JP2021120215A - シート状中間基材および繊維強化複合材料 - Google Patents

シート状中間基材および繊維強化複合材料 Download PDF

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Abstract

【課題】耐光性に優れたエポキシ樹脂組成物が金属フォイルまたはメッシュに含浸または塗布されてなる、室温での取扱性(タック性)に優れたシート状中間基材を提供する。【解決手段】下記構成要素[A]の表面に構成要素[B]が塗布されてなるシート状中間基材。[A]金属メッシュまたは金属フォイル[B]少なくとも(I)〜(IV)を含むエポキシ樹脂組成物であって、全エポキシ樹脂100質量部に対して(I)を90〜100質量部、(II)を15〜75質量部、(III)を20〜75質量部、(IV)を0.1〜10質量部含むエポキシ樹脂組成物。(I)非芳香族エポキシ樹脂(II)平均粒径0.1〜10μmの顔料(III)非芳香族熱可塑性樹脂(IV)カチオン硬化剤またはアニオン硬化剤【選択図】なし

Description

本発明は、耐光性に優れたエポキシ樹脂組成物が金属フォイルまたはメッシュに含浸または塗布されてなる、室温での取扱性に優れたシート状中間基材に関する。
航空機構造部材、風車の羽根、自動車外板およびICトレイやノートパソコンの筐体などのコンピュータ用途等の高い構造性能を求められる製品には、炭素繊維などの強化繊維にエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸させて作製されるプリプレグが用いられることが多い。近年、プリプレグの導電性を向上させ、該プリプレグを硬化させて得られる繊維強化複合材料に帯電防止や耐雷性等の機能を付与したいとの要望が増えてきている。一方、炭素繊維自体の導電性はそれほど高くなく、導電性の高い金属などを別段取りで一体化する必要があった。また一般的なプリプレグを硬化して得られる繊維強化複合材料は耐光性(耐UV性)が低く、表面が光にさらされると劣化変性する。
特許文献1には繊維強化複合材料の表面保護フィルムとして、導電性を有するシート材料が開示されている。また、特許文献2では耐UV性を有する樹脂組成物として、芳香環を含まないエポキシ樹脂と、同じく芳香環を含まないカルボン酸無水物ならびに紫外線吸収剤の組み合わせの開示がある。非芳香族エポキシは、一般に低分子で分子間の相互作用が弱いため粘度が低かったり揮発しやすかったりという特性を持っている。
特表2015−507648号公報 国際公開第2003/002661号
しかしながら、特許文献1に開示される技術では、フィルム材として用いられているエポキシ樹脂組成物は芳香環を含み、耐UV性が乏しいという問題があった。また、特許文献2に開示される技術では、カルボン酸無水物をエポキシ樹脂組成物の硬化剤として適用しているため、フィルムやシート材に適した取り扱い性や樹脂フローの制御、硬化時の揮発を抑制するために設計自由度が低いという問題があった。
そのため、母材となるプリプレグ表面に貼り付けるだけで、繊維強化複合材料に導電性を付与するために別段取りで金属などと一体化する作業工程を削減でき、かつ繊維強化複合材料のUVによる劣化を防止し塗装時の不具合を防止することができる、表面保護フィルムの実現が課題である。
本発明は、かかる課題を解決するために次の構成を有するものである。すなわち、本発明のシート状中間基材は、下記構成要素[A]の表面に構成要素[B]が塗布されてなる。
[A]金属メッシュまたは金属フォイル
[B]少なくとも(I)〜(IV)を含むエポキシ樹脂組成物であって、全エポキシ樹脂100質量部に対して(I)を90〜100質量部、(II)を15〜75質量部、(III)を20〜75質量部、(IV)を0.1〜10質量部含むエポキシ樹脂組成物。
(I)非芳香族エポキシ樹脂
(II)平均粒径0.1〜10μmの顔料
(III)非芳香族熱可塑性樹脂
(IV)カチオン硬化剤またはアニオン硬化剤。
また、本発明の繊維強化複合材料は、上記シート状中間基材の硬化物が繊維強化複合材料前駆体と一体化されてなる。
本発明により、耐光性に優れたエポキシ樹脂組成物が金属フォイルまたはメッシュに含浸または塗布されてなる、室温での取扱性(タック性)に優れたシート状中間基材を提供することができる。
本発明のシート状中間基材は、次の構成を有するものである。すなわち、下記構成要素[A]の表面に構成要素[B]が塗布されてなるシート状中間基材である。
[A]金属メッシュまたは金属フォイル
[B]少なくとも(I)〜(IV)を含むエポキシ樹脂組成物であって、全エポキシ樹脂100質量部に対して(I)を90〜100質量部、(II)を15〜75質量部、(III)を20〜75質量部、(IV)を0.1〜10質量部含むエポキシ樹脂組成物。
(I)非芳香族エポキシ樹脂
(II)平均粒径0.1〜10μmの顔料
(III)非芳香族熱可塑性樹脂
(IV)カチオン硬化剤またはアニオン硬化剤。
本発明に係る構成要素[A]は、金属のメッシュまたはフォイルである。金属は一般に導電性を有する。導電性を有する金属の例としては、銅、銀、白金、パラジウム、ニッケル、鉛、スズ、アルミニウム、チタンおよびそれらを用いた合金などがある。
本発明で用いる構成要素[A]の金属フォイルは穴や切込みがあっても良く、金属メッシュの織り方に特に制限はないが、例えば、平織、綾織、朱子織、平畳織、綾畳織、朱子畳織などがある。
本発明で用いる構成要素[B]は、少なくとも次に示す(I)〜(IV)を含むエポキシ樹脂組成物である。
(I)は非芳香族エポキシ樹脂である。ここで「芳香族」とは、芳香族炭化水素や不飽和複素環式化合物を化学構造中に含むものであり、それ以外が「非芳香族」である。すなわち、非芳香族エポキシ樹脂とは、芳香族炭化水素基や不飽和複素環を化学構造中に含まないエポキシ樹脂のことを指す。非芳香族エポキシ樹脂を例示すると、脂環式エポキシ樹脂(シクロアルカン環を含むエポキシ樹脂)として、テトラヒドロインデンジエポキシド、ビニルシクロヘキセンオキシド、(3’,4’−エポキシシクロヘキサン)メチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ジペンテンジオキシド、アジピン酸ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)、ジシクロペンタジエンジオキシド、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物、エポキシ化ブタンテトラカルボン酸テトラキス−(3−シクロヘキセニルメチル)修飾イプシロン−カプロラクトン、ビ−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン、ドデカヒドロビスフェノールAジグリシジルエーテル、ドデカヒドロビスフェノールFジグリシジルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロテレフタル酸ジグリシジルエステル、