JP2023048758A - 正極およびリチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】リチウムイオン二次電池の低抵抗化および高耐久化との両立が実現可能な正極を提供する。【解決手段】ここで開示される正極50は、リチウムイオン二次電池に用いられる正極50であって、正極集電体52と、正極集電体52上に設けられた正極活物質層54とを備えている。正極活物質層54は、正極集電体52上に設けられた第1の正極活物質56aを含む集電体側正極活物質層54aと、集電体側正極活物質層54a上に設けられた第2の正極活物質56bを含む表層側正極活物質層54bとを含む積層構造を有している。第2の正極活物質56bのBET比表面積は、第1の正極活物質56aのBET比表面積よりも大きく、表層側正極活物質層54bの平均厚みが、10μm以上40μm以下である。【選択図】図3

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池に用いられる正極に関する。また、本発明は、当該正極を備えるリチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池等の二次電池は、軽量で高エネルギー密度が得られることから、電気自動車、ハイブリッド自動車等の車両の駆動用高出力電源として好ましく用いられており、今後益々の需要増大が見込まれている。そのため、更なる二次電池の性能向上が望まれている。
例えば、特許文献1および特許文献2には、二層構造を有する正極活物質層を備える正極が開示されている。特許文献1によれば、正極活物質粉末のうち平均粒子径の小さい粉末と、平均粒子径の大きい粉末とを正極集電体の表面に形成された第一の正極活物質層に配置し、これらの粉末の中間の平均粒子径を有する粉末を当該第一の正極活物質層の表面に形成された第二の正極活物質層に配置することで、非水電解液二次電池の高出力と長寿命との両立が可能になる、とされている。
また、特許文献2よれば、BET比表面積が大きい正極活物質を正極集電体側に配置し、BET比表面積が小さい正極活物質を表層側に配置することで、正極の大気曝露による出力低下を抑制することができる、とされている。
特開2008-293875号公報 特開2020-95842号公報
ところで、一般に、正極活物質の比表面積を大きくすることで、リチウムイオン二次電池の抵抗を低減することができる。しかし、その一方で、正極活物質の比表面積が大きくなることで、非水電解液と正極活物質の接触面積が増大し、ガス発生量が増大するため、耐久性が低下するという背反がある。そのため、リチウムイオン二次電池の低抵抗化と高耐久化の両立は困難である。
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、リチウムイオン二次電池の低抵抗化および高耐久化の両立が実現可能な正極を提供することを主な目的とする。また、当該正極を備えるリチウムイオン二次電池を提供することを他の目的とする。
ここで開示される正極は、リチウムイオン二次電池に用いられる正極であって、正極集電体と、上記正極集電体上に設けられた正極活物質層とを備えており、上記正極活物質層は、上記正極集電体上に設けられた第1の正極活物質を含む集電体側正極活物質層と、該集電体側正極活物質層上に設けられた第2の正極活物質を含む表層側正極活物質層とを含む積層構造を有している。上記第2の正極活物質のBET比表面積は、上記第1の正極活物質のBET比表面積よりも大きく、上記表層側正極活物質層の平均厚みが、10μm以上40μm以下である。かかる構成によれば、リチウムイオン二次電池の低抵抗化と高耐久化との両立が実現可能な正極を提供することができる。
ここで開示される正極の好ましい一態様では、上記正極活物質層に含まれる正極活物質全体のBET比表面積が、0.8m/g以上2m/g以下である。かかる構成によれば、リチウムイオン二次電池の低抵抗化と高耐久性とのバランスが好適に調整される。
ここで開示される正極の好ましい一態様では、上記表層側正極活物質層の平均厚みT1と、上記集電体側正極活物質層の平均厚みT2との比T1:T2が、1:1~1:7である。かかる構成によれば、低抵抗化と高耐久化とがより高いレベルで実現される。
ここで開示される正極の好ましい一態様では、上記第2の正極活物質のBET比表面積が、上記第1の正極活物質のBET比表面積の4倍以上大きい。かかる構成によれば、低抵抗と高耐久性とのバランスが好ましく調整され、より高いレベルでこれらを両立することができる。
ここで開示される正極の好ましい一態様では、上記第1の正極活物質および上記第2の正極活物質が、コバルトを含有するリチウム遷移金属複合酸化物を含む。これにより、低抵抗化および高耐久化との両立に加え、高出力性能が付加される。また、ここで開示される正極の好適な一態様では、上記第2の正極活物質における遷移金属元素全体に占めるコバルト元素のモル比率が、上記第1の正極活物質における遷移金属元素全体に占めるコバルト元素のモル比率よりも高い。これにより、コバルトの使用量を抑制することができるため、低抵抗化および高耐久化との両立に加え、コスト削減が可能になる。
また、本開示により、ここで開示される正極と、負極と、非水電解質とを備えるリチウムイオン二次電池が提供される。かかる構成によれば、低抵抗化および高耐久化の両立が実現されたリチウムイオン二次電池が提供することができる。
一実施形態に係るリチウムイオン二次電池の構成を模式的に示す断面図である。 一実施形態に係るリチウムイオン二次電池の電極体の構成を模式的に示す分解図である。 一実施形態に係る正極の構成を模式的に示す模式図である。 各例の正極活物質全体のBET比表面積と25℃抵抗との関係を示すグラフである。 各例の正極活物質全体のBET比表面積と0℃抵抗との関係を示すグラフである。 各例のCOガス発生量と25℃抵抗との関係を示すグラフである。 各例の正極活物質全体のCo比率と25℃抵抗との関係を示すグラフである。
