JP2022167684A - 物性安定化剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】特定の澱粉分解物を用いて、対象製品の物性を安定化させる物性安定化剤を提供する。
【解決手段】本技術では、グルコース重合度(DP)8~19の含有量が32%以上、グルコース重合度(DP)20以上の含有量が15~30%以下、ヨウ素呈色値が0.30以上、結晶化比率が5%以下である澱粉分解物を含有する、物性安定化剤を提供する。本技術では、また、澱粉分解物を含む飲食品、医薬品、化粧品、工業製品、飼料、培地、又は肥料の製造方法であって、前記澱粉分解物が、グルコース重合度(DP)8~19の含有量が32%以上、グルコース重合度(DP)20以上の含有量が15~30%以下、ヨウ素呈色値が0.30以上、結晶化比率が5%以下である澱粉分解物であり、前記澱粉分解物を添加する添加工程を含む、飲食品、医薬品、化粧品、工業製品、飼料、培地、又は肥料の製造方法を提供する。
【選択図】なし

Description

本技術は、物性安定化剤、および該物性安定化剤を含む物性安定化組成物、飲食品、医薬品、化粧品、工業製品、飼料、培地、又は肥料、並びに飲食品、医薬品、化粧品、工業製品、飼料、培地、又は肥料の製造方法に関する。
従来、飲食品分野においては、甘味料、味質調整、浸透圧調整、保湿剤、粉末化基材等の用途に澱粉分解物が利用されている。また、澱粉分解物は、医薬品分野においても、経腸栄養剤の炭水化物源や薬剤の賦形剤等の用途に利用されている。更に化粧品分野において、澱粉分解物は、化粧品を固形化する際の結合剤やクリーム状の化粧品の粘度調整等の用途にも利用されている。
例えば、特許文献1には、グルコース重合度(DP)8~19の含量が32%以上、かつ、グルコース重合度(DP)20以上の含量が30%以下で、同一のDE値を示す既存の澱粉分解物に比べ、低粘度、低甘味、低浸透圧を示す新規な澱粉分解物が開示されている。
また、特許文献2には、グルコース重合度(DP)8~19の含有量が40%以上、グルコース重合度(DP)20以上の含有量が55%以下、X線回折法による結晶化比率が1%以上、である結晶澱粉分解物が開示されている。
さらに、特許文献3には、グルコース重合度(DP)8~19の含有量が32%以上、グルコース重合度(DP)20以上の含有量が30%以下、である澱粉分解物を有し、該澱粉分解物の一部又は全部を、対象製品の原材料と共に結晶化することで該対象製品の品質を改質する技術が開示されている。
特開2010-226988号公報 国際公開第2019/235142号パンフレット 国際公開第2021/230238号パンフレット
上記のように、様々な分野において、澱粉分解物を用いた技術が開発されつつあるが、さらなる開発が望まれているのが実情である。例えば、前記特許文献1に開示された澱粉分解物は、低粘度、低甘味、低浸透圧を示し、デキストリン特有の風味が少ない澱粉分解物であり、様々な用途に使用できる旨が示唆されているが、対象製品の物性を安定化させる技術は開示されていない。また、前記特許文献2の結晶澱粉分解物は、水に不溶であるため、水への溶解が必須の用途に用いることは難しい。さらに、前記特許文献3の技術は、澱粉分解物を対象製品の原材料と共に結晶化させることにより、対象製品の品質を改質する技術であるため、結晶化に向かない製品への適用は難しい。
そこで、本技術では、特定の澱粉分解物を用いて、対象製品の物性を安定化させる技術を提供することを主目的とする。
本技術では、まず、グルコース重合度(DP)8~19の含有量が32%以上、
グルコース重合度(DP)20以上の含有量が15~30%、
ヨウ素呈色値が0.30以上、
結晶化比率が5%以下、である澱粉分解物
を含有する、物性安定化剤を提供する。
本技術に係る物性安定化剤に用いる前記澱粉分解物は、グルコース重合度(DP)8以上の含有量を50%以上とすることができる。
また、本技術に係る物性安定化剤に用いる前記澱粉分解物としては、β-アミラーゼ消化試験において残存率が20%以下である澱粉分解物を用いることができる。
本技術では、また、本技術に係る物性安定化剤を含有する、物性安定化組成物を提供する。
本技術に係る物性安定化組成物には、乳化剤を含有させることができる。
本技術では、さらに、本技術に係る物性安定化剤、または、本技術に係る物性安定化組成物を含有する、飲食品、医薬品、化粧品、工業製品、飼料、培地、又は肥料を提供する。
本技術では、加えて、澱粉分解物を含む飲食品、医薬品、化粧品、工業製品、飼料、培地、又は肥料の製造方法であって、
前記澱粉分解物が、
グルコース重合度(DP)8~19の含有量が32%以上、
グルコース重合度(DP)20以上の含有量が15~30%、
ヨウ素呈色値が0.30以上、
結晶化比率が5%以下、である澱粉分解物であり、
前記澱粉分解物を添加する添加工程を含む、飲食品、医薬品、化粧品、工業製品、飼料、培地、又は肥料の製造方法を提供する。
本技術において、「物性安定化」とは、対象製品において、要求される物性を維持、または向上させること、あるいは、要求される物性が低下するのを抑制することを包含する概念である。
以下、本技術を実施するための好適な形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。
1.物性安定化剤
本技術に係る物性安定化剤は、特定の澱粉分解物を含有する。また、必要に応じて、その他の成分を含有させることもできる。以下、各成分について、詳細に説明する。
(1)澱粉分解物
