JP2023049399A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、気筒に連なる吸気通路に燃料を噴射するインジェクタを設置しているポート噴射式の内燃機関を制御する制御装置に関する。
ポート噴射式内燃機関において、一つの気筒の一度の膨脹行程のために、当該気筒に対しインジェクタから所要量の燃料を複数回に分けて噴射し、その複数回分の燃料を気筒に吸引させて燃焼させる「マルチ噴射」を実行する制御手法が公知である(下記特許文献を参照)。マルチ噴射により、霧化(または、気化)しない燃料の液滴が気筒の燃焼室に流入することが抑制され、混合気の燃焼時に発生する粒子状物質(PM:Particlate Matter)とその個数(PN:Particle Number)が減少する。
マルチ噴射では、例えば、一回目の燃料噴射を気筒の吸気バルブの開弁前に行い(非同期噴射)、二回目の燃料噴射を同気筒の吸気バルブの開弁中に行う(同期噴射)。このとき、一回目の燃料の噴射量を多く、二回目の燃料の噴射量を少なく設定する。二回目の噴射から火花点火のタイミング(通常、膨脹行程の直前)までの時間は、一回目の噴射から火花点火のタイミングまでの時間よりも短い。つまり、二回目に噴射した燃料は、霧化する時間が短い。二回目の噴射量が過剰であると、液状の燃料がそのまま気筒に吸引され、却ってPMやHC(HydroCarbon)の発生量が増加する懸念がある。
内燃機関の運転制御を司るECU(Electronic Control Unit)は、燃料噴射信号としてインジェクタのソレノイドに通電し、インジェクタを開弁して燃料を噴射させる。現実には、インジェクタのソレノイドに通電する時間全体でインジェクタが開弁するわけではなく、通電を開始しても未だインジェクタが開弁せず、燃料を噴射しない無効噴射時間が存在し、その後にインジェクタが開弁、燃料を噴射する有効噴射時間を迎える。
マルチ噴射は、内燃機関の気筒及び排気浄化用の三元触媒の温度が低い冷間始動直後の時期におけるエミッションの改善に有効である。だが、始動直後のアイドリング中等は、気筒に対して噴射するべき燃料の要求量が少ない。しかも、その要求量分を複数回に分けて噴射することから、二回目の噴射量が極僅かとなり、二回目の噴射におけるインジェクタのソレノイドへの通電時間も非常に短くなる。
各気筒に設置している個々のインジェクタには、経年変化も含めて特性に個体差が生じる。そして、中には、開弁しにくい、燃料を噴射しにくいインジェクタもある。そのようなインジェクタへの通電時間が短いと、通電時間の殆どまたは全てが無効噴射時間で占められてしまい、マルチ噴射の二回目の噴射を適正に実行できない。となれば、このインジェクタが設置された気筒の膨脹行程にて十分なエンジントルクが発生せず、エンジン回転の不当な変動を招くおそれがある。
本発明は、以上の問題に着目してなされたものであり、マルチ噴射の二回目の噴射を確実に遂行し、かつエミッションの良化を図ることを所期の目的としている。
本発明では、気筒の吸気ポートに向けてインジェクタから燃料を噴射するポート噴射式の内燃機関を制御するものであり、一つの気筒の一度の膨脹行程のために当該気筒に対しインジェクタから複数回燃料を噴射し、その複数回分の燃料を気筒に吸引させこれを燃焼させるマルチ噴射を実行する際、気筒毎の燃料噴射量のばらつきを検出し、インジェクタから実際に噴射される燃料の量が少ないと考えられる気筒について、当該気筒に対する二回目の燃料噴射のためのインジェクタの開弁時間をより長く設定する内燃機関の制御装置を構成した。
さらに、インジェクタから実際に噴射される燃料の量が少ないと考えられる気筒について、当該気筒に対する二回目の燃料噴射のためのインジェクタの開弁時間をより長く設定した後、気筒における混合気への火花点火タイミングをより遅角させる補正を施すことが考えられる。
本発明によれば、マルチ噴射の二回目の噴射を確実に遂行し、かつエミッションの良化を図り得る。
