JP2019082397A - 超音波探傷データ処理プログラム、超音波探傷データ処理装置及び被検体の評価方法 - Google Patents
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Abstract
Description
被検体に対して超音波探傷を行うことによって得られた探傷データを処理するための超音波探傷データ処理プログラムであって、
前記被検体の内部における評価対象範囲を設定する評価対象範囲設定ステップと、
前記探傷データのうち、前記評価対象範囲内の領域に対応した評価対象データを抽出し、前記被検体の内部の各位置における前記評価対象データの信号強度を示す探傷画像を表示装置に表示させるための指令を生成する表示指令生成ステップと、
を演算装置に実行させる。
前記被検体は溶接部を含み、
前記溶接部の開先を含む前記被検体の断面内において前記評価対象範囲の設定入力を受け付ける評価対象範囲入力ステップをさらに前記演算装置に実行させるとともに、
前記評価対象範囲設定ステップでは、前記評価対象範囲入力ステップで受け付けた設定入力に基づいて前記評価対象範囲を設定する。
前記被検体の溶接部の開先形状を設定する開先形状設定ステップ、
を前記演算装置に実行させ、
前記評価対象範囲入力ステップでは、
前記開先形状設定ステップで設定された前記被検体の溶接部の開先形状を前記被検体の断面形状に重畳した設定用画面を表示装置に表示させるための指令を生成し、
前記表示装置に表示された前記設定用画面上で領域が指定されると、該領域の指定を前記評価対象範囲の設定入力として受け付ける。
前記探傷データのうち、前記評価対象範囲内の領域に対応した評価対象データを抽出し、抽出した前記評価対象データに基づいて、きずであることを判定するための判定条件を満たす前記被検体の内部の領域をきずであると判定するきず判定ステップと、
前記きず判定ステップできずであると判定された領域について少なくとも前記被検体における位置の情報を表示装置に表示させるための指令を生成する情報表示指令生成ステップと、
を前記演算装置に実行させ、
前記判定条件は、少なくとも前記評価対象データの信号強度が閾値を超えていることである。
前記きず判定ステップできずであると判定された領域が存在しない場合に合格であると判定し、前記きず判定ステップできずであると判定された領域が存在する場合に不合格であると判定する合否判定ステップと、
前記合否判定ステップでの判定結果を表示装置に表示させるための指令を生成する判定表示指令生成ステップと、
を前記演算装置に実行させる。
前記判定条件は、第1判定条件と、第1判定条件とは異なる第2判定条件とを含み、
前記判定条件の切替が指示されると、前記判定条件を前記第1判定条件及び前記第2判定条件の何れか一方から何れか他方へ切り替える判定条件切替ステップ、
を前記演算装置に実行させる。
被検体に対して超音波探傷を行うことによって得られた探傷データを処理するための超音波探傷データ処理装置であって、
前記被検体の内部における評価対象範囲を設定する評価対象範囲設定部と、
前記探傷データのうち、前記評価対象範囲内の領域に対応した評価対象データを抽出し、前記被検体の内部の各位置における前記評価対象データの信号強度を示す探傷画像を表示装置に表示させるための指令を生成する表示指令生成部と、
を備える。
被検体の内部のきずの有無を評価する被検体の評価方法であって、
前記被検体に対して超音波探傷を行うことによって探傷データを得る探傷ステップと、
前記被検体の内部における評価対象範囲を設定する設定ステップと、
前記探傷データのうち、前記評価対象範囲内の領域に対応した評価対象データを抽出し、前記被検体の内部の各位置における前記評価対象データの信号強度を示す探傷画像を表示装置に表示させる表示ステップと、
前記表示装置に表示された前記探傷画像に基づいて前記評価対象範囲内のきずの有無を評価する評価ステップと、
を備える。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
超音波探傷データ処理装置1は、演算装置であるCPU2と、記憶装置3と、を備えている。CPU2は、少なくとも評価対象範囲設定部21及び表示指令生成部22の各機能ブロックを仮想的に有している。