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジグリシジルエーテル(一般名:水添ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂)、芳香環、アミン性窒素原子、シクロアルカン環、シクロアルケン環のいずれも含まないエポキシ樹脂の具体例として、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、1,4−ビス(2−オキシラニル)ブタン、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、芳香環、アミン性窒素原子のいずれも含まない単官能エポキシ化合物(1個のオキシラン環のみを含むエポキシ化合物)の具体例として、4−tert−ブチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、1−ブテンオキシド、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン、2−エチルヘキシルグリシジルエーテルなどを挙げることができる。
耐熱性の観点から非芳香族エポキシ樹脂は、脂環式エポキシ樹脂が好ましく用いられる。
上記非芳香族エポキシ樹脂は市販品を用いることができる。例えば、“セロキサイド(登録商標)”2021P、“セロキサイド(登録商標)”8010、“セロキサイド(登録商標)”2000、“エポリード(登録商標)”GT401、“セロキサイド(登録商標)”2081、EHPE3150((株)ダイセル化学工業製)、THI−DE(JXTGエネルギー(株)製)、TTA21、AAT15,TTA22(サンケミカル(株)製)、Ex−121、Ex−211、Ex−212、Ex−313、Ex−321、Ex−411(ナガセケムテック(株)製)、“エポライト(登録商標)”4000(共栄社化学(株)製)、ST−3000、ST−4000(日鉄ケミカル&マテリアル(株)製)、YX8000(三菱ケミカル(株)製)、EPALOY5000(HUNTSMAN製)などが挙げられる。
上記非芳香族エポキシ樹脂を少なくとも2種類用いることで、エポキシ樹脂組成物の反応性を制御でき、エポキシ樹脂組成物の速硬化性とポットライフの良好なバランスを得ることができる。
上記非芳香族エポキシ樹脂をエポキシ樹脂組成物全体に対して90質量%以上含むことで、高い耐光性(耐UV性)を得ることができる。
(II)は顔料(平均粒径0.1〜10μm)である。顔料の例は、硫酸バリウム、硫化亜鉛、酸化チタン、モリブデンレッド、カドミウムレッド、酸化クロム、チタンイエロー、コバルトグリーン、コバルトブルー、群青、チタン酸バリウム、カーボンブラック、酸化鉄、赤リン、クロム酸銅などを挙げることができる。顔料の平均粒径は0.1〜10μm、好ましくは0.1〜5μm、より好ましくは0.3〜5μmであれば高いUV遮蔽性を有するエポキシ樹脂組成物を得ることができる。なお、ここで平均粒子径とは、レーザー回折散乱法を用いたLA−950((株)堀場製作所製)を用いて測定したものである。分散媒として“アラルダイト(登録商標)”GY282(成分:ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ハンツマン・ジャパン(株)製)を用いて測定した体積換算の結果を粒度分布測定結果として採用し、得られた粒度分布の累積カーブにおける50%での粒径(メジアン径)を平均粒子径とする。
上記顔料をエポキシ樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂100質量部に対して15〜75質量部、好ましくは、25〜55質量部、より好ましくは30〜50質量部含むことで樹脂硬化物の光遮蔽性とタック特性を良好なバランスで得ることができる。
(III)は非芳香族熱可塑性樹脂である。ここで「芳香族」とは、芳香族炭化水素や不飽和複素環式化合物を化学構造中に含むものであり、それ以外が「非芳香族」である。すなわち、非芳香族熱可塑性樹脂とは、芳香族炭化水素基や不飽和複素環を化学構造中に含まない熱可塑性樹脂のことを指す。非芳香族の熱可塑性樹脂を例示すると、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、水添ビスフェノールA・ペンタエリストールホスファイトポリマー、水添テルペン、水添テルペンフェノールなどを挙げることができる。
特に非芳香族エポキシ樹脂への溶解性が高いポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセトアセタールおよびポリビニル酢酸ビニルはエポキシ樹脂組成物の粘度調整が容易である点で好ましい。ポリビニルアセトアセタールおよびポリビニルブチラールは硬化後のエポキシ樹脂組成物の伸度の向上効果が得られることからより好ましい。ここで、伸度とは硬化後のエポキシ樹脂組成物を所定の形状で3点曲げした際の曲げ歪(%)を指す。
これらの非芳香族熱可塑性樹脂は、(I)の非芳香族エポキシ樹脂に溶解可能なものが好ましい。例えば(I)のエポキシ樹脂100質量部に対して少なくとも10質量部の熱可塑性樹脂の粉体を添加し、100〜120℃、1時間で混錬した結果、開始時より該熱可塑性樹脂の粉体の減量が見られるものが溶解可能であるという。減量が見られるとは光学的に観測不可能なまで小さくなることや、残存する粉体を回収した時、開始時よりも10%以上の質量の減少が見られるケースをいう。エポキシ樹脂に溶解させる観点からは、熱可塑性樹脂の粉体は、すくなくともレーザー回折法によって得られる平均粒径が100μm以下となることが好ましい。また平均粒径が100nmよりも大きいと保管時の凝集抑制やエポキシ樹脂への撹拌が容易であるなど好ましい。
また、これらの非芳香族の熱可塑性樹脂の分子量は5000〜70000g/mol、好ましくは7000〜65000g/mol、より好ましくは10000〜60000g/molであるとエポキシ樹脂組成物への溶解の均一性と樹脂フロー抑制効果の良好なバランスを得ることができる。ここでの分子量とはHLC−8420GPC(東ソー(株)製)を用いたゲル浸透クロマグラフィーによるポリスチレン換算の重量平均分子量を意味する。
上記非芳香族の熱可塑性樹脂は市販品を用いることができる例えば、“J−POVAL(登録商標)”(日本酢ビ・ポバール(株)製)、“ビニレック(登録商標)”(JNC(株)製)、“エスレック(登録商標)”(積水化学工業(株)製)、“ウルトラセン(登録商標)”(東ソー(株)製)JPH−3800(城北化学工業(株)製)、YSポリスターUH130(ヤスハラケミカル(株)製)などが挙げられる。
上記非芳香族熱可塑性樹脂をエポキシ樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂100質量部に対して20〜75質量部、好ましくは30〜65質量部、より好ましくは30〜55質量部含むことで良好なタック特性を有するシート状中間基材を得ることができる。
