JP2023058452A - エポキシ樹脂組成物およびプリプレグ - Google Patents

エポキシ樹脂組成物およびプリプレグ Download PDF

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Abstract

【課題】本発明では、耐光性および室温における取り扱い性に優れ、硬化成形時の樹脂フローが少なく、かつ硬化物の曲げ特性にも優れた樹脂組成物、およびかかる樹脂組成物が繊維基材に含浸されて成るプリプレグを提供することを課題とする。【解決手段】上記課題を解決するために、本発明は、次の構成を有する樹脂組成物を提供する。構成要素[A]、[B]、[C]、[D]を含むエポキシ樹脂組成物。[A]非芳香族エポキシ樹脂[B]構造中に少なくとも2個のエポキシ基、少なくとも2個の水酸基を含み、スルフィド結合を有する非芳香族エポキシ樹脂[C]硬化剤[D]非芳香族熱可塑性樹脂【選択図】なし

Description

本発明は、耐光性に優れたエポキシ樹脂組成物、および耐光性に優れたエポキシ樹脂組成物を用いた取り扱い性の良いプリプレグに関する。
航空機構造部材、風車の羽根、自動車外板およびICトレイやノートパソコンの筐体などのコンピュータ用途等の高い構造性能を求められる製品には、繊維基材にエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸させて作製されるプリプレグが用いられることが多い。しかし、一般的なプリプレグを硬化して得られる繊維複合材料は耐光性が低く、表面が光にさらされると劣化変性する。そのため近年、繊維複合材料の表面に耐光性を付与したいとの要望が増えている。特許文献1では耐光性を有する樹脂組成物として、芳香環を含まないエポキシ樹脂を提案している。
特開2003-26763号公報
しかし、特許文献1に記載された非芳香族エポキシ樹脂は、一般に分子間の相互作用が弱いため粘度が低いことから、非芳香族エポキシ樹脂から成る樹脂フィルム、その樹脂フィルムを繊維基材に含浸したプリプレグは、室温における取り扱い性が悪く、硬化成形時に樹脂フローが発生しやすいという特性を有している。
そこで、本発明では、耐光性に優れ、なおかつプリプレグとして用いたときの室温における取り扱い性に優れ、なおかつ硬化物の曲げ特性にも優れた樹脂組成物を提供することを課題とし、また、耐光性に優れ、好ましい様態において、室温における取り扱い性に一段と優れ、硬化成形時の樹脂フローが少ないプリプレグを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、次の1~11に示す構成を有する樹脂組成物を提供する。また、次の12に示すプリプレグを提供する。
1. 構成要素[A]、[B]、[C]、[D]を含むエポキシ樹脂組成物。
[A]構成要素[B]以外の非芳香族エポキシ樹脂
[B]構造中に少なくとも2個のエポキシ基、少なくとも2個の水酸基を含み、スルフィド結合を有する非芳香族エポキシ樹脂
[C]硬化剤
[D]非芳香族熱可塑性樹脂
2. 構成要素[B]が下式(I)で表される非芳香族エポキシ樹脂である、上記1に記載のエポキシ樹脂組成物。
Figure 2023058452000001
ここで、Rは二価の非芳香族有機基であり、RおよびRはそれぞれ少なくとも1個のエポキシ基と1個の水酸基を有する非芳香族有機基である。式(I)中のnは1~5で表される整数であり、[B]の総質量のうちnが1である式(I)の非芳香族エポキシ樹脂が95質量%以上である。R、RおよびRは直鎖、分岐または環状構造である。
3. 構成要素[A]と構成要素[B]の混合物の数平均分子量が450~800である、上記1または2に記載のエポキシ樹脂組成物。
4. 構成要素[D]の数平均分子量が16000~28000である、上記1~3のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
5. 構成要素[A]と構成要素[B]を合わせて100質量部としたとき、構成要素[D]を1~20質量部含む、上記1~4のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
6. 構成要素[C]が非芳香族硬化剤である、上記1~5のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
7. 構成要素[C]がジシアンジアミドである、上記6に記載のエポキシ樹脂組成物。
8. 構成要素[E]硬化促進剤をさらに含む、上記1~7のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
9. 構成要素[F]無機粒子をさらに含む、上記1~8のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
10. 構成要素[F]がチキソトロープ剤であり、構成要素[A]と構成要素[B]を合わせて100質量部としたとき、チキソトロープ剤を1~10質量部含む、上記9に記載のエポキシ樹脂組成物。
11. 20℃から150℃まで2℃/分で昇温しながら周波数0.5Hzで測定される粘度が以下のとおりである、上記1~10のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
30℃において40000Pa・s以上200000Pa・s以下
80℃において300Pa・s以下
100℃において100Pa・s以上300Pa・s以下
12. 上記1~11のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物が繊維基材に含浸されて成る、プリプレグ。
本発明により、耐光性に優れ、プリプレグとして用いたときの室温での取り扱い性が優れ、硬化成形時の樹脂フローが少なく、かつ硬化物の曲げ特性にも優れた樹脂組成物を提供することができる。本発明の樹脂組成物を繊維基材に含浸してなるプリプレグは、好ましい態様において、室温における取り扱い性に優れ、硬化成形時の樹脂フローが少ない効果を示す。
