JP2023056945A - ゼオライトzts-8及びその製造方法 - Google Patents

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Naoto Nakazawa
誠司 前浜
Seiji Maehama
豊浩 碓氷
Toyohiro Usui
真人 吉岡
Masato Yoshioka
亮 三橋
Akira Mihashi
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Abstract

【課題】SSZ-33ファミリーに属する新規なゼオライト及びその製造方法、該ゼオライトを含む炭化水素吸着剤を提供する。【解決手段】少なくとも以下の粉末X線回折ピークを有し、格子面間隔d=3.85±0.06Åにピークトップを有する回折ピークの半値幅が0.20°以上、0.80°以下であることを特徴とするゼオライトを提供する。TIFF2023056945000017.tif6295【選択図】なし

Description

本開示は、ゼオライトZTS-8及びその製造方法に関する。
従来、炭化水素吸着剤にはゼオライトを含む組成物が一般的に使用されている。炭化水素吸着剤に好適なゼオライトの一例として、SSZ-33ファミリーに属するアルミノシリケートゼオライトが挙げられる。
特許文献1には、SSZ-33ファミリーに属するゼオライトとして、シリカアルミナ源としてFAU型ゼオライトのみを用い、Qとして1,4-ビス(N-シクロヘキシルピロリジニウム)ブタンジカチオンを用い、反応混合物のQ/SiO比が0.05未満であることを特徴とするアルミノシリケートゼオライト(SSZ-26)の製造方法が報告されている。
特表2019-529296号公報
本開示は、SSZ-33ファミリーに属する新規なゼオライト及びその製造方法、該ゼオライトを含む炭化水素吸着剤、並びに、これを使用する炭化水素吸着方法の少なくともいずれかを提供することを目的とする。
本発明者等は、炭化水素吸着剤として適用できるゼオライト、およびその製造方法について検討した。その結果、炭化水素吸着性能を示す、SSZ-33ファミリーに属する新規なゼオライトを見出した。
すなわち、本発明は特許請求の範囲の記載の通りであり、また、本開示の要旨は以下の通りである。
[1] 少なくとも以下の粉末X線回折ピークを有し、CuKα線を光源とした場合の格子面間隔d=3.85±0.06Åにピークトップを有する粉末X線回折ピークの半値幅が、0.20°以上、0.80°以下であることを特徴とするゼオライト。
Figure 2023056945000001
[2] 前記粉末X線回折ピークにおいて、CuKα線を光源とした場合の格子面間隔d=11.33±0.23Åにピークトップを有する粉末X線回折ピークの強度に対する、d=10.46±0.55Åにピークトップを有する粉末X線回折ピークの強度の比が0.155以上である、前記[1]に記載のゼオライト。
[3] 細孔容積が0.10mL/g以上0.50mL/g以下である前記[1]又は[2]に記載のゼオライト。
[4] アルミナに対するシリカのモル比が10以上10000以下である、前記[1]乃至[3]のいずれかひとつに記載のゼオライト。
[5] 平均結晶径が0.05μm以上5.0μm以下である、前記[1]乃至[4]のいずれかひとつに記載のゼオライト。
[6] カチオンタイプがプロトンタイプ、ナトリウムタイプ、カリウムタイプ、アンモニウムタイプ、第4級アンモニウムタイプ、及びセシウムタイプからなる群のいずれか1以上である、前記[1]乃至[5]のいずれかひとつに記載のゼオライト。
[7] シリカ源、アルミナ源、アルカリ源、第4級アンモニウムカチオン、及び、水、を含み、なおかつ、FAU型ゼオライトを含まない組成物を結晶化する工程、を有することを特徴とする、前記[1]乃至[6]のいずれかひとつに記載のゼオライトの製造方法。
[8] 前記アルカリ源が少なくともカリウム化合物を含む、前記[7]に記載のゼオライトの製造方法。
[9] 前記第4級アンモニウムカチオンが1,4-ビス(N-シクロヘキシルピペリジニウム)ブタンジカチオンである、前記[7]又は[8]に記載の製造方法。
[10] 前記組成物のシリカに対するOHのモル比が0を超え0.30以下である、前記[7]乃至[9]のいずれかひとつに記載の製造方法。
[11] 前記組成物のシリカに対する第4級アンモニウムカチオンのモル比が0を超え0.10以下である、前記[7]乃至[10]のいずれかひとつに記載の製造方法。
[12]前記[1]乃至[6]のいずれかひとつに記載のゼオライトを含む炭化水素吸着剤。
[13]前記[1]乃至[6]のいずれかひとつに記載のゼオライトを使用する、炭化水素の吸着方法。
本開示により、SSZ-33ファミリーに属する新規なゼオライト、その製造方法、該ゼオライトを含む炭化水素吸着剤、及び、これを使用する炭化水素吸着方法の少なくともいずれかを提供することができる。
以下、本開示について、その実施態様の一例を示して説明する。なお、本実施形態における用語は以下の通りである。
「アルミノシリケート」は、アルミニウム(Al)とケイ素(Si)とが酸素(O)を介したネットワークの繰返しからなる構造を有する複合酸化物である。アルミノシリケートのうち、その粉末X線回折(以下、「XRD」ともいう。)パターンにおいて、結晶性のXRDピークを有するものが「結晶性アルミノシリケート」、及び、結晶性のXRDピークを有さないものが「非晶質アルミノシリケート」である。
本実施形態において、XRDパターンは以下の条件のXRD測定より得られるものが挙げられる。
加速電流・電圧 : 40mA・40kV
線源 : CuKα線(λ=1.5405Å)
測定モード : ステップスキャン
スキャン条件 : 40°/分
計測時間 : 3秒
測定範囲 : 2θ=3°から43°
発散縦制限スリット: 10mm
発散/入射スリット: 1°
受光スリット : open
受光ソーラースリット : 5°
検出器 : 半導体検出器(D/teX Ultra)
フィルター : Niフィルター
XRDパターンは一般的な粉末X線回折装置(例えば、D8 Advance、Bruker社製)を使用して測定することができる。また、結晶性のXRDピークは、一般的な解析ソフトを使用したXRDパターンの解析においてピークトップの2θが特定され検出されるピークであり、半値幅が2θ=0.50°以下のXRDピークが例示できる。