(IV)はカチオン硬化剤またはアニオン硬化剤である。カチオン硬化剤の例として、1−ナフチルメチルメチルp−ヒドロキシフェニルスルホニウム=ヘキサフルオロアンチモナート、2−メチルベンジルメチルp−ヒドロキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモナート、ベンジルメチルp−ヒドロキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモナート、ジメチル−p−アセトキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモナート、ジアリールヨードニウム塩、酸フッ化ホウ素ピペリジン、酸フッ化ホウ素モノエチルアミン、ジアリールヨードニウム塩、スルホニウム塩などを挙げることができる。
上記カチオン硬化剤は市販品を用いることができる。例えば、“アデカオプトン(登録商標)”CP−77、“アデカオプトン(登録商標)”CP−66((株)ADEKA製)、CI−2639、CI−2624(日本曹達)、“サンエイド(登録商標)”SI−60、“サンエイド(登録商標)”SI−80、“サンエイド(登録商標)”SI−100、“サンエイド(登録商標)”SI−150、“サンエイド(登録商標)”SI−B4、“サンエイド(登録商標)”SI−B5(三新化学工業(株)製)、TA−100、IK−1PC(80)(サンアプロ(株)製)、三フッ化ホウ素ピペリジン、三フッ化ホウ素モノエチルアミン(ステラケミファ(株)製)などが挙げられる。カチオン硬化剤は、光熱カチオン硬化剤もしくは熱カチオン硬化剤であることが好ましい。光熱カチオン硬化剤とは、紫外線や可視光などの一定の波長以下の光もしくはある一定温度以上の熱を与えることで反応性が生じるものを言い、熱カチオン硬化剤は熱により反応性が生じるものを指す。光熱カチオン硬化剤を用いると多種多様な環境で硬化させることができるために好ましく、熱カチオン硬化剤の場合は温度管理により高い保管安定性が得られるため好ましい。
アニオン硬化剤の例として、六フッ化リン、六フッ化アンチモン、六フッ化ヒ素、六塩化スズ、四塩化鉄、五塩化ビスマス、六塩化ニオブ、などを挙げることができる。
上記硬化剤を2種類用いることで、エポキシ樹脂組成物の反応性を制御でき、エポキシ樹脂組成物の速硬化性とポットライフの良好なバランスを得ることができる。
上記硬化剤はエポキシ樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂100質量部に対して0.5〜10質量部、好ましくは1〜5質量部、より好ましくは1〜3質量部含むことで速硬化性があり成形中の樹脂フロー、揮発量、速硬化性、ポットライフと耐UV性の良好なバランスを得ることができる。
また、本発明における構成要素[B]は(V)チキソトロピー性付与剤を含むことができ、チキソトロピー性付与剤の例としては、二酸化ケイ素、マグネシウム シリコン ナトリウム フルオライド ハイドロオキサイド オキサイド、アルキル4級アンモニウム塩、合成ヘクトライト、粘度鉱物、変性ベントナイト、鉱物および有機変性ベントナイトの混合系などを挙げることができる。
上記チキソトロピー性付与剤は市販品を用いることができ例としては、ヒュームドシリカ(“アエロジル(登録商標)”(日本アエロジル(株)製))、“OPTIGEL(登録商標)”、“OPTIBENT(登録商標)”、“GARAMITE(登録商標)”、“LAPONITE(登録商標)”、“TIXOGEL(登録商標)”、“CRAYTONE(登録商標)”、“CLOISITE(登録商標)”(BYK(株)製)、“ソマシフ(登録商標)”ME−100、ミクロマイカMK(片倉コープアグリ(株)製)などが挙げられる。
上記チキソトロピー性付与剤をエポキシ樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部、より好ましくは0.5〜5質量部含むことで成形中の樹脂フロー抑制効果とタック特性の良好なバランスを得ることができる。
さらに、本発明における構成要素[B]は(VI)硬化助剤を含むことができる。硬化助剤の例としては、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム=メチルスルフェート、4−(メチルチオ)フェノールなどを挙げることができる。
上記硬化助剤は市販品を用いることができ例としては、“サンエイド(登録商標)”SI−S、“サンエイド(登録商標)”S−ME(三新化学工業(株)製)などが挙げられる。
上記硬化助剤をエポキシ樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部より好ましくは0.1〜2.5質量部含むことで、エポキシ樹脂組成物の速硬化性とポットライフの良好なバランスを得ることができる。
本発明における構成要素[B](VII)としてゴムを含むことができる。ゴムの例としては天然ゴム、ジエン系ゴム、非ジエン系ゴムなどを挙げることができる。ジエン系ゴムの例としてはスチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴムなどが挙げられる。非ジエン系ゴムの例としてはブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどが挙げられる。本発明におけるエポキシ樹脂組成物中の含有物としては非ジエン系ゴムが好ましく、なかでも二重結合をポリマー主鎖にもたない、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムは耐光性が高く、本発明におけるエポキシ樹脂組成物に対する耐光性への影響が少ないことから特に好ましい。また、ゴムの形状としては特にパウダー状であればエポキシ樹脂組成物中での分散性に優れるため好ましい。
全エポキシ樹脂100質量部に対して上記ゴムの含有量は5〜50質量部が好ましい。ゴムの含有量が全エポキシ樹脂100質量部に対して5質量部以上であることで、樹脂フロー抑制効果ならびに硬化後のエポキシ樹脂組成物の伸度が優れるため塗装後のひび割れ防止効果を得られ、50質量部以下であることで対象と本発明におけるシート状中間基材との密着性に優れるため好ましい。
上記ゴムは市販品を用いることができ、例としては、KMP−598、KMP−600、KMP−601、KMP−602、KMP−605(信越化学工業製)、“セビアン(登録商標)”(ダイセルミライズ(株)製)、JSR N215SL、JSR N222SH、JSR N238H、JSR N241H、JSR N250S、PN30A、PN20HA、N280(JSR(株)製)などが挙げられる。
