JP2023057551A - ポリイソシアネート組成物、ポリイソシアネート硬化物、樹脂組成物、及び樹脂硬化物 - Google Patents

ポリイソシアネート組成物、ポリイソシアネート硬化物、樹脂組成物、及び樹脂硬化物 Download PDF

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昌嗣 東
Masatsugu Higashi
麗 武井
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Abstract

【課題】水分散性が良好であり、且つ、ポリイソシアネート組成物単独を硬化してなるポリイソシアネート硬化物の、最大応力、伸び率、硬度、及び耐候性に優れるポリイソシアネート組成物を提供する。【解決手段】ポリイソシアネート組成物は、脂肪族又は脂環族ポリイソシアネートと、数平均分子量500以上であるポリオールと、から誘導された、ウレタン基を有するポリイソシアネートと、イソシアヌレート基を有するポリイソシアネートと、を含み、前記ポリオールの水酸基に対する前記脂肪族又は脂環族ポリイソシアネートのイソシアネート基のモル比NCO/OHが2以上30以下であり、且つ、前記ウレタン基を有するポリイソシアネート及び前記イソシアヌレート基を有するポリイソシアネートのイソシアネート基の少なくとも一部が親水性化合物で変性されており、前記ポリイソシアネート組成物の重量平均分子量が900以上である。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリイソシアネート組成物、ポリイソシアネート硬化物、樹脂組成物、及び樹脂硬化物に関する。
近年、環境や労働環境への配慮から、塗料や樹脂組成物、接着剤等の水系化や無溶剤化が求められている。また、そのような環境への配慮だけでなく、耐候性、外的な衝撃や力によって破壊され難い膜強度と伸び率、硬度、接着強度、配合や塗工及び施工しやすい適切な粘度等が求められている。
例えば、特許文献1には、ノニオン型水分散性ブロックポリイソシアネートを主成分とする水性ウレタンエマルジョンが開示されている。
特開昭62-151419号公報
しかしながら、特許文献1等に記載の従来の水性ウレタンエマルジョンは、水分散性を有するものの、該水性ウレタンエマルションを用いて得られる硬化膜の物性については十分な検討がなされておらず、得られる硬化膜の最大応力が低く、伸びが不十分である虞がある。
すなわち、水分散性、最大応力、伸び率、硬度、及び耐候性の全てに優れる硬化膜が得られるポリイソシアネート組成物はこれまでに存在しなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、水分散性が良好であり、且つ、ポリイソシアネート組成物単独を硬化してなるポリイソシアネート硬化物の、最大応力、伸び率、硬度、及び耐候性に優れるポリイソシアネート組成物、並びに、前記ポリイソシアネート組成物を用いたポリイソシアネート硬化物、樹脂組成物、及び樹脂硬化物を提供する。
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
(1) 脂肪族又は脂環族ポリイソシアネートと、数平均分子量500以上であるポリオールと、から誘導された、ウレタン基を有するポリイソシアネートと、
イソシアヌレート基を有するポリイソシアネートと、
を含む、ポリイソシアネート組成物であって、
前記ポリオールの水酸基に対する前記脂肪族又は脂環族ポリイソシアネートのイソシアネート基のモル比NCO/OHが2以上30以下であり、且つ、
前記ウレタン基を有するポリイソシアネート及び前記イソシアヌレート基を有するポリイソシアネートのイソシアネート基の少なくとも一部が親水性化合物で変性されており、
前記ポリイソシアネート組成物の重量平均分子量が900以上である、ポリイソシアネート組成物。
(2) 前記ポリイソシアネート組成物の25℃における粘度が300mPa・s以上20000mPa・s以下である、(1)に記載のポリイソシアネート組成物。
(3) 前記イソシアヌレート基を有するポリイソシアネートの重量平均分子量が900以下である、(1)又は(2)に記載のポリイソシアネート組成物。
(4) 前記親水性化合物が、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルである、(1)~(3)のいずれか一つに記載のポリイソシアネート組成物。
(5) 前記ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルのアルキレンオキサイドの繰り返し数が3以上である、(4)に記載のポリイソシアネート組成物。
(6) 前記ポリイソシアネート組成物のイソシアネート基含有率が19.7質量%以下である、(1)~(5)のいずれか一つに記載のポリイソシアネート組成物。
(7) 前記ポリイソシアネート組成物の平均イソシアネート官能基数が2.00以上6.00以下である、(1)~(6)のいずれか一つに記載のポリイソシアネート組成物。
(8) 前記ポリオールが、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、エポキシポリオール、ポリオレフィンポリオール、及びポリカーボネートポリオールからなる群より選ばれる1種以上のポリオールである、(1)~(7)のいずれか一つに記載のポリイソシアネート組成物。
(9) 前記ポリオールが、ポリエステルポリオール、及びポリエーテルポリオールからなる群より選ばれる1種以上のポリオールである、(1)~(8)のいずれか一つに記載のポリイソシアネート組成物。
(10) (1)~(9)のいずれか一つに記載のポリイソシアネート組成物をイオン交換水に10質量%濃度となるように添加し、1分間振盪撹拌してなる、ポリイソシアネート組成物の分散液であって、
水分散性を有する、ポリイソシアネート組成物の分散液。
(11) (1)~(9)のいずれか一つに記載のポリイソシアネート組成物を23℃、50%湿度環境下で168時間硬化させてなる、ポリイソシアネート硬化物。
(12) 前記ポリイソシアネート硬化物の厚みが5μm以上5000μm以下である、(11)に記載のポリイソシアネート硬化物。
(13) 厚み60μmの前記ポリイソシアネート硬化物を幅10mm、長さ100mmに切断してなる試験片をつかみ具距離が20mmになるように引張試験機にセットして、速度20mm/分で測定された引張試験における伸び率が50%以上である、(11)又は(12)に記載のポリイソシアネート硬化物。
(14) 厚み60μmの前記ポリイソシアネート硬化物を幅10mm、長さ100mmに切断してなる試験片をつかみ具距離が20mmになるように引張試験機にセットして、速度20mm/分で測定された引張試験における最大応力が15MPa以上である、(11)~(13)のいずれか一つに記載のポリイソシアネート硬化物。
(15) 厚み40μmの前記ポリイソシアネート硬化物のケーニッヒ硬度が140回以下である、(11)~(14)のいずれか一つに記載のポリイソシアネート硬化物。
(16) (1)~(9)のいずれか一つに記載のポリイソシアネート組成物と、ポリオールと、を含む、樹脂組成物。
(17) (16)に記載の樹脂組成物を硬化させてなる、樹脂硬化物。
上記態様のポリイソシアネート組成物によれば、水分散性が良好であり、且つ、ポリイソシアネート組成物単独を硬化してなるポリイソシアネート硬化物の、最大応力、伸び率、硬度、及び耐候性に優れるポリイソシアネート組成物を提供することができる。上記態様のポリイソシアネート硬化物は、前記ポリイソシアネート組成物を硬化してなり、最大応力、伸び率、硬度、及び耐候性に優れる。
なお、本明細書において、「ポリオール」とは、一分子中に2つ以上のヒドロキシ基(-OH)を有する化合物を意味する。
また、本明細書において、「ポリイソシアネート」とは、2つ以上のイソシアネート基(-NCO)を有する単量体化合物が複数結合した反応物を意味する。
また、本明細書において、特に断りがない限り、「(メタ)アクリル」は、メタクリルとアクリルとを包含し、「(メタ)アクリレート」はメタクリレートとアクリレートとを包含するものとする。
≪ポリイソシアネート組成物≫
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、
脂肪族又は脂環族ポリイソシアネートと、数平均分子量500以上であるポリオールと、から誘導された、ウレタン基を有するポリイソシアネートと、
イソシアヌレート基を有するポリイソシアネートと、
を含む。
すなわち、本実施形態のポリイソシアネート組成物は、ウレタン基を有するポリイソシアネートと、イソシアヌレート基を有するポリイソシアネートと、の混合物である。また、本実施形態のポリイソシアネート組成物は、分子構造内にウレタン基及びイソシアヌレート基に有するポリイソシアネートを更に含んでもよく、ウレタン基を有するポリイソシアネートと、イソシアヌレート基を有するポリイソシアネートと、分子構造内にウレタン基及びイソシアヌレート基に有するポリイソシアネートと、の混合物であってもよい。
ウレタン基を有するポリイソシアネートは、ポリオールを中心骨格として、ポリオールの水酸基に、2分子以上の脂肪族又は脂環族ポリイソシアネートがウレタン基を介して結合した構造を有するポリイソシアネートである。このような構造のポリイソシアネートでは、ポリオール由来の骨格を有することで、ポリイソシアネート硬化物の伸びを発現することができる。
また、本実施形態のポリイソシアネート組成物は、イソシアヌレート基を有するポリイソシアネートを含むことで、ポリイソシアネート硬化物の耐候性及び適度な硬度を発現することができる。
また、ウレタン基を有するポリイソシアネート及びイソシアヌレート基を有するポリイソシアネートのイソシアネート基の少なくとも一部が親水性化合物で変性されている。これにより、ポリイソシアネート組成物の水分散性を良好なものとすることができる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、ウレタン基を有するポリイソシアネート及びイソシアヌレート基を有するポリイソシアネートに加えて、アロファネート基、ウレトジオン基、イミノオキサジアジンジオン基、ウレア基、及びビウレット基からなる群より選ばれる少なくとも1つ以上の官能基を有するポリイソシアネートを更に含むことができる。或いは、ウレタン基を有するポリイソシアネート及びイソシアヌレート基を有するポリイソシアネートは、これら官能基を更に有することができる。
