JP2023049117A - 超音波探傷データ処理プログラム、超音波探傷データ処理装置及び被検体の判定方法 - Google Patents
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Abstract
Description
また、形状エコーに基づいて、被検体の形状、特に外部からは視認し難い部位の形状の良否の判断が求められる場合がある。例えば、円管同士を突合せ溶接によって接合した部における裏波は、外部から視認し難い場合がある。このような場合において、検査者の熟練度によらず、裏波の状態の良否を判断したいとのニーズがある。
被検体に対して超音波探傷を行うことによって得られた探傷データを処理するための超音波探傷データ処理プログラムであって、
前記被検体は、裏波を有する溶接部を含み、
前記裏波の反射波である裏波反射波を特定するステップと、
前記特定するステップで特定した前記裏波反射波の位置に基づいて、前記裏波の状態を判定するステップと、
を演算装置に実行させる。
被検体に対して超音波探傷を行うことによって得られた探傷データを処理するための超音波探傷データ処理装置であって、
前記被検体は、裏波を有する溶接部を含み、
前記裏波の反射波である裏波反射波を特定する特定部と、
前記特定部で特定した前記裏波反射波の位置に基づいて、前記裏波の状態を判定する判定部と、
を備える。
被検体の溶接部における裏波の状態を判定する被検体の判定方法であって、
前記裏波の反射波である裏波反射波を特定するステップと、
前記特定するステップで特定した前記裏波反射波の位置に基づいて、前記裏波の状態を判定するステップと、
を備える。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
超音波探傷データ処理装置1は、演算装置であるCPU2と、外部の装置からの探傷データを読み込んで記憶する記憶装置3と、を備えている。なお、上述した外部の装置とは、例えば後述する図3に示す超音波探傷装置10のような可搬の機器や、工場等の事業所等に設置された記憶装置、ネットワーク上の記憶装置等、一実施形態に係る超音波探傷データ処理装置1以外の種々の装置の何れかである。
評価対象範囲設定部21は、後述するように、被検体の内部における評価対象範囲を設定する。また、表示指令生成部22は、後述するように、探傷データのうち、評価対象範囲内の領域に対応した評価対象データを抽出し、被検体の内部の各位置における評価対象データの信号強度(エコー高さ)を示す探傷画像を表示装置5に表示させるための指令を生成する。表示指令生成部22で生成された表示指令は、外部の表示装置5に出力される。表示装置5は、表示指令生成部22で生成された表示指令に基づく画像を表示する。
図3は、探傷ステップS1で行われる超音波探傷検査の様子を模式的に示す図である。一実施形態に係る被検体の評価方法では、被検体は、例えばボイラ等で使用される配管7である。以下の説明では、被検体である配管の円周方向の溶接部8の近傍に生じるきずの有無を検査するものとする。
探傷ステップS1で行われる超音波探傷検査で用いられる超音波探傷装置10は、例えばフェイズドアレイ法による超音波探傷やTOFD法による超音波探傷を行う装置である。以下の説明では、フェイズドアレイ法による超音波探傷を行う場合を例に挙げて説明するが、TOFD法による超音波探傷を行ってもよい。
説明の便宜上、配管7の管軸方向に関し、図3における図示左側をボイラ前側と称し、図示右側をボイラ後側と称する。
一実施形態では、図3において、超音波探傷装置10は、セクタ走査と呼ばれる電子走査の走査面が、配管7の管軸方向及び配管の板厚方向に沿って延在する平面に沿うように超音波を走査する。
具体的には、一方の探傷子11及び他方の探傷子11は、探傷子11の移動装置56に取り付けられている。移動装置56は、手動、又はモータ等の駆動力によって配管7の周方向に探傷子11を移動可能に構成されている。なお、図3に示す移動装置56は、2つの探傷子11同士の周方向の位置がずれないように、且つ、配管7の軸線AXc方向の離間距離が変化しないように探傷子11を移動可能に構成されている。例えば、移動装置56は、図3に示すように、一方の探傷子11を保持する部材と、他方の探傷子11を保持する部材とが連結されて一体化されていてもよい。
図3に示す移動装置56は、配管7に対して探傷子11を一旦装着すれば、配管7の周方向に探傷子11を移動可能であるが、探傷子11が軸線AXc方向には移動しないように構成されている。
一方の探傷子11及び他方の探傷子11の上記周方向への移動距離は、エンコーダ13によって計測できる。
なお、図3に示した一実施形態の超音波探傷装置10では、配管7の円周方向の溶接部8の1カ所につき、ボイラ前側の探傷子11による直射法による探傷データと、ボイラ前側の探傷子11による1回反射法による探傷データと、ボイラ後側の探傷子11による直射法による探傷データと、ボイラ後側の探傷子11による1回反射法による探傷データとの4つの探傷データが得られる。以下の説明では、これら4つの探傷データの組を探傷データグループと呼ぶこともある。
なお、直射法による探傷データとは、探傷子11から直接出射された超音波によるエコーのデータのことである。また、1回反射法による探傷データとは、探傷子11から出射された超音波を被検体の内部で1回反射させた超音波によるエコーのデータのことである。
一実施形態の超音波探傷装置10では、上記4つの探傷データの組が、探傷箇所の数だけ得られる。
探傷ステップS1で取得された探傷データには、被検体のきずに起因する反射波(きずエコー)のデータの他に、被検体の形状に起因する反射波(形状エコー)のデータが含まれる。そのため、探傷データに基づいて得られる探傷画像には、きずエコーの他に、形状エコーが同時に現れる。超音波探傷により被検体のきずの有無やきずの位置を判断するには、きずエコーと形状エコーとを識別する必要がある。しかし、きずエコーと形状エコーとを識別するのは難しい場合があるため、検査者の熟練度によって識別結果に違いが生じるおそれがある。
そこで、一実施形態に係る被検体の評価方法では、設定ステップS3において、被検体の内部における後述する評価対象範囲を設定することにより、後述する表示ステップS5で表示装置5に表示させる探傷画像に探傷画像に評価対象範囲外の形状エコーが現れるのを抑制する。なお、設定ステップS3における処理の詳細については、後で説明する。
以下、設定ステップS3の詳細について説明する。
図4は、設定ステップS3で行われる処理の流れを示すフローチャートである。
設定ステップS3では、以下に述べる探傷データ読込ステップS31と、判定条件設定ステップS33と、開先形状設定ステップS35と、評価対象範囲入力ステップS37と、評価対象範囲設定ステップS39とが実施される。
説明の便宜上、以下の説明では、探傷データ読込ステップS31から評価対象範囲設定ステップS39が順次実行されるものとして説明する。しかし、探傷データ読込ステップS31から開先形状設定ステップS35については、その実行順序は以下に説明する順序に限定されず、何れのステップから実行されてもよい。なお、評価対象範囲入力ステップS37は、探傷データ読込ステップS31から開先形状設定ステップS35が実行された後に実行される。また、評価対象範囲設定ステップS39は、評価対象範囲入力ステップS37が実行された後、実行される。
探傷データ読込ステップS31は、超音波探傷によって得られた探傷データを読み込むステップである。CPU2は、超音波探傷によって得られた探傷データを読み込むように指示されると、探傷データを読み込んで記憶装置3に記憶させる。なお、探傷データ読込ステップS31では、例えば超音波探傷データ処理装置1と超音波探傷装置10等の上述した外部の装置とを有線又は無線で接続して探傷データを読み込んでもよく、メモリカードなどの記録媒体を介して探傷データを読み込んでもよく、通信網等を介して探傷データを読み込んでもよい。
判定条件設定ステップS33は、探傷データ読込ステップS31で読み込んだ探傷データにおいて、探傷検査の結果に対する合否判定を行う際の判定条件等を設定するためのステップである。CPU2は、判定条件の設定が指示されると、例えば、図5及び図6に示すような判定条件設定画面100を表示装置5に表示させる。