以下、ここで開示される技術について詳細に説明する。本明細書において特に言及している事項以外の事柄であっても実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。ここで開示される技術の内容は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
なお、各図面は模式的に描かれており、寸法関係(長さ、幅、厚み等)は実際の寸法関係を反映するものではない。また、以下に説明する図面において、同じ作用を奏する部材、部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化することがある。
また、本明細書において、数値範囲をA~B(ここでA、Bは任意の数値)と記載している場合は、一般的な解釈と同様であり、A以上B以下を意味し、Aを上回り且つBを下回る範囲を包含する。
本明細書において「二次電池」とは、電解質を介して一対の電極(正極と負極)の間で電荷担体が移動することによって充放電反応が生じる蓄電デバイス一般をいう。かかる二次電池は、いわゆる蓄電池の他に、電気二重層キャパシタ等のキャパシタなども包含する。また、本明細書において「リチウムイオン二次電池」とは、電荷担体としてリチウムイオンを利用し、正負極間におけるリチウムイオンに伴う電荷の移動により充放電が実現される二次電池をいう。
以下、ここで開示される正極を好適に採用可能なリチウムイオン二次電池の一実施形態について説明する。
図1は、一実施形態に係るリチウムイオン二次電池100の構成を模式的に示す断面図である。リチウムイオン二次電池100は、電池ケース30の内部に、扁平形状の電極体(捲回電極体)20と、非水電解質(図示せず)とが収容されることで構築される角形の密閉型電池である。電池ケース30には、外部接続用の正極端子42および負極端子44が備えられている。また、電池ケース30の内圧が所定レベル以上に上昇した場合に該内圧を開放するように設定された薄肉の安全弁36が設けられている。さらに、電池ケース30には、非水電解質を注入するための注入口(図示せず)が設けられている。電池ケース30の材質は、高強度であり軽量で熱伝導性が良い金属材料であることが好ましい。このような金属材料として、例えば、アルミニウムやスチール等が挙げられる。
図2は、リチウムイオン二次電池100の電極体20の構成を模式的に示す分解図である。図2に示されるように、電極体20は、長尺シート状の正極50と、長尺シート状の負極60とが、2枚の長尺シート状のセパレータ70を介して積層され、捲回軸を中心として捲回された捲回電極体である。正極50は、正極集電体52と、該正極集電体52の片面または両面(ここでは両面)の長手側方向に形成された正極活物質層54とを備えている。正極集電体52の捲回軸方向(即ち、上記長手側方向に直交するシート幅方向)の片側の縁部には、該縁部に沿って帯状に正極活物質層54が形成されずに正極集電体52が露出した部分(即ち、正極集電体露出部52a)が設けられている。また、負極60は、負極集電体62と、該負極集電体62の片面または両面(ここでは両面)の長手側方向に形成された負極活物質層64とを備えている。負極集電体62の上記捲回軸方向の片側の反対側の縁部には、該縁部に沿って帯状に負極活物質層64が形成されずに負極集電体62が露出した部分(即ち、負極集電体露出部62a)が設けられている。正極集電体露出部52aには正極集電板42aが接合されており、負極集電体露出部62aには負極集電板44aが接合されている(図1参照)。正極集電板42aは、外部接続用の正極端子42と電気的に接続されており、電池ケース30の内部と外部との導通を実現している。同様に、負極集電板44aは、外部接続用の負極端子44と電気的に接続されており、電池ケース30の内部と外部との導通を実現している(図1参照)。なお、正極端子42と正極集電板42aとの間または負極端子44と負極集電板44aとの間に、電流遮断機構(CID)を設置してもよい。
正極50は、ここで開示される正極が採用される。詳細な説明は後述する。
負極60を構成する負極集電体62としては、例えば、銅箔等が挙げられる。負極活物質層64は、負極活物質を含む。負極活物質としては、例えば黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン等の炭素材料を使用し得る。また、負極活物質層64は、バインダ、増粘剤等をさらに含んでいてもよい。バインダとしては、例えばスチレンブタジエンゴム(SBR)等を使用し得る。増粘剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)等を使用し得る。
負極活物質層64は、例えば、負極活物質と必要に応じて用いられる材料(バインダ等)とを適当な溶媒(例えばイオン交換水)に分散させ、ペースト状(またはスラリー状)の組成物を調製し、該組成物の適当量を負極集電体62の表面に塗工し、乾燥することによって形成することができる。
セパレータ70としては、従来からリチウムイオン二次電池に用いられるものと同様の各種微多孔質シートを用いることができ、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等の樹脂から成る微多孔質樹脂シートが挙げられる。かかる微多孔質樹脂シートは、単層構造であってもよく、二層以上の複層構造(例えば、PE層の両面にPP層が積層された三層構造)であってもよい。また、セパレータ70の表面には、耐熱層(HRL)が形成されていてもよい。