本発明の樹脂組成物における各構成要素について詳細を述べる。なお、本発明において、「芳香族」とは、芳香族炭化水素や共役不飽和複素環式化合物を化学構造中に含むものであり、すなわち、ヒュッケル則を充たす共役不飽和環構造を持つことをいい、それ以外が「非芳香族」である。また、ある物性・特性について、必須の範囲、好ましい範囲等が複数の数値範囲で示される場合に、同複数の範囲におけるいずれかの上限値と、いずれかの下限値を組み合わせたものも好ましい範囲とする(例えば、下記する非芳香族エポキシ樹脂あるいはその混合物の数平均分子量の好ましい範囲として、600~800g/molがありえる)。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂として、非芳香族エポキシ樹脂を用いたエポキシ樹脂組成物であり、全エポキシ樹脂を100質量%としたとき、非芳香族エポキシ樹脂が90%以上を占めることが好ましく、95%以上を占めることがより好ましく、100%を占めるものであっても良い。
「構成要素[A]」
構成要素[A]は、後述する構成要素[B]には該当しない非芳香族エポキシ樹脂であり、そのようなエポキシ樹脂を複数種用いた混合物であることもできる。構成要素[A]に該当するエポキシ樹脂としては例えば、テトラヒドロインデンジエポキシド、ビニルシクロヘキセンオキシド、3,4-エポキシシクロヘキサンカルボン酸3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル、ジペンテンジオキシド、アジピン酸ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)、ジシクロペンタジエンジオキシド、ビス(2,3-エポキシシクロペンチル)エーテル、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物、エポキシ化ブタンテトラカルボン酸テトラキス-(3-シクロヘキセニルメチル)修飾イプシロン-カプロラクトン、ビ-7-オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン、ドデカヒドロビスフェノールAジグリシジルエーテル、ドデカヒドロビスフェノールFジグリシジルエーテル、1,4-シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロテレフタル酸ジグリシジルエステル、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンノジグリシジルエーテルが挙げられる。芳香環、アミン性窒素原子、シクロアルカン環およびシクロアルケン環のいずれも含まないエポキシ樹脂の具体例として、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、1,4-ビス(2-オキシラニル)ブタン、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテルが挙げられる。芳香環、アミン性窒素原子のいずれも含まない単官能エポキシ化合物(1個のオキシラン環のみを含むエポキシ化合物)の具体例として、4-tert-ブチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、1-ブテンオキシド、1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサン、2-エチルヘキシルグリシジルエーテルなどが挙げられる。
上記非芳香族エポキシ樹脂あるいはその混合物の組み合わせは、本発明で特に限定されない。なお、耐熱性の観点から、構成要素[A]の非芳香族エポキシ樹脂としては、脂環式のエポキシ樹脂、もしくはシクロヘキサン環などのシクロアルカン構造を分子内に有するものが好ましく用いられる。
上記非芳香族エポキシ樹脂は市販品を用いることができる。例えば、EHPE3150(ダイセル化学工業(株)製)“セロキサイド(登録商標)”2021P、“セロキサイド(登録商標)”8010、“セロキサイド(登録商標)”2000、“エポリード(登録商標)”GT401、“セロキサイド(登録商標)”2081、EHPE3150(ダイセル化学工業(株)製)、THI-DE(JXTGエネルギー(株)製)、TTA21、TTA15,TTA22(サンケミカル(株)製)、Ex-121、Ex-211、Ex-212、Ex-313、Ex-321、Ex-411(ナガセケムテック(株)製)、“エポライト(登録商標)”4000(共栄社化学(株)製)、ST-3000、ST-4000(日鉄ケミカル&マテリアル(株)製)、YX8000(三菱ケミカル(株)製)、EPALOY5000(HUNTSMAN製)などが挙げられる。
「構成要素[B]」
構成要素[B]は、構造中に少なくとも2個のエポキシ基、少なくとも2個の水酸基を含み、スルフィド結合を有する非芳香族エポキシ樹脂である。また、チオール基を分子構造中に有する非芳香族エポキシ樹脂である。構造中に直鎖、分岐または環状構造を含んで良く、エーテル基、エステル基を含んでも良い。上記構造中に含まれるエポキシ基数の好ましい上限は特にはないが、8個以下のエポキシ基数を有する構造は、比較的簡便に得られる。また、上記構造中に含まれる水酸基数の好ましい上限は特にはないが、4個以下の水酸基数を有する構造は、比較的簡便に得られる。2個のエポキシ基のそれぞれが末端に存在する構造が好ましい。また、スルフィド結合を2~4個有する構造が好ましく、この場合、スルフィド結合と他のスルフィド結合との間に非芳香族炭化水素が存在する構造がより好ましい。スルフィド結合の存在は樹脂硬化物の破断歪向上の観点から好ましく、水酸基の存在は潜在性硬化剤等の速硬化性向上や硬化後の接着性向上の観点から好ましい。構成要素[B]は、特定の非芳香族エポキシ樹脂と特定の非芳香族チオールを反応させることによって得られる。非芳香族エポキシ樹脂として用いられる化合物は構成要素[A]に準じ、ここから選定される。