判定条件設定画面100は、探傷画像を表示する際のエコー高さに応じた表示色の設定や、探傷検査の結果に対する合否判定のための閾値を設定するための設定画面である。なお、一実施形態に係る探傷画像の詳細については、後で説明する。
第2判定条件切替ボタン102は、図5に示した第1判定条件を設定するための判定条件設定画面100から図6に示した第2判定条件を設定するための判定条件設定画面100に切り替えるための機能ボタンである。
色設定部111a~111eでは、探傷画像における表示色をエコー高さ設定部112a~112dで設定されるエコー高さに応じて設定できる。色設定部111a~111eの何れか一つが選択されると、不図示の色選択用のダイヤログが表示され、該ダイヤログから任意の色を選ぶことができるようになる。該ダイヤログから何れかの色が指定されると、指定された色が選択されている色設定部111a~111eの設定色として設定される。
エコー高さ設定部112a~112dでは、色設定部111a~111eで設定された色とエコー高さとの関係を設定できる。エコー高さ設定部112a~112dの何れか一つが選択されると、エコー高さが入力可能となる。エコー高さ設定部112a~112dで入力可能なエコー高さの範囲は0%以上100%以下である。
同様に、探傷画像では、エコー高さ設定部112aで設定されたエコー高さ以上であり、且つ、エコー高さ設定部112bで設定されたエコー高さ未満の領域が、色設定部111bで設定された設定色で表示される。
後述する探傷画像では、エコー高さ設定部112bで設定されたエコー高さ以上であり、且つ、エコー高さ設定部112cで設定されたエコー高さ未満の領域が、色設定部111cで設定された設定色で表示される。
後述する探傷画像では、エコー高さ設定部112cで設定されたエコー高さ以上であり、且つ、エコー高さ設定部112dで設定されたエコー高さ未満の領域が、色設定部111dで設定された設定色で表示される。
後述する探傷画像では、エコー高さ設定部112dで設定されたエコー高さ以上の領域が、色設定部111eで設定された設定色で表示される。
なお、エコー高さに応じて探傷画像における表示色を上述したように離散的に変更してもよく、エコー高さに応じて表示色を補間し、エコー高さに応じて探傷画像における表示色を連続的に変更するようにしてもよい。
例えば、検出レベル設定ボタン113aが選択された場合、エコー高さ設定部112aで設定されたエコー高さが、きずの検出レベルとして設定される。
同様に、検出レベル設定ボタン113bが選択された場合、エコー高さ設定部112bで設定されたエコー高さが、きずの検出レベルとして設定される。
同様に、検出レベル設定ボタン113cが選択された場合、エコー高さ設定部112cで設定されたエコー高さが、きずの検出レベルとして設定される。
同様に、検出レベル設定ボタン113dが選択された場合、エコー高さ設定部112dで設定されたエコー高さが、きずの検出レベルとして設定される。
例えば、判定レベル設定ボタン114aが選択された場合、エコー高さ設定部112aで設定されたエコー高さが、きずの判定レベルとして設定される。
同様に、判定レベル設定ボタン114bが選択された場合、エコー高さ設定部112bで設定されたエコー高さが、きずの判定レベルとして設定される。
同様に、判定レベル設定ボタン114cが選択された場合、エコー高さ設定部112cで設定されたエコー高さが、きずの判定レベルとして設定される。
同様に、判定レベル設定ボタン114dが選択された場合、エコー高さ設定部112dで設定されたエコー高さが、きずの判定レベルとして設定される。
なお、一実施形態では、後述するように、きずの判定レベルを超えるエコー高さの領域が存在した場合、該領域が判定長さLt以上連続して存在するか否かに関わらず、探傷検査の結果が不合格であると判定される。すなわち、きずの判定レベルは、きずを不合格と判定する際の閾値である。
一実施形態では、きずの検出レベルを超えるエコー高さの領域が判定長さLt以上連続して存在するか否かを判定する際に、途中にきずの検出レベル未満のエコー高さの領域が存在したとしても、該領域の長さがきず間隔設定部116で設定した設定長さ未満であれば、CPU2は、連続したきずであると判断する。
開先形状設定ステップS35は、被検体の溶接部の開先形状を設定するステップである。CPU2は、開先形状の設定が指示されると、例えば、図7に示すような開先形状設定画面200を表示装置5に表示させる。
開先種類選択部201は、開先の種類を選択するための画面表示であり、開先種類選択部201が選択されると開先の種類を選択するための選択肢が表示される。例えば、一実施形態では、開先種類選択部201が選択されると開先形状がV型又はX型であることを選択する選択肢と、開先形状がJ型又はU型であることを選択する選択肢とが表示される。検査者は、上記何れかの選択肢を選択することができる。これにより、開先形状の設定が容易となる。
開先形状参照画像203は、寸法入力部202で入力可能な開先の各部を図示するための画面表示である。開先形状参照画像203における開先の形状を表す画像は、開先種類選択部201で選択された開先の種類に応じて変更される。開先形状参照画像203においてアルファベットの符号で示した寸法等は、寸法入力部202において寸法等の入力欄に付したアルファベットと対応する。例えば、開先形状参照画像203において符号aで示した寸法は、被検体の肉厚である。また、寸法入力部202においてアルファベットのaを付した寸法の入力欄は、被検体の肉厚の入力欄である。
1.被検体の板厚、すなわち、開先形状参照画像203における符号aで示す部位の肉厚。
2.開先深さ及びべベル角度、すなわち開先形状参照画像203における符号bで示す部位の高さ及び角度。
3.ルート半径、すなわち、開先形状参照画像203における符号cで示す部位の半径。
4.ルート間隔を規定する端部が溶接の相手側の部材に向かって突出する突出長さ、すなわち、開先形状参照画像203における符号dで示す部位の長さ。
5.ルート面の長さ、すなわち、開先形状参照画像203における符号eで示す部位の高さ。
6.開先形状参照画像203におけるルート面下側の傾斜面の高さ及び角度、すなわち、開先形状参照画像203における符号fで示す部位の高さ及び角度。
7.ルート間隔、すなわち、開先形状参照画像203における符号gで示す部位のギャップ長さ。
このように、一実施形態では、開先の各部の寸法を入力できるので、開先形状の設定精度を向上できる。
閉じるボタン206が選択されると、CPU2は、開先形状設定ステップS35における処理を終了する。
ここで、評価対象範囲について説明する。
上述したように、探傷データに基づいて得られる探傷画像には、きずエコーの他に、形状エコーが同時に現れる。超音波探傷により被検体のきずの有無やきずの位置を判断するには、きずエコーと形状エコーとを識別する必要がある。
そこで、一実施形態では、被検体の内部の領域のうち、きずエコーの評価を行うべき領域、すなわち観察したいエコーが含まれる領域を評価対象範囲として設定する。
第2探傷子切替ボタン302は、2つの探傷子11のうちの何れか他方の探傷子11で得られた探傷データに関して評価対象範囲を設定する際に選択するためのボタンである。一実施形態では、第2探傷子切替ボタン302は、例えばボイラ後側の探傷子11で得られた探傷データに関して評価対象範囲を設定する際に選択するためのボタンである。
なお、図8は、第2探傷子切替ボタン302が選択されて、ボイラ後側の探傷子11で得られた探傷データに関して評価対象範囲を設定する画面表示となった場合の一例である。
第1範囲入力部303では、評価対象範囲を多角形の枠として設定可能であり、多角形の頂点数を選択する頂点数設定部303aと、各頂点の座標を入力する複数の座標入力部303bとを含む。
第1範囲入力部303に表れる座標入力部303bの数は、頂点数設定部303aにおける頂点の設定数に応じて増減する。
座標入力部303bのそれぞれでは、例えば管軸方向の位置yと、板厚方向の位置dとを入力できる。
第2範囲入力部304では、評価対象範囲を多角形の枠として設定可能であり、多角形の頂点数を選択する頂点数設定部304aと、各頂点の座標を入力する複数の座標入力部304bとを含む。
第2範囲入力部304に表れる座標入力部304bの数が増減する点、及び、座標入力部304bのそれぞれにおいて、管軸方向の位置yと、板厚方向の位置dとを入力できる点は、上記第1範囲入力部303と同じである。