評価対象範囲設定部21は、後述するように、被検体の内部における評価対象範囲を設定する。また、表示指令生成部22は、後述するように、探傷データのうち、評価対象範囲内の領域に対応した評価対象データを抽出し、被検体の内部の各位置における評価対象データの信号強度(エコー高さ)を示す探傷画像を表示装置5に表示させるための指令を生成する。表示指令生成部22で生成された表示指令は、外部の表示装置5に出力される。表示装置5は、表示指令生成部22で生成された表示指令に基づく画像を表示する。
図3は、探傷ステップS1で行われる超音波探傷検査の様子を模式的に示す図である。一実施形態に係る被検体の評価方法では、被検体は、例えばボイラ等で使用される配管7である。以下の説明では、被検体である配管の円周方向の溶接部8の近傍に生じるきずの有無を検査するものとする。
探傷ステップS1で行われる超音波探傷検査で用いられる超音波探傷装置10は、例えばフェイズドアレイ法による超音波探傷やTOFD法による超音波探傷を行う装置である。以下の説明では、フェイズドアレイ法による超音波探傷を行う場合を例に挙げて説明するが、TOFD法による超音波探傷を行ってもよい。
説明の便宜上、配管7の管軸方向に関し、図3における図示左側をボイラ前側と称し、図示右側をボイラ後側と称する。
一実施形態では、図3において、超音波探傷装置10は、セクタ走査と呼ばれる電子走査の走査面が、配管7の管軸方向及び配管の板厚方向に沿って延在する平面に沿うように超音波を走査する。
なお、図3に示した一実施形態の超音波探傷装置10では、配管7の円周方向の溶接部8の1カ所につき、ボイラ前側の探傷子11による直射法による探傷データと、ボイラ前側の探傷子11による1回反射法による探傷データと、ボイラ後側の探傷子11による直射法による探傷データと、ボイラ後側の探傷子11による1回反射法による探傷データとの4つの探傷データが得られる。以下の説明では、これら4つの探傷データの組を探傷データグループと呼ぶこともある。
なお、直射法による探傷データとは、探傷子11から直接出射された超音波によるエコーのデータのことである。また、1回反射法による探傷データとは、探傷子11から出射された超音波を被検体の内部で1回反射させた超音波によるエコーのデータのことである。
一実施形態の超音波探傷装置10では、上記4つの探傷データの組が、探傷箇所の数だけ得られる。
探傷ステップS1で取得された探傷データには、被検体のきずに起因する反射波(きずエコー)のデータの他に、被検体の形状に起因する反射波(形状エコー)のデータが含まれる。そのため、探傷データに基づいて得られる探傷画像には、きずエコーの他に、形状エコーが同時に現れる。超音波探傷により被検体のきずの有無やきずの位置を判断するには、きずエコーと形状エコーとを識別する必要がある。しかし、きずエコーと形状エコーとを識別するのは難しい場合があるため、検査者の熟練度によって識別結果に違いが生じるおそれがある。
そこで、一実施形態に係る被検体の評価方法では、設定ステップS3において、被検体の内部における後述する評価対象範囲を設定することにより、後述する表示ステップS5で表示装置5に表示させる探傷画像に探傷画像に評価対象範囲外の形状エコーが現れるのを抑制する。なお、設定ステップS3における処理の詳細については、後で説明する。
以下、設定ステップS3の詳細について説明する。
図4は、設定ステップS3で行われる処理の流れを示すフローチャートである。
設定ステップS3では、以下に述べる探傷データ読込ステップS31と、判定条件設定ステップS33と、開先形状設定ステップS35と、評価対象範囲入力ステップS37と、評価対象範囲設定ステップS39とが実施される。
説明の便宜上、以下の説明では、探傷データ読込ステップS31から評価対象範囲設定ステップS39が順次実行されるものとして説明する。しかし、探傷データ読込ステップS31から開先形状設定ステップS35については、その実行順序は以下に説明する順序に限定されず、何れのステップから実行されてもよい。なお、評価対象範囲入力ステップS37は、探傷データ読込ステップS31から開先形状設定ステップS35が実行された後に実行される。また、評価対象範囲設定ステップS39は、評価対象範囲入力ステップS37が実行された後、実行される。
