JP2023050727A - 研磨用組成物、研磨方法および半導体基板の製造方法 - Google Patents

研磨用組成物、研磨方法および半導体基板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】窒化ケイ素膜を高速で研磨し、かつ、酸化ケイ素膜の研磨速度に対する、窒化ケイ素膜の研磨速度の比が十分に高い(すなわち、窒化ケイ素膜の研磨選択比が高い)研磨用組成物が提供される。【解決手段】砥粒と、pH調整剤と、水と、を含有し、前記砥粒のゼータ電位が、-25mV以下であり、前記砥粒の会合度が、3.5を超え、pHが6以下である、研磨用組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、研磨用組成物、研磨方法および半導体基板の製造方法に関する。
近年、LSI(Large Scale Integration)の高集積化、高性能化に伴って新たな微細加工技術が開発されている。化学機械研磨(chemical mechanical polishing;CMP)法もその一つであり、LSI製造工程、特に多層配線形成工程における層間絶縁膜の平坦化、金属プラグ形成、埋め込み配線(ダマシン配線)形成において頻繁に利用される技術である。
当該CMPは、半導体製造における各工程に適用されてきており、その一態様として、例えばトランジスタ作製におけるゲート形成工程への適用が挙げられる。トランジスタ作製の際には、金属、シリコン、酸化ケイ素、多結晶シリコン、窒化ケイ素膜といった材料を研磨することがあり、生産性を向上させるべく、各材料を高速で研磨する要求が存在する。かような要求に応えるため、例えば、特許文献1には、窒化ケイ素などの化学反応性に乏しい研磨対象物を高速で研磨可能な研磨用組成物を提供することを目的として、組成物に有機酸を固定化したコロイダルシリカ(スルホン酸基(アニオン)変性コロイダルシリカ)を砥粒として含有させ、pHを6以下とする技術が開示されている。
特開2012-040671号公報
確かに、特許文献1に記載のアニオン変性コロイダルシリカを用いると、窒化ケイ素膜を高い研磨速度で研磨することができる。
本発明者らは、半導体製造におけるCMPにおいて、窒化ケイ素膜を高い研磨速度で研磨する一方、酸化ケイ素膜については、研磨速度を極力低くさせる方が製造上好ましい場合があることを知見した。
そこで、本発明は、窒化ケイ素膜を高速で研磨し、かつ、酸化ケイ素膜の研磨速度に対する、窒化ケイ素膜の研磨速度の比が十分に高い(すなわち、窒化ケイ素膜の研磨選択比が高い)研磨用組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を積み重ねた。その結果、砥粒と、pH調整剤と、水と、を含有し、前記砥粒のゼータ電位が、-25mV以下であり、前記砥粒の会合度が、3.5を超え、pHが6以下である研磨用組成物により、上記課題が解決されうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明によれば、窒化ケイ素膜を高速で研磨し、かつ、酸化ケイ素膜の研磨速度に対する、窒化ケイ素膜の研磨速度の比が十分に高い(すなわち、窒化ケイ素膜の研磨選択比が高い)研磨用組成物が提供される。
以下、本発明の一形態に係る実施の形態を説明する。本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。
本明細書において、範囲を示す「X~Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20~25℃)/相対湿度40~50%RHの条件で測定する。
<研磨用組成物>
本発明は、研磨対象物を研磨するために用いられる研磨用組成物であって、砥粒と、pH調整剤と、水と、を含有し、前記砥粒のゼータ電位が、-25mV以下であり、前記砥粒の会合度が、3.5を超え、pHが6以下である、研磨用組成物である。かような構成を有する本発明の研磨用組成物は、窒化ケイ素膜を高速で研磨し、かつ、酸化ケイ素膜の研磨速度に対する、窒化ケイ素膜の研磨速度の比(以下、「窒化ケイ素膜の研磨選択比」とも称する)が十分に高い。すなわち、本発明の研磨用組成物は、窒化ケイ素膜を高速で研磨し、かつ、酸化ケイ素膜の研磨速度を抑えることができる。
本発明の研磨用組成物により、上記効果を奏する理由は必ずしも明確ではないが、以下のように考えられる。ただし、以下のメカニズムは推測に過ぎず、本発明の技術的範囲を制限しないことは言うまでもない。
研磨用組成物は、一般に、基板表面を摩擦することによる物理的作用および砥粒以外の成分が基板の表面に与える化学的作用、ならびにこれらの組み合わせによって研磨対象物を研磨するものである。これにより、砥粒の形態や種類は研磨速度に大きな影響を与えることとなる。
本発明の研磨用組成物に含まれる砥粒は、ゼータ電位が-25mV以下であり、かつ、会合度が3.5を超えている。すなわち、砥粒は負に帯電しており、かつ、砥粒(二次粒子)は、一次粒子が3.5個を超えて会合(凝集)したものが用いられる。一方で、窒化ケイ素は、pHが6以下において、その表面が正に帯電している。したがって、砥粒と窒化ケイ素膜との間の静電気作用により、砥粒は、窒化ケイ素膜表面に接近しやすい。このとき、砥粒は一次粒子が3.5個を超えて会合しており、その会合したそれぞれの一次粒子が負に帯電しているため、窒化ケイ素膜表面において砥粒の一次粒子が拡がるように接触すると考えられる。そうすると、窒化ケイ素膜表面において、砥粒の接触面が大きくなり、研磨対象物である窒化ケイ素膜表面(研磨面)に機械的力を効果的に付与することができ、好適に研磨することができるものと考えられる。
