JP2011169841A - 超音波検査方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】水などの音響媒質22と検査対象部(溶接部10,被溶接材1,2)との界面での超音波の屈折を考慮して、水浸の開口合成法を行う。つまり、裏波12を含む検査領域に多数の集束点を設定し、超音波検査により得た検出信号d1〜d6のうち、集束点で反射した時点の振幅値を加算して、集束点毎に総合振幅値を求める。そして各集束点の総合振幅値を強度分布に応じて画像化する。
【選択図】図3
Description
従来では、裏波の形状を検査するために、検査対象物に対して垂直に超音波を照射して溶接形状の検査をするいわゆる「垂直法」を採用している。
このことを、図8〜図11を参照して説明する。
溶接部の裏面を検査する超音波検査方法であって、
前記溶接部の表面と、前記溶接部に隣接する被溶接材の表面とからなる表面形状(SF)を、表面形状計測手法により計測し、
前記溶接部及び前記被溶接材の表面に対して予め決めた複数の検査位置(P1〜P6)に位置した超音波探触子から、音響媒質を介して、前記溶接部及び前記被溶接部材の表面に向けて超音波を出力し、反射してきた超音波を各検査位置(P1〜P6)に位置した前記超音波探触子にて受信して、受信した超音波に対応した検出信号(d1〜d6)を採取し、
前記表面形状(SF)の位置を基準として、前記溶接部の裏面を領域内に含む検査領域(K)を設定し、この検査領域(K)内に多数の集束位置(C1−1〜C9−19)を設定し、
前記音響媒質と、前記溶接部及び前記被溶接部材との界面での屈折を考慮して、各検査位置(P1〜P6)に位置する前記超音波探触子から出力されて、各集束位置(C1−1〜C9−19)で反射してから、前記各検査位置(P1〜P6)に位置する前記超音波探触子にて受信される超音波の各伝搬経路(L1〜L6)を演算し、
前記音響媒質中での超音波の音速と、前記溶接部及び前記被溶接部材での超音波の音速を用いて、各伝搬経路(L1〜L6)毎に、超音波の伝搬時間(t1〜t6)を計算し、
多数の集束位置(C1−1〜C9−19)のうち特定の位置の集束位置(C4−5)で超音波が反射する特定の伝搬経路(L1〜L6)を伝搬してきた超音波に対応した検査信号(d1〜d6)が出力された時点から、当該特定の伝搬経路(L1〜L6)を超音波が伝搬するために要する伝搬時間(t1〜t6)が経過した時点での、前記検査信号(d1〜d6)の振幅値を、当該特定の位置の検査位置(C4−5)で反射した超音波の振幅値(a1〜a6)として求める演算処理を、全ての集束位置(C1−1〜C9−19)について行い、
求めた振幅値(a1〜a6)を、集束位置(C1−1〜C9−19)毎に重ね合わせたものを、各集束位置(C1−1〜C9−19)の総合振幅値(A1−1〜A9−19)とし、
各集束位置(C1−1〜C9−19)における総合振幅値(A1−1〜A9−19)を、強度分布に応じて画像化することを特徴とする。
前記表面形状計測手法は、
機械的に表面形状(SF)を検出する手法、
または、レーザを用いて表面形状(SF)を検出する手法、
または、超音波を用いて表面形状(SF)を検出する手法のいずれかであることを特徴とする。
前記表面形状(SF)を、曲線関数によりフィッティングすることを特徴とする。
表面エコーまたは裏面エコーが出ていない検出信号からは、振幅値(a1〜a6)を求めないことを特徴とする。
また裏波が形成されていない場合であっても、溶接部の裏面の形状を正確に検出することができる。
実施例1においては、検査対象部は、図2に示すような被溶接材1,2相互を溶接した溶接部10である。溶接部10の表面側(図では上面側、配管では外周面側)には余盛11が形成されており、裏面側(図では下面側、配管では内周面側)には裏波12が形成されている。被溶接材(例えば配管)1,2は溶接部10により突き合わせ溶接されている。
このような表面形状SFの計測は、機械的な計測手段や、レーザ計測手段を用いて計測したり、または、フェーズドアレイ超音波探触子や、単一の超音波振動子を有する超音波探触子を用いて得た検出信号(超音波信号)を開口合成法(SAFT:Synthetic Aperture Focusing Technique)により信号処理して計測したりすることができる。