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。図1に、本実施形態における車両用内燃機関の概要を示す。本実施形態における内燃機関は、火花点火式の4ストロークガソリンエンジンであり、複数の気筒1(例えば、三気筒。図1には、そのうち一つを図示している)を具備している。吸気通路3における各気筒1の吸気ポート近傍には、吸気ポートに向けて燃料を噴射するインジェクタ11を設けている。因みに、各気筒1毎に吸気ポートが二つ存在する場合、その吸気ポート毎にインジェクタ11を設置、つまるところ一つの気筒1に対して複数個のインジェクタ11を設けることがある。また、各気筒1の燃焼室の天井部に、点火プラグ12を取り付けてある。点火プラグ12は、点火コイルにて発生した誘導電圧の印加を受けて、中心電極と接地電極との間で火花放電を惹起するものである。
吸気を供給するための吸気通路3は、外部から空気を取り入れて各気筒1の吸気ポートへと導く。吸気通路3上には、エアクリーナ31、電子スロットルバルブ32、サージタンク33、吸気マニホルド34を、上流からこの順序に配置している。
排気を排出するための排気通路4は、気筒1内で燃料を燃焼させた結果発生した排気ガスを各気筒1の排気ポートから外部へと導く。この排気通路4上には、排気マニホルド42及び排気浄化用の三元触媒41を配置している。
排気通路4における触媒41の上流及び下流には、排気通路4を流通するガスの空燃比を検出するための空燃比センサ43、44を設置する。空燃比センサ43、44はそれぞれ、排気ガスの空燃比に対して非線形な出力特性を有するO2センサであってもよく、排気ガスの空燃比に比例した出力特性を有するリニアA/Fセンサであってもよい。
排気ガス再循環(Exhaust Gas Recirculation)装置2は、排気通路4と吸気通路3とを連通する外部EGR通路21と、EGR通路21上に設けたEGRクーラ22と、EGR通路21を開閉し当該EGR通路21を流れるEGRガスの流量を制御するEGRバルブ23とを要素とする。EGR通路21の入口は、排気通路4における触媒41の下流の所定箇所に接続している。EGR通路21の出口は、吸気通路3におけるスロットルバルブ32の下流の所定箇所(特に、サージタンク33または吸気マニホルド34)に接続している。
本実施形態の内燃機関の制御装置たるECU0は、プロセッサ、メモリ、入力インタフェース、出力インタフェース等を有したマイクロコンピュータシステムである。ECU0は、複数基のECUまたはコントローラがCAN(Controller Area Network)等の電気通信回線を介して相互に通信可能に接続されてなるものであることがある。
ECU0の入力インタフェースには、車両の実車速を検出する車速センサから出力される車速信号a、内燃機関のクランクシャフトの回転角度及びエンジン回転数を検出するクランク角センサから出力されるクランク角信号b、アクセルペダルの踏込量またはスロットルバルブ32の開度をアクセル開度(いわば、内燃機関に要求されるエンジントルクまたはエンジン負荷率)として検出するセンサから出力されるアクセル開度信号c、気筒1に連なる吸気通路3(特に、サージタンク33または吸気マニホルド34)内の吸気温及び吸気圧を検出する温度・圧力センサから出力される吸気温・吸気圧信号d、内燃機関の冷却水温を検出する水温センサから出力される冷却水温信号e、触媒41の上流側における排気ガスの空燃比を検出する空燃比センサ43から出力される信号f、触媒41の下流側における排気ガスの空燃比を検出する空燃比センサ44から出力される信号g、大気圧を検出する大気圧センサから出力される大気圧信号h等が入力される。
ECU0の出力インタフェースからは、点火プラグ12のイグナイタに対して点火信号i、インジェクタ11のソレノイドに対して燃料噴射信号j、スロットルバルブ32に対して開度操作信号k、EGRバルブ23に対して開度操作信号l等を出力する。