探傷データ読込ステップS31は、超音波探傷によって得られた探傷データを読み込むステップである。CPU2は、超音波探傷によって得られた探傷データを読み込むように指示されると、探傷データを読み込んで記憶装置3に記憶させる。なお、探傷データ読込ステップS31では、例えば超音波探傷データ処理装置1と超音波探傷装置10とを有線又は無線で接続して探傷データを読み込んでもよく、メモリカードなどの記録媒体を介して探傷データを読み込んでもよく、通信網等を介して探傷データを読み込んでもよい。
判定条件設定ステップS33は、探傷データ読込ステップS31で読み込んだ探傷データにおいて、探傷検査の結果に対する合否判定を行う際の判定条件等を設定するためのステップである。CPU2は、判定条件の設定が指示されると、例えば、図5及び図6に示すような判定条件設定画面100を表示装置5に表示させる。
判定条件設定画面100は、探傷画像を表示する際のエコー高さに応じた表示色の設定や、探傷検査の結果に対する合否判定のための閾値を設定するための設定画面である。なお、一実施形態に係る探傷画像の詳細については、後で説明する。
第2判定条件切替ボタン102は、図5に示した第1判定条件を設定するための判定条件設定画面100から図6に示した第2判定条件を設定するための判定条件設定画面100に切り替えるための機能ボタンである。
色設定部111a〜111eでは、探傷画像における表示色をエコー高さ設定部112a〜112dで設定されるエコー高さに応じて設定できる。色設定部111a〜111eの何れか一つが選択されると、不図示の色選択用のダイヤログが表示され、該ダイヤログから任意の色を選ぶことができるようになる。該ダイヤログから何れかの色が指定されると、指定された色が選択されている色設定部111a〜111eの設定色として設定される。
エコー高さ設定部112a〜112dでは、色設定部111a〜111eで設定された色とエコー高さとの関係を設定できる。エコー高さ設定部112a〜112dの何れか一つが選択されると、エコー高さが入力可能となる。エコー高さ設定部112a〜112dで入力可能なエコー高さの範囲は0%以上100%以下である。
同様に、探傷画像では、エコー高さ設定部112aで設定されたエコー高さ以上であり、且つ、エコー高さ設定部112bで設定されたエコー高さ未満の領域が、色設定部111bで設定された設定色で表示される。
後述する探傷画像では、エコー高さ設定部112bで設定されたエコー高さ以上であり、且つ、エコー高さ設定部112cで設定されたエコー高さ未満の領域が、色設定部111cで設定された設定色で表示される。
後述する探傷画像では、エコー高さ設定部112cで設定されたエコー高さ以上であり、且つ、エコー高さ設定部112dで設定されたエコー高さ未満の領域が、色設定部111dで設定された設定色で表示される。
後述する探傷画像では、エコー高さ設定部112dで設定されたエコー高さ以上の領域が、色設定部111eで設定された設定色で表示される。
なお、エコー高さに応じて探傷画像における表示色を上述したように離散的に変更してもよく、エコー高さに応じて表示色を補間し、エコー高さに応じて探傷画像における表示色を連続的に変更するようにしてもよい。
例えば、検出レベル設定ボタン113aが選択された場合、エコー高さ設定部112aで設定されたエコー高さが、きずの検出レベルとして設定される。
同様に、検出レベル設定ボタン113bが選択された場合、エコー高さ設定部112bで設定されたエコー高さが、きずの検出レベルとして設定される。
同様に、検出レベル設定ボタン113cが選択された場合、エコー高さ設定部112cで設定されたエコー高さが、きずの検出レベルとして設定される。
同様に、検出レベル設定ボタン113dが選択された場合、エコー高さ設定部112dで設定されたエコー高さが、きずの検出レベルとして設定される。
例えば、判定レベル設定ボタン114aが選択された場合、エコー高さ設定部112aで設定されたエコー高さが、きずの判定レベルとして設定される。
同様に、判定レベル設定ボタン114bが選択された場合、エコー高さ設定部112bで設定されたエコー高さが、きずの判定レベルとして設定される。
同様に、判定レベル設定ボタン114cが選択された場合、エコー高さ設定部112cで設定されたエコー高さが、きずの判定レベルとして設定される。
同様に、判定レベル設定ボタン114dが選択された場合、エコー高さ設定部112dで設定されたエコー高さが、きずの判定レベルとして設定される。