なお図3では、6個の超音波探触子20を図示しているが、実際には1つの超音波探触子20を走査している。
検査位置は、超音波探触子20の走査方向に沿い予め多数設定されているが、ここでは、説明を簡略化するため、検査位置をP1〜P6の6箇所(図3において超音波探触子20を描いた位置)として説明する。
結局、検査対象部(溶接部10及び被溶接材1,2)の表面に対して予め決めた一定距離を介して並んだライン(走査ライン)上に、複数の検査位置1〜P6が、予め決めた間隔を取って割り振られている。
なお図3に示すように、各検出信号d1〜d6において時間的に早く発生している正負の振幅は表面エコーを示しており、その後に時間的に遅れて発生している正負の振幅は裏面エコーを示している。
その検査手法は、処理装置が、次に示すステップ31(S31)〜ステップ35(S35)に示す手順に沿い演算処理をすることにより行う。
この検査領域Kは、その領域内に裏波12が含まれるように設定する。具体的には、溶接部10の位置、被溶接材1,2の位置及び厚さ、表面形状SFが分かっているため、これらの既知の位置情報から、領域内に裏波12が含まれるように検査領域Kを設定することができる。
実際には多数の集束位置Cを設定するが、本例では説明を簡略化するため、集束位置は19×9個(=171個)を示しており、各集束位置は例えばC1−1,C1−2,・・・C9−18,C9−19等と表示している。
なお本例では、格子点位置を集束位置Cとして設定しているが、集束位置Cの設定は格子点に限らず予め決めた法則に則り任意に設定することができる。
即ち、下記に示すスネルの法則を考慮して、界面における屈折位置を決定して伝搬経路を演算する。
v1/sinθ1=v2/sinθ2
但し、V1は水中(音響媒質中)での音速であり、V2は金属中(被溶接材1,2や溶接部10を構成する金属中)での音速であり、θ1は水(音響媒質)から屈折点に入る入射角であり、θ2は金属への屈折角である。
伝搬経路L1は、検査位置P1→屈折点b1(界面上の一点)→集束位置C4−5→屈折点b1(界面上の一点)→検査位置P1という位置を経由する経路である。
他の伝搬経路L2〜L6も同様であり、各伝搬経路L2〜L6は、検査位置P2〜P6→屈折点b2〜b6(界面上の一点)→集束位置C4−5→屈折点b2〜b6(界面上の一点)→検査位置P2〜P6という位置を経由する経路である。
集束位置C4−5を除く他の集束位置C1−1〜C9−19に対しても、それぞれ、同様にして伝搬経路を計算して設定する。
例えば集束位置C4−5で反射した場合の各伝搬経路は、図5に示すようにL1〜L6となる。
そこで伝搬経路L1を伝搬したときの超音波の伝搬時間t1を計算する。この計算は、伝搬経路L1のうち水中の経路距離を音速V1で割った値と、伝搬経路L1のうち金属中(被溶接材1,2や溶接部10を構成する金属中)の経路距離を音速V2で割った値とを、加算することにより求めることができる。
他の伝搬経路L2〜L6においても、同様にして伝搬時間t2〜t6を計算する。
しかも、特定の位置の集束位置を、次々と変化させていき、全ての集束位置の総合振幅値を求める。
超音波が検査位置P1から出力されて伝搬経路L1を伝搬して検査位置P1で受信された場合には、超音波の伝搬時間はt1であり、このときには検出信号d1が出力される。
したがって、図6に示すように、検出信号d1が出力された時点t0から伝搬時間t1が経過した時点における検出信号d1の振幅値を、伝搬経路L1を伝搬する超音波が集束位置C4−5で反射した時点における振幅値a1として求める。
したがって、図6に示すように、検出信号d2〜d6が出力された時点t0から伝搬時間t2〜t6が経過した時点における検出信号d2〜d6の振幅値を、伝搬経路L2〜L6を伝搬する超音波が集束位置C4−5で反射した時点における振幅値a2〜a6として求める。
最後に、振幅値a1〜a6を重ね合わせた振幅値を、集束位置C4−5における総合振幅値A4−5とする。
検出信号(超音波信号)のうち表面エコーや裏面エコーが全く無い検出信号は、検査対象物の形状を計測するという観点からは、誤差をもたらすものであるため、検出信号(超音波信号)のうち表面エコーや裏面エコーが全く無い検出信号について、ステップ35(S35)の演算を行わないことにより、誤差要因を減少させてより正確な形状検出をすることができる。
