JP2020051388A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】EGR装置が付帯する内燃機関を制御するにあたり、吸気温センサを介して検出する吸気温の検出精度を向上させる。【解決手段】気筒に向かって流通する新気とEGRガスとが合流する箇所の近傍に設置した吸気温センサの出力信号が示す温度値を、気筒に充填される吸気量及び吸気に占めるEGRガス量に応じて補正して、気筒に充填される吸気の温度を知得する内燃機関の制御装置を構成した。吸気温の検出精度の向上により、燃料噴射量や点火タイミングをより的確に制御することが可能となる。【選択図】図3
Description
本発明は、排気ガス再循環(Exhaust Gas Recirculation)装置が付帯した内燃機関を制御する制御装置に関する。
外部EGR装置は、内燃機関の排気通路の所定箇所と吸気通路の所定箇所とをEGR通路により接続し、排気の一部を当該EGR通路を介して吸気通路に還流させて吸気に混交するものである(例えば、下記特許文献を参照)。EGRにより、気筒における混合気の燃焼温度を低下させてNOxの排出量を削減しつつ、ポンピングロスの低減を図ることができる。
近時、燃費性能のより一層の向上を目論み、より多くの量のEGRガスを排気通路から吸気通路に還流させ、気筒に充填される吸気に占めるEGRガスの割合であるEGR率を高める傾向にある。
内燃機関の気筒に充填される吸気の温度は、サージタンクまたは吸気マニホルドに設置した吸気温センサにより計測する。この吸気温センサに触れる吸気において、新気即ち空気とEGRガスとが十分に混合されていないと、吸気温センサの検出する吸気温が真値から乖離するおそれがある。EGRガスが還流する外部EGR通路がサージタンクまたは吸気マニホルドに接続され、新気とEGRガスとが合流する箇所の近傍に吸気温センサが所在していると、EGRガスが吸気温センサに多く接触することで、吸気温を実際よりも高く見積もる傾向が生じる。この事象は、EGR通路上に本格的なEGRクーラを配設していないシステムにおいて顕著となる。
内燃機関の制御では、気筒に充填される吸気温に応じて燃料噴射量や点火タイミングを調整する。吸気温センサを介して知得する吸気温に誤差が混入していると、混合気の空燃比が目標空燃比からずれたり、最適なタイミングで点火を実行できなかったりする。
本発明は、吸気温センサを介した吸気温の検出精度の向上を所期の目的としている。
本発明では、排気ガス再循環装置が付帯した内燃機関を制御するものであって、気筒に向かって流通する新気とEGRガスとが合流する箇所の近傍に設置した吸気温センサの出力信号が示す温度値を、気筒に充填される吸気量及び吸気に占めるEGRガス量に応じて補正して、気筒に充填される吸気の温度を知得する内燃機関の制御装置を構成した。
本発明によれば、内燃機関の気筒に充填される吸気の温度の検出精度を向上させることができる。
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。図1に、本実施形態における車両用内燃機関の概要を示す。本実施形態における内燃機関は、火花点火式の4ストロークエンジンであり、複数の気筒1(図1には、そのうち一つを図示している)を具備している。各気筒1の吸気ポート近傍には、燃料を噴射するインジェクタ11を設けている。また、各気筒1の燃焼室の天井部に、点火プラグ12を取り付けてある。点火プラグ12は、点火コイルにて発生した誘導電圧の印加を受けて、中心電極と接地電極との間で火花放電を惹起するものである。点火コイルは、半導体スイッチング素子であるイグナイタとともに、コイルケースに一体的に内蔵される。
吸気を供給するための吸気通路3は、外部から空気を取り入れて各気筒1の吸気ポートへと導く。吸気通路3上には、エアクリーナ31、電子スロットルバルブ32、サージタンク33、吸気マニホルド34を、上流からこの順序に配置している。
排気を排出するための排気通路4は、気筒1内で燃料を燃焼させたことで生じる排気を各気筒1の排気ポートから外部へと導く。この排気通路4上には、排気マニホルド42及び排気浄化用の三元触媒41を配置している。
排気ガス再循環(Exhaust Gas Recirculation)装置2は、いわゆる高圧ループEGRを実現するものであり、排気通路4における触媒41の上流側と吸気通路3におけるスロットルバルブ32の下流側とを連通する外部EGR通路21と、EGR通路21を開閉し当該EGR通路21を流れるEGRガスの流量を制御するEGRバルブ22とを要素とする。EGR通路21の入口は、排気通路4における排気マニホルド42またはその下流の所定箇所に接続している。EGR通路21の出口は、吸気通路3におけるスロットルバルブ32の下流の所定箇所、特にサージタンク33または吸気マニホルド34に接続している。
本実施形態の内燃機関の制御装置たるECU(Electronic Control Unit)0は、プロセッサ、メモリ、入力インタフェース、出力インタフェース等を有したマイクロコンピュータシステムである。ECU0は、複数基のECUまたはコントローラがCAN(Controller Area Network)等の電気通信回線を介して相互に通信可能に接続されてなるものであることがある。