非水電解質は従来のリチウムイオン二次電池と同様のものを使用可能であり、例えば、有機溶媒(非水溶媒)中に、支持塩を含有させた非水電解液を用いることができる。非水溶媒としては、カーボネート類、エステル類、エーテル類等の非プロトン性溶媒を用いることができる。なかでも、カーボネート類、例えば、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等を好適に採用し得る。あるいは、モノフルオロエチレンカーボネート(MFEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)、モノフルオロメチルジフルオロメチルカーボネート(F-DMC)、トリフルオロジメチルカーボネート(TFDMC)のようなフッ素化カーボネート等のフッ素系溶媒を好ましく用いることができる。このような非水溶媒は、1種を単独で、あるいは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。支持塩としては、例えば、LiPF、LiBF、LiClO等のリチウム塩を好適に用いることができる。支持塩の濃度は、特に限定されるものではないが、0.7mol/L以上1.3mol/L以下程度が好ましい。
なお、上記非水電解質は、本技術の効果を著しく損なわない限りにおいて、上述した非水溶媒、支持塩以外の成分を含んでいてもよく、例えば、ガス発生剤、被膜形成剤、分散剤、増粘剤等の各種添加剤を含み得る。
以下、ここで開示される正極50について説明する。図3は、一実施形態に係る正極50の構成を示す模式図である。図3に示すように、正極50は、正極集電体52と、正極集電体52上に設けられた正極活物質層54とを備える。正極活物質層54は、正極集電体52上に設けられた集電体側正極活物質層54aと、集電体側正極活物質層54a上に設けられた表層側正極活物質層54bとを含む積層構造を有する。本実施形態では、正極活物質層54は二層構造を有する。また、本実施形態では、正極活物質層54は正極集電体52の両面に設けられているが、片面にのみに設けられていてもよい。
正極集電体52としては、リチウムイオン二次電池に用いられる公知の正極集電体を用いてよく、その例としては、導電性の良好な金属(例えば、アルミニウム、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等)製のシートまたは箔が挙げられる。なかでも、正極集電体52として、アルミニウム箔が好ましく採用される。
正極集電体52の寸法は特に限定されず、電池設計に応じて適宜決定すればよい。正極集電体52としてアルミニウム箔を用いる場合には、その厚みは、特に限定されないが、例えば5μm以上35μm以下であり、好ましくは7μm以上20μm以下である。
集電体側正極活物質層54aは、第1の正極活物質56aを有する。また、表層側正極活物質層54bは、第2の正極活物質56bを有する。第1の正極活物質56aと、第2の正極活物質56bとは異なるBET比表面積を有している。第2の正極活物質56bのBET比表面積は、第1の正極活物質56aのBET比表面積よりも大きくなるように構成されている。
一般に、リチウムイオン二次電池の抵抗は、少なくとも活物質と電解質との反応場の面積に依存する。即ち、活物質の比表面積が大きいほど、リチウムイオン二次電池の抵抗が低下する傾向がある。しかしながら、その一方で、活物質と電解質との反応場が大きくなると、ガス(例えば、COガス)発生量が増大し、リチウムイオン二次電池の耐久性が低下し易くなる。そのため、リチウムイオン二次電池において、低抵抗と高耐久性とを両立するのは困難である。
これに対し、本発明者の鋭意検討により、リチウムイオン二次電池の抵抗は、特に正極活物質層の表層から凡そ40μmまでの厚みに配置された正極活物質の比表面積に強く依存することが見出された。これにより、比表面積の大きい正極活物質を活物質層の表層側の所定の厚みに配置することで、リチウムイオン二次電池の抵抗を効果的に低下させることができる。また、かかる構成によれば、抵抗へあまり寄与しない集電体側に配置される正極活物質の比表面積を比較的小さくすることができる。この結果、正極活物質全体の比表面積が過度に増大しないように調整することが可能となり、ガス発生量を抑制することができるため、低抵抗と高耐久性との両立を実現することができる。
具体的には、表層側正極活物質層54bの平均厚みT1は、10μm以上40μm以下であることが好ましく、20μm以上40μm以下がより好ましく、30μm以上40μm以下がさらに好ましい。かかる範囲であれば、抵抗に大きく寄与する正極活物質層の表層側にBET比表面積が比較的大きい第2の正極活物質56bが十分に配置されるため、効果的に抵抗を低下させることができ、高い耐久性との両立を実現することができる。
また、集電体側正極活物質層54aの平均厚みT2は、特に制限されるものではないが、典型的には10μm以上であって、例えば20μm以上、好ましくは30μm以上、より好ましくは40μm以上(例えば60μm以上)である。平均厚みT2が大きいほど、BET比表面積が比較的小さい第1の正極活物質56aを十分に配置することができる。その結果、正極活物質層54全体に含まれる正極活物質のBET比表面積を低下させることができるため、ガス発生量が抑制され、耐久性が向上する。また、特に制限されるものではないが、電極体20の薄型化の観点から、平均厚みT2は、例えば110μm以下であるとよく、90μm以下、70μm以下であり得る。
表層側正極活物質層54bの平均厚みT1と、集電体側正極活物質層54aの平均厚みT2との比T1:T2は、例えば、1:1~1:7であるとよく、1:1~1:5が好ましく、1:1~1:3がより好ましい。かかる範囲によれば、低抵抗と高耐久性とがより高いレベルで発揮され得る。
正極活物質層54の平均厚みTwは、特に制限されるものではないが、高容量化の観点から、例えば50μm以上であって、好ましくは60μm以上、より好ましくは70μm以上(例えば75μm以上)である。また、電極体20の薄型化の観点から、正極活物質層54の平均厚みTwは、例えば、150μm以下であって、好ましくは120μm以下、より好ましくは90μm以下(例えば、85μm以下)である。