非芳香族チオールの具体例として、エチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオナート)、1,4-ブタンジオールビス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、1,4-ブタンジオールビス(チオグリコラート)、1,6-ヘキサンジオールビス(チオグリコラート)、トリメチロールプロパントリス(チオグリコラート)、ペンタエリトリトールテトラキス(メルカプトアセタート)、1,3-ジメルカプト-2-プロパノール、2,2-ビス(メルカプトメチル)-1,3-プロパンジオール、3-メルカプト-2,2-ビス(メルカプトメチル)-1-プロパノール、2,2-ビス(メルカプトメチル)-1,3-プロパンジチオール、2-エチル-2-(メルカプトメチル)-1,3-プロパンジチオール、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5-トリス(2-(3-スルファニルブタノイルオキシ)エチル)-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、1,3,5-トリス[3-(2-メルカプトエチルスルファニル)プロピル]イソシアヌートなどを挙げることができ、非芳香族エポキシ樹脂と反応して、上記官能基、結合を有する構造をとるものが選定される。
非芳香族エポキシ樹脂および非芳香族チオールの反応の組み合わせは、構造中に少なくとも2個のエポキシ基、少なくとも2個の水酸基を含み、スルフィド結合を有する非芳香族エポキシ樹脂が生成されるのであれば、本発明で特に限定されない。なお、構造中に少なくとも2個のエポキシ基、少なくとも2個の水酸基を含み、スルフィド結合を有する非芳香族エポキシ樹脂を生成するにあたって、非芳香族エポキシ樹脂および非芳香族チオールの反応のモル比は、非芳香族エポキシ樹脂1.0に対して非芳香族チオール0.1~0.5であることが好ましい。この範囲内であれば、構成要素[B]は、構造中に少なくとも2個のエポキシ基を含むため、熱硬化性樹脂として働くことができ、反応時にゲル化することなく反応を完結させることが可能となる。上記反応は加熱による反応が好ましく、反応に触媒を用いても良い。上記反応は非芳香族エポキシ樹脂と非芳香族チオールを80~180℃で1~12時間攪拌することで得られることが好ましく、より好ましくは80~150℃、1~5時間である。上記反応は、硬化剤の存在しない系にて、予備反応として行う方法が好ましく用いられ、構成要素[A]と構成要素[B]との混合物に、硬化剤等を加えて、エポキシ樹脂組成物を得ることが可能である。耐熱性の観点から、非芳香族エポキシ樹脂は、脂環式、またはシクロヘキサン環などのシクロアルカン構造を分子内に有するものが好ましく用いられる。
構成要素[B]は、下式(I)で表される構造を有するものが好ましく用いられる。
Figure 2023058452000002
式(I)中のRは二価の非芳香族有機基であり、RおよびRはそれぞれ少なくとも1個のエポキシ基と1個の水酸基を有する非芳香族有機基である。式(I)中のnは1~5で表される整数、好ましくは1または2の整数であり、構成要素[B]の総質量のうちnが1である式(I)の非芳香族エポキシ樹脂が95質量%以上である。R、RおよびRは直鎖、分岐または環状構造であっても良い。RおよびRのエポキシ基はグリシジル基または脂環式エポキシ基であることが好ましい。「非芳香族有機基」は非芳香族炭化水素基であることが好ましい。なお、非芳香族炭化水素基がエーテル基若しくはエステル基、スルフィド結合を介して連結される場合の連結される非芳香族炭化水素基の数は3個以上であっても構わない。
上記非芳香族エポキシ樹脂および非芳香族チオールは市販品を用いることができる。非芳香族エポキシ樹脂の製品は構成要素[A]に準ずる。構成要素[A]と同一の非芳香族エポキシ樹脂を用いることは、一つの好ましい態様である。非芳香族チオールの製品は、例えばEGTP、BDTP、TMTP、PETP、BDTG、HDTG、TMTG、PETG(淀化学(株))、G-2S(A)、PE-2S、PE-3S、PE-4S、TMP-3S(旭化学工業(株))、“カレンズMT(登録商標)”PE1、BD1、NR1、TPMB(昭和電工(株))、SS32(川口化学工業(株))などが挙げられる。
上記のとおり、非芳香族エポキシ樹脂および非芳香族チオールの反応には触媒を用いても良く、その量は反応に使用する非芳香族エポキシ樹脂および非芳香族チオールの合計を100質量%としたとき0.1~10質量%であることが好ましい。触媒の種類は、特に限定されず、三級アミン、イミダゾール類、有機リン化合物等が挙げられる。上記触媒は市販品を用いることができる。例えば、“カオーライザー(登録商標)”No.20(花王(株)製)、キュアゾール1.2DMZ、C11Z、C17Z(四国化成(株)製)、TPP-MK、TPP-S、TPP-EB、TPP-PB(北興化学工業(株))などが挙げられる。
構成要素[A]および[B]は、構成要素[A]および構成要素[B]の混合物としたとき、その数平均分子量が450~800g/molの範囲であることが好ましい。なお、それらの組み合わせおよび組成比は本発明で特に限定されない。樹脂フィルム化の容易性および繊維基材に樹脂フィルムを含浸して作製するプリプレグのタック性の観点から、構成要素[A]および[B]の混合物の数平均分子量は550~700g/molであることが好ましい。さらに好ましくは、600~700g/molである。上記数平均分子量が800g/mol以下である場合、エポキシ樹脂組成物の粘度が高くなり過ぎず、ホットメルト法による樹脂フィルム化が容易となり好ましい。一方、この数平均分子量が450g/mol以上である場合、エポキシ樹脂組成物の粘度が低くなり過ぎず、その樹脂組成物をフィルム化した樹脂フィルムを繊維基材に含浸して成るプリプレグのタックが過剰となり過ぎず好ましい。ここでの数平均分子量とは、ゲル浸透クロマグラフィーによるポリスチレン換算の数平均分子量を意味する。
「構成要素[C]」
本発明のエポキシ樹脂組成物は、硬化剤(構成要素[C])を含有する。構成要素[C]の硬化剤の種類は、特に限定されず、アミン系硬化剤、イミダゾール類、カチオン硬化剤、酸無水物、ハロゲン化ホウ素アミン錯体等が挙げられる。耐光性の観点から非芳香族硬化剤を用いることが好ましい。非芳香族硬化剤とは、芳香族炭化水素基や不飽和複素環を化学構造中に含まない硬化剤のことを指す。なお、「非芳香族」の説明は上にしたとおりである。中でもジシアンジアミドを用いることで、硬化前のエポキシ樹脂組成物の湿気による性能変化がなく、長期安定性をもちながら比較的低温で硬化を完了することができるため好ましい。
