JP2024070486A - ポリイソシアネート組成物、樹脂組成物及び樹脂硬化物 - Google Patents

ポリイソシアネート組成物、樹脂組成物及び樹脂硬化物 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリイソシアネート組成物、樹脂組成物及び樹脂硬化物の提供。【解決手段】ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物であって、前記ポリイソシアネート組成物は、重量平均分子量が500以上10000以下であり、25℃粘度が10000mPa・s以下であって、前記ポリイソシアネートは、脂肪族ジイソシアネートまたは脂環族ジイソシアネートと、ポリオールと、から誘導され、前記ポリオールは、数平均分子量Mnが150以上840以下であり、2官能以上3官能以下であり、前記ポリイソシアネートは、ポリオールの水酸基に対する脂肪族又は脂環族ジイソシアネートのイソシアネート基のモル比NCO/OHが2以上30以下である、ポリイソシアネート組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリイソシアネート組成物、樹脂組成物及び樹脂硬化物に関する。
脂肪族系ポリイソシアネートを硬化剤とする塗料組成物から形成される塗膜は、耐候性等の塗膜特性に優れるため、広く使用されている。
例えばイソシアヌレート基を有するイソシアヌレート型ポリイソシアネートを使用した塗料を用いて形成した塗膜は、耐候性等の塗膜物性に優れることが知られている(特許文献1参照)。
屋外で使用する塗料や接着剤には、耐候性、外的な衝撃や力によって破壊され難い強度と伸び率、硬度、使用時の作業性を考慮した適切な粘度等の物性に加え、自然環境や労働環境への配慮から、近年では塗料、樹脂組成物、接着剤等には、有機溶剤を使用しない無溶剤化や有機溶剤の使用料低減、低VOC化が求められている。
例えば、特許文献2は、ノニオン型水分散性ブロックポリイソシアネートを主成分とする水性ウレタンエマルジョンを開示している。
特開昭55-038380号公報 特開昭62-151419号公報
特許文献2に記載の従来の水性ウレタンエマルジョンは、有機溶剤を使用しない水性塗料として使用できるものの、硬化膜の物性については十分な検討がされていなかった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、ポリイソシアネート組成物は無溶剤で使用可能であって、ポリイソシアネート組成物を硬化した硬化物の物性に優れるポリイソシアネート組成物、このポリイソシアネート組成物を含む樹脂組成物及び樹脂硬化物を提供することを目的とする。
ここで、ポリイソシアネート組成物を硬化した硬化物の物性とは、硬化物の引張試験における最大応力、伸び率、伸び率が10%時の応力、及びケーニッヒ硬度を意味する。
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
[1]ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物であって、
前記ポリイソシアネート組成物は、重量平均分子量が500以上10000以下であり、25℃粘度が10000mPa・s以下であって、前記ポリイソシアネートは、脂肪族ジイソシアネートまたは脂環族ジイソシアネートと、ポリオールと、から誘導され、前記ポリオールは、数平均分子量Mnが150以上840以下であり、2官能以上3官能以下であり、前記ポリイソシアネートは、ポリオールの水酸基に対する脂肪族又は脂環族ジイソシアネートのイソシアネート基のモル比NCO/OHが2以上30以下である、ポリイソシアネート組成物。
[2]前記ポリイソシアネート組成物は、NCO官能基の含有率が9.1%以上20.0%以下である、[1]に記載のポリイソシアネート組成物。
[3]前記ポリイソシアネート組成物は、平均イソシアネート官能基数が1.7以上2.9以下である、[1]又は[2]に記載のポリイソシアネート組成物。
[4]前記ポリイソシアネートは、炭素数が2以上18以下のアルコールによって変性された変性ポリイソシアネートである、[1]~[3]のいずれか1つに記載のポリイソシアネート組成物。
[5]前記アルコールは水酸基を2つ有する、[4]に記載のポリイソシアネート組成物。
[6]前記ポリイソシアネートは、ウレタン基及びアロファネート基のいずれか一方又は両方を含む、[1]~[5]のいずれか1つに記載のポリイソシアネート組成物。
[7]前記ポリイソシアネートはウレタン基を含み、ウレタン基、アロファネート基、ウレア基、イソシアヌレート基、ウレトジオン基のうちで、ウレタン基のモル比率が最大である、[1]~[6]のいずれか1つに記載のポリイソシアネート組成物。
[8]前記ポリオールは、ポリエステルポリオール、又はポリエーテルポリオールの少なくとも1種以上である、[1]~[7]のいずれか1つに記載のポリイソシアネート組成物。
[9]100質量部の前記脂肪族ジイソシアネートまたは脂環族ジイソシアネートに対する、前記ポリオールの含有量が0.1質量部以上150質量部以下であり、100質量部の前記脂肪族ジイソシアネートまたは脂環族ジイソシアネートに対する、炭素数が2以上18以下のアルコールの含有量が0.1質量部以上10質量部以下である、[1]~[8]のいずれか1つに記載のポリイソシアネート組成物。
[10]前記ポリイソシアネート組成物を下記の条件で硬化した硬化膜は、23℃におけるケーニッヒ硬度が20回以上130回以下である、[1]~[9]のいずれか1つに記載のポリイソシアネート組成物。
(条件)
前記ポリイソシアネート組成物を塗工し、膜厚が50μmの塗膜を得る。前記塗膜を23℃、湿度50%の条件で168時間養生して硬化し、硬化膜を得る。
[11]前記硬化膜は、最大応力が20MPa以上、伸び率が80%以上である、[10]に記載のポリイソシアネート組成物。
[12]架橋性官能基含有ポリマーと、[1]~[11]のいずれか1つに記載のポリイソシアネート組成物とを含む、樹脂組成物。
[13]前記架橋性官能基含有ポリマーが含有する官能基は、水酸基、カルボキシ基、エポキシ基、オキセタン基、アミノ基の少なくとも1種以上である、[12]に記載の樹脂組成物。
[14]前記架橋性官能基含有ポリマーはアクリルポリオール、又はポリアミンである、[12]又は[13]に記載の樹脂組成物。
[15][12]~[14]のいずれか1つに記載の樹脂組成物が硬化した樹脂硬化物。
[16]前記樹脂硬化物は樹脂硬化膜であり、前記樹脂硬化膜は最大応力が20MPa以上、伸び率が80%以上、伸び率が10%のときの応力が10MPa以上である、[15]に記載の樹脂硬化物。
[17]前記樹脂硬化物はガラス上に形成した樹脂硬化膜であり、前記樹脂硬化膜はケーニッヒ硬度が20回以上130回以下である、[15]に記載の樹脂硬化物。
[18]ゲル分率が80質量%以上である、[15]~[17]のいずれか1つに記載の樹脂硬化膜。
本発明によれば、ポリイソシアネート組成物は無溶剤で使用可能であって、ポリイソシアネート組成物を硬化した硬化物の物性に優れるポリイソシアネート組成物、このポリイソシアネート組成物を含む樹脂組成物及び樹脂硬化物を提供することができる。
なお、本明細書において、「ポリオール」とは、一分子中に2つ以上のヒドロキシ基(-OH)を有する化合物を意味する。
また、本明細書において、「ポリイソシアネート」とは、2つ以上のイソシアネート基(-NCO)を有する単量体化合物が複数結合した反応物を意味する。
また、本明細書において、特に断りがない限り、「(メタ)アクリル」は、メタクリルとアクリルとを包含し、「(メタ)アクリレート」はメタクリレートとアクリレートとを包含するものとする。
<ポリイソシアネート組成物>
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、ポリイソシアネートを含む。
(重量平均分子量)
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、重量平均分子量が500以上10000以下であり、550以上が好ましく、560以上がより好ましく、570以上がさらに好ましい。ポリイソシアネート組成物は、重量平均分子量の上限値は特に限定されず、例えば9000以下、8000以下、7000以下である。
ポリイソシアネート組成物の重量平均分子量は、例えば550以上9000以下、560以上8000以下、570以上7000以下である。
