JP7418930B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、排気ガス再循環(Exhaust Gas Recirculation)装置が付帯した内燃機関を制御する制御装置に関する。
車両等に搭載される内燃機関には、EGR装置(例えば、下記特許文献を参照)が付随していることが多い。EGR装置は、内燃機関の排気通路と吸気通路とを外部EGR通路を介して接続し、気筒で発生する燃焼ガスの一部をEGR通路経由で吸気通路に還流させて吸気に混交するものである。EGRは、内燃機関の吸排気損失及び冷却損失を低減せしめるとともに、気筒内での混合気の燃焼温度を低下させて有害物質であるNOxの排出量を削減する効用をもたらす。
EGR通路上には、これを開閉するEGRバルブが設けられており、このEGRバルブの開度操作を通じてEGRガスの還流量を増減調整することができる。
特開2020-094532号公報
気筒に対し供給する燃料の噴射量は、気筒に吸入される新気(空気)の量に応じて決定する。EGR装置による外部EGRを行う場合、気筒には新気に加えてEGRガスが流入することから、そのEGRガス分を差し引いた上で燃料噴射量を算出する必要がある。
内燃機関の運転制御においては、気筒に連なる吸気通路に設置した吸気圧センサにより吸気圧を実測するとともに、現在のエンジン回転数及びEGRバルブの開度に基づいて吸気に占めるEGRガスの分圧を推定し、前者の吸気圧から後者のEGRガス分圧を減算することで、吸気に占める新気の分圧を求めていた。
だが、EGRバルブを開弁したときに排気通路から吸気通路に還流するEGRガスの量は、そのときの排気の温度や圧力の影響を受ける。排気温度が低いほど、吸気通路に流入するEGRガスの密度が増大する。一方、排気圧力が低いほど、換言すればEGRバルブの上流側の圧力と下流側の圧力との差圧が小さいほど、吸気通路に流入するEGRガスの流量が減少する。
従前の制御では、EGRガス分圧を推定する際、排気温度または排気圧力が恒常的に一定ではないことよる影響を加味していなかった。このため、例えば内燃機関を冷間始動した直後から、排気通路を流れる排気の温度が十分に高まり安定するまでの過渡期に、EGRガス分圧を精確に推定できず、実際に気筒に吸入される新気量に対して燃料噴射量が不足したり過剰となったりすることが起こり得る。
以上の問題に着目してなされた本発明は、EGR装置が付帯した内燃機関を制御するにあたり、排気温度または排気圧力が変動する過渡期の燃料噴射量をより最適化することを所期の目的としている。
本発明では、排気通路と吸気通路とを連通するEGR通路及び当該EGR通路を開閉するEGRバルブを備えるEGR装置が付帯した内燃機関を制御する制御装置であって、気筒に連なる吸気通路内の吸気圧からEGRガス分圧を減算したものを基に気筒に吸入される新気量に見合った燃料噴射量を決定し、その際、エンジン回転数及びEGRバルブ開度に応じた基本推定値にそのときの排気温度または排気圧力に応じた補正を加えることで前記EGRガス分圧を推算する内燃機関の制御装置を構成した。
本発明によれば、EGR装置が付帯した内燃機関を制御するにあたり、排気温度または排気圧力が変動する過渡期の燃料噴射量をより最適化することができる。
本発明の一実施形態における車両用内燃機関及び制御装置の概略構成を示す図。 本発明が解決しようとする課題を説明するタイミング図。
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。図1に、本実施形態における車両用内燃機関の概要を示す。本実施形態の内燃機関は、ポート噴射式の4ストローク火花点火エンジンであり、複数の気筒1(例えば、四気筒。図1には、そのうち一つを図示している)を具備する。各気筒1の吸気バルブよりも上流、各気筒1に連なる吸気ポートの近傍には、吸気ポートに向けて燃料を噴射するインジェクタ11を気筒1毎に設けている。また、各気筒1の燃焼室の天井部に、点火プラグ12を取り付けてある。点火プラグ12は、点火コイルにて発生した誘導電圧の印加を受けて、中心電極と接地電極との間で火花放電を惹起するものである。点火コイルは、半導体スイッチング素子であるイグナイタとともに、コイルケースに一体的に内蔵される。
