JP2023046970A - 椅子 - Google Patents

Abstract

【課題】傾動した背凭れの復帰力の調整にかかる操作性を向上できる椅子を提供する。【解決手段】支基本体部４１と、支基本体部４１に対して回転可能に支持され、初期状態から後方に傾動させた傾動状態に変位可能な背凭れと、傾動状態にある背凭れを、初期状態に復帰する方向に付勢する付勢手段６０と、付勢手段６０の付勢力を調整する調整手段７０と、調整手段７０に連結され、調整手段７０を作動させる操作手段８０と、を備え、付勢手段６０は、背凭れ、又は支基本体部４１に設けられ、調整手段７０は、背凭れに設けられ、操作手段８０は、軸線の後方、かつ背凭れの幅方向側方の部位に配置されている。【選択図】図６

Description

本発明は、椅子に関するものである。

従来から、事務用等として用いられる椅子の背凭れとして、支持構造体に対して、支持構造体の幅方向に沿う軸回りに回転可能に支持された背凭れと、この背凭れを初期状態に復帰する方向に付勢する付勢手段と、を備えたものが知られている。

特許文献１に記載の椅子は、支持構造体に背凭れが傾動可能に支持され、背凭れの支持構造体に対しての背凭れ部位よりも後方に付勢手段が配置されている。そして、特許文献１では、付勢手段は支持構造体の内側で下端部が下方への移動が規制されているが、上端部は下方に移動できる状態で、かつ軸線方向を上下方向に向けた状態で背凭れより後方に配置された構成について記載されている。

特開平８－２１４９８３号公報

しかしながら、特許文献１に記載の椅子では、傾動した背凭れによって押されて動かされ、初期状態への復帰力となる付勢力を蓄積する。そして、付勢手段を全体的に背凭れの回転支持部位よりも後方に設けることにより、付勢手段の付勢力を調整する操作手段も椅子の座の下面後部に配置されてしまう。そのため、通常の着座状態で着座者が手を下げた位置よりもさらに下方に手を下げることで、ようやく操作手段にアクセスできることとなるため、操作性に問題があり、使い勝手の点で改善の余地があった。

そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、傾動した背凭れの復帰力の調整にかかる操作性を向上できる椅子を提供する。

上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係る椅子は、支持構造体と、前記支持構造体に対して前記支持構造体の幅方向に沿う軸線回りに回転可能に支持され、初期状態から後方に傾動させた傾動状態に変位可能な背凭れと、前記傾動状態にある前記背凭れを、前記初期状態に復帰する方向に付勢する付勢手段と、前記付勢手段の付勢力を調整する調整手段と、前記調整手段に連結され、前記調整手段を作動させる操作手段と、を備え、前記付勢手段は、前記背凭れ、又は前記支持構造体に設けられ、前記調整手段は、前記背凭れに設けられ、前記操作手段は、前記軸線より後方、かつ前記背凭れの前記幅方向側方の部位に配置されている。

このように構成された椅子では、付勢手段が背凭れ、又は支持構造体に設けられ、調整手段が背凭れに設けられ、さらに操作手段が背凭れが回転可能に支持される軸線よりも後方、かつ背凭れの幅方向側方の部位に配置されている。すなわち、調整手段を背凭れに設けたうえで、操作手段を背凭れの外側方に配置させることができる。そのため、本発明では、操作手段をより椅子の後方の位置で、かつ椅子の上方となる背凭れの部位に配置することができる。したがって、着座者は通常の着座状態から手を下げることのみで容易に操作手段にアクセスすることができ、傾動した背凭れの復帰力の調整にかかる操作としての使い勝手を良好にできる。

また、本発明に係る椅子では、前記背凭れは、前記幅方向に離間する一対の側壁を備え、前記調整手段は、前記側壁間の空間に配置され、前記操作手段は、前記幅方向に延在し、前記空間内から前記側壁の外方に突出する操作軸を備え、前記操作軸は、軸方向の一端に操作レバーを有し、他端が前記空間において前記調整手段に連結されていることを特徴としてもよい。

このように構成された椅子では、背凭れの側壁間に設けられる操作手段に近い位置に調整手段を配置することができる。すなわち、操作手段の操作軸と調整手段との連結部を簡単な構造にすることができる。このように、本発明では、支持構造体の上部に付勢手段に加えて調整手段が配置されない構成となることから、側壁間の空間を使用して余裕をもって調整手段を配置することができる。
また、本発明では、調整手段を側壁によって側方から遮蔽することができるので、外観の体裁を損なうことを防止できる。

また、本発明に係る椅子では、前記空間は、前記支持構造体の上方に位置していることが好ましい。

このように構成された椅子では、側壁間と、支持構造体の上方の空間を使って余裕をもって調整手段を配置することができる。
また、この場合には、調整手段を支持構造体によって下方から遮蔽することができるので、さらに外観の体裁を損なうことを防止できる。