本発明のシート状中間基材は、一般的に繊維強化複合材料に使用される未硬化のプリプレグやRTM材、レジンフィルムインフュージョン(RFI)材(本発明において「繊維強化複合材料前駆体」とも言う)の最表面に貼り付け、貼り付けた状態で共に熱により硬化することができる。ここで、プリプレグは強化繊維にエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸してなる繊維強化複合材料前駆体であり、RTM材は強化繊維基材を型に積層し、そこに液状の熱硬化性樹脂を注入し強化繊維基材に含浸させてなる繊維強化複合材料前駆体であり、RFI材は熱硬化性樹脂フィルムを強化繊維基材上に重ね、積層したものを加熱と加圧により熱硬化性樹脂を強化繊維基材に含浸させてなる繊維強化複合材料前駆体を指す。硬化によりシート状中間基材の硬化物が硬化後の繊維強化複合材料前駆体の表面を覆い、一体化した繊維強化複合材料を得ることができる。
繊維強化複合材料前駆体における強化繊維としては、各種炭素繊維、黒鉛繊維、ガラス繊維やアラミド繊維などが好ましく用いられる。
本発明のシート状中間基材は支持体となる金属フォイルまたは金属メッシュに熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂組成物を含浸または塗布させることで成り立つが、エポキシ樹脂組成物は金属フォイルまたは金属メッシュの片面のみに含浸または塗布してもよいし、両面に含浸または塗布してもよい。エポキシ樹脂組成物が片面のみに存在することで、シート状中間基材を貼り付け時に手に取られにくく取り扱いやすい。一方、エポキシ樹脂組成物が両面に存在することで両面にタックを有するため、母材となる繊維強化複合材料前駆体だけでなくツール面にも貼り付きやすいという利点がある。また、金属フォイルの穴/切込みあるいはメッシュの目の中にエポキシ樹脂組成物が存在してもよい。
本発明のシート状中間基材は、様々な方法で製造することができる。例えば、エポキシ樹脂組成物をアセトン、メチルエチルケトンおよびメタノールなどから選ばれる有機溶媒に溶解させて低粘度化し、金属フォイルまたは金属メッシュに含浸させるウェット法、あるいは、エポキシ樹脂組成物を、有機溶媒を用いずに加熱により低粘度化し、金属フォイルまたは金属メッシュに含浸させるホットメルト法などの方法により、シート状中間基材を製造することができる。
ウェット法では、金属フォイルまたは金属メッシュを、エポキシ樹脂組成物を含む液体に浸漬した後に引き上げ、オーブンなどを用いて有機溶媒を蒸発させてシート状中間基材を得ることができる。
ホットメルト法は、加熱により低粘度化したエポキシ樹脂組成物を、直接、金属フォイルまたは金属メッシュに含浸させる方法、あるいは一旦エポキシ樹脂組成物を離型紙などの上にコーティングした樹脂フィルム付きの離型紙シート(以降、「樹脂フィルム」と表すこともある)をまず作製し、次いで金属フォイルまたは金属メッシュの両側あるいは片側から樹脂フィルムを金属フォイルまたは金属メッシュに重ね、加熱加圧することにより金属フォイルまたはメッシュにエポキシ樹脂組成物を含浸させる方法などを用いることができる。
本発明のシート状中間基材の製造方法としては、シート状中間基材中の残留有機溶媒のない、エポキシ樹脂組成物を金属フォイルまたは金属メッシュに含浸させるホットメルト法を用いるのが好ましい。本発明のシート状中間基材の幅は特に限定されず、1m超の幅広シートを手作業で貼り付けてもよいし、1inch以下幅のテープとして自動積層装置を用いて貼り付けてもよい。
予備硬化した樹脂フィルムを用いてシート状中間基材を作製することが可能である。予備硬化は加熱または光照射などで行うことができる。加熱はオーブン、IRヒーター、樹脂フィルムの離型紙面を熱版に接触させる等で行ってもよい。予備硬化時のオーブンや炉、IRヒーター、熱版の温度は40〜200℃が好ましい。温度が40℃以上であると予備硬化時間を短縮でき、200℃以下であると樹脂フィルムを均一に予備硬化できる。樹脂フィルムに光を照射して予備硬化を行う場合の光の波長は特に限定はないが、一般的な光硬化剤が紫外線を吸収する100〜400nmの紫外光がより好ましい。硬化温度や紫外線/可視光の照度に依存するが、0.005〜24時間かけて予備硬化させることがフィルムの均一性の観点から好ましい。光や熱による硬化は樹脂フィルム表面の流動性がなくなるほど硬化させてもよく、硬化度を任意に調整してある程度の流動性を残してもよい。
樹脂フィルムを別途支持体に含浸した後に該支持体付きの樹脂フィルムを金属フォイルまたはメッシュに含浸してシート状中間基材を作製しても良い。
本発明のシート状中間基材は、単位面積あたりの金属フォイルまたは金属メッシュが5〜300g/mであることが好ましい。かかる金属フォイルまたは金属メッシュ量が5g/m以上であると、エポキシ樹脂組成物の支持体として破れにくく、取り扱い性が容易となるため作業が簡便となりやすい。一方で、金属フォイルまたは金属メッシュ量が300g/m以下であると、シート状中間基材のドレープ性が向上しやすくなる。
本発明のシート状中間基材の金属フォイルまたは金属メッシュの含有率は、好ましくは1〜80質量%であり、より好ましくは3〜60質量%であり、より好ましくは5〜30質量%である。金属フォイルまたは金属メッシュの含有率が1質量%以上であると、樹脂の量が多くなりすぎず、比強度と比弾性率に優れるシート状中間基材の取り扱い利点が得られやすくなり、また、繊維強化複合材料とともに成形する際、樹脂硬化時の発熱と金属による放熱のバランスが好ましい。また、金属フォイルまたは金属メッシュの含有率が80質量%以下であると、樹脂の含浸不良が生じにくく、成形後のシート状中間基材のボイド発生の可能性が低減する。
構成要素[B]の目付は30〜300g/mであることが好ましい。構成要素[B]の目付が30g/m以上であるとピンホールがなくエポキシ樹脂組成物で均一に支持体を覆うことが可能であり、破れにくい。一方で、構成要素[B]の目付が300g/m以下であると、シート状中間基材のドレープ性が向上しやすくなる。
本発明のシート状中間基材の成形方法としては、繊維強化複合材料前駆体の最表面に貼り付け共に硬化させるのがよい。上述した本発明のシート状中間基材を所定の形態で繊維強化複合材料前駆体の最表面に貼り付け、加圧・加熱して樹脂を硬化させ、繊維強化複合材料を製造することができる。ここで熱及び圧力を付与する方法としては、例えば、プレス成形法、オートクレーブ成形法、バッギング成形法、ラッピングテープ法、内圧成形法等が採用される。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。ただし、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。また、各種特性の測定は、特に注釈のない限り温度23℃、相対湿度50%の環境下で行った。
<実施例および比較例で用いた材料>
(1)構成要素[A]:金属フォイルまたは金属メッシュ
・純銅(C1020、竹内金属箔粉工業(株)製)。
(2)芳香族エポキシ樹脂
・ビスフェノールA型エポキシ樹脂(“jER(登録商標)”828、三菱ケミカル(株)製)エポキシ当量:175(g/eq.)。
(3)構成要素[B](I)非芳香族エポキシ樹脂
・(3’,4’−エポキシシクロヘキサン)メチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(“セロキサイド(登録商標)”2021P(株)ダイセル製)エポキシ当量:136(g/eq.)