吸気を供給するための吸気通路3は、外部から空気を取り入れて各気筒1の吸気ポートへと導く。吸気通路3上には、エアクリーナ31、電子スロットルバルブ32、サージタンク33、吸気マニホルド34を、上流からこの順序に配置している。
排気を排出するための排気通路4は、気筒1内で燃料を燃焼させた結果発生した排気を各気筒1の排気ポートから外部へと導く。この排気通路4上には、排気マニホルド42及び排気浄化用の三元触媒41を配置している。
EGR装置2は、排気通路4と吸気通路3とを連通する外部EGR通路21と、EGR通路21上に設けたEGRクーラ22と、EGR通路21を開閉し当該EGR通路21を流れるEGRガスの流量を制御するEGRバルブ23とを要素とする。EGR通路21の入口は、排気通路4における触媒41の下流の所定箇所に接続している。EGR通路21の出口は、吸気通路3におけるスロットルバルブ32の下流の所定箇所、特にサージタンク33または吸気マニホルド34に接続している。
排気通路4における触媒41の上流及び下流には、排気通路4を流れるガスの空燃比を検出するための空燃比センサ43、44を設置する。空燃比センサ43、44はそれぞれ、排気ガスの空燃比に比例した出力特性を有するリニアA/Fセンサであってもよく、排気ガスの空燃比に対して非線形な出力特性を有するO2センサであってもよい。また、排気通路4における触媒41の下流に、排気通路4を流れるガスの温度を検出するための排気温センサ45を設置する。
本実施形態の内燃機関の制御装置たるECU(Electronic Control Unit)0は、プロセッサ、メモリ、入力インタフェース、出力インタフェース等を有したマイクロコンピュータシステムである。ECU0は、複数基のECUまたはコントローラがCAN(Controller Area Network)等の電気通信回線を介して相互に通信可能に接続されてなるものであることがある。
ECU0の入力インタフェースには、車両の実車速を検出する車速センサから出力される車速信号a、内燃機関のクランクシャフトの回転角度及びエンジン回転数を検出するクランク角センサから出力されるクランク角信号b、アクセルペダルの踏込量またはスロットルバルブ32の開度をアクセル開度(いわば、要求されるエンジン負荷率またはエンジントルク)として検出するセンサから出力されるアクセル開度信号c、気筒1に連なる吸気通路3(特に、サージタンク33または吸気マニホルド34)内の吸気温及び吸気圧を検出する温度・圧力センサから出力される吸気温・吸気圧信号d、内燃機関の冷却水温を検出する水温センサから出力される冷却水温信号e、排気通路4を流れる排気ガスの空燃比を検出する空燃比センサ43、44から出力される空燃比信号f、g、排気通路4を流れる排気ガスの温度を検出する排気温センサ45から出力される排気温信号h等が入力される。
ECU0の出力インタフェースからは、イグナイタに対して点火信号i、インジェクタ11に対して燃料噴射信号j、スロットルバルブ32に対して開度操作信号k、EGRバルブ23に対して開度操作信号l等を出力する。
ECU0のプロセッサは、メモリに格納されているプログラムを解釈、実行し、運転パラメータを演算して内燃機関の運転を制御する。ECU0は、制御に必要な各種情報a、b、c、d、e、f、g、hを入力インタフェースを介して取得する。そして、気筒1に吸入される新気量に見合った要求燃料噴射量、燃料噴射タイミング(一度の燃焼に対する燃料噴射の回数を含む)、燃料噴射圧、点火タイミング(一度の燃焼に対する点火の回数を含む)、要求EGR率(または、EGRガス量、EGRガス分圧)等といった各種運転パラメータを決定する。ECU0は、運転パラメータに対応した各種制御信号i、j、k、lを出力インタフェースを介して印加する。