ECU0のプロセッサは、予めメモリに格納されているプログラムを解釈、実行し、運転パラメータを演算して内燃機関の運転を制御する。ECU0は、内燃機関の運転制御に必要な各種情報a、b、c、d、e、f、g、hを入力インタフェースを介して取得し、エンジン回転数を知得するとともに気筒1に吸入される空気(新気)量を推算する。そして、それらエンジン回転数及び吸入空気量等に基づき、要求燃料噴射量、燃料噴射タイミング(一つの気筒1の一度の膨脹行程に対する燃料噴射の回数を含む)、燃料噴射圧、要求EGR率(または、EGRガス量)、点火タイミング(一つの気筒1の一度の膨脹行程に対する火花点火の回数を含む)等といった各種運転パラメータを決定する。ECU0は、運転パラメータに対応した各種制御信号i、j、k、lを出力インタフェースを介して印加する。
また、ECU0は、停止した内燃機関を始動(冷間始動であることもあれば、アイドルストップからの再始動であることもある)するとき、内燃機関に付随する電動機に制御信号oを入力し、当該電動機により内燃機関のクランクシャフトを回転駆動しながら、インジェクタ11から燃料を噴射し、点火プラグ12により火花点火して燃料を燃焼させるクランキングを行う。クランキングは、内燃機関が初爆から連爆へと至り、エンジン回転数が加速、上昇して完爆判定値を超えたときに、完爆したものと見なして終了する。完爆判定値は、内燃機関の温度等に応じて上下し得る。基本的には、内燃機関の冷却水温が低いほど完爆判定値を高く引き上げる。
気筒1に対する燃料噴射量を決定するにあたり、ECU0は、まず、気筒1に吸入される空気の量を求め、その吸入空気量に比例する(吸入空気量に応じて理論空燃比またはその近傍の空燃比を実現できるような)燃料噴射量の基本量TPを決定する。吸入空気量は、実測のエンジン回転数及び吸気圧を基に推算する。必要であれば、その推算値に、吸気温や大気圧等に応じた補正を加えることができる。なお、吸気通路3にエアフローメータが設置されているならば、エアフローメータを介して吸入空気量を直接計測することが可能である。
次いで、この基本噴射量TPを、触媒41に流入するガスの空燃比とその目標値との偏差に応じたフィードバック補正係数FAFや、環境条件その他の状況に応じて定まる各種補正係数Kにより補正する(補正係数FAF、Kはそれぞれ、1を中心に増減する正数)。要求燃料噴射量TDは、
TD=TP×FAF×K
となる。
TD=TP×FAF×K
となる。
本実施形態では、各気筒1の一度の膨脹行程のために供給するべき要求噴射量TDの全量を、当該気筒1に臨むインジェクタ11から一回で噴射する「シングル噴射」を実行することができる。あるいは、要求噴射量TD分の燃料を、当該気筒1に臨むインジェクタ11から複数回F1、F2に分けて噴射する「マルチ噴射」を実行することもできる。
図3に示すように、マルチ噴射では、一回目の噴射(非同期噴射)F1を、気筒1の吸気バルブが開弁する前の排気行程中に行い、二回目の噴射(同期噴射)F2を、気筒の吸気バルブが開弁する吸気行程に合わせて行う。マルチ噴射では、要求噴射量TDのうちの一回目F1の噴射量の割合を多く(例えば、要求噴射量TDの80%ないし95%程度に)設定し、二回目F2の噴射量の割合をより少なく(例えば、要求噴射量TDの5%ないし20%程度に)設定する。一回目F1の噴射量の割合をR(割合Rは1以下の正数)、二回目F2の噴射量の割合を(1-R)とおくと、一回目F1の噴射においてインジェクタ11のソレノイドに通電する時間の長さT1は、
T1=TD×R+TAUV
となり、二回目の噴射F2においてインジェクタ11のソレノイドに通電する時間の長さT2は、
T2=TD×(1-R)+TAUV
となる。ここで、TAUVは、インジェクタ11のソレノイドに通電してもインジェクタ11が開弁せず、またはインジェクタ11から燃料が噴出しない無効噴射時間である。ECU0は、一回目F1の燃料噴射タイミングにて通電時間T1だけインジェクタ11に対して信号jを入力し、同インジェクタ11を開弁して燃料を噴射させる。並びに、二回目F2の燃料噴射タイミングにて通電時間T2だけインジェクタ11に対して信号jを入力し、同インジェクタ11を開弁して燃料を噴射させる。
T1=TD×R+TAUV