ちなみに、図7(b)は、生データである検出信号d1〜d6を画像処理して、裏波12の形状と表面形状SFを画像表示したものである。図7(a)(b)において、Sで囲った領域は表面側の画像を示し、Bで囲った領域は裏面側の画像を示す。
図7(a)の画像表示は、図7(b)の画像表示と比べると、正確に裏波12の形状が表示できることが分かる。
したがって、この場合には、超音波探触子の走査は一回で済み、測定時間の短縮を図ることができる。
フェーズドアレイ超音波探触子により超音波検査をして得た検査信号(超音波信号)を、実施例1と同様な処理をすることにより、裏波の形状を検出することができる。
また、フェーズドアレイ超音波振動子の中のある超音波振動子から出力した超音波を、別の超音波振動子により受信することもできるため、超音波の伝達経路を増加させることができ、その分だけ裏波の形状計測を精度良く行うことができる。
10 溶接部
11 余盛
12 裏波
20 超音波探触子
21 検査容器
22 音響媒質
b1〜b6 屈折点
d1〜d6 検出信号
C1−1〜C9−19 集束位置
K 検査領域
P1〜P6 検査位置
SF 表面形状
Claims (4)
- 溶接部の裏面を検査する超音波検査方法であって、
前記溶接部の表面と、前記溶接部に隣接する被溶接材の表面とからなる表面形状(SF)を、表面形状計測手法により計測し、
前記溶接部及び前記被溶接材の表面に対して予め決めた複数の検査位置(P1〜P6)に位置した超音波探触子から、音響媒質を介して、前記溶接部及び前記被溶接部材の表面に向けて超音波を出力し、反射してきた超音波を各検査位置(P1〜P6)に位置した前記超音波探触子にて受信して、受信した超音波に対応した検出信号(d1〜d6)を採取し、
前記表面形状(SF)の位置を基準として、前記溶接部の裏面を領域内に含む検査領域(K)を設定し、この検査領域(K)内に多数の集束位置(C1−1〜C9−19)を設定し、
前記音響媒質と、前記溶接部及び前記被溶接部材との界面での屈折を考慮して、各検査位置(P1〜P6)に位置する前記超音波探触子から出力されて、各集束位置(C1−1〜C9−19)で反射してから、前記各検査位置(P1〜P6)に位置する前記超音波探触子にて受信される超音波の各伝搬経路(L1〜L6)を演算し、
前記音響媒質中での超音波の音速と、前記溶接部及び前記被溶接部材での超音波の音速を用いて、各伝搬経路(L1〜L6)毎に、超音波の伝搬時間(t1〜t6)を計算し、
多数の集束位置(C1−1〜C9−19)のうち特定の位置の集束位置(C4−5)で超音波が反射する特定の伝搬経路(L1〜L6)を伝搬してきた超音波に対応した検査信号(d1〜d6)が出力された時点から、当該特定の伝搬経路(L1〜L6)を超音波が伝搬するために要する伝搬時間(t1〜t6)が経過した時点での、前記検査信号(d1〜d6)の振幅値を、当該特定の位置の検査位置(C4−5)で反射した超音波の振幅値(a1〜a6)として求める演算処理を、全ての集束位置(C1−1〜C9−19)について行い、
求めた振幅値(a1〜a6)を、集束位置(C1−1〜C9−19)毎に重ね合わせたものを、各集束位置(C1−1〜C9−19)の総合振幅値(A1−1〜A9−19)とし、
各集束位置(C1−1〜C9−19)における総合振幅値(A1−1〜A9−19)を、強度分布に応じて画像化することを特徴とする超音波検査方法。 - 請求項1において、
前記表面形状計測手法は、
機械的に表面形状(SF)を検出する手法、
または、レーザを用いて表面形状(SF)を検出する手法、
または、超音波を用いて表面形状(SF)を検出する手法のいずれかであることを特徴とする超音波検査方法。 - 請求項1または請求項2において、
前記表面形状(SF)を、曲線関数によりフィッティングすることを特徴とする超音波検査方法。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、
表面エコーまたは裏面エコーが出ていない検出信号からは、振幅値(a1〜a6)を求めないことを特徴とする超音波検査方法。
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