本技術に用いる澱粉分解物は、グルコース重合度(以下「DP」と称する)8~19の含有量が32%以上、かつ、DP20以上の含有量が15~30%、ヨウ素呈色値が0.30以上、結晶化比率が5%以下である。本技術に用いる澱粉分解物は、一般的な澱粉分解物、具体的には、澱粉原料を酸および/またはα-アミラーゼにより分解して得られた澱粉分解物と比較して、DP20以上の含有量が少ないにもかかわらず、DP8~19の含有量が多く、ヨウ素呈色値が高い。DP20以上の含有量が少ないため、飲食物等の風味を損なう恐れのある澱粉分解物特有の風味が少ない。また、DP8~19の含有量が多いため、すなわちDP1~7の含有量が低いため、低甘味、低浸透圧、低吸湿性を示す。さらに、ヨウ素呈色値が高いため、詳細は後述するがすなわちDP16以上の直鎖状糖分子が多く含まれるため、対象製品に応じた様々な物性の安定化に貢献する。
本技術に用いる澱粉分解物は、DP8~19の含有量が32%以上であれば、その含有量は特に限定されないが、好ましくは40%以上、より好ましくは43%以上、さらに好ましくは48%以上である。DP8~19の含有量が増加するほど、より低甘味、低浸透圧、低吸湿性を示す。
本技術に用いる澱粉分解物は、DP20以上の含有量が15~30%であれば、その含有量は特に限定されないが、好ましくは15~28%、より好ましくは18~25%である。DP20以上の含有量が少なくなるほど、デキストリン特有の風味がより低減されるが、少なすぎると、対象製品の物性安定性の効果が低くなる。
本技術において、澱粉分解物のヨウ素呈色値は、後述する実施例に記載の方法によって測定された値である。
ヨウ素による呈色反応は、DP16以上の直鎖状の糖鎖の存在を示すものであり、DP20以上の含有量が多い澱粉分解物においてはDP16以上の直鎖状の糖鎖が多く存在するため呈色反応を示すが、DP20以上の含有量が少ない澱粉分解物では通常呈色反応を示さないか、示したとしてもヨウ素呈色値は非常に低い値となる。本技術に用いる澱粉分解物は、DP20以上の含有量が少ないにも関わらず、DP16以上の直鎖状糖分子が含まれるため、ヨウ素による呈色反応を示す。本技術に用いる澱粉分解物は、ヨウ素呈色値が0.30以上であれば、特に限定されないが、より好ましくは0.35以上、さらに好ましくは0.40以上である。ヨウ素呈色値が高いほど、DP16以上の直鎖状糖分子が多く含まれ、対象製品の物性安定性の効果が高くなる。
本技術に用いる澱粉分解物は、澱粉原料、例えば、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、米澱粉、小麦澱粉等の澱粉(地上系澱粉)、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、甘藷澱粉等のような地下茎または根由来の澱粉(地下系澱粉)、あるいはこれら澱粉に物理的、化学的な加工を単独または複数組み合せて施した加工澱粉等を分解(糖化)することによって得られるものである。使用する澱粉原料は、特に限定されず、あらゆる澱粉原料を用いることができる。
本技術に用いる澱粉分解物のDP8以上の含有量は、本技術の効果を損なわない限り特に限定されないが、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上である。DP8以上の含有量が高い澱粉分解物を用いることで、より低甘味、低浸透圧、低吸湿性を示す。
本技術に用いる澱粉分解物のβ-アミラーゼ消化試験における残存率は、本技術の効果を損なわない限り特に限定されないが、好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下である。β-アミラーゼ消化試験における残存率が低い澱粉分解物、詳細は後述するがすなわち直鎖状糖分子が多く含まれる澱粉分解物を用いることで、対象製品の物性安定性の効果が高くなる。
本技術において、β-アミラーゼ消化試験における残存率は、後述する実施例に記載の方法によって測定された値である。なお、β-アミラーゼは、グルコースポリマーを非還元末端からマルトース単位で分解する酵素で、α-1,6結合などの分岐結合があると、分解が止まることが知られている。そのため、澱粉分解物のβ-アミラーゼ消化試験による評価は、構造的な視点でα-1,4結合が連続する直鎖状部分を有する程度を示す指標となる。すなわち、ヨウ素による呈色反応ではDP16以上の直鎖状糖分子、β-アミラーゼ消化試験による評価では澱粉分解物全体の直鎖状糖分子についての指標となる。
本技術に用いる澱粉分解物の結晶化比率は、5%以下であれば、特に限定されないが、好ましくは3%以下、より好ましくは1%以下、さらに好ましくは0%である。結晶化比率が低い澱粉分解物を用いることで、水などの液体材料にも溶けやすく、対象製品の物性安定性の効果が高くなる。
本技術において、澱粉分解物中の結晶画分は、粉末X線回折分析により、2-θが「5°-6.5°」,「8.5°-12.5°」,「13°-16°」,「16°-19°」,「19°-21°」,「21°-25.5°」,「25.5°-27.5°」,「27.5°-32°」,「32°-35.5°」,「37°-40°」の各区間に正のピークとして測定されるので、当該各区間の面積値を基に算出することで澱粉分解物の結晶化比率を特定することができる。
より具体的には、粉末X線回折測定結果のY軸:回折強度/X軸:2-θのチャートにおいて以下の基準により、「全体面積」および「結晶面積」を算出し、下記(3)の計算式により、結晶化比率を求めることができる。
(1)全体面積(2-θが「3°-40°」の区間における面積);
2-θが3°と40°の測定値を結んだ直線を基準線とし、基準線と回折強度の曲線で囲まれる範囲のうち、基準線よりも回折強度が強い領域の面積を「全体面積」として算出する。
(2)結晶面積;
2-θが「5°-6.5°」,「8.5°-12.5°」,「13°-16°」,「16°-19°」,「19°-21°」,「21°-25.5°」,「25.5°-27.5°」,「27.5°-32°」,「32°-35.5°」,「37°-40°」の各区間における面積を(1)全体面積と同様にして算出し、前記全区間の面積の合計値を「結晶面積」として算出する。
(3)計算式;結晶化比率=(結晶面積/全体面積)×100