なお、層の厚みは、マイクロメータや厚み計(例えばロータリーキャリパー計)等を用いた計測のほか、例えば電子顕微鏡(典型的にはSEM)観察によって確認することができる。本明細書において「平均厚み」とは、無作為に選択した少なくとも30箇所で測定された厚みの算術平均のことをいう。
第2の正極活物質56bのBET比表面積は、第1の正極活物質56aのBET比表面積よりも大きい。典型的には、第2の正極活物質56bのBET比表面積は、第1の正極活物質56aのBET比表面積の2倍以上であって(例えば2倍より大きく)、好ましくは3倍以上、より好ましくは4倍以上である。これにより、低抵抗化と高耐久性とのバランスが好ましく調整され、より高いレベルでこれらを両立することができる。また、特に限定されるものではないが、この上限は、例えば、10倍以下であるとよく、6倍以下、5倍以下、4.5倍以下であり得る。
第1の正極活物質56aのBET比表面積が小さすぎる場合には、電解質との反応場の面積が小さくなり、出力性能が十分に発揮されない可能性がある。そのため、第1の正極活物質56aのBET比表面積は、典型的には0.1m/g以上であって、例えば、0.3m/g以上、好ましくは0.5m/g以上であり得る。また、第1の正極活物質56aのBET比表面積が大きすぎる場合には、ガス発生量が増大し、耐久性が低下し得る。そのため、第1の正極活物質56aのBET比表面積は、例えば、2m/g以下であるとよく、好ましくは1m/g以下、より好ましくは0.8m/g以下(例えば0.7m/g以下)である。
第2の正極活物質56bのBET比表面積が小さすぎる場合、第2の正極活物質56bと電解質との反応場が狭くなり、抵抗が増加し得る。そのため、第2の正極活物質56bのBET比表面積は、例えば、1.5m/g以上であるとよく、好ましくは2m/g以上、より好ましくは2.3m/g以上である。また、第2の正極活物質56bのBET比表面積が大きすぎる場合には、ガス発生量が増大し、耐久性が低下し得る。そのため、第2の正極活物質56bのBET比表面積は、例えば、4m/g以下であるとよく、好ましくは3m/g以下、より好ましくは2.7m/g以下である。
正極活物質層54に含まれる正極活物質全体のBET比表面積は、例えば、0.8m/g以上2m/g以下であることが好ましく、より好ましくは0.8m/g以上1.6m/g以下(例えば1m/g以上1.6m/g以下)である。かかるBET比表面積の範囲では、特に低抵抗化と高耐久化とのバランスが好適に実現される。
なお、本明細書において、「BET比表面積」とは、窒素ガスを用いた低用量式吸着法(所謂、窒素ガス吸着法)によって測定された表面積をBET法で解析した値のことをいう。かかる解析には、例えば、市販の比表面積測定装置(例、「Macsorb Model-1208」(マウンテック社製)等)を用いることができる。
第1の正極活物質56aの平均粒子径は、特に限定されるものではないが、典型的には、1μm以上30μm以下であって、例えば、2μm以上8μm以下であり得る。また、第2の正極活物質56bの平均粒子径は、典型的には、1μm以上10μm以下であって、例えば、2μm以上8μm以下であり得る。このような平均粒子径であれば、上述した好適なBET比表面積の範囲への調整が容易になる。なお、図3では、一例として、第1の正極活物質56aと第2の正極活物質56bの平均粒子径が大きく異なるように図示されているが、これに限定されず、例えば、第1の正極活物質56aと第2の正極活物質56bの平均粒子径が同程度であってよい。
なお、本明細書において、「平均粒子径」とは、メジアン径(D50)を指し、レーザ回折・散乱法に基づく体積基準の粒度分布において、粒径が小さい微粒子側からの累積頻度50体積%に相当する粒径のことをいう。平均粒子径(D50)は、市販のレーザ回折・散乱式の粒度分布測定装置等を用いて求めることができる。
また、第1の正極活物質56aは、例えば、一次粒子であっても、二次粒子の形態であってもよい。また、第2の正極活物質56bも同様に、例えば、一次粒子であっても、二次粒子の形態であってもよい。例えば、第1の正極活物質56aが一次粒子又は比較的粒子径が大きな一次粒子が集合した二次粒子であり、第2の正極活物質56bが比較的粒子径が小さな一次粒子が集合した二次粒子である場合、第1の正極活物質56aと第2の正極活物質56bとの平均粒子径が同程度であっても、上述したBET比表面積の範囲に調整することができる。なお、本明細書において「一次粒子」とは、正極活物質を構成する粒子の最小単位をいい、具体的には、外見上の幾何学的形態から判断した最小の単位のことをいう。また、本明細書において、かかる一次粒子の集合物を「二次粒子」という。
第1の正極活物質56aおよび第2の正極活物質56bは、それぞれリチウム遷移金属複合酸化物を含み、典型的には、それぞれリチウム遷移金属複合酸化物で構成されている。リチウム遷移金属複合酸化物は、従来リチウムイオン二次電池の正極活物質として用いられているものを特に制限なく使用することができる。また、リチウム遷移金属複合酸化物の結晶構造についても特に制限はなく、例えば、層状岩塩型構造、スピネル型構造、オリビン型構造等の結晶構造を有し得る。なお、第1の正極活物質56aと第2の正極活物質56bとは、例えば、互いに異なる組成で構成されているが、同じ組成で構成されていてもよい。