重量平均分子量が上記下限値以上であるポリイソシアネート組成物を硬化させると、最大応力及び伸び率に優れるポリイソシアネート硬化物が得られる。一方、重量平均分子量が上記上限値以下であるポリイソシアネート組成物を硬化させると、最大応力に優れるポリイソシアネート硬化物が得られる。
[重量平均分子量の測定方法]
本実施形態のポリイソシアネート組成物の重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」と略記する場合がある)により測定することができる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物の重量平均分子量は、原料となる脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート及びポリオールの重量平均分子量を適宜選択することで、調整することできる。
(粘度)
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、25℃における粘度が10000mPa・s以下である。
25℃におけるポリイソシアネート組成物の粘度は、9000mPa・s以下が好ましく、8000mPa・s以下がより好ましく、7000mPa・s以下がさらに好ましい。
25℃におけるポリイソシアネート組成物の粘度の下限値は特に限定されないが、例えば200mPa・s以上、300mPa・s以上、400mPa・s以上、500mPa・s以上である。
25℃におけるポリイソシアネート組成物の粘度は、例えば200mPa・s以上10000mPa・s以下、300mPa・s以上9000mPa・s以下、400mPa・s以上8000mPa・s以下、500mPa・s以上7000mPa・s以下である。
25℃における粘度が上記範囲であることで、本実施形態のポリイソシアネート組成物は溶剤を用いないで使用することができる。
ポリイソシアネート組成物の25℃における粘度は、ポリイソシアネート組成物が有機溶剤を含まない場合には、例えば、E型粘度計(株式会社トキメック社製)により25℃下で測定することができる。
ポリイソシアネート組成物が有機溶剤を含む場合には、エバポレーター及び真空乾燥機により、ポリイソシアネート組成物に含まれる有機溶剤を除去した後、E型粘度計(株式会社トキメック社製)により25℃下で測定することができる。
[イソシアネート基含有率(NCO基の含有率)]
ポリイソシアネート組成物のNCO官能基の含有率は、9.1%以上20.0%以下であることが好ましい。
本実施形態のポリイソシアネート組成物のイソシアネート基含有率(NCO基含有率)は、実質的に溶剤やジイソシアネートを含んでいない状態で、ポリイソシアネート組成物の総質量に対して20.0質量%以下であることが好ましく、10質量%以上19.5質量%以下であることがより好ましく、11質量%以上19.3質量%以下であることがさらに好ましく、11.5質量%以上19.0質量%以下であることが好ましく、12.0質量%以上19.0質量%以下であることが好ましく、12.5質量%以上19.0質量%以下であることが好ましく、13.0質量%以上19.0質量%以下であることが特に好ましい。
ポリイソシアネート組成物のイソシアネート基含有率が上記上限値以下であることで、ポリイソシアネート組成物を硬化した硬化物の伸び率をより良好なものとすることができる。一方、上記下限値以上であることで、ポリイソシアネート組成物を硬化した硬化物の硬度をより良好なものとすることができる。
ポリイソシアネート組成物のNCO基の含有率は、例えば、ポリイソシアネート組成物のイソシアネート基を過剰のアミン(ジブチルアミン等)と反応させ、残ったアミンを塩酸等の酸で逆滴定することによって求めることができる。
≪ポリイソシアネート≫
ポリイソシアネートは、脂肪族ジイソシアネートまたは脂環族ジイソシアネートと、数平均分子量Mnが150以上840以下の2官能以上3官能以下のポリオールと、から誘導されるポリイソシアネートである。
ポリイソシアネートは、ポリオールの水酸基に対する脂肪族又は脂環族ジイソシアネートのイソシアネート基のモル比NCO/OHは2以上30以下である。
ポリイソシアネートを構成する、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート及びポリオールに関する説明は、後述する。
ポリイソシアネートは、ポリオールの水酸基に対する脂肪族又は脂環族ジイソシアネートのイソシアネート基のモル比NCO/OHが2以上30以下であり、2.2以上25以下であることが好ましい。
NCO/OHが上記下限値以上であることで、ポリイソシアネート組成物を硬化した硬化物の最大応力を良好なものとすることができる。一方、上記上限値以下であることで、ポリイソシアネート組成物を硬化した硬化物の伸びを良好なものとすることができる。
NCO/OHは、例えば、ポリイソシアネート組成物の製造時に用いられるポリオールの水酸基のモル量と、ポリイソシアネートの原料であるジイソシアネートモノマーのイソシアネート基のモル量を用いて算出することができる。
[平均イソシアネート官能基数]
ポリイソシアネートの平均イソシアネート官能基数は、ポリイソシアネート組成物の硬化性及び塗膜強度を高める点で、1.7以上2.9以下が好ましく、1.8以上2.8以下がより好ましく、1.9以上2.7以下がさらに好ましい。
ポリイソシアネートの平均イソシアネート官能基数が上記下限値以上であることで、ポリイソシアネート組成物を硬化した硬化物の硬度及び引張強度をより良好なものとすることができる。
一方、上記上限値以下であることで、ポリイソシアネート組成物を硬化した硬化物の伸び率をより良好なものとすることができる。
ポリイソシアネートの平均イソシアネート官能基数は、後述する実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
ポリイソシアネートは、炭素数が2以上18以下のアルコールによって変性されていることが好ましい。これにより、有機溶剤を使用しないポリイソシアネート組成物とすることができる。
アルコールは水酸基を2つ有する2価のアルコールであることが好ましい。2価のアルコールは、例えば、1,2-エタンジオール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、2-クロロ-1,3-プロパンジオール、3-クロロ-1,2-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、2-メチル-1,2-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2,3-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,3-ジメチル-2,3-ブタンジオール、2-ブチン-1,4-ジオールが挙げられる。
ポリイソシアネートは、ウレタン基及びアロファネート基のいずれか一方又は両方を含むことが好ましい。また、ウレタン基及びアロファネート基を両方含む場合、ウレタン基のモル量は、アロファネート基のモル量よりも大きいことがより好ましい。
ポリイソシアネートは、ウレタン基を含み、ウレタン基、アロファネート基、ウレア基、イソシアヌレート基、ウレトジオン基のうちで、ウレタン基のモル比率が最大であることが好ましい。
ウレタン基のモル比率は、例えば、H-核磁気共鳴(NMR)スペクトル法、13C-NMRスペクトル法、赤外線吸収(IR)スペクトル法、質量分析(MS)法、により算出することができる。
(脂肪族又は脂環族ポリイソシアネート)
脂肪族又は脂環族ポリイソシアネートは、脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種から誘導されたものである。
脂肪族ジイソシアネートとしては、以下のものに限定されないが、例えば、1,4-ジイソシアナトブタン、1,5-ジイソシアナトペンタン、エチル(2,6-ジイソシアナト)ヘキサノエート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、「HDI」と略記する場合がある)、1,9-ジイソシアナトノナン、1,12-ジイソシアナトドデカン、2,2,4-又は2,4,4-トリメチル-1、6-ジイソシアナトヘキサン等が挙げられる。これら脂肪族ジイソシアネートを単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