なお、本技術における「結晶化比率」は、MiniFlex600(株式会社リガク製)を用い、X線波長はCu Kα、X線出力は40kV、15mAで分析した粉末X線回折測定結果を用いて算出した値である。
本技術に用いる澱粉分解物のDE(dextrose equivalent)は、本技術の効果を損なわない限り特に限定されないが、好ましくはDE30以下、より好ましくはDE10~25、さらに好ましくはDE13~20である。DEがこの範囲の澱粉分解物を用いることで、より低甘味、低浸透圧、低吸湿性を示し、かつ、対象製品の物性安定性の効果が高くなる。
なお、「DE(dextrose equivalent)」とは、デキストロース当量とも称され、還元糖をグルコースとして測定し、その全固形分に対する割合(下記数式(1)参照)を示す値である。このDE値は、澱粉の加水分解の程度(分解度)、すなわち糖化の進行の程度を示す指標である。
[数1]
DE=[(直接還元糖(グルコースとして表示))/全固形分]×100 ・・・(1)
本技術に係る物性安定化剤における澱粉分解物の含有量は、本技術の効果を損なわない限り特に限定されないが、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上である。澱粉分解物の含有量がこの範囲の物性安定化剤を用いることで、特に良好な物性安定性の効果を得ることができる。なお、物性安定化剤が液状である場合、物性安定化剤の澱粉分解物の好ましい含有量は、固形分換算で前記の範囲である。
本技術に用いる澱粉分解物の製造方法については、本技術の効果を損なわない限り、特に限定されることはない。例えば、澱粉原料を、一般的な酸や酵素を用いた処理や、各種クロマトグラフィー、膜分離、エタノール沈殿等の所定操作を、適宜組み合わせて行うことによって澱粉分解物を得ることができる。
本技術に用いる澱粉分解物を効率的に得る方法として、澱粉原料に、少なくとも枝切り酵素と枝作り酵素を作用させる方法がある。一例としては、澱粉原料を酸および/またはα-アミラーゼで液化した後、枝作り酵素、枝切り酵素の順で作用させる。枝切り酵素(debranching enzyme)は、澱粉の分岐点であるα-1,6-グルコシド結合を加水分解する反応を触媒する酵素の総称である。枝作り酵素(branching enzyme)とは、α-1,4-グルコシド結合でつながった直鎖グルカンに作用して、α-1,6-グルコシド結合を作る働きを持った酵素の総称である。
すなわち、枝切り酵素は、澱粉の分岐鎖の分解に関与する酵素であり、枝作り酵素は、澱粉の分岐鎖の合成に用いる酵素である。従って、両者は通常、一緒に用いられることはない。しかし、全く逆の作用を示す両酵素を組み合わせて用いることにより、本技術に用いる澱粉分解物を確実に製造することができる。両酵素の作用順序は、実施例に示すように、同時または枝作り酵素作用後に枝切り酵素を作用させた方が、それにより得られた澱粉分解物を用いることで、対象製品の耐吸湿性を向上させることができるため、好ましい。
前記枝切り酵素は、特に限定されない。例えば、プルラナーゼ(Pullulanase, pullulan 6-glucan hydrolase)、アミロ-1,6-グルコシダーゼ/4-α-グルカノトランスフェラーゼ(amylo-1,6-glucosidase/4-α-glucanotransferase)を挙げることができ、より好適な一例としては、イソアミラーゼ(Isoamylase, glycogen 6-glucanohydrolase)を用いることができる。
また、前記枝作り酵素も特に限定されない。例えば、動物や細菌等から精製したもの、または、馬鈴薯、イネ種実、トウモロコシ種実等の植物から精製したもの、市販された酵素製剤等を用いることができる。
本技術に用いる澱粉分解物の製造方法では、前記酵素反応の後に、不純物を除去する工程を行うことも可能である。不純物の除去方法としては、特に限定されず、公知の方法を1種または2種以上自由に組み合わせて用いることができる。例えば、ろ過、活性炭脱色、イオン精製等の方法を挙げることができる。
更に、本技術に用いる澱粉分解物は、酵素反応後の澱粉分解物を含む液状品として用いることも可能であるが、真空乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥等により脱水乾燥し、粉末化することも可能である。また、クロマトグラフィーや膜分離によって一部成分を分画して用いることも可能である。
(2)その他の成分
本発明に係る物性安定化剤は、本技術の効果を損なわない限り、飲食品分野において用いることができるその他の成分を1種または2種以上、自由に選択して含有させることもできる。その他の成分としては、例えば、本発明に係る澱粉分解物以外の糖質;グルテン等の小麦由来たん白質、卵由来たん白質、大豆由来たん白質、乳由来たん白質等のたん白素材;粉末油脂、サラダ油、ショートニング等の油脂;粉末セルロース、結晶セルロース、イヌリン、難消化性澱粉等の食物繊維;重曹等の膨張剤;食塩等の塩類;乳化剤、pH調整剤、増粘剤、香辛料、調味料、酵素、ビタミン類、ミネラル類、色素、香料等の成分を用いることができる。
2.物性安定化組成物、飲食品、医薬品、化粧品、工業製品、飼料、培地、飼料
本技術に係る物性安定化剤は、本技術の効果を損なわない限り、対象製品の材料と共に、物性安定化組成物として流通させることができる。具体的には、例えば、飲食品組成物、医薬品組成物、化粧品組成物、工業製品用組成物、飼料組成物、培地用組成物、又は肥料組成物等が挙げられる。
本技術に係る物性安定化組成物における前記澱粉分解物の含有量は、本技術の効果を損なわない限り特に限定されないが、好ましくは2質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上である。