リチウム遷移金属複合酸化物としては、遷移金属元素として、Ni、Co、Mnのうちの少なくとも1種を含むリチウム遷移金属酸化物が好ましく、その具体例としては、リチウムニッケル系複合酸化物、リチウムコバルト系複合酸化物、リチウムマンガン系複合酸化物、リチウムニッケルマンガン系複合酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン系複合酸化物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム系複合酸化物、リチウム鉄ニッケルマンガン系複合酸化物等が挙げられる。
なお、本明細書において「リチウムニッケルコバルトマンガン系複合酸化物」とは、Li、Ni、Co、Mn、Oを構成元素とする酸化物の他に、それら以外の1種または2種以上の添加的な元素を含んだ酸化物をも包含する用語である。かかる添加的な元素の例としては、Mg、Ca、Al、Ti、V、Cr、Y、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W、Na、Fe、Zn、Sn等の遷移金属元素や典型金属元素等が挙げられる。また、添加的な元素は、B、Si等の半金属元素、C、P等の半金属性を示し得る元素、S、F、Cl、Br、I等の非金属元素等であってもよい。このことは、上記したリチウムニッケル系複合酸化物、リチウムコバルト系複合酸化物、リチウムマンガン系複合酸化物、リチウムニッケルマンガン系複合酸化物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム系複合酸化物、リチウム鉄ニッケルマンガン系複合酸化物等についても同様である。
リチウムニッケルコバルトマンガン系複合酸化物としては、下式(I)で表される組成を有するものが好ましい。
Li1+xNiCoMn(1-y-z)α2-ββ (I)
(式(I)中、x、y、z、α、およびβは、0≦x≦0.7、0.1<y<0.9、0.1<z<0.4、0≦α≦0.1、0≦β≦0.5を満たす。Mは、Zr、Mo、W、Mg、Ca、Na、Fe、Cr、Zn、Sn、およびAlからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素である。Qは、F、ClおよびBrからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素である。エネルギー密度および熱安定性の観点から、yおよびzはそれぞれ、0.3≦y≦0.5、0.20≦z<0.4を満たすことが好ましい。)
第1の正極活物質56aおよび第2の正極活物質56bは、コバルトを含有するリチウム遷移金属複合酸化物(例えば、リチウムコバルト系複合酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン系複合酸化物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム系複合酸化物等)を含むことが好ましい。コバルトが含まれることで低抵抗、高耐久性の実現に加え、電池容量、出力性能等の電池性能が向上し得る。
また、第2の正極活物質56bに含まれる遷移金属元素全体に占めるコバルト元素のモル比率(Co比率)が、第1の正極活物質56aに含まれる遷移金属元素全体に占めるコバルト元素のモル比率(Co比率)よりも高いことが好ましい。コバルト比率の高い正極活物質を正極活物質層の表層側に配置することで、コバルトによる電池性能の向上効果を効率よく発揮させることができる。これにより、正極活物質層の集電体側に配置される正極活物質のコバルト比率を減少させても、高い電池性能を発揮できるため、コバルトの使用量を抑えることができる。なお、本明細書において、正極活物質に含まれる遷移金属元素全体に占めるコバルト元素のモル比率を、単に「Co比率」ともいう。
即ち、ここで開示される正極50の構成によれば、低抵抗かつ高耐久性であり、さらにCo比率が抑制された正極が実現される。一方で、コバルトは、埋蔵量が不足する懸念があること、高コストである等の事情から、コバルトの使用量を削減することが望まれている。そこで、ここで開示される正極50の構成により、コバルトの使用量が削減できるため、生産安定性の向上や、コスト削減等が実現される。第1の正極活物質56aおよび第2の正極活物質56bのいずれにもコバルトが含まれる場合、正極活物質全体に含まれる遷移金属元素を100mol%としたとき、これに占めるCo比率は、30mol%以下が好ましく、例えば、29mol%以下、28mol%以下であり得る。また、特に制限されるものではないが、電池性能(例えば出力性能)向上の観点から、上記Co比率は、20mol%以上が好ましく、例えば、21mol%以上、22mol%以上、23mol%以上であり得る。
また、第2の正極活物質56bがコバルトを含む場合、第2の正極活物質56bに含まれる遷移金属元素を100mol%としたとき、これに占めるCo比率は、特に限定されるものではないが、電池性能向上の観点から、例えば、20mol%以上、30mol%以上であり得る。また、かかるCo比率の上限は特に限定されるものではなく、100mol%以下であり得るが、コスト削減の観点から、60mol%以下が好ましく、40mol%以下がより好ましい。
また、第1の正極活物質56aがコバルトを含む場合、第1の正極活物質56aに含まれる遷移金属元素を100mol%としたとき、これに占めるCo比率は、特に限定されるものではないが、電池性能向上の観点から、例えば、10mol%以上、15mol%以上であり得る。また、コスト削減の観点から、かかるCo比率は、例えば、30mol%以下、25mol%以下であり得る。
集電体側正極活物質層54aおよび表層側正極活物質層54bは、正極活物質のほかに、必要に応じ、導電材、バインダ等を含んでいてもよい。導電材としては、例えばアセチレンブラック(AB)等のカーボンブラックやその他(グラファイト等)の炭素材料を好
適に使用し得る。バインダとしては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)等を使用
し得る。