インジェクタ11から気筒1に向けた燃料噴射に際し、ECU0は、気筒1に吸入される新気の量に比例する(新気量に対して理論空燃比またはその近傍の目標空燃比を達成できるような)燃料噴射量TPを決定する。次いで、この燃料噴射量TPを、触媒41に流入するガスの実測の空燃比と目標空燃比との偏差に応じたフィードバック補正係数FAFや、環境条件その他(例えば、吸気温や大気圧等)に応じて定まる各種補正係数Kにより補正する。補正係数FAF、Kはそれぞれ、1を中心に増減する正数である。空燃比フィードバック制御は、気筒1に充填される混合気の空燃比、ひいては気筒1から排出され触媒41へと導かれる排気ガスの空燃比を所望の目標空燃比に収束させ、以て触媒41における有害物質の浄化能率を最大化するためのものである。空燃比フィードバック補正係数FAFは、空燃比センサ43、44の出力信号f、gを参照して定める。
さらに、ECU0は、インジェクタ11を開弁しても燃料が噴出しない無効噴射時間TAUVを加味して、最終的な燃料噴射時間Tを算定する。燃料噴射時間Tは、
T=TP×FAF×K+TAUV
となる。ECU0は、燃料噴射時間Tだけインジェクタ11に対して信号jを入力し、インジェクタ11を開弁して燃料を噴射させる。
外部EGR装置2によるEGRを実行しない、即ちEGRバルブ23を全閉してEGR通路21を閉鎖しているときには、吸気通路3から気筒1に向かって流れる吸気の全量が新気であると見なすことができる。よって、吸気圧信号dを参照して知得される吸気圧が新気圧に等しいとして、燃料噴射量TPを定めることができる。ECU0のメモリには予め、エンジン回転数及び新気圧と、燃料噴射量TPとの関係を規定したマップデータが格納されている。ECU0は、現在のエンジン回転数及び新気圧をキーとして当該マップを検索し、燃料噴射量TPを得る。
しかし、EGR装置2によるEGRの実行中、即ちEGRバルブ23を開弁してEGR通路21を開通しているときには、吸気通路3から気筒1に向かって流れる吸気に、新気とともにEGRガスが含まれている。よって、吸気圧信号dを参照して知得される吸気圧は、新気の分圧とEGRガスの分圧との和である。燃料噴射量TPを定めるためには、実測の吸気圧からEGRガスの分圧を減算して新気の分圧を求める必要がある。
EGRガスの分圧は、エンジン回転数及びEGRバルブ23の開度(または、エンジン回転数、スロットルバルブ32の開度及びEGRバルブ23の開度)に基づいて推定する。ECU0のメモリには予め、エンジン回転数及びEGRバルブ23開度(さらには、スロットルバルブ32開度)と、吸気に占めるEGRガスの分圧との関係を規定したマップデータが格納されている。ECU0は、現在のエンジン回転数及びEGRバルブ23開度(さらには、スロットルバルブ32開度)をキーとして当該マップを検索し、EGRガス分圧の推定値を得る。
但し、上記のEGRガス分圧の推定値は、そのときの排気温度や排気圧力による影響を加味しない基本値である。エンジン回転数やEGRバルブ23開度等の条件が同等であるとしても、排気通路4を流れる排気の温度や圧力が異なると、気筒1に流入する吸気に混交されるEGRガスの量は変化する。排気温度が低いほど、排気通路4から吸気通路3に流入するEGRガスの密度は増大する。一方で、排気圧力が低いほど、換言すればEGRバルブ23の上流側の圧力と下流側の圧力との差圧が小さいほど、排気通路4から吸気通路3に流入するEGRガスの流量が減少する。
そして、排気通路4における排気の温度や圧力は恒常的に一定ではない。例えば、内燃機関を冷間始動した直後は、内燃機関の各所が低温であり、気筒1から排出され排気通路4を流れる排気の温度及び圧力が比較的低い。その後、気筒1で燃料を燃焼させて運転している期間が長くなるにつれて、排気通路4を流れる排気の温度及び圧力が徐々に上昇してゆき、始動からある程度以上の時間が経過すると、排気の温度及び圧力が十分に高まり安定する。
上記のEGRガス分圧の基本推定値のマップデータは、排気の温度及び圧力が安定した状態を想定して作成する。従って、内燃機関の始動から排気の温度及び圧力が安定するまでの過渡期においては、基本推定値が実際の吸気に占めるEGRガスの分圧から乖離している可能性が生じる。さすれば、吸気に占める新気の分圧を精確に見積もることができず、実際に気筒1に吸入される新気量に対して燃料噴射量が不足したり過剰となったりすることが起こり得る。