また、本発明において、研磨用組成物のpHが6以下であることにより、酸化ケイ素膜の表面は負に帯電している。そのため、砥粒と酸化ケイ素膜との間の静電的な反発により、砥粒は、酸化ケイ素膜表面に接近しにくい。よって、砥粒は、酸化ケイ素膜表面に付着しにくく、効率的な研磨ができない状態であり、本発明の研磨用組成物は、酸化ケイ素膜の研磨速度を抑えることができる。これにより、本発明の研磨用組成物は、窒化ケイ素膜の研磨選択比を高くすることができたものと考えられる。
[研磨対象物]
本発明に係る研磨対象物は、窒化ケイ素膜および酸化ケイ素膜を含むことが好ましい。すなわち、本発明の好ましい一実施形態によれば、研磨対象物は、窒化ケイ素膜および酸化ケイ素膜を含む。
酸化ケイ素膜の例としては、例えば、オルトケイ酸テトラエチルを前駆体として使用して生成されるTEOS(Tetraethyl Orthosilicate)タイプ酸化ケイ素膜(以下、単に「TEOS膜」とも称する)、HDP(High Density Plasma)膜、USG(Undoped Silicate Glass)膜、PSG(Phosphorus Silicate Glass)膜、BPSG(Boron-Phospho Silicate Glass)膜、RTO(Rapid Thermal Oxidation)膜等が挙げられる。
本発明に係る研磨対象物は、窒化ケイ素膜および酸化ケイ素膜以外に、他の材料を含んでいてもよい。他の材料の例としては、炭窒化ケイ素(SiCN)、多結晶シリコン、非晶質シリコン(アモルファスシリコン)、金属、SiGe等が挙げられる。
上記金属としては、例えば、タングステン、銅、アルミニウム、コバルト、ハフニウム、ニッケル、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、オスミウム等が挙げられる。
[砥粒]
本発明の研磨用組成物は、砥粒を含む。本発明の研磨用組成物において、砥粒は、ゼータ電位が-25mV以下であり、会合度が3.5を超える。ここで、「ゼータ(ζ)電位」とは、互いに接している固体と液体とが相対運動を行なったときの両者の界面に生じる電位差のことである。「会合度」とは、砥粒の平均二次粒子径を砥粒の平均一次粒子径で除して求められるものである。
本発明の研磨用組成物において、砥粒のゼータ電位は、-25mV以下である。砥粒のゼータ電位を-25mV以下とすることで、研磨対象物と砥粒における静電的に引き合う力を高めることができ、窒化ケイ素膜の研磨レートを改善することができる。砥粒のゼータ電位は、好ましくは-30mV以下であるのが好ましく、-32mV以下であるのがより好ましく、-35mV以下であるのがさらに好ましく、-38mV以下であるのが特に好ましい。砥粒のゼータ電位は、好ましくは-65mV以上であるのが好ましく、-60mV以上であるのがより好ましく、-55mV以上であるのがさらに好ましく、-50mV以上であるのが特に好ましい。すなわち、砥粒のゼータ電位は、好ましくは-65mV以上-30mV以下であるのが好ましく、-60mV以上-32mV以下であるのがより好ましく、-55mV以上-35mV以下であるのがさらに好ましく、-50mV以上-38mV以下であるのが特に好ましい。砥粒がこのような範囲のゼータ電位を有していることにより、本発明の所期の効果をより向上させることができる。
ここで、研磨用組成物中の砥粒のゼータ電位は、研磨用組成物の希釈液をスペクトリス社マルバーン・パナリティカル事業部製zetasizer-nanoに供し、測定温度25℃でキャピラリーセルを用い、レーザードップラー法(電気泳動光散乱測定法)で測定し、得られるデータをSmoluchowskiの式で解析することにより、算出する。
砥粒の平均一次粒子径の下限は、1nm以上が好ましく、5nm以上がより好ましく、7nm以上がさらに好ましく、8nm以上が特に好ましく、10nm以上が最も好ましい。砥粒の平均一次粒子径の上限は、200nm以下が好ましく、150nm以下がより好ましく、100nm以下がさらに好ましく、50nm以下が特に好ましく、30nm以下であるのが最も好ましい。砥粒の平均一次粒子径がこのような範囲であれば、本発明の所期の効果を効率よく奏することができる。
砥粒の平均一次粒子径の値はBET法を用いて測定された比表面積に基づいて、算出することができる。
砥粒の平均二次粒子径の下限は、10nm以上であることが好ましく、20nm以上であることがより好ましく、30nm以上であることがさらに好ましく、40nm以上であることがよりさらに好ましく、50nm以上であることが特に好ましい。また、砥粒の平均二次粒子径の上限は、700nm以下が好ましく、530nm以下がより好ましく、350nm以下がさらに好ましく、180nm以下がよりさらに好ましく、120nm以下が特に好ましく、90nm以下が最も好ましい。すなわち、砥粒の平均二次粒子径は、好ましくは10nm以上700nm以下、より好ましくは20nm以上530nm以下、さらに好ましくは30nm以上350nm以下、特に好ましくは40nm以上180nm以下、最も好ましくは50nm以上120nm以下である。このような範囲であれば、本発明の所期の効果を効率よく奏することができる。