なお、一実施形態では、後述するように、きずの判定レベルを超えるエコー高さの領域が存在した場合、該領域が判定長さLt以上連続して存在するか否かに関わらず、探傷検査の結果が不合格であると判定される。すなわち、きずの判定レベルは、きずを不合格と判定する際の閾値である。
一実施形態では、きずの検出レベルを超えるエコー高さの領域が判定長さLt以上連続して存在するか否かを判定する際に、途中にきずの検出レベル未満のエコー高さの領域が存在したとしても、該領域の長さがきず間隔設定部116で設定した設定長さ未満であれば、CPU2は、連続したきずであると判断する。
開先形状設定ステップS35は、被検体の溶接部の開先形状を設定するステップである。CPU2は、開先形状の設定が指示されると、例えば、図7に示すような開先形状設定画面200を表示装置5に表示させる。
開先種類選択部201は、開先の種類を選択するための画面表示であり、開先種類選択部201が選択されると開先の種類を選択するための選択肢が表示される。例えば、一実施形態では、開先種類選択部201が選択されると開先形状がV型又はX型であることを選択する選択肢と、開先形状がJ型又はU型であることを選択する選択肢とが表示される。検査員は、上記何れかの選択肢を選択することができる。これにより、開先形状の設定が容易となる。
開先形状参照画像203は、寸法入力部202で入力可能な開先の各部を図示するための画面表示である。開先形状参照画像203における開先の形状を表す画像は、開先種類選択部201で選択された開先の種類に応じて変更される。開先形状参照画像203においてアルファベットの符号で示した寸法等は、寸法入力部202において寸法等の入力欄に付したアルファベットと対応する。例えば、開先形状参照画像203において符号aで示した寸法は、被検体の肉厚である。また、寸法入力部202においてアルファベットのaを付した寸法の入力欄は、被検体の肉厚の入力欄である。
1.被検体の板厚、すなわち、開先形状参照画像203における符号aで示す部位の肉厚。
2.開先深さ及びべベル角度、すなわち開先形状参照画像203における符号bで示す部位の高さ及び角度。
3.ルート半径、すなわち、開先形状参照画像203における符号cで示す部位の半径。
4.ルート間隔を規定する端部が溶接の相手側の部材に向かって突出する突出長さ、すなわち、開先形状参照画像203における符号dで示す部位の長さ。
5.ルート面の長さ、すなわち、開先形状参照画像203における符号eで示す部位の高さ。
6.開先形状参照画像203におけるルート面下側の傾斜面の高さ及び角度、すなわち、開先形状参照画像203における符号fで示す部位の高さ及び角度。
7.ルート間隔、すなわち、開先形状参照画像203における符号gで示す部位のギャップ長さ。
このように、一実施形態では、開先の各部の寸法を入力できるので、開先形状の設定精度を向上できる。
閉じるボタン206が選択されると、CPU2は、開先形状設定ステップS35における処理を終了する。
ここで、評価対象範囲について説明する。
上述したように、探傷データに基づいて得られる探傷画像には、きずエコーの他に、形状エコーが同時に現れる。超音波探傷により被検体のきずの有無やきずの位置を判断するには、きずエコーと形状エコーとを識別する必要がある。
そこで、一実施形態では、被検体の内部の領域のうち、きずエコーの評価を行うべき領域、すなわち観察したいエコーが含まれる領域を評価対象範囲として設定する。
第2探傷子切替ボタン302は、2つの探傷子11のうちの何れか他方の探傷子11で得られた探傷データに関して評価対象範囲を設定する際に選択するためのボタンである。一実施形態では、第2探傷子切替ボタン302は、例えばボイラ後側の探傷子11で得られた探傷データに関して評価対象範囲を設定する際に選択するためのボタンである。
なお、図8は、第2探傷子切替ボタン302が選択されて、ボイラ後側の探傷子11で得られた探傷データに関して評価対象範囲を設定する画面表示となった場合の一例である。
第1範囲入力部303では、評価対象範囲を多角形の枠として設定可能であり、多角形の頂点数を選択する頂点数設定部303aと、各頂点の座標を入力する複数の座標入力部303bとを含む。
第1範囲入力部303に表れる座標入力部303bの数は、頂点数設定部303aにおける頂点の設定数に応じて増減する。
座標入力部303bのそれぞれでは、例えば管軸方向の位置yと、板厚方向の位置dとを入力できる。