「ゼオライト」とは、骨格原子(以下、「T原子」ともいう。)が酸素(O)を介した規則的構造を有する化合物であり、T原子が金属原子及び又は半金属原子の少なくともいずれかからなる化合物である。半金属原子としては、ホウ素(B)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)及びテルル(Te)からなる群から選ばれる少なくとも1種が例示できる。
「ゼオライト類似物質」とは、T原子が酸素を介した規則的構造を有する化合物であり、T原子に少なくとも金属及び半金属以外の原子を含む化合物である。ゼオライト類似物質として、アルミノフォスフェート(AlPO)やシリコアルミノフォスフェート(SAPO)など、T原子としてリン(P)を含む複合リン化合物が例示できる。
ゼオライトの骨格構造(以下、「ゼオライト構造」ともいう。)は、国際ゼオライト協会(International Zeolite Association、以下、単に「IZA」ともいう。)のStructure Commissionが定めている骨格コード(以下、単に「骨格コード」ともいう。)で特定される骨格構造である。ゼオライトの骨格構造はCollection of simulated XRD powder patterns for zeolites,Fifth revised edition(2007)に記載された各ゼオライト構造のXRDパターン(以下、「参照パターン」ともいう。)と、対象とするゼオライトのXRDパターンとの対比によって、同定できる。ゼオライト構造に関し、骨格構造、結晶構造又は結晶相はそれぞれ同義で使用される。
「SSZ-33ファミリーに属するゼオライト」とは、少なくともCON構造を含むゼオライトであり、更には、CON構造以外のゼオライト構造と、CON構造と、からなる連晶ゼオライトである。例えば、前者(CON型ゼオライト)としてCIT-1が、また、後者(CON構造を含む連晶ゼオライト)としてSSZ-26及びSSZ-33が挙げられる。
以下、本実施形態のゼオライトについて説明する。
本実施形態のゼオライト(以下、「ZTS-8」ともいう。)は、少なくとも以下の粉末X線回折ピーク(以下、「XRDピーク」ともいう。)を有する。
Figure 2023056945000002
これらのXRDピークは、各格子面間隔dにピークトップを有するピークであり、ZTS-8に特徴的なピークである。本実施形態において、該XRDパターンは前述の表における各XRDピークを含むものであればよく、SSZ-33ファミリーに帰属される他のXRDピークを含んでいてもよい。
ZTS-8は、そのXRDパターンに少なくとも以下のXRDピークを有することが好ましい。
Figure 2023056945000003
より好ましいZTS-8のXRDパターンとして、以下のXRDパターンを挙げることができる。
Figure 2023056945000004
ZTS-8は上記のピーク以外に、相対強度が5未満であるXRDピークを含んでいてもよい。但し、これらの低強度のXRDピークは結晶構造の同定に考慮する必要はない。
なお、ZTS-8のXRDパターンは、格子面間隔d=9.60±0.30Åにピークトップを有するXRDピークを有さないことが好ましく、格子面間隔d=14.30±1.00Å、9.60±0.30Å及び4.26±0.04Åにピークトップを有するXRDピークを有しないことがより好ましい。
ZTS-8は、上表のXRDピークを有し、なおかつ、CuKα線を線源とした場合の格子面間隔d=3.85±0.06(Å)にピークトップを有するXRDピーク(以下、「メインピーク」ともいう。)の半値幅が、0.20°以上、0.80°以下のゼオライトである。メインピークの半値幅は0.30°以上0.70°以下が好ましい。
ZTS-8のXRDパターンは、上表のXRDピークにおいて、CuKα線を光源とした場合の格子面間隔d=11.33±0.23Åにピークトップを有するXRDピークの強度に対する、d=10.46±0.55Åにピークトップを有するXRDピークの強度の比が0.155以上であることが好ましく、0.160以上がより好ましい。また、該XRDピークの強度の比は、0.700以下であることが好ましく、0.500以下であることがより好ましい。
ZTS-8は、細孔の容積(以下、「細孔容積」ともいう。)が0.10mL/g以上又は0.13mL/g以上であることが好ましく、また、0.50mL/g以下又は0.35mL/g以下であることが好ましい。
細孔容積は、一般的な窒素吸着装置(例えば、BELSORP-mini II、マイクロトラック・ベル社製)を使用して得られる窒素吸着等温線を、t-plot解析することで求めることができる。t-plot解析は、以下の条件により解析することが挙げられ、窒素吸着装置に付属の解析ソフト(例えば、BELMASTER、マイクロトラック・ベル社製)を使用して解析すればよい。
吸着質断面積 :0.162nm
飽和水蒸気圧 :103.72kPa
第一直線 :t=0nmの点及びt=0.27±0.03nmの点を結合した直線
第二直線 :シグモイド状のt-plot曲線の変曲点を通る接線であり、例えばt=0.70±0.15nmの点及びt=1.00±0.10nmの点を結合した直線
ZTS-8の平均結晶径は、0.05μm以上5.0μm以下であることが挙げられ、0.05μm以上3.0μm以下であることが好ましく、0.1μm以上2.0μm以下がさらに好ましい。
本実施形態において、平均結晶径は一次粒子の平均粒子径である。一次粒子の粒子径は、走査型電子顕微鏡(以下、「SEM」ともいう。)観察により得られるSEM観察像で確認される一次粒子の粒子径であり、平均結晶径は当該一次粒子の粒子径の平均値である。平均結晶径の測定方法として、3,000倍~50,000倍の倍率で観察された一次粒子80個~150個を抽出し、当該一次粒子の最長径及び最短径の平均値を測定して一次粒子の結晶径を得、該結晶径の平均値を平均結晶径とする方法が挙げられる。粒子径を計測する一次粒子の抽出にあたり、SEM観察像は1以上であればよい。
本実施形態において、ZTS-8の一次粒子は倍率10,000~20,000倍のSEM観察において独立した粒子として観察される粒子である。
ZTS-8は、アルミナに対するシリカのモル比(以下「SiO/Al比」ともいう。)が10以上10000以下、好ましくは20以上500以下、より好ましくは25以上60以下である。