なお、砥粒の平均二次粒子径は、例えば、レーザー回折散乱法に代表される動的光散乱法により測定することができる。すなわち、砥粒の平均二次粒子径は、レーザー回折散乱法により求められる砥粒の粒度分布において、微粒子側から積算粒子質量が全粒子質量の50%に達するときの粒子の直径D50に相当する。
砥粒の会合度は、3.5を超える。砥粒の会合度が3.5以下の場合、窒化ケイ素膜へ接触する面積が小さくなるため、窒化ケイ素膜の研磨選択比(酸化ケイ素膜の研磨速度に対する、窒化ケイ素膜の研磨速度の比)が低下する。砥粒の会合度が3.5を超えることで、負に帯電している砥粒のゼータ電位の絶対値が大きくなり、より窒化ケイ素膜へ接近し易くなるので、窒化ケイ素膜との接触面積を十分得られることから、窒化ケイ素膜の研磨選択比が向上する。砥粒の会合度は、4.0以上であることが好ましく、4.5以上であることがより好ましく、5.0を超えることがさらに好ましく、5.5以上であるのが特に好ましく、6.0以上であるのが最も好ましい。砥粒の会合度が大きくなるにつれて、研磨用組成物による窒化ケイ素の研磨速度が向上するという利点や酸化ケイ素の研磨速度を抑制するという利点がある。砥粒の会合度の上限は、特に制限されないが、20以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましく、8以下であることがさらに好ましい。砥粒の会合度が小さくなるにつれて、研磨対象物表面の欠陥発生をより低減することができる。また、品質が一定で安定性の高い研磨用組成物が得られ易くなる。なお、砥粒の会合度は、砥粒の平均二次粒子径の値を平均一次粒子径の値で除することにより得られる。
砥粒の大きさ(平均一次粒子径、平均二次粒子径等)は、砥粒の製造方法の選択等により適切に制御することができる。
砥粒の形状は、特に制限されず、球形状であってもよいし、非球形状であってもよい。非球形状の具体例としては、三角柱や四角柱などの多角柱状、円柱状、円柱の中央部が端部よりも膨らんだ俵状、円盤の中央部が貫通しているドーナツ状、板状、中央部にくびれを有するいわゆる繭型形状、複数の粒子が一体化しているいわゆる会合型球形状、表面に複数の突起を有するいわゆる金平糖形状、ラグビーボール形状等、種々の形状が挙げられ、特に制限されない。
本発明の研磨用組成物において、砥粒の種類としては、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア等の金属酸化物が挙げられる。該砥粒は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。該砥粒は、それぞれ市販品を用いてもよいし合成品を用いてもよい。砥粒の種類としては、好ましくはシリカであり、より好ましくはコロイダルシリカである。
以下に、本発明に用いられるコロイダルシリカの好ましい実施形態を説明する。
本発明の研磨用組成物に用いられる砥粒は、後述する原料コロイダルシリカを、イオン交換樹脂を用いてイオン交換するイオン交換工程を経て得られたものであるのが好ましい。イオン交換工程は、1回の実施でもよく、必要に応じて2回以上の実施でもよい。
原料コロイダルシリカとは、後述する変性工程を用いてアニオン変性(改質)される前の原料であり、シリカ粒子を含む。原料コロイダルシリカは、ケイ酸ソーダ法によって製造されたものでも、ゾルゲル法によって製造されたものでもよい。原料コロイダルシリカは、合成したものであっても、市販品であってもよい。原料コロイダルシリカは、未変性のものであっても、変性されたものであってもよい。変性された原料コロイダルシリカとしては、例えばアルミン酸などで処理された変性コロイダルシリカが挙げられる。
イオン交換工程を経ることにより、原料コロイダルシリカの純度に関わらず、シリカ粒子の凝集を抑制することができる。
一実施形態において、原料コロイダルシリカは、ケイ酸ソーダ法により得られたコロイダルシリカである。ケイ酸ソーダ法は、典型的には、水ガラス等の珪酸アルカリ水溶液をイオン交換して得た活性珪酸を原材料として用い、それを粒子成長させる方法である。
原料コロイダルシリカの平均一次粒子径、平均二次粒子径、会合度は、上述の砥粒と同様の範囲が適用できる。
イオン交換工程において、原料コロイダルシリカにおけるシリカ粒子(固形分)の濃度は、イオン交換に適する濃度であれば特に制限されない。原料コロイダルシリカにおけるシリカ粒子(固形分)の濃度は、例えば1質量%以上40質量%以下であり、好ましくは5質量%以上30質量%以下であり、より好ましくは10質量%以上20質量%以下である。
イオン交換工程において用いられるイオン交換樹脂としては、特に制限されないが、強酸性カチオン交換樹脂、弱酸性カチオン交換樹脂、強塩基性アニオン交換樹脂I型、強塩基性アニオン交換樹脂II型、弱塩基性アニオン交換樹脂等が挙げられる。イオン交換樹脂は、好ましくは強酸性カチオン交換樹脂または弱酸性カチオン交換樹脂である。