図2は、内燃機関の冷間始動直後の時点から、実験的にスロットルバルブ32の開度を一定量開いたままに維持して内燃機関を運転したときの、吸気通路3内の吸気圧、排気通路4内の排気温度、ECU0が演算し把握している新気圧(または、新気量)、ECU0が算定した最終的な燃料噴射量(燃料噴射時間T)、空燃比フィードバック制御による燃料噴射量の補正係数FAF、及びMFB50%(質量燃焼割合(Mass Fraction Burned)50%位置。燃焼重心)に達するクランク角度(°CA)のそれぞれの推移の一例である。
図2中、破線は、EGRバルブ23を全閉したままでEGRを実行しない場合の推移を表している。実線は、内燃機関の冷間始動直後の時点からEGRバルブ23の開度を一定量開いてEGRを実行した場合の推移を表している。なお、後者の場合、吸気圧信号dを参照して知得される実測の吸気圧から上記のEGRガス分圧の基本推定値そのものを減算して新気分圧を求め、燃料噴射量TPを決定している。
EGRを実行しない場合には、吸気圧信号dを参照して知得される吸気圧が新気圧に等しく、現在のエンジン回転数及び新気圧をキーとしてマップデータから読み出した燃料噴射量TPが、実際に気筒1に吸入される新気量に見合ったものとなる。それ故、空燃比フィードバック制御における空燃比の偏差が小さく、燃料噴射量の補正係数FAFが早期に1に収束する。補正係数FAFが1になることは、空燃比フィードバック制御による燃料噴射量の補正量が±0になることを意味する。
これに対し、EGRを実行する場合には、吸気圧信号dを参照して知得される吸気圧から上記のEGRガス分圧の基本推定値を減算して求めた新気分圧に誤差が混入する。このため、現在のエンジン回転数及び新気分圧をキーとしてマップデータから読み出した燃料噴射量TPが、実際に気筒1に吸入される新気量に対して不足し、または過剰となる。結果、空燃比フィードバック制御における空燃比の偏差が大きくなり、燃料噴射量の補正係数FAFが1に収束するまでの間に制御の遅れが発生する。その間、MFB50%に達するクランク角度が、内燃機関の熱機械変換効率を最大化する位相角(典型的には、圧縮上死点後8°CAないし9°CAのタイミング)からずれて、燃費性能が低下する。加えて、補正係数FAFが1でない、即ち空燃比フィードバック制御により燃料噴射量を補正していることは、触媒41に流入するガスの空燃比と目標空燃比との間に偏差が生じているということであり、エミッションの悪化にも繋がる。
そこで、本実施形態のECU0は、燃料噴射量TPを決定する際、
新気分圧=吸気圧-(EGRガス分圧の基本推定値×排気温度に応じた補正係数)
として、吸気に占める新気の分圧を算定する。
既に述べた通り、上式の右辺第一項の吸気圧は、吸気圧信号dを参照して知得される。また、右辺第二項のうちのEGRガス分圧の基本推定値は、現在のエンジン回転数及びEGRバルブ23開度(または、エンジン回転数、スロットルバルブ32開度及びEGRバルブ23開度)から定まる。
右辺第二項のうちの補正係数は、基本推定値を補正して吸気圧から減算するEGRガス分圧をより真値に近づけるためのものであり、1を中心に増減する正数である。この補正係数は、現在の排気通路4を流れる排気の温度から定まる。排気温度は、排気温センサ45の出力信号hを参照して知得される。ECU0のメモリには予め、排気温度と、EGRガス分圧の基本推定値に乗算する補正係数との関係を規定したマップデータが格納されている。ECU0は、現在の排気温度をキーとして当該マップを検索し、補正係数を得る。
上記の補正係数のマップデータを作成するにあたっては、例えば、図2に示しているように、冷間始動後からEGRバルブ23を閉弁しEGRを実行せずに内燃機関を運転した場合の排気温度及び空燃比フィードバック補正係数FAFの時系列を実験的に求め、なおかつ、冷間始動後からEGRバルブ23を開弁しEGRを実行して内燃機関を運転した場合の排気温度及び空燃比フィードバック補正係数FAFの時系列を実験的に求める。後者の場合、吸気圧信号dを参照して知得される実測の吸気圧からEGRガス分圧の基本推定値(補正係数を乗算していないもの)を減算して新気分圧を求め、燃料噴射量TPを決定する。