第1Cスコープ表示画像311には、検査者が操作可能なカーソル313が重畳表示されている。カーソル313は、第1Cスコープ表示画像311の横軸方向に移動可能である。
第2Cスコープ表示画像312には、検査者が操作可能なカーソル314が重畳表示されている。カーソル314は、第2Cスコープ表示画像312の横軸方向に移動可能である。
なお、詳細な説明は省略するが、データ読込ボタン307が選択されて、記憶装置3に記憶された開先形状データを読み込む際、記憶装置3に記憶されている複数の開先形状データの何れを読み込むのかを選択することができる。
拡大ボタン344は、第2Sスコープ表示画像340の一部を拡大して表示させるための操作部である。縮小ボタン345は、第2Sスコープ表示画像340を縮小して表示させるための操作部である。
評価対象範囲設定ステップS39は、被検体の内部における評価対象範囲を設定するステップである。
図8に示した評価対象範囲入力画面300の更新ボタン308が選択されると、評価対象範囲設定部21は、評価対象範囲入力画面300における設定内容を評価対象範囲データとして記憶装置3に記憶させる。なお、一実施形態では、設定内容が異なる複数の評価対象範囲データを設定して記憶装置3に記憶させることができる。
閉じるボタン309が選択されると、評価対象範囲設定部21は、評価対象範囲入力ステップS37及び評価対象範囲設定ステップS39における処理を終了する。
以下、表示ステップS5の詳細について説明する。
図9は、表示ステップS5で行われる処理の流れを示すフローチャートである。
表示ステップS5では、以下に述べるきず判定ステップS41と、合否判定ステップS43と、表示指令生成ステップS45と、情報表示指令生成ステップS471と、判定表示指令生成ステップS473と、表示指令出力ステップS49とが実施される。
表示ステップS5においてCPU2で実行されるプログラムは、被検体に対して超音波探傷を行うことによって得られた探傷データを処理するための超音波探傷データ処理プログラムである。
きず判定ステップS41は、探傷データのうち、評価対象範囲内の領域に対応した評価対象データを抽出し、抽出した評価対象データに基づいて、きずであることを判定するための判定条件を満たす被検体の内部の領域をきずであると判定するステップである。
具体的には、表示装置5に表示された不図示のメイン画面において、判定の開始を指示するための判定ボタンが選択されると、CPU2は、きず判定ステップS41の処理を開始する。
また、CPU2は、探傷データグループの各探傷データから抽出した評価対象データに基づいて、きずの判定レベルを超えるエコー高さの領域が存在するか否かを判定する。
また、CPU2は、きずの判定レベルを超えるエコー高さの領域が存在する場合、その領域をきずであると判定するとともに、その領域の位置や長さ、最大エコー高さ等を特定する。
したがって、形状エコーの影響を抑制してきずを精度よく検出できる。
合否判定ステップS43では、CPU2は、きず判定ステップS41できずであると判定された領域が存在しない場合に合格であると判定し、きず判定ステップS41できずであると判定された領域が存在する場合に不合格であると判定する。
表示指令生成ステップS45は、被検体の内部の各位置における評価対象データの信号強度であるエコー高さを示す探傷画像を表示装置5に表示させるための指令を生成するステップである。
表示指令生成ステップS45において、表示指令生成部22は、きず判定ステップS41において抽出した評価対象データに基づき、エコー高さを示す探傷画像の画像データを生成する。なお、表示指令生成部22は、探傷画像の画像データを生成する際、判定条件データに含まれる表示色の設定内容、すなわち、判定条件設定画面100における表示色の設定内容を反映させる。
情報表示指令生成ステップS471は、きず判定ステップS41できずであると判定された領域について少なくとも被検体における位置の情報を表示装置5に表示させるための指令を生成するステップである。
情報表示指令生成ステップS471では、表示指令生成部22は、きず判定ステップS41で特定した、きずであると判定した領域の位置や長さ、最大エコー高さ等の情報の表示するための表示データを生成する。
判定表示指令生成ステップS473は、合否判定ステップS43での判定結果を表示装置5に表示させるための指令を生成するステップである。
判定表示指令生成ステップS473では、表示指令生成部22は、後述する判定結果表示画面400において合否判定ステップS43での判定結果が合格であるか、不合格であるかを表す判定表示471,472(図10,11参照)の表示データを生成する。
これにより、被検体の超音波探傷の結果の合否が容易に認識できる。
表示指令出力ステップS49では、表示指令生成部22は、表示指令生成ステップS45、情報表示指令生成ステップS471、及び判定表示指令生成ステップS473の各ステップで生成された画像データや表示データを表示指令として表示装置5に出力する。
図10は、第1判定条件に基づいて各ステップで生成された画像データや表示データによる表示画像についての判定結果表示画面400である。
図11は、第2判定条件に基づいて各ステップで生成された画像データや表示データによる表示画像についての判定結果表示画面400である。
判定結果表示画面400には、第3Dスコープ表示画像430と、第3Sスコープ表示画像431と、第3ビームイメージ画像432とが表示される。
判定結果表示画面400には、第4Dスコープ表示画像440と、第4Sスコープ表示画像441と、第4ビームイメージ画像442とが表示される。
第1Dスコープ表示画像410には、検査者が操作可能なカーソル413が重畳表示されている。カーソル413は、第1Dスコープ表示画像410の横軸方向に移動可能である。
第2Dスコープ表示画像420には、検査者が操作可能なカーソル423が重畳表示されている。カーソル423は、第2Dスコープ表示画像420の横軸方向に移動可能である。
第3Dスコープ表示画像430には、検査者が操作可能なカーソル433が重畳表示されている。カーソル433は、第3Dスコープ表示画像430の横軸方向に移動可能である。
第4Dスコープ表示画像440には、検査者が操作可能なカーソル443が重畳表示されている。カーソル443は、第4Dスコープ表示画像440の横軸方向に移動可能である。
第1Sスコープ表示画像411における探傷画像では、評価対象範囲内のエコー高さだけでなく評価対象範囲外のエコー高さも表されているが、評価対象範囲内のエコー高さだけを表すようにしてもよい。すなわち、第1Sスコープ表示画像411には、評価対象範囲を設定しなければ表れる評価対象範囲外のエコーが表れないようにしてもよい。この点は、後述する第2Sスコープ表示画像421~第4Sスコープ表示画像441において同様である。
なお、第1Sスコープ表示画像411における探傷画像は、第1Dスコープ表示画像410でのカーソル413の位置に対応する配管7の周方向の角度位置における探傷画像である。したがって、検査者がカーソル413の位置を変更すると、第1Sスコープ表示画像411における探傷画像は、変更後のカーソル413の位置に対応する角度位置の画像に変更される。
なお、第2Sスコープ表示画像421における探傷画像は、第2Dスコープ表示画像420でのカーソル423の位置に対応する配管7の周方向の角度位置における探傷画像である。したがって、検査者がカーソル423の位置を変更すると、第2Sスコープ表示画像421における探傷画像は、変更後のカーソル423の位置に対応する角度位置の画像に変更される。
なお、第3Sスコープ表示画像431における探傷画像は、第3Dスコープ表示画像430でのカーソル433の位置に対応する配管7の周方向の角度位置における探傷画像である。したがって、検査者がカーソル433の位置を変更すると、第3Sスコープ表示画像431における探傷画像は、変更後のカーソル433の位置に対応する角度位置の画像に変更される。
なお、第4Sスコープ表示画像441における探傷画像は、第4Dスコープ表示画像440でのカーソル443の位置に対応する配管7の周方向の角度位置における探傷画像である。したがって、検査者がカーソル443の位置を変更すると、第4Sスコープ表示画像441における探傷画像は、変更後のカーソル443の位置に対応する角度位置の画像に変更される。