本実施形態に係る二層構造を有する正極活物質層54の形成は、正極集電体52の片面または両面に集電体側正極活物質層54aを形成し、次いで、その上に表層側正極活物質層54bを形成することによって行うことができる。例えば、第1の正極活物質56aを含む集電体側活物質層形成用ペーストを正極集電体52の片面または両面に帯状に塗布して乾燥させることにより、正極集電体52に集電体側正極活物質層54aを形成する。次いで、第2の正極活物質56bを含む表層側活物質層形成用ペーストを集電体側正極活物質層54a上に帯状に塗布して乾燥させることにより、集電体側正極活物質層54a上に表層側正極活物質層54bを形成する。このようにして二層構造を有する正極活物質層54を得ることができる。上記乾燥後、適当なプレス処理を施すことによって、集電体側正極活物質層54aおよび表層側正極活物質層54bの厚みや密度を調整することができる。また、コスト削減の観点から、一層ずつ乾燥を行わなくてもよく、塗布された集電体側正極活物質層形成用ペーストの上に、表層側正極活物質層形成用ペーストを塗布した後、乾燥させることが好ましい。
以上、一実施形態に係る正極50の構成について説明した。正極50は、リチウムイオン二次電池100に好適に採用され、低抵抗および高耐久性が両立したリチウムイオン二次電池が実現される。リチウムイオン二次電池100は、各種用途に利用可能である。具体的な用途としては、パソコン、携帯電子機器、携帯端末等のポータブル電源;電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)等の車両駆動用電源;小型電力貯蔵装置等の蓄電池などが挙げられ、なかでも、車両駆動用電源が好ましい。リチウムイオン二次電池100は、典型的には複数個を直列および/または並列に接続してなる組電池の形態でも使用され得る。
なお、上述した正極50が備える正極活物質層54は積層構造として二層構造を有していたが、これに限られない。例えば、集電体側正極活物質層54aと、表層側正極活物質層54bとの間に、さらに一層又は二層以上が形成され得る。また、集電体側正極活物質層54aと正極集電体52との間に、さらに一層又は二層以上が形成され得る。上述の通り、正極活物質層の表層側の厚さ40μm程度までに配置される正極活物質が抵抗に大きく寄与する。そのため、正極活物質層が三層以上の積層構造である場合でも、ここで開示される技術の効果が発揮されることは本開示の内容から理解され得る。また、上述した二層構造の形成方法から理解されるように、例えば、各層のスラリーを用いて一層ずつ形成することで三層以上の積層構造を形成することができる。
また、一例として扁平形状の捲回電極体20を備える角形のリチウムイオン二次電池100について説明した。しかしながら、ここで開示されるリチウムイオン二次電池は、積層型電極体(すなわち、複数の正極と、複数の負極とが交互に積層された電極体)を備えるリチウムイオン二次電池として構成することもできる。積層型電極体は、正極と負極の間のそれぞれに1枚のセパレータが介在するように、複数のセパレータを含むものであってもよく、1枚のセパレータが折り返されながら、正極と負極とが交互に積層されたものであってよい。
また、ここに開示されるリチウムイオン二次電池は、コイン型リチウムイオン二次電池、ボタン型リチウムイオン二次電池、円筒形リチウムイオン二次電池、ラミネートケース型リチウムイオン二次電池として構成することもできる。また、ここに開示されるリチウムイオン二次電池は、非水電解液の代わりに、ポリマー電解質を用いたポリマー二次電池や、固体電解質を用いた全固体二次電池等であり得る。
以下、ここで開示される技術に関する実施例を説明するが、ここで開示される技術をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
<比較例1>
正極活物質として、BET比表面積が2.5m/g、平均粒子径が4μmのLiNi0.35Co0.35Mn0.3(即ち、遷移金属元素全体におけるCo比率35mol%)を準備した。この正極活物質と、導電材としてアセチレンブラック(AB)と、バインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、正極活物質:AB:PVDF=97:2:1の重量比となるように混合し、溶媒としてN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を適量加え、正極活物質層形成用スラリーを調製した。なお、BET比表面積は、市販の比表面積測定装置「Macsorb Model-1208」(マウンテック社製)を使用して、吸着質ガスとして窒素を用いた定容量式吸着法により測定した(以下、他の例でも同じ)。
次いで、調製した正極活物質層形成用スラリーを厚み15μmのアルミニウム箔製の正極集電体の一方の面にドクターブレード法により塗布し、乾燥させた。乾燥後、正極集電体のもう一方の面にも同様にして正極活物質層形成用スラリーを塗布し、乾燥させた。その後、圧延ローラーにより塗膜をロールプレスして正極シートを作製した。この正極シートにおける正極活物質層の平均厚みは80μmであった。
また、負極活物質としての黒鉛(C)と、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)と、バインダとしてスチレンブタジエンゴム(SBR)とを、C:CMC:SBR=98.3:0.7:1の重量比となるように混合し、溶媒としてイオン交換水を適量加え、負極活物質層形成用スラリーを調製した。この負極活物質層形成用スラリーを、厚み8μmの銅箔製の負極集電体上に塗布した。その後、乾燥を行い、負極活物質層の平均厚みが80μmとなるようにロールプレスして負極シートを作製した。
セパレータとして、PP/PE/PPの三層構造を有する厚み24μmの多孔性ポリオ
レフィンシートを用意した。正極シートと、負極シートとをセパレータが介在するように