その上で、排気温度毎に、前者の場合における補正係数FAFと後者の場合における補正係数FAFとの差分ΔFAFを求める。この差分ΔFAFは、吸気圧からEGRガス分圧の基本推定値を減算して算出した新気分圧の真値からの誤差、つまりはEGRガス分圧の基本推定値の真値からの誤差を示唆している。この差分ΔFAFを縮小するように、排気温度毎に、EGRガス分圧の基本推定値に乗算するべき補正係数を設定するのである。
本実施形態では、排気通路4と吸気通路3とを連通するEGR通路21及び当該EGR通路21を開閉するEGRバルブ23を備えるEGR装置3が付帯した内燃機関を制御する制御装置0であって、気筒1に連なる吸気通路3内の吸気圧からEGRガス分圧を減算したものを基に気筒1に吸入される新気量に見合った燃料噴射量を決定し、その際、エンジン回転数及びEGRバルブ23開度に応じた基本推定値にそのときの排気温度に応じた補正を加えることで前記EGRガス分圧を推算する内燃機関の制御装置0を構成した。
本実施形態によれば、EGR装置2が付帯した内燃機関を制御するにあたり、排気通路4を流れる排気の温度または圧力が変動する過渡期の燃料噴射量TPをより最適化でき、内燃機関の燃費性能の向上及びエミッションの良化を図り得る。
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。上記実施形態では、現在排気通路4を流れる排気の温度を排気温センサ45を介して実測していたが、現在の排気の温度を実測するのではなく推定するようにしてもよい。例えば、内燃機関の冷間始動後からの吸入新気量の累積値、燃料噴射量の累積値、着火燃焼の回数、経過時間等に基づいて、現在の排気の温度を推測することが考えられる。
上記実施形態では、EGRガス分圧の基本推定値にそのときの排気温度に応じた補正係数を乗じていた、即ちEGRガス分圧の基本推定値に排気温度に応じた補正を加えていたが、これに代えて、EGRガス分圧の基本推定値にそのときの排気圧力に応じた補正係数を乗じる、即ちEGRガス分圧の基本推定値に排気圧力に応じた補正を加えるようにしてもよい。現在の排気圧力は、内燃機関の排気通路4に排気圧センサを設置して実測してもよいし、内燃機関の冷間始動後からの吸入新気量の累積値、燃料噴射量の累積値、着火燃焼の回数、経過時間等に基づいて推測してもよい。
上記実施形態では、EGRガス分圧の基本推定値に乗じるべき補正係数のマップデータを作成するにあたり、EGRを実行しない場合の空燃比フィードバック補正係数FAFと実行する場合の空燃比フィードバック補正係数FAFとの差分ΔFAFを求め、その差分ΔFAFを縮小するような補正係数を設定することとしていた。これに代えて、排ガス分析計等を使用して実際の吸気のEGR率、EGRガス分圧を計測し、そのEGRガス分圧と基本推定値との誤差を縮小するように補正係数を設定することも考えられる。
その他、各部の具体的な構成や処理の手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
本発明は、車両等に搭載される内燃機関の制御に適用することができる。
0…制御装置(ECU)
1…気筒
11…インジェクタ
12…点火プラグ
2…排気ガス再循環(EGR)装置
21…EGR通路
23…EGRバルブ
3…吸気通路
4…排気通路
43、44…空燃比センサ
45…排気温センサ
b…クランク角信号
c…アクセル開度信号
g、h…空燃比信号
h…排気温信号
j…燃料噴射信号
k…スロットルバルブの開度操作信号
l…EGRバルブの開度操作信号

Claims (1)

  1. 排気通路と吸気通路とを連通するEGR通路及び当該EGR通路を開閉するEGRバルブを備える排気ガス再循環装置が付帯した内燃機関を制御する制御装置であって、
    気筒に連なる吸気通路内の吸気圧からEGRガス分圧を減算したものを基に気筒に吸入される新気量に見合った燃料噴射量を決定し、
    その際、エンジン回転数及びEGRバルブ開度に応じた基本推定値にそのときの排気温度または排気圧力に応じた補正を加えることで前記EGRガス分圧を推算する内燃機関の制御装置。
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