ZTS-8は、SiおよびAl以外のT原子を含有してもよい。ZTS-8を構成するT原子の例として、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、鉄(Fe)、チタン(Ti)及びスズ(Sn)の群から選ばれる1種以上を挙げることができる。
ZTS-8が含有するイオン(M)として、プロトン(H)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、アンモニウム(NH )、及びセシウム(Cs)の群から選ばれる1以上、が例示できる。ZTS-8中のイオンはイオン交換によって他のイオンに置き換えることが可能である。
ZTS-8は、アルミナに対する酸化物換算したカチオン(M)のモル比(以下、「M2/nO/Al比」ともいう。ただし、nはMの平均価数。)が0.1を超えるとき、カチオンタイプが当該イオン(M)タイプであるとする。また、ZTS-8が複数種類のカチオンを含むとき、該ZTS-8が複数のカチオンからなるカチオンタイプ(例えば、ナトリウム・カリウムタイプ)とみなしてよい。
ZTS-8のカチオンタイプとして、プロトン(H)タイプ、アンモニウム(NH )タイプ及びセシウム(Cs)タイプの群から選ばれる1以上が挙げられ、好ましくはアンモニウム(NH )タイプ及びセシウム(Cs)タイプの少なくともいずれか、より好ましくはセシウム(Cs)タイプであることが挙げられる。
ZTS-8は、第4級アンモニウムカチオンを含んでいてもよく、更には、SSZ-33ファミリーに属するゼオライトを指向する有機構造指向剤(以下、「SDA」ともいう。)として機能する第4級アンモニウムカチオンを含んでいてもよい。このような第4級アンモニウムカチオンとして、例えば、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサメチル〔4.3.3.0〕プロペラン-8,11-ジアンモニウムカチオン、N,N,N-トリメチル-8-アンモニウムトリシクロ〔5.2.1.02,6〕デカンカチオン、(1-アダマンチル)トリメチルアンモニウムカチオン、(2-アダマンチル)トリメチルアンモニウムカチオン、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサメチル-1,5-ジメチルビシクロ〔3.3.0〕オクタン-3,7-ジアンモニウムカチオン、N,N-ジメチル-endo-ビシクロ〔2.2.2〕オクタ-5-エン-2,3-ピロリジニウムカチオン、N,N-ジメチル-endo-ビシクロ〔3.2.2〕ノナ-5-エン-2,3-ピロリジニウムカチオン、N,N,N-トリメチル((-)-シス-ミルタニル)アンモニウムカチオン、N,N,N-トリメチル((+)-シス-ミルタニル)アンモニウムカチオン、N,N,N-トリメチル-(1S,2S,3S,5R)-イソピノカンフェイルアンモニウムカチオン、シス-N,N-ジエチルデカヒドロキノリニウムカチオン、シス-N,N-ジエチルデカヒドロキノリニウムカチオン、トランス-N,N-ジエチルデカヒドロキノリニウムカチオン、1,4-ビス(N-シクロヘキシルピロリジニウム)ブタンジカチオン、1,5-ビス(N-シクロヘキシルピロリジニウム)ペンタンジカチオン、1,5-ビス(N,N-ジメチルシクロヘキシルアンモニウム)ペンタンジカチオン、1,4-ビス(N-シクロヘキシルピペリジニウム)ブタンジカチオン、1,4-ビス(N-シクロペンチルピペリジニウム)ブタンジカチオン、1,4-ビス(N-イソペンチルピロリジニウム)ブタンジカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン及び1-ベンジル-4-アザ-1-アゾニアビシクロ〔2.2.2〕オクタンカチオンの群から選ばれる1以上が挙げられる。
ZTS-8は、SDAを含有してもよいが、炭化水素吸着能を向上させやすくなる点で、SDAを含有していないことが好ましい。現実的なZTS-8のSDA含有量として、SDA/SiO比が0超0.005未満であることが例示できる。
次に、ZTS-8の製造方法について説明する。
本実施形態の製造方法は、シリカ源、アルミナ源、アルカリ源、第4級アンモニウムカチオン、及び、水、を含み、なおかつ、FAU型ゼオライトを含まない組成物(以下、「原料組成物」ともいう。)を結晶化する工程(以下、「結晶化工程」ともいう。)を有する。当該結晶化工程により、原料組成物からZTS-8がゼオライト生成物として得られる。
アルミナ源は、アルミニウム含有化合物、又はアルミニウム(Al)であり、水酸化アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、非晶質アルミノシリケート、金属アルミニウム、擬ベーマイト、アルミナゾル及びアルミニウムアルコキシドの群から選ばれる少なくとも1以上が例示でき、水酸化アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、結晶性アルミノシリケート、非晶質アルミノシリケート、アルミナゾル及びアルミニウムアルコキシドの群から選ばれる1以上が好ましい。工業的な観点から、アルミナ源は、好ましくは、水酸化アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム及び非晶質アルミノシリケートの群から選ばれる1以上、より好ましくは、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム及び非晶質アルミノシリケートの群から選ばれる1以上、更に好ましくは、非晶質アルミノシリケートである。
シリカ源は、ケイ素含有化合物、又はケイ素(Si)であり、シリカゾル、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ、沈降法シリカ、無定形ケイ酸、結晶性アルミノシリケート及び非晶質アルミノシリケートの群から選ばれる1以上が例示でき、好ましくは、無定形ケイ酸及び非晶質アルミノシリケートの少なくともいずれかである。
特に好ましいアルミナ源及びシリカ源として、非晶質アルミノシリケートが挙げられ、更にはSiO/Al比が10以上、15以上又は20以上、かつ、10000以下、1000以下又は80以下の非晶質アルミノシリケートが挙げられる。またアルミナ源及びシリカ源はFAU型ゼオライトを含まない。