本技術に係る物性安定化組成物には、乳化剤を含有させることができる。本技術に係る物性安定化組成物に乳化剤を含有させる場合、前記澱粉分解物によって乳化安定性、耐吸湿性、揮発成分の保持性を向上させることができる。また、本技術に係る物性安定化組成物を用いて、後述する各製品を製造した場合、各製品の乳化安定性、耐吸湿性、揮発成分の保持性を向上させると共に、各製品の外観、食感、触感等を向上させることも可能である。具体的には、例えば、澱粉分解物と乳化剤とを食品に用いることで、膨らみ等の外観を向上することができる。
本技術に係る物性安定化組成物に乳化剤を含有させる場合、その含有量は、本技術の効果を損なわない限り特に限定されないが、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.4質量%以上である。
また、前記澱粉分解物:乳化剤が、500~0.2:1であることが好ましく、200~0.5:1であることがより好ましく、100~1:1であることがさらに好ましい。
(1)飲食品組成物、飲食品
本技術に用いる澱粉分解物は、飲食品に含有させることで、物性を安定化させることができる。具体的には、飲食品の耐吸湿性、風味、低甘味性、食感・触感(くちどけ、なめらかさ)、粘性、可塑性、外観(膨らみ)、耐離油性、着色抑制、乳化安定性、香気成分保持性、揮発性物質保持性等の物性を安定化することができる。また、食品製造時の作業効率や作業性を向上させることもできる。
飲食品組成物の具体的な例としては、各種飲食品用ミックス(ベーカリー製品用ミックス、麺皮類用ミックス、揚げ衣用ミックス等)、各種飲食品用の素(菓子の素、アイスクリームの素、スープの素、ソースの素、飲料の素等)、各種飲食品用ミックス(ベーカリー製品用ミックス、麺皮類用ミックス、揚げ衣用ミックス等)、各種飲食品用の素(菓子の素、アイスクリームの素、スープの素、ソースの素、飲料の素等)が挙げられる。
飲食品組成物に用いる飲食品の材料としては、例えば、小麦粉、米粉、そば粉、大麦粉、ライ麦粉、トウモロコシ粉、ひえ粉、あわ粉、大豆粉、ホワイトソルガム粉等の穀粉類;コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、米澱粉、小麦澱粉等の澱粉(地上系澱粉)、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、甘藷澱粉等のような地下茎または根由来の澱粉(地下系澱粉)あるいはこれら澱粉に物理的、化学的な加工を単独または複数組み合せて施した加工澱粉等の澱粉類;デキストリン、オリゴ糖、ぶどう糖、粉末水あめ、砂糖等の糖質;グルテン等の小麦由来たん白質、卵由来たん白質、大豆由来たん白質、乳由来たん白質等のたん白素材;粉末油脂、サラダ油、ショートニング等の油脂;粉末セルロース、結晶セルロース、イヌリン、難消化性澱粉等の食物繊維;増粘剤;重曹等の膨張剤;食塩等の塩類;乳化剤、pH調整剤、香辛料、調味料、ビタミン類、ミネラル類、色素、香料、カラギーナン、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビンガム等が挙げられる。
本技術を用いることができる飲食品としては、特に限定されず、例えば、ジュース、スポーツ飲料、お茶、コーヒー、紅茶等の飲料、醤油、ソース等の調味料、スープ類、クリーム類、各種乳製品類、アイスクリーム等の冷菓、各種粉末食品(飲料を含む)、保存用食品、冷凍食品、パン類、菓子類、米飯、麺類、水練り製品、畜肉製品等の加工食品等を挙げることができる。また、保健機能飲食品(特定保健機能食品、機能性表示食品、栄養機能食品を含む)や、いわゆる健康食品(飲料を含む)、流動食、乳児・幼児食、ダイエット食品、糖尿病用食品等にも本技術を用いることができる。
(2)医薬品組成物、医薬品
本技術に用いる澱粉分解物は、医薬品に含有させることで、物性を安定化させることができる。具体的には、医薬品の耐吸湿性、結着性、崩壊性、風味、低甘味性、粘性、可塑性、耐離油性、着色抑制、乳化安定性、香気成分保持性、揮発性物質保持性等の物性を安定化することができる。また、医薬品製造時の作業効率や作業性を向上させることもできる。
本技術は、例えば、散剤、顆粒剤等の粉末化基材、錠剤等のための賦形剤、液状製剤、半固形製剤、軟膏製剤等のための懸濁化剤、浸透圧調整剤、着色料、経腸栄養剤等の炭水化物源(カロリー源)等を目的とした、医薬品に適用することが可能である。
(3)化粧品組成物、化粧品
本技術に用いる澱粉分解物は、化粧品に含有させることで、物性を安定化させることができる。具体的には、化粧品の耐吸湿性、結着性、崩壊性、粘性、可塑性、耐離油性、着色抑制、乳化安定性、香気成分保持性、揮発性物質保持性等の物性を安定化することができる。また、化粧品製造時の作業効率や作業性を向上させることもできる。
本技術は、例えば、粉状化粧品、固形状化粧品等の粉末化基材や賦形剤、液状、乳状、ゲル状、クリーム状等の化粧品のための懸濁化剤、浸透圧調整剤、着色料等を目的とした、化粧品に適用することが可能である。
(4)工業製品用組成物、工業製品
本技術に用いる澱粉分解物は、工業製品に含有させることで、物性を安定化させることができる。具体的には、工業製品の耐吸湿性、結着性、崩壊性、粘性、可塑性、耐離油性、着色抑制、乳化安定性、香気成分保持性、揮発性物質保持性等の物性を安定化することができる。また、工業製品製造時の作業効率や作業性を向上させることもできる。
本技術が適用可能な工業製品としては、例えば、担体、各種フィルム、繊維、カプセル、接着剤、離型剤、付着防止剤、増量剤、研磨剤、賦形剤等を挙げることができる。
(5)飼料組成物、培地用組成物、肥料組成物、飼料、培地、肥料
本技術に用いる澱粉分解物は、飼料、培地、肥料等に含有させることで、物性を安定化させることができる。具体的には、飼料、培地、肥料の耐吸湿性、結着性、崩壊性、粘性、可塑性、耐離油性、着色抑制、乳化安定性、香気成分保持性、揮発性物質保持性等の物性を安定化することができる。また、飼料、培地、肥料製造時の作業効率や作業性を向上させることもできる。