第2ビームイメージ画像422は、例えば、ボイラ前側の探傷子11についての、1回反射法によるフォーカルロウのビームイメージを表す図である。
第3ビームイメージ画像432は、例えば、ボイラ後側の探傷子11についての、直射法によるフォーカルロウのビームイメージを表す図である。
第4ビームイメージ画像442は、例えば、ボイラ後側の探傷子11についての、1回反射法によるフォーカルロウのビームイメージを表す図である。
図12は、判定条件切替ステップS510における処理を示すフローチャートである。判定条件切替ステップS510は、表示指令出力ステップS49が実行されて判定結果表示画面400が表示されると処理が開始される。又は、判定条件切替ステップS510は、判定条件切替ステップS510が実行されて判定結果表示画面400が切り替えられた後、再び処理が開始される。
ステップS511において、CPU2は、判定結果表示画面400における確認ボタン475が選択されるまで待機し、確認ボタン475が選択されると、ステップS513へ進み表示指令切替処理を実施する。ステップS513の表示指令切替処理では、CPU2は、表示装置5に現在出力している第1判定条件又は第2判定条件の何れか一方の判定条件に係る画像データや表示データに代えて、何れか他方の判定条件に係る画像データや表示データを表示指令として表示装置5に出力する。
図13は、表示指令生成部22が生成した3次元探傷画像の画像データに基づいて、表示装置5で表示される3次元探傷画像についての表示画像600である。表示画像600には、評価対象範囲内のエコー高さの分布状態を示す3次元探傷表示画像610と、配管7の管軸方向に沿って見たときのエコー高さを示す断面表示画像620とが含まれる。
3次元探傷表示画像610及び断面表示画像620では、評価対象範囲内のエコー高さだけが表されている。
断面表示画像620は、配管7の管軸方向の沿った2つの方向のうち、どちらの方向から見た画像を表示するのかを選択可能である。例えば、図13に示す断面表示画像620では、ボイラ前側から見た画像を表示するのか、ボイラ後側から見た画像を表示するのかを選択可能である。
評価ステップS7では、検査者は、表示装置5に表示された判定結果表示画面400の探傷画像や、きずに関する情報、合否の判定表示に基づいて評価対象範囲内のきずの有無を評価することができる。
具体的には、例えば第1判定条件がきずの有無の判定として通常設定される判定条件であれば、第1判定条件に基づく判定結果を採用して、被検体の合否を評価できる。
すなわち、例えば、第1判定条件に基づく判定結果が合格であり、且つ、第2判定条件に基づく判定結果が合格であった場合、検査者は、第1判定条件に基づく判定結果が、第1判定条件に対してある程度の余裕を持った状態で合格と判定されていると評価することができる。
また、例えば、第1判定条件に基づく判定結果が合格であるが、第2判定条件に基づく判定結果が不合格であった場合、検査者は、第1判定条件に基づく判定結果が、第1判定条件に対してあまり余裕がない状態で合格と判定されていると評価することができる。
例えば、第2判定条件に基づいて検出されたきずの状態を確認することで、当該きずについて念のため補修をした方がよいか否かを判断することもできる。
例えば、上述した一実施形態では、きず判定ステップS41及び合否判定ステップS43において、予め第1判定条件によるきずの判定及び合否判定を行うとともに、第2判定条件によるきずの判定及び合否判定を行うようにしている。しかし、例えば、予め第1判定条件及び第2判定条件の何れか一方によるきずの判定及び合否判定を行っておき、判定結果表示画面400が表示されている場合に確認ボタン475が選択されるなどして、判定条件の切替が指示されると、きず判定ステップS41及び合否判定ステップS43における判定条件を第1判定条件及び第2判定条件の何れか一方から何れか他方へ切り替えて、切替後の判定条件できずの判定及び合否判定を行うようにしてもよい。
このようにすることによっても、判定条件を変更することできずの検出状態がどのように変化するかを確認できる。
上述した一実施形態では、探傷データグループは、配管7の円周方向の溶接部8の1カ所についての、ボイラ前側の探傷子11による直射法による探傷データと、ボイラ前側の探傷子11による1回反射法による探傷データと、ボイラ後側の探傷子11による直射法による探傷データと、ボイラ後側の探傷子11による1回反射法による探傷データとの4つの探傷データの組であった。
これに対し、以下で説明する他の実施形態に係る探傷データグループは、少なくとも、探傷子11による、被検体の表面側の領域の探傷によって得られた第1探傷データと、第1探傷データに係る探傷子11と同一の探傷子11による、被検体の表面側の領域よりも被検体の表面から遠い領域を含む領域の探傷によって得られた第2探傷データとの2つの探傷データの組である。
他の実施形態の探傷子11は、被検体7Xの表面7Xs側の領域(表層領域71)の探傷と、表層領域71よりも被検体7Xの表面7Xsから遠い領域を含む領域(中下層領域73)の探傷とを同一の探傷子11で探傷可能に構成されている。
図14に示す例では、被検体7Xの厚さ(板厚)をTとする。
他の実施形態では、中下層領域73は、例えば、表面7Xsからの距離(深さ)が1mmから被検体7Xにおける表面7Xsとは反対側の面(裏面7Xb)までの範囲であってもよい。被検体7Xが配管7の場合には、中下層領域73は、例えば、配管7の表面7sからの距離(深さ)が1mmから配管7の内周面7bまでの範囲であってもよい。
なお、表層領域71と中下層領域73とは、深さ方向において少なくとも一部で重なっていてもよい。
中層領域731と下層領域732との境界の位置は、例えば中層領域731と表層領域71との境界の位置と、裏面7Xbまでとの距離の1/2だけ深さ方向に沿って中層領域731と表層領域71との境界の位置から離れた位置とする。
なお、中層領域731と下層領域732との境界の位置は、上記の位置よりも表面7Xs側であってもよく、裏面7Xbであってもよい。
図14では、被検体7Xの内部における探傷子11からの超音波の走査範囲を破線で示している。なお、煩雑化を避けるため、図示左側の探傷子11からの超音波の走査範囲だけを示しているが、図示右側の探傷子11からの超音波の走査範囲も同様である。
他の実施形態の超音波探傷装置10は、表層領域71の探傷を行う際には、クリーピング波によって表層領域71を探傷するように探傷子11における不図示の振動子を制御し、中下層領域73の探傷を行う際には、縦波の超音波によって中下層領域73を探傷するように探傷子11における不図示の振動子を制御する。
表層領域71の探傷及び中下層領域73の探傷では、被検体7Xからのエコーの強度を表すデータとともに、エンコーダ13における計測データも取得され、超音波探傷装置10の不図示の記憶装置に格納される。
他の実施形態に係る被検体の評価方法は、図2に示すように、探傷ステップS1と、設定ステップS3と、表示ステップS5と、評価ステップS7とを含む。
探傷ステップS1では、図3に示すように、例えば探傷子11は、溶接部8を挟んで配管7の管軸方向に離間した2カ所に配置される。そして、2つの探傷子11の配管7の周方向における位置が常に同じになるように、配管7の周方向に移動させながら超音波探傷を行う。
探傷ステップS1では、クリーピング波による表層領域71の探傷と、縦波の超音波による中下層領域73の探傷とが実施される。
上述したように、図3に示す移動装置56は、配管7に対して探傷子11を一旦装着すれば、配管7の周方向に探傷子11を移動可能であるが、探傷子11が軸線AXc方向には移動しないように構成されている。
したがって、探傷ステップS1では、クリーピング波による表層領域71の探傷と、縦波の超音波による中下層領域73の探傷とで、探傷子11の軸線AXc方向の位置は同じである。
なお、他の実施形態に係る探傷ステップS1では、図3に示した超音波探傷装置10によって、配管7の円周方向の溶接部8の1カ所につき、ボイラ前側の探傷子11によるクリーピング波による表層領域71の探傷データである第1探傷データ、ボイラ前側の探傷子11による縦波の超音波による中下層領域73の探傷データである第2探傷データ、ボイラ後側の探傷子11によるクリーピング波による表層領域71の探傷データである第1探傷データ、ボイラ後側の探傷子11による縦波の超音波による中下層領域73の探傷データである第2探傷データ、の4つの探傷データの組が得られる。