脂環族ジイソシアネートとしては、以下のものに限定されないが、例えば、1,3-又は1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(以下、「水添XDI」と略記する場合がある)、1,3-又は1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、3,5,5-トリメチル1-イソシアナト-3-(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(以下、「IPDI」と略記する場合がある)、4-4’-ジイソシアナト-ジシクロヘキシルメタン(以下、「水添MDI」と略記する場合がある)、2,5-又は2,6-ジイソシアナトメチルノルボルナン等が挙げられる。これら脂環族ジイソシアネートを単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
これら脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートは、いずれを単独で使用してもよく、脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートを2種以上組み合わせて用いてもよい。
また、柔軟性の観点から、脂肪族ジイソシアネートに対する脂環族ポリイソシアネートの質量比は、0/100以上30/70以下であることが好ましい。
中でも、ジイソシアネートとしては、HDI、IPDI、水添XDI、又は水添MDIが好ましく、HDI又はIPDIがより好ましく、HDIがさらに好ましい。
ポリイソシアネートの製造には、上述したジイソシアネートに加えて、以下に示すようなイソシアネートモノマーを更に用いてもよい。
(1)ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート(MDI)、1,5-ナフタレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等の芳香族ジイソシアネート。
(2)4-イソシアネートメチル-1,8-オクタメチレンジイソシアネート(以下、「NTI」と称する場合がある)、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート(以下、「HTI」と称する場合がある)、ビス(2-イソシアナトエチル)2-イソシアナトグルタレート(以下、「GTI」と称する場合がある)、リジントリイソシアネート(以下、「LTI」と称する場合がある)等のトリイソシアネート。
(ポリオール)
ポリオールは2官能以上3官能以下であり、数平均分子量150以上840以下であり、200以上800以下であることが好ましく、200以上750以下であることが好ましく、200以上700以下であることが好ましく、200以上600以下であることが好ましい。ポリオールの数平均分子量が上記下限値以上であることで、ポリイソシアネート硬化物の伸度が大きく、柔軟性が良好なものとなる。
ポリオールの数平均分子量Mnは、例えば、GPC測定によるポリスチレン基準の数平均分子量である。また、ポリオールを2種以上混合して用いる場合には、その混合物の数平均分子量を算出する。
ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、エポキシポリオール、ポリオレフィンポリオール、及びポリカーボネートポリオールからなる群より選ばれる1種以上のポリオールが好ましく、ポリエステルポリオール、及びポリエーテルポリオールからなる群より選ばれる1種以上のポリオールがより好ましい。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、以下の(1)又は(2)のいずれかのポリエステルポリオール等が挙げられる。
(1)二塩基酸の単独又は2種以上の混合物と、2価以上のアルコールの単独又は2種以上の混合物との縮合反応によって得られるポリエステルポリオール。
(2)ε-カプロラクトンを2価以上のアルコールで開環重合して得られるポリカプロラクトンポリオール。
前記二塩基酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等のカルボン酸等が挙げられる。
前記2価以上のアルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、トリメチルペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、2-メチロールプロパンジオール、エトキシ化トリメチロールプロパン等が挙げられる。
中でも、ポリオールとしては、2官能以上3官能以下のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールが好ましい。ポリエステルポリオールとしてはポリカプロラクトンポリオールが特に好ましい。
ポリエーテルポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、アルカリ金属の水酸化物、又は、強塩基性触媒を使用して、多価アルコールの単独又は混合物に、アルキレンオキサイドの単独又は混合物を付加して得られるポリエーテルポリオール、ポリアミン化合物にアルキレンオキサイドを反応させて得られるポリエーテルポリオール、上記ポリエーテル類を媒体としてアクリルアミド等を重合して得られるいわゆるポリマーポリオールが挙げられる。
アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。
強塩基性触媒としては、例えば、アルコラート、アルキルアミン等が挙げられる。
多価アルコールとしては、上記ポリエステルポリオールにおいて2価以上のアルコールとして例示されたものと同様のものが挙げられる。
アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、スチレンオキサイド等が挙げられる。
ポリアミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン等が挙げられる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、100質量部の脂肪族ジイソシアネートまたは脂環族ジイソシアネートに対する、ポリオールの含有量が0.1質量部以上50質量部以下であることが好ましく、5質量部以上45質量部以下がより好ましく、7質量部以上40質量部以下がさらに好ましい。
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、100質量部の脂肪族ジイソシアネートまたは脂環族ジイソシアネートに対する、炭素数が2以上18以下のアルコールの含有量が0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上8質量部以下がより好ましく、0.2質量部以上7質量部以下がさらに好ましい。
≪ポリイソシアネート組成物の製造方法≫
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、前記ポリイソシアネートからなっていてもよく、他の成分を含んでいてもよいが、前記ポリイソシアネートからなることが好ましい。
本実施形態のポリイソシアネート組成物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、ジイソシアネートモノマーを、イソシアヌレート化触媒及び助触媒としてのアルコールを使用して、反応させる方法が挙げられる。
脂肪族又は脂環族ジイソシアネートからイソシアヌレート基を有するポリイソシアネートを誘導するための触媒としては、一般的に使用されるイソシアヌレート化反応触媒が挙げられる。
イソシアヌレート化反応触媒としては、特に限定されないが、一般に塩基性を有するものであることが好ましい。イソシアヌレート化反応触媒として具体的には、例えば、以下に示すもの等が挙げられる。
1)テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等のテトラアルキルアンモニウムのハイドロオキサイド、及び、前記テトラアルキルアンモニウムの酢酸塩、プロピオン酸塩、オクチル酸塩、カプリン酸塩、ミリスチン酸塩、安息香酸塩等の有機弱酸塩。
2)ベンジルトリメチルアンモニウム、トリメチルフェニルアンモニウム等のアリールトリアルキルアンモニウムのハイドロオキサイド、及び、前記アリールトリアルキルアンモニウムの酢酸塩、プロピオン酸塩、オクチル酸塩、カプリン酸塩、ミリスチン酸塩、安息香酸塩等の有機弱酸塩。