3.飲食品、医薬品、化粧品、工業製品、飼料、培地、肥料の製造方法、および物性安定方法
本技術に係る飲食品、医薬品、化粧品、工業製品、飼料、培地、又は肥料の製造方法、および物性安定方法は、前述した澱粉分解物を添加する添加工程を含むことを特徴とする。好ましくは、前述した澱粉分解物を液体材料に混合する混合工程を含むことを特徴とする。液体材料としては、水、液卵(全卵、卵黄、卵白等)、牛乳、果汁、茶、コーヒー、豆乳、アーモンドミルク、ブランデー等のアルコール飲料等の液体飲食品材料の他、化粧品、工業製品、飼料、培地、肥料の原料として用いられる液体材料が挙げられる。
混合工程においては、前述した澱粉分解物を前記液体材料に溶解する溶解工程を行うことが好ましい。前述した澱粉分解物に溶解させることで、対象製品の全体に物性安定化の効果をもたらすことができる。
製造方法における添加工程を行うタイミングは、本発明の効果を損なわない限り、各製品の製造工程に応じて、自由に設定することができる。例えば、各製品と本技術に係る物性安定化剤をそれぞれ製造した上で、各製品に本技術に係る物性安定化剤を添加する方法、各製品の製造工程の任意のタイミングにおいて、各製品に用いる液体材料の全部または一部と、本技術に係る物性安定化剤と、を混合する方法等を挙げることができる。
本技術に係る製造方法において、各製品への前述した澱粉分解物の配合量は、本技術の効果を損なわない限り、目的に応じて自由に設定することができる。本技術では、各製品に、前述した澱粉分解物を0.1質量%以上配合することが好ましく、0.2~50質量%配合することがより好ましく、0.3~45質量%配合することがさらに好ましい。各製品中に前述した澱粉分解物を0.1質量%以上配合することで、対象製品の物性安定化の効果を十分に発揮することができる。
以下、実施例に基づいて本技術を更に詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例は、本技術の代表的な実施例の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。
<分析方法>
[枝作り酵素の活性]
基質溶液として、0.1M酢酸緩衝液(pH5.2)にアミロース(シグマ アルドリッチ社製、A0512)を0.1質量%溶解したアミロース溶液を用いた。50μLの基質液に50μLの酵素液を添加し、30℃で30分間反応させた後、ヨウ素-ヨウ化カリウム溶液(0.39mMヨウ素-6mMヨウ化カリウム-3.8mM塩酸混合用液)を2mL加え反応を停止させた。ブランク溶液として、酵素液の代わりに水を添加したものを調製した。反応停止から15分後に660nmの吸光度を測定した。枝作り酵素の酵素活性量1単位は、上記の条件で試験する時、660nmの吸光度を1分間に1%低下させる酵素活性量とした。
[DP8~19、DP20以上、DP8以上の含有量]
下記の表1に示す条件で高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて分析を行い、検出されたピーク面積比率に基づいて、DP8~19およびDP20以上、DP8以上の含有量を測定した。
Figure 2022167684000001
[ヨウ素呈色値測定]
5mLの水を分注した試験管に、試料(澱粉分解物)を固形分として25mg添加して10分間煮沸し、溶解、混合した。これに、ヨウ素呈色液(0.2質量/体積%ヨウ素、および2質量/体積%ヨウ化カリウム)を100μL添加し、撹拌後、30℃で20分間放置後、分光光度計にて、光路長10mmのガラスセルを用いて、660nmの吸光度を測定し、試料を添加しない場合の吸光度測定値との差をヨウ素呈色値とした。
[β-アミラーゼ消化試験における残存率]
澱粉分解物を10mM酢酸緩衝液(pH5.5)に煮沸で溶解し調製した固形分濃度10質量%溶液10mLに、β-アミラーゼ(ナガセケムテックス株式会社製)10μLを添加し、55℃で72時間反応させた後、100℃で10分加熱処理をすることで反応を停止した。反応液をイオン交換樹脂にて脱塩し、下記の方法によりDP4以上の含有量を測定し、その値を残存率とした。
[DP4以上の含有量]
下記の表2に示す条件で液体クロマトグラフィーにて分析を行い、検出されたピーク面積比率に基づいて、DP4以上の含有量を測定した。
Figure 2022167684000002
[結晶化比率]
前述した方法で、結晶化比率を測定した。
[DE]
DEの測定は、「澱粉糖関連工業分析法」(澱粉糖技術部会編)の5~6ページに記載のレインエイノン法に従って算出した。
[吸湿性試験]
一定量の澱粉分解物を25℃相対湿度94%で保存して経時的に重量を測定し、18時間、72時間後の保存開始時からの重量増加率を算出した。
[溶解性試験]
澱粉分解物を、20℃の水に10質量%分散させてよく撹拌し、不溶物の残渣、溶液の透明性を、下記の基準に基づいて評価した。
溶解:完全に溶解し透明な溶液となる
白濁:ある程度溶解し沈殿はほぼないが、液が白濁している
不溶:大部分が溶解せず、沈殿している
<澱粉分解物の製造>
澱粉分解物の製造では、枝作り酵素の一例として、Eur. J. Biochem. 59, p615-625 (1975)の方法に則って、精製した馬鈴薯由来の酵素(以下「馬鈴薯由来枝作り酵素」とする)と、Branchzyme(ノボザイムズ株式会社製、以下「細菌由来枝作り酵素」とする)を用いた。
[澱粉分解物A]