上記硬化剤は市販品を用いることができる。例えば、ジシアンジアミドにおいては“jERキュア(登録商標)”DICY7、DICY15(三菱ケミカル(株)製)、イミダゾール類においてはキュアゾール1.2DMZ、C11Z、C17Z(四国化成(株)製)、カチオン硬化開始剤においては“アデカオプトン(登録商標)”CP-77、“アデカオプトン(登録商標)”CP-66((株)ADEKA製)、CI-2639、CI-2624(日本曹達)、“サンエイド(登録商標)”SI-60、“サンエイド(登録商標)”SI-80、“サンエイド(登録商標)”SI-100、“サンエイド(登録商標)”SI-150、“サンエイド(登録商標)”SI-B4、“サンエイド(登録商標)”SI-B5(三新化学工業(株)製)、TA-100、IK-1PC(80)(サンアプロ株式会社)、酸無水物においては“リカシッド(登録商標)”(新日本理化(株)製)、ハロゲン化ホウ素アミン錯体においては三フッ化ホウ素モノエチルアミン、三フッ化ホウ素ピペリジン(ステラケミファ(株)製)などが挙げられる。
硬化剤としてジシアンジアミドを用いる場合、その好ましい配合量は、エポキシ樹脂組成物に配合される全てのエポキシ樹脂に由来するエポキシ基のモル数に対し、ジシアンジアミドの活性水素のモル数が0.6~1.2倍となる配合量であることが、良好な機械物性を発現する硬化物が得られる点から好ましい。さらに0.7~1.0倍であると耐熱性に優れるのでさらに好ましい。「構成要素[D]」
本発明のエポキシ樹脂組成物は非芳香族熱可塑性樹脂(構成要素[D])を含有する。非芳香族熱可塑性樹脂とは、非芳香族の熱可塑性樹脂のことを指す。なお、「非芳香族」の説明は上にしたとおりである。非芳香族熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコールおよびそのアセタール化合物を用いることができる。非芳香族の熱可塑性樹脂を例示すると、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールのアセタール化合物としてポリビニルアセタール、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルブチラール、それ以外ではポリ酢酸ビニル、水添ビスフェノールA・ペンタエリストールホスファイトポリマー、水添テルペン、水添テルペンフェノールなどを挙げることができる。
上記の中で、特に、非芳香族エポキシ樹脂への溶解性が高いポリビニルアルコールおよびそのアセタール化合物であるポリビニルアセタール類(ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール)またはポリビニル酢酸ビニルは、エポキシ樹脂組成物の粘度調整が容易である点で好ましい。
また、樹脂フィルム化の容易性および樹脂フィルムを繊維基材に含浸して作製したプリプレグのタック性の観点から、これらの非芳香族熱可塑性樹脂の数平均分子量は16000~28000g/molであることが好ましい。より好ましくは17000~27000g/mol、さらに好ましくは18000~27000g/molである。非芳香族熱可塑性樹脂の数平均分子量が28000g/molを超える場合、非芳香族熱可塑性樹脂の添加量当たりのエポキシ樹脂組成物の粘度上昇が大きくなることがあるため、樹脂フィルム化の容易性とタック調整の観点から添加量を少なくすることが要求されるが、熱可塑性樹脂の添加量が低下するほど樹脂硬化物の曲げ破断歪の低下がみられることがある。一方、非芳香族熱可塑性樹脂の数平均分子量が16000g/molに満たない場合、非芳香族熱可塑性樹脂の添加量当たりのエポキシ樹脂組成物の粘度上昇が小さくなることがあるため、フィルムのタックが過剰となり、また樹脂硬化物の弾性率の低下がみられることがある。非芳香族熱可塑性樹脂の数平均分子量が16000~28000g/molである場合、樹脂組成物のフィルム化の容易性および適切なタック、樹脂硬化物の破断歪および弾性率の適切なバランスが提供される。ここでの数平均分子量とは、ゲル浸透クロマグラフィーによるポリスチレン換算の数平均分子量を意味する。
上記非芳香族熱可塑性樹脂は市販品を用いることができる。例えば、“J-POVAL(登録商標)”(日本酢ビ・ポバール(株)製)、“エスレック(登録商標)”(積水化学工業(株)製)、“ウルトラセン(登録商標)”(東ソー(株)製)“JPH-3800”(城北化学工業(株)製)、“YSポリスターUH130”(ヤスハラケミカル(株)製)などが挙げられる。
上記非芳香族熱可塑性樹脂の配合量は、構成要素[A]および[B]を合わせて100質量部とした場合、1~20質量部であることが、樹脂フィルム化の容易性および樹脂フィルムを繊維基材に含浸し作製したプリプレグのタック性の観点から好ましい。より好ましくは、5~15質量部である。
「構成要素[E]」
本発明におけるエポキシ樹脂組成物は、硬化促進剤(構成要素[E])を含むことができる。硬化促進剤の例としては、尿素系硬化促進剤、ヒドラジド系硬化促進剤、三級アミン類、イミダゾール類、フェノール類などを挙げることができる。特に構成要素[C]がジシアンジアミドである場合、尿素系硬化促進剤が硬化促進および室温における保存安定性の観点から好ましい。
上記硬化促進剤は市販品を用いることができる。例えば、DCMU99(保土谷化学(株)製)“Omicure(登録商標)”U-24M、U-52M(CVC Thermoset Specialties製)、UDH-J(味の素ファインテクノ(株)製)、CDH、MDH、SUDH、ADH、SDH((株)日本ファインケム製)、“DDH-S、IDH-S”(大塚化学(株)製)、“カオーライザー(登録商標)”No.20(花王(株)製)、キュアゾール1.2DMZ、C11Z、C17Z(四国化成(株)製)などが挙げられる。
硬化促進剤の配合量は、構成要素[A]および[B]を合わせて100質量部とした場合、0.1~5質量部であることが、硬化促進および室温における保存安定性の観点から好ましい。より好ましくは、1~3質量部である。
「構成要素[F]」