第2範囲入力部304では、評価対象範囲を多角形の枠として設定可能であり、多角形の頂点数を選択する頂点数設定部304aと、各頂点の座標を入力する複数の座標入力部304bとを含む。
第2範囲入力部304に表れる座標入力部304bの数が増減する点、及び、座標入力部304bのそれぞれにおいて、管軸方向の位置yと、板厚方向の位置dとを入力できる点は、上記第1範囲入力部303と同じである。
第1Cスコープ表示画像311には、検査員が操作可能なカーソル313が重畳表示されている。カーソル313は、第1Cスコープ表示画像311の横軸方向に移動可能である。
第2Cスコープ表示画像312には、検査員が操作可能なカーソル314が重畳表示されている。カーソル314は、第2Cスコープ表示画像312の横軸方向に移動可能である。
なお、詳細な説明は省略するが、データ読込ボタン307が選択されて、記憶装置3に記憶された開先形状データを読み込む際、記憶装置3に記憶されている複数の開先形状データの何れを読み込むのかを選択することができる。
拡大ボタン344は、第2Sスコープ表示画像340の一部を拡大して表示させるための操作部である。縮小ボタン345は、第2Sスコープ表示画像340を縮小して表示させるための操作部である。
評価対象範囲設定ステップS39は、被検体の内部における評価対象範囲を設定するステップである。
図8に示した評価対象範囲入力画面300の更新ボタン308が選択されると、評価対象範囲設定部21は、評価対象範囲入力画面300における設定内容を評価対象範囲データとして記憶装置3に記憶させる。なお、一実施形態では、設定内容が異なる複数の評価対象範囲データを設定して記憶装置3に記憶させることができる。
閉じるボタン309が選択されると、評価対象範囲設定部21は、評価対象範囲入力ステップS37及び評価対象範囲設定ステップS39における処理を終了する。
以下、表示ステップS5の詳細について説明する。
図9は、表示ステップS5で行われる処理の流れを示すフローチャートである。
表示ステップS5では、以下に述べるきず判定ステップS41と、合否判定ステップS43と、表示指令生成ステップS45と、情報表示指令生成ステップS471と、判定表示指令生成ステップS473と、表示指令出力ステップS49とが実施される。
表示ステップS5においてCPU2で実行されるプログラムは、被検体に対して超音波探傷を行うことによって得られた探傷データを処理するための超音波探傷データ処理プログラムである。
きず判定ステップS41は、探傷データのうち、評価対象範囲内の領域に対応した評価対象データを抽出し、抽出した評価対象データに基づいて、きずであることを判定するための判定条件を満たす被検体の内部の領域をきずであると判定するステップである。
具体的には、表示装置5に表示された不図示のメイン画面において、判定の開始を指示するための判定ボタンが選択されると、CPU2は、きず判定ステップS41の処理を開始する。
また、CPU2は、探傷データグループの各探傷データから抽出した評価対象データに基づいて、きずの判定レベルを超えるエコー高さの領域が存在するか否かを判定する。
また、CPU2は、きずの判定レベルを超えるエコー高さの領域が存在する場合、その領域をきずであると判定するとともに、その領域の位置や長さ、最大エコー高さ等を特定する。
したがって、形状エコーの影響を抑制してきずを精度よく検出できる。
合否判定ステップS43では、CPU2は、きず判定ステップS41できずであると判定された領域が存在しない場合に合格であると判定し、きず判定ステップS41できずであると判定された領域が存在する場合に不合格であると判定する。
表示指令生成ステップS45は、被検体の内部の各位置における評価対象データの信号強度であるエコー高さを示す探傷画像を表示装置5に表示させるための指令を生成するステップである。
表示指令生成ステップS45において、表示指令生成部22は、きず判定ステップS41において抽出した評価対象データに基づき、エコー高さを示す探傷画像の画像データを生成する。なお、表示指令生成部22は、探傷画像の画像データを生成する際、判定条件データに含まれる表示色の設定内容、すなわち、判定条件設定画面100における表示色の設定内容を反映させる。
情報表示指令生成ステップS471は、きず判定ステップS41できずであると判定された領域について少なくとも被検体における位置の情報を表示装置5に表示させるための指令を生成するステップである。