3)トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム、トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリエチルヒドロキシエチルアンモニウム、トリエチルヒドロキシプロピルアンモニウム等のヒドロキシアルキルアンモニウムのハイドロオキサイド、及び、前記ヒドロキシアルキルアンモニウムの酢酸塩、プロピオン酸塩、オクチル酸塩、カプリン酸塩、ミリスチン酸塩、安息香酸塩等の有機弱酸塩。
4)酢酸、プロピオン酸、カプロン酸、オクチル酸、カプリン酸、ミリスチン酸等のアルキルカルボン酸の錫、亜鉛、鉛等の金属塩。
5)ナトリウム、カリウム等の金属アルコラート。
6)ヘキサメチレンジシラザン等のアミノシリル基含有化合物。
7)マンニッヒ塩基類。
8)第3級アミン類とエポキシ化合物との混合物。
9)トリブチルホスフィン等の燐系化合物。
中でも、不要な副生成物を生じさせにくい観点からは、イソシアヌレート化反応触媒としては、4級アンモニウムのハイドロオキサイド又は4級アンモニウムの有機弱酸塩であることが好ましく、テトラアルキルアンモニウムのハイドロオキサイド、テトラアルキルアンモニウムの有機弱酸塩、アリールトリアルキルアンモニウムのハイドロオキサイド、又は、アリールトリアルキルアンモニウムの有機弱酸塩であることがより好ましい。
上述したイソシアヌレート化反応触媒の使用量の上限値は、仕込んだ脂肪族又は脂環族ジイソシアネートの質量に対して、1000質量ppmであることが好ましく、500質量ppmであることがより好ましく、100質量ppmであることがさらに好ましい。
一方、上述したイソシアヌレート化反応触媒の使用量の下限値は、特別な限定はないが、例えば、10質量ppmであってもよい。
イソシアヌレート化反応温度としては、50℃以上120℃以下であることが好ましく、55℃以上90℃以下であることがより好ましい。イソシアヌレート化反応温度が上記上限値以下であることによって、ポリイソシアネートの着色等をより効果的に抑制できる傾向にある。
所望の転化率(仕込んだ脂肪族又は脂環族ジイソシアネートの質量に対する、イソシアヌレート化反応で生成したポリイソシアネートの質量の割合)になった時点で、イソシアヌレート化反応を、酸性化合物(例えば、リン酸、酸性リン酸エステル等)の添加によって停止する。
なお、ポリイソシアネートを得るためには、反応の進行を初期で停止する必要がある。
しかしながら、イソシアヌレート化反応は、初期の反応速度が非常に速いため、反応の進行を初期で停止することに困難が伴い、反応条件、特に触媒の添加量及び添加方法は慎重に選択する必要がある。例えば、触媒の一定時間毎の分割添加方法等が好適なものとして推奨される。
したがって、ポリイソシアネートを得るためのイソシアヌレート化反応の転化率は、10%以上60%以下であることが好ましく、11%以上55%以下であることがより好ましく、12%以上50%以下であることがさらに好ましい。
イソシアヌレート化反応の転化率が上記上限値以下であることによって、ポリイソシアネートをより低粘度とすることができる。また、イソシアヌレート化反応の転化率が上記下限値以上であることによって、反応停止操作をより容易に行うことができる。
また、イソシアヌレート基を有するポリイソシアネートを誘導する際に、上記脂肪族又は脂環族ジイソシアネート以外に1価以上6価以下のアルコールを用いることができる。
1価以上6価以下のアルコールとしては、例えば、モノアルコール類、ジオール類、トリオール類、テトラオール類等の多価アルコールが挙げられる。
モノアルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、n-ペンタノール、n-ヘキサノール、n-オクタノール、n-ノナノール、2-エチルブタノール、2,2-ジメチルヘキサノール、2-エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、エチルシクロヘキサノール等が挙げられる。
ジオール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、2-メチル-1,2-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2,3-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,3-ジメチル-2,3-ブタンジオール、2-エチル-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,2-デカンジオール、2,2,4-トリメチルペンタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール等が挙げられる。
トリオール類としては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
テトラオール類としては、例えば、ペンタエリトリトール等が挙げられる。
ポリイソシアネート組成物を下記の条件で、単独で硬化した硬化膜は、23℃におけるケーニッヒ硬度が20回以上130回以下であることが好ましい。
(条件)
前記ポリイソシアネート組成物を塗工し、膜厚が50μmの塗膜を得る。前記塗膜を23℃、湿度50%の条件で168時間養生して硬化し、硬化膜を得る。
ポリイソシアネート組成物を上記の条件で、単独で硬化した硬化膜は、最大応力が20MPa以上、伸び率が80%以上であることが好ましい。
<樹脂組成物>
本実施形態の樹脂組成物は、架橋性官能基含有ポリマーと、本実施形態のポリイソシアネート組成物とを含む。
≪架橋性官能基含有ポリマー≫
架橋性官能基含有ポリマーの官能基は、水酸基、カルボキシ基、エポキシ基、オキセタン基、アミノ基の少なくとも1種以上であることが好ましい。
架橋性官能基含有ポリマーとしては、上記ポリイソシアネートA及びBのイソシアネート基と反応し得る架橋性官能基を含有するポリマーであればよい。架橋性官能基含有ポリマーとしては、ポリオール又はポリアミンが好ましい。
架橋性官能基含有ポリマーとして具体的には、例えば、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、エポキシポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリアミン等が挙げられる。アクリルポリオールおよびポリアミンが好ましく、アクリルポリオールがより好ましい。
中でも、重量平均分子量が500以上100000以下である、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、エポキシポリオール、ポリオレフィンポリオール、及びポリウレタンポリオールからなる群より選ばれる1種以上のポリオールが好ましく、重量平均分子量が500以上100000以下である、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、又はポリカーボネートポリオールがより好ましい。
[アクリルポリオール]
アクリルポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、ヒドロキシ基を有するエチレン性不飽和結合含有単量体の単独又は混合物と、これと共重合可能な他のエチレン性不飽和結合含有単量体の単独又は混合物と、を共重合させることにより得られるものが挙げられる。アクリルポリオールは高硬度化、高強度化の観点からのTgが-20℃以上であることが好ましい。
前記ヒドロキシ基を有するエチレン性不飽和結合含有単量体としては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシブチル等が挙げられる。これらを単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、アクリル酸ヒドロキシエチル又はメタクリル酸ヒドロキシエチルであることが好ましい。
上記単量体と共重合可能な他のエチレン性不飽和結合含有単量体としては、例えば、以下の(1)~(5)に示すもの等が挙げられる。これらを単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(1)(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸-n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸-sec-ブチル、(メタ)アクリル酸-tert-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸へキシル、(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル((メタ)アクリル酸ラウリル)、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソステアリル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル類等。