ウレタン基を有するポリイソシアネートにおいて、ポリオールの水酸基に対する脂肪族又は脂環族ポリイソシアネートのイソシアネート基のモル比NCO/OHが2以上30以下であり、3以上25以下であることが好ましい。
NCO/OHが上記下限値以上であることで、ポリイソシアネート硬化物の耐候性を良好なものとすることができる。一方、上記上限値以下であることで、ポリイソシアネート硬化物の伸びを良好なものとすることができる。
NCO/OHは、例えば、ポリイソシアネート組成物の製造時に用いられるポリオールの水酸基のモル量と、ポリイソシアネートの原料であるジイソシアネートモノマーのイソシアネート基のモル量を用いて算出することができる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物の重量平均分子量が900以上であり、930以上20000以下であることが好ましく、970以上15000以下であることがより好ましい。重量平均分子量が上記下限値以上であることで、最大応力及び伸び率を優れるポリイソシアネート硬化物が得られる。一方、重量平均分子量が上記上限値以下であることで、最大応力及び耐候性に優れるポリイソシアネート硬化物が得られる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物の重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」と略記する場合がある)により測定することができる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物の重量平均分子量は、原料となる脂肪族又は脂環族ポリイソシアネート及びポリオールの重量平均分子量を適宜選択することで、調整することできる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、上記構成を有することで、水分散性が良好であり、且つ、ポリイソシアネート組成物単独を硬化してなるポリイソシアネート硬化物の、最大応力及び伸び率が従来より高く、硬度が従来よりも低く柔軟性に優れ、且つ、耐候性に優れる。
次いで、本実施形態のポリイソシアネート組成物の各構成成分について以下に詳細を説明する。
<脂肪族又は脂環族ポリイソシアネート>
脂肪族又は脂環族ポリイソシアネートは、脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種から誘導されたものである。
脂肪族ジイソシアネートとしては、以下のものに限定されないが、例えば、1,4-ジイソシアナトブタン、1,5-ジイソシアナトペンタン、エチル(2,6-ジイソシアナト)ヘキサノエート、1,6-ジイソシアナトヘキサン(以下、「HDI」と略記する場合がある)、1,9-ジイソシアナトノナン、1,12-ジイソシアナトドデカン、2,2,4-又は2,4,4-トリメチル-1、6-ジイソシアナトヘキサン等が挙げられる。これら脂肪族ジイソシアネートを単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
脂環族ジイソシアネートとしては、以下のものに限定されないが、例えば、1,3-又は1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(以下、「水添XDI」と略記する場合がある)、1,3-又は1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、3,5,5-トリメチル1-イソシアナト-3-(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(以下、「IPDI」と略記する場合がある)、4-4’-ジイソシアナト-ジシクロヘキシルメタン(以下、「水添MDI」と略記する場合がある)、2,5-又は2,6-ジイソシアナトメチルノルボルナン等が挙げられる。これら脂環族ジイソシアネートを単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
これら脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートは、いずれを単独で使用してもよく、脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートを2種以上組み合わせて用いてもよい。
また、柔軟性の観点から、脂肪族ジイソシアネートに対する脂環族ポリイソシアネートの質量比は、0/100以上30/70以下であることが好ましい。
中でも、ジイソシアネートとしては、HDI、IPDI、水添XDI、又は水添MDIが好ましく、HDI又はIPDIがより好ましく、HDIがさらに好ましい。
ポリイソシアネートの製造には、上述したジイソシアネートに加えて、以下に示すようなイソシアネートモノマーを更に用いてもよい。
(1)ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート(MDI)、1,5-ナフタレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等の芳香族ジイソシアネート。
(2)4-イソシアネートメチル-1,8-オクタメチレンジイソシアネート(以下、「NTI」と称する場合がある)、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート(以下、「HTI」と称する場合がある)、ビス(2-イソシアナトエチル)2-イソシアナトグルタレート(以下、「GTI」と称する場合がある)、リジントリイソシアネート(以下、「LTI」と称する場合がある)等のトリイソシアネート。
イソシアヌレート基を有するポリイソシアネートは、上記例示された、脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートからなる群より選ばれる1種以上のジイソシアネートモノマーから誘導されたものであることが好ましい。
また、イソシアヌレート基を有するポリイソシアネートの重量平均分子量が900以下であることが好ましく、880以下であることがより好ましい。イソシアヌレート基を有するポリイソシアネートの重量平均分子量が上記上限値以下であることで、ポリイソシアネート組成物の重量平均分子量を上記範囲内とすることができ、ポリイソシアネート硬化物の硬度を良好なものとすることができる。
一方、重量平均分子量の下限値としては、特に限定されないが、例えば、300とすることができ、400とすることができる。
イソシアヌレート基を有するポリイソシアネートの重量平均分子量は、例えば、GPC測定によるポリスチレン基準の重量平均分子量である。
上記のような重量平均分子量の範囲となるイソシアヌレート基を有するポリイソシアネートとしては、HDI又はIPDIのイソシアヌレート3量体を好ましく使用できる。
<ポリオール>
ポリオールの数平均分子量500以上であり、800以上であることが好ましい。ポリオールの数平均分子量が上記下限値以上であることで、ポリイソシアネート硬化物の伸度が大きく、柔軟性が良好なものとなる。
一方で、ポリオールの数平均分子量の上限値について、特に限定されないが、例えば、8000とすることができ、7000とすることが好ましく、6500とすることがより好ましく、6000とすることがさらに好ましい。
ポリオールの数平均分子量Mnは、例えば、GPC測定によるポリスチレン基準の数平均分子量である。また、ポリオールを2種以上混合して用いる場合には、その混合物の数平均分子量を算出する。
ポリオールは、2官能以上のものであればよく、2官能以上10官能以下が好ましく、2官能以上7官能以下がより好ましく、2官能以上6官能以下がさらに好ましく、2官能以上5官能以下が特に好ましく、2官能以上4官能以下が最も好ましい。
ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、エポキシポリオール、ポリオレフィンポリオール、及びポリカーボネートポリオールからなる群より選ばれる1種以上のポリオールが好ましく、ポリエステルポリオール、及びポリエーテルポリオールからなる群より選ばれる1種以上のポリオールがより好ましい。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、以下の(1)又は(2)のいずれかのポリエステルポリオール等が挙げられる。
(1)二塩基酸の単独又は2種以上の混合物と、2価以上のアルコールの単独又は2種以上の混合物との縮合反応によって得られるポリエステルポリオール。
(2)ε-カプロラクトンを2価以上のアルコールで開環重合して得られるポリカプロラクトンポリオール。
前記二塩基酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等のカルボン酸等が挙げられる。
前記2価以上のアルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、トリメチルペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、2-メチロールプロパンジオール、エトキシ化トリメチロールプロパン等が挙げられる。
中でも、ポリエステルポリオールとしては、2官能以上のポリカプロラクトンポリオールが好ましい。
市販されている2官能のポリカプロラクトンポリオールとしては、例えば、ダイセル社製の商品名「プラクセル210」(数平均分子量1000、水酸基価112.8mgKOH/g、酸価0.09mgKOH/g)、「プラクセル210CP」(数平均分子量1000、水酸基価112.8mgKOH/g、酸価0.16mgKOH/g)、商品名「プラクセル212」(数平均分子量1250、水酸基価90.8mgKOH/g、酸価0.09mgKOH/g)、商品名「プラクセル212CP」(数平均分子量1250、水酸基価90.2mgKOH/g、酸価0.14mgKOH/g)、「プラクセル220」(数平均分子量2000、水酸基価56.7mgKOH/g、酸価0.06mgKOH/g)、「プラクセル220CPB」(数平均分子量2000、水酸基価57.2mgKOH/g、酸価0.16mgKOH/g)、「プラクセル220CPT」(数平均分子量2000、水酸基価56.6mgKOH/g、酸価0.02mgKOH/g)、「プラクセル230」(数平均分子量3000、水酸基価37.6mgKOH/g、酸価0.07mgKOH/g)、「プラクセル240(数平均分子量4000、水酸基価28.5mgKOH/g、酸価0.07mgKOH/g)等が挙げられる。