ECU0の入力インタフェースには、車両の実車速を検出する車速センサから出力される車速信号a、内燃機関のクランクシャフトの回転角度及びエンジン回転数を検出するクランク角センサから出力されるクランク角信号b、アクセルペダルの踏込量またはスロットルバルブ32の開度をアクセル開度(いわば、内燃機関に要求されるエンジン負荷率、要求出力)として検出するセンサから出力されるアクセル開度信号c、内燃機関の温度を示唆する冷却水温を検出する水温センサから出力される冷却水温信号d、吸気通路3特にサージタンク33または吸気マニホルド34内の吸気温及び吸気圧を検出する吸気温・吸気圧一体型センサ35から出力される吸気温・吸気圧信号e、排気通路4における触媒41の上流側及び/または下流側の排気ガスの空燃比を検出する空燃比センサから出力される空燃比信号f、吸気カムシャフトまたは排気カムシャフトの複数のカム角にてカム角センサから出力されるカム角信号g、大気圧を検出する大気圧センサから出力される大気圧信号h等が入力される。
ECU0の出力インタフェースからは、イグナイタに対して点火信号i、インジェクタ11に対して燃料噴射信号j、スロットルバルブ32に対して開度操作信号k、EGRバルブ22に対して開度操作信号l等を出力する。
ECU0のプロセッサは、予めメモリに格納されているプログラムを解釈、実行し、運転パラメータを演算して内燃機関の運転を制御する。ECU0は、内燃機関の運転制御に必要な各種情報a、b、c、d、e、f、g、hを入力インタフェースを介して取得する。そして、それらに基づき、気筒1に吸入される新気量に見合った要求燃料噴射量、燃料噴射タイミング(一度の燃焼に対する燃料噴射の回数を含む)、燃料噴射圧、点火タイミング、要求EGR率(または、EGRガス量)等といった各種運転パラメータを決定する。ECU0は、運転パラメータに対応した各種制御信号i、j、k、lを出力インタフェースを介して印加する。
気筒1に吸入される新気量は、エンジン回転数及び新気の分圧から推算する。新気の分圧は、吸気圧からEGRガスの分圧を減算したものである。EGRガスの分圧は、アクセル開度、エンジン回転数及びEGRバルブ22の開度に基づいて推定する。ECU0のメモリには予め、アクセル開度、エンジン回転数及びEGRバルブ22開度とEGRガス分圧との関係を規定したマップデータが格納されている。このマップデータは、内燃機関の設計開発または適合段階でEGRガス分圧を実測することにより作成されている。ECU0は、現在のアクセル開度、エンジン回転数及びEGRバルブ22開度をキーとして当該マップを検索し、現在のEGRガス分圧を知得する。EGR率は、EGRガス分圧を吸気圧で除算したものである。
燃料噴射量及び点火タイミングは、気筒1に充填される吸気の温度に応じて補正する。即ち、吸気温が高いほど、吸気の酸素濃度が低減することから、燃料噴射量を減量する。並びに、吸気温が高いほど、気筒1においてノッキング等の異常燃焼が発生するリスクが高まることから、点火タイミングを遅角させる。
既に述べた通り、気筒1に充填される吸気の温度は、サージタンク33または吸気マニホルド34に設置した吸気温センサ35を介して検出する。図2に模式的に示すように、この吸気温センサ35の設置位置は、EGR通路21がサージタンク33または吸気マニホルド34に接続している箇所、つまりは新気とEGRガスとが合流する箇所に近い。この吸気温センサ35に触れる吸気において、新気とEGRガスとが十分に混合されていないと、EGRガスが吸気温センサ35に多く接触し、その帰結として吸気温センサ35が気筒1に充填される吸気の実際の温度よりも高い温度を検出することが起こり得る。例えば、サージタンク33の上流の新気の温度が30℃、サージタンク33に流入するEGRガスの温度が100℃で、最終的に気筒1に充填される吸気の温度が50℃であったとしても、吸気温センサ35が検出する吸気温が70℃になったりする。
そこで、本実施形態のECU0は、気筒1に充填される吸気の温度を知得するにあたり、吸気温センサ35の出力信号eが示す吸気温を、気筒1に充填される吸気の量、及び吸気に占めるEGRガスの量に応じて補正する。
図3に、吸気温センサ35の出力信号eが示す温度値に補正項として加える減算値の例を示している。図示例において、縦軸はEGR率であり、横軸は吸気圧センサ35を介して知得した吸気圧である。エンジン回転数を一定と仮定すれば、サージタンク33または吸気マニホルド34内の吸気圧が高いほど、気筒1に充填される吸気量が多くなる。そして、吸気量が多い、即ち吸気の流れが強いほど、新気とEGRガスとがよく混交すると考えられる。また、吸気圧を一定と仮定すれば、EGR率が高いほど、吸気に占めるEGRガスの量が多くなることは言うまでもない。
図3に例示している通り、吸気圧が同等であるならば、EGR率が高いほど、吸気温センサ35の出力信号eが示す温度値に加える減算値を大きくする。EGRガス量が多いほど、吸気温センサ35が検出する吸気温が真の吸気温よりも高くなるからである。並びに、EGR率が同等であるならば、吸気圧が低いほど、吸気温センサ35の出力信号eが示す温度値に加える減算値を大きくする。吸気の流れが弱いほど、新気とEGRガスとの混交の度合いが低下し、吸気温センサ35が検出する吸気温が真の吸気温よりも高くなるからである。
ECU0のメモリには予め、EGR率及び吸気圧と、吸気温センサ35の出力信号eが示す温度値に加味するべき減算値との関係を規定したマップデータが格納されている。ECU0は、現在のEGR率及び吸気圧をキーとして当該マップを検索して減算値を得、その減算値を吸気温センサ35の出力信号eが示す温度値から減算して、気筒1に充填される吸気の温度を算出する。