(2)アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸。
(3)アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N-メチレンビスアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミド、1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサン、アリルグリシジルエーテル、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル等のエポキシ基を有するモノマー。N-メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等の不飽和アミド。
(4)メタクリル酸グリシジル、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、フマル酸ジブチル、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、アクリロイルモルホリン等のビニル系単量体。
(5)ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の加水分解性シリル基を有するビニル系単量体。
[ポリカーボネートポリオール]
ポリカーボネートポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、以下の(1)~(4)に示すもの等が挙げられる。
(1)ジメチルカーボネート等のジアルキルカーボネート。
(2)エチレンカーボネート等のアルキレンカーボネート。
(3)ジフェニルカーボネート等のジアリールカーボネート。
(4)上記(1)~(3)等の低分子カーボネート化合物を縮重合して得られるもの。
ポリカーボネートポリオールの市販品としては、例えば、旭化成株式会社製のデュラノールT5650E(数平均分子量500)、T5650J(数平均分子量800)、T5651(数平均分子量1000)、T5652(数平均分子量2000)等が挙げられる。
[ポリエステルポリオール]
ポリエステルポリオールは、例えば、二塩基酸の単独又は2種類以上の混合物と、多価アルコールの単独又は2種類以上の混合物とを、縮合反応させることによって得ることができる。
前記二塩基酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等のカルボン酸等が挙げられる。
前記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、トリメチルペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、2-メチロールプロパンジオール、エトキシ化トリメチロールプロパン等が挙げられる。
又は、例えば、ε-カプロラクトン等のラクトン類を、多価アルコールを用いて開環重合して得られるようなポリカプロラクトン類等もポリエステルポリオールとして用いることができる。
[ポリエーテルポリオール]
ポリエーテルポリオール類としては、特に限定されないが、例えば、以下(1)~(3)に示すもの等が挙げられる。
(1)触媒を使用して、アルキレンオキシドの単独又は混合物を、多価ヒドロキシ化合物の単独又は混合物に、ランダム又はブロック付加して、得られるポリエーテルポリオール類。
前記触媒としては、例えば、水酸化物(リチウム、ナトリウム、カリウム等)、強塩基性触媒(アルコラート、アルキルアミン等)、複合金属シアン化合物錯体(金属ポルフィリン、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛錯体等)等が挙げられる。
前記アルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド等が挙げられる。
(2)ポリアミン化合物にアルキレンオキシドを反応させて、得られるポリエーテルポリオール類。
前記ポリアミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン類、ポリアスパラギン酸エステルアミン等が挙げられる。
前記アルキレンオキシドとしては、(1)で例示されたものと同様のものが挙げられる。
(3)(1)又は(2)で得られたポリエーテルポリオール類を媒体として、アクリルアミド等を重合して得られる、いわゆるポリマーポリオール類。
前記多価ヒドロキシ化合物としては、例えば、以下の(i)~(vi)に示すものが挙げられる。
(i)ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等。
(ii)エリトリトール、D-トレイトール、L-アラビニトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ガラクチトール、ラムニトール等の糖アルコール系化合物。
(iii)アラビノース、リボース、キシロース、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、ラムノース、フコース、リボデソース等の単糖類。
(iv)トレハロース、ショ糖、マルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、メリビオース等の二糖類。
(v)ラフィノース、ゲンチアノース、メレチトース等の三糖類。
(vi)スタキオース等の四糖類。
[エポキシポリオール]
エポキシポリオールとしては、例えば、ノボラック型エポキシポリオール、β-メチルエピクロ型エポキシポリオール、環状オキシラン型エポキシポリオール、グリシジルエーテル型エポキシポリオール、グリコールエーテル型エポキシポリオール、エポキシ型脂肪族不飽和化合物、エポキシ化脂肪酸エステル、エステル型多価カルボン酸、アミノグリシジル型エポキシポリオール、ハロゲン化型エポキシポリオール、レゾルシン型エポキシポリオール等のエポキシポリオール、及びこれらエポキシポリオールをアミノ化合物、ポリアミド化合物等で変性した樹脂等が挙げられる。
[ポリオレフィンポリオール]
ポリオレフィンポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、水酸基を2個以上有するポリブタジエン、水素添加ポリブタジエン、ポリイソプレン、水素添加ポリイソプレン等が挙げられる。
ポリオールの統計的1分子が持つ水酸基数(以下、「水酸基平均数」と称する場合がある)は2以上であることが好ましい。ポリオールの水酸基平均数が2以上であることによって、本実施形態の一液型コーティング組成物を硬化させて得られる塗膜の架橋密度の低下をより抑制することができる傾向にある。
[ポリウレタンポリオール]
ポリウレタンポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、常法によりカルボキシ基を含有しないポリオールとイソシアネート成分とを反応させることにより得ることができる。
前記カルボキシ基を含有しないポリオールとしては、例えば低分子量のものとして、エチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。また、例えば高分子量のものとして、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。
[ポリアミン]
ポリアミンとしては、特に限定されないが、第1級アミノ基、第2級アミノ基又は第3級アミノ基を1分子中に2個以上有するものが好ましく、その中でも、1分子中に3個以上有するものがより好ましい。また、ポリアミンが備えるアミノ基は、第2級アミン又は第3級アミンであることが好ましい。