また、本発明に係る椅子は、前記調整手段は、前記付勢手段に作用する作用部材と、該作用部材を可動に支持する支持部材と、を備え、前記支持部材は、前記背凭れに固定されていてもよい。

このように構成された椅子では、調整手段が作用部材と支持部材とを有することにより、支持部材を背凭れに不動な状態で固定することで、背凭れに対する作用部材の移動を安定させることができる。

また、本発明に係る椅子は、前記作用部材は、前記付勢手段を支持する作用軸と、上方から見て軸方向が前後方向に配置され前記作用軸を前記軸方向に沿って移動可能とする調整軸と、を備え、前記操作手段の操作によって前記作用軸における前記調整軸上の所定位置に変位される構成としてもよい。

このように構成された椅子では、着座者が操作手段を操作することによって、調整軸上において作用軸を所定位置に変位させることができる。これにより、作用軸に連結される付勢手段の位置が変更されるので、作用軸の位置、すなわち付勢手段の位置に応じて付勢手段の付勢力を調整することができる。

また、本発明に係る椅子は、前記付勢手段は、前記支持構造体の上方において前後方向に付勢する圧縮コイルばねを有し、前記圧縮コイルばねの後端部が前記背凭れ側に位置され、前記調整手段に連結されていてもよい。

このように構成された椅子では、付勢手段である圧縮コイルばねを横向き（前後方向）に向けた状態で支持構造体の上方に収容することができる。そして、圧縮コイルばねの後端部を背凭れ側に位置させて調整手段に連結することができ、調整手段と操作手段を簡単な構造により連結することができる。このように本発明では、調整手段と操作手段を椅子の後方に配置させることができるので、着座者がよりアクセスし易い位置に操作手段を配置することができる。

また、本発明に係る椅子では、前記支持構造体の上部には、座を受ける座受け部材が前後方向に摺動可能に支持され、前記圧縮コイルばねの前端部は、前記座受け部材の前部に固定され、前記背凭れが前記傾動状態にあるとき、前記座受け部材が方向に移動して前記圧縮コイルばねを前方から圧縮する構成であってもよい。

このように構成された椅子では、背凭れの傾動時に座受け部材も後方に移動するため、その座受け部材の後方移動によって圧縮コイルばねが前方から圧縮される付勢力が付与される。そのため、本発明では、背凭れの傾動状態の際に圧縮コイルばねが背凭れと座受け部材との両方から付勢されるので、付勢力を増大させることができる。

本発明に係る椅子によれば、傾動した背凭れの復帰力の調整にかかる操作性を向上できる。

本発明の一実施形態に係る椅子を斜め前方から見た斜視図である。 本発明の一実施形態に係る椅子から張材を取り除いた状態を斜め後方から見た斜視図である。 本発明の一実施形態に係る椅子の分解斜視図である。 本発明の一実施形態に係る椅子の付勢手段、調整手段、及び操作手段の構成を示す一部分解した側面図である。 図４で後部カバーを外した側面図である。 図５の斜め前方上方から見た斜視図である。 図６を上方から見た平面図である。 図７に示すＡ－Ａ線断面図である。 調整手段と操作手段を斜め後方から見た斜視図である。 調整手段と操作手段の要部を示した縦断面図である。 図８に示す椅子を傾動させた状態を示す図である。 作用軸を調整軸の上方に移動させたときの、椅子を傾動させた状態を示す図である。

以下、図１から図１２を参照して、本発明の一実施形態に係る椅子について説明する。
以下の説明において、説明の便宜上、座１７に正規姿勢で着座した着座者が前を向く方向を「前方」と称し、その反対方向を「後方」と称する。また、以下の説明における上下、左右の向きは、着座者が座１７に正規姿勢で着座したときの着座者を中心とした向きと合致する向きを意味するものとする。以下の説明では、このときの左右方向を幅方向ともいう。なお、図中の適所には、前方を指す矢印ＦＲと、上方を指す矢印ＵＰと、左側方を指す矢印ＬＨが記されていている。

図１に示すように、本実施形態に係る椅子１は、床面Ｆ上に設置される脚部１０と、脚部１０の上部に設置されるボックス状の支基４０と、支基４０の上部に取り付けられた座１７と、支基４０の後部に取り付けられて着座者の背部を支持する背凭れ２０と、座１７の下部側の両側部から座１７の上方側に延出し、着座者の肘や腕先が載せ置かれる肘掛け１９と、を備えている。