となり、二回目の噴射F2においてインジェクタ11のソレノイドに通電する時間の長さT2は、
T2=TD×(1-R)+TAUV
となる。ここで、TAUVは、インジェクタ11のソレノイドに通電してもインジェクタ11が開弁せず、またはインジェクタ11から燃料が噴出しない無効噴射時間である。ECU0は、一回目F1の燃料噴射タイミングにて通電時間T1だけインジェクタ11に対して信号jを入力し、同インジェクタ11を開弁して燃料を噴射させる。並びに、二回目F2の燃料噴射タイミングにて通電時間T2だけインジェクタ11に対して信号jを入力し、同インジェクタ11を開弁して燃料を噴射させる。
なお、一つの気筒1に対して複数個のインジェクタ11が設置されているものでは、そのうちの一方から一回目F1の燃料を噴射し、他方から二回目F2の燃料を噴射してもよいし、両方のインジェクタ11からそれぞれ一回目F1及び二回目F2の燃料を噴射してもよい。両方のインジェクタ11がともに一回目F1及び二回目F2の燃料を噴射する場合、各インジェクタ11のソレノイドに通電する時間の長さT1、T2は、
T1=(TD/2)×R+TAUV
T2=(TD/2)×(1-R)+TAUV
となる。
T1=(TD/2)×R+TAUV
T2=(TD/2)×(1-R)+TAUV
となる。
マルチ噴射は、内燃機関の始動直後の時期に実行することが好ましい。内燃機関の温度が低いと、シングル噴射では燃料が十分に霧化(または、気化)しにくく、気筒1の燃焼室に燃料の液滴が流入して、燃焼室内でPMが発生しやすくなる。マルチ噴射によれば、燃焼室への燃料の液滴の流入を抑制し、PM量及びPNを低減することができる。勿論、マルチ噴射を、内燃機関の暖機完了後に実行しても構わない。
ところで、各気筒1に設置している個々のインジェクタ11には、経年変化も含め、その特性に個体差が不可避的に生じる。中には、開弁しにくい、燃料を噴射しにくいインジェクタ11も存在し得る。そのようなインジェクタ11では、マルチ噴射における二回目F2の通電時間T2の殆どまたは全てが無効噴射時間TAUVで占められ、二回目F2の噴射を適正に実行できない可能性がある。
特に、始動直後のアイドリング中等は、元来要求噴射量TDが少なく、二回目F2の通電時間T2が顕著に短くなるので、この問題が顕在化する。例えば、通電時間T2が1050マイクロ秒、そのうちの無効噴射時間TAUVが1000マイクロ秒であり、50マイクロ秒だけを有効噴射時間としてインジェクタ11から燃料を噴射すればよい場合に、インジェクタ11の特性によってはそれが具現されず、二回目F2の燃料噴射量がほぼ0になってしまうことがあり得る。
そこで、図2に示すように、本実施形態のECU0は、内燃機関の冷間始動から経過した時間が所定以下、または現在の内燃機関の冷却水温が所定以下の低温であり(ステップS1)、マルチ噴射を実行する場合において(ステップS2)、各気筒1毎または各気筒1に設置している個々のインジェクタ11毎の燃料噴射量のばらつきを検出し(ステップS3)、インジェクタ11から実際に噴射される燃料の量が少ないと考えられる気筒1について、当該気筒1に対する二回目F2の燃料噴射のためのインジェクタ11の開弁時間T2をより長く設定する(ステップS4)ようにする。
ステップS3にて、ECU0は、例えば、クランク角センサの出力信号bを参照して求められるクランクシャフトの回転速度の瞬時値の時系列を基に、インジェクタ11からの二回目F2の燃料噴射量が不足している気筒1、換言すれば膨張行程中に十分にエンジントルクを出力していない気筒1を割り出す。