10質量%水酸化カルシウムにてpH5.8に調整した30質量%のコーンスターチスラリーに、α-アミラーゼ(リコザイムスープラ、ノボザイムズジャパン株式会社製)を、固形分(g)当たり0.2質量%添加し、ジェットクッカー(温度110℃)で液化した。この液化液を95℃で保温し、継時的にDEを測定し、DE8になった時点で、10質量%塩酸でpH4に調整し、煮沸により反応を停止した。反応を停止した糖液のpHを5.8に調整した後、細菌由来枝作り酵素を固形分(g)当たり500ユニット添加し、65℃で40時間反応させた。その後枝切り酵素(GODO-FIA、合同酒精株式会社製)を固形分(g)当たり0.5質量%添加し、50℃で48時間反応させた。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色、イオン精製し、固形分濃度40質量%に濃縮した。該濃縮液をスプレードライヤーで粉末化し澱粉分解物Aを得た。
[澱粉分解物B]
10質量%水酸化カルシウムにてpH5.8に調整した30質量%のコーンスターチスラリーに、α-アミラーゼ(クライスターゼT10S、天野エンザイム株式会社製)を、固形分(g)当たり0.2質量%添加し、ジェットクッカー(温度110℃)で液化した。この液化液を95℃で保温し、継時的にDEを測定し、DE9になった時点で、10質量%塩酸でpH4に調整し、煮沸により反応を停止した。反応を停止した糖液のpHを5.8に調整した後、細菌由来枝作り酵素を固形分(g)当たり800ユニット添加し、65℃で30時間反応させた。その後、枝切り酵素(GODO-FIA、合同酒精株式会社製)を固形分(g)当たり1.0質量%添加し、50℃で30時間反応させた。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色、イオン精製し、固形分濃度50質量%に濃縮した。該濃縮液をスプレードライヤーで粉末化し澱粉分解物Bを得た。
[澱粉分解物C]
10質量%水酸化カルシウムにてpH5.8に調整した30質量%のタピオカ粉末スラリーに、α-アミラーゼ(クライスターゼT10S、天野エンザイム株式会社製)を、固形分(g)当たり0.2質量%添加し、ジェットクッカー(温度110℃)で液化した。この液化液を95℃で保温し、継時的にDEを測定し、DE15になった時点で、10質量%塩酸でpH4に調整し、煮沸により反応を停止した。反応を停止した糖液のpHを5.8に調整した後、馬鈴薯由来枝作り酵素を固形分(g)当たり2000ユニット添加し、35℃で30時間反応させた。その後pHを4.2に調整し、枝切り酵素(イソアミラーゼ、シグマアルドリッチジャパン株式会社製)を固形分(g)当たり1.0質量%添加し、45℃で30時間反応させた。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色、イオン精製し、固形分濃度60質量%に濃縮した。該濃縮液を、スプレードライヤーで粉末化し澱粉分解物Cを得た。
[澱粉分解物D]
10質量%塩酸にてpH2に調整した30質量%のコーンスターチスラリーを、130℃の温度条件でDE13まで分解した。常圧に戻した後、10質量%水酸化ナトリウムを用いて中和することにより反応を停止した糖液のpHを5.8に調整した後、細菌由来枝作り酵素を固形分(g)当たり400ユニット添加し、65℃で48時間反応させた。その後枝切り酵素(GODO-FIA、合同酒精株式会社製)を固形分(g)当たり1.0質量%添加し、50℃で60時間反応させた。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色、イオン精製し、スプレードライヤーで粉末化し澱粉分解物Dを得た。
[澱粉分解物E]
10質量%水酸化カルシウムにてpH5.8に調整した30質量%のコーンスターチスラリーに、α-アミラーゼ(クライスターゼT10S、天野エンザイム株式会社製)を、固形分(g)当たり0.2質量%添加し、ジェットクッカー(温度110℃)で液化した。この液化液を95℃で保温し、継時的にDEを測定し、DE8になった時点で、10質量%塩酸でpH4に調整し、煮沸により反応を停止した。反応を停止した糖液のpHを5.8に調整した後、細菌由来枝作り酵素を固形分(g)当たり600ユニット添加し、65℃で15時間反応させた。その後枝切り酵素(GODO-FIA、合同酒精株式会社製)を固形分(g)当たり0.5質量%添加し、50℃で40時間反応させた。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色、イオン精製し、固形分濃度45質量%に濃縮した。該濃縮液を、スプレードライヤーで粉末化し澱粉分解物Eを得た。
[澱粉分解物F]
スプレードライヤーに供す前の澱粉分解物A濃縮液を50℃で5日保持し、得られた沈殿を含有した糖液をスプレードライヤーで粉末化し澱粉分解物Fを得た。
[澱粉分解物G]
10質量%水酸化カルシウムにてpH5.8に調整した30質量%のコーンスターチスラリーに、α-アミラーゼ(リコザイムスープラ、ノボザイムズジャパン株式会社製)を、固形分(g)当たり0.2質量%添加し、ジェットクッカー(温度110℃)で液化した。この液化液を95℃で保温し、継時的にDEを測定し、DE13になった時点で、10質量%塩酸でpH4に調整し、煮沸により反応を停止した。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色、イオン精製し、固形分濃度40質量%に濃縮した。該濃縮液をスプレードライヤーで粉末化し澱粉分解物Gを得た。
<各澱粉分解物の分析>
前記で得られた澱粉分解物A~GのDP8~19、DP20以上、およびDP8以上の含有量、ヨウ素呈色値、β-アミラーゼ消化試験における残存率、結晶化比率、DE、吸湿性試験、溶解性試験について、前述した方法で評価した。結果を下記の表3に示す。
Figure 2022167684000003
<実験例1>
実験例1では、各種澱粉分解物を用いて、乳化油脂を製造した場合における効果の違いを検証した。
(1)乳化油脂の製造
1.下記表4に示す油相、水相をそれぞれ別の瓶に材料を量り取り、80℃で溶解させた。
2.油相を撹拌しながら水相を注ぎ込み、さらに20分間撹拌を続けた。
3.氷冷しながらよく混錬した。
4.容器に移し4℃で1日間保存した。
