JP2023046041A - 衝突判定装置および起動制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】衝突形態を的確に検知したり、衝突形態に応じて乗員保護デバイスを的確に起動したりすること。【解決手段】車両(1)の衝突形態を判定するように構成された衝突判定装置(15)は、加速度取得部(151)と判定部(152)とを備えている。加速度取得部は、車両の車体(2)における左右部に設けられて前後方向加速度および左右方向加速度を検出するサイドセンサ(13)から出力された、前後方向加速度および左右方向加速度を取得する。判定部は、加速度取得部にて取得された前後方向加速度および左右方向加速度と、衝突形態に応じた前後方向加速度と左右方向加速度との関係を示す関係情報とに基づいて、衝突形態を判定する。【選択図】図1
Description
本発明は、車両の衝突形態を判定するように構成された衝突判定装置に関する。また、本発明は、車両に搭載される乗員保護デバイスの起動を制御するように構成された起動制御装置に関する。
特許文献1は、車両が衝突対象物に衝突した際に、この車両に搭載されたエアバッグ装置の起動を制御する起動制御装置を開示する。この起動制御装置は、フロントセンサと、フロアセンサと、出力値制御部とを備える。フロアセンサは、フロントセンサよりも車両後方に設けられる。出力値制御部は、フロントセンサおよびフロアセンサの検出値に基づいて、エアバッグ装置を起動する際のインフレータの出力値を制御する。
特許文献1に記載の構成によれば、衝突時の衝撃を的確に検出することにより、衝突形態(例えば、低速衝突、高速衝突、衝突対象物が柔らかい場合の不規則衝突、等。)を的確に判定することが可能となる。したがって、かかる構成によれば、衝突形態に応じてエアバッグ装置のインフレータの出力を最適値とすることが可能となる。
例えば、自車両の斜め前方から自車両に向かって進行してきた他車両が、自車両の前面には衝突せず、自車両の側面における前部(すなわち例えばフロントフェンダー部分等)に衝突する場合があり得る。この点、この種の装置において、このような衝突形態を的確に検知したり、衝突形態に応じて乗員保護デバイスを的確に起動したりすることにつき、さらなる性能向上は今後も継続して追求され得る。本発明は、上記に例示した事情等に鑑みてなされたものである。
衝突判定装置(15)は、車両(1)の衝突形態を判定するように構成されている。
請求項1に記載の衝突判定装置は、
前記車両の車体(2)における左右部に設けられて前後方向加速度および左右方向加速度を検出するサイドセンサ(13)から出力された、前記前後方向加速度および前記左右方向加速度を取得する、加速度取得部(151)と、
前記加速度取得部にて取得された前記前後方向加速度および前記左右方向加速度と、前記衝突形態に応じた前記前後方向加速度と前記左右方向加速度との関係を示す関係情報とに基づいて、前記衝突形態を判定する、判定部(152)と、
を備えている。
起動制御装置(10)は、車両(1)に搭載される乗員保護デバイス(11)の起動を制御するように構成されている。
請求項7に記載の起動制御装置は、
前記車両の車体(2)における左右部に設けられて前後方向加速度および左右方向加速度を検出する、サイドセンサ(13)と、
前記サイドセンサから出力された前記前後方向加速度および前記左右方向加速度を取得して、前記乗員保護デバイスの起動を制御する、電子制御装置(15)と、
を備え、
前記電子制御装置は、
前記サイドセンサから出力された、前記前後方向加速度および前記左右方向加速度を取得する、加速度取得部(151)と、
前記加速度取得部にて取得された前記前後方向加速度および前記左右方向加速度と、衝突形態に応じた前記前後方向加速度と前記左右方向加速度との関係を示す関係情報とに基づいて、前面衝突用の前記乗員保護デバイスの起動可否を判定する、判定部(152)と、
を備えている。
請求項1に記載の衝突判定装置は、
前記車両の車体(2)における左右部に設けられて前後方向加速度および左右方向加速度を検出するサイドセンサ(13)から出力された、前記前後方向加速度および前記左右方向加速度を取得する、加速度取得部(151)と、
前記加速度取得部にて取得された前記前後方向加速度および前記左右方向加速度と、前記衝突形態に応じた前記前後方向加速度と前記左右方向加速度との関係を示す関係情報とに基づいて、前記衝突形態を判定する、判定部(152)と、
を備えている。
起動制御装置(10)は、車両(1)に搭載される乗員保護デバイス(11)の起動を制御するように構成されている。
請求項7に記載の起動制御装置は、
前記車両の車体(2)における左右部に設けられて前後方向加速度および左右方向加速度を検出する、サイドセンサ(13)と、
前記サイドセンサから出力された前記前後方向加速度および前記左右方向加速度を取得して、前記乗員保護デバイスの起動を制御する、電子制御装置(15)と、
を備え、
前記電子制御装置は、
前記サイドセンサから出力された、前記前後方向加速度および前記左右方向加速度を取得する、加速度取得部(151)と、
前記加速度取得部にて取得された前記前後方向加速度および前記左右方向加速度と、衝突形態に応じた前記前後方向加速度と前記左右方向加速度との関係を示す関係情報とに基づいて、前面衝突用の前記乗員保護デバイスの起動可否を判定する、判定部(152)と、
を備えている。
なお、出願書類の各欄において、各要素に括弧付きの参照符号が付される場合がある。しかしながら、かかる参照符号は、同要素と後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係の一例を、単に示すものにすぎない。よって、本発明は、上記の参照符号の記載によって、何ら限定されるものではない。
(実施形態)
