JP7311304B2 - 蓄電装置 - Google Patents
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Description
このような構成によれば、Si系負極活物質を用いながらも、ハイレート充電時の金属リチウムの析出が抑制された蓄電装置が提供される。
まず、第1の実施形態として、全固体リチウム二次電池を利用した蓄電装置について説明する。図1に、第1の実施形態に係る蓄電装置の概略を示す。
図1に示す蓄電装置100は、並列に接続された複数の電池ユニットを含むものであり、具体的には、第1の電池ユニット10と、第2の電池ユニット20とを含む。第1の電池ユニット10と第2の電池ユニット20とは、集電体60によって並列に接続されている。
蓄電装置100においては通常、第1の電池ユニット10が、メインの電池ユニットとして用いられる。
なお、図示例では、電池ユニットの数は2つであるが、蓄電装置100が3つ以上の電池ユニットを有する構成も可能である。
なお、本明細書において「セル」とは、正極および負極から構成される蓄電要素を意味している。
電池ユニット10においては、集電体61の一方の面に正極41が形成され、かつ他方の面に負極51が形成されたバイポーラ電極が使用されている。
電池ユニット20においても、集電体62の一方の面に正極42が形成され、かつ他方の面に負極52が形成されたバイポーラ電極が使用されている。
集電体60,61,62は、図示例では、シート状または箔状の形状を有しているが、別の形状であってもよい。
正極活物質としては、公知の全固体リチウム二次電池に使用されているものを用いてよい。正極活物質の例としては、リチウムニッケル系複合酸化物、リチウムコバルト系複合酸化物、リチウムニッケルコバルト系複合酸化物、リチウムマンガン系複合酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン系複合酸化物等のリチウム遷移金属複合酸化物;LiFePO4等のオリビン構造のリチウム複合化合物などが挙げられる。
正極41が含有する正極活物質と、正極42が含有する正極活物質は、同じであっても異なっていてもよく、好ましくは同じである。
固体電解質材料としては、固体電解質70を構成する材料として上記例示したものを使用することができる。
バインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマー(PVdF-HFP)等のフッ素系ポリマー;ブタジエンゴム(SBR)、アクリレートブタジエンゴム(ABR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)等のゴム類などが挙げられる。
導電材としては、例えば、気相法炭素繊維、カーボンブラック等の炭素材料が挙げられる。
負極51(すなわち、第1の電池ユニット10を構成するセル31の負極)は、Si系負極活物質を含有する。Si系負極活物質の例としては、Si、SiOx(0<x<2、特に0.3≦x≦1.6)、Siに他の元素(例、Co、Ni、Fe等)が添加された合金等が挙げられる。なお、負極51は、基本的に負極活物質としてSi系負極活物質のみを含有するが(ただし、不可避不純物の混入は許容される)、本発明の効果を損なわない範囲内で他の負極活物質を含有していてもよい。
一方、負極52(すなわち、第2の電池ユニット20を構成するセル32の負極)は、炭素系負極活物質を含有する。炭素系負極活物質の例としては、グラファイト(例、天然黒鉛、人造黒鉛等)、ハードカーボン、メソカーボンマイクロビーズ等が挙げられ、なかでも、グラファイトが好ましい。なお、負極52は、基本的に負極活物質として炭素系負極活物質のみを含有するが(ただし、不可避不純物の混入は許容される)、本発明の効果を損なわない範囲内で他の負極活物質を含有していてもよい。
なお、図1は例示であり、セル31およびセル32の一部の記載が省略されており、セル31およびセル32の数を正確に示すものではない。
また、蓄電装置100では、バイポーラ電極の使用によって構造が簡素化されているため、製造コストの面でも有利である。
次に、第2の実施形態として、非水電解液リチウムイオン二次電池を利用した蓄電装置について説明する。
図2に示す蓄電装置200は、並列に接続された複数の電池ユニットを含むものであり、具体的には、第1の電池ユニット110と、第2の電池ユニット120とを含む。第1の電池ユニット110と第2の電池ユニット120とは、並列に接続されている。
蓄電装置200においては、第1の電池ユニット110が、メインの電池ユニットとして用いられる。
なお、図示例では、電池ユニットの数は、2つであるが、蓄電装置200が3つ以上の電池ユニットを有する構成も可能である。
第2の電池ユニット120は、セル132が複数個直列に接続されて構成されている。
セル131およびセル132はそれぞれ、正極と、負極と、セパレータとが、当該セパレータが当該正負極間に介在するようにして積層された電極体が、非水電解液と共に電池ケースに収容された構成を有する。
セル131(第1の電池ユニット110を構成するセル)の負極には、負極活物質として、Si系負極活物質が用いられる。Si系負極活物質としては、第1の実施形態で例示したものを使用することができる。なお、セル131の負極は、基本的に負極活物質としてSi系負極活物質のみを含有するが(ただし、不可避不純物の混入は許容される)、本発明の効果を損なわない範囲内で他の負極活物質を含有していてもよい。
セル132(第2の電池ユニット210を構成するセル)の負極には、負極活物質として、炭素系負極活物質が用いられる。炭素系負極活物質としては、第1の実施形態で例示したものを使用することができる。なお、セル132の負極は、基本的に負極活物質として炭素系負極活物質のみを含有するが(ただし、不可避不純物の混入は許容される)、本発明の効果を損なわない範囲内で他の負極活物質を含有していてもよい。