強酸性カチオン交換樹脂が有する交換基としては、スルホン酸基等が挙げられる。弱酸性カチオン交換樹脂が有する交換基としては、カルボキシ基、フェノール性水酸基等が挙げられる。強塩基性アニオン交換樹脂I型が有する交換基としては、トリメチルアンモニウム基等が挙げられる。強塩基性アニオン交換樹脂II型が有する交換基としては、ジメチルエタノールアンモニウム基等が挙げられる。弱塩基性アニオン交換樹脂が有する交換基としては、三級アミノ基等が挙げられる。
イオン交換樹脂としては市販品を使用してもよく、当該市販品としては、SGC650(ピュロライト株式会社製)、ダイヤイオン(商標)シリーズ(三菱ケミカル株式会社製)、アンバーライト(商標)、アンバージェット(商標)(オルガノ株式会社製)等が挙げられる。
原料コロイダルシリカを、イオン交換樹脂を用いてイオン交換する方法は、特に制限されず、従来公知の手法を用いることができる。例えば、原料コロイダルシリカとイオン交換樹脂とを混合する方法、イオン交換樹脂を充填したカラム中に原料コロイダルシリカを通液させる方法などが挙げられる。
原料コロイダルシリカとイオン交換樹脂とを混合する場合、イオン交換樹脂の使用量は、使用する原料コロイダルシリカに応じて適宜調整することができる。イオン交換樹脂の使用量は、15質量部の原料コロイダルシリカ(固形分)に対して、例えば10質量部以上50質量部以下であり、好ましくは20質量部以上30質量部以下である。
原料コロイダルシリカとイオン交換樹脂とを混合(撹拌)する温度は、例えば10℃以上50℃以下であり、好ましくは20℃以上30℃以下である。また、原料コロイダルシリカとイオン交換樹脂とを混合(撹拌)する時間は、例えば1時間以上30時間以下であり、好ましくは10時間以上20時間以下である。
イオン交換が完了した後、イオン交換樹脂を分離除去することで、変性工程で使用するイオン交換した原料コロイダルシリカが得られる。イオン交換樹脂を分離除去する方法は、特に制限されず、例えばイオン交換樹脂を自然沈降させて、上澄み液を回収することにより、イオン交換した原料コロイダルシリカを得ることができる。
イオン交換樹脂を充填したカラム中に原料コロイダルシリカを通液させる場合、原料コロイダルシリカのカラムを通過させる速度(空間速度)は、例えば1時間当たり1以上30以下であり、好ましくは5以上15以下である。この際、原料コロイダルシリカの温度は、例えば0℃以上50℃以下であり、好ましくは10℃以上30℃以下である。
通液後の原料コロイダルシリカを変性工程におけるイオン交換した原料コロイダルシリカとして使用することができる。イオン交換した原料コロイダルシリカを用いることで、不純物の発生及びシリカの凝集を抑制することができる。
本発明の研磨用組成物に用いられる砥粒は、イオン交換した原料コロイダルシリカをアニオン変性して、アニオン変性コロイダルシリカを得る変性工程を経て得られたものであることが好ましい。すなわち、本発明の研磨用組成物に用いられる砥粒は、アニオン変性コロイダルシリカであるのが好ましい。
変性工程において、アニオン変性処理の具体的な形態については特に制限はなく、従来公知のコロイダルシリカの変性処理のうち、コロイダルシリカをアニオン変性させることが可能な処理が適宜用いられうる。コロイダルシリカのアニオン変性(改質)とは、例えば、アニオン性官能基を有する有機化合物(好ましくは有機酸)をコロイダルシリカの表面に化学的に結合させることをいう。
有機酸が固定化されたコロイダルシリカは、コロイダルシリカの表面に有機酸を固定化させることにより得ることができる。コロイダルシリカと有機酸とを単に共存させただけではコロイダルシリカへの有機酸の固定化は果たされない。有機酸の一種であるスルホン酸をコロイダルシリカに固定化するのであれば、例えば、“Sulfonic acid-functionalized silica through quantitative oxidation of thiol groups”, Chem. Commun. 246-247 (2003)に記載の方法で行うことができる。具体的には、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のチオール基を有するシランカップリング剤をコロイダルシリカにカップリングさせた後に過酸化水素でチオール基を酸化することにより、スルホン酸が表面に固定化されたコロイダルシリカを得ることができる。あるいは、カルボン酸をコロイダルシリカに固定化するのであれば、例えば、“Novel Silane Coupling Agents Containing a Photolabile 2-Nitrobenzyl Ester for Introduction of a Carboxy Group on the Surface of Silica Gel”, Chemistry Letters, 3, 228-229 (2000)に記載の方法で行うことができる。具体的には、光反応性2-ニトロベンジルエステルを含むシランカップリング剤をコロイダルシリカにカップリングさせた後に光照射することにより、カルボン酸が表面に固定化されたコロイダルシリカを得ることができる。