脚部１０は、キャスタ１１ａ付きの多岐脚１１と、多岐脚１１の中央部より起立し昇降機構であるガススプリング（不図示）が内蔵された脚柱１２と、を有している。脚柱１２は、外筒１３と、内筒１４と、を有している。外筒１３は、多岐脚１１に回転不能に嵌合して支持されている。内筒１４の下部は、外筒１３に水平方向で回転可能に支持されている。内筒１４の上部は、支基４０に固定されている。支基４０は、脚柱１２の昇降調整機構と背凭れ２０の傾動機構が内蔵されている。

背凭れ２０は、背凭れ構造体２０Ａ（図２参照）と、背凭れ構造体２０Ａを覆う張材２６と、を有している。背凭れ構造体２０Ａは、着座者の背を受ける。図２に示すように、背凭れ構造体２０Ａは、背凭れ支持体２１と、背凭れ支持体２１に支持された背凭れ本体２３と、を有している。

背凭れ支持体２１は、着座者の背を支持する。背凭れ支持体２１は、背凭れ支持部材３０（支持構造体）と、後方張出し部材２２と、を有している。

図３に示すように、背凭れ支持部材３０は、インナー部材３１と、アウター部材３２と、を有している。インナー部材３１は、上下方向に細長い形状をしている。インナー部材３１は、平板状に形成されている。

インナー部材３１の板面は、略前後方向を向いている。インナー部材３１は、インナー上下延出部３３と、インナー上部張出し部３４と、を有している。インナー上下延出部３３は、インナー湾曲上部３３１と、インナー湾曲下部３３２と、インナー下部３３３と、インナー下部固定部３３４と、を有している。

アウター部材３２は、アウター上下延出部３５と、アウター上部張出し部３６と、を有している。アウター上下延出部３５は、アウター湾曲上部３５１と、アウター湾曲下部３５２と、アウター下部３５３と、を有している。インナー部材３１とアウター部材３２とは、螺子によって連結されている。

背凭れ支持部材３０には、インナー部材３１及びアウター部材３２に固定され、支基４０の後部に幅方向（左右方向）に沿う軸線方向に延在する回動主軸４２（軸線）を介して回動可能な回動部材３８が設けられている。図４及び図５に示すように、回動部材３８は、支基４０に対して左右方向の軸線回りに回動可能とされている。ボルト３８ａがアウター部材３２のアウター下部３５３の取付凹部３５３ａから取付孔３５３ｂ、インナー部材３１のインナー下部固定部３３４の取付孔３３４ａ及び回動部材３８に形成された取付孔に挿通され、ボルト３８ａにはナットが締結されている。これによって、インナー部材３１及びアウター部材３２が一体として、回動部材３８に固定されている。

図３に示すように、回動部材３８及びアウター部材３２のアウター下部３５３は、後部カバー３７で後方から覆われている。

このように構成される背凭れ２０は、図１及び図２に示すように、背凭れ支持部材３０に、背凭れ支持部材３０の幅方向に沿う軸線回りに回転可能に支持され、上端部２０ａが相対的に前方に位置する初期状態Ｐ１から、上端部２０ａが相対的に後方に位置する傾動状態Ｐ２（図１１参照）に変位可能に設けられている。

図４及び図５に示すように、座１７の下方には、座１７を下方から保持する座シェル５１が設けられている。座１７を座シェル５１は、支基４０によって下方から支持される座受け部材５０に取り付けられている。座シェル５１は、座シェル５１の後端下面に設けられる係止部（図示省略）を座受け部材５０の後方から引っ掛けるように係止させ、座受け部材５０の前縁部５０ａに対してビス等の固定手段で固定されている。

座受け部材５０は、上述した座シェル５１と、座シェル５１を上端縁に取り付け可能な平面視矩形状の本体部５２と、本体部５２の後端部５２ａから後方に延出した後取付部５３と、本体部５２の前部下面５２ｂの左右方向両側で前後方向に延びる長孔５４と、本体部５２の前部に固定されたばね前端受け部５５と、を備えている。座受け部材５０は、例えば絞り加工された板金や、アルミダイキャスト等の金属材料からなる強度部材であり、上下方向上側が開口する受け皿形状を有している。

具体的に、座受け部材５０は、底壁部５０１と、底壁部５０１の周縁部から立設する側壁部５０２と、を有している（図８参照）。側壁部５０２の上端部には、上述した座シェル５１が取り付けられている。底壁部５０１は、後述する圧縮コイルばね６１に干渉しないように、圧縮コイルばね６１の外形に沿った形状に上側に凹んだ凹部５０３が形成されている。