すなわち、他の実施形態の超音波探傷装置10では、上記4つの探傷データの組が、探傷箇所の数だけ得られる。
他の実施形態に係る設定ステップS3では、図4に示すように、探傷データ読込ステップS31と、判定条件設定ステップS33と、開先形状設定ステップS35と、評価対象範囲入力ステップS37と、評価対象範囲設定ステップS39とが実施される。
他の実施形態に係る探傷データ読込ステップS31では、CPU2は、上述したような第1探傷データ及び第2探傷データを含む探傷データグループに係る探傷データを、エンコーダ13によって計測したテータとともに読み込んで記憶装置3に記憶させる。
すなわち、他の実施形態に係る探傷データ読込ステップS31は、被検体7Xの表面7Xs側の領域(表層領域71)をクリーピング波により探傷することで得られた第1探傷データを被検体7Xにおける位置情報とともに読み込む第1読み込みステップと、表面側の領域(表層領域71)よりも被検体7Xの表面7Xsから遠い領域を含む領域(中下層領域73)を縦波の超音波により探傷することで得られた第2探傷データを位置情報とともに読み込む第2読み込みステップとを含む。
他の実施形態に係る判定条件設定ステップS33では、探傷検査の結果に対する合否判定を行う際の判定条件等を設定は、ボイラ前側の探傷子11によって得られた第1探傷データ及び第2探傷データ、ボイラ後側の探傷子11によって得られた第1探傷データ及び第2探傷データのそれぞれにおいて、表層領域71、中層領域731、及び下層領域732のそれぞれで異なる判定条件等を設定可能である。
他の実施形態に係る開先形状設定ステップS35では、上述した一実施形態に係る開先形状設定ステップS35における処理内容と同じ処理内容が実施される。
他の実施形態に係る評価対象範囲入力ステップS37では、評価対象範囲を入力は、ボイラ前側の探傷子11によって得られた第1探傷データ及び第2探傷データ、ボイラ後側の探傷子11によって得られた第1探傷データ及び第2探傷データのそれぞれにおいて、表層領域71、中層領域731、及び下層領域732のそれぞれで異なる評価対象範囲を入力可能である。
他の実施形態に係る評価対象範囲設定ステップS39では、評価対象範囲を設定は、ボイラ前側の探傷子11によって得られた第1探傷データ及び第2探傷データ、ボイラ後側の探傷子11によって得られた第1探傷データ及び第2探傷データのそれぞれにおいて、表層領域71、中層領域731、及び下層領域732のそれぞれで異なる評価対象範囲を設定可能である。
すなわち、他の実施形態に係る評価対象範囲設定ステップS39では、図8に示した評価対象範囲入力画面300の更新ボタン308が選択されると、評価対象範囲入力ステップS37における入力内容を評価対象範囲データとして記憶装置3に記憶させる。
他の実施形態に係る表示ステップS5では、図9に示すように、きず判定ステップS41と、合否判定ステップS43と、表示指令生成ステップS45と、情報表示指令生成ステップS471と、判定表示指令生成ステップS473と、表示指令出力ステップS49とが実施される。
他の実施形態に係るきず判定ステップS41では、ボイラ前側の探傷子11によって得られた第1探傷データ及び第2探傷データ、ボイラ後側の探傷子11によって得られた第1探傷データ及び第2探傷データのそれぞれにおいて、表層領域71、中層領域731、及び下層領域732のそれぞれで、一実施形態に係るきず判定ステップS41と同様にきずの判定が行われる。
他の実施形態に係る合否判定ステップS43では、ボイラ前側の探傷子11によって得られた第1探傷データ及び第2探傷データ、ボイラ後側の探傷子11によって得られた第1探傷データ及び第2探傷データの何れかにおいて、表層領域71、中層領域731、及び下層領域732の何れかで、きず判定ステップS41できずの存在が認められた場合、不合格であると判定される。
逆に、他の実施形態に係る合否判定ステップS43では、ボイラ前側の探傷子11によって得られた第1探傷データ及び第2探傷データ、ボイラ後側の探傷子11によって得られた第1探傷データ及び第2探傷データのそれぞれにおいて、表層領域71、中層領域731、及び下層領域732の何れにも、きず判定ステップS41できずの存在が認められなかった場合、合格であると判定される。
他の実施形態に係る表示指令生成ステップS45では、表示指令生成部22は、きず判定ステップS41において抽出した評価対象データに基づき、エコー高さを示す探傷画像の画像データを生成する。なお、表示指令生成部22が生成する探傷画像の画像データは、例えば後述する図15及び図16に示すような表示画像の画像データである。
他の実施形態に係る情報表示指令生成ステップS471では、上述した一実施形態に係る情報表示指令生成ステップS471における処理内容と同じ処理内容が実施される。
他の実施形態に係る判定表示指令生成ステップS473では、合否判定ステップS43における判定結果に基づいて、上述した一実施形態に係る判定表示指令生成ステップS473における処理内容と同じ処理内容が実施される。
他の実施形態に係る表示指令出力ステップS49では、表示指令生成部22は、表示指令生成ステップS45、情報表示指令生成ステップS471、及び判定表示指令生成ステップS473の各ステップで生成された画像データや表示データを表示指令として表示装置5に出力する。
図15は、他の実施形態に係る判定結果表示画面400の一部について示す図である。
図16は、他の実施形態に係る判定結果表示画面400の一部について示す図である。
また、他の実施形態に係る判定結果表示画面400では、一実施形態に係る判定結果表示画面400と同様に、きず情報表示欄460等も表示される。
各表示画像1410、1420、1430、1440における、横軸の基準位置は、例えば、配管7を探傷した際に、エンコーダ13で計測したある周方向位置を基準の周方向位置として設定した際の該基準の周方向位置に対応する位置である。
なお、図15では、各表示画像1410、1420、1430、1440における横軸を配管7の周方向の位置、すなわちエンコーダ13で計測した計測距離として表しているが、上述した一実施形態のように、配管7の周方向の角度位置として表してもよい。
中下層領域第2ビームイメージ画像1422は、例えば、ボイラ前側の探傷子11についての、中下層領域73でのフォーカルロウのビームイメージを表す図である。
表層領域第3ビームイメージ画像1432は、例えば、ボイラ後側の探傷子11についての、表層領域71でのフォーカルロウのビームイメージを表す図である。
中下層領域第4ビームイメージ画像1442は、例えば、ボイラ後側の探傷子11についての、中下層領域73でのフォーカルロウのビームイメージを表す図である。
断面表示画像1450では、ボイラ前側から見た画像では、ボイラ前側の探傷子11による第1探傷データから得られるエコー高さの画像と、ボイラ前側の探傷子11による第2探傷データから得られるエコー高さの画像とを、エンコーダ13から得られた距離の情報に基づいて配管7における周方向の位置にずれがないように一致させている。
同様に、断面表示画像1450では、ボイラ後側から見た画像では、ボイラ後側の探傷子11による第1探傷データから得られるエコー高さの画像と、ボイラ後側の探傷子11による第2探傷データから得られるエコー高さの画像とを、エンコーダ13から得られた距離の情報に基づいて配管7における周方向の位置にずれがないように一致させている。
ここで、第1探傷画像は、例えば、表層領域第1Dスコープ表示画像1410と、表層領域第3Dスコープ表示画像1430と、断面表示画像1450の内の第1探傷データに基づく画像である。第2探傷画像は、中下層領域第2Dスコープ表示画像1420と、中下層領域第2Dスコープ表示画像1420と、断面表示画像1450の内の第2探傷データに基づく画像である。
同様に、他の実施形態に係る表示指令生成ステップS45では、表示画面(判定結果表示画面400)における所定方向の位置、具体的には図16における断面表示画像1450での円周方向の位置が同じであれば、第1探傷画像において、該所定方向に対応する方向の被検体上の位置(すなわち配管7の周方向位置)と、第2探傷画像において、該所定方向に対応する方向の被検体上の位置(すなわち配管7の周方向位置)とが一致するように指令(すなわち判定結果表示画面400を表示させるためのデータ)を生成する。