一実施形態において、変性工程において用いられる3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のチオール基を有するシランカップリング剤の添加量を、イオン交換した原料コロイダルシリカに含まれるシリカ粒子(固形分)100質量%に対して、好ましくは0.1質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは0.2質量%以上5質量%以下であり、さらに好ましくは0.4質量%以上1.5質量%以下である。シランカップリング剤の添加量の下限を上記範囲とすると、シリカ粒子の表面を十分にアニオン化させることができ、研磨剤(研磨用組成物における砥粒)として用いられた場合に優れた性能を発揮させることが可能となる。一方、シランカップリング剤の添加量の上限を上記範囲とすると、得られる反応物(アニオン変性コロイダルシリカ)の経時的なゲル化が防止されうる。また、シランカップリング剤を溶解させるのに用いられる有機溶媒(親水性溶媒)の量は、シランカップリング剤の量100体積%に対して、好ましくは300体積%以上7000体積%以下であり、より好ましくは400体積%以上6000体積%以下である。
本発明において、好ましくはスルホン酸が表面に固定化されたコロイダルシリカを用いることにより、窒化ケイ素膜表面(研磨面)に効率的に付着し、機械的力をより効果的に付与することができ、好適に研磨することができる。
本発明の研磨用組成物において、砥粒は、ゼータ電位が-25mV以下であり、かつ会合度が3.5を超える砥粒以外の砥粒(以下、他の砥粒)をさらに含んでいてもよい。本発明の研磨用組成物に含まれる他の砥粒の種類としては、特に制限されず、例えば、会合度が3.5以下のシリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア等の酸化物が挙げられる。他の砥粒は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。他の砥粒は、それぞれ市販品を用いてもよいし合成品を用いてもよい。
本発明の一実施形態による研磨用組成物中の砥粒の含有量(濃度)の下限は、研磨用組成物に対して、0.2質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましく、0.5質量%以上であることがさらに好ましい。また、本発明の研磨用組成物中、砥粒の含有量の上限は、研磨用組成物に対して、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましく、5質量%以下であることが特に好ましく、3質量%以下であることが最も好ましい。このような範囲であると、研磨速度をより向上させることができる。なお、研磨用組成物が2種以上の砥粒を含む場合には、砥粒の含有量はこれらの合計量を意味する。
[pHおよびpH調整剤]
本発明の研磨用組成物のpHは6以下である。pHが6以下であると、酸化ケイ素膜と砥粒との間の電気的な反発の大きさがより良好となり、本発明の所期の効果を発揮しやすくなる。本発明の研磨用組成物のpHは6以下であればよいが、好ましくはpH5.5以下であり、より好ましくはpH5以下であり、さらに好ましくはpH4.5以下である。pHが6以下であると、窒化ケイ素膜に対する研磨速度が向上する有利な効果がある。pHの下限は、1.0以上であることが好ましく、1.5以上であることがより好ましく、2以上であることがさらに好ましい。すなわち、本発明の研磨用組成物のpHは、好ましくは1.0以上5.5以下であり、より好ましくは1.5以上5以下であり、さらに好ましくは2以上4.5以下である。
本発明の研磨用組成物は、pH調整剤を含む。pH調整剤は、研磨用組成物のpHを所望の値に調整する。
本発明の研磨用組成物に含まれるpH調整剤は、無機酸、有機酸、アルカリ等がある。これらは1種単独でもまたは2種以上を組み合わせて使ってもよい。
pH調整剤として使用できる無機酸の具体例としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、フッ酸、ホウ酸、炭酸、次亜リン酸、亜リン酸およびリン酸が挙げられる。なかでも好ましいのは、塩酸、硫酸、硝酸またはリン酸である。
pH調整剤として使用できる有機酸の具体例としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、2-メチル酪酸、n-ヘキサン酸、3,3-ジメチル酪酸、2-エチル酪酸、4-メチルペンタン酸、n-ヘプタン酸、2-メチルヘキサン酸、n-オクタン酸、2-エチルヘキサン酸、安息香酸、グリコール酸、サリチル酸、グリセリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、ジグリコール酸、2-フランカルボン酸、2,5-フランジカルボン酸、3-フランカルボン酸、2-テトラヒドロフランカルボン酸、メトキシ酢酸、メトキシフェニル酢酸およびフェノキシ酢酸が挙げられる。メタンスルホン酸、エタンスルホン酸およびイセチオン酸等の有機スルホン酸を使用してもよい。なかでも好ましいのは、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、リンゴ酸および酒石酸のようなジカルボン酸、ならびにクエン酸のようなトリカルボン酸である。