ECU0は、クランク角信号bのパルス列を参照し、クランクシャフトが所定のクランク角度、典型的には30°CA回転するのに要した時間を反復的に計測している。また、それとともに、今回計測された所要時間から前回計測された所要時間を減算することで、30°CAの所要時間の変化量を得る。30°CAの所要時間の変化量が正値であることは、クランクシャフトの回転速度が低下(減速)傾向にあることを意味し、負値であることは、クランクシャフトの回転速度が上昇(加速)傾向にあることを意味する。クランクシャフトの30°CAあたりの回転速度、または30°CA毎の所要時間は恒常的に一定ではなく、各気筒1の膨脹行程において最も速くなり、ある気筒1の膨脹行程と次の気筒1の膨脹行程との中間で最も遅くなる。それ故、30°CA毎の所要時間の時系列は、各気筒1が膨脹行程を迎える周期で脈動する。ところが、インジェクタ11からの二回目F2の燃料噴射量が不足し、気筒1の膨脹行程で十分なトルクが出力されないと、クランクシャフトの回転が適正に加速せず、クランクシャフトの30°CAあたりの回転速度が不当に低落する、即ち30°CA毎の所要時間が不当に長くなる。
ステップS3にて、ECU0は、30°CAの所要時間の変化量(=今回の所要時間-前回の所要時間)が正値であり、かつそれが判定値を上回っているときに、クランクシャフトの回転速度が低落する事象が起こった、つまりは直近に膨脹行程を迎えた気筒1において十分なトルクが出力されなかったと判定する。これは、当該気筒1に対して燃料を噴射するインジェクタ11からの、二回目F2の燃料噴射量が不当に少ないか、二回目F2の燃料噴射が実際には行われていないことを意味する。ECU0は、ステップS4にて、当該気筒1に対して燃料を噴射するインジェクタ11からの、二回目F2の燃料噴射における通電時間T2をより延長する補正を加える。以後の燃料噴射制御における、このインジェクタ11に対する通電時間T2は、増量補正係数A(補正係数Aは、1よりも大きい正数)を加味した、
T2=(TD)×(1-R)×A+TAUV
または
T2=(TD/2)×(1-R)×A+TAUV
とする。なお、後者の式は、既に述べた通り、一つの気筒1に対し二個のインジェクタ11の双方から一回目F1及び二回目F2の燃料を噴射する場合の通電時間T2である。
T2=(TD)×(1-R)×A+TAUV
または
T2=(TD/2)×(1-R)×A+TAUV
とする。なお、後者の式は、既に述べた通り、一つの気筒1に対し二個のインジェクタ11の双方から一回目F1及び二回目F2の燃料を噴射する場合の通電時間T2である。
こうして、燃料を噴射しにくいインジェクタ11の個体について通電時間T2の補正を行った後、各気筒1における混合気への火花点火タイミングをより遅角させる補正を実行開始する(ステップS5)。ステップS5の点火タイミングの遅角補正は、気筒1の燃焼室内での混合気の燃焼の開始を遅らせて、燃焼室の天井部とピストントップランドとの間に押し込められた高濃度のHCを確実に燃焼させ、その排出量を削減する意図である。また、点火タイミングを遅角補正することで、気筒1から排気通路4に排出され触媒41に流入するガスの温度が高温化し、触媒41を早期に昇温させて活性化する狙いもある。
上記の点火タイミングの遅角補正中は、これと並行して、要求燃料噴射量TDをより増量し、あるいは、インジェクタ11への通電時間T1及び/またはT2をより延長する補正を加えることがある。
本実施形態では、気筒1の吸気ポートに向けてインジェクタ11から燃料を噴射するポート噴射式の内燃機関を制御するものであり、一つの気筒1の一度の膨脹行程のために当該気筒1に対しインジェクタ11から複数回F1、F2燃料を噴射し、その複数回F1、F2分の燃料を気筒1に吸引させこれを燃焼させるマルチ噴射を実行する際(ステップS2)、気筒1毎の燃料噴射量のばらつきを検出し(ステップS3)、インジェクタ11から実際に噴射される燃料の量が少ないと考えられる気筒1について、当該気筒1に対する二回目F2の燃料噴射のためのインジェクタ11の開弁時間T2をより長く設定する内燃機関の制御装置0を構成した。
本実施形態によれば、マルチ噴射における二回目F2の噴射を確実に遂行でき、各気筒1の膨脹行程にて十分なエンジントルクを発生させることができる。従って、エンジン回転の不当な変動を招かずに済む。その上で、マルチ噴射により、特に内燃機関が暖機される前のPMの発生及びPNを抑制することが可能となる。