(2)評価
製造した乳化油脂の可塑性、油浮き、およびなめらかさについて、下記の評価基準に基づいて、訓練を受けた専門のパネル10名が評価を行い、その平均点を評価点とした。なお、可塑性、油浮き、およびなめらかさの評価は、4点以上を合格とした。
[可塑性評価]
5 十分な硬さがあり良好な可塑性がある
4 硬さがあり良好な可塑性がある
3 やや軟らかいが可塑性がある
2 軟らかいが可塑性がある
1 軟らかすぎて可塑性もない
[油浮き評価]
5 油浮きが全くない
4 油浮きがほとんどない
3 油浮きが少ない
2 油浮きがやや多い
1 油浮きが多い
[なめらかさ評価]
5 非常になめらかである
4 なめらかである
3 ややなめらかさに劣る
2 なめらかさに劣る
1 全くなめらかでない
(3)結果
結果を下記の表4に示す。
Figure 2022167684000004
(4)考察
DP8~19の含有量が32%以上、DP20以上の含有量が15~30%、ヨウ素呈色値が0.30以上、かつ結晶化比率が5%以下である澱粉分解物BまたはDを用いた実施例1Bおよび実施例1Dは、可塑性、油浮き、およびなめらかさの全ての評価が良好であった。
一方、DP20以上の含有量が15%未満でヨウ素呈色値が0.30未満である澱粉分解物Cを用いた比較例1Cは、可塑性および油浮きの評価が、実施例1Bおよび実施例1Dよりも劣っていた。また、結晶化比率が5%を超える澱粉分解物Fを用いた比較例1Fは、なめらかさの評価が不良であった。さらに、DP8~19の含有量が32%未満でDP20以上の含有量が30%を超える澱粉分解物Gを用いた比較例1Gは、可塑性、油浮き、およびなめらかさの全ての評価が不良であった。
これらの結果から、本技術に係る澱粉分解物を用いれば、乳化油脂の可塑性、耐離油性、およびなめらかさ等の物性を安定化できることが分かった。
<実験例2>
実験例2では、前記実験例1で製造した乳化油脂を用いて、スポンジケーキを製造した場合における効果の違いを検証した。
(1)スポンジケーキの製造
1.下記表5に示す材料をボールに全て量り取った。
2.ハンドミキサーで5分間ミキシングした。
3.容器に移し、予熱していたオーブンで180℃20分間焼成した。
(2)評価
製造したスポンジケーキの膨らみについて、下記の評価基準に基づいて、訓練を受けた専門のパネル10名が評価を行い、その平均点を評価点とした。なお、膨らみの評価は、3点以上を合格とした。
[膨らみ評価]
3 よく膨らんだ
2 やや膨らんだ
1 膨らみに劣った
(3)結果
結果を下記の表5に示す。
Figure 2022167684000005
(4)考察
DP8~19の含有量が32%以上、DP20以上の含有量が15~30%、ヨウ素呈色値が0.30以上、かつ結晶化比率が5%以下である澱粉分解物BまたはDを用いた実施例1Bまたは実施例1Dの乳化油脂を用いた実施例2Bおよび実施例2Dは、膨らみの評価が良好であった。
一方、DP20以上の含有量が15%未満でヨウ素呈色値が0.30未満である澱粉分解物Cを用いた比較例1Cの乳化油脂を用いた比較例2CおよびDP8~19の含有量が32%未満でDP20以上の含有量が30%を超える澱粉分解物Gを用いた比較例1Gの乳化油脂を用いた比較例2Gは、膨らみの評価が不良であった。
これらの結果から、本技術に係る澱粉分解物を用いれば、食品の膨らみ等の外観的物性を安定化できることが分かった。
<実験例3>
実験例3では、各種澱粉分解物を用いて、粉末油脂を製造した場合における効果の違いを検証した。
(1)粉末油脂の製造
1.下記表6に示す水相(糖質、カゼインナトリウム、水)および油相(油脂、乳化剤)をそれぞれ沸騰浴で溶解しながら加温した。
2.水相と油相をミキサーで予備混合したのち、高圧ホモジナイザー(20MPa)で均質化した。
3.均質化した乳化液をスプレードライヤーにて噴霧乾燥した。
(2)評価
製造した粉末油脂の色、吸湿性、および乳化安定性について、下記の評価基準に基づいて、訓練を受けた専門のパネル10名が評価を行い、その平均点を評価点とした。なお、色、吸湿性、および乳化安定性の評価は、2点以上を合格とした。
[色の評価]
3 色づきが見られない
2 色づきがほとんど見られない
1 色づきが見られる
[吸湿性評価]
3 40℃相対湿度90%で2日間保存したとき、ドライな物性を保つ
2 40℃相対湿度90%で2日間保存したとき、触れるとややべたつくが、ドライな物性を保つ
1 40℃相対湿度90%で2日間保存したとき、潮解してべたつく
[乳化安定性]
3 固形分濃度1.5%で水に分散し、5日間静置した後に全く分離がない
2 固形分濃度1.5%で水に分散し、5日間静置した後にやや分離がある
1 固形分濃度1.5%で水に分散し、5日間静置した後に分離する
(3)結果
結果を下記の表6に示す。
Figure 2022167684000006
(4)考察
DP8~19の含有量が32%以上、DP20以上の含有量が15~30%、ヨウ素呈色値が0.30以上、かつ、結晶化比率が5%以下である澱粉分解物Bを用いた実施例3B-1~3は、色、吸湿性、および乳化安定性の全ての評価が良好であった。
一方、DP8~19の含有量が32%未満でDP20以上の含有量が30%を超える澱粉分解物Gを用いた比較例3G-1~3は、澱粉分解物以外の組成が同じ実施例3B-1~3とそれぞれ比較すると、色、吸湿性、および乳化安定性の全ての評価が劣っていた。
これらの結果から、本技術に係る澱粉分解物を用いれば、粉末油脂の色、吸湿性、および乳化安定性等の物性を安定化できることが分かった。
<実験例4>
実験例4では、前記実験例3で製造した粉末油脂を用いて、コーンスープを製造した場合における効果の違いを検証した。
(1)コーンスープの製造
1.下記表7に示すスイートコーンと牛乳をフードプロセッサーで撹拌し、濾しながら鍋に移した。
2.粉末油脂を加え、撹拌しながら中火で加熱した。湯気が出たら弱火にし、3分間撹拌した。