無機酸または有機酸の代わりにあるいは無機酸または有機酸と組み合わせて、無機酸または有機酸のアルカリ金属塩等の塩をpH調整剤として用いてもよい。弱酸と強塩基、強酸と弱塩基、または弱酸と弱塩基の組み合わせの場合には、pHの緩衝作用を期待することができる。
pH調整剤として使用できるアルカリの具体例としては、例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等を挙げることができる。pH調整剤の含有量は、本発明の効果を奏する範囲内で適宜調整することによって選択することができる。
なお、研磨用組成物のpHは、例えばpHメータにより測定することができる。
[分散媒]
本発明の研磨用組成物は、各成分を分散するための分散媒を含む。分散媒としては、水;メタノール、エタノール、エチレングリコール等のアルコール類;アセトン等のケトン類等や、これらの混合物などが例示できる。これらのうち、分散媒としては水が好ましい。すなわち、本発明の好ましい形態によると、分散媒は水を含む。本発明のより好ましい形態によると、分散媒は実質的に水からなる。なお、上記の「実質的に」とは、本発明の目的効果が達成され得る限りにおいて、水以外の分散媒が含まれ得ることを意図し、より具体的には、好ましくは90質量%以上100質量%以下の水と0質量%以上10質量%以下の水以外の分散媒とからなり、より好ましくは99質量%以上100質量%以下の水と0質量%以上1質量%以下の水以外の分散媒とからなる。最も好ましくは、分散媒は水である。
研磨用組成物に含まれる成分の作用を阻害しないようにするという観点から、分散媒としては、不純物をできる限り含有しない水が好ましく、具体的には、イオン交換樹脂にて不純物イオンを除去した後、フィルタを通して異物を除去した純水や超純水、または蒸留水がより好ましい。
[その他の成分]
本発明の研磨用組成物は、本発明の効果が著しく妨げられない範囲で、酸化剤、錯化剤、防腐剤、防カビ剤等の、研磨用組成物に用いられ得る公知の添加剤を、必要に応じてさらに含有してもよい。
[電気伝導度]
本発明の研磨用組成物の電気伝導度は、0.5mS/cm以上20mS/cm以下であるのが好ましく、0.5mS/cm以上10mS/cm以下であることがより好ましい。研磨用組成物の電気伝導度の下限は、好ましくは1mS/cm以上であり、より好ましくは2mS/cm以上であり、さらに好ましくは3mS/cm以上である。また、研磨用組成物の電気伝導度の上限は、好ましくは9mS/cm以下であり、より好ましくは8mS/cm以下であり、さらに好ましくは7.5mS/cm以下である。すなわち、本発明の研磨用組成物の電気伝導度は、好ましくは1mS/cm以上9mS/cm以下であり、より好ましくは2mS/cm以上8mS/cm以下であり、さらに好ましくは3mS/cm以上7.5mS/cm以下である。研磨用組成物の電気伝導度が上記範囲であることにより、本発明の所期の効果を効率よく奏することができる。なお、研磨用組成物の電気伝導度は、卓上型電気伝導率計(株式会社堀場製作所製、型番:DS-71)により測定される値である。
[研磨用組成物の製造方法]
本発明の研磨用組成物の製造方法は、特に制限されず、例えば、砥粒、および必要に応じて他の成分を、分散媒(例えば、水)中で攪拌混合することにより得ることができる。各成分の詳細は上述した通りである。
各成分を混合する際の温度は特に制限されないが、10℃以上40℃以下が好ましく、溶解速度を上げるために加熱してもよい。また、混合時間も、均一混合できれば特に制限されない。
[研磨方法および半導体基板の製造方法]
上述のように、本発明の研磨用組成物は、窒化ケイ素膜および酸化ケイ素膜を含む研磨対象物の研磨に好適に用いられる。よって、本発明は、窒化ケイ素膜および酸化ケイ素膜を含む研磨対象物を、本発明の研磨用組成物で研磨する研磨方法を提供する。すなわち、本発明には、本発明の研磨用組成物を用いて、窒化ケイ素膜および酸化ケイ素膜を含む研磨対象物を研磨する工程を含む、研磨方法が包含される。また、本発明は、窒化ケイ素膜および酸化ケイ素膜を含む半導体基板を前記研磨方法で研磨する工程を含む半導体基板の製造方法を提供する。
研磨装置としては、研磨対象物を有する基板等を保持するホルダーと回転数を変更可能なモータ等とが取り付けてあり、研磨パッド(研磨布)を貼り付け可能な研磨定盤を有する一般的な研磨装置を使用することができる。
研磨パッドとしては、一般的な不織布、ポリウレタン、および多孔質フッ素樹脂等を特に制限なく使用することができる。研磨パッドには、研磨液が溜まるような溝加工が施されていることが好ましい。
研磨条件については、例えば、研磨定盤の回転速度は、10rpm(0.17s-1)以上500rpm(8.3s-1)以下が好ましい。研磨対象物を有する基板にかける圧力(研磨圧力)は、0.5psi(3.4kPa)以上10psi(68.9kPa)以下が好ましい。研磨パッドに研磨用組成物を供給する方法も特に制限されず、例えば、ポンプ等で連続的に供給する方法が採用される。この供給量に制限はないが、研磨パッドの表面が常に本発明の研磨用組成物で覆われていることが好ましい。
研磨終了後、基板を流水中で洗浄し、スピンドライヤ等により基板上に付着した水滴を払い落として乾燥させることにより、金属を含む層を有する基板が得られる。