市販されている3官能のポリカプロラクトンポリオールとしては、例えば、ダイセル社製の商品名「プラクセル305」(数平均分子量550、水酸基価305.6mgKOH/g、酸価0.50mgKOH/g)、「プラクセル308」(数平均分子量850、水酸基価195.3mgKOH/g、酸価0.38mgKOH/g)、「プラクセル309」(数平均分子量900、水酸基価187.3mgKOH/g、酸価0.20mgKOH/g)、「プラクセル312」(数平均分子量1250、水酸基価136.1mgKOH/g、酸価0.38mgKOH/g)、「プラクセル320」(数平均分子量2000、水酸基価85.4mgKOH/g、酸価0.29mgKOH/g)等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、アルカリ金属の水酸化物、又は、強塩基性触媒を使用して、多価アルコールの単独又は混合物に、アルキレンオキサイドの単独又は混合物を付加して得られるポリエーテルポリオール、ポリアミン化合物にアルキレンオキサイドを反応させて得られるポリエーテルポリオール、上記ポリエーテル類を媒体としてアクリルアミド等を重合して得られるいわゆるポリマーポリオールが挙げられる。
アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。
強塩基性触媒としては、例えば、アルコラート、アルキルアミン等が挙げられる。
多価アルコールとしては、上記ポリエステルポリオールにおいて2価以上のアルコールとして例示されたものと同様のものが挙げられる。
アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、スチレンオキサイド等が挙げられる。
ポリアミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン等が挙げられる。
<親水性化合物>
本実施形態のポリイソシアネート組成物において、ウレタン基を有するポリイソシアネート及びイソシアヌレート基を有するポリイソシアネート(以下、これらの総じて「ポリイソシアネート成分」と称する場合がある)のイソシアネート基の少なくとも一部が、親水性化合物で変性されている。すなわち、本実施形態のポリイソシアネート組成物に含まれる、ポリイソシアネート成分は、その末端の少なくとも一部に親水性化合物に由来する構造を有する。親水性化合物に由来する構造を有することで、ポリイソシアネート組成物に水分散性を付与することができ、また、得られるポリイソシアネート硬化物の柔軟性を向上することができる。
親水性化合物は、親水性基を有する化合物である。親水性化合物は、親水性基に加えて、ポリイソシアネートが有するイソシアネート基の少なくとも1つと反応するための活性水素基を、親水性化合物1分子に対して、1つ以上有することが好ましい。活性水素基として、具体的には、水酸基、メルカプト基、カルボン酸基、アミノ基、チオール基が挙げられる。
親水性化合物としては、ノニオン性化合物、カチオン性化合物、アニオン性化合物が挙げられる。これら親水性化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、親水性化合物としては、入手容易性及び配合物との電気的な相互作用を受けにくく、且つ、溶液状態で濁りが生じにくいという観点から、ノニオン性化合物が好ましい。或いは、親水性化合物としては、電気的な相互作用により水系樹脂組成物中での分散性及び分散安定性が高いという観点から、アニオン性化合物が好ましい。
[ノニオン性化合物]
ノニオン性化合物として、具体的には、モノアルコール、アルコールの水酸基にアルキレンオキサイドを付加した化合物が挙げられる。モノアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール等が挙げられる。アルコールの水酸基にアルキレンオキサイドを付加した化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。これらノニオン性化合物は、イソシアネート基と反応する活性水素基も有する。中でも、ノニオン性化合物としては、少ない使用量でポリイソシアネート組成物の水分散性を向上できることから、モノアルコールの水酸基にアルキレンオキサイドを付加したポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルが好ましい。
(ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル)
ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルが好ましく、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メトキシポリエチレングリコール)がより好ましい。
ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルのアルキレンオキサイド(特に、エチレンオキサイド)の繰り返し数は、3以上であることが好ましく、3以上30以下であることがより好ましく、4以上20以下であることがさらに好ましい。エチレンオキサイドの付加数が上記下限値以上であることで、ポリイソシアネート組成物に水分散性をより効果的に付与できる傾向にあり、エチレンオキサイドの付加数が上記上限値以下であることで、低温貯蔵時にポリイソシアネート組成物の析出物がより発生しにくい傾向にある。
本実施形態のポリイソシアネート組成物において、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルによる変性量(以下、「ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルの含有量」と称する場合がある)の下限値は、ポリイソシアネート組成物の水分散安定性の観点から、ポリイソシアネート組成物の固形分100質量%に対して、0.1質量%が好ましく、0.2質量%がより好ましく、0.3質量%がさらに好ましく、0.4質量%が特に好ましい。
また、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルの含有量の上限値は、得られるポリイソシアネート硬化物の硬度や、得られる塗膜の耐水性の観点から、ポリイソシアネート組成物の固形分の質量に対して、30.0質量%が好ましく、25.0質量%がより好ましく、20.0質量%がさらに好ましく、15.0質量%が特に好ましい。
すなわち、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルの含有量の上限値は、ポリイソシアネート組成物の固形分の質量に対して、0.1質量%以上30.0質量%以下が好ましく、0.2質量%以上25.0質量%以下がより好ましく、0.3質量%以上20.0質量%以下がさらに好ましく、0.4質量%以上15.0質量%以下が特に好ましい。
ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルの含有量が上記範囲内であることにより、ポリイソシアネート組成物がより水に分散し、得られるポリイソシアネート硬化物の硬度がより向上する傾向にある。
ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルの含有量は、配合するポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルの質量をポリイソシアネート組成物の原料中の固形分の総質量で除した百分率として算出することができる。
[アニオン性化合物]
アニオン性化合物として、具体的には、分子内に活性水素基を有するスルホン酸アミン塩が挙げられる。活性水素基がイソシアネート基と反応することによってポリイソシアネートの親水化が可能である。スルホン酸アミン塩のカウンターカチオンとなるアミン化合物としては、下記一般式(1)又は(2)で表されるアミン化合物(以下、それぞれ「アミン化合物(1)」、「アミン化合物(2)」と称する場合がある)が挙げられる。
Figure 2023057551000001
(一般式(1)中、R11及びR12は、互いに独立して、エーテル結合を含んでもよい炭素数1以上8以下の炭化水素基である。R11及びR12からなる群より選ばれる少なくとも1つが環構造を含んでいてもよく、R11及びR12は互いに結合して環構造を形成してもよい。前記環構造は、芳香族環、炭素数5以上6以下のシクロアルキル基、R11とR12とが互いに結合した5員環若しくは6員環である。)
Figure 2023057551000002
(一般式(2)中、n21は0以上5以下の整数である。R21はエーテル結合を含んでもよい炭素数1以上8以下の炭化水素基である。n21が2以上のとき、複数存在するR21はそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。)
(アミン化合物(1))
・R11及びR12
一般式(1)中、R11及びR12は、互いに独立して、エーテル結合を含んでもよい炭素数1以上8以下の炭化水素基であり、R11及びR12からなる群より選ばれる少なくとも1つは、芳香族環又は炭素数5以上6以下のシクロアルキル基を含んでいてもよく、R11及びR12が互いに結合して5員環又は6員環を形成してもよい。
炭素数1以上8以下の炭化水素基としては、1価の炭素数1以上8以下の脂肪族炭化水素基であってもよく、1価の炭素数6の芳香族炭化水素基であってもよい。1価の炭素数1以上8以下の脂肪族炭化水素基としては、炭素数1以上8以下の鎖状アルキル基、又は、炭素数3以上8以下の環状アルキル基であることが好ましい。炭素数1以上8以下の鎖状アルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
好ましいアミン化合物(1)としては、例えば、N,N-ジエチルプロピルアミン、N,N-ジブチルプロピルアミン、ジメチルプロピルアミン、N-プロピルピロリジン、N-プロピルピペリジン、N-プロピルモルホリン、下記一般式(1-1)で表されるアミン化合物(以下、「アミン化合物(1-1)」と称する場合がある)等が挙げられる。なお、これら化合物は、好ましいアミン化合物(1)の一部に過ぎず、好ましいアミン化合物(1)はこれらに限定されない。また、これらのアミン化合物(1)を1種用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