情報表示指令生成ステップS471では、表示指令生成部22は、きず判定ステップS41で特定した、きずであると判定した領域の位置や長さ、最大エコー高さ等の情報の表示するための表示データを生成する。
判定表示指令生成ステップS473は、合否判定ステップS43での判定結果を表示装置5に表示させるための指令を生成するステップである。
判定表示指令生成ステップS473では、表示指令生成部22は、後述する判定結果表示画面400において合否判定ステップS43での判定結果が合格であるか、不合格であるかを表す判定表示471,472(図10,11参照)の表示データを生成する。
これにより、被検体の超音波探傷の結果の合否が容易に認識できる。
表示指令出力ステップS49では、表示指令生成部22は、表示指令生成ステップS45、情報表示指令生成ステップS471、及び判定表示指令生成ステップS473の各ステップで生成された画像データや表示データを表示指令として表示装置5に出力する。
図10は、第1判定条件に基づいて各ステップで生成された画像データや表示データによる表示画像についての判定結果表示画面400である。
図11は、第2判定条件に基づいて各ステップで生成された画像データや表示データによる表示画像についての判定結果表示画面400である。
判定結果表示画面400には、第3Dスコープ表示画像430と、第3Sスコープ表示画像431と、第3ビームイメージ画像432とが表示される。
判定結果表示画面400には、第4Dスコープ表示画像440と、第4Sスコープ表示画像441と、第4ビームイメージ画像442とが表示される。
第1Dスコープ表示画像410には、検査員が操作可能なカーソル413が重畳表示されている。カーソル413は、第1Dスコープ表示画像410の横軸方向に移動可能である。
第2Dスコープ表示画像420には、検査員が操作可能なカーソル423が重畳表示されている。カーソル423は、第2Dスコープ表示画像420の横軸方向に移動可能である。
第3Dスコープ表示画像430には、検査員が操作可能なカーソル433が重畳表示されている。カーソル433は、第3Dスコープ表示画像430の横軸方向に移動可能である。
第4Dスコープ表示画像440には、検査員が操作可能なカーソル443が重畳表示されている。カーソル443は、第4Dスコープ表示画像440の横軸方向に移動可能である。
第1Sスコープ表示画像411における探傷画像では、評価対象範囲内のエコー高さだけを表している。すなわち、第1Sスコープ表示画像411には、評価対象範囲を設定しなければ表れる評価対象範囲外のエコーが表れない。この点は、後述する第2Sスコープ表示画像421〜第4Sスコープ表示画像441において同様である。
なお、第1Sスコープ表示画像411における探傷画像は、第1Dスコープ表示画像410でのカーソル413の位置に対応する配管7の周方向の角度位置における探傷画像である。したがって、検査員がカーソル413の位置を変更すると、第1Sスコープ表示画像411における探傷画像は、変更後のカーソル413の位置に対応する角度位置の画像に変更される。
なお、第2Sスコープ表示画像421における探傷画像は、第2Dスコープ表示画像420でのカーソル423の位置に対応する配管7の周方向の角度位置における探傷画像である。したがって、検査員がカーソル423の位置を変更すると、第2Sスコープ表示画像421における探傷画像は、変更後のカーソル423の位置に対応する角度位置の画像に変更される。
なお、第3Sスコープ表示画像431における探傷画像は、第3Dスコープ表示画像430でのカーソル433の位置に対応する配管7の周方向の角度位置における探傷画像である。したがって、検査員がカーソル433の位置を変更すると、第3Sスコープ表示画像431における探傷画像は、変更後のカーソル433の位置に対応する角度位置の画像に変更される。
なお、第4Sスコープ表示画像441における探傷画像は、第4Dスコープ表示画像440でのカーソル443の位置に対応する配管7の周方向の角度位置における探傷画像である。したがって、検査員がカーソル443の位置を変更すると、第4Sスコープ表示画像441における探傷画像は、変更後のカーソル443の位置に対応する角度位置の画像に変更される。
第2ビームイメージ画像422は、例えば、ボイラ前側の探傷子11についての、1回反射法によるフォーカルロウのビームイメージを表す図である。