後取付部５３は、図６及び図７に示すように、背凭れ支持部材３０の回動部材３８に設けられ、後述する左右方向に沿って延びる操作手段８０の副軸３９に回転可能に連結されている。すなわち、後取付部５３は、左右方向に延在する支持材５３１と、支持材５３１の長手方向両端に設けられ左右方向に貫通する回転軸孔５３２ａを有する連結片５３２と、を有している（図８参照）。回転軸孔５３２ａには、副軸３９が回転可能に挿通されている。後取付部５３（すなわち座受け部材５０）は、回動部材３８に対して副軸３９を中心にして回動可能である。すなわち、図５に示すように、座受け部材５０は、背凭れ２０が初期状態Ｐ１から傾動状態Ｐ２になると、支基４０に対して後方に移動する。ここで、図５に示す矢印Ｅ１は、初期状態Ｐ１から傾動状態Ｐ２となる際における座受け部材５０の移動方向を示している。

底壁部５０１の前部には、図４及び図５に示すように、左右方向両側に長孔５４が設けられている。一対の長孔５４のそれぞれには、図６及び図７に示すように、支基４０の前部から上方に突出するスライド係合部４３が長孔５４から下方に抜ける移動が規制された状態で、長孔５４の長手方向（前後方向）に沿って摺動可能に係合されている。背凭れ２０が傾動したときには、支基４０に設けられるスライド係合部４３に対して長孔５４側が後方にスライドして座受け部材５０が後方に移動する。つまり、座受け部材５０が後方に移動したときに、長孔５４に対するスライド係合部４３の前後方向の位置は、後側から前側に移動した位置となる。

ばね前端受け部５５は、左右方向の両側に設けられ底壁部５０１の下面に固定される一対の固定部５５１と、一対の固定部５５１同士を左右方向に連結する連結部５５２と、を有している。

固定部５５１には、一対の固定部５５１に挿通された状態で支持され、軸方向を左右方向に向けて延在する前方ばね反力受軸５５３（図８参照）が設けられている。固定部５５１には、前方ばね反力受軸５５３が挿通される挿通孔５５１ａが形成されている。
連結部５５２は、前方ばね反力受軸５５３に支持される後述する圧縮コイルばね６１に干渉しない位置に設けられている。

図８に示すように、前方ばね反力受軸５５３は、断面円形の棒材である。前方ばね反力受軸５５３は、軸方向の両端がそれぞれ固定部５５１の挿通孔５５１ａに挿通されて固定され、一対の固定部５５１に対して左右方向に移動しないように設けられている。前方ばね反力受軸５５３には、後方から圧縮方向に付勢された２つの圧縮コイルばね６１の前端部が支持されている。

図６～図８に示すように、支基４０は、脚柱１２（図５参照）の上部に固定された支基本体部４１（支持構造体）と、支基本体部４１に対して背凭れ支持部材３０の回動部材３８を傾動する方向に回動可能に支持する回動主軸４２（軸線）と、座受け部材５０を前後方向にスライド可能に支持するスライド係合部４３と、を備えている。

支基本体部４１は、底板４１１と、底板４１１の左右両側から上方に延在する側板４１２と、を有し、全体として上に開口する碗状に形成されている。支基本体部４１の上側の第一内部空間Ｓ１には、２つの圧縮コイルばね６１が収容されている。図５に示すように、支基本体部４１の後端部４１ａは、側板４１２の後方上部４１２ａよりも後方に張り出している。支基本体部４１は、左右両側に位置する側板４１２の後方上部４１２ａに回動主軸４２が設けられる。

図６～図８に示すように、支基本体部４１の後部内側には、背凭れ支持部材３０の回動部材３８の前部が回動主軸４２に回動可能に支持されている。回動主軸４２は、左右両方の側板４１２のそれぞれに設けられる回動主軸４２の回転中心は、それぞれ同軸上となっている。

スライド係合部４３は、支基本体部４１の左右両側の側板４１２における前方上端４１２ｂに上方に突出した状態で設けられている。スライド係合部４３は、突起部４３１と、突起部４３１の上端に設けられ、突起より大径に形成された摺動部４３２と、を有している。突起部４３１は、座受け部材５０の長孔５４（図５参照）の幅寸法と略同じ径寸法をなす断面円形に形成されている。スライド係合部４３は、突起部４３１が長孔５４に挿通されるとともに、摺動部４３２が座受け部材５０の内側に配置される。なお、座受け部材５０における摺動部４３２が配置される内側部分は、底壁部５０１の上面の上方であって、尚且つ、側壁部５０２の対向面間の部位である。座受け部材５０の内側部分における摺動部４３２の摺動領域は、上述した圧縮コイルばね６１の外形に沿った形状に上側に凹んだ凹部５０３（図８参照）を避けた位置であって、摺動する摺動部４３２が他の部位に干渉しない空間となっている。すなわち、長孔５４及び摺動部４３２の摺動領域は、上面視で一対の圧縮コイルばね６１を避けた左右両側の位置に設定されている。