ポリアミンの具体例としては、特に限定されないが、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、ピペラジン、2-メチルピペラジン、イソホロンジアミン等のジアミン類;ビスヘキサメチレントリアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタメチレンヘキサミン、テトラプロピレンペンタミン等の3個以上のアミノ基を有する鎖状ポリアミン類;1,4,7,10,13,16-ヘキサアザシクロオクタデカン、1,4,7,10-テトラアザシクロデカン、1,4,8,12-テトラアザシクロペンタデカン、1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン、アスパラギン酸エステルアミン等の環状ポリアミン類が挙げられ、アスパラギン酸エステルアミンが好ましい。
[架橋性官能基含有ポリマーとの含有量比]
本実施形態の樹脂組成物において、架橋性官能基含有ポリマー100質量部に対して、上述したポリイソシアネート組成物の含有量が0.01質量部以上200.0質量部以下であることが好ましく、0.03質量部以上180.0質量部以下であることがより好ましく、0.05質量部以上160.0質量部以下であることがさらに好ましい。
〔その他成分〕
本実施形態に用いる樹脂組成物は、その他添加剤を更に含んでもよい。
その他添加剤としては、例えば、架橋性官能基含有ポリマーと反応しうるポリイソシアネート組成物以外の硬化剤、硬化触媒、溶剤、顔料類(体質顔料、着色顔料、メタリック顔料等)、粘着付与樹脂、光重合開始剤、紫外線吸収剤、光安定剤、ラジカル安定剤、焼付工程時の着色を抑える黄変防止剤、塗面調整剤、流動調整剤、顔料分散剤、消泡剤、増粘剤、造膜助剤等が挙げられる。
硬化剤としては、例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ基含有化合物又は樹脂、カルボキシ基含有化合物又は樹脂、酸無水物、アルコキシシラン基含有化合物又は樹脂、ヒドラジド化合物等が挙げられる。
硬化触媒としては、塩基性化合物であってもよく、ルイス酸性化合物であってもよい。
塩基性化合物としては、例えば、金属ヒドロキシド、金属アルコキシド、金属カルボキシレート、金属アセチルアセチネート、オニウム塩の水酸化物、オニウムカルボキシレート、オニウム塩のハロゲン化物、活性メチレン系化合物の金属塩、活性メチレン系化合物のオニウム塩、アミノシラン類、アミン類、ホスフィン類等が挙げられる。前記オニウム塩としては、アンモニウム塩、ホスホニウム塩又はスルホニウム塩が好適である。
ルイス酸性化合物としては、例えば、有機スズ化合物、有機亜鉛化合物、有機チタン化合物、有機ジルコニウム化合物等が挙げられる。
本実施形態の樹脂組成物は、自然環境や労働環境に配慮する観点から、溶剤を使用しない無溶剤であることが好ましいが、用途に応じて溶剤を使用してもよい。
溶剤を使用する場合には、例えば、1-メチルピロリドン、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(DPDM)、プロピレングリコールジメチルエーテル、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エタノール、メタノール、iso-プロパノール、1-プロパノール、iso-ブタノール、1-ブタノール、tert-ブタノール、2-エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、トルエン、キシレン、ペンタン、iso-ペンタン、ヘキサン、iso-ヘキサン、シクロヘキサン、ソルベントナフサ、ミネラルスピリット等が挙げられる。これら溶剤を、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
また、顔料類(体質顔料、着色顔料、メタリック顔料等)、紫外線吸収剤、光安定剤、ラジカル安定剤、焼付工程時の着色を抑える黄変防止剤、塗面調整剤、流動調整剤、顔料分散剤、消泡剤、増粘剤及び造膜助剤としては、公知のものを適宜選択して用いることができる。
≪樹脂組成物の製造方法≫
本実施形態の樹脂組成物は、溶剤ベース、水系ベースどちらにも使用可能であるが、環境に配慮した製品が求められる昨今、無溶剤、又は水系ベースの樹脂組成物として好適に用いられる。
水系ベースの樹脂組成物(水系樹脂組成物)を製造する場合には、まず、ポリオール又はその水分散体若しくは水溶物に、必要に応じて、ポリオール中の架橋性官能基と反応しうる硬化剤、硬化触媒、溶剤、顔料類(体質顔料、着色顔料、メタリック顔料等)、紫外線吸収剤、光安定剤、ラジカル安定剤、焼付工程時の着色を抑える黄変防止剤、塗面調整剤、流動調整剤、顔料分散剤、消泡剤、増粘剤、造膜助剤等の添加剤を加える。次いで、上記ポリイソシアネート組成物又はその水分散体を硬化剤として添加し、必要に応じて、水や溶剤を更に添加して、粘度を調整する。次いで、攪拌機器により強制攪拌することによって、水系ベースの樹脂組成物(水系樹脂組成物)を得ることができる。
一例として溶剤ベースの樹脂組成物を製造する場合には、まず、ポリオール又はその溶剤希釈物に、必要に応じて、ポリオール中の架橋性官能基と反応しうる硬化剤、硬化触媒、溶剤、顔料類(体質顔料、着色顔料、メタリック顔料等)、紫外線吸収剤、光安定剤、ラジカル安定剤、焼付工程時の着色を抑える黄変防止剤、塗面調整剤、流動調整剤、顔料分散剤、消泡剤、増粘剤、造膜助剤等の添加剤を加える。次いで、上記ポリイソシアネート組成物を硬化剤として添加し、必要に応じて、溶剤を更に添加して、粘度を調整する。次いで、手攪拌又はマゼラー等の攪拌機器を用いて攪拌することによって、溶剤ベースの樹脂組成物を得ることができる。
≪樹脂硬化物≫
本実施形態の樹脂硬化物は、上述した樹脂組成物が硬化した硬化物である。
本実施形態の樹脂硬化物は硬化膜であることが好ましい。樹脂硬化物が硬化膜である場合、その厚みが5μm以上5000μm以下であることが好ましく、8μm以上2000μm以下であることがより好ましく、10μm以上1000μm以下であることがさらに好ましく、12μm以上800μm以下であることが特に好ましい。
本実施形態の樹脂硬化物は樹脂硬化シートであることが好ましい。樹脂硬化物が樹脂硬化シートである場合、厚みは1μm以上2000μm以下であることが好ましい。
本実施形態の樹脂硬化物は、上記樹脂組成物を、基材にロール塗装、カーテンフロー塗装、スプレー塗装、ベル塗装、静電塗装等の公知の方法を用いて塗装し、加熱することで硬化させることで得られる。
上記樹脂組成物は環境配慮の観点から、常温で硬化させることが好ましい。しかしながら、用途に応じて、40℃以上160℃以下の温度で加温して硬化を速めることもできる。
加熱時間は、省エネルギー及び基材の耐熱性の観点から、約1分間以上約60分間以下が好ましく、約2分間以上約40分間以下がより好ましい。
本実施形態の樹脂硬化物は、最大応力、伸び率及び硬度に優れる。
本実施形態の樹脂硬化物は、例えば、上述したポリイソシアネート組成物を、溶剤を使用することなく、そのままコーター等を用いて、被着体上に塗工し、23℃、50%湿度環境下で168時間硬化させることにより製造することができる。また、必要に応じて乾燥や加熱を施してもよい。
なお、用途に応じて、上述したポリイソシアネート組成物を溶剤で希釈又は溶解して使用してもよい。
本実施形態の樹脂硬化物において、厚み40μmの樹脂硬化物を幅10mm、長さ100mmに切断してなる試験片をつかみ具距離が20mmとなるよう引張試験機にセットして、速度20mm/分で測定された引張試験における伸び率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、95%以上であることが特に好ましい。伸び率が上記下限値以上であることで、柔軟性により優れるものとなる。一方、伸び率の上限値は特に限定されず、例えば、1000%とすることができる。
本実施形態の樹脂硬化物は、上記引張試験において、最大応力が20MPa以上であることが好ましく、22MPa以上であることがさらに好ましく、25MPa以上であることが特に好ましく、27MPa以上であることが最も好ましい。最大応力が上記下限値以上であることで、強度がより優れるものとなる。一方、最大応力の上限値は特に限定されず、例えば、100MPaとすることができる。
本実施形態の樹脂硬化物は、上記引張試験において、10%伸び率時の応力が10MPa以上であることが好ましい。
ガラス上に形成した厚み40μmの前記樹脂硬化物の23℃におけるケーニッヒ硬度が20回以上130回以下であることが好ましく、20回以上125回以下であることがより好ましく、20回以上120回以下であることさらに好ましく、20回以上115回以下であることが特に好ましい。ケーニッヒ硬度が上記上限値以下であることで、適度な硬度を有しながら、柔軟性を有し、耐衝撃性や屈曲性に優れるものとすることができる。