また、負極活物質層は、SBR等のバインダ、カルボキシメチルセルロース(CMC)等の増粘剤などを含有していてもよい。
非水溶媒としては、一般的なリチウムイオン二次電池の電解液に用いられる各種のカーボネート類、エーテル類、エステル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等の有機溶媒を、特に限定なく用いることができる。なかでも、カーボネート類が好ましく、その具体例としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、モノフルオロエチレンカーボネート(MFEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)、モノフルオロメチルジフルオロメチルカーボネート(F-DMC)、トリフルオロジメチルカーボネート(TFDMC)等が挙げられる。非水溶媒は、1種を単独で、あるいは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
支持塩としては、例えば、LiPF6、LiBF4、LiClO4等のリチウム塩(好ましくはLiPF6)を好適に用いることができる。支持塩の濃度は、0.7mol/L以上1.3mol/L以下が好ましい。
非水電解液は、ガス発生剤、被膜形成剤、分散剤、増粘剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
なお、図2は例示であるため、第1の電池ユニット110を構成するセル131の数および第2の電池ユニット120を構成するセル132の数は、この関係を満たす限り、図2に示されたものに限られない。
本発明者は、負極活物質として、SiOxを用いた蓄電装置(No.1)、グラファイトを用いた蓄電装置(No.2)、SiOxとグラファイトの混合物を用いた蓄電装置(No.3)、および上記実施形態に従った、SiOxを含む電池ユニットとグラファイトを含む電池ユニットとを組み合わせた蓄電装置(No.4)を作製した。これらに対し、25℃において、SOC60%から50秒間の充電パルスを500サイクル付与した。その後、各蓄電装置を解体し、金属リチウムの析出の有無を確認した。この手順において、パルス充電の電流レートを変更し、金属リチウムの析出が確認された最小の電流レートを、金属リチウム析出耐性の指標として求めた。結果を図3に示す。
特に、蓄電装置100,200を搭載した車両は、高容量の電池ユニットと、レート特性に優れた電池ユニットを併用しているため、高容量の電池ユニットをメインに使用しつつ、高レートでの回生時にレート特性に優れた電池ユニットをすることができ、蓄電された電気によるEV走行での走行距離を確保しつつ充放電電流が拡大されている。したがって、当該車両の燃費向上と、蓄電装置100,200の高い耐久性とが両立されている。
20 第2の電池ユニット
31 第1のセル
32 第2のセル
41,42 正極
51,52 負極
60,61,62 集電体
70 固体電解質
80 締結部材
100 蓄電装置
Claims (5)
- 並列に接続された少なくとも2つ以上の電池ユニットを備える蓄電装置であって、
前記電池ユニットはそれぞれ、正極および負極を含むセルが、複数個直列に接続されて構成されており、
前記電池ユニットは、第1の電池ユニットと、第2の電池ユニットとを含み、
前記第1の電池ユニットを構成する第1のセルの負極は、Si系負極活物質を含み、
前記第2の電池ユニットを構成する第2のセルの負極は、炭素系負極活物質を含み、
前記第1の電池ユニットを構成する第1のセルの数が、前記第2の電池ユニットを構成する第2のセルの数よりも多く、
前記第1の電池ユニットを構成する第1のセルの負極に含まれるSi系負極活物質が、SiO x (0<x<2)であり、
前記第2の電池ユニットを構成する第2のセルの負極に含まれる炭素系負極活物質が、グラファイトであり、
前記第1のセルの数、および前記第2のセルの数が、前記第1のセルのSOCが70%未満の範囲で使用されるように選択されている、
ことを特徴とする蓄電装置。 - 前記第1の電池ユニットは、2つの集電体間の、前記正極と、固体電解質を挟んでこれに対向する前記負極とを有する区画が第1のセルを構成して、当該第1のセルが複数個直列に接続されて構成されており、
前記第1の電池ユニットには、前記集電体の一方の面に正極が形成され、かつ他方の面に負極が形成されたバイポーラ電極が使用され、
前記第2の電池ユニットは、2つの集電体間の、前記正極と、固体電解質を挟んでこれに対向する前記負極とを有する区画が第2のセルを構成して、当該第2のセルが複数個直列に接続されて構成されており、
前記第2の電池ユニットには、前記集電体の一方の面に正極が形成され、かつ他方の面に負極が形成されたバイポーラ電極が使用されていることを特徴とする、
請求項1に記載の蓄電装置。 - 前記第1の電池ユニットと前記第2の電池ユニットは、シート状または薄状の集電体によって、並列に接続されている、請求項1または2に記載の蓄電装置。
- 前記第1の電池ユニットを構成する第1のセルの電極の面積と、前記第2の電池ユニットを構成するセルの電極の面積の比が、60:40~80:20の範囲内であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の蓄電装置。
- 前記蓄電装置が、電気自動車、ハイブリッド自動車、およびプラグインハイブリッド自動車から選ばれる車両に搭載される駆動用電源であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の蓄電装置。
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