支基４０の支基本体部４１および回動部材３８には、傾動状態Ｐ２（図１１参照）にある背凭れ２０を、初期状態Ｐ１に復帰する方向に付勢する圧縮コイルばね６１を有する付勢手段６０と、圧縮コイルばね６１の付勢力を調整する調整手段７０と、調整手段７０に連結され、調整手段７０を作動させる操作手段８０と、が設けられる。

回動部材３８は、後壁３８１と、後壁３８１の左右両端から直交する方向に延出し、幅方向に離間する一対の側壁３８２と、を有している。回動部材３８の前側の第二内部空間Ｓ２には、調整手段７０および操作手段８０が収容されている。また、第二内部空間Ｓ２の前部には、圧縮コイルばね６１の後端部が支持されている。

回動部材３８の一対の側壁３８２は、支基本体部４１の側板４１２の後方上部４１２ａに対して回動主軸４２によって回動可能に支持されている。図８に示すように、回動部材３８における回動主軸４２より後方に位置する第二内部空間Ｓ２には、調整手段７０と操作手段８０とが配置されている。回動部材３８は、前部において回動主軸４２を支持している。また、回動部材３８は、後部において座受け部材５０の後取付部５３を取り付ける副軸３９を備えている。そして、回動部材３８は、前部と後部の中間部において操作手段８０の操作軸８１を支持している。

図７に示すように、副軸３９は、左右方向に延在し、左右両側の側壁３８２に支持されている。副軸３９には、座受け部材５０の後取付部５３の連結片５３２が回転可能に支持されている。すなわち、座受け部材５０の後部が回動部材３８に対して回転可能に支持されている。

付勢手段６０は、その付勢力によって傾動させた背凭れ２０を元の位置（図８に示す初期状態Ｐ１）に復帰させるための復帰力を備えたものである。付勢手段６０は、圧縮コイルばね６１と、圧縮コイルばね６１の一方の端部（前端部）に設けられるばね前端支持部６２と、他方の端部（後端部）に設けられるばね後端支持部６３と、を有している。

圧縮コイルばね６１は、前端が後方に圧縮され、後端が前方に圧縮されている。支基本体部４１の第一内部空間Ｓ１には、ばねの付勢方向を前後方向に向けた２つの圧縮コイルばね６１を左右方向に並べた状態で収容されている。一対の圧縮コイルばね６１は、背凭れ２０が初期状態Ｐ１及び傾動状態Ｐ２（図１１参照）のいずれの状態であっても常に圧縮されて付勢された状態で取り付けられている。

ばね前端支持部６２とばね後端支持部６３とは、圧縮コイルばね６１の内側に挿通される伸縮連結軸６４によって連結されている。付勢手段６０では、圧縮コイルばね６１の圧縮、伸長によってばね前端支持部６２とばね後端支持部６３との離間の変化によって伸縮連結軸６４が伸縮する。

ばね前端支持部６２は、圧縮コイルばね６１の前端に前方から当接している。ばね前端支持部６２は、左右方向から見て前方に開口するＵ形状に形成されている。Ｕ形に凹んだ凹部６２ａは、座受け部材５０に設けられたばね前端受け部５５の前方ばね反力受軸５５３に対して後方から押し当てた状態で係合している。すなわち、前方ばね反力受軸５５３は、背凭れ２０が初期状態Ｐ１及び傾動状態Ｐ２のいずれの状態であっても、圧縮コイルばね６１による反力を受け持っている。

ばね後端支持部６３は、圧縮コイルばね６１の後端に後方から当接している。ばね後端支持部６３は、左右方向に貫通する貫通孔６３１（図６参照）を有している。貫通孔６３１には、後述する調整手段７０の左右方向に延びる作用軸７１（軸部７１２）が挿通された状態で支持されている。
ばね後端支持部６３は、作用軸７１に対して前方からばね力が付与された状態になっている。すなわち、作用軸７１は、背凭れ２０が初期状態Ｐ１及び傾動状態Ｐ２のいずれの状態であっても、圧縮コイルばね６１による反力を受け持っている。

調整手段７０は、付勢手段６０の圧縮コイルばね６１の付勢力を調整し、傾動状態Ｐ２（図１１参照）の背凭れ２０の復帰力を調整する機能を有している。調整手段７０は、背凭れ２０の回動部材３８の側壁３８２間の第二内部空間Ｓ２に収容されている。
調整手段７０は、付勢手段６０（圧縮コイルばね６１）の付勢力に作用する作用軸７１（作用部材）と、作用軸７１を可動に支持する調整軸７２（作用部材）と、調整軸７２を操作手段８０に対して回転可能に支持する支持部材７３と、を備えている。