・2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物(“EHPE3150”(株)ダイセル製)
・エポキシ化ブタンテトラカルボン酸テトラキス−(3−シクロヘキセニルメチル)修飾イプシロン−カプロラクトン(“エポリード(登録商標)”GT401(株)ダイセル製)
・2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジグリシジルエーテル(YX8000、三菱ケミカル(株)製)。
(4)構成要素[B](II)顔料
・酸化チタン(ルチル型)(“Ti−Pure(登録商標)”R−960ケマーズ(株)製、平均粒径0.5μm)。
(5)構成要素[B](III)非芳香族熱可塑性樹脂
・ポリビニルホルマール(“ビニレック(登録商標)”K、JNC(株)製、計算分子量40000〜54000g/mol)
・ポリビニルアセトアセタール(“エスレック(登録商標)”KS−10、積水化学工業(株)製、計算分子量17000g/mol)
・ポリビニルブチラール(“エスレック(登録商標)”BX−L、積水化学工業(株)製、計算分子量18000g/mol)。
(6)構成要素[B](IV)カチオン硬化剤
・ジメチル−p−アセトキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモナート“サンエイド(登録商標)”SI−150三新化学工業(株)製)
・ベンジルメチルp−ヒドロキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモナート“サンエイド(登録商標)”SI−100三新化学工業(株)製)。
(7)構成要素[B](V)チキソトロピー性付与剤
・ヒュームドシリカ(“AEROSIL(登録商標)”RY200S日本アエロジル(株)製)
・アルキルアンモニウムクレイ(“GARAMITE(登録商標)”1958BYK(株)製)。
(8)構成要素[B](VI)硬化助剤
・4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム=メチルスルフェート(“サンエイド(登録商標)”SI−S三新化学工業(株)製)
・4−(メチルチオ)フェノール(“サンエイド(登録商標)”S−ME三新化学工業(株)製)。
(9)酸無水物
・4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸とヘキサヒドロ無水フタル酸の混合物(“リカシッド(登録商標)”MH−700新日本理化学(株)製)酸無水物当量:163(g/eq.)。
(10)構成要素[B](VII)ゴム
・シリコーンゴムパウダー(KPM−601、信越化学工業(株)製)。
<エポキシ樹脂組成物およびシート状中間基材の作製方法および評価方法>
以下の方法にて各実施例および比較例のエポキシ樹脂組成物を測定した。
(1)エポキシ樹脂組成物の作製
表1〜6に記載の構成要素[B](I)に該当するエポキシ樹脂(実施例30及び比較例1、8は芳香族エポキシ)、および構成要素[B](II)に該当する顔料および必要であれば構成要素[B](V)チキソトロピー性付与剤、構成要素[B](VII)ゴムを三本ロールミルに投入し、任意のロール回転速度で混合し、粉体混合前駆体を得た。前記粉体混合前駆体と表1〜6に記載の構成要素[B](III)に該当する熱可塑性樹脂を混合器へ投入し、加熱混合を行い、熱可塑性樹脂を溶解させた。次いで、混練を続けたまま60℃以下の温度まで降温させ、表1〜6に記載の構成要素[B](IV)カチオン硬化剤(比較例9は酸無水物)と必要であれば構成要素[B](VI)硬化助剤を加えて攪拌し、エポキシ樹脂組成物を得た。
(2)シート状中間基材の作製方法
上記(1)で調製したエポキシ樹脂組成物を離型紙上にコーティングし、所定の樹脂目付の樹脂フィルムを作製した。この樹脂フィルムをシート状中間基材作製機にセットし、金属フォイルを樹脂フィルムの上に重ね、加熱加圧してエポキシ組成物を金属フォイルに含浸させ(片面含浸)、金属フォイル目付89.4g/m、樹脂目付が100g/mのシート状中間基材を作製した。なお、金属フォイルは、黄銅(C2680R−EH、竹内金属箔粉工業(株)製)を用いた。
(3)シート状中間基材のタック性評価方法
上記(2)で作製したシート状中間基材を、10cm角に切り出し、15cm角の繊維強化複合材料に用いられるプリプレグ(T800S/3900−2B(東レ(株)製))を下側、10cm角のシート状中間基材を上側にして重ねた。重ねたシート状中間基材の上側に、粘着性テープを貼り付けた10cm角のステンレス製プレート(400g)を載せ、30秒間保持した。その後、ステンレス製プレートを持ち上げた際に、シート状中間基材がプリプレグから剥がれて二枚に分かれる際、プリプレグの上にシート状中間基材に使用したエポキシ樹脂組成物が残留する場合はタック性を「不良」、シート状中間基材に使用したエポキシ樹脂組成物が残留しない場合をタック性は「良好」と判定した。
(4)シート状中間基材の貼り付き性
上記(2)で作製したシート状中間基材を10cm角に切り出し、任意の大きさ(10cm角よりも大きい)アルミ板に貼り付け、その上からダイフリーGA−3000(ダイキン工業製)をスプレーすることで離型処理した10cm角のステンレス製プレート(400g)を載せ、30秒間保持した。その後、ステンレス製プレートを持ち上げ、アルミ板にシート状中間基材が貼り付いた状態で地面を軸に90°になるようにアルミ板を立てかけ、24時間後アルミ板にシート状中間基材が貼り付いている場合は貼り付き性「良好」とし、一部でも剥がれていた場合を「不良」とした。
(5)シート状中間基材の発熱ピーク温度の測定方法
示差走査熱量計(DSC Q2500:TAインスツルメント社製)を用いて、窒素雰囲気中で5℃/分の昇温速度にて、シート状中間基材の発熱曲線を得た。得られた発熱曲線中で、発熱量が100mW/g以上である発熱ピークの頂点の温度を、発熱ピーク温度として算出した。発熱量が100mW/g以上である発熱ピークが2つ以上ある場合は、低温側のピークの頂点の温度を、本発明におけるDSCの発熱ピーク温度として算出した。速硬化性の評価に関し、表1〜4において、発熱ピーク温度が100℃以下をA、100℃超、120℃以下をB、120℃超、140℃以下をC、140℃超をDで表記した。
(6)シート状中間基材の揮発量測定
上記(2)で作製したシート状中間基材を、8cm角に切り出し、8cm角のシート状中間基材の質量を測定し(質量:W1)、離型紙の上に置いた状態で180℃のオーブンへ1時間入れた。その後、オーブンからシート状中間基材と離型紙を取り出し、デシケータ中に30分放置した後にシート状中間基材の質量を測定し(質量:W2)、シート状中間基材に用いた金属フォイルまたはメッシュの8cm角1枚分の質量(W3)を用い、以下の算出式により本発明における揮発量[%]として算出した。
{(W1−W3)−(W2−W3)}/(W1−W3)×100[%]
算出した揮発量が5%以下の場合を「良好」とし、5%を超える場合を「不良」とした。
(7)シート状中間基材の樹脂フロー量測定
上記(2)で作製したシート状中間基材を10cm角に切り出し、10cm角のシート状中間基材を4枚積層し、その積層体の質量を測定(W4)した。2枚の15cm角に切り出した離型フィルムではさみ、さらに2枚の10cm角の金属板(一枚400g)ではさみ、その状態でオートクレーブにて成形(6気圧下180℃2時間、昇温1.7℃/分)した。成形後、10cm角の金属板からはみ出した部分のシート状中間基材の硬化物を取り除き、硬化した10cm角のシート状中間基材の積層体の質量を測定した(質量:W5)。シート状中間基材に用いた金属フォイルまたはメッシュの10cm角4枚分の質量(W6)を用い以下の算出式により本発明における樹脂フロー量[%]として算出した。
{(W4−W6)−(W5−W6)}/(W4−W6)×100[%]
樹脂フロー量が5%以下をA、5%超え、10%以下をB、10%超え、15%以下をC、15%超えをDと表記した。
(8)シート状中間基材のUV照射試験
上記(2)で作製したシート状中間基材を5cm角に切り出し、5cm角に切り出したシート状中間基材をオーブンにて180℃2時間、昇温1.7℃/分の条件で硬化し、その硬化したシート状中間基材の表面にメタリングウェザーメータ(M6T スガ試験機(株)製)を用いて照射波長300〜400nmUV光を積算照度1.55kW/m、積算強度1000kJ/m(1ヶ月間の日本(夏場)の紫外線量概算値)となるように照射した。照射前後で硬化したシート状中間基材の色が見た目で変化なかった場合、耐UV性を「良好」とし、変色した場合、耐UV性を「不良」とした。