また、インジェクタ11から実際に噴射される燃料の量が少ないと考えられる気筒1について、当該気筒1に対する二回目F2の燃料噴射のためのインジェクタ11の開弁時間T2をより長く設定した(ステップS4)後、気筒1における混合気への火花点火タイミングをより遅角させる補正を施す(ステップS5)ようにしている。点火タイミングの遅角補正は、内燃機関が暖機される前のHCの排出量の削減に寄与する。ステップS4を実施した後にステップS5を実施するのは、ステップS4を通じて必要量TDの燃料を確実に気筒1に向けて噴射できるようにしてから、ステップS5の点火遅角補正を開始し、以て混合気の着火燃焼の不安定化を回避するためである。
総じて、特に内燃機関の冷間始動直後の時期におけるエミッションを良化することができる。
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。例えば、ステップS3にて、各気筒1毎または各気筒1に設置している個々のインジェクタ11毎の燃料噴射量のばらつきを検出するために、クランク角信号bを参照することに代えて、混合気の燃焼時に気筒1の燃焼室内で発生するイオン電流の量を参照したり、燃焼室内の圧力を実測する筒内圧センサの出力信号を参照したり、空燃比センサ43の出力信号fを参照したりすることも考えられる。イオン電流の発生量が少ない、膨張行程中の筒内圧が低い、または膨脹行程後に気筒1から排出されるガスの空燃比がリーンである気筒1は、二回目F2の燃料噴射量が不足している可能性がある。
その他、各部の具体的な構成や処理の手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
本発明は、車両等に搭載される内燃機関に適用することができる。
0…制御装置(ECU)
1…気筒
11…インジェクタ
12…点火プラグ
3…吸気通路
4…排気通路
41…触媒
b…クランク角信号
d…吸気温・吸気圧信号
e…冷却水温信号
i…点火信号
j…燃料噴射信号
1…気筒
11…インジェクタ
12…点火プラグ
3…吸気通路
4…排気通路
41…触媒
b…クランク角信号
d…吸気温・吸気圧信号
e…冷却水温信号
i…点火信号
j…燃料噴射信号
Claims (2)
- 気筒の吸気ポートに向けてインジェクタから燃料を噴射するポート噴射式の内燃機関を制御するものであり、
一つの気筒の一度の膨脹行程のために当該気筒に対しインジェクタから複数回燃料を噴射し、その複数回分の燃料を気筒に吸引させこれを燃焼させるマルチ噴射を実行する際、
気筒毎の燃料噴射量のばらつきを検出し、インジェクタから実際に噴射される燃料の量が少ないと考えられる気筒について、当該気筒に対する二回目の燃料噴射のためのインジェクタの開弁時間をより長く設定する内燃機関の制御装置。 - インジェクタから実際に噴射される燃料の量が少ないと考えられる気筒について、当該気筒に対する二回目の燃料噴射のためのインジェクタの開弁時間をより長く設定した後、気筒における混合気への火花点火タイミングをより遅角させる補正を施す請求項1記載の内燃機関の制御装置。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20220062377A (ko) * | 2019-09-18 | 2022-05-16 | 비테스코 테크놀로지스 게엠베하 | 다중 분사 동작 동안 총 분사 질량을 조절하는 방법 |
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- 2021-09-29 JP JP2021159106A patent/JP2023049399A/ja active Pending
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KR102640923B1 (ko) | 2019-09-18 | 2024-02-27 | 비테스코 테크놀로지스 게엠베하 | 다중 분사 동작 동안 총 분사 질량을 조절하는 방법 |
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