中でも、アミン化合物(1)としては、アミン化合物(1-1)が好ましい。
Figure 2023057551000003
(一般式(1-1)中、R111は、芳香族環、又は、炭素数5若しくは6のシクロアルキル基を含んでもよい炭素数1以上8以下の炭化水素基である。)
(アミン化合物(1-1))
・R111
111は、環構造を含んでもよい炭素数1以上8以下の炭化水素基である。炭素数1以上8以下の炭化水素基としては、上記「R11及びR12」において例示されたものと同様のものが挙げられる。
好ましいアミン化合物(1-1)としては、例えば、N,N-ジプロピルオクチルアミン、トリプロピルアミン等が挙げられる。なお、これら化合物は、好ましいアミン化合物(1-1)の一部に過ぎず、好ましいアミン化合物(1-1)はこれらに限定されない。また、これらのアミン化合物(1-1)を1種用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
[アミン化合物(2)]
(一般式(2)中、n21は0以上5以下の整数である。R21はエーテル結合を含んでもよい炭素数1以上8以下の炭化水素基である。n21が2以上のとき、複数存在するR21はそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。)
・n21
一般式(2)において、ピリジン環は無置換であってもよく、置換基R21を有してもよい。n21は置換基R21の数を表し、0以上5以下の整数であり、1以上3以下の整数が好ましい。n21が0であるとき、ピリジン環は無置換である。
・R21
一般式(2)において、R21はエーテル結合(-O-)を含んでもよい炭素数1以上8以下の炭化水素基である。n21が2以上のとき、複数存在するR21はそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。
炭素数1以上8以下の炭化水素基としては、1価の炭素数1以上8以下の脂肪族炭化水素基であってもよく、1価の炭素数6以上12以下の芳香族炭化水素基であってもよい。1価の炭素数1以上8以下の脂肪族炭化水素基としては、炭素数1以上6以下の鎖状アルキル基、又は、炭素数3以上6以下の環状アルキル基であることが好ましい。炭素数1以上6以下の鎖状アルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
中でも、R21としては、炭素数1以上6以下の鎖状アルキル基であることが好ましく、炭素数1以上4以下の鎖状アルキル基であることがより好ましく、炭素数1以上4以下の直鎖状アルキル基であることがさらに好ましい。
アミン化合物(2)で好ましいものとしては、例えば、ピリジン、2-ピコリン、3-ピコリン、4-ピコリン、2-エチルピリジン、3-エチルピリジン、4-エチルピリジン、2-プロピルピリジン、3-プロピルピリジン、4-プロピルピリジン、4-sec-プロピルピリジン、4-tert-プロピルピリジン、2-ブチルピリジン、3-ブチルピリジン、4-ブチルピリジン、4-sec-ブチルピリジン、4-tert-ブチルピリジン、2、6-ルチジン、2,3-ルチジン、2,4-ルチジン、2,5-ルチジン、3,4-ルチジン、3,5-ルチジン、2,4,6-トリメチルピリジン、2,3,5-トリメチルピリジン、5-エチル-2-ピコリン、3,5-ジエチルピリジン、2-(3-ペンチル)ピリジン、4-(3-ペンチル)ピリジン等が挙げられる。
なお、これら化合物は、好ましいアミン化合物(2)の一部に過ぎず、好ましいアミン化合物(2)はこれらに限定されない。
また、これらのアミン化合物を1種用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
中でも、アミン化合物(2)としては、4-ピコリン、4-エチルピリジン、3-プロピルピリジン、4-プロピルピリジン、3-ブチルピリジン、4-ブチルピリジン、2,4,6-トリメチルピリジン、2,3,5-トリメチルピリジン、5-エチル-2-ピコリン及び3,5-ジエチルピリジンからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
<ポリイソシアネート組成物の製造方法>
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、イソシアヌレート基を有するポリイソシアネートと、脂肪族又は脂環族ジイソシアネートとポリオールとから誘導されるウレタン基を有するポリイソシアネートと、親水性化合物(好ましくは、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル)と、を反応させて製造することができる。
脂肪族又は脂環族ジイソシアネートからイソシアヌレート基を有するポリイソシアネートを誘導するための触媒としては、一般的に使用されるイソシアヌレート化反応触媒が挙げられる。
イソシアヌレート化反応触媒としては、特に限定されないが、一般に塩基性を有するものであることが好ましい。イソシアヌレート化反応触媒として具体的には、例えば、以下に示すもの等が挙げられる。
1)テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等のテトラアルキルアンモニウムのハイドロオキサイド、及び、前記テトラアルキルアンモニウムの酢酸塩、プロピオン酸塩、オクチル酸塩、カプリン酸塩、ミリスチン酸塩、安息香酸塩等の有機弱酸塩。
2)ベンジルトリメチルアンモニウム、トリメチルフェニルアンモニウム等のアリールトリアルキルアンモニウムのハイドロオキサイド、及び、前記アリールトリアルキルアンモニウムの酢酸塩、プロピオン酸塩、オクチル酸塩、カプリン酸塩、ミリスチン酸塩、安息香酸塩等の有機弱酸塩。
3)トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム、トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリエチルヒドロキシエチルアンモニウム、トリエチルヒドロキシプロピルアンモニウム等のヒドロキシアルキルアンモニウムのハイドロオキサイド、及び、前記ヒドロキシアルキルアンモニウムの酢酸塩、プロピオン酸塩、オクチル酸塩、カプリン酸塩、ミリスチン酸塩、安息香酸塩等の有機弱酸塩。
4)酢酸、プロピオン酸、カプロン酸、オクチル酸、カプリン酸、ミリスチン酸等のアルキルカルボン酸の錫、亜鉛、鉛等の金属塩。
5)ナトリウム、カリウム等の金属アルコラート。
6)ヘキサメチレンジシラザン等のアミノシリル基含有化合物。
7)マンニッヒ塩基類。
8)第3級アミン類とエポキシ化合物との混合物。
9)トリブチルホスフィン等の燐系化合物。
中でも、不要な副生成物を生じさせにくい観点からは、イソシアヌレート化反応触媒としては、4級アンモニウムのハイドロオキサイド又は4級アンモニウムの有機弱酸塩であることが好ましく、テトラアルキルアンモニウムのハイドロオキサイド、テトラアルキルアンモニウムの有機弱酸塩、アリールトリアルキルアンモニウムのハイドロオキサイド、又は、アリールトリアルキルアンモニウムの有機弱酸塩であることがより好ましい。
上述したイソシアヌレート化反応触媒の使用量の上限値は、仕込んだ脂肪族又は脂環族ジイソシアネートの質量に対して、1000質量ppmであることが好ましく、500質量ppmであることがより好ましく、100質量ppmであることがさらに好ましい。
一方、上述したイソシアヌレート化反応触媒の使用量の下限値は、特別な限定はないが、例えば、10質量ppmであってもよい。
イソシアヌレート化反応温度としては、50℃以上120℃以下であることが好ましく、55℃以上90℃以下であることがより好ましい。イソシアヌレート化反応温度が上記上限値以下であることによって、ポリイソシアネートの着色等をより効果的に抑制できる傾向にある。
所望の転化率(仕込んだ脂肪族又は脂環族ジイソシアネートの質量に対する、イソシアヌレート化反応で生成したポリイソシアネートの質量の割合)になった時点で、イソシアヌレート化反応を、酸性化合物(例えば、リン酸、酸性リン酸エステル等)の添加によって停止する。
なお、ポリイソシアネートを得るためには、反応の進行を初期で停止する必要がある。
しかしながら、イソシアヌレート化反応は、初期の反応速度が非常に速いため、反応の進行を初期で停止することに困難が伴い、反応条件、特に触媒の添加量及び添加方法は慎重に選択する必要がある。例えば、触媒の一定時間毎の分割添加方法等が好適なものとして推奨される。
したがって、ポリイソシアネートを得るためのイソシアヌレート化反応の転化率は、10%以上60%以下であることが好ましく、15%以上55%以下であることがより好ましく、20%以上50%以下であることがさらに好ましい。
イソシアヌレート化反応の転化率が上記上限値以下であることによって、ポリイソシアネートをより低粘度とすることができる。また、イソシアヌレート化反応の転化率が上記下限値以上であることによって、反応停止操作をより容易に行うことができる。
また、イソシアヌレート基を有するポリイソシアネートを誘導する際に、上記脂肪族又は脂環族ジイソシアネート以外に1価以上6価以下のアルコールを用いることができる。
1価以上6価以下のアルコールとしては、例えば、モノアルコール類、ジオール類、トリオール類、テトラオール類等の多価アルコールが挙げられる。
モノアルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、n-ペンタノール、n-ヘキサノール、n-オクタノール、n-ノナノール、2-エチルブタノール、2,2-ジメチルヘキサノール、2-エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、エチルシクロヘキサノール等が挙げられる。
ジオール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、2-メチル-1,2-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2,3-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,3-ジメチル-2,3-ブタンジオール、2-エチル-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,2-デカンジオール、2,2,4-トリメチルペンタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール等が挙げられる。