3.塩と胡椒を加え、コーンスープを製造した。
(2)評価
製造したコーンスープの油浮きについて、下記の評価基準に基づいて、訓練を受けた専門のパネル10名が評価を行い、その平均点を評価点とした。なお、油浮きの評価は、3点以上を合格とした。
[油浮き評価]
3 スープ表面に油滴が全く見られない
2 スープ表面に油滴がわずかに見られる
1 スープ表面に油滴が見られる
(3)結果
結果を下記の表7に示す。
Figure 2022167684000007
(4)考察
DP8~19の含有量が32%以上、DP20以上の含有量が15~30%、ヨウ素呈色値が0.30以上、かつ、結晶化比率が5%以下である澱粉分解物Bを用いた実施例3B-1の粉末油脂を用いた実施例4B-1は、油浮きの評価が良好であった。
一方、DP8~19の含有量が32%未満でDP20以上の含有量が30%を超える澱粉分解物Gを用いた比較例3G-1の粉末油脂を用いた比較例4G-1は、実施例4B-1と比較すると、油浮きの評価が劣っていた。
これらの結果から、本技術に係る澱粉分解物を用いれば、食品の油浮き等の物性を安定化できることが分かった。
<実験例5>
実験例5では、各種澱粉分解物を用いて、粉末香料を製造した場合における効果の違いを検証した。
(1)粉末香料の製造
1.下記表8に示す香料以外の材料を混合し、沸騰浴で溶解しながら加温した。
2.混合しながら50℃まで下げたのち、香料を添加した。
3.高圧ホモジナイザー(20MPa)で香料を乳化させた。
4.均質化した乳化香料液をスプレードライヤーにて噴霧乾燥した。
(2)評価
実験例3と同様の方法で、製造した粉末香料の色および吸湿性について評価を行った。
また、製造した粉末香料の香りについて、下記の評価基準に基づいて、訓練を受けた専門のパネル10名が評価を行い、その平均点を評価点とした。なお、香りの評価は、3点以上を合格とした。
[香りの評価]
3 強く残っている
2 残っている
1 ほぼ残っていない
(3)結果
結果を下記の表8に示す。
Figure 2022167684000008
(4)考察
DP8~19の含有量が32%以上、DP20以上の含有量が15~30%以下、ヨウ素呈色値が0.30以上、かつ結晶化比率が5%以下である澱粉分解物AまたはEを用いた実施例5Aおよび実施例5Eは、色、吸湿性、および香りの全ての評価が良好であった。
一方、DP20以上の含有量が15%未満でヨウ素呈色値が0.30未満である澱粉分解物Cを用いた比較例5Cは、全ての評価が、実施例5Aおよび実施例5Eよりも劣っていた。
この結果から、本技術に係る澱粉分解物を用いれば、香料の着色抑制、耐吸湿性、香気成分保持性等の物性を安定化できることが分かった。
<実験例6>
実験例6では、前記実験例5で製造した粉末香料を用いて、クッキーを製造した場合における効果の違いを検証した。
(1)クッキーの製造
1.下記表9に示す材料をすべて混合し、冷蔵庫で30分間寝かせた。
2.1cm厚に伸ばしたのち、適当な大きさに切り分け、170℃で15分間焼成した
(2)評価
製造したクッキーの立ち香、および口中香について、下記の評価基準に基づいて、訓練を受けた専門のパネル10名が評価を行い、その平均点を評価点とした。なお、立ち香、および口中香の評価は、2点以上を合格とした。
[立ち香、口中香の評価]
3 バニラの香りを強く感じる
2 バニラの香りを感じる
1 バニラの香りが弱い
(3)結果
結果を下記の表9に示す。
Figure 2022167684000009
(4)考察
DP8~19の含有量が32%以上、DP20以上の含有量が15~30%以下、ヨウ素呈色値が0.30以上、かつ結晶化比率が5%以下である澱粉分解物AまたはEを用いた実施例5Aまたは実施例5Eの粉末香料を用いた実施例6Aおよび実施例6Eは、澱粉分解物を用いなかった参考例と比べ、全ての評価が良好であった。
一方、DP20以上の含有量が15%未満でヨウ素呈色値が0.30未満である澱粉分解物Cを用いた比較例5Cの粉末香料を用いた比較例6Cは、参考例と比べ、立ち香の評価は若干向上したものの、口中香の評価は同一であった。
これらの結果から、本技術に係る澱粉分解物を用いれば、食品における香気成分保持性を安定化できることが分かった。

Claims (7)

  1. グルコース重合度(DP)8~19の含有量が32%以上、
    グルコース重合度(DP)20以上の含有量が15~30%、
    ヨウ素呈色値が0.30以上、
    結晶化比率が5%以下、である澱粉分解物
    を含有する、物性安定化剤。
  2. 前記澱粉分解物が、グルコース重合度(DP)8以上の含有量が50%以上である、請求項1に記載の物性安定化剤。
  3. 前記澱粉分解物が、β-アミラーゼ消化試験において残存率が20%以下である、請求項1または2に記載の物性安定化剤。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の物性安定化剤を含有する、物性安定化組成物。
  5. 乳化剤を含有する、請求項4に記載の物性安定化組成物。
  6. 請求項1から3のいずれかに記載の物性安定化剤、または、請求項4若しくは5に記載の物性安定化組成物を含有する、飲食品、医薬品、化粧品、工業製品、飼料、培地、又は肥料。
  7. 澱粉分解物を含む飲食品、医薬品、化粧品、工業製品、飼料、培地、又は肥料の製造方法であって、
    前記澱粉分解物が、
    グルコース重合度(DP)8~19の含有量が32%以上、
    グルコース重合度(DP)20以上の含有量が15~30%、
    ヨウ素呈色値が0.30以上、
    結晶化比率が5%以下、である澱粉分解物であり、
    前記澱粉分解物を添加する添加工程を含む、飲食品、医薬品、化粧品、工業製品、飼料、培地、又は肥料の製造方法。
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