(9)成形過程中でシート状中間基材に混入するプリプレグの樹脂量
上記(2)で作製したシート状中間基材を5cm角に切り出し、5cm角に切り出したシート状中間基材を連続繊維のプリプレグを疑似等方になるように8枚積層(積層構成:[+45°/0°/−45°/90°])したものの最表面に一枚貼り付け、その状態でオートクレーブにて6気圧、180℃2時間、昇温1.7℃/分の条件で成形した複合材料のシート状中間基材側をATR法によるIR測定(FT/IR−4000 日本分光(株)製、プリズム:ダイヤモンド、測定波長:400〜4000cm−1、積算回数:16回)を行い、エステルを示す1715cm−1のピークを規格化し、プリプレグに使用されている樹脂硬化物起因のベンゼン環を示す1592cm−1のピークの値を評価することで、プリプレグに使用されている樹脂が成形過程中でシート状中間基材と混合し、繊維強化複合材料の表面へ露出した量を評価することが可能となる。プリプレグに使用されている樹脂硬化物起因のベンゼン環を示す1592cm−1のピークの値が0.6以下であれば、繊維強化複合材料の表面の耐UV性は良好と判定した。また、実施例31〜41、比較例10〜11においては上記と同様にATR法によるIR測定を実施し、エステルを示す1715cm−1のピークを用いた規格化は行わず、繊維強化複合材料前駆体に使用されている樹脂硬化物起因のベンゼン環を示す1592cm−1のピークの値を評価した。この場合、繊維強化複合材料前駆体に使用されている樹脂硬化物起因のベンゼン環を示す1592cm−1のピークの値が1.0以下であれば、繊維強化複合材料の表面の耐UV性は良好と判定した。
(10)ポットライフの測定
シート状中間基材に用いたエポキシ樹脂組成物の粘度を、動的粘弾性装置ARES−2KFRTN1−FCO−STD(ティー・エイ・インスツルメント製)を用い、上下部測定冶具に直径40mmの平板のパラレルプレートを用い、上部と下部の冶具間距離が1mmとなるように該エポキシ樹脂組成物をセット後、ねじりモード(測定周波数:0.5Hz)で測定した。65℃で2分間保持した時の粘度η 、65℃で2時間保持し、任意の時間の粘度η を測定し、そのときの増粘倍率をη ÷η より求めた。求めた増粘倍率が3となるまでの時間をポットライフとした。
(11)硬化後のエポキシ樹脂組成物の曲げ試験
未硬化のエポキシ樹脂組成物を真空中で脱泡した後、2mm厚の“テフロン(登録商標)”製のスペーサーを用い、厚み2mmになるよう設定したモールド中で、180℃の温度で2時間硬化させた。得られた厚み2mmのエポキシ樹脂硬化物を幅10±0.1mm、長さ60±1mmにカットし、試験片を得た。インストロン万能試験機(インストロン製)を用いJIS−K7171(1994)に従い、スパン間32mmの三点曲げを実施し、弾性率と曲げ歪(伸度)を測定した。測定数はN=6とし、その平均値を求めた。
<実施例1〜29および比較例1>
実施例1〜29では、構成要素[B](I)として、(3’,4’−エポキシシクロヘキサン)メチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートのみまたは、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物やエポキシ化ブタンテトラカルボン酸テトラキス−(3−シクロヘキセニルメチル)修飾イプシロン−カプロラクトンとの非芳香族エポキシ樹脂の組み合わせによるエポキシ樹脂組成物を用い、耐UV性試験により硬化したシート状中間基材の耐UV性試験により変色はなく、良好な結果が得られた一方、芳香族エポキシ樹脂を含む比較例1は変色が見られ、耐UV性が低いことが示された。
<実施例1〜2>
実施例1、2では構成要素[B](IV)の種類を変え、比較した結果、ベンジルメチルp−ヒドロキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモナートをカチオン硬化剤として使用した場合、ヨードニウム塩をカチオン硬化剤として使用した場合よりも速硬化性が高く、揮発性、樹脂フロー、成形過程中でのシート状中間基材に混入するプリプレグの樹脂量を全て抑制する傾向にあることが示された一方で、ポットライフが低下することが示された。
また、実施例1〜2は非芳香族エポキシ樹脂のみを用いており、高い耐UV性が得られている一方で、比較例1のように芳香族エポキシのみをエポキシ樹脂として使用した場合、耐UV性が不良となることが示された。
<実施例2〜3、6、21、26〜27、比較例4、5>
実施例2〜3では構成要素[B](III)の種類を変え、比較した結果、ポリビニルホルマール対比ポリビニルアセトアセタールを使用した場合の方が、樹脂フロー量の抑制効果が高いことが示された。また、実施例2、21及び実施例3、6はそれぞれポリビニルホルマールとポリビニルアセトアセタールの添加量を変更しており、両者ともに増量するほど樹脂フロー量の抑制効果が向上することが示された。
また実施例26〜27では構成要素[B](III)非芳香族熱可塑性樹脂のポリビニルホルマールの量をそれぞれ20質量部および75質量部とした場合、両者のシート状中間基材はともにタック特性、貼り付き性が良好であることが示された。
一方、比較例4に示すように構成要素[B](III)の添加量が非芳香族エポキシ樹脂対比10質量部と過少な場合、シート状中間基材をプリプレグから剥がした後にプリプレグの上に樹脂が残存したことからタック特性が不良と判定された。また、比較例5に示すように構成要素[B](III)の添加量が非芳香族エポキシ樹脂対比80質量部と過剰な場合、貼り付き性が不足し、貼り付き性が不良と判定された。
<実施例3〜5、30、比較例8>
実施例3では構成要素[B](I)に(3’,4’−エポキシシクロヘキサン)メチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート100質量部用いた一方で、70質量部の(3’,4’−エポキシシクロヘキサン)メチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートに対して実施例4では2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物を30質量部、実施例5ではエポキシ化ブタンテトラカルボン酸テトラキス−(3−シクロヘキセニルメチル)修飾イプシロン−カプロラクトンをそれぞれ30質量部添加した。その結果、実施例3〜5におけるシート状中間基材のタック特性や貼り付き性は良好であり、なおかつ耐UV性も良好であった。従って、非芳香族エポキシであればある化合物単独で用いた場合も複数用いた場合の両者ともに物性が良好なシート状中間基材を取得可能であるということが示された。
また、実施例30では非芳香族エポキシ樹脂90質量部と芳香族エポキシ樹脂10質量部を併用し、耐UV性評価を実施した結果、良好と判定された。従って、エポキシ樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂のうち芳香族エポキシ樹脂を10質量部含むエポキシ樹脂組成物の場合耐UV性は良好となることが示された。
一方で、比較例8では非芳香族エポキシ樹脂80質量部と芳香族エポキシ樹脂20質量部を併用し、耐UV性を評価した結果、不良と判定された。従って、エポキシ樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂のうち芳香族エポキシ樹脂を20質量部含むエポキシ樹脂組成物の場合耐UV性は不良となることが示された。
<実施例1、2、7〜10、比較例6、7>
実施例7では構成要素[B](IV)のカチオン硬化剤であるヨードニウム塩を実施例1対比増量した。実施例7のエポキシ樹脂組成物の速硬化性は実施例1対比増加した一方で、ポットライフは低下したが、揮発量と樹脂フロー量の抑制効果が高いことが示された。
また同様に実施例8では構成要素[B](IV)のカチオン硬化剤であるベンジルメチルp−ヒドロキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモナートを実施例2対比増量した。実施例8のエポキシ樹脂組成物の速硬化性は実施例2対比増加し、一方でポットライフは低下したが、揮発量と樹脂フロー量の抑制効果が高いことが示された。