これにより、第1探傷画像と第2探傷画像との比較が容易となり、被検体7Xである配管7の表面7s側の領域(表層領域71)と、該領域(表層領域71)よりも被検体7Xである配管7の表面7sから遠い領域(中下層領域73)との探傷結果を確認し易くなる。
他の実施形態に係る評価ステップS7では、一実施形態に係る評価ステップS7と同様に、検査者は、表示装置5に表示された判定結果表示画面400の探傷画像や、きずに関する情報、合否の判定表示に基づいて評価対象範囲内のきずの有無を評価することができる。
以下、さらに他の実施形態について説明する。以下の説明では、便宜上、さらに他の実施形態のことを第3の実施形態と称する。
第3の実施形態では、配管や板厚が比較的厚い厚板の突合せ溶接部における裏波の良否の判断に係る実施形態である。
以下の説明では、上述した一実施形態及び他の実施形態における説明内容との相違点について主に説明することとし、特に説明がない事項については、原則として、上述した一実施形態又は他の実施形態における説明内容と同様であるとして詳細な説明を省略する。また、以下の説明において、上述した一実施形態又は他の実施形態と同様の構成については同じ符号を付すこととする。
以下の説明では、裏波の目視による確認が比較的困難である配管の突合せ溶接部における裏波の良否の判断を例に挙げて説明する。
裏波81とは、溶接面(例えば表面7Xs、表面7s)の裏側(例えば裏面7Xb、内周面7b)に形成される溶接ビードである。
裏波81は、例えば溶接部8において母材並みの強度確保するために、溶接面の裏側に適度に突出した形状を有することが望ましい。このような良好な形状を有する裏波81を健全な裏波81とも称する。しかし、溶接面の裏側への突出量が多すぎると、例えば配管7内を流れる流体の流れを乱す等の不都合を招くおそれがある。すなわち、裏波81の形状が不良となるほど、例えば図17において破線で示したように裏波81の全体形状は大きくなる。
裏波81の形状は、探傷データに含まれる裏波81からの反射波(裏波反射波)の位置から把握できることから、裏波反射波についての被検体中の位置に基づいて、裏波81の状態を判定することができる。
第3の実施形態における、裏波81の状態の判定方法のおおよその流れは、次の通りである。
(a)まず、第3の実施形態では、超音波探傷によって得られた探傷データを読み込む。
(b)そして、読み込んだ探傷データに含まれる反射波の内、裏波反射波を特定する。
第3の実施形態では、裏波反射波の特定に際し、探傷データに含まれる反射波の内、裏波反射波が検出されると推定される領域内に存在する反射波を裏波反射波として特定する。
(c)次いで、特定した裏波反射波についての被検体中の位置が、健全な裏波81の位置に相当する位置の近傍にあるか否かによって裏波81の状態、すなわち裏波81の良/不良を判定する。
(d)次いで、判定した裏波81の状態についての表示画面を表示装置5に表示させる。
図19は、第3の実施形態における表示ステップS5で行われる処理の流れを示すフローチャートである。
以下、第3の実施形態における、裏波81の状態の判定方法について、図18及び図19のフローチャートを参照しながら、上述したおおよその流れに沿って説明する。
図18の探傷データ読込ステップS31において、CPU2は、一実施形態や他の実施形態と同様に、探傷データを、エンコーダ13によって計測したテータとともに読み込んで記憶装置3に記憶させる。
裏波反射波のデータが含まれる探傷データは、例えば、一実施形態におけるボイラ前側の探傷子11による直射法による探傷データ、及び、ボイラ後側の探傷子11による直射法による探傷データである。
また、裏波反射波のデータが含まれる探傷データは、例えば、他の実施形態におけるボイラ前側の探傷子11による縦波の超音波による中下層領域73の探傷データである第2探傷データ、及び、ボイラ後側の探傷子11による縦波の超音波による中下層領域73の探傷データである第2探傷データである。
第3の実施形態では、探傷データに含まれる反射波の内、被検体において裏波の存在が推定される領域内の反射波を裏波反射波として特定する。
すなわち、第3の実施形態では、健全な裏波81が存在すると推定される領域から、例えば大きくなり過ぎて不健全となってしまった裏波81が存在すると推定される領域までを裏波81の存在が推定される領域とし、該領域内の反射波を裏波反射波として特定する。
例えば第3の実施形態では、裏波81の存在が推定される領域を裏波判定領域Rとして予め設定しておき、この裏波判定領域内からの反射波を裏波反射波として特定する。
上述したように、裏波81は、その健全性の度合いによって溶接面の裏側での大きさが異なる。そこで、第3の実施形態では、溶接部8の中心Cwからの距離が異なる複数の裏波判定領域Rを設定しておき、これら複数の裏波判定領域Rの何れかからの反射波を裏波反射波として特定する。
ここで、溶接部8の中心Cwは、例えば配管7の軸線AXc方向における溶接部8の中心である。
例えば、裏波判定領域Rは、健全な裏波81が存在する第1裏波判定領域R1a、R1bを含むとよい。
例えば、裏波判定領域Rは、第1裏波判定領域R1a、R1bよりも溶接部8の中心Cwから軸線AXc方向に離れている第2裏波判定領域R2a、R2bを含んでいてもよい。
例えば、裏波判定領域Rは、第2裏波判定領域R2a、R2bよりも溶接部8の中心Cwから軸線AXc方向に離れている第3裏波判定領域R3a、R3bを含んでいてもよい。
各裏波判定領域Rの設定については後で詳述する。
すなわち、第3の実施形態における表示ステップS5では、上述したきず判定ステップS41と、合否判定ステップS43と、表示指令生成ステップS45と、情報表示指令生成ステップS471と、判定表示指令生成ステップS473と、表示指令出力ステップS49とに加えて、裏波反射波特定ステップS51と、後述する裏波判定ステップS53とが実施される。
裏波反射波特定ステップS51では、CPU2は、裏波81の存在が推定される領域内の反射波を裏波反射波として特定する。
例えば、裏波反射波特定ステップS51では、CPU2は、裏波判定領域R内に存在する反射波の状態から裏波反射波を特定してもよい。
具体的には、裏波反射波特定ステップS51では、CPU2は、後述するようにして設定された裏波判定領域Rの設定データを記憶装置3から読み出す。そして、CPU2は、図18の探傷データ読込ステップS31において読み込んだ、探傷データグループの各探傷データに基づいて、各裏波判定領域Rに存在する反射波のデータに関し、後述する裏波の検出レベルを超えるエコー高さの領域が後述する判定長さ以上連続して存在するか否かを判定する。
なお、判定長さ以上連続して存在するか否かの判定に際し、裏波の検出レベルを超えるエコー高さの領域の延在方向は問わない。
CPU2は、裏波の検出レベルを超えるエコー高さの領域が判定長さ以上連続して存在する場合、その領域の反射波を裏波反射波であると特定する。
なお、裏波判定領域R内で裏波の検出レベルを超えるエコー高さの領域が離れていても、その間隔が後述するようにして設定される検出間隔以下であれば一つの連続した領域であるとCPU2が判断するものとする。
また、裏波反射波特定ステップS51において、裏波判定領域R内に存在する反射波の状態から裏波反射波を特定することで、裏波判定領域R内に裏波反射波が存在するか否かによって裏波判定領域R内に裏波が存在するか否かを容易に判定できる。
裏波判定条件の設定は、図1に示したCPU2の評価対象範囲設定部21が図18に示した設定ステップS3に含まれる裏波判定条件設定ステップS34を実行することで行われる。
すなわち、第3の実施形態における設定ステップS3では、上述した探傷データ読込ステップS31と、判定条件設定ステップS33と、開先形状設定ステップS35と、評価対象範囲入力ステップS37と、評価対象範囲設定ステップS39とに加えて、裏波判定条件設定ステップS34と、後述する裏波判定領域設定ステップS36が実施される。
検査者は、判定条件設定ステップS33における操作と同様の操作を不図示の裏波判定条件設定画面において実施することで、裏波判定条件を入力できる。
不図示の裏波判定条件設定画面では、上記の裏波の検出レベル、上記の判定長さ、及び上記の検出間隔を入力及び設定できる。