トリオール類としては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
テトラオール類としては、例えば、ペンタエリトリトール等が挙げられる。
脂肪族又は脂環族ジイソシアネートとポリオールとから誘導されるウレタン基を有するポリイソシアネートは、下記のような反応により得られる。反応温度は、通常、室温(23℃程度)以上200℃以下であり、55℃以上180℃以下が好ましい。反応温度が上記下限値以上であれば、反応時間がより短くなり、一方、上記上限値以下であれば、望ましくない副反応によるポリイソシアネートの粘度上昇及びゲル化をより回避でき、生成するポリイソシアネートの着色もより回避できる。
反応は、無溶媒で行なってもよく、イソシアネート基に不活性な任意の溶媒を用いて行なってもよい。また、必要であれば、イソシアネート基と水酸基の反応を促進するため、公知の触媒を用いてもよい。
イソシアヌレート基を有するポリイソシアネートと、脂肪族又は脂環族ジイソシアネートとポリオールとから誘導されるウレタン基を有するポリイソシアネートと、親水性化合物(好ましくは、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル)と、を反応させる場合には、有機金属塩、3級アミン系化合物、アルカリ金属のアルコラートを触媒として用いてもよい。前記有機金属塩を構成する金属としては、例えば、錫、亜鉛、鉛等が挙げられる。前記アルカリ金属としては、例えば、ナトリウム等が挙げられる。
反応温度は、-20℃以上150℃以下が好ましく、30℃以上100℃以下がより好ましい。反応温度が上記下限値以上であることで、反応性をより高くできる傾向にある。また、反応温度が上記上限値以下であることで、副反応をより効果的に抑制できる傾向にある。
親水性化合物(特に、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル)が未反応状態で残存しないよう、完全にポリイソシアネートと反応させることが好ましい。未反応状態で残存しないことにより、ポリイソシアネート組成物の水分散安定性、及び、得られるポリイソシアネート硬化物の硬度をより良好なものとすることができる。
<ポリイソシアネート組成物の物性>
[粘度]
本実施形態のポリイソシアネート組成物の25℃における粘度は、300mPa・s以上20000mPa・s以下であることが好ましく、500mPa・s以上15000mPa・s以下であることがより好ましく、800mPa・s以上12000mPa・s以下であることがさらにより好ましく、900mPa・s以上10000mPa・s以下であることがさらに好ましく、900mPa・s以上8000mPa・s以下であることがよりさらに好ましく、900mPa・s以上5500mPa・s以下であることが特に好ましい。25℃における粘度が上記範囲であることで、本実施形態のポリイソシアネート組成物は溶剤を用いないで使用することができる。
ポリイソシアネート組成物の25℃における粘度は、例えば、標準ローター(1°34’×R24)を用いて、E型粘度計(株式会社トキメック社製)により25℃下で測定することができる。
[イソシアネート基含有率(NCO基含有率)]
本実施形態のポリイソシアネート組成物のイソシアネート基含有率(NCO基含有率)は、実質的に溶剤やジイソシアネートを含んでいない状態で、ポリイソシアネート組成物の総質量に対して22.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上19.5質量%以下であることがより好ましく、5.0質量%以上19.3質量%以下であることがさらに好ましく、7.0質量%以上19.0質量%以下であることが特に好ましい。ポリイソシアネート組成物のイソシアネート基含有率が上記上限値以下であることで、ポリイソシアネート硬化物の伸び率をより良好なものとすることができる。一方、上記下限値以上であることで、ポリイソシアネート硬化物の硬度をより良好なものとすることができる。
NCO基含有率は、例えば、ポリイソシアネート組成物のイソシアネート基を過剰のアミン(ジブチルアミン等)と反応させ、残ったアミンを塩酸等の酸で逆滴定することによって求めることができる。
[平均イソシアネート官能基数]
本実施形態のポリイソシアネート組成物の平均イソシアネート官能基数は、粘着性樹脂組成物の硬化性及び塗膜強度を高める点で、2.00以上6.00以下が好ましく、2.50以上5.50以下がより好ましく、2.70以上5.30以下がさらに好ましい。
ポリイソシアネート組成物の平均イソシアネート官能基数が上記下限値以上であることで、ポリイソシアネート硬化物の硬度及び耐久性をより良好なものとすることができる。一方、上記上限値以下であることで、ポリイソシアネート硬化物の伸び率をより良好なものとすることができる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物の平均イソシアネート官能基数は、後述する実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
≪ポリイソシアネート組成物の分散液≫
本実施形態のポリイソシアネート組成物の分散液は、上述したポリイソシアネート組成物をイオン交換水に10質量%濃度となるように添加し、1分間振盪撹拌してなり、水分散性を有する。
上述したように、ポリイソシアネート組成物において、ポリイソシアネート成分のイソシアネート基の少なくとも一部が、親水性化合物(好ましくは、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル)で変性されている。すなわち、上記ポリイソシアネート成分の末端の少なくとも一部に、親水性化合物(好ましくは、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル)に由来する構造を有することで、上記のとおり調製された本実施形態のポリイソシアネート組成物の分散液は、水に分散することができる。
≪ポリイソシアネート硬化物≫
本実施形態のポリイソシアネート硬化物は、上述したポリイソシアネート組成物を23℃、50%湿度環境下で168時間硬化させてなる。
本実施形態のポリイソシアネート硬化物は、最大応力、伸び率、硬度、及び耐候性に優れる。
本実施形態のポリイソシアネート硬化物は、例えば、上述したポリイソシアネート組成物を、必要に応じて溶剤で希釈又は溶解して(好ましくは、無溶剤でそのまま)、コーター等を用いて、被着体上に塗工し、23℃、50%湿度環境下で168時間硬化させることにより製造することができる。また、必要に応じて乾燥や加熱を施してもよい。
本実施形態のポリイソシアネート硬化物は、その厚みが5μm以上5000μm以下であることが好ましく、10μm以上2000μm以下であることがより好ましく、10μm以上1000μm以下であることがさらに好ましく、20μm以上500μm以下であることが特に好ましい。
本実施形態のポリイソシアネート硬化物において、厚み60μmのポリイソシアネート硬化物を幅10mm、長さ100mmに切断してなる試験片をつかみ具距離が20mmになるように引張試験機にセットして、速度20mm/分で測定された引張試験における伸び率が50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、65%以上であることがさらに好ましく、68%以上であることが特に好ましい。伸び率が上記下限値以上であることで、柔軟性により優れるものとなる。一方、伸び率の上限値は特に限定されず、例えば、1000%とすることができる。
本実施形態のポリイソシアネート硬化物において、厚み60μmのポリイソシアネート硬化物を幅10mm、長さ100mmに切断してなる試験片をつかみ具距離が20mmになるように引張試験機にセットして、速度20mm/分で測定された引張試験における最大応力が15MPa以上であることが好ましく、20MPa以上であることがより好ましく、25MPa以上であることがさらに好ましく、30MPa以上であることが特に好ましく、40MPa以上であることが最も好ましい。最大応力が上記下限値以上であることで、強度がより優れるものとなる。一方、最大応力の上限値は特に限定されず、例えば、100MPaとすることができる。
厚み40μmの前記ポリイソシアネート硬化物のケーニッヒ硬度が140回以下であることが好ましく、120回以下であることがより好ましく、115回以下であることさらに好ましく、110回以下であることが特に好ましい。ケーニッヒ硬度が上記上限値以下であることで、適度な硬度を有しながら、柔軟性を有し、耐衝撃性や屈曲性に優れるものとすることができる。一方で、ケーニッヒ硬度の下限値は、必要な硬さを備える程度であればよく、例えば、10回とすることができる。
≪樹脂組成物≫
本実施形態の樹脂組成物は、ポリイソシアネート組成物と、ポリオールと、を含む。本実施形態の樹脂組成物は、硬化剤成分と、主剤成分とを含む二液型樹脂組成物ということもできる。
本実施形態の樹脂組成物の構成成分について、以下に詳細を説明する。
<ポリオール>
ポリオールとしては、例えば、脂肪族炭化水素ポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類、エポキシ樹脂類、含フッ素ポリオール類、アクリルポリオール類等が挙げられる。
中でも、ポリオールとしては、ポリエステルポリオール類又はアクリルポリオール類であることが好ましい。
[脂肪族炭化水素ポリオール類]
前記脂肪族炭化水素ポリオール類としては、例えば、末端水酸基化ポリブタジエンやその水素添加物等が挙げられる。
[ポリエーテルポリオール類]
前記ポリエーテルポリオール類としては、例えば、以下(1)~(3)のいずれかの方法等を用いて得られるものが挙げられる。
(1)多価アルコールの単独又は混合物に、アルキレンオキサイドの単独又は混合物を付加して得られるポリエーテルポリオール類又はポリテトラメチレングリコール類。
(2)アルキレンオキサイドに多官能化合物を反応させて得られるポリエーテルポリオール類。
(3)(1)又は(2)で得られたポリエーテルポリオール類を媒体としてアクリルアミド等を重合して得られる、いわゆるポリマーポリオール類。