しつつ重ね合わせた後、捲回して、捲回電極体を得た。
捲回電極体に電極端子を取り付け、これを電池ケースに挿入し、溶着した後、非水電解液を注液した。なお、非水電解液には、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジメチルカーボネート(DMC)とをEC:EMC:DMC=30:30:40の体積比で含む混合溶媒に、支持塩としてLiPFを1.2mol/Lの濃度で溶解させたものを用いた。その後、電池ケースを封止することによって、比較例1の評価用リチウムイオン二次電池を得た。
<比較例2>
正極活物質として、BET比表面積が0.6m/g、平均粒子径が4μmのLiNi0.6Co0.2Mn0.2(即ち、遷移金属元素全体におけるCo比率20mol%)を用いた。これ以外は比較例1と同様にして、比較例2の評価用リチウムイオン二次電池を得た。なお、正極活物質層の平均厚みは80μmであった。
<比較例3>
正極活物質として、BET比表面積が1.3m/g、平均粒子径が4μmのLiNi0.35Co0.35Mn0.3(即ち、遷移金属元素全体におけるCo比率35mol%)を用いた。これ以外は比較例1と同様にして、比較例2の評価用リチウムイオン二次電池を得た。なお、正極活物質層の平均厚みは80μmであった。
<実施例1>
実施例1では、2種類の正極活物質を準備し、集電体側正極活物質層と表層側正極活物質層とからなる二層構造の正極活物質層を備える正極シートを作製した。集電体側正極活物質層に含まれる正極活物質として、BET比表面積が0.6m/g、平均粒子径が4μmのLiNi0.6Co0.2Mn0.2(即ち、遷移金属元素全体におけるCo比率20%)を用意した。この正極活物質を用いて、正極活物質:AB:PVDF=97:2:1の重量比となるように混合し、溶媒としてN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を適量加え、集電体側正極活物質層形成用スラリーを得た。また、表層側正極活物質層に含まれる正極活物質として、BET比表面積が2.5m/g、平均粒子径が4μmのLiNi0.35Co0.35Mn0.3(即ち、遷移金属元素全体におけるCo比率35%)を用意した。この正極活物質を用いて、集電体側正極活物質層形成用スラリーと同様に調製することで、表層側正極活物質層形成用スラリーを得た。
次いで、調製した集電体側正極活物質層形成用スラリーを厚み15μmのアルミニウム箔製の正極集電体の一方の面にドクターブレード法により塗布し、さらに、このスラリー上に重ねて、調製した表層側正極活物質層形成用スラリーを塗布し、乾燥させた。乾燥後、正極集電体のもう一方の面にも同様にして集電体側正極活物質層形成用スラリーと、表層側正極活物質層形成用スラリーとを順に塗布し、乾燥させた。その後、圧延ローラーにより塗膜をロールプレスして正極シートを作製した。なお、この正極シートの集電体側正極活物質層の平均厚みは70μm、表層側正極活物質層の平均厚みは10μmであった。
この正極シートを用いた以外は、比較例1と同様にして、実施例1の評価用リチウムイオン二次電池を得た。
<実施例2>
正極シートの集電体側正極活物質層の平均厚みを65μm、表層側正極活物質層の平均厚みを15μmとなるように調整した以外は実施例1と同様にして、実施例2の評価用リチウムイオン二次電池を得た。
<実施例3>
正極シートの集電体側正極活物質層の平均厚みを60μm、表層側正極活物質層の平均厚みを20μmとなるように調整した以外は実施例1と同様にして、実施例3の評価用リチウムイオン二次電池を得た。
<実施例4>
正極シートの集電体側正極活物質層の平均厚みを40μm、表層側正極活物質層の平均厚みを40μmとなるように調整した以外は実施例1と同様にして、実施例4の評価用リチウムイオン二次電池を得た。
表1に、比較例1~3、実施例1~4における正極活物質のBET比表面積、Co比率を示す。なお、比較例1~3は、正極活物質が1種であるため、集電体側に配置される正極活物質と表層側に配置される正極活物質とが同一である。また、各例において、集電体側正極活物質層および表層側正極活物質層の平均厚みの割合から、正極活物質層全体に含まれる正極活物質全体のBET比表面積(m/g)と、正極活物質中の遷移金属元素に占めるCo比率(mol%)とを求めた。
<活性化処理>
評価用リチウムイオン二次電池を25℃環境下で、0.1Cの電流値で4.2Vまで定電流充電し、その後0.1Cの電流値で2.5Vまで定電流放電し、活性化処理を行った。なお、このときの放電容量を初期容量とした。また、ここで「1C」とは、1時間でSOC(state of charge)を0%から100%とする電流の大きさのことをいう。
<25℃抵抗の測定>
活性化処理後のリチウムイオン二次電池を25℃環境下で、SOC50%となるように調整した。その後、所定の電流値で定電流充電を開始し10秒後の電圧を測定した。この操作を複数の電流値で実施することで、電流-電圧(I-V)プロットを作成し、かかるプロットの傾きから25℃抵抗を求めた。比較例1の25℃抵抗を100としたときの相対値を表1に示す。
<0℃抵抗の測定>
25℃抵抗の測定方法のうち、25℃環境下を0℃環境下に変更した以外は同様にして、0℃抵抗を求めた。比較例1の25℃抵抗を100としたときの相対値を表1に示す。
<COガス発生量の測定>
上記60日保存後の評価用リチウムイオン二次電池におけるCOガス発生量を測定した。具体的には、まず、ガス置換バルブを取り付けたガス分析用サンプリングバッグを準備した。次に、放電後の上記60日保存後の評価用リチウムイオン二次電池と、押しピンを当該バッグの中に収容し、密閉した。その後、ガス置換バルブを介して、当該バッグ内をArガスに置換した。当該バッグ内で、押しピンを評価用リチウムイオン二次電池の開放弁に突き刺し、評価用リチウムイオン二次電池を横に寝かして1時間静置した。その後、当該バッグ内のガスをシリンジで回収し、ガスクロマトグラフィーによってCOガス量を測定した。比較例2におけるCOガス発生量を100としたときの相対値を表1に示す。