第4級アンモニウムカチオンは、SSZ-33ファミリーに属するゼオライトを指向する有機構造指向剤(以下、「SDA」ともいう。)として機能する第4級アンモニウムカチオンであればよい。このような第4級アンモニウムカチオンとして、例えば、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサメチル〔4.3.3.0〕プロペラン-8,11-ジアンモニウムカチオン、N,N,N-トリメチル-8-アンモニウムトリシクロ〔5.2.1.02,6〕デカンカチオン、(1-アダマンチル)トリメチルアンモニウムカチオン、(2-アダマンチル)トリメチルアンモニウムカチオン、N,N,N,N’,N’,N’-ヘキサメチル-1,5-ジメチルビシクロ〔3.3.0〕オクタン-3,7-ジアンモニウムカチオン、N,N-ジメチル-endo-ビシクロ〔2.2.2〕オクタ-5-エン-2,3-ピロリジニウムカチオン、N,N-ジメチル-endo-ビシクロ〔3.2.2〕ノナ-5-エン-2,3-ピロリジニウムカチオン、N,N,N-トリメチル((-)-シス-ミルタニル)アンモニウムカチオン、N,N,N-トリメチル((+)-シス-ミルタニル)アンモニウムカチオン、N,N,N-トリメチル-(1S,2S,3S,5R)-イソピノカンフェイルアンモニウムカチオン、シス-N,N-ジエチルデカヒドロキノリニウムカチオン、シス-N,N-ジエチルデカヒドロキノリニウムカチオン、トランス-N,N-ジエチルデカヒドロキノリニウムカチオン、1,4-ビス(N-シクロヘキシルピロリジニウム)ブタンジカチオン、1,5-ビス(N-シクロヘキシルピロリジニウム)ペンタンジカチオン、1,5-ビス(N,N-ジメチルシクロヘキシルアンモニウム)ペンタンジカチオン、1,4-ビス(N-シクロヘキシルピペリジニウム)ブタンジカチオン、1,4-ビス(N-シクロペンチルピペリジニウム)ブタンジカチオン、1,4-ビス(N-イソペンチルピロリジニウム)ブタンジカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン及び1-ベンジル-4-アザ-1-アゾニアビシクロ〔2.2.2〕オクタンカチオンの群から選ばれる1以上が挙げられる。
SDAは塩の状態で原料組成物に含まれていればよく、SDAの塩として、SDAの水酸化物、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、炭酸塩、硫酸塩の群から選ばれる少なくとも1つが挙げられ、SDAの水酸化物、塩化物及び臭化物の群から選ばれる1以上、であることが好ましい。
特に好ましいSDAの塩として、製造コストを抑えることができることから、1,4-ビス(N-シクロヘキシルピペリジニウム)ブタンジカチオン水酸化物、1,4-ビス(N-シクロヘキシルピペリジニウム)ブタンジカチオン臭化物及び1,4-ビス(N-シクロヘキシルピペリジニウム)ブタンジカチオン塩化物の群から選ばれる1以上が挙げられる。
アルカリ源は、アルカリ金属元素を含有する化合物又はアルカリ金属であり、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、塩化物、臭化物及びヨウ化物の群から選ばれる少なくとも1以上が挙げられ、水酸化物、塩化物、臭化物及びヨウ化物の群から選ばれる少なくとも1以上であることが好ましく、水酸化物であることがより好ましい。
アルカリ金属(元素)として、ナトリウム、カリウム、ルビジウム及びセシウムの群から選ばれる少なくとも1以上が挙げられ、ナトリウム及びカリウムの少なくともいずれかが好ましく、カリウムがより好ましい。
アルカリ源は、少なくともカリウム化合物が含まれることが好ましく、カリウム化合物のみであることがより好ましい。更には、カリウム化合物として、水酸化カリウムが好ましい。
水は、蒸留水、脱イオン水、純水であればよく、さらに、含水化合物等、非晶質組成物に含まれる他の成分に由来する水分も、原料組成物における水と見なすことができる。
ZTS-8の結晶化を促進させるため、アルミナ源及びシリカ源に対して十分に少ない量であれば、原料組成物は種晶を含んでいてもよい。
種晶は、原料組成物中のアルミニウム及びケイ素を、それぞれ、Al及びSiO換算した合計質量に対する、種晶中のアルミニウム及びケイ素を、それぞれ、Al及びSiO換算した合計質量割合(以下、「種晶含有量」ともいう。)が0質量%以上10質量%以下であること、更には0.5質量%6質量%以下であることが挙げられる。
種晶は、FAU型ゼオライト以外のゼオライトであればよく、AEI型ゼオライト、AFI型ゼオライト、AFT型ゼオライト、AFV型ゼオライト、AFX型ゼオライト、BEA型ゼオライト、CHA型ゼオライト、EAB型ゼオライト、EMT型ゼオライト、ERI型ゼオライト、FAU型ゼオライト、FER型ゼオライト、GIS型ゼオライト、GME型ゼオライト、HEU型ゼオライト、KFI型ゼオライト、LEV型ゼオライト、LTL型ゼオライト、MAZ型ゼオライト、MER型ゼオライト、MFI型ゼオライト、MOR型ゼオライト、MSE型ゼオライト、OFF型ゼオライト及びSSZ-33ファミリーに属するゼオライトの群から選ばれる少なくとも1以上が例示でき、BEA型ゼオライト及びSSZ-33ファミリーに属するゼオライトの群から選ばれる少なくとも1以上が好ましい。
原料組成物の好ましい組成として、以下のモル組成が挙げられる。以下において、Mはカリウム以外のアルカリ金属であり、原料組成物がカリウム以外のアルカリ金属を2種以上(例えば、ナトリウム、セシウム)含む場合、M/SiO比は(Na+Cs)/SiO比等とみなせばよい。
SiO/Al比 =10以上、15以上又は20以上、かつ
10000以下、1000以下又は80以下
SDA/SiO比 =0.005以上、0.010以上、0.020以上
又は0.030以上、かつ、0.500以下、0.400以下、
0.300以下又は0.150以下
K/SiO比 =0.00以上、0.05以上又は0.10以上、かつ、
1.00以下、0.70以下又は0.30以下
M/SiO比 =0.00以上、0.05以上又は0.10以上、かつ、
1.00以下、0.70以下、又は0.30以下
OH/SiO比 =0.10以上又は0.15以上、かつ、
1.00以下、0.60以下又は0.50以下
O/SiO比 =3以上、8以上又は10以上、かつ、
200以下、100以下又は60以下