第3ビームイメージ画像432は、例えば、ボイラ後側の探傷子11についての、直射法によるフォーカルロウのビームイメージを表す図である。
第4ビームイメージ画像442は、例えば、ボイラ後側の探傷子11についての、1回反射法によるフォーカルロウのビームイメージを表す図である。
図12は、判定条件切替ステップS51における処理を示すフローチャートである。判定条件切替ステップS51は、表示指令出力ステップS49が実行されて判定結果表示画面400が表示されると処理が開始される。又は、判定条件切替ステップS51は、判定条件切替ステップS51が実行されて判定結果表示画面400が切り替えられた後、再び処理が開始される。
ステップS511において、CPU2は、判定結果表示画面400における確認ボタン475が選択されるまで待機し、確認ボタン475が選択されると、ステップS513へ進み表示指令切替処理を実施する。ステップS513の表示指令切替処理では、CPU2は、表示装置5に現在出力している第1判定条件又は第2判定条件の何れか一方の判定条件に係る画像データや表示データに代えて、何れか他方の判定条件に係る画像データや表示データを表示指令として表示装置5に出力する。
図13は、表示指令生成部22が生成した3次元探傷画像の画像データに基づいて、表示装置5で表示される3次元探傷画像についての表示画像600である。表示画像600には、評価対象範囲内のエコー高さの分布状態を示す3次元探傷表示画像610と、配管7の管軸方向に沿って見たときのエコー高さを示す断面表示画像620とが含まれる。
3次元探傷表示画像610及び断面表示画像620では、評価対象範囲内のエコー高さだけが表されている。
断面表示画像620は、配管7の管軸方向の沿った2つの方向のうち、どちらの方向から見た画像を表示するのかを選択可能である。例えば、図13に示す断面表示画像620では、ボイラ前側から見た画像を表示するのか、ボイラ後側から見た画像を表示するのかを選択可能である。
評価ステップS7では、検査員は、表示装置5に表示された判定結果表示画面400の探傷画像や、きずに関する情報、合否の判定表示に基づいて評価対象範囲内のきずの有無を評価することができる。
具体的には、例えば第1判定条件がきずの有無の判定として通常設定される判定条件であれば、第1判定条件に基づく判定結果を採用して、被検体の合否を評価できる。
すなわち、例えば、第1判定条件に基づく判定結果が合格であり、且つ、第2判定条件に基づく判定結果が合格であった場合、検査員は、第1判定条件に基づく判定結果が、第1判定条件に対してある程度の余裕を持った状態で合格と判定されていると評価することができる。
また、例えば、第1判定条件に基づく判定結果が合格であるが、第2判定条件に基づく判定結果が不合格であった場合、検査員は、第1判定条件に基づく判定結果が、第1判定条件に対してあまり余裕がない状態で合格と判定されていると評価することができる。
例えば、第2判定条件に基づいて検出されたきずの状態を確認することで、当該きずについて念のため補修をした方がよいか否かを判断することもできる。
例えば、上述した一実施形態では、きず判定ステップS41及び合否判定ステップS43において、予め第1判定条件によるきずの判定及び合否判定を行うとともに、第2判定条件によるきずの判定及び合否判定を行うようにしている。しかし、例えば、予め第1判定条件及び第2判定条件の何れか一方によるきずの判定及び合否判定を行っておき、判定結果表示画面400が表示されている場合に確認ボタン475が選択されるなどして、判定条件の切替が指示されると、きず判定ステップS41及び合否判定ステップS43における判定条件を第1判定条件及び第2判定条件の何れか一方から何れか他方へ切り替えて、切替後の判定条件できずの判定及び合否判定を行うようにしてもよい。
このようにすることによっても、判定条件を変更することできずの検出状態がどのように変化するかを確認できる。
2 演算装置(CPU)
21 評価対象範囲設定部
22 表示指令生成部
100 判定条件設定画面
200 開先形状設定画面
300 評価対象範囲入力画面
400 判定結果表示画面
600 表示画像
Claims (10)
- 被検体に対して超音波探傷を行うことによって得られた探傷データを処理するための超音波探傷データ処理プログラムであって、