調整軸７２は、上端に傘歯車からなる第二伝達歯車７２１を一体に設けている。この第二伝達歯車７２１は、後述する操作手段８０の第一伝達歯車８３に噛み合って、操作手段８０の操作によって第一伝達歯車８３から第二伝達歯車７２１に回転力が伝達され調整軸７２が正逆両方向に回転する。調整軸７２には、軸方向の全体にわたって作用軸７１が螺合する雄ねじが形成されている。

図８に示すように、調整軸７２は、初期状態Ｐ１において、側面視で軸下端部７２ｂから軸上端部７２ａに向かうに従い漸次、前方から後方となるように軸方向を斜めに向けて配置されている。軸下端部７２ｂは、回動主軸４２よりも下方に位置している。軸上端部７２ａは、回動主軸４２よりも上方かつ後方に位置している。つまり、調整軸７２に沿って移動する作用軸７１、すなわち作用軸７１に連結される圧縮コイルばね６１の後端に設けられるばね後端支持部６３は、回動主軸４２よりも下方の位置（図１１参照）と、回動主軸４２よりも上方かつ後方の位置（図１２参照）との間で移動する構成となっている。

調整手段７０では、調整軸７２が回転することにより、雄ねじに螺合する作用軸７１が調整軸７２の回転位置に応じて調整軸７２の軸方向に移動する構成となっている。すなわち、調整手段７０では、作用軸７１を調整軸７２に沿って移動させることで、作用軸７１の位置を調整することができる。作用軸７１が調整軸７２上を移動するとき、圧縮コイルばね６１は、ばね前端支持部６２回りに回動するため、左右方向から見た角度のみが変わる。

図９及び図１０に示すように、支持部材７３は、上下方向に延在し、回動部材３８の後壁３８１にねじ（図示省略）によって固定される固定板７３１と、固定板７３１の上下端から前方に向けて延出する上支持板７３２および下支持板７３３と、を有している。調整軸７２は、上支持板７３２とした下支持板７３３との間に配置されている。図８に示すように、調整軸７２は、軸上端部７２ａが上支持板７３２によって回転可能に支持され、軸下端部７２ｂが下支持板７３３によって回転可能に支持されている。

図６及び図７に示すように、作用軸７１は、調整軸７２に螺合する雌ねじを有するナット部７１１と、ナット部７１１の左右両側に延出する軸部７１２と、を備えている。ナット部７１１は、調整軸に７２が回転することによって調整軸７２に沿って移動する。軸部７１２には、付勢手段６０のばね後端支持部６３が連結されている。

図５及び図６に示すように、操作手段８０は、回動部材３８に設けられている。操作手段８０は、左右方向に沿って延在する操作軸８１と、操作軸８１の側壁３８２から外方に突出する突出先端（一端）に設けられる操作レバー８２と、操作軸８１の中間部に設けられ第二内部空間Ｓ２に位置する傘歯車からなる第一伝達歯車８３と、を有している。
すなわち、操作手段８０は、操作軸８１のうち幅方向の外側端部が側壁３８２から幅方向に突出している一方、幅方向の内側端部が第二内部空間Ｓ２内に配置され、調整手段７０に連結されている。

操作軸８１は、回動部材３８の左右両側の側壁３８２の上部に回転可能に支持されている。操作軸８１は、調整軸７２の上方に配置され、操作軸８１の軸心と調整軸７２の軸心とが同一平面内に位置するように配置されている。

操作軸８１の軸方向の中間部に設けられる第一伝達歯車８３は、調整軸７２に設けられる第二伝達歯車７２１に噛み合っている。つまり、操作軸８１の回転、すなわち第一伝達歯車８３の左右方向の軸心回りの回転は、第二伝達歯車７２１の調整軸７２の軸心回りの回転に回転方向が変換される。

操作レバー８２は、回動部材３８の側壁３８２の幅方向側方の位置で、座受け部材５０の後方に位置している。つまり、操作レバー８２の位置は、座受け部材５０より上方かつ後方の位置となり、座受け部材５０上の座１７に着座した着座者の手がアクセスしやすい位置となる。

このように構成された椅子１では、背凭れ２０の反力（復帰力）の調整する際には、先ず、操作手段８０の操作レバー８２を回転させると、圧縮コイルばね６１のばね後端支持部６３の位置にある作用軸７１が調整軸７２に沿って上下動する。例えば操作レバー８２を一方向に回転させることで、第一伝達歯車８３及び第二伝達歯車７２１を介して調整軸７２が一方向に回転し、調整軸７２に螺合するナット部７１１、すなわち作用軸７１が調整軸７２に沿って上に移動することになる。