そして、検査者によって、不図示の裏波判定条件設定画面において、図5や図6に示すような判定条件設定画面100の閉じるボタン118と同様の不図示の閉じるボタンが選択されると、評価対象範囲設定部21は、不図示の裏波判定条件設定画面における設定内容を裏波判定条件の設定データとして記憶装置3に記憶させる。
各裏波判定領域Rの設定は、CPU2の評価対象範囲設定部21が図18に示した設定ステップS3に含まれる裏波判定領域設定ステップS36を実行することで行われる。
裏波判定領域設定ステップS36では、評価対象範囲設定部21は、例えば、図8に示すような評価対象範囲入力画面300と同様の裏波判定領域入力画面(不図示)を表示装置5に表示させる。
検査者は、評価対象範囲を入力した場合の操作と同様の操作を不図示の裏波判定領域入力画面において実施することで、各裏波判定領域Rを入力できる。
そして、検査者によって、不図示の裏波判定領域入力画面において、図8に示した評価対象範囲入力画面300の更新ボタン308と同様の不図示の更新ボタンが選択されると、評価対象範囲設定部21は、不図示の裏波判定領域入力画面における設定内容を裏波判定領域Rの設定データとして記憶装置3に記憶させる。
裏波判定領域設定ステップS36では、第2裏波判定領域R2a、R2bよりも溶接部8の中心Cwからの距離(軸線AXc方向の距離)が大きい第3裏波判定領域R3a、R3bを設定可能である。
なお、裏波判定領域Rの幅(軸線AXc方向の大きさ)や裏波判定領域Rの高さ(配管7の径方向の大きさ)、裏波判定領域Rの高さ位置(配管7の径方向の位置)は、各裏波判定領域Rで同じであってもよいし、異なっていてもよい。
また、軸線AXc方向で隣り合う裏波判定領域Rの間隔の大きさはゼロであってもよいし、ゼロよりも大きくてもよい。
第3の実施形態では、裏波反射波特定ステップS51で特定した裏波反射波の位置に基づいて、裏波の状態を判定する。
第3の実施形態では、裏波81の状態の判定は、CPU2が図19に示した表示ステップS5に含まれる裏波判定ステップS53を実行することで行われる。すなわち、裏波判定ステップS53は、裏波反射波特定ステップS51で特定した裏波反射波の位置に基づいて、裏波81の状態を判定するステップである。
したがって、裏波判定ステップS53において、裏波反射波の位置に基づいて、裏波81の状態を判定できるので、検査者の熟練度によらず、裏波81の状態の良否を判断できる。
これにより、裏波反射波を特定し易くなり、裏波反射波を特定するための処理が複雑化するのを抑制できる。
例えば、CPU2は、裏波反射波特定ステップS51で特定した裏波反射波が、何れかの第1裏波判定領域R1a、R1bに存在する場合に、裏波81が健全(良好)であると判定する。
例えば、CPU2は、裏波反射波特定ステップS51で特定した裏波反射波が、何れかの第2裏波判定領域R2a、R2b内に存在する場合には、何れの第2裏波判定領域R2a、R2b内に裏波反射波が存在せず、且つ、何れかの第1裏波判定領域R1a、R1b内に裏波反射波が存在する場合よりも、裏波81の状態が良好ではないと判定する。
例えば、CPU2は、裏波反射波特定ステップS51で特定した裏波反射波が、何れかの第3裏波判定領域R3a、R3b内に存在する場合には、何れの第3裏波判定領域R3a、R3b内に裏波反射波が存在せず、且つ、何れかの第1裏波判定領域R1a、R1b内又は何れかの第2裏波判定領域R2a、R2b内に裏波反射波が存在する場合よりも、裏波81の状態が良好ではないと判定する。
これにより、裏波反射波の位置についての溶接部8の中心Cwからの距離に応じて裏波81の状態を判定できるので、裏波81の状態の良否を容易に判断できる。
図21は、第3の実施形態における判定結果表示画面400を示す図である。図21に示す判定結果表示画面400は、図10に示した判定結果表示画面400と同様のものである。
図22は、第3の実施形態における裏波判定結果表示画面500を示す図である。
切替ボタン479は、図21に示す判定結果表示画面400から、以下で説明する、図22に示す裏波判定結果表示画面500に画面を切り替えるためのボタンである。
第3の実施形態における表示指令生成ステップS45では、表示指令生成部22は、上述した一実施形態又は他の実施形態に係る表示指令生成ステップS45における処理内容と同じ処理内容と同じ処理内容を実施することに加えて、図18の探傷データ読込ステップS31において読み込んだ、探傷データグループの各探傷データに基づいて、エコー高さを示す探傷画像の画像データを生成する。このとき生成される探傷画像の画像データは、例えば図22に示すBスコープ表示画像510、Sスコープ表示画像511、及び、断面表示画像550の画像データである。
したがって、第3の実施形態における表示指令生成ステップS45は、探傷データのうち、少なくとも裏波81の存在が推定される領域に対応した探傷データを抽出し、反射波の信号強度を示す画像を表示装置5に表示させるための指令を生成するステップである。
これにより、検査者が表示装置5に表示された上記画像を確認できるので、裏波判定ステップS53における判定結果の妥当性を検査者が判断するのに都合がよい。
したがって、第3の実施形態における表示指令生成ステップS45は、探傷データのうち、少なくとも裏波81の存在が推定される領域に対応した探傷データを抽出し、反射波の信号強度を示す画像を裏波判定領域とともに表示装置5に表示させるための指令を生成するステップである。
これにより、表示装置5に表示された裏波判定領域及び反射波の信号強度を示す画像を検査者が確認できるので、裏波判定ステップS53における判定結果の妥当性を検査者が判断するのに都合がよい。
第3の実施形態における情報表示指令生成ステップS471では、表示指令生成部22は、上述した一実施形態又は他の実施形態に係る情報表示指令生成ステップS471における処理内容と同じ処理内容を実施することに加えて、例えば図22に示す裏波情報表示欄560の表示をするための表示データを生成する。
第3の実施形態における判定表示指令生成ステップS473では、上述した一実施形態又は他の実施形態に係る判定表示指令生成ステップS473における処理内容と同じ処理内容を実施することに加えて、裏波判定ステップS53における判定結果を反映する表示データを生成する。
ここで、裏波判定ステップS53における判定結果を反映する表示データは、例えば、図22における裏波良否判定表示478の表示データである。裏波良否判定表示478の背景色は、裏波判定ステップS53における判定結果に基づいて決定される。裏波良否判定表示478の背景色については、後述する。
第3の実施形態における表示指令出力ステップS49では、表示指令生成部22は、表示指令生成ステップS45、情報表示指令生成ステップS471、及び判定表示指令生成ステップS473の各ステップで生成された画像データや表示データを表示指令として表示装置5に出力する。これにより、表示装置5には、例えば、図21に示す判定結果表示画面400と図22に示す裏波判定結果表示画面500とが切り替え可能に表示される。
図22に示す裏波判定結果表示画面500について説明する。
Bスコープ表示画像510は、配管7の軸線AXc方向から見た画像であり、例えば、直射法による探傷データにおけるエコー高さを示す探傷画像である。Bスコープ表示画像510は、被検体7Xである配管7の周方向の位置を横軸にとり、配管7の板厚(深さ)を縦軸にとったときの探傷画像であり、各裏波判定領域Rに対応する配管7の板厚方向の範囲内のエコー高さだけを表している。
ここで、図22に示すチェックボックス515の選択が解除されると、Bスコープ表示画像510には、ボイラ後側の探傷子11についての、直射法による探傷データにおけるエコー高さだけが表示されるように構成されている。
なお、図22に示すチェックボックス515の選択が解除されると、Bスコープ表示画像510には、ボイラ前側の探傷子11についての、直射法による探傷データにおけるエコー高さだけが表示されるように構成されていてもよい。
また、Bスコープ表示画像510において、ボイラ前側の探傷子11についての、直射法による探傷データにおけるエコー高さだけが表示されるか、ボイラ後側の探傷子11についての、直射法による探傷データにおけるエコー高さだけが表示されるかを切り替え可能に構成されていてもよい。