本発明におけるエポキシ樹脂組成物は、無機粒子(構成要素[F])を含むことができる。無機粒子の例としては、チキソトロープ剤、顔料などを挙げることができる。
チキソトロープ剤の例としては、二酸化ケイ素、合成ヘクトライト、粘度鉱物、変性ベントナイト、鉱物および有機変性ベントナイトの混合系などを挙げることができる。
チキソトロープ剤は市販品を用いることができ、例としては、ヒュームドシリカ(“アエロジル(登録商標)”50、90G、130、150、200、300、380、RY200S、“アエロキサイド(登録商標)”AluC、Alu65、Alu130、TiO2T805(日本アエロジル(株)製))、“OPTIGEL(登録商標)”WX、“OPTIBENT(登録商標)”616、“GARAMITE(登録商標)”1958、7305、“LAPONITE(登録商標)”S-482、“TIXOGEL(登録商標)”MP、VP、“CRAYTONE(登録商標)”40、“CLOISITE(登録商標)”20A(BYK(株)製)、“ソマシフ(登録商標)”ME-100、ミクロマイカMK(片倉コープアグリ(株)製)などが挙げられる。
チキソトロープ剤の配合量は、構成要素[A]および[B]を合わせて100質量部とした場合、1~10質量部であることが、樹脂フィルム化の容易性および硬化成形時の樹脂フロー抑制の観点から好ましい。より好ましくは3~8質量部である。
顔料の例は、硫酸バリウム、硫化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム、モリブデンレッド、カドミウムレッド、酸化クロム、チタンイエロー、コバルトグリーン、コバルトブルー、群青、チタン酸バリウム、カーボンブラック、酸化鉄、赤リン、クロム酸銅などを挙げることができる。
上記顔料は市販品を用いることができ、例としては、B-30、BARIFINE BF(堺化学工業(株)製)、“Ti-Pure(登録商標)”TS-6200、R-902+、R-960、R-706(ケマーズ(株)製)、“アエロキサイド(登録商標)”(日本アエロジル(株)製)などが挙げられる。
顔料の配合量は、構成要素[A]および[B]を合わせて100質量部とした場合、15~50質量部であることが、樹脂フィルム化の容易性および耐光性の観点から好ましい。より好ましくは20~40質量部である。
「その他添加剤」
本発明におけるエポキシ樹脂組成物は必要に応じて、ゴム、難燃剤、光安定剤、酸化防止剤、脱泡剤などの任意の添加材を含むことができる。
ゴムの例としては天然ゴム、ジエン系ゴム、非ジエン系ゴムなどを挙げることができる。ジエン系ゴムの例としてはスチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴムなどが挙げられる。非ジエン系ゴムの例としてはブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどが挙げられる。本発明におけるエポキシ樹脂組成物中の含有物としては非ジエン系ゴムが好ましくなかでも二重結合をポリマー主鎖にもたない、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムは耐光性が高く、本発明におけるエポキシ樹脂組成物に対する耐光性への影響が少ないことから特に好ましい。また、ゴムの形状としては特にパウダー状であればエポキシ樹脂組成物中での分散性に優れるため好ましい。
これら添加剤の配合量は、本発明の樹脂組成物の本来の性質を損なわない範囲の量、すなわち構成要素[A]および[B]を合わせて100質量部とした場合、50質量部以下が好ましい。
「プリプレグ」
本発明におけるエポキシ樹脂組成物は、繊維基材に含浸させ、プリプレグとして用いることができる。
繊維基材の例としては、炭素繊維、黒鉛繊維、アラミド繊維、炭化珪素繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、高強度ポリエチレン繊維、タングステンカーバイド繊維、PBO繊維、ガラス繊維などが挙げられ、これらを単独で、または2種以上を組合せて用いてもかまわない。繊維は連続繊維で一方向に引き揃えられていてもよいし、織物や編物のように布帛基材としてもよい。不連続繊維が集積したマット、不織布でもかまわない。本発明のプリプレグは繊維目付けに特段の制限はない。
「硬化特性」
提供されるエポキシ樹脂組成物およびその樹脂組成物からなるプリプレグは、保存安定性の観点から、示唆走査熱量(DSC)測定において測定される硬化発熱ピーク温度が100~250℃であることが好ましい。プリプレグの低温硬化によって得られる硬化物の表面平滑性の観点から、100~150℃であることがより好ましい。
「粘度」
本発明にて提供されるエポキシ樹脂組成物の粘度は、樹脂フィルム化の容易性、繊維基材に樹脂フィルムを含浸して作製するプリプレグのタック性および硬化成形時の樹脂フローの観点から、30℃において40000Pa・s以上200000Pa・s以下、80℃において300Pa・s以下、100℃において100Pa・s以上300Pa・s以下であることが好ましい。エポキシ樹脂組成物の粘度が30℃において40000Pa・s以上である場合、その樹脂組成物をフィルム化した樹脂フィルムを繊維基材に含浸して成るプリプレグのタックが過剰になり過ぎず好ましい。200000Pa・s以下である場合、その樹脂組成物をフィルム化した樹脂フィルムを繊維基材に含浸して成るプリプレグの貼り付きが良好となり好ましい。また、エポキシ樹脂組成物の粘度が80℃において300Pa・s以下である場合、ホットメルト法による樹脂フィルム化が容易となり、100℃において100Pa・s以上である場合、その樹脂組成物をフィルム化した樹脂フィルムおよびその樹脂フィルムを繊維基材に含浸して成るプリプレグの樹脂フローを適切に抑制できるため好ましい。エポキシ樹脂組成物の粘度が30℃において40000Pa・s以上200000Pa・s以下、80℃において300Pa・s以下、100℃において100Pa・s以上300Pa・s以下である場合、樹脂フィルム化の容易性、タック、樹脂フローの良好なバランスが提供される。ここでの粘度とは、20℃から150℃まで2℃/分で昇温しながら周波数0.5Hzで測定される粘度を意味する。
「耐光性」
