、および硬さについては、前記実験例1と同一の評価基準に基づいて、歯切れについては、前記実験例2と同一の評価基準に基づいて、ねちゃつきのなさについては、下記の評価基準に基づいて、訓練を受けた専門のパネル10名が評価を行い、その平均点を評価点とした。また、同様の評価を、常温(25℃)で解凍後に25℃、相対湿度75%の恒温槽で3時間吸湿させた小麦煎餅についても行った。
[ねちゃつきのなさ]
5 コントロールと比較して、ねちゃつきがなく、非常に良好
4 コントロールと比較して、ややねちゃつきがなく、良好
3 コントロールと同等
2 コントロールと比較して、ややねちゃつきがあり、やや悪い
1 コントロールと比較して、ねちゃつきがあり、悪い
(3)結果
結果を下記の表8に示す。
Figure 2023061211000008
(4)考察
DP8~19の含有量が32%以上、DP20以上の含有量が30%以下、ヨウ素呈色値が0.15以上である澱粉分解物Aを用いたサンプル18の小麦煎餅は、吸湿前および吸湿後において、全ての評価が良好であった。吸湿前と吸湿後の評価を比較すると、吸湿後の方が、コントロールとの差が大きく出ていた。
この結果から、本技術に係る菓子用澱粉分解物を用いれば、吸湿環境下での悪条件においても、菓子の崩壊感、硬さ、を向上させ、ねちゃつきを低減できることが分かった。
<実験例6>
実験例6では、澱粉分解物Aを用いてケーキドーナツを製造した場合と、澱粉分解物を用いずにケーキドーナツを製造した場合における効果の違いを検証した。
(1)ケーキドーナツの製造
1.表9に示す分量の澱粉分解物A、薄力粉、大豆粉、グラニュー糖、脱脂粉乳、食塩、ベーキングパウダーをビニール袋に入れて混合し、菓子用組成物とした。
2.前記菓子用組成物をミキサーボウルに入れ、下記表9に示す分量の全卵、サラダ油、水を入れ、ミキシングして生地を得た。
3.得られた生地を、43gのリング状に分割し、180℃のフライ油に投入し、片面1分15秒間、反転後1分15秒間油ちょうし、ケーキドーナツを製造した。
4.製造したケーキドーナツの粗熱を取り、ビニール袋に密封し、急速冷凍した。
(2)評価
-25℃で2週間保存したケーキドーナツを常温(25℃)で3時間解凍し、崩壊感、および硬さについては、前記実験例1と同一の評価基準に基づいて、口溶けについては、前記実験例2と同一の評価基準に基づいて、訓練を受けた専門のパネル10名が評価を行い、その平均点を評価点とした。
(3)結果
結果を下記の表9に示す。
Figure 2023061211000009
(4)考察
DP8~19の含有量が32%以上、DP20以上の含有量が30%以下、ヨウ素呈色値が0.15以上である澱粉分解物Aを用いたサンプル19のケーキドーナツは、全ての評価が良好であった。
この結果から、本技術に係る菓子用澱粉分解物を用いれば、冷凍保存後に解凍した場合であっても、菓子の崩壊感、硬さ、および口溶けを向上できることが分かった。

Claims (7)

  1. グルコース重合度(DP)8~19の含有量が32%以上、
    グルコース重合度(DP)20以上の含有量が30%以下、
    ヨウ素呈色値が0.15以上、である菓子用澱粉分解物。
  2. 請求項1に記載の菓子用澱粉分解物を含有する、菓子用組成物。
  3. 請求項1に記載の菓子用澱粉分解物、または、請求項2に記載の菓子用組成物を含有する、菓子用生地。
  4. 前記菓子用澱粉分解物の含有量が、1.0~30質量%である、請求項3に記載の菓子用生地。
  5. 請求項1に記載の菓子用澱粉分解物、請求項2に記載の菓子用組成物、または、請求項3若しくは4に記載の菓子用生地が用いられた、菓子。
  6. グルコース重合度(DP)8~19の含有量が32%以上、
    グルコース重合度(DP)20以上の含有量が30%以下、
    ヨウ素呈色値が0.15以上、である菓子用澱粉分解物を添加する添加工程を含む、菓子用生地または菓子の製造方法。
  7. グルコース重合度(DP)8~19の含有量が32%以上、
    グルコース重合度(DP)20以上の含有量が30%以下、
    ヨウ素呈色値が0.15以上、である菓子用澱粉分解物を添加する添加工程を含む、菓子に崩壊感を付与する方法。
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