このように、作用軸７１が調整軸７２上を移動することにより、付勢手段６０のばね前端支持部６２とばね後端支持部６３との間の距離が変化することになり、圧縮コイルばね６１の圧縮量、すなわち圧縮コイルばね６１の付勢力（反力）を調整することができる。すなわち、背凭れ２０が傾動状態Ｐ２から初期状態Ｐ１に戻る際の復帰力を調整することができる。

なお、本実施形態の調整手段７０では、作用軸７１が調整軸７２上を移動することによって、作用軸７１の位置、すなわち圧縮コイルばね６１のばね後端支持部６３の位置を変えて圧縮コイルばね６１の付勢力（背凭れの復帰力）を調整する構成である。そして、本実施形態では、図１２に示すように、機構上は調整軸７２を移動する作用軸７１が上下方向で回動主軸４２より上になる位置まで調整可能である。

このように構成された椅子１では、付勢手段６０が支基本体部４１に設けられ、調整手段７０が背凭れ２０に設けられ、さらに操作手段８０が背凭れ２０が回転可能に支持される軸線（回動主軸４２）よりも後方、かつ背凭れ２０の幅方向側方の部位に配置されている。すなわち、調整手段７０を背凭れ２０に設けたうえで、操作手段８０を背凭れ２０の外側方に配置させることができる。
そのため、本実施形態では、操作手段８０をより椅子１の後方の位置で、かつ椅子１の上方となる背凭れの部位（本実施形態では、回動部材３８の側壁３８２）に配置することができる。したがって、着座者は通常の着座状態から手を下げることのみで容易に操作手段８０の操作レバー８２にアクセスすることができ、傾動した背凭れ２０の復帰力の調整にかかる操作としての使い勝手を良好にできる。

また、本実施形態の椅子１では、背凭れ２０の側壁３８２間に設けられる操作手段８０に近い位置に調整手段７０を配置することができる。すなわち、操作手段８０の操作軸８１と調整手段７０との連結部を簡単な構造にすることができる。このように、本実施形態では、支基本体部４１の上部に付勢手段６０に加えて調整手段７０が配置されない構成となることから、側壁３８２間の空間を使用して余裕をもって調整手段７０を配置することができる。
また、本実施形態では、調整手段７０を側壁３８２によって側方から遮蔽することができるので、外観の体裁を損なうことを防止できる。

また、本実施形態では、第二内部空間Ｓ２が支基本体部４１の上方に位置しているので、側壁３８２間と、支基本体部４１の上方の空間を使って余裕をもって調整手段７０を配置することができる。
また、この場合には、調整手段７０を支基本体部４１の底板４１１によって下方から遮蔽することができるので、さらに外観の体裁を損なうことを防止できる。

また、本実施形態による椅子１では、調整手段７０が作用部材（作用軸７１および調整軸７２）と支持部材７３とを有することにより、支持部材７３を背凭れ２０の回動部材３８に不動な状態で固定することで、背凭れ２０に対する作用部材の移動を安定させることができる。

また、本実施形態による椅子１では、着座者が操作手段８０の操作レバー８２を操作することによって、調整軸７２上において作用軸７１を所定位置に変位させることができる。これにより、作用軸７１に連結される圧縮コイルばね６１のばね後端支持部６３の位置が変更されるので、作用軸７１の位置、すなわち圧縮コイルばね６１の位置に応じて付勢手段６０の付勢力を調整することができる。

さらに、本実施形態では、圧縮コイルばね６１を横向き（前後方向）に向けた状態で支基本体部４１の上方の第一内部空間Ｓ１に収容することができる。そして、圧縮コイルばね６１の後端部（ばね後端支持部６３）を背凭れ２０の回動部材３８に形成される第二内部空間Ｓ２に位置させて調整手段７０に連結することができ、調整手段７０と操作手段８０を簡単な構造により連結することができる。このように本実施形態では、調整手段７０と操作手段８０を椅子１の後方に配置させることができるので、着座者がよりアクセスし易い位置に操作手段８０の操作レバー８２を配置することができる。

さらにまた、本実施形態による椅子１では、支基本体部４１の上部に座１７を受ける座受け部材５０が前後方向に摺動可能に支持され、圧縮コイルばね６１の前端部が座受け部材５０の前部に固定されているので、背凭れ２０の傾動時に座受け部材５０も後方に移動するため、その座受け部材５０の後方移動によって圧縮コイルばね６１が前方から圧縮される付勢力が付与される。そのため、本実施形態では、背凭れ２０が傾動状態Ｐ２となっている際に、圧縮コイルばね６１が背凭れ２０と座受け部材５０との両方から付勢されるので、付勢力を増大させることができる。

なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。

例えば、上記に示す実施形態では、付勢手段６０が支基本体部４１（支持構造体）に設けられた構成としているが、付勢手段６０が背凭れ２０に設けられた構成とすることも可能である。要は、操作手段８０が回動主軸４２（軸線）より後方、かつ背凭れ２０の幅方向側方の部位に配置されていればよいのである。