Figure 2023048758000002
また、表1の値を基に各種グラフを図4~7に示す。図4は、各例の正極活物質全体のBET比表面積と25℃抵抗との関係を示すグラフである。図5は、各例の正極活物質全体のBET比表面積と0℃抵抗との関係を示すグラフである。図6は、各例のCOガス発生量と25℃抵抗との関係を示すグラフである。図7は、各例の正極活物質全体のCo比率と25℃抵抗との関係を示すグラフである。なお、図4~7に示すグラフ中の破線は、比較例1~3のプロットに基づく近似曲線を示す。
図4および5に示すように、実施例1~4はいずれも比較例1~3に基づく破線よりも下側にプロットされた。即ち、正極活物質全体のBET比表面積が同程度の場合でも、実施例1~4の正極の構成により、より抵抗を低減することができることがわかる。具体的には、比較例1~3では、所定のBET比表面積を有する一種の正極活物質を用いているのに対し、実施例1~4では、BET比表面積の異なる2種の正極活物質を用いており、BET比表面積が大きい方の正極活物質が正極活物質層の表層側から10μm~40μmまでの厚みに配置されている。したがって、かかる構成の正極は、抵抗を効果的に低減できることがわかる。
また、比較例1、実施例1~4では、BET比表面積2.5m/gの同じ正極活物質を用いているが、表1からわかるように、比較例1のように、この正極活物質を正極活物質層全体(平均厚み80μm)に配置したときの抵抗と、実施例1~4のようにこの正極活物質を正極活物質層の表層側の平均厚み10μm~40μmまでに配置したときの抵抗では、その変化量が小さい。特に、かかる正極活物質が正極活物質層の表層側の厚み20μm~40μmまでに配置された場合の抵抗の変化が少なく、さらに、厚み30μm~40μmまでに配置された場合には、正極活物質層全体(平均厚み80μm)に配置された場合とほとんど差がない。これにより、リチウムイオン二次電池の抵抗は、正極活物質層の表層側から40μmまでの厚みに配置される正極活物質の特性に大きく寄与していることがわかる。
また、図6に示すように、実施例1~4はいずれも比較例1~3に基づく破線よりも下側にプロットされた。即ち、実施例1~4は、同程度の抵抗を有する比較例よりも、COガス発生量が抑制されたことがわかる。このことから、抵抗と耐久性とが背反の関係を有するなかで、実施例1~4の正極の構成により、低抵抗化と高耐久化の両立が実現されていることがわかる。
また、図7に示すように、実施例1~4はいずれも比較例1~3に基づく破線よりも下側にプロットされた。換言すれば、所定の抵抗値で比較したときに、実施例1~3は破線よりも左側にプロットされた(例えば、実施例4と比較例1)。即ち、実施例1~4の正極の構成により、コバルトの使用量を抑制しながらも、抵抗を十分に低減できることがわかる。
以上、ここで開示される技術について、具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。ここに開示される技術には上記の具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
20 電極体
30 電池ケース
36 安全弁
42 正極端子
42a 正極集電板
44 負極端子
44a 負極集電板
50 正極
52 正極集電体
52a 正極集電体露出部
54 正極活物質層
54a 集電体側正極活物質層
54b 表層側正極活物質層
56a 第1の正極活物質
56b 第2の正極活物質
60 負極
62 負極集電体
62a 負極集電体露出部
64 負極活物質層
70 セパレータ
100 リチウムイオン二次電池

Claims (7)

  1. リチウムイオン二次電池に用いられる正極であって、
    正極集電体と、
    前記正極集電体上に設けられた正極活物質層と
    を備えており、
    前記正極活物質層は、前記正極集電体上に設けられた第1の正極活物質を含む集電体側正極活物質層と、該集電体側正極活物質層上に設けられた第2の正極活物質を含む表層側正極活物質層とを含む積層構造を有しており、
    前記第2の正極活物質のBET比表面積は、前記第1の正極活物質のBET比表面積よりも大きく、
    前記表層側正極活物質層の平均厚みが、10μm以上40μm以下である、
    正極。
  2. 前記正極活物質層に含まれる正極活物質全体のBET比表面積が、0.8m/g以上2m/g以下である、請求項1に記載の正極。
  3. 前記表層側正極活物質層の平均厚みT1と、前記集電体側正極活物質層の平均厚みT2との比T1:T2が、1:1~1:7である、請求項1または2に記載の正極。
  4. 前記第2の正極活物質のBET比表面積が、前記第1の正極活物質のBET比表面積の4倍以上大きい、請求項1~3のいずれか一項に記載の正極。
  5. 前記第1の正極活物質および前記第2の正極活物質が、コバルトを含有するリチウム遷移金属複合酸化物を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の正極。
  6. 前記第2の正極活物質における遷移金属元素全体に占めるコバルト元素のモル比率が、前記第1の正極活物質における遷移金属元素全体に占めるコバルト元素のモル比率よりも高い、請求項5に記載の正極。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載の正極と、負極と、非水電解質とを備える、リチウムイオン二次電池。

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