Sスコープ表示画像511における探傷画像では、裏波判定領域R内のエコー高さだけでなく裏波判定領域R外のエコー高さも表されているが、裏波判定領域R内のエコー高さだけを表すようにしてもよい。
ここで、図22に示すチェックボックス515の選択が解除されると、断面表示画像550には、ボイラ後側の探傷子11についての、直射法による探傷データにおけるエコー高さだけが表示されるように構成されている。
なお、図22に示すチェックボックス515の選択が解除されると、断面表示画像550には、ボイラ前側の探傷子11についての、直射法による探傷データにおけるエコー高さだけが表示されるように構成されていてもよい。
また、断面表示画像550において、ボイラ前側の探傷子11についての、直射法による探傷データにおけるエコー高さだけが表示されるか、ボイラ後側の探傷子11についての、直射法による探傷データにおけるエコー高さだけが表示されるかを切り替え可能に構成されていてもよい。
例えば、Sスコープ表示画像511及び裏波判定領域表示画像512における裏波判定領域Rの枠511c、512cの表示色を溶接部8の中心Cwからの距離に応じて枠511c、512c毎に異なる表示色に設定可能である場合、裏波反射波が存在する裏波判定領域Rの枠511c、512cの表示色と同じ表示色となるように、裏波良否判定表示478の背景色を決定するようにしてもよい。
この場合、裏波反射波が、第1裏波判定領域R1a、R1bにおいて検出されているのであれば、裏波良否判定表示478の背景色を青色に決定するように構成されているとよい。
同様に、裏波反射波が、第2裏波判定領域R2a、R2bにおいて検出されているのであれば、裏波良否判定表示478の背景色を黄色に決定するように構成されているとよく、裏波反射波が、第3裏波判定領域R3a、R3bにおいて検出されているのであれば、裏波良否判定表示478の背景色を赤色に決定するように構成されているとよい。
第3の実施形態における評価ステップS7では、検査者は、上述した一実施形態又は他の実施形態と同様に、表示装置5に表示された判定結果表示画面400の探傷画像や、きずに関する情報、合否の判定表示に基づいて評価対象範囲内のきずの有無を評価することができる。
また、第3の実施形態における評価ステップS7では、検査者は、表示装置5に表示された裏波判定結果表示画面500の探傷画像や、裏波反射波が存在する位置や長さ、最大エコー高さ等の情報、裏波良否判定表示478の背景色に基づいて、裏波81の状態を判断できる。なお、検査者は、必要に応じて、他の方法による裏波81の点検や、可能であれば目視による裏波81の点検を行ってもよい。
これにより、裏波反射波の位置に基づいて、裏波81の状態を判定できるので、検査者の熟練度によらず、裏波81の状態の良否を判断できる。
これにより、裏波反射波の位置に基づいて、裏波81の状態を判定できるので、検査者の熟練度によらず、裏波81の状態の良否を判断できる。
例えば、上述した第3の実施形態における裏波判定領域Rは、1つでもよい。例えば、裏波判定領域Rは、溶接部8の中心Cwを挟んで軸線AXc方向の一方側又は他方側の一方に1つの裏波判定領域Rだけ設定してもよいし、溶接部8の中心Cwを跨いだ1つの裏波判定領域Rだけ設定してもよい。
(1)本開示の少なくとも一実施形態に係る超音波探傷データ処理プログラムは、被検体7Xに対して超音波探傷を行うことによって得られた探傷データを処理するための超音波探傷データ処理プログラムである。上記被検体7Xは、裏波81を有する溶接部8を含む。本開示の少なくとも一実施形態に係る超音波探傷データ処理プログラムでは、裏波81の反射波である裏波反射波を特定するステップ(裏波反射波特定ステップS51)と、上記特定するステップ(裏波反射波特定ステップS51)で特定した裏波反射波の位置に基づいて、裏波81の状態を判定するステップ(裏波判定ステップS53)と、を演算装置(CPU2)に実行させる。
2 演算装置(CPU)
21 評価対象範囲設定部
22 表示指令生成部
100 判定条件設定画面
200 開先形状設定画面
300 評価対象範囲入力画面
400 判定結果表示画面
500 裏波判定結果表示画面
600 表示画像
Claims (10)
- 被検体に対して超音波探傷を行うことによって得られた探傷データを処理するための超音波探傷データ処理プログラムであって、
前記被検体は、裏波を有する溶接部を含み、
前記裏波の反射波である裏波反射波を特定するステップと、
前記特定するステップで特定した前記裏波反射波の位置に基づいて、前記裏波の状態を判定するステップと、
を演算装置に実行させる
超音波探傷データ処理プログラム。 - 前記特定するステップでは、前記裏波の存在が推定される領域内の前記反射波を前記裏波反射波として特定する
請求項1に記載の超音波探傷データ処理プログラム。 - 前記判定するステップでは、前記溶接部の中心と前記裏波反射波との距離に基づいて前記裏波の状態を判定する
請求項1又は2に記載の超音波探傷データ処理プログラム。 - 前記裏波反射波の有無を判定するための裏波判定領域を設定するステップ、
を前記演算装置に実行させ、
前記特定するステップでは、前記裏波判定領域内に存在する前記反射波の状態から前記裏波反射波を特定する
請求項1乃至3の何れか一項に記載の超音波探傷データ処理プログラム。 - 前記設定するステップでは、前記裏波判定領域として第1裏波判定領域と、前記第1裏波判定領域よりも前記溶接部の中心からの距離が大きい第2裏波判定領域とを設定可能であり、
前記判定するステップでは、前記第2裏波判定領域内に前記裏波反射波が存在する場合には、前記第2裏波判定領域内に前記裏波反射波が存在せず、且つ、前記第1裏波判定領域内に前記裏波反射波が存在する場合よりも、前記裏波の状態が良好ではないと判定する
請求項4に記載の超音波探傷データ処理プログラム。 - 前記探傷データのうち、少なくとも前記裏波の存在が推定される領域に対応した前記探傷データを抽出し、前記反射波の信号強度を示す画像を表示装置に表示させるための指令を生成するステップ、
を前記演算装置に実行させる
請求項1乃至3の何れか一項に記載の超音波探傷データ処理プログラム。 - 前記探傷データのうち、少なくとも前記裏波の存在が推定される領域に対応した前記探傷データを抽出し、前記反射波の信号強度を示す画像を前記裏波判定領域とともに表示装置に表示させるための指令を生成するステップ、
を前記演算装置に実行させる
請求項4又は5に記載の超音波探傷データ処理プログラム。 - 前記被検体の表面側の領域をクリーピング波により探傷することで得られた第1探傷データを前記被検体における位置情報とともに読み込む第1読み込みステップと、
前記表面側の領域よりも前記被検体の表面から遠い領域を含む領域を縦波の超音波により探傷することで得られた第2探傷データを前記位置情報とともに読み込む第2読み込みステップと、
前記第1読み込みステップで読み込んだ前記第1探傷データの信号強度を示す第1探傷画像と、前記第2読み込みステップで読み込んだ前記第2探傷データの信号強度を示す第2探傷画像とを、表示装置に表示させる一つの表示画面に表示させるための指令を前記位置情報を参照して生成するステップと、
を前記演算装置に実行させ、
前記指令を生成するステップでは、前記表示画面における所定方向の位置が同じであれば、前記第1探傷画像において、前記所定方向に対応する方向の前記被検体上の位置と、前記第2探傷画像において、前記所定方向に対応する方向の前記被検体上の位置とが一致するように前記指令を生成する
請求項1乃至7の何れか一項に記載の超音波探傷データ処理プログラム。 - 被検体に対して超音波探傷を行うことによって得られた探傷データを処理するための超音波探傷データ処理装置であって、
前記被検体は、裏波を有する溶接部を含み、
前記裏波の反射波である裏波反射波を特定する特定部と、
前記特定部で特定した前記裏波反射波の位置に基づいて、前記裏波の状態を判定する判定部と、
を備える
超音波探傷データ処理装置。 - 被検体の溶接部における裏波の状態を判定する被検体の判定方法であって、
前記裏波の反射波である裏波反射波を特定するステップと、
前記特定するステップで特定した前記裏波反射波の位置に基づいて、前記裏波の状態を判定するステップと、
を備える
被検体の判定方法。
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