本発明に係るエポキシ樹脂組成物は、その硬化物に波長300~400nmの紫外線を日本(夏場)における1ヶ月間のUV量の概算値として知られている1000kJ/mを照射した後に変色が見られないことが、耐光性の観点から好ましい。「変色が見られない」とは、本発明では、UV照射前後での式差ΔE*abが4以下であることを示し、式差ΔE*abは、波長300~400nmの紫外線を1000kJ/m照射した前後でのエポキシ樹脂組成物の硬化物の測色値を、多光源分光測色計により測定することで求めることができる。
「曲げ破断歪」
本発明に係るエポキシ樹脂組成物は、曲げ破断歪が4.5%以上であることが好ましい。曲げ破断歪の上限は特にないが、7%もあれば十分である。
曲げ破断歪は、エポキシ樹脂組成物を真空中で脱泡した後、昇温速度2℃/分で昇温し、180℃で120分保持して硬化させることにより得られる厚さ2mmの樹脂硬化板について、JIS-K7171(1994)に従い、支点間距離32mmの三点曲げを実施し、測定される数値であり、測定数6の平均値を求める。なお、樹脂曲げ試験にて樹脂板が破断しない場合は、曲げたわみが12mmを超えた時点で装置を停止し、その値を破断歪とする。詳細な測定操作は実施例の項に記載するとおりである。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。ただし、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。また、各種特性の測定は、特に注釈のない限り温度23℃、相対湿度50%の環境下で行った。
<実施例および比較例で用いた材料>
(1)芳香族エポキシ樹脂
・ビスフェノールA型エポキシ樹脂(“jER(登録商標)”828、三菱ケミカル(株)製)エポキシ当量:184~194(g/eq.)(液体状)
(2)非芳香族エポキシ樹脂
・水添ビスフェノール型エポキシ樹脂(EPALLOY5000、HUNTSMAN製)エポキシ当量:220(g/eq.)(液体状)
・2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物(EHPE3150、ダイセル化学工業(株)製)エポキシ当量:170~190(g/eq.)(固体状)
(3)非芳香族チオール
・1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン(“カレンズMT(登録商標)”BD1、昭和電工(株)製)
(4)硬化剤
・ジシアンジアミド(“jERキュア(登録商標)”DICY7T、三菱ケミカル(株)製)
(5)非芳香族熱可塑性樹脂
・ポリビニルアセトアセタール(“エスレック(登録商標)”KS-10、KS-1、積水化学工業(株)製、数平均分子量17000g/mol、27000g/mol)
・ポリビニルブチラール(“エスレック(登録商標)”BX-L、積水化学工業(株)製、数平均分子量18000g/mol)
・ポリビニルブチラール(“エスレック(登録商標)”BL-10、積水化学工業(株)製、数平均分子量15000g/mol)
(6)硬化促進剤
・トルエンビス(ジメチルウレア)(“Omicure(登録商標)”24、CVC Thermoset Specialties製)
(7)無機粒子
・ヒュームドシリカ(“アエロジル(登録商標)”RY200S、日本アエロジル(株)製)
・酸化チタン(“Ti-Pure(登録商標)”R-960、ケマーズ(株)製、平均粒径0.5μm)
(8)繊維基材
・ポリエステル繊維不織布(JH-30015、日本バイリーン(株)製、15g/m
〔実施例1~10、比較例1~5〕
〔実施例1〕
以下の手順でエポキシ樹脂組成物を調製し、これを用いて粘度、樹脂曲げ弾性率、樹脂曲げ破断歪みを測定し、プリプレグのタック等を評価した。
<無機粒子のマスターバッチの調製(工程1)>
表1上段に示す組成のうち、EPALLOY5000を30質量部、表2に示す組成のうち、RY200Sを6.1質量部、R960を30質量部となるよう秤量し、三本ロールミルに投入し、十分に混合して、均一なマスターバッチ(マスターバッチ1)を得た。
<硬化剤のマスターバッチの調製(工程2)>
表1上段に示す組成のうち、EPALLOY5000を4.1質量部、表2に示す組成のうち、DICY7Tを4.1質量部、Omicure24を2質量部となるよう秤量し、三本ロールミルに投入し、十分に混合して、均一なマスターバッチ(マスターバッチ2)を得た。
<構成要素[A]および構成要素[B]の混合物の調製(工程3)>
上で得られたマスターバッチ1に対して、表1上段に示す組成のうち、EPALLOY5000を55.9質量部、BD1を10質量部、カオーライザーNo.20を0.5質量部添加し、100~150℃にて加熱混合することで予備反応を行い、構成要素[A]および構成要素[B]の混合物(混合物1)を得た。
<エポキシ樹脂組成物の調製(工程4)>
上で得られた混合物1の132.5質量部に対して、BX-L15質量部を加え、100~150℃にて加熱混合することで均一なマスターバッチ(マスターバッチ3)を得た。
このマスターバッチ3を80℃以下にまで冷却し、次いで、上で得られたマスターバッチ2を80℃以下にて添加し、均一になるまで混合してエポキシ樹脂組成物を得た。
表1の「加熱前の組成」の欄は、上記のとおり、原料として用いたエポキシ樹脂成分およびチオール成分、触媒の量を示しており、表1の「加熱後の組成」の欄は、最終的な組成物におけるエポキシ樹脂成分およびチオール成分、触媒ならびにこれらの予備反応物の量を表している。なおここで、「加熱後の組成」の欄中、「エポキシ/チオール予備反応物」は、式(I)には該当しない反応物を示している。また、表2の「組成」の欄は、最終的な樹脂組成物における各成分の組成比と、当該樹脂組成物の活性水素当量/エポキシ当量を示している。なお、誤解を避けるために補足すると、以下に説明する例では工程3において構成要素[A]および構成要素[B]の混合物としては得られていない場合がある。
[実施例2~10、比較例3~5]