結晶化工程では、原料組成物を結晶化する。結晶化は水熱合成により行うことが好ましい。結晶化温度は100℃以上であり、130℃以上が好ましく、150℃以上がより好ましい。結晶化温度は必要以上に高くする必要はなく、例えば、200℃以下、好ましくは180℃以下であることが挙げられる。結晶化において、原料組成物は撹拌又は静置のいずれの状態であってもよい。
結晶化工程の時間は任意であるが、5時間以上が好ましく、10時間以上がより好ましい。更には結晶化工程の時間は200時間以下が好ましく、更には100時間以下であることが好ましい。
本実施形態の製造方法では、結晶化工程後に、洗浄工程、乾燥工程、SDA除去工程、アルカリ除去工程、金属含有工程、金属含有工程後の洗浄工程、金属含有工程後の乾燥工程、活性化工程の少なくともいずれかを含んでいてもよい。
洗浄工程は、ZTS-8と液相とを固液分離する。洗浄工程は、公知の方法で固液分離をし、固相として得られるZTS-8を純水で洗浄すればよい。
乾燥工程は、ZTS-8に物理吸着している水分を除去する。乾燥条件は任意であり、ZTS-8を、大気中、50℃以上250℃以下、1時間以上120時間以下で静置、又はスプレードライヤーによる乾燥が例示できる。
SDA除去工程は、ZTS-8に含まれるSDAを除去する。本実施形態のZTS-8は、SDAを含有してもよいが、炭化水素吸着能を向上させやすくなることから、SDAを含有していないことが好ましい。そのため、SDAを含有するZTS-8は、SDA除去工程に供することが好ましい。SDAの除去方法として、酸性水溶液による液相処理、レジンによる交換処理、熱分解処理及び焼成処理の群から選ばれる1つ以上が例示できる。製造効率の観点から、SDA除去工程は熱分解処理及び焼成処理の少なくともいずれかであることが好ましい。焼成処理の場合、焼成条件として、大気中、400℃以上700℃以下で1時間以上24時間以下が例示できる。
アルカリ除去工程は、乾燥工程後のZTS-8、または結晶化工程でSDAを用いた場合はSDA除去工程後のZTS-8に含まれるアルカリ金属を除去し、カチオンタイプを変更する。該アルカリ金属は、結晶化工程における原料組成物に含まれている成分が由来である。アルカリ除去後のZTS-8のカチオンタイプはアンモニウムタイプ及びプロトンタイプの少なくともいずれか、が挙げられる。アルカリ除去の方法として、電解質溶液による液相処理、レジンによる交換処理、熱分解処理及び焼成処理の群から選ばれる1つ以上が例示できる。たとえばカチオンタイプがプロトンタイプであるZTS-8を得るには、SDAが除去されたゼオライトを酸で処理する方法、またはSDAが除去されたゼオライトをアンモニウム(NH )タイプで処理したのち加熱処理によりプロトンタイプとする方法が挙げられる。またカチオンタイプがNH タイプのゼオライト(以下、「NH 型ゼオライト」ともいう。)であるZTS-8を得るには、電解質溶液(例えば塩化アンモニウム水溶液)による液相処理が挙げられる。
金属含有工程は、金属とアルカリ除去しカチオンタイプを変更されたZTS-8とを接触させる工程をあらわし、該ZTS-8に金属を含有させることを目的とする。含有させる金属は、特に限定するものではないが、例えば、本実施形態のZTS-8にナトリウム、カリウム、ルビジウム及びセシウムの群から選ばれる少なくとも1以上の金属を含有させる場合、該金属を含有する化合物を用いることが好ましく、該金属を含有する無機酸塩がより好ましい。更には、該金属を含有する無機酸塩として硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、水酸化物及び塩化物の群から選ばれる少なくとも1以上を用いることが好ましい。
金属含有工程は、アルカリ除去しカチオンタイプを変更されたZTS-8の細孔内に金属が含有される方法であればよい。具体的な方法として、イオン交換法、蒸発乾固法及び含浸担持法の群から選ばれる1以上を挙げることができ、含浸担持法、更には上記金属化合物を含む水溶液とZTS-8とを混合する方法であることが好ましい。これにより、ZTS-8の細孔内に金属が担持される。
金属含有工程後の洗浄工程は、金属含有工程後のZTS-8に含有される不純物等を除去することを目的とし、任意の洗浄方法を用いることができる。例えば、金属含有工程後のZTS-8を十分量の純水で洗浄することが挙げられる。
金属含有工程後の乾燥工程は、ゼオライトの表面や細孔等に残存した水分を除去することを目的とし、大気中で、100℃以上200℃以下、好ましくは110℃以上190℃以下、1時間以上24時間以下で処理することが例示できる。
活性化工程は、金属含有工程後の乾燥工程で得られるZTS-8から有機物または水分を除去することを目的とし、大気中、200℃以上、600℃以下、1時間以上10時間以下で処理することが例示でき、大気中、300℃以上600℃以下、1時間以上5時間以下で処理することが好ましい。
本実施形態のZTS-8は、触媒や、吸着剤等の用途で使用する場合、遷移金属を含有してもよい。本実施形態のZTS-8が含有する好ましい遷移金属として、周期表の8族、9族、10族及び11族からなる群の少なくとも1種、更には白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、銀(Ag)、鉄(Fe)、銅(Cu)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)及びインジウム(In)からなる群の1種以上を挙げることができる。ZTS-8に遷移金属を含有させる方法は特に限定されないが、イオン交換法又は含浸担持の方法を上げることができる。
本実施形態のZTS-8は、固体酸触媒、金属触媒担体、又は炭化水素吸着剤として使用することができる。
本実施形態のZTS-8は、これを含む炭化水素吸着剤として用いられ、さらに、本実施形態のZTS-8のみからなる炭化水素吸着剤であってもよい。
本実施形態の炭化水素吸着剤は用途に応じた任意の形状で使用することができ、特に限定するものではないが、例えば、粉末、成形体、又は吸着部材等の形状で使用することができる。具体的な成形体の形状として、球状、略球状、楕円状、円板状、円柱状、多面体状、不定形状及び花弁状の群から選ばれる1以上を挙げることができる。
本実施形態の炭化水素吸着剤を成形体とする場合、前記のZTS-8からなる炭化水素吸着剤を成型加工することもできるが、操作性や耐久性に優れる点で、前記のゼオライトに更に前記のゼオライトを含んだ炭化水素吸着剤を成型加工することが好ましい。成形方法は、例えば、転動造粒成形、プレス成形、押し出し成形、射出成形、鋳込み成形及びシート成形の群から選ばれる1以上を挙げることができる。