また、本実施形態では、背凭れ２０の回動部材３８に幅方向に離間する一対の側壁３８２を備え、調整手段７０が側壁３８２間の空間（第二内部空間Ｓ２）に配置されているが、回動部材３８の一対の側壁３８２が設けられていない構成であってもよい。

また、本実施形態では第二内部空間Ｓ２が第一内部空間Ｓ１の一部になっているが、これに限定されることはなく、第一内部空間Ｓ１と第二内部空間Ｓ２とが重なることなく分かれていても良い。

さらに、本実施形態では、調整手段７０が付勢手段６０に作用する作用部材（作用軸７１および調整軸７２）と、作用部材を可動に支持する支持部材７３と、を備え、支持部材７３が背凭れ２０に固定された構成としているが、支持部材７３によって背凭れ２０に固定されていない構成であってもよい。
なお、操作手段８０の配置として、操作レバー８２が背凭れ２０の幅方向側方に配置されていればよいことから、例えば操作軸８１を幅方向の軸線回りに枢支する部位が、回動部材３８の背面（図８に示す符号３８ｂ）に突出している形態を採用することも可能である。

さらにまた、付勢手段６０、調整手段７０、および操作手段８０の具体的な構成は配置については、適宜変更可能である。例えば、付勢手段として本実施形態では一対の圧縮コイルばね６１を採用しているが、他の付勢部材を採用することも可能である。

その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。

１ 椅子
１２ 脚柱
１７ 座
２０ 背凭れ
２０Ａ 背凭れ構造体
３０ 背凭れ支持部材
３８ 回動部材
３９ 副軸
４０ 支基
４１ 支基本体部（支持構造体）
４２ 回動主軸（軸線）
５０ 座受け部材
６０ 付勢手段
６１ 圧縮コイルばね
６２ ばね前端支持部
６３ ばね後端支持部
７０ 調整手段
７１ 作用軸
７２ 調整軸
７３ 支持部材
８０ 操作手段
８１ 操作軸
８２ 操作レバー
３８２ 側壁
Ｓ１ 第一内部空間
Ｓ２ 第二内部空間（空間）

Claims (7)

1. 支持構造体と、
   前記支持構造体に対して前記支持構造体の幅方向に沿う軸線回りに回転可能に支持され、初期状態から後方に傾動させた傾動状態に変位可能な背凭れと、
   前記傾動状態にある前記背凭れを、前記初期状態に復帰する方向に付勢する付勢手段と、
   前記付勢手段の付勢力を調整する調整手段と、
   前記調整手段に連結され、前記調整手段を作動させる操作手段と、を備え、
   前記付勢手段は、前記背凭れ、又は前記支持構造体に設けられ、
   前記調整手段は、前記背凭れに設けられ、
   前記操作手段は、前記軸線より後方、かつ前記背凭れの前記幅方向側方の部位に配置されている椅子。
2. 前記背凭れは、前記幅方向に離間する一対の側壁を備え、
   前記調整手段は、前記側壁間の空間に配置され、
   前記操作手段は、前記幅方向に延在し、前記空間内から前記側壁の外方に突出する操作軸を備え、
   前記操作軸は、軸方向の一端に操作レバーを有し、他端が前記空間において前記調整手段に連結されている請求項１に記載の椅子。
3. 前記空間は、前記支持構造体の上方に位置している請求項２に記載の椅子。
4. 前記調整手段は、前記付勢手段に作用する作用部材と、該作用部材を可動に支持する支持部材と、を備え、
   前記支持部材は、前記背凭れに固定されている請求項１乃至３のいずれか１項に記載の椅子。
5. 前記作用部材は、前記付勢手段を支持する作用軸と、上方から見て軸方向が前後方向に配置され前記作用軸を前記軸方向に沿って移動可能とする調整軸と、を備え、
   前記操作手段の操作によって前記作用軸における前記調整軸上の所定位置に変位される請求項４に記載の椅子。
6. 前記付勢手段は、前記支持構造体の上方において前後方向に付勢する圧縮コイルばねを有し、
   前記圧縮コイルばねの後端部が前記背凭れ側に位置し、前記調整手段に連結されている請求項２乃至５のいずれか１項に記載の椅子。
7. 前記支持構造体の上部には、座を受ける座受け部材が前後方向に摺動可能に支持され、
   前記圧縮コイルばねの前端部は、前記座受け部材の前部に固定され、
   前記背凭れが前記傾動状態にあるとき、前記座受け部材が方向に移動して前記圧縮コイルばねを前方から圧縮する請求項６に記載の椅子。
   

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