工程3において加えるEPALLOY5000およびBD1の量を変更し、また、工程4において加える非芳香族熱可塑性樹脂の種類および量を変更し、表1および表2に示すとおりとした以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。ただし、実施例8については、さらに、工程1にてEPALLOY5000を15質量部用い、工程2にてEPALLOY5000を6質量部用い、工程3にてEPALLOY5000を1.4質量部用いる変更を行って、樹脂組成物を得た。
[比較例4]
工程3において加えるEPALLOY5000およびBD1の量を変更し、また、工程4において、さらに、表1上段に示す組成のうちEHPE3150を45質量部加え、表1および表2に示すとおりとした以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。
[比較例5]
EPALLOY5000に代えてjER828を用い、また、その量として、表1および表2に示すとおりとした以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。
[比較例1]
工程3を行わず、また工程3において加える予定であったEPALLOY5000を工程1において加え、最終的な組成物の組成比として、表2に示すとおりとした以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。
[比較例2]
工程1において加えるEPALLOY5000の量を変更し、また、工程4において、さらにEHPE3150を加え、また、工程4において加える非芳香族熱可塑性樹脂の種類および量を変更し、表2に示すとおりとした以外は、比較例1と同様にして樹脂組成物を得た。
<エポキシ樹脂組成物の発熱ピーク温度の測定方法>
示差走査熱量計(DSC Q2500:TAインスツルメント社製)を用いて、窒素雰囲気中で5℃/分の昇温速度にて、上述の<エポキシ樹脂組成物の調製>にて得られたエポキシ樹脂組成物の発熱曲線を得た。得られた発熱曲線中で、発熱量が100mW/g以上である発熱ピークの頂点の温度を、本発明におけるDSCの発熱ピーク温度として算出した。発熱量が100mW/g以上である発熱ピークが2つ以上ある場合は、低温側のピークの頂点の温度を、上記発熱ピーク温度として算出した(表2)。
<昇温粘度測定>
上述の<エポキシ樹脂組成物の調製>にて得られたエポキシ樹脂組成物について、動的粘弾性装置ARES-2KFRTN1-FCO-STD(ティー・エイ・インスツルメント社製)を用い、上下部測定冶具に直径25mmの平板のパラレルプレートを用い、上部と下部の冶具間距離が1mmとなるように該エポキシ樹脂組成物をセット後、ねじりモード(測定周波数:0.5Hz)温度20℃から150℃まで2℃/分で昇温することで粘度を測定した(表2)。
構成要素[A]と[B]の混合物の数平均分子量が450~800g/molの範囲で構成された樹脂組成物の粘度は、30℃において40000Pa・s以上200000Pa・s以下、80℃において300Pa・s以下、100℃において100Pa・s以上300Pa・s以下であった(実施例1~7、9、10)。
一方、構成要素[A]と[B]の混合物の数平均分子量が450g/mol未満あるいは800g/molを超える樹脂組成物の粘度は、30℃、80℃または100℃のいずれかの点において上記粘度範囲を満たさなかった(実施例8、比較例1)。
<エポキシ樹脂組成物の樹脂フロー評価>
上述の<エポキシ樹脂組成物の調製>にて得られたエポキシ樹脂組成物3gを15cm角に切り出した離型フィルムの上に秤量した(質量:W4)。もう一枚の15cm角に切り出した離型フィルムでエポキシ樹脂組成物をはさみ、さらに2枚の10cm角の金属板(一枚400g)ではさみ、昇温速度2℃/分で昇温し、180℃で120分保持して硬化物を得た。硬化後、10cm角の金属板からはみ出した部分を取り除き、残った硬化物の質量を測定した(質量:W5)。以下の算出式により本発明におけるエポキシ樹脂組成物の樹脂フロー量[%]を算出した。
(W4-W5)/W4×100[%]
樹脂フロー量が5%以下をA、5%超え、10%以下をBとした。10%超えの例はなかった(表2)。100℃における粘度が100Pa・s未満の樹脂組成物は、樹脂フロー評価がA以外であった(比較例1)。
<樹脂フィルムの作製>
上述の<エポキシ樹脂組成物の調製>にて得られた、実施例1~10と比較例1、2、5のエポキシ樹脂組成物を60~100℃に加温し、目付が80~120g/mとなるようにコーターで離型紙に塗布して樹脂フィルムを作製した。
<プリプレグの作製>
上述の<樹脂フィルムの作製>にて得られた、実施例1~10と比較例1、2、5の樹脂フィルム(離型紙の、樹脂フィルム形成側表面)を、適切な圧力でガラス不織布に含浸させた。
<タック性評価>
上述の<プリプレグの作製>にて得られたプリプレグを10cm角に切り出し、15cm角のFEPフィルム(“トヨフロン(登録商標)”50FV、東レフィルム加工(株)製)を下側、10cm角のプリプレグを上側にして重ねた。重ねたプリプレグの上側に、両面粘着性テープを貼り付けた10cm角のステンレス製プレート(400g)を載せ、30秒間保持した。その後、ステンレス製プレートを持ち上げ、プリプレグがFEPフィルムから剥がれて二枚に分かれる際、FEPフィルムの上にプリプレグに使用したエポキシ樹脂組成物が残留する場合はタック性を「不良」、プリプレグに使用したエポキシ樹脂組成物が残留しない場合はタック性を「良好」と判定した(表2)。
実施例、比較例共に30℃における粘度が40000Pa・s以上の樹脂組成物を使用したプリプレグのタック性は良好であった。
<貼り付き性評価>
上述の<プリプレグの作製>にて得られたプリプレグを10cm角に切り出し、任意の大きさ(10cm角よりも大きい)のアルミ板に貼り付け、その上からダイフリーGA-3000(ダイキン工業製)をスプレーすることで離型処理した10cm角のステンレス製プレート(400g)を載せ、30秒間保持した。その後、ステンレス製プレートを持ち上げ、アルミ板にプリプレグが貼り付いた状態で地面を軸に90°になるようにアルミ板を立てかけ、24時間後アルミ板にプリプレグが貼り付いている場合は貼り付き性「良好」とし、一部でも剥がれていた場合を「不良」とした(表2)。
<樹脂硬化板の作製>