実施例9〜10では構成要素[B](IV)のカチオン硬化剤であるジメチル−p−アセトキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモナートとベンジルメチルp−ヒドロキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモナートの2種類を硬化剤として併用した。実施例9は実施例8対比速硬化性が低下した一方で、ポットライフの増加が見られた。実施例10ではメチル−p−アセトキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモナートを実施例9から増量している。実施例10は実施例9対比速硬化性が向上し、ポットライフが低下した。従って、構成要素[B](IV)のカチオン硬化剤の添加割合、2種添加した場合は混合比によりエポキシ樹脂組成物の速硬化性とポットライフのバランスを制御可能であることが示された。
比較例6では構成要素[B](IV)のカチオン硬化剤であるジメチル−p−アセトキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモナートを0.05部添加した。比較例6は速硬化性が低く、揮発量ならびに成形過程中でのシート状中間基材に混入するプリプレグの樹脂量が不良と判定された。
一方で、比較例7ではベンジルメチルp−ヒドロキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモナートを15質量部添加した。速硬化性は高いが、ポットライフが顕著に低下した。また、成形過程中でのシート状中間基材に混入するプリプレグの樹脂量の評価が不良と判定されたが、また、比較例7では1000kJ/mのUV照射後の硬化後シート状中間基材の変色が見られたことからシート状中間基材の耐UV性は低いことが示された。
<実施例11〜12、実施例28〜29、比較例2、3>
実施例11〜12では、構成要素[B](II)の酸化チタンの量を変え、比較をした結果、酸化チタンの量が多い実施例12の方が実施例11と比較して、速硬化性が低下し、ポットライフが向上し、酸化チタンの量でエポキシ樹脂組成物の反応性を制御可能であることが示された。また、酸化チタンの量が多い実施例12の方が実施例11より成形過程中でのシート状中間基材に混入するプリプレグの樹脂量を抑制する効果が高いことが示された。
実施例28〜29では構成要素[B](II)の酸化チタンの量をそれぞれ15質量部および75質量部とした。実施例29は実施例28対比速硬化性が低下し、揮発量の抑制向上効果が高いことが示された。また、両者の耐UV性ならびに成形過程中でのシート状中間基材に混入するプリプレグの樹脂量は良好との判定を得られた。
比較例2のように構成要素[B](II)の酸化チタンを10質量部添加した場合、成形過程中でのシート状中間基材に混入するプリプレグの樹脂量が増加し、不良と判定された。
また、比較例3のように構成要素[B](II)の酸化チタンを100質量部添加した場合速硬化性が乏しく、180℃1時間後の揮発量が不良と判定された。
<実施例8、13〜15>
実施例13〜15では構成要素[B](VI)の硬化助剤を適用した。実施例13では構成要素[B](VI)として硬化助剤4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム=メチルスルフェートを0.2部適用した結果、実施例8対比ポットライフの向上が見られた。また、実施例15では4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム=メチルスルフェートを1.0部と増量した結果、実施例13対比さらにポットライフの向上が見られた。また、同様に実施例14では構成要素[B](VI)の硬化助剤の種類を4−(メチルチオ)フェノールに変更し、0.2部適用した結果、実施例8対比ポットライフの向上が見られた。また、実施例13〜15は揮発性、耐UV性、成形過程中でのシート状中間基材に混入するプリプレグの樹脂量の全てが良好との判定を得られた。
<実施例8、16〜18>
実施例16〜18は構成要素[B](V)チキソトロピー性付与剤を適用している。実施例16〜17ではヒュームドシリカとアルキルアンモニウムクレイを実施例8に対してそれぞれ4部適用しており、タック性、貼り付き性、速硬化性、耐UV性を損なうことなく、樹脂フロー量ならびに成形過程中でのシート状中間基材に混入するプリプレグの樹脂量を抑制する効果が示された。また、実施例18ではヒュームドシリカとアルキルアンモニウムクレイの両方を実施例8に対してそれぞれ4部ずつ適用しており、実施例17、実施例18対比さらに樹脂フロー量ならびに成形過程中でのシート状中間基材に混入するプリプレグの樹脂量を抑制する効果が高いことが示された。
<実施例8、19〜20>
実施例19〜20では、構成要素[B](V)チキソトロピー性付与剤ならびに(VI)硬化助剤の両方を適用しており、実施例8と対比、樹脂フロー量ならびに成形過程中でのシート状中間基材に混入するプリプレグの樹脂量の抑制効果があり、さらにポットライフが優れることが示された。
<実施例21〜25>
実施例21〜25では構成要素[B](I)〜(VI)を全て適用した。実施例21〜22では構成要素[B](II)酸化チタンの量ならびに非芳香族熱可塑樹脂(III)非芳香族熱可塑樹脂の量を変更し、さらには構成要素[B](VI)硬化助剤の種類を変更した。酸化チタンならびにポリビニルホルマールの含有量が多い実施例22では実施例21対比樹脂フロー量ならびに成形過程中でのシート状中間基材に混入するプリプレグの樹脂量の抑制効果が高いことが示された。実施例23〜25では構成要素[B](III)非芳香族熱可塑樹脂であるポリビニルホルマールの含有量ならびに構成要素[B](V)チキソトロピー性付与剤の種類と組み合わせを変更した結果、ポリビニルホルマールの含有量が多く、なおかつ2種類のチキソトロピー性付与剤をした場合、樹脂フロー量ならびに成形過程中でのシート状中間基材に混入するプリプレグの樹脂量の抑制効果が高いことが示された。
<比較例9>
比較例9では非芳香族のエポキシ樹脂硬化剤に酸無水物を適用した。しかし、酸無水物は粘度が低く、
なおかつ構成要素[B](IV)と比較して大量に含む必要があるため、エポキシ樹脂組成物の粘度は過小であり支持体の離型紙の上に該エポキシ樹脂組成物を塗布したが樹脂が離型紙から自重で流れ落ちたため、目的の樹脂フィルム作製は不可であった。
<実施例8、31〜41、比較例10〜11>
実施例31〜33では構成要素[B](I)の非芳香族エポキシ樹脂として2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジグリシジルエーテルを用い、構成要素[B](III)の非芳香族熱可塑性樹脂にポリビニルホルマール、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルブチラールをそれぞれ1種類ずつ用いた。実施例31、32、33の順にエポキシ樹脂組成物の硬化物における弾性率の低下、曲げ歪の向上が見られた。また、実施例31と実施例8を比較すると発熱ピーク温度が実施例31は低い一方で、高いポットライフを示した。従って、構成要素[B](I)の種類変更により反応性を制御でき、速硬化性とポットライフすなわち成形過程中での樹脂フロー量の抑制・シート状中間基材に混入するプリプレグの樹脂量の抑制効果と工程通過性とのバランスを調整可能であることが示された。
実施例34〜35では構成要素[B](VII)ゴムのシリコーンゴムパウダーを用いた。構成要素[B](VII)の含有量の増加によりエポキシ樹脂組成物の硬化弾性率の低下、曲げ歪の向上、樹脂フロー量の抑制効果が示された。一方で、比較例10のように構成要素[B](VII)が過剰な場合は貼り付き性が不良と判定された。比較例10のように構成要素[B](VII)が過少な場合、十分な樹脂フロー量抑制効果が見られず、成形過程中でのシート状中間基材に混入するプリプレグの樹脂量が過剰となり不良と判定された。