本発明の研磨用組成物は一液型であってもよいし、二液型をはじめとする多液型であってもよい。また、本発明の研磨用組成物は、研磨用組成物の原液を水などの希釈液を使って、例えば10倍以上に希釈することによって調製されてもよい。
[窒化ケイ素膜を高い研磨速度で研磨しつつ、かつ窒化ケイ素膜の研磨選択比を高くする方法]
本発明によれば、窒化ケイ素膜を高い研磨速度で研磨することができ、かつ窒化ケイ素の研磨選択比が高くする方法も提供される。研磨用組成物の具体的な説明は、上記の説明が適用される。
[研磨速度]
本発明において、窒化ケイ素膜の研磨速度は、好ましくは200Å/min以上であり、より好ましくは220Å/min以上である。酸化ケイ素膜(SiO膜)の研磨速度は、好ましくは40Å/min以下であり、より好ましくは35Å/min以下であり、さらに好ましくは20Å/min以下であり、よりさらに好ましくは10Å/min以下である。
[研磨選択比]
窒化ケイ素膜(SiN膜)の研磨速度(Å/min)を酸化ケイ素膜(SiO膜)の研磨速度(Å/min)で除した値を算出して、研磨選択比とすると、本発明において、研磨選択比(SiN/SiO)は、50超が好ましく、60以上がより好ましく、70以上であることがさらに好ましく、80以上であることがよりさらに好ましく、例えば85以上であってもよい。
本発明を、以下の実施例および比較例を用いてさらに詳細に説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。なお、特記しない限り、「%」および「部」は、それぞれ、「質量%」および「質量部」を意味する。また、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(20~25℃)/相対湿度40~50%RHの条件下で行われた。さらに、以下の実施例において「TEOS基板」とは、オルトケイ酸テトラエチルを前駆体として使用して生成された酸化ケイ素膜を有する基板を意味する。
[砥粒の調製]
[砥粒1の調製]
ケイ酸ソーダ法により製造されたアルミン酸修飾コロイダルシリカ(シリカ粒子濃度:15質量%、平均一次粒子径:12nm、平均二次粒子径54nm、平均会合度:4.4)1kgとイオン交換樹脂(強酸性カチオン交換樹脂 SGC650;ピュロライト株式会社製)200mLとを混合し、18時間撹拌してイオン交換を行った。イオン交換終了後、イオン交換樹脂を自然沈降させて、上澄み液(「イオン交換したコロイダルシリカ」とも称する。)を回収した。
イオン交換したコロイダルシリカ900mL(比重1.06)(固形分:15質量%)に、エタノール20mLと混合した3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン1mL(比重1.057)を加えて、70℃で18時間加熱した。その後、31質量%過酸化水素溶液を80mL加えて、65℃で18時間加熱した。加熱後、エバポレーターを用いてエタノールを除去して、砥粒1であるアニオン変性コロイダルシリカを調製した。
[砥粒2の調製]
3-メルカプトプロピルトリメトキシシランの添加量を0.5mLとしたこと以外は砥粒1の調製と同様にして、砥粒2であるアニオン変性コロイダルシリカを調製した。
[砥粒3の調製]
3-メルカプトプロピルトリメトキシシランの添加量を0.4mLとしたこと以外は砥粒1の調製と同様にして、砥粒3であるアニオン変性コロイダルシリカを調製した。
[砥粒4の調製]
平均一次粒子径が15nm、平均二次粒子径86nm(平均会合度:5.73)であるアルミン酸修飾コロイダルシリカを用いたこと以外は砥粒1の調製と同様にして、砥粒4であるアニオン変性コロイダルシリカを調製した。
[砥粒5の調製]
平均一次粒子径が14nm、平均二次粒子径89nm(平均会合度:6.36)であるアルミン酸修飾コロイダルシリカを用いたこと以外は砥粒1の調製と同様にして、砥粒5であるアニオン変性コロイダルシリカを調製した。
[砥粒6の調製]
平均一次粒子径が25nm、平均二次粒子径91nm(平均会合度:3.64)であるアルミン酸修飾コロイダルシリカを用いたこと以外は砥粒1の調製と同様にして、砥粒6であるアニオン変性コロイダルシリカを調製した。
[砥粒7の調製]
アルミン酸修飾コロイダルシリカの代わりに平均一次粒子径が12nm、平均二次粒子径28nm(平均会合度:2.3)であるコロイダルシリカを用いて3-メルカプトプロピルトリメトキシシランの添加量を2mLに変更したこと以外は、砥粒1の調製と同様にして、砥粒7であるアニオン変性コロイダルシリカを調製した。
[砥粒8の調製]
ケイ酸ソーダ法により製造されたアルミン酸修飾コロイダルシリカ(シリカ粒子濃度:15質量%、平均一次粒子径:12nm、平均二次粒子径54nm、平均会合度:4.4)をそのまま砥粒8として用いた。
[砥粒9の調製]
平均一次粒子径が11nm、平均二次粒子径34nm(平均会合度:3.0)であるアルミン酸修飾コロイダルシリカを用いたこと以外は砥粒1の調製と同様にして、砥粒9であるアニオン変性コロイダルシリカを調製した。
[研磨用組成物の調製]
[実施例1:研磨用組成物A1の調製]