前記多価アルコールとしては、例えば、グリセリンやプロピレングリコール等が挙げられる。
前記アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等が挙げられる。
前記多官能化合物としては、例えば、エチレンジアミン、エタノールアミン類等が挙げられる。
[ポリエステルポリオール類]
前記ポリエステルポリオール類としては、例えば、以下の(1)又は(2)のいずれかのポリエステルポリオール類等が挙げられる。
(1)二塩基酸の単独又は2種以上の混合物と、多価アルコールの単独又は2種以上の混合物との縮合反応によって得られるポリエステルポリオール樹脂類。
(2)ε-カプロラクトンを多価アルコールで開環重合して得られるポリカプロラクトン類。
前記二塩基酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等のカルボン酸等が挙げられる。
前記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、トリメチルペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、2-メチロールプロパンジオール、エトキシ化トリメチロールプロパン等が挙げられる。
[エポキシ樹脂類]
前記エポキシ樹脂類としては、例えば、ノボラック型エポキシ樹脂、β-メチルエピクロ型エポキシ樹脂、環状オキシラン型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリコールエーテル型エポキシ樹脂、エポキシ型脂肪族不飽和化合物、エポキシ化脂肪酸エステル、エステル型多価カルボン酸、アミノグリシジル型エポキシ樹脂、ハロゲン化型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂類、及びこれらエポキシ樹脂をアミノ化合物、ポリアミド化合物等で変性した樹脂類等が挙げられる。
[含フッ素ポリオール類]
前記含フッ素ポリオール類としては、例えば、参考文献1(特開昭57-34107号公報)、参考文献2(特開昭61-275311号公報)等で開示されているフルオロオレフィン、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、モノカルボン酸ビニルエステル等の共重合体等が挙げられる。
[アクリルポリオール類]
前記アクリルポリオール類は、例えば、一分子中に1個以上の活性水素を有する重合性モノマーを重合させる、又は、一分子中に1個以上の活性水素を持つ重合性モノマーと、必要に応じて、当該重合性モノマーと共重合可能な他のモノマーとを、共重合させることによって得られる。
前記一分子中に1個以上の活性水素を有する重合性モノマーとしては、例えば、以下(i)~(iii)に示すものが挙げられる。これらを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(i)アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸-2-ヒドロキシブチル等の活性水素を持つアクリル酸エステル類。
(ii)メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸-2-ヒドロキシブチル等の活性水素を持つメタクリル酸エステル類。
(iii)グリセリンのアクリル酸モノエステル又はメタクリル酸モノエステル、トリメチロールプロパンのアクリル酸モノエステル又はメタクリル酸モノエステル等の多価活性水素を有する(メタ)アクリル酸エステル類。
前記重合性モノマーと共重合可能な他のモノマーとしては、例えば、以下の(i)~(v)に示すものが挙げられる。これらを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(i)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸-n-ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル等のアクリル酸エステル類。
(ii)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸-n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸-n-ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸グリシジル等のメタクリル酸エステル類。
(iii)アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸。
(iv)アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等の不飽和アミド。
(v)スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリロニトリル等。
また、参考文献3(特開平1-261409号公報)及び参考文献4(特開平3-006273号公報)等で開示されている重合性紫外線安定性単量体を共重合して得られるアクリルポリオール類等が挙げられる。
前記重合性紫外線安定性単量体として具体的には、例えば、4-(メタ)アクリロイルオキシ-2、2、6、6-テトラメチルピペリジン、4-(メタ)アクリロイルアミノ-2、2、6、6-テトラメチルピペリジン、1-クロトノイル-4-クロトノイルオキシ-2、2、6、6-テトラメチルピペリジン、2-ヒドロキシ-4-(3-メタクリルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
例えば、上記の単量体成分を、公知の過酸化物やアゾ化合物等のラジカル重合開始剤の存在下で溶液重合し、必要に応じて有機溶剤等で希釈することによって、アクリルポリオールを得ることができる。
水系ベースアクリルポリオールを得る場合には、オレフィン性不飽和化合物を溶液重合し、水層に転換する方法や乳化重合等の公知の方法で製造することができる。その場合、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボン酸含有モノマーやスルホン酸含有モノマー等の酸性部分をアミンやアンモニアで中和することによって水溶性又は水分散性を付与することができる。
[ポリオールの水酸基価及び酸価]
本実施形態の樹脂組成物に含まれるポリオールの水酸基価は、5mgKOH/g以上300mgKOH/g以下であることが好ましい。
ポリオールの水酸基が上記下限値以上であることにより、ポリイソシアネートとの反応によるウレタンの架橋密度をより増やし、ウレタン結合の機能をより発揮しやすくなる。一方、ポリオールの水酸基が上記上限値以下であることにより、架橋密度が増えすぎず、樹脂硬化物の機械的物性がより良好となる。
[NCO/OH]
本実施形態の樹脂組成物を硬化剤として用いて、一般的に主剤と呼ばれるポリオールと混合樹脂組成物を作製する場合の水酸基に対するポリイソシアネート組成物のイソシアネート基のモル当量比(NCO/OH)は、必要とする樹脂膜の物性により決定されるが、通常、0.01以上40.0以下である。
<その他添加剤>
本実施形態の樹脂組成物は、その他添加剤を更に含んでもよい。
その他添加剤としては、例えば、ポリオール中の架橋性官能基と反応しうる硬化剤、硬化触媒、溶剤、顔料類(体質顔料、着色顔料、メタリック顔料等)、紫外線吸収剤、光安定剤、ラジカル安定剤、焼付工程時の着色を抑える黄変防止剤、塗面調整剤、流動調整剤、顔料分散剤、消泡剤、増粘剤、造膜助剤等が挙げられる。
前記硬化剤としては、例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ基含有化合物又は樹脂、カルボキシル基含有化合物又は樹脂、酸無水物、アルコキシシラン基含有化合物又は樹脂、ヒドラジド化合物等が挙げられる。
前記硬化触媒としては、塩基性化合物であってもよく、ルイス酸性化合物であってもよい。
前記塩基性化合物としては、例えば、金属ヒドロキシド、金属アルコキシド、金属カルボキシレート、金属アセチルアセチネート、オニウム塩の水酸化物、オニウムカルボキシレート、オニウム塩のハロゲン化物、活性メチレン系化合物の金属塩、活性メチレン系化合物のオニウム塩、アミノシラン類、アミン類、ホスフィン類等が挙げられる。前記オニウム塩としては、アンモニウム塩、ホスホニウム塩又はスルホニウム塩が好適である。
前記ルイス酸性化合物としては、例えば、有機スズ化合物、有機亜鉛化合物、有機チタン化合物、有機ジルコニウム化合物等が挙げられる。
前記溶剤としては、上記ポリイソシアネート組成物において例示されたものと同様のものが挙げられる。
また、顔料類(体質顔料、着色顔料、メタリック顔料等)、紫外線吸収剤、光安定剤、ラジカル安定剤、焼付工程時の着色を抑える黄変防止剤、塗面調整剤、流動調整剤、顔料分散剤、消泡剤、増粘剤及び造膜助剤としては、公知のものを適宜選択して用いることができる。
<樹脂組成物の製造方法>
本実施形態の樹脂組成物は、溶剤ベース、水系ベースどちらにも使用可能であるが、環境に配慮した製品が求められる昨今、無溶剤、又は水系ベースの樹脂組成物として好適に用いられる。
水系ベースの樹脂組成物(水系樹脂組成物)を製造する場合には、まず、ポリオール又はその水分散体若しくは水溶物に、必要に応じて、ポリオール中の架橋性官能基と反応しうる硬化剤、硬化触媒、溶剤、顔料類(体質顔料、着色顔料、メタリック顔料等)、紫外線吸収剤、光安定剤、ラジカル安定剤、焼付工程時の着色を抑える黄変防止剤、塗面調整剤、流動調整剤、顔料分散剤、消泡剤、増粘剤、造膜助剤等の添加剤を加える。次いで、上記ポリイソシアネート組成物又はその水分散体を硬化剤として添加し、必要に応じて、水や溶剤を更に添加して、粘度を調整する。次いで、攪拌機器により強制攪拌することによって、水系ベースの樹脂組成物(水系樹脂組成物)を得ることができる。
溶剤ベースの樹脂組成物を製造する場合には、まず、ポリオール又はその溶剤希釈物に、必要に応じて、ポリオール中の架橋性官能基と反応しうる硬化剤、硬化触媒、溶剤、顔料類(体質顔料、着色顔料、メタリック顔料等)、紫外線吸収剤、光安定剤、ラジカル安定剤、焼付工程時の着色を抑える黄変防止剤、塗面調整剤、流動調整剤、顔料分散剤、消泡剤、増粘剤、造膜助剤等の添加剤を加える。次いで、上記ポリイソシアネート組成物を硬化剤として添加し、必要に応じて、溶剤を更に添加して、粘度を調整する。次いで、手攪拌又はマゼラー等の攪拌機器を用いて攪拌することによって、溶剤ベースの樹脂組成物を得ることができる。