前記被検体の内部における評価対象範囲を設定する評価対象範囲設定ステップと、
前記探傷データのうち、前記評価対象範囲内の領域に対応した評価対象データを抽出し、前記被検体の内部の各位置における前記評価対象データの信号強度を示す探傷画像を表示装置に表示させるための指令を生成する表示指令生成ステップと、
を演算装置に実行させる超音波探傷データ処理プログラム。 - 前記被検体は溶接部を含み、
前記溶接部の開先を含む前記被検体の断面内において前記評価対象範囲の設定入力を受け付ける評価対象範囲入力ステップをさらに前記演算装置に実行させるとともに、
前記評価対象範囲設定ステップでは、前記評価対象範囲入力ステップで受け付けた設定入力に基づいて前記評価対象範囲を設定する、請求項1に記載の超音波探傷データ処理プログラム。 - 前記被検体の溶接部の開先形状を設定する開先形状設定ステップ、
を前記演算装置に実行させ、
前記評価対象範囲入力ステップでは、
前記開先形状設定ステップで設定された前記被検体の溶接部の開先形状を前記被検体の断面形状に重畳した設定用画面を表示装置に表示させるための指令を生成し、
前記表示装置に表示された前記設定用画面上で領域が指定されると、該領域の指定を前記評価対象範囲の設定入力として受け付ける、請求項2に記載の超音波探傷データ処理プログラム。 - 前記開先形状設定ステップでは、前記溶接部の開先の種類を変更可能である、請求項3に記載の超音波探傷データ処理プログラム。
- 前記開先形状設定ステップでは、開先におけるルート間隔を規定する端部が溶接の相手側の部材に向かって突出する突出長さを変更可能である、請求項3又は4に記載の超音波探傷データ処理プログラム。
- 前記探傷データのうち、前記評価対象範囲内の領域に対応した評価対象データを抽出し、抽出した前記評価対象データに基づいて、きずであることを判定するための判定条件を満たす前記被検体の内部の領域をきずであると判定するきず判定ステップと、
前記きず判定ステップできずであると判定された領域について少なくとも前記被検体における位置の情報を表示装置に表示させるための指令を生成する情報表示指令生成ステップと、
を前記演算装置に実行させ、
前記判定条件は、少なくとも前記評価対象データの信号強度が閾値を超えていることである、請求項1乃至5の何れか一項に記載の超音波探傷データ処理プログラム。 - 前記きず判定ステップできずであると判定された領域が存在しない場合に合格であると判定し、前記きず判定ステップできずであると判定された領域が存在する場合に不合格であると判定する合否判定ステップと、
前記合否判定ステップでの判定結果を表示装置に表示させるための指令を生成する判定表示指令生成ステップと、
を前記演算装置に実行させる、請求項6に記載の超音波探傷データ処理プログラム。
- 前記判定条件は、第1判定条件と、第1判定条件とは異なる第2判定条件とを含み、
前記判定条件の切替が指示されると、前記判定条件を前記第1判定条件及び前記第2判定条件の何れか一方から何れか他方へ切り替える判定条件切替ステップ、
を前記演算装置に実行させる、請求項6又は7に記載の超音波探傷データ処理プログラム。 - 被検体に対して超音波探傷を行うことによって得られた探傷データを処理するための超音波探傷データ処理装置であって、
前記被検体の内部における評価対象範囲を設定する評価対象範囲設定部と、
前記探傷データのうち、前記評価対象範囲内の領域に対応した評価対象データを抽出し、前記被検体の内部の各位置における前記評価対象データの信号強度を示す探傷画像を表示装置に表示させるための指令を生成する表示指令生成部と、
を備える超音波探傷データ処理装置。 - 被検体の内部のきずの有無を評価する被検体の評価方法であって、
前記被検体に対して超音波探傷を行うことによって探傷データを得る探傷ステップと、
前記被検体の内部における評価対象範囲を設定する設定ステップと、
前記探傷データのうち、前記評価対象範囲内の領域に対応した評価対象データを抽出し、前記被検体の内部の各位置における前記評価対象データの信号強度を示す探傷画像を表示装置に表示させる表示ステップと、
前記表示装置に表示された前記探傷画像に基づいて前記評価対象範囲内のきずの有無を評価する評価ステップと、
を備える被検体の評価方法。
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