本実施形態の炭化水素吸着剤を吸着部材として使用する場合、当該吸着部材については、上記の炭化水素吸着剤を、必要に応じて結合剤などの添加剤と共に、水やアルコール等の溶媒に混合してスラリーを製造し、当該スラリーを基材にコーティングすることによって製造することができる。
本実施形態の炭化水素吸着剤は、炭化水素の吸着方法で使用することができる。
本実施形態の炭化水素吸着剤は、炭化水素含有流体と本実施形態の炭化水素吸着剤とを接触させる工程を有する方法により、炭化水素を吸着することができる。
炭化水素含有流体としては、例えば、炭化水素含有ガス及び炭化水素含有液体の少なくともいずれかを挙げることができる。
炭化水素含有ガスは、少なくとも1種の炭化水素を含むガスであり、2種以上の炭化水素を含むガスであることが好ましい。該炭化水素含有ガスに含まれる炭化水素はパラフィン、オレフィン及び芳香族炭化水素の群の少なくともいずれかが挙げられる。該炭化水素の炭素数は1以上であればよく、1以上15以下であることが好ましい。好ましくは、炭化水素含有ガスに含まれる炭化水素は、メタン、エタン、エチレン、プロピレン、ブタン、炭素数5以上の直鎖状パラフィン、炭素数5以上の直鎖状オレフィン、ベンゼン、トルエン及びキシレンの群の少なくとも1種又は2種以上であり、メタン、エタン、エチレン、プロピレン、ブタン、ベンゼン、トルエン及びキシレンの群の少なくとも1種又は2種以上であることがより好ましく、メタン、エタン、エチレン及びプロピレンの群の少なくとも1種と、ベンゼン、トルエン及びキシレンの群の少なくとも1種とであることがより好ましい。炭化水素含有ガスは一酸化炭素、二酸化炭素、水素、酸素、窒素、窒素酸化物、硫黄酸化物及び水の群の少なくとも1種を含んでいてもよい。具体的な炭化水素含有ガスとして、内燃機関の排ガス等の燃焼ガスを挙げることができる。
炭化水素の吸着方法における炭化水素含有ガスは、メタ-キシレン、オルト‐キシレン及び分岐上のパラフィンの群から選ばれる1以上の炭化水素を含んでいることが好ましい。
好ましくは、当該工程における接触温度は室温~200℃である。
本実施形態の炭化水素吸着剤は、本実施形態とは異なる炭化水素吸着剤に比べて、炭化水素の脱離開始温度が高いという効果を奏する。なお、炭化水素の脱離開始温度については、SiO/Al比との相関性があることが一般的に知られているが、本実施形態の炭化水素吸着剤については、SiO/Al比が同じ条件で、従来にない高い炭化水素脱離開始温度を示す。
以下、実施例により本実施形態の製造方法を説明する。しかしながら、本実施形態はこれら実施例に限定されるものではない。
(結晶相の同定)
一般的な粉末X線回折装置(装置名:Ultima IV Protectus、リガク社製)を使用し、試料のXRD測定をした。測定条件は以下のとおりである。
加速電流・電圧 : 40mA・40kV
線源 : CuKα線(λ=1.5405Å)
測定モード : 連続スキャン
スキャン条件 : 40°/分
測定範囲 : 2θ=3°から43°
発散縦制限スリット: 10mm
発散/入射スリット: 1°
受光スリット : open
検出器 : D/teX Ultra
Niフィルター使用
得られたXRDパターンと、Collection of simulated XRD powder patterns for zeolites,Fifth revised edition(2007)に記載のXRDパターンとを比較することで、試料の構造を同定した。
XRD測定は室温(10℃以上35℃以下)下、かつ湿潤空気下(相対湿度30%以上90%以下)の環境で実施した。また、測定試料を5分以上、室温の湿潤空気に曝したのち、測定を実施した。
(組成分析)
フッ酸と硝酸の混合水溶液に試料を溶解して試料溶液を調製した。一般的なICP装置(装置名:OPTIMA5300DV、PerkinElmer社製)を使用して、当該試料溶液を誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP-AES)で測定した。得られたSi、Alの測定値から、試料のSiO/Al比を求めた。
(細孔容積)
一般的な窒素吸着装置(装置名:BELSORP-mini II、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて、試料に対する窒素ガスの吸着量を測定した。窒素ガスの吸着結果に、t-plot法を適用することにより、細孔容積を求めた。t-plot法は窒素吸着装置付属の解析ソフト(製品名:BELMaster、マイクロトラック・ベル社製)を使用した。なお、窒素ガス吸着は、通常の定容量法を用いた。測定条件は、以下に示す通りである。
測定温度 :-196℃
前処理 :350℃、2時間の真空乾燥
(炭化水素吸着測定)
炭化水素吸着剤の炭化水素の脱離開始温度を測定した。得られた炭化水素吸着剤を、各々加圧成形及び粉砕し、凝集径20~30メッシュの不定形の成形体とし、得られた成形体をそれぞれ測定試料とした。各測定試料0.1gをそれぞれ常圧固定床流通式反応管に充填し、窒素流通下、500℃で1時間処理した後、50℃まで降温することで前処理とした。
上記の前処理を施した各炭化水素吸着剤に炭化水素含有ガスを流通させた。常圧固定床流通式反応管の入口側の炭化水素含有ガスの炭化水素濃度(メタン換算濃度;以下、「入口濃度」ともいう。)及び常圧固定床流通式反応管の出口側の炭化水素含有ガスの炭化水素濃度(メタン換算濃度;以下、「出口濃度」ともいう。)を、水素イオン化検出器(FID)を使用して測定し、入口濃度の時間積分値を流通前炭化水素量[μmolC]とし、出口濃度の時間積分値を流通後炭化水素量[μmolC]とした。50~200℃浄化率は、測定温度50℃から200℃の範囲における流通前炭化水素量及び流通後炭化水素量から、下式を用いて算出した。
50~200℃浄化率[%]=
{(流通前炭化水素量-流通後炭化水素量)/流通前炭化水素量}×100
炭化水素含有ガスの組成及び測定条件を以下に示す。
炭化水素含有ガス :トルエン 3000体積ppmC(メタン換算濃度)
水 3体積%
窒素 残部
ガス流量 :200mL/分
測定温度 :50~600℃
昇温速度 :10℃/分
(炭化水素の脱離開始温度の測定)
炭化水素吸着測定と同様の方法で前処理を行った。
水素イオン化検出器(FID)を使用し、炭化水素吸着剤を通過した後のガス中の炭化水素を連続的に定量分析した。