本実施形態の樹脂硬化物は、ゲル分率が80質量%以上であることが好ましく、80.0質量%以上100.0質量%以下であることがより好ましく、85.0質量%以上100.0質量%以下であることがさらに好ましく、90.0質量%以上100.0質量%以下であることが特に好ましく、92.0質量%以上100.0質量%以下であることが最も好ましい。ゲル分率が上記下限値以上であることで、耐久性、耐屈曲性、耐衝撃性及び硬化性により優れる硬化物が得られやすい。
(ゲル分率の算出方法)
まず、樹脂硬化物を、厚み38μmの剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗工し、80℃で30分間乾燥して硬化させた後、23℃、50%RH環境下で7日間保管した厚み50μmの樹脂シートを備える積層体を得る。
次に得られた積層体から、剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、樹脂シートを得る。
次に得られた樹脂シートを、23℃、50%RH環境下で24時間保管後にメッシュ状のシートに包み、アセトン中に23℃で24時間浸漬し、取り出した後、105℃で1時間乾燥する。これにより、アセトンに浸漬後に乾燥した樹脂シートの質量が得られる。
アセトンに浸漬前の粘着性樹脂シートの質量に対する、アセトンに浸漬後に乾燥した樹脂シートの質量の百分率を、ゲル分率として算出する。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下、本実施形態を実施例及び比較例に基づいて更に詳しく説明するが、本実施形態は、以下の実施例により何ら限定されるものではない。
[物性1]
(イソシアネート基含有率)
まず、フラスコに測定試料2g以上3g以下を精秤した(Wg)。次いで、トルエン20mLを添加し、測定試料を溶解した。次いで、2規定のジ-n-ブチルアミンのトルエン溶液20mLを添加し、混合後、15分間室温放置した。次いで、イソプロピルアルコール70mLを加え、混合した。次いで、この液を1規定塩酸溶液(ファクターF)で、指示薬に滴定した。得られた滴定値をV2mLとした。次いで、ポリイソシアネート試料無しで、得られた滴定値をV1mlとした。次いで、下記式からポリイソシアネート組成物のイソシアネート基含有率(NCO%)(質量%)を算出した。
(イソシアネート基含有率(質量%))
= (V1-V2)×F×42/(W×1000)×100
[物性2]
(重量平均分子量)
重量平均分子量は下記の装置を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)測定によるポリスチレン基準の重量平均分子量である。
(測定条件)
装置:東ソー(株)製、HLC-802A
カラム:東ソー(株)製、G1000HXL×1本
G2000HXL×1本
G3000HXL×1本
キャリアー:テトラヒドロフラン
検出方法:示差屈折計
[物性3]
(平均イソシアネート官能基数)
ポリイソシアネート組成物の平均イソシアネート官能基数(平均NCO数)は、下記式により求めた。なお、式中、「Mn」は、数平均分子量を意味し、上記「物性2」において測定された値を用いた。「NCO%」は、上記「物性1」において算出された値を用いた。
(平均イソシアネート官能基数)=(Mn×NCO%×0.01)/42
[物性4]
(粘度)
粘度はE型粘度計(株式会社トキメック社製)により25℃で測定した。回転数は、以下のとおりである。
(回転数)
100r.p.m.(128mPa・s未満の場合)
50r.p.m.(128mPa・s以上256mPa・s未満の場合)
20r.p.m.(256mPa・s以上640mPa・s未満の場合)
10r.p.m.(640mPa・s以上1280mPa・s未満の場合)
5r.p.m.(1280mPa・s以上2560mPa・s未満の場合)
2.5r.p.m.(2560mPa・s以上5120mPa・s未満の場合)
[物性5]
(NCO/OH)
ポリオールの水酸基に対するジイソシアネートのイソシアネート基のモル比NCO/OHは、製造に用いたポリオールの水酸基のモル量と、ポリイソシアネートの原料であるジイソシアネートのイソシアネート基のモル量を用いて算出した。
<ポリイソシアネート組成物の製造>
[合成例1]
温度計、攪拌羽根、還流冷却管を取り付けた四ツ口フラスコに、窒素気流下で、HDI(a-1) 100質量部を仕込み、2官能のポリエーテルポリオール(b-1)(Mn400、PEGタイプ)を24質量部、アルコール(c-1):ネオペンチルグリコール3.5質量部を撹拌しながら、反応器内温度を93℃に保持し5時間保持した。反応液をろ過した後、未反応のHDIを薄膜蒸留装置により除去して、イソシアネート基含有率は15.7質量%、イソシアネート平均官能基数は2.05であるポリイソシアネート組成物P-a1を得た。NMR分析の結果、ウレタン基が最も多かった。
[合成例2]
温度計、攪拌羽根、還流冷却管を取り付けた四ツ口フラスコに、窒素気流下で、HDI(a-1)100質量部を仕込み、2官能のポリエーテルポリオール(b-1)(Mn400、PEGタイプ)を25質量部、アルコール(c-2)3.4質量部を撹拌しながら、反応器内温度を93℃に保持し5時間保持した。反応液をろ過した後、未反応のHDIを薄膜蒸留装置により除去して、イソシアネート基含有率は15.9質量%、イソシアネート平均官能基数は2.03であるポリイソシアネート組成物P-a2を得た。NMR分析の結果、ウレタン基が最も多かった。
[合成例3]
温度計、攪拌羽根、還流冷却管を取り付けた四ツ口フラスコに、窒素気流下で、HDI(a-1)100質量部を仕込み、2官能のポリエステルポリオール(b-2)(Mn530)を33質量部、アルコール(c-1)3.4質量部を撹拌しながら、反応器内温度を93℃に保持し5時間保持した。反応液をろ過した後、未反応のHDIを薄膜蒸留装置により除去して、イソシアネート基含有率は15.1質量%、イソシアネート平均官能基数は2.15であるポリイソシアネート組成物P-a3を得た。NMR分析の結果、ウレタン基が最も多かった。
[合成例4、5]
HDI、ポリオール、アルコールの配合を表1に記載のとおりとした以外は合成例1と同様の方法で、ポリイソシアネート組成物P-a4およびP-a5を得た。
[合成例6]
攪拌器、温度計、冷却管を取り付けた4つ口フラスコの内部を窒素置換し、HDI(a-1) 1000gを仕込み、69℃で攪拌下、触媒としてテトラメチルアンモニウムカプリエート0.1gを加えた。3時間後、反応液の屈折率測定により設定した反応終点を確認し、リン酸0.2gを添加して反応を停止した。その後、反応液を濾過した後、未反応のHDIモノマーを薄膜蒸留装置により除去することにより、ポリイソシアネート組成物P-b1を得た。得られたポリイソシアネートのイソシアネート基含有率は23.1質量%であり、イソシアネート平均官能基数は3.33であった。NMR分析の結果、イソシアヌレート基が最も多かった。
[合成例7]
温度計、攪拌羽根、還流冷却管を取り付けた四ツ口フラスコに、窒素気流下で、HDI(a-1)100質量部を仕込み、3官能のポリカプロラクトンポリオール(d-1)を32質量部、アルコール(c-2)3.4質量部を撹拌しながら、反応器内温度を88℃に保持し3時間保持した。反応液をろ過した後、未反応のHDIを薄膜蒸留装置により除去して、イソシアネート基含有率は9.2質量%、イソシアネート平均官能基数は3.31であるポリイソシアネート組成物P-b2を得た。NMR分析の結果、ウレタン基が最も多かった。
[合成例8]
温度計、攪拌羽根及び還流冷却管を取り付けた四ツ口フラスコに、窒素気流下で、HDI(a-1) 100質量部、及び、トリメチロールプロパン(c-3)8.9質量部を仕込み、撹拌下反応器内温度を75℃に5時間保持しウレタン化反応を行った。反応液をろ過した後、薄膜蒸発缶を用いて未反応のHDIを除去して、ポリイソシアネートを含む、ポリイソシアネート組成物P-b3を得た。NMR分析の結果、ウレタン基が最も多かった。
[合成例9]
攪拌器、温度計、冷却管を取り付けた4つ口フラスコの内部を窒素置換し、HDI(a-1) 1000g、水7.2g、酢酸メチルソルブ600gを常温で混合し、138℃で120分間、常圧下で反応させた。その後159℃で1時間反応させた。沈殿物や濁りは見られなかった。その後、反応液を濾過した後、未反応のHDIモノマーと溶媒を薄膜蒸留装置により除去することにより、ポリイソシアネートを得た。得られたポリイソシアネートのイソシアネート基含有率は23.3質量%であり、イソシアネート平均官能基数は3.4であった。得られたポリイソシアネート組成物P-b4をH-NMR及びC-NMRで分析し、ビウレット基の存在を確認した。