本実施形態では、EGR装置2が付帯した内燃機関を制御するものであって、気筒1に向かって流通する新気とEGRガスとが合流する箇所の近傍に設置した吸気温センサ35の出力信号eが示す温度値を、気筒1に充填される吸気の量及び吸気に占めるEGRガスの量に応じて補正して、気筒1に充填される吸気の温度を知得する内燃機関の制御装置0を構成した。
本実施形態によれば、EGR装置2が付帯する内燃機関を制御するにあたり、吸気温センサ35を介して検出する吸気温の検出精度を向上させることができる。ひいては、燃料噴射量や点火タイミングをより的確に制御することが可能となり、燃費性能やドライバビリティの向上に寄与し得る。
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。例えば、吸気通路3を流れる新気の流量を検出するエアフローメータを設置している内燃機関にあっては、サージタンク33または吸気マニホルド34内の吸気圧に代えて、新気流量に応じて、吸気温センサ353の出力信号が示す温度値を補正することができる。いわば、図3に例示するマップデータの横軸を新気流量に置き換えることができる。その場合、新気流量が少ないほど、吸気温センサ35の出力信号eが示す温度値に加える減算値を大きくする。
図3に例示するマップデータの横軸を、エンジン回転数及び新気分圧から推算される、気筒1に吸入される新気量に置き換えても構わない。その場合、新気量が少ないほど、吸気温センサ35の出力信号eが示す温度値に加える減算値を大きくする。
図3に例示するマップデータを、エンジン回転数毎に作成してもよい。換言すれば、エンジン回転数に応じて、吸気温センサ35の出力信号eが示す温度値に加える減算値を変更する態様をとることがあり得る。
その他、各部の具体的構成や処理の内容等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
本発明は、車両等に搭載される内燃機関の制御に適用することができる。
0…制御装置(ECU)
1…気筒
2…排気ガス再循環(EGR)装置
21…EGR通路
22…EGRバルブ
3…吸気通路
32…スロットルバルブ
33…サージタンク
34…吸気マニホルド
35…吸気温・吸気圧センサ
b…クランク角信号
c…アクセル開度信号
e…吸気温・吸気圧信号
k…スロットルバルブの開度操作信号
l…EGRバルブの開度操作信号
1…気筒
2…排気ガス再循環(EGR)装置
21…EGR通路
22…EGRバルブ
3…吸気通路
32…スロットルバルブ
33…サージタンク
34…吸気マニホルド
35…吸気温・吸気圧センサ
b…クランク角信号
c…アクセル開度信号
e…吸気温・吸気圧信号
k…スロットルバルブの開度操作信号
l…EGRバルブの開度操作信号
Claims (1)
- 排気ガス再循環装置が付帯した内燃機関を制御するものであって、
気筒に向かって流通する新気とEGRガスとが合流する箇所の近傍に設置した吸気温センサの出力信号が示す温度値を、気筒に充填される吸気量及び吸気に占めるEGRガス量に応じて補正して、気筒に充填される吸気の温度を知得する内燃機関の制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018183786A JP2020051388A (ja) | 2018-09-28 | 2018-09-28 | 内燃機関の制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2018183786A JP2020051388A (ja) | 2018-09-28 | 2018-09-28 | 内燃機関の制御装置 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2020051388A true JP2020051388A (ja) | 2020-04-02 |
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ID=69996356
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2018183786A Pending JP2020051388A (ja) | 2018-09-28 | 2018-09-28 | 内燃機関の制御装置 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2020051388A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7418930B2 (ja) | 2020-07-13 | 2024-01-22 | ダイハツ工業株式会社 | 内燃機関の制御装置 |
-
2018
- 2018-09-28 JP JP2018183786A patent/JP2020051388A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP7418930B2 (ja) | 2020-07-13 | 2024-01-22 | ダイハツ工業株式会社 | 内燃機関の制御装置 |
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