入口濃度の時間積分値をもって炭化水素吸着剤を通過した炭化水素量とし、当該炭化水素量から、出口濃度(メタン換算濃度)の時間積分値を差し引いた値を求め、各吸着剤における炭化水素吸着量を、当該炭化水素吸着剤の質量当たりの炭化水素吸着量(μmolC/g)として求めた。そして、測定試料の温度の上昇に伴い、最も早く炭化水素吸着量が0μmolC/gとなった温度を炭化水素の脱離開始温度とした。
実施例1
1,4-ビス(N-シクロヘキシルピペリジニウム)ブタンジカチオン水酸化物(以下、「BCBP(OH)」ともいう。」)、純水、水酸化カリウム、及び、SiO/Al比35.8の非晶質アルミノシリケートを混合し、以下のモル組成を有する原料組成物を得た。
SiO/Al比 =35.8
K/SiO比 =0.15
BCBP/SiO比 =0.05
O/SiO比 =50
OH/SiO比 =0.25
該原料組成物を80mLの密閉容器内に充填し、50rpmで回転撹拌しながら160℃、7日間で水熱合成し、結晶化物を得た。得られた結晶化物を固液分離し、純水で洗浄した後、大気中、110℃で20時間、乾燥し、ゼオライト生成物を得、本実施例のゼオライトとした。
本実施例のゼオライトはZTS-8であり、平均結晶径が1.8μm、SiO/Al比が35.0、及び、KO/Al比が0.04であった。該ゼオライト生成物のXRDパターンを下表に示す。メインピークの半値幅は0.48°であった。
Figure 2023056945000005
実施例2
実施例1で得られたゼオライトを大気中、550℃で2時間焼成し、ゼオライト焼成体を得、本実施例のゼオライトとした。
本実施例のゼオライトはZTS-8であり、平均結晶径が1.8μm、SDA/SiO比が検出下限以下(<0.001)であった。該ゼオライト焼成体のXRDパターンを下表に示す。メインピークの半値幅は0.51°であった。
Figure 2023056945000006
実施例3
実施例2で得られたゼオライトを水と混合後、ろ過して得られたケーク上のゼオライトに対して、20質量%塩化アンモニウム水溶液を流し込んだ。次いで、該ゼオライトの10倍容量の温水を流し込んで洗浄した。洗浄後、110℃、大気中で20時間乾燥することで、カチオンタイプがNH タイプのゼオライト(NH 型ゼオライト)を得、本実施例のゼオライトを得た。
得られたNH 型ゼオライトはZTS-8であり、平均結晶径が1.8μm、SiO/Al比が35、KO/Al比が0.001以下(検出限界以下)であった。該NH 型ゼオライトのXRDパターンを下表に示す。メインピークの半値幅は0.50°であった。
Figure 2023056945000007
実施例4
実施例3で得られたゼオライトを、以下の方法でセシウム交換した。
塩化セシウム(富士フィルム和光純薬製(特級))を用い、2質量%の塩化セシウム水溶液を調製した。塩化セシウム水溶液は、該NH 型ゼオライトのAlモル質量に対し、2等量のCsモル質量となる液量を用いた。担持は、該NH 型ゼオライトを水と混合後、ろ過して得られたケークに対し、上記の塩化セシウム水溶液を流し込んだ。次いで、該ゼオライトの10倍容量の温水を流し込んで洗浄した。洗浄後、110℃、大気中で乾燥することでCsの担持を行い、カチオンタイプがCsタイプのゼオライト(以下、「Cs型ゼオライト」ともいう。)を得、本実施例のゼオライトとした。
得られたCs型ゼオライトはZTS-8であり、細孔容積が0.15mL/g、平均結晶径が1.8μm、SiO/Al比が35、CsO/Al比が0.89であった。該Cs型ゼオライトのXRDパターンを下表に示す。メインピークの半値幅は0.49°であった。
Figure 2023056945000008
実施例5
SiO/Al比28.9の非晶質アルミノシリケートを用いたこと、以下のモル組成を有する原料組成物を用いたこと、種晶として実施例1と同様な方法で得られたゼオライトを用いたこと、及び、種晶を種晶含有量1.0質量%となるよう加えたこと以外は実施例1と同様の方法で本実施例のゼオライトを得た。
SiO/Al比 =28.9
K/SiO比 =0.20
BCBP/SiO比 =0.05
O/SiO比 =50
OH/SiO比 =0.30
得られたゼオライト生成物は、ZTS-8であり、平均結晶径が1.1μm、SiO/Al比が26、KO/Al比が0.11であった。該ゼオライト生成物のXRDパターンを下表に示す。メインピークの半値幅は0.42°であった。
Figure 2023056945000009
実施例6
実施例5のゼオライトを用いたこと以外は、実施例2と同様の方法でゼオライト焼成体を得、本実施例のゼオライトとした。
本実施例のゼオライトはZTS-8であり、平均結晶径が1.1μm、SDA/SiO2比が検出下限以下(<0.001)であった。本実施例のゼオライトのXRDパターンを下表に示す。メインピークの半値幅は0.49°であった。
Figure 2023056945000010
実施例7
実施例6のゼオライトを用いたこと以外は、実施例3と同様の方法でアルカリ除去工程を行い、NH 型ゼオライトを得、本実施例のゼオライトとした。
本実施例のゼオライトはZTS-8であり、平均結晶径が1.1μm、SiO/Al比が26、KO/Al比が0.001であった。本実施例のゼオライトのXRDパターンを下表に示す。メインピークの半値幅は0.48°であった。
Figure 2023056945000011
実施例8
実施例7のゼオライトを用いたこと以外は、実施例4と同様の方法で金属担持工程を行い、Cs型ゼオライトを得、これを本実施例のゼオライトとした。
本実施例のゼオライトはZTS-8であり、平均結晶径が1.1μm、細孔容積が0.15mL/g、SiO/Al比が26、CsO/Al比が0.84であった。該Cs型ゼオライトのXRDパターンを下表に示す。メインピークの半値幅は0.49°であった。
Figure 2023056945000012
実施例9
1,4-ビス(N-シクロヘキシルピペリジニウム)ブタンジカチオン臭化物(以下、「BCBPBr」ともいう。」)、純水、水酸化カリウム、及びSiO/Al比36.8の非晶質アルミノシリケートを混合し、以下のモル組成を有する原料組成物を得た。
SiO/Al比 =36.8
K/SiO比 =0.20
BCBP/SiO比 =0.04
O/SiO比 =34
OH/SiO比 =0.20