実施例36〜37では構成要素[B](I)の非芳香族エポキシ樹脂に(3’,4’−エポキシシクロヘキサン)メチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートと2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジグリシジルエーテルの2種を用いた。実施例31,36〜37を比較すると(3’,4’−エポキシシクロヘキサン)メチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートの含有量が多い程、発熱ピーク温度は低温になり、樹脂フロー量ならびに成形過程中でのシート状中間基材に混入するプリプレグの樹脂量が抑制されることが示された。構成要素[B](I)として(3’,4’−エポキシシクロヘキサン)メチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート1種類のみ用いた実施例8は速硬化性に優れ、構成要素[B](I)を2種類用いた実施例は速硬化性に優れ、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジグリシジルエーテル1種類のみ用いた実施例31ではポットライフに優れることが示されており、実施例36〜37のように上記を2種類用いた場合は優れた速硬化性と優れたポットライフを両立することが可能となる。従って、構成要素[B](I)の非芳香族エポキシ樹脂を2種類用いることでエポキシ樹脂組成物反応性を制御でき、速硬化性とポットライフすなわち成形過程中での樹脂フロー量の抑制・シート状中間基材に混入するプリプレグの樹脂量の抑制効果と工程通過性とのバランスを調整可能であることが示された。ここで、実施例8、31を比較すると構成要素[B](I)の非芳香族エポキシ樹脂に(3’,4’−エポキシシクロヘキサン)メチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートを用いた実施例8よりも2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジグリシジルエーテルを用いた実施例31の方がエポキシ樹脂硬化物の曲げ歪が高いことが示され、実施例36〜37を比較すると構成要素[B](I)の非芳香族エポキシ樹脂として用いる2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジグリシジルエーテルの割合が高い方がエポキシ樹脂硬化物の曲げ歪が高くなることが示された。
実施例38では構成要素[B](I)の非芳香族エポキシ樹脂に(3’,4’−エポキシシクロヘキサン)メチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、実施例39では(3’,4’−エポキシシクロヘキサン)メチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートと2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジグリシジルエーテルを用い、両者とも構成要素[B](VI)の硬化助剤に4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム=メチルスルフェートを用いた。実施例38は実施例31と実施例39は実施例37と比較すると、実施例38、39はそれぞれ発熱ピーク温度が向上し、構成要素[B](VI)の含有によりエポキシ樹脂組成物の反応性を制御可能であることが示された。
実施例40では構成要素[B](I)の非芳香族エポキシ樹脂に(3’,4’−エポキシシクロヘキサン)メチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、実施例41では(3’,4’−エポキシシクロヘキサン)メチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートと2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジグリシジルエーテルを用い、両者とも構成要素[B](V)チキソトロピー性付与剤のヒュームドシリカ、構成要素[B](VI)硬化助剤の4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム=メチルスルフェート、構成要素[B](VII)ゴムのシリコーンゴムパウダーを用いた。実施例40は実施例31と、実施例41は実施例37と比較すると、実施例40、41はそれぞれ構成要素[B](VI)の含有によりさらにエポキシ樹脂組成物のポットライフを向上させる効果が示された。また、実施例40は実施例38、実施例41は実施例39と比較すると、実施例40、41は構成要素[B](VI)および構成要素[B](VII)の含有によりポットライフの向上効果を維持しつつ、樹脂フロー量が抑制されており、成形過程中でのシート状中間基材に混入するプリプレグの樹脂量も抑制が見られた。
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Claims (17)

  1. 下記構成要素[A]の表面に構成要素[B]が塗布されてなるシート状中間基材。
    [A]金属メッシュまたは金属フォイル
    [B]少なくとも(I)〜(IV)を含むエポキシ樹脂組成物であって、全エポキシ樹脂100質量部に対して(I)を90〜100質量部、(II)を15〜75質量部、(III)を20〜75質量部、(IV)を0.1〜10質量部含むエポキシ樹脂組成物。
    (I)非芳香族エポキシ樹脂
    (II)平均粒径0.1〜10μmの顔料
    (III)非芳香族熱可塑性樹脂
    (IV)カチオン硬化剤またはアニオン硬化剤
  2. (III)非芳香族熱可塑性樹脂がポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセトアセタールおよびポリ酢酸ビニルからなる群から選ばれる少なくとも一つである請求項1に記載のシート状中間基材。
  3. 非芳香族化合物が構成要素[B]のエポキシ樹脂組成物全体に対して90質量%以上含まれる請求項1または2に記載のシート状中間基材。
  4. (I)非芳香族エポキシ樹脂が脂環式エポキシ樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載のシート状中間基材。
  5. 構成要素[B]がさらに(V)チキソトロピー性付与剤を含む請求項1〜4のいずれかに記載のシート状中間基材。
  6. 構成要素[B]がさらに(VI)硬化助剤を含む請求項1〜5のいずれかに記載のシート状中間基材。
  7. 構成要素[B]がさらに(VII)ゴムを含む請求項1〜6のいずれかに記載のシート状中間基材。
  8. 構成要素[B]が(I)非芳香族エポキシを少なくとも2種類含む請求項1〜7のいずれかに記載のシート状中間基材。
  9. 構成要素[B]のエポキシ樹脂組成物について、DSCの発熱ピークの温度が80〜120℃である請求項1〜8のいずれかに記載のシート状中間基材。
  10. 樹脂フローの量が20%以下である請求項1〜9のいずれかに記載のシート状中間基材。
  11. 揮発量が10%以下である請求項1〜10のいずれかに記載のシート状中間基材。
  12. 構成要素[A]が銅メッシュまたは銅フォイルである請求項1〜11のいずれかに記載のシート状中間基材。
  13. 構成要素[A]がアルミニウムメッシュまたはアルミニウムフォイルである請求項1〜12のいずれかに記載のシート状中間基材。
  14. 二種類以上の(IV)カチオン重合硬化剤を含む請求項1〜13のいずれかに記載のシート状中間基材。
  15. 構成要素[A]の片側表面に構成要素[B]が含浸または塗布されてなる請求項1〜14のいずれかに記載のシート状中間基材。
  16. 構成要素[A]の両側表面に構成要素[B]が含浸または塗布されてなる請求項1〜14のいずれかに記載のシート状中間基材。
  17. 請求項1〜16のいずれかに記載のシート状中間基材の硬化物が繊維強化複合材料前駆体と一体化されてなる繊維強化複合材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023053869A1 (ja) * 2021-09-30 2023-04-06 東レ株式会社 エポキシ樹脂組成物およびプリプレグ

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