上述の<エポキシ樹脂組成物の調製>にて得られたエポキシ樹脂組成物を真空中で脱泡した後、厚さ2mmのポリテトラフルオロエチレン製のスペーサーと共にステンレス板で挟んで、昇温速度2℃/分で昇温し、180℃で120分保持して硬化させることにより厚み2mmの樹脂硬化板を得た。
<樹脂硬化物の曲げ試験>
上述の<樹脂硬化板の作製>にて得られた厚み2mmのエポキシ樹脂硬化物を幅10±0.1mm、長さ60±1mmにカットし、試験片を得た。インストロン万能試験機(インストロン製)を用いJIS-K7171(1994)に従い、支点間距離32mmの三点曲げを実施し、弾性率と曲げ歪(伸度)を測定した。測定数は6とし、その平均値を求めた(表2)。なお、樹脂曲げ試験にて樹脂板が破断しない場合は、曲げたわみが12mmを超えた時点で装置を停止し、その時点での歪値を破断歪とした。実施例1~10においては曲げ破断歪4.5%以上であった。一方で、構成要素[B]を添加していない比較例1、2の樹脂硬化物の曲げ破断歪は4.5%未満となり未達であった。また、構成要素[B]の添加量が多いほど弾性率が低くなり、曲げ破断歪が大きくなる傾向が示され、構成要素[A]の固体状のエポキシ樹脂の添加量が多いほど弾性率が高くなり、曲げ破断歪が小さくなる傾向が示された。また、構成要素[D]の添加量が少なくなるほど曲げ破断歪が小さくなる傾向が示された。
<樹脂硬化物の耐光性評価>
上述の<樹脂硬化板の作製>にて得られた厚み2mmのエポキシ樹脂硬化物を幅10±0.1mm、長さ60±1mmにカットし、試験片を得た。得られた試験片表面を半分アルミホイルで覆った状態でメタリングウェザーメータ(M6T、スガ試験機(株)製)を用いて照射波長を300~400nm、積算照度を1.55kW/mに設定し、その上で、本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物は屋外で日光に年単位で暴露されることが想定されるため、日本(夏場)における1ヶ月間のUV量の概算値として知られている積算強度1000kJ/mのUV光を照射した。照射後アルミホイルを剥がし、アルミホイルを覆った場所と覆っていない場所の見た目を肉眼で見ることで、UV照射前後のエポキシ樹脂硬化物の変色有無を確認できる。照射前後でエポキシ樹脂組成物の硬化物の色差を多光源分光測色計(MSC-P、スガ試験機(株)製)を用いて測定した。エポキシ樹脂組成物を多光源分光測色計にセットし、測定条件として波長380~780nmの範囲において、反射モード、C光源、2°視野、8°入射の条件で反射率を測定した。さらに、装置に付属するプログラムを用いて、L*a*b*変色系におけるUV照射前の測色値(L*、a*、b*)を求めた。次に、UV照射実施後(L*、a*、b*)を求めた。さらにUV照射実施前後でのエポキシ樹脂組成物の硬化物の色差ΔE*abをΔE*ab=[(L*-L*+(a*-a*+(b*-b*1/2により求めた。求めたΔE*abが4以下の場合、耐光性を「良好」とし、ΔE*abが4を超えた場合、耐UV性を「不良」とした(表2)。芳香族エポキシ樹脂を、予備反応前の組成にて85.2質量部含む比較例5は、耐光性が不良で、芳香族エポキシ樹脂を含む場合、耐光性に劣る傾向が示された。
Figure 2023058452000003
Figure 2023058452000004

Claims (12)

  1. 構成要素[A]、[B]、[C]、[D]を含むエポキシ樹脂組成物。
    [A]非芳香族エポキシ樹脂
    [B]構造中に少なくとも2個のエポキシ基、少なくとも2個の水酸基を含み、スルフィド結合を有する非芳香族エポキシ樹脂
    [C]硬化剤
    [D]非芳香族熱可塑性樹脂
  2. 構成要素[B]が下式(I)で表される非芳香族エポキシ樹脂である、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
    Figure 2023058452000005
    ここで、Rは二価の非芳香族有機基であり、RおよびRはそれぞれ少なくとも1個のエポキシ基と1個の水酸基を有する非芳香族有機基である。式(I)中のnは1~5で表される整数であり、[B]の総質量のうちnが1である式(I)の非芳香族エポキシ樹脂が95質量%以上である。R、RおよびRは直鎖、分岐または環状構造である。
  3. 構成要素[A]と構成要素[B]の混合物の数平均分子量が450~800である、請求項1または2に記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. 構成要素[D]の数平均分子量が16000~28000である、請求項1または2に記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. 構成要素[A]と構成要素[B]を合わせて100質量部としたとき、構成要素[D]を1~20質量部含む、請求項1または2に記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. 構成要素[C]が非芳香族硬化剤である、請求項1または2に記載のエポキシ樹脂組成物。
  7. 構成要素[C]がジシアンジアミドである、請求項6に記載のエポキシ樹脂組成物。
  8. 構成要素[E]硬化促進剤をさらに含む、請求項1または2に記載のエポキシ樹脂組成物。
  9. 構成要素[F]無機粒子をさらに含む、請求項1または2に記載のエポキシ樹脂組成物。
  10. 構成要素[F]がチキソトロープ剤であり、構成要素[A]と構成要素[B]を合わせて100質量部としたとき、チキソトロープ剤を1~10質量部含む、請求項9に記載のエポキシ樹脂組成物。
  11. 20℃から150℃まで2℃/分で昇温しながら周波数0.5Hzで測定される粘度が以下のとおりである、請求項1または2に記載のエポキシ樹脂組成物。
    30℃において40000Pa・s以上200000Pa・s以下
    80℃において300Pa・s以下
    100℃において100Pa・s以上300Pa・s以下
  12. 請求項1または2に記載のエポキシ樹脂組成物が繊維基材に含浸されて成る、プリプレグ。
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