組成物全体を100質量部として、砥粒として砥粒1と、pH調整剤としてアンモニアと、分散媒として水(脱イオン水)とを混合して、研磨用組成物A1を調製した。pH調整剤の添加量(含有量)は、研磨用組成物A1のpHが4(液温:25℃)となる量とした。pHの測定は、pHメータ(株式会社堀場製作所製 製品名:LAQUA(登録商標))により行った。
[実施例2~8:研磨用組成物A2~A8の調製]
砥粒の種類を下記表1のように変更し、得られる研磨用組成物のpHが下記表1に記載のpHになるようpH調整剤の量を変更したこと以外は、研磨用組成物A1の調製と同様にして、各研磨用組成物A2~A8を調製した。
[比較例1~4:研磨用組成物B1~B4の調製]
砥粒の種類を下記表1のように変更し、得られる研磨用組成物のpHが下記表1に記載のpHになるようpH調整剤の量、或いは、種類を変更したこと以外は、研磨用組成物A1の調製と同様にして、各研磨用組成物B1~B4を調製した。
研磨用組成物A1~A8は、実施例において用いられる研磨用組成物であり、研磨用組成物B1~B4は比較例において用いられる研磨用組成物である。
(平均一次粒子径の評価)
上記で調製したアニオン変性コロイダルシリカの平均一次粒子径は、マイクロメリテックス社製の“Flow SorbII 2300”を用いて測定されたBET法による砥粒の比表面積と、アニオン変性コロイダルシリカの密度とから算出した。
(平均二次粒子径の評価)
上記で調製したアニオン変性コロイダルシリカの平均二次粒子径を、レーザー光を用いた光散乱法によって測定した。測定機器としては日機装株式会社製、動的光散乱式粒度分布計UPA-UT151を用いた。
(ゼータ電位測定)
上記で調製した研磨用組成物A1~A8およびB1~B4を大塚電子株式会社製ELS-Z2に供し、測定温度25℃でフローセルを用い、レーザードップラー法(電気泳動光散乱測定法)により測定を行った。得られたデータをSmoluchowskiの式で解析することにより、研磨用組成物に含まれるコロイダルシリカのゼータ電位を算出した。結果を表1に示す。
(電気伝導度)
研磨用組成物(液温:25℃)の電気伝導度(単位:mS/cm)は、卓上型電気伝導率計(株式会社堀場製作所製、型番:DS-71)を用いて測定した。
(研磨速度の評価)
研磨対象物として、
・200mmウェハ(SiN(窒化ケイ素膜)、アドバンスマテリアルズテクノロジー株式会社製、製品名:LP-SiN 3.5KA Blanket)、
・200mmウェハ(TEOS(酸化ケイ素膜)、アドバンスマテリアルズテクノロジー株式会社製、製品名:P-TEOS 10KA Blanket)、
を準備し、上記で得られた研磨用組成物を用いて、各ウェハを以下の研磨条件で研磨し、研磨速度を測定した。また窒化ケイ素の研磨速度の研磨選択比(SiN/SiO)を算出した。
[研磨条件]
研磨機:200mmウェハ用CMP片面研磨機
研磨パッド:ポリウレタン製パッド(IC1010:ロームアンドハース社製)
圧力:1.0psi(約6.9kPa)
プラテン(定盤)回転数:90rpm
ヘッド(キャリア)回転数:87rpm
研磨用組成物の流量:200ml/min
研磨時間:1分間。
[研磨速度]
研磨速度(研磨レート)は、以下の式により計算した。
Figure 2023050727000001
膜厚は、光干渉式膜厚測定装置(ケーエルエー・テンコール(KLA)株式会社製 型番:A-SET)によって求めて、その差を研磨時間で除することにより評価した。研磨速度の結果を表1に示す。なお、表1において、TEOS基板をSiOと示す。また、表1において「-」は、該当する成分を添加しなかったことを表す。
Figure 2023050727000002
表1に示すように、ゼータ電位が-25mV以下であり、かつ会合度が3.5を超える砥粒を用いている実施例1~8の研磨用組成物は、比較例1~4の研磨用組成物と比べて、窒化ケイ素膜を高速で研磨でき、かつ酸化ケイ素膜の研磨速度を抑えることができる(すなわち、酸化ケイ素膜の研磨速度に対する窒化ケイ素膜の研磨速度の比;「研磨選択比SiN/SiO」が高い)ことが分かる。

Claims (7)

  1. 砥粒と、pH調整剤と、水と、を含有し、
    前記砥粒のゼータ電位が、-25mV以下であり、
    前記砥粒の会合度が、3.5を超え、
    pHが6以下である、研磨用組成物。
  2. 前記砥粒の会合度が、5.0を超える、請求項1に記載の研磨用組成物。
  3. pHが、2以上4.5以下である、請求項1または2に記載の研磨用組成物。
  4. 前記砥粒が、アニオン変性コロイダルシリカである、請求項1~3のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
  5. 窒化ケイ素膜および酸化ケイ素膜を含む研磨対象物を研磨する用途で使用される、請求項1~4のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載の研磨用組成物を用いて、窒化ケイ素膜および酸化ケイ素膜を含む研磨対象物を研磨する工程を含む、研磨方法。
  7. 窒化ケイ素膜および酸化ケイ素膜を含む半導体基板を、請求項6に記載の研磨方法により研磨する工程を有する、半導体基板の製造方法。
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