種晶として実施例1のゼオライトを使用し、また、原料組成物に対して種晶含有量が1.0質量%となるように種晶を原料組成物に混合した後、該原料組成物を4Lの密閉容器内に充填し、251rpmで回転撹拌しながら160℃、120時間で水熱合成した。得られた結晶化物を固液分離し、純水で洗浄した後、大気中、110℃で乾燥し、ゼオライト生成物を得た。
本実施例のゼオライトはZTS-8であり、SiO/Al比が35.0、KO/Al比が0.18であった。本実施例のゼオライトのXRDパターンを下表に示す。メインピークの半値幅は0.46°であった。
Figure 2023056945000013
実施例1及び2、並びに実施例5及び6で得られたゼオライトは、SDAの有無に関わらず表1のXRDパターンを満たし、なおかつ、メインピークの半値幅が、0.20°以上、0.80°以下である、ZTS-8であることが分かった。
実施例1乃至8で得られたゼオライトは、カチオンタイプによらず表1のXRDパターンを満たし、なおかつ、メインピークの半値幅が、0.20°以上、0.80°以下である、ZTS-8であることが分かった。
比較例1
カチオンタイプがプロトンタイプであるBEA型ゼオライト(製品名:HSZ-931HOA、東ソー社製;SiO/Al=30)を用いて、実施例1と同様な方法で金属担持工程を行い、本比較例のゼオライトを得た。
得られたゼオライトは、SiO/Al比が30、CsO/Al比が0.72、カチオンタイプがCsタイプであるBEA型ゼオライトであった。
比較例2
15.9質量%N,N,N-トリメチル((-)-シス-ミルタニル)アンモニウムカチオンヒドロキシド水溶液(以下、「TMMAOH」ともいう。)、アルミニウムイソプロポキシド、テトラエトキシシランを混合し、90℃で20時間加熱して水を蒸発させた。該TMAAOHは、(-)-シス-ミルタニルアミンをヨードメタンでメチル化後、イオン交換樹脂(製品名:SA10AOH、三菱化学社製)でイオン交換して得た。得られたTMAAOH(固体)を乳鉢で粉砕後、48質量%フッ化水素酸、種晶として5質量%のCON型ゼオライトを加えて混合し、以下のモル組成を有する原料組成物を得た。
SiO/Al比 = 50.0
TMMAOH/SiO比 = 0.50
HF/SiO比 = 0.50
O/SiO比 = 5.0
得られた組成物をテフロン(登録商標)内筒付きオートクレーブに密閉し、当該オートクレーブを静置下で、170℃、自生圧下で7日間加熱してゼオライト生成物を得た。該ゼオライト生成物は濾過、洗浄し、大気中110℃で一晩乾燥させた。その後窒素雰囲気下で450℃、1時間、続けて空気下で600℃、2時間加熱した。これにより、SiO/Alが53であるゼオライト焼成体を得た。該ゼオライト焼成体のXRDパターンを下表に示す。CuKα線を光源とした場合の格子面間隔d=3.843(Å)のピークの半値幅は0.13°であり、該ゼオライト焼成体はカチオンタイプがプロトンタイプであるCON型ゼオライト(CIT-1)であった。
Figure 2023056945000014
次に該ゼオライト焼成体を使用したこと以外は、実施例1と同様な方法で金属含有工程を行い、本比較例のゼオライトを得た。本比較例のゼオライトはCIT-1であり、CsO/Al比が0.64、カチオンタイプがCsタイプであった。
上記の実施例4及び8、並びに、比較例1及び2のゼオライトを、それぞれ、炭化水素吸着剤として、その炭化水素吸着測定を測定した。結果を下表に示す。
Figure 2023056945000015
ZTS-8は、炭化水素吸着剤として実用化されている*BEA型ゼオライト(比較例1)、及び、SSZ-33ファミリーに属する既存のゼオライト(比較例2)と比較して、脱離開始温度および浄化率が高い。これより、ZTS-8は、SSZ-33ファミリーに属する既存の物質やその他の構造を有するゼオライトよりも炭化水素吸着能が高いことが確認された。

Claims (13)

  1. 少なくとも以下の粉末X線回折ピークを有し、CuKα線を光源とした場合の格子面間隔d=3.85±0.06Åにピークトップを有する粉末X線回折ピークの半値幅が、0.20°以上、0.80°以下であることを特徴とするゼオライト。
    Figure 2023056945000016
  2. 前記粉末X線回折ピークにおいて、CuKα線を光源とした場合の格子面間隔d=11.33±0.23Åにピークトップを有する粉末X線回折ピークの強度に対する、d=10.46±0.55Åにピークトップを有する粉末X線回折ピークの強度の比が0.155以上である、請求項1に記載のゼオライト。
  3. 細孔容積が0.10mL/g以上0.50mL/g以下である請求項1又は2に記載のゼオライト。
  4. アルミナに対するシリカのモル比が10以上10000以下である、請求項1乃至3のいずれかひとつに記載のゼオライト。
  5. 平均結晶径が0.05μm以上5.0μm以下である、請求項1乃至4のいずれかひとつに記載のゼオライト。
  6. カチオンタイプがプロトンタイプ、ナトリウムタイプ、カリウムタイプ、アンモニウムタイプ、第4級アンモニウムタイプ、及びセシウムタイプからなる群のいずれか1以上である、請求項1乃至5のいずれかひとつに記載のゼオライト。
  7. シリカ源、アルミナ源、アルカリ源、第4級アンモニウムカチオン、及び、水、を含み、なおかつ、FAU型ゼオライトを含まない組成物を結晶化する工程、を有することを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかひとつに記載のゼオライトの製造方法。
  8. 前記アルカリ源が少なくともカリウム化合物を含む、請求項7に記載のゼオライトの製造方法。
  9. 前記第4級アンモニウムカチオンが1,4-ビス(N-シクロヘキシルピペリジニウム)ブタンジカチオンである、請求項7又は8に記載の製造方法。
  10. 前記組成物のシリカに対するOHのモル比が0を超え0.30以下である、請求項7乃至9のいずれかひとつに記載の製造方法。
  11. 前記組成物のシリカに対する第4級アンモニウムカチオンのモル比が0を超え0.10以下である、請求項7乃至10のいずれかひとつに記載の製造方法。
  12. 請求項1乃至6のいずれかひとつに記載のゼオライトを含む炭化水素吸着剤。
  13. 請求項1乃至6のいずれかひとつに記載のゼオライトを使用する、炭化水素の吸着方法。
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