≪樹脂硬化物≫
本実施形態の樹脂硬化物は、上述した樹脂組成物を硬化させてなる。
本実施形態の樹脂硬化物は、上記樹脂組成物を、基材にロール塗装、カーテンフロー塗装、スプレー塗装、ベル塗装、静電塗装等の公知の方法を用いて塗装し、加熱することで硬化させることで得られる。
上記樹脂組成物は環境配慮の観点から、常温で硬化させることが好ましい。しかしながら、用途に応じて、40℃以上160℃以下の温度で加温して硬化を速めることもできる。
加熱時間は、省エネルギー及び基材の耐熱性の観点から、約1分間以上約60分間以下が好ましく、約2分間以上約40分間以下がより好ましい。
基材としては、特に限定されるものではなく、例えば、乗用車、トラック、オートバイ、バス等の自動車車体の外板部;バンパー等の自動車部品;携帯電話、オーディオ機器等の家庭電気製品の外板部;各種フィルム等が挙げられ、中でも、各種フィルムが好ましい。
基材の材質は、特に限定されるものではなく、例えば、鉄、アルミニウム、真鍮、銅、ブリキ、ステンレス鋼、亜鉛メッキ鋼、亜鉛合金(Zn-Al、Zn-Ni、Zn-Fe等)メッキ鋼等の金属材料;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂類、各種のFRP等のプラスチック材料;ガラス、セメント、コンクリート等の無機材料;木材;紙、布等の繊維材料;石、モルタル、木材等が挙げられ、中でも、金属材料、プラスチック材料、石、モルタル、又は木材が好ましい。
基材は、上記金属材料の表面、又は、上記金属材料から成形された車体等の金属表面に、リン酸塩処理、クロメート処理、複合酸化物処理等の表面処理が施されたものであってもよく、さらに、その上に塗膜が形成されているものであってもよい。塗膜が形成された基材としては、必要に応じて表面処理を施し、その上に下塗り塗膜が形成されたもの、例えば、電着塗料によって下塗り塗膜が形成された車体であってもよい。基材は、上記プラスチック材料の表面、又は、上記金属材料から成形された自動車部品等のプラスチック表面に、所望による表面処理を行ったものであってもよい。また、基材は、プラスチック材料と金属材料とが組み合わさったものであってもよい。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下、本実施形態を実施例及び比較例に基づいて更に詳しく説明するが、本実施形態は、以下の実施例により何ら限定されるものではない。
<試験項目>
実施例及び比較例で製造されたポリイソシアネート組成物について、以下に示す方法に従い、各物性の測定及び各評価を行った。
[物性1]
(イソシアネート基含有率)
まず、フラスコに測定試料2g以上3g以下を精秤した(Wg)。次いで、トルエン20mLを添加し、測定試料を溶解した。次いで、2規定のジ-n-ブチルアミンのトルエン溶液20mLを添加し、混合後、15分間室温放置した。次いで、イソプロピルアルコール70mLを加え、混合した。次いで、この液を1規定塩酸溶液(ファクターF)で、指示薬に滴定した。得られた滴定値をV1mLとした。次いで、ポリイソシアネート試料無しで、得られた滴定値をV2mlとした。次いで、下記式からポリイソシアネート組成物のイソシアネート基含有率(NCO%)(質量%)を算出した。
(イソシアネート基含有率(質量%))
= (V1-V2)×F×42/(W×1000)×100
[物性2]
(数平均分子量及び重量平均分子量)
数平均分子量及び重量平均分子量は下記の装置を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)測定によるポリスチレン基準の数平均分子量及び重量平均分子量である。
(測定条件)
装置:東ソー(株)製、HLC-802A
カラム:東ソー(株)製、G1000HXL×1本
G2000HXL×1本
G3000HXL×1本
キャリアー:テトラヒドロフラン
検出方法:示差屈折計
[物性3]
(平均イソシアネート官能基数)
ポリイソシアネート組成物の平均イソシアネート官能基数(平均NCO数)は、下記式により求めた。なお、式中、「Mn」は、数平均分子量を意味し、上記「物性2」において測定された値を用いた。「NCO%」は、上記「物性1」において算出された値を用いた。
(平均イソシアネート官能基数) = (Mn×NCO%×0.01)/42
[物性4]
(粘度)
粘度はE型粘度計(株式会社トキメック社製)により25℃で測定した。標準ローター(1°34’×R24)を用いた。回転数は、以下のとおりである。
(回転数)
100r.p.m.(128mPa・s未満の場合)
50r.p.m.(128mPa・s以上256mPa・s未満の場合)
20r.p.m.(256mPa・s以上640mPa・s未満の場合)
10r.p.m.(640mPa・s以上1280mPa・s未満の場合)
5r.p.m.(1280mPa・s以上2560mPa・s未満の場合)
2.5r.p.m.(2560mPa・s以上5120mPa・s未満の場合)
[物性5]
(NCO/OH)
ポリオールの水酸基に対するポリイソシアネートのイソシアネート基のモル比NCO/OHは、製造に用いたポリオールの水酸基のモル量と、ポリイソシアネートの原料であるジイソシアネートのイソシアネート基のモル量を用いて算出した。
[評価1]
(作業性)
実使用環境における作業性を考慮して、上記物性4で測定された各ポリイソシアネート組成物の粘度を以下の評価基準に従って評価した。
(評価基準)
○:500mPa・s以上4500mPa・s以下
△:4501mPa・s以上20000mPa・s以下
×:20001mPa・s以上
[評価2]
(水分散性)
50gの蓋つきのサンプル瓶に10gのイオン交換水を入れ、1gのポリイソシアネート組成物を投入し、振とう機で1分間撹拌後、10分間静置し、一回逆さまにして戻した時の状態を観察した。以下の評価基準に基づいて、水分散性を評価した。
(評価基準)
○:水に分散し、溶け残りがなく、1mm以上の沈殿もない。
×:水に分散しない、1mm以上の沈殿や分離がみられる。
[評価3]
(最大応力及び伸び率)
各ポリイソシアネート組成物に、該ポリイソシアネート組成物の総質量に対して、0.1質量%のスズ触媒(ネオスタンU-810、日東化成製)を添加し、撹拌したものを、アプリケーターを用いて剥離フィルム上に、乾燥後の厚みが60μmとなるように塗工し、23℃、50%湿度環境下で168時間養生して、ポリイソシアネート硬化物を得た。
得られたポリイソシアネート硬化物を幅10mm、長さ100mmに切断して得られた試験片をつかみ具距離20mmになるように引張試験機にセットして、速度20mm/分で引張試験を行い、最大応力及び伸び率を測定した。伸び率が50%以上、最大応力が15MPa以上であるものをそれぞれ伸び率及び最大応力が良好であると評価した。
[評価4]
(硬度)
各ポリイソシアネート組成物を、ガラス上に、乾燥後の厚みが40μmとなるように塗工し、23℃、50%湿度環境下で168時間養生して、ポリイソシアネート硬化物を得た。
得られたポリイソシアネート硬化物について、ケーニッヒ硬度計(BYK Gardner社のPendulum hardness tester)により23℃環境下でのケーニッヒ硬度(回)を測定した。ケーニッヒ硬度が140回以下であるものを柔軟性が良好であると評価した。
[評価5]
(耐候性)
各ポリイソシアネート組成物を、アプリケーターを用いてパネル上に、乾燥後の厚みが200μmとなるように塗工し、23℃、50%湿度環境下で168時間養生して、ポリイソシアネート硬化物を得た。得られたポリイソシアネート硬化物をスーパーキセノンウェザーメーター(放射照度:60W/m)に投入した。耐候性試験の条件としては、光照射時のブラックパネル温度を65℃、湿度50%に設定し、102分後、水を噴射しながら湿度95%で18分のサイクルで繰り返した。耐候性試験開始前及び2000時間後に、光沢(光の45°反射率)を、光沢度計を用いて測定した。2000時間後の光沢度を耐候性試験開始前の光沢度で除した百分率として、光沢維持率を算出した。算出された光沢維持率に基づいて、以下の評価基準に従い、耐候性について評価した。
(評価基準)
○:光沢維持率が90%以上
△:光沢維持率が80%以上90%未満
×:光沢維持率が80%未満
<ポリイソシアネートの合成>
[合成例1-1]
(イソシアヌレート構造を有するポリイソシアネートA-1の合成)
攪拌器、温度計、冷却管を取り付けた4つ口フラスコの内部を窒素置換し、HDI 1000gを仕込み、67℃で攪拌下、触媒としてテトラメチルアンモニウムカプリエート0.1gを加えた。4時間後、反応液の屈折率測定により設定した反応終点を確認し、リン酸0.2gを添加して反応を停止した。その後、反応液を濾過した後、未反応のHDIモノマーを薄膜蒸留装置により除去することにより、イソシアヌレート構造を有するポリイソシアネートA-1を得た。得られたポリイソシアネートA-1のイソシアネート基含有率は23.3質量%であり、平均イソシアネート官能基数は3.23、重量平均分子量は760であった。
[合成例1-2]
(イソシアヌレート基を有するポリイソシアネートA-2の合成)
攪拌器、温度計、冷却管を取り付けた4つ口フラスコの内部を窒素置換し、HDI 1000gを仕込み、66℃で攪拌下、触媒としてベンジルトリメチルアンモニウムプロピオネート0.08g及び2エチルヘキサノール1.6gを加えた。4時間後、反応液の屈折率測定により設定した反応終点を確認し、リン酸0.2gを添加して反応を停止した。その後、反応液を濾過した後、未反応のHDIモノマーを薄膜蒸留装置により除去することにより、イソシアヌレート構造を有するポリイソシアネートA-2を得た。得られたポリイソシアネートA-2のイソシアネート基含有率は22.3質量%であり、イソシアネート平均官能基数は3.12、重量平均分子量は810であった。
[合成例2-1]
(ウレタン基を有するポリイソシアネートB-1の合成)
温度計、攪拌羽根、還流冷却管を取り付けた四ツ口フラスコに、窒素気流下で、HDI 100質量部を仕込み、3官能のポリカプロラクトンポリオール(数平均分子量850、ダイセル社製、商品名「プラクセル308」)34質量部(3官能のポリカプロラクトンポリオールの水酸基に対するHDIのイソシアネート基のモル比NCO/OHが10.1となる量)を撹拌しながら、反応器内温度を97℃に保持し100分間保持した。収率が40質量%になった時点で反応を停止した。反応液をろ過した後、未反応のHDIを薄膜蒸留装置により除去して、ポリイソシアネートB-1を得た。