<架橋性官能基含有化合物の製造>
[合成例10]
(架橋性官能基含有化合物:アクリルポリオールの製造)
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた四ツ口フラスコに酢酸ブチル:29質量部を仕込み、窒素ガス通気下で112℃に昇温した。112℃に達した後、窒素ガスの通気を止め、2-ヒドロキシエチルメタクリレート:22.3質量部、メチルメタクリレート:8.0質量部、ブチルアクリレート:26.1質量部、スチレン:42.3質量部、アクリル酸:1.3質量部、及び、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル):2.2質量部からなる混合物を5時間かけて滴下した。ついで、115℃で窒素ガスをフローしながら3時間攪拌した後、60℃まで冷却し、酢酸ブチル溶液を投入し、固形分量60質量%の塗料組成物作製用アクリルポリオールの溶液を得た。塗料組成物作製用アクリルポリオールは、ガラス転移温度Tgが29.4℃、樹脂固形分に対する水酸基価が139mgKOH/g、重量平均分子量Mwが2.76×10であった。
<樹脂硬化膜の製造法>
実施例1~5、比較例1~4のポリイソシアネート組成物と、架橋性官能基含有ポリマーをNCO/OH=1でそれぞれ混合し、均一になるまで撹拌、樹脂組成物を得た。その後、各樹脂組成物をアプリケーターを用いて剥離フィルム上に40μmの厚みとなるようそれぞれ塗工し、80℃で30分乾燥後、23℃、50%RH環境下で168時間保存し、剥離フィルムから剥がして樹脂硬化膜1~5、11~14をそれぞれ得た。
<最大応力、伸び率の測定方法>
樹脂硬化膜1~5、11~14の試験片は幅10mm、長さ100mmに切断し、つかみ具距離が20mmとなるよう引張試験機にセットし、速度20mm/分間で測定し、樹脂硬化膜1~5、11~14の最大応力と伸び率の値を得た。
上記の方法により測定した最大応力が20MPa以上の場合を、最大応力が優れると評価した。
上記の方法により測定した伸び率が80%以上の場合を、伸び率が優れると評価した。
上記の方法により測定した、10%伸び率の応力が10MPa以上の場合を、10%伸び率の応力が優れると評価した。
<ケーニッヒ硬度の測定方法>
実施例1~5、比較例1~4のポリイソシアネート組成物と、架橋性官能基含有ポリマーをNCO/OH=1でそれぞれ混合し、均一になるまで撹拌、樹脂組成物を得た。その後、アプリケーターを用いてガラス上に40μmの厚みとなるよう塗工し、80℃で30分乾燥後、23℃、50%RH環境下で168時間保存し、ガラス上に樹脂硬化膜1~5、11~14を得た。得られた樹脂硬化膜1~5、11~14のケーニッヒ硬度(回)を測定した。
上記の方法により測定した23℃におけるケーニッヒ硬度が20回以上130回以下の場合を、ケーニッヒ硬度が優れると評価した。
<ゲル分率の測定方法>
得られた樹脂硬化膜1~5、11~14をそれぞれ0.1~0.2g程度採取し、メッシュ状のシートにつつみ、アセトンに24時間浸漬、105℃で1時間乾燥し、ゲル分率=100×(乾燥後のサンプル重量)/(アセトン投入前のサンプル重量)で算出した。
Figure 2024070486000001
表1中、各符号は以下の材料を意味する。
a-1:1、6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)
b-1:2官能ポリエーテルポリオール(Mn400)
b-2:2官能ポリエステルポリオール(ポリカプロラクトンポリオール)(Mn530)
c-1:ネオペンチルグリコール
c-2:1,3-ブタンジオール
c-3:トリメチロールプロパン
d-1:3官能ポリカプロラクトンポリオール(プラクセル308, Mn850)
本実施形態の実施例1~5のポリイソシアネート組成物含む樹脂組成物を硬化した硬化物は、最大応力、伸び率、硬度、及びゲル分率の全てが優れていた。
一方、ポリオールを含まない比較例1、3~4は、10%伸長前に破断してしまい、10%応力の測定ができなかった。数平均分子量が本発明を満たさないポリオールを使用した比較例2は、10%応力が非常に低い結果であった。
本発明によれば、無溶剤で使用可能であって、ポリイソシアネート組成物を硬化した硬化物の物性に優れるポリイソシアネート組成物、このポリイソシアネート組成物を含む樹脂組成物及び樹脂硬化物を提供することができる。

Claims (18)

  1. ポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物であって、
    前記ポリイソシアネート組成物は、重量平均分子量が500以上10000以下であり、25℃粘度が10000mPa・s以下であって、
    前記ポリイソシアネートは、脂肪族ジイソシアネートまたは脂環族ジイソシアネートと、ポリオールと、から誘導され、
    前記ポリオールは、数平均分子量Mnが150以上840以下であり、2官能以上3官能以下であり、
    前記ポリイソシアネートは、ポリオールの水酸基に対する脂肪族又は脂環族ジイソシアネートのイソシアネート基のモル比NCO/OHが2以上30以下である、ポリイソシアネート組成物。
  2. 前記ポリイソシアネート組成物は、NCO官能基の含有率が9.1%以上20.0%以下である、請求項1に記載のポリイソシアネート組成物。
  3. 前記ポリイソシアネート組成物は、平均イソシアネート官能基数が1.7以上2.9以下である、請求項1に記載のポリイソシアネート組成物。
  4. 前記ポリイソシアネートは、炭素数が2以上18以下のアルコールによって変性された変性ポリイソシアネートである、請求項1に記載のポリイソシアネート組成物。
  5. 前記アルコールは水酸基を2つ有する、請求項4に記載のポリイソシアネート組成物。
  6. 前記ポリイソシアネートは、ウレタン基及びアロファネート基のいずれか一方又は両方を含む、請求項1に記載のポリイソシアネート組成物。
  7. 前記ポリイソシアネートはウレタン基を含み、ウレタン基、アロファネート基、ウレア基、イソシアヌレート基、ウレトジオン基のうちで、ウレタン基のモル比率が最大である、請求項1に記載のポリイソシアネート組成物。
  8. 前記ポリオールは、ポリエステルポリオール、又はポリエーテルポリオールの少なくとも1種以上である、請求項1に記載のポリイソシアネート組成物。
  9. 100質量部の前記脂肪族ジイソシアネートまたは脂環族ジイソシアネートに対する、前記ポリオールの含有量が0.1質量部以上150質量部以下であり、
    100質量部の前記脂肪族ジイソシアネートまたは脂環族ジイソシアネートに対する、炭素数が2以上18以下のアルコールの含有量が0.1質量部以上10質量部以下である、請求項1に記載のポリイソシアネート組成物。
  10. 前記ポリイソシアネート組成物を下記の条件で硬化した硬化膜は、23℃におけるケーニッヒ硬度が20回以上130回以下である、請求項1に記載のポリイソシアネート組成物。
    (条件)
    前記ポリイソシアネート組成物をガラス上に塗工し、膜厚が50μmの塗膜を得る。前記塗膜を23℃、湿度50%の条件で168時間養生して硬化し、硬化膜を得る。
  11. 前記硬化膜は、最大応力が20MPa以上、伸び率が80%以上である、請求項10に記載のポリイソシアネート組成物。
  12. 架橋性官能基含有ポリマーと、請求項1又は2に記載のポリイソシアネート組成物とを含む、樹脂組成物。
  13. 前記架橋性官能基含有ポリマーが含有する官能基は、水酸基、カルボキシ基、エポキシ基、オキセタン基、アミノ基の少なくとも1種以上である、請求項12に記載の樹脂組成物。
  14. 前記架橋性官能基含有ポリマーはアクリルポリオール又はポリアミンである、請求項12に記載の樹脂組成物。
  15. 請求項12に記載の樹脂組成物が硬化した樹脂硬化物。
  16. 前記樹脂硬化物は樹脂硬化膜であり、前記樹脂硬化膜は最大応力が20MPa以上、伸び率が80%以上、伸び率が10%のときの応力が10MPa以上である、請求項15に記載の樹脂硬化物。
  17. 前記樹脂硬化物はガラス上に形成した樹脂硬化膜であり、前記樹脂硬化膜は23℃におけるケーニッヒ硬度が20回以上130回以下である、請求項15に記載の樹脂硬化物。
  18. ゲル分率が80質量%以上である、請求項16に記載の樹脂硬化物。
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