[合成例2-2]
(ウレタン基を有するポリイソシアネートB-2の合成)
温度計、攪拌羽根、還流冷却管を取り付けた四ツ口フラスコに、窒素気流下で、HDI 100質量部を仕込み、3官能のポリカプロラクトンポリオール(数平均分子量1250、ダイセル社製、商品名「プラクセル312」)36質量部(3官能のポリカプロラクトンポリオールの水酸基に対するHDIのイソシアネート基のモル比NCO/OHが13.6となる量)を撹拌しながら、反応器内温度を97℃に保持し100分間保持し、反応を停止した。反応液をろ過した後、未反応のHDIを薄膜蒸留装置により除去して、ポリイソシアネートB-2を得た。
[合成例2-3]
(ウレタン基を有するポリイソシアネートB-3の合成)
温度計、攪拌羽根、還流冷却管を取り付けた四ツ口フラスコに、窒素気流下で、HDI 100質量部を仕込み、2官能のポリエーテルポリオール(数平均分子量400、PEGタイプ)24質量部(2官能のポリエーテルポリオールの水酸基に対するHDIのイソシアネート基のモル比NCO/OHが9.4となる量)とネオペンチルグリコール3.4質量部を撹拌しながら、反応器内温度を92℃に保持し5時間保持した。反応液をろ過した後、未反応のHDIを薄膜蒸留装置により除去して、イソシアネート基含有率が15.7質量%、イソシアネート平均官能基数が2.05であるポリイソシアネート組成物B―3を得た。
<ポリイソシアネート組成物の製造>
[実施例1]
(ポリイソシアネート組成物P-a1の製造)
温度計、攪拌羽根及び還流冷却管を取り付けた四ツ口フラスコに、窒素気流下で、合成例1-1で得られたポリイソシアネートA-1:80質量部、B-1:20質量部、メトキシポリエチレングリコール(以下、「PO-1」と略記する場合がある)(エチレンオキサイドの繰り返し数:15、日本乳化剤株式会社製):6.5質量部、及び2-エチルヘキシルアシッドホスフェート(JP-508T、城北化学工業株式会社製):0.08質量部を混合し、95℃で2時間撹拌して、ポリイソシアネート組成物P-a1を得た。
[実施例2~10及び比較例1~4]
(ポリイソシアネート組成物P-a2~P-a10及びP-b1~P-b4の製造)
以下の各表に示す組成となるように各成分を配合した以外は、実施例1と同様の方法を用いて各ポリイソシアネート組成物を得た。
実施例及び比較例で得られたポリイソシアネート組成物の物性、及び上記記載の方法による評価の結果を以下の各表に示す。なお、各表において、「イソシアヌレート基含有PI」とは、イソシアヌレート基を有するポリイソシアネートを意味し、「ウレタン基含有PI」とは、ウレタン基を有するポリイソシアネートを意味する。
Figure 2023057551000004
Figure 2023057551000005
Figure 2023057551000006
表1から、脂肪族又は脂環族ポリイソシアネートと数平均分子量500以上であるポリオールとから誘導された、ウレタン基を有するポリイソシアネートと、イソシアヌレート基を有するポリイソシアネートと、を含み、ポリオールの水酸基に対する脂肪族又は脂環族ポリイソシアネートのイソシアネート基の比NCO/OHが特定の範囲であり、ウレタン基を有するポリイソシアネート及び前記イソシアヌレート基を有するポリイソシアネートのイソシアネート基の少なくとも一部が親水性化合物で変性されており、且つ、ポリイソシアネート組成物の重量平均分子量が特定の範囲である、ポリイソシアネート組成物P-a1~P-a10(実施例1~10)では、水分散性が良好であり、且つ、ポリイソシアネート組成物単独を硬化してなるポリイソシアネート硬化物の、最大応力、伸び率、硬度、及び耐候性の全てが優れていた。
また、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルの配合量が異なるポリイソシアネート組成物P-a1及びP-a2(実施例1及び2)の比較において、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルの配合量が増加するほど、最大応力及び伸び率により優れ、硬度が低く、柔軟性により優れる傾向がみられた。
また、イソシアヌレート基を有するポリイソシアネートと、ウレタン基を有するポリイソシアネートの配合比率が異なるポリイソシアネート組成物P-a1、P-a3~P-a5、及びP-a8(実施例1、3~5、及び8)、並びに、P-a9及びP-a10(実施例9及び10)の比較において、ウレタン基を有するポリイソシアネートの配合比率が増加するほど、伸び率により優れる傾向がみられた。
また、使用したイソシアヌレート基を有するポリイソシアネートの種類が異なるポリイソシアネート組成物P-a3及びP-a6(実施例3及び6)の比較において、ポリイソシアネートA-2を使用したほうが、最大応力及び伸び率により優れ、硬度が低く、柔軟性により優れる傾向がみられた。
また、使用したウレタン基を有するポリイソシアネートの種類が異なるポリイソシアネート組成物P-a2及びP-a7(実施例2及び7)の比較において、ポリイソシアネートB-1を使用したほうが伸び率により優れ、一方、ポリイソシアネートB-2を使用したほうが最大応力により優れ、硬度が低く、柔軟性により優れる傾向がみられた。
一方、表2から、重量平均分子量が900未満であるポリイソシアネート組成物P-b1(比較例1)、ポリオールに由来する構造単位を含まないポリイソシアネート組成物P-b2及びP-b3(比較例2及び3)、並びに、イソシアヌレート基を有するポリイソシアネートを含まないポリイソシアネート組成物P-b4(比較例4)では、水分散性、並びに、ポリイソシアネート組成物単独を硬化してなるポリイソシアネート硬化物の、最大応力、伸び率、硬度、及び耐候性の全てが優れるものは得られなかった。
本実施形態のポリイソシアネート組成物によれば、水分散性が良好であり、且つ、ポリイソシアネート組成物単独を硬化してなるポリイソシアネート硬化物の、最大応力、伸び率、硬度、及び耐候性に優れるポリイソシアネート組成物を提供することができる。

Claims (17)

  1. 脂肪族又は脂環族ポリイソシアネートと、数平均分子量500以上であるポリオールと、から誘導された、ウレタン基を有するポリイソシアネートと、
    イソシアヌレート基を有するポリイソシアネートと、
    を含む、ポリイソシアネート組成物であって、
    前記ポリオールの水酸基に対する前記脂肪族又は脂環族ポリイソシアネートのイソシアネート基のモル比NCO/OHが2以上30以下であり、且つ、
    前記ウレタン基を有するポリイソシアネート及び前記イソシアヌレート基を有するポリイソシアネートのイソシアネート基の少なくとも一部が親水性化合物で変性されており、
    前記ポリイソシアネート組成物の重量平均分子量が900以上である、ポリイソシアネート組成物。
  2. 前記ポリイソシアネート組成物の25℃における粘度が300mPa・s以上20000mPa・s以下である、請求項1に記載のポリイソシアネート組成物。
  3. 前記イソシアヌレート基を有するポリイソシアネートの重量平均分子量が900以下である、請求項1又は2に記載のポリイソシアネート組成物。
  4. 前記親水性化合物が、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルである、請求項1又は2に記載のポリイソシアネート組成物。
  5. 前記ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルのアルキレンオキサイドの繰り返し数が3以上である、請求項4に記載のポリイソシアネート組成物。
  6. 前記ポリイソシアネート組成物のイソシアネート基含有率が19.7質量%以下である、請求項1又は2に記載のポリイソシアネート組成物。
  7. 前記ポリイソシアネート組成物の平均イソシアネート官能基数が2.00以上6.00以下である、請求項1又は2に記載のポリイソシアネート組成物。
  8. 前記ポリオールが、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、エポキシポリオール、ポリオレフィンポリオール、及びポリカーボネートポリオールからなる群より選ばれる1種以上のポリオールである、請求項1又は2に記載のポリイソシアネート組成物。
  9. 前記ポリオールが、ポリエステルポリオール、及びポリエーテルポリオールからなる群より選ばれる1種以上のポリオールである、請求項1又は2に記載のポリイソシアネート組成物。
  10. 請求項1又は2に記載のポリイソシアネート組成物をイオン交換水に10質量%濃度となるように添加し、1分間振盪撹拌してなる、ポリイソシアネート組成物の分散液であって、
    水分散性を有する、ポリイソシアネート組成物の分散液。
  11. 請求項1又は2に記載のポリイソシアネート組成物を23℃、50%湿度環境下で168時間硬化させてなる、ポリイソシアネート硬化物。
  12. 前記ポリイソシアネート硬化物の厚みが5μm以上5000μm以下である、請求項11に記載のポリイソシアネート硬化物。
  13. 厚み60μmの前記ポリイソシアネート硬化物を幅10mm、長さ100mmに切断してなる試験片をつかみ具距離が20mmになるように引張試験機にセットして、速度20mm/分で測定された引張試験における伸び率が50%以上である、請求項11に記載のポリイソシアネート硬化物。
  14. 厚み60μmの前記ポリイソシアネート硬化物を幅10mm、長さ100mmに切断してなる試験片をつかみ具距離が20mmになるように引張試験機にセットして、速度20mm/分で測定された引張試験における最大応力が15MPa以上である、請求項11に記載のポリイソシアネート硬化物。
  15. 厚み40μmの前記ポリイソシアネート硬化物のケーニッヒ硬度が140回以下である、請求項11に記載のポリイソシアネート硬化物。
  16. 請求項1又は2に記載のポリイソシアネート組成物と、ポリオールと、を含む、樹脂組成物。
  17. 請求項16に記載の樹脂組成物を硬化させてなる、樹脂硬化物。
JP2022163125A 2021-10-11 2022-10-11 ポリイソシアネート組成物、ポリイソシアネート硬化物、樹脂組成物、及び樹脂硬化物 Pending JP2023057551A (ja)

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