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、一つの実施形態に対して適用可能な各種の変形例については、当該実施形態に関する一連の説明の途中に挿入されると当該実施形態の理解が妨げられるおそれがある。このため、変形例は、実施形態の説明の後にまとめて記載する。
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、一つの実施形態に対して適用可能な各種の変形例については、当該実施形態に関する一連の説明の途中に挿入されると当該実施形態の理解が妨げられるおそれがある。このため、変形例は、実施形態の説明の後にまとめて記載する。
(車載システム構成)
まず、図1を参照しつつ、実施形態の適用対象である車両1の概略構成について説明する。なお、説明の便宜上、図示の通りにXYZ三次元座標系を設定する。X軸方向は、前後方向すなわち車両全長方向であって、車両中心線LC1と平行となる。車両中心線LC1は、車両1の平面視における中心点あるいは重心点である基準点RPを通る仮想直線である。X軸正方向は、前進走行時の車両進行方向に相当する。Y軸方向は、左右方向すなわち車幅方向である。基準点RPを通りY軸方向と平行な仮想直線を車幅方向線LC2と称する。Z軸方向は、車高方向であって、車両1が走行可能な状態で安定的に水平面上に載置された状態にて重力作用方向と平行となる。
まず、図1を参照しつつ、実施形態の適用対象である車両1の概略構成について説明する。なお、説明の便宜上、図示の通りにXYZ三次元座標系を設定する。X軸方向は、前後方向すなわち車両全長方向であって、車両中心線LC1と平行となる。車両中心線LC1は、車両1の平面視における中心点あるいは重心点である基準点RPを通る仮想直線である。X軸正方向は、前進走行時の車両進行方向に相当する。Y軸方向は、左右方向すなわち車幅方向である。基準点RPを通りY軸方向と平行な仮想直線を車幅方向線LC2と称する。Z軸方向は、車高方向であって、車両1が走行可能な状態で安定的に水平面上に載置された状態にて重力作用方向と平行となる。
車両1は、いわゆる自動車であって、箱状の車体2を有している。車体2の前面3には、フロントバンパー4が装着されている。車体2の後面5には、リアバンパー6が装着されている。車体2の側面7には、ドアパネル等の側面パネル8が装着されている。
車両1には、車載システム10が搭載されている。本実施形態に係る車載システム10を搭載する車両1を、以下「自車両」と称する。本実施形態に係る起動制御装置としての車載システム10は、自車両に搭載される乗員保護デバイス11の起動を制御するように構成されている。すなわち、乗員保護システムとも称され得る車載システム10は、自車両の外部に存在する物体と自車両とが衝突した場合に、乗員保護デバイス11により自車両の乗員を保護するように設けられている。本実施形態においては、乗員保護デバイス11は、前面衝突用の保護デバイスであって、運転席エアバッグや助手席エアバッグ等を備えている。
車体2における前部には、フロントセンサ12が設けられている。フロントセンサ12は、フロントバンパー4を車体2の内側から支持する不図示の車体部品に装着されている。フロントセンサ12は、左右一対設けられている。すなわち、車体2には、左フロントセンサ12Lと右フロントセンサ12Rとが装着されている。左フロントセンサ12Lと右フロントセンサ12Rとは、車両中心線LC1を挟んで対称に配置されている。フロントセンサ12は、いわゆる一軸センサであって、自車両と物体との衝突発生の際に車体2に作用する前後方向加速度(すなわちX軸方向加速度)を検出するとともに、その検出結果を出力するように構成されている。
車体2における左右部には、サイドセンサ13が設けられている。サイドセンサ13は、車体2の車幅方向における両端部且つ車両全長方向における略中央部に配置されている。すなわち、車体2には、左サイドセンサ13Lと右サイドセンサ13Rとが装着されている。左サイドセンサ13Lと右サイドセンサ13Rとは、車両中心線LC1を挟んで対称に配置されている。サイドセンサ13は、いわゆる二軸センサであって、自車両と物体との衝突発生の際に車体2に作用する左右方向加速度(すなわちY軸方向加速度)および前後方向加速度を検出するとともに、その検出結果を出力するように構成されている。
車載システム10は、乗員保護デバイス11、フロントセンサ12、およびサイドセンサ13に加えて、フロアセンサ14を備えている。フロアセンサ14は、平面視にて車両中心線LC1上に配置されつつ、車体2の内部に収容されている。フロアセンサ14は、いわゆる一軸センサであって、自車両と物体との衝突発生の際に車体2に作用する前後方向加速度を検出するとともに、その検出結果を出力するように構成されている。フロアセンサ14は、電子制御装置15に内蔵されている。
電子制御装置15は、いわゆるエアバッグECUとしての構成を有していて、フロントセンサ12、サイドセンサ13、およびフロアセンサ14の出力に基づいて乗員保護デバイス11を起動するように構成されている。ECUはElectronic Control Unitの略である。本実施形態においては、電子制御装置15は、図示しないCPU、ROM、RAM、不揮発性リライタブルメモリ、等を備えた車載マイクロコンピュータとしての構成を有している。不揮発性リライタブルメモリは、電源投入中は情報を書き換え可能である一方で電源遮断中は情報を書き換え不能に保持する記憶装置であって、例えばフラッシュROM等である。ROM、RAMおよび不揮発性リライタブルメモリは、非遷移的実体的記憶媒体である。電子制御装置15は、ROMまたは不揮発性リライタブルメモリに格納された制御プログラムを読み出して実行することで、車載システム10の動作を制御するように構成されている。
本実施形態においては、衝突判定装置として機能する電子制御装置15は、サイドセンサ13から出力された前後方向加速度および左右方向加速度を取得して、自車両の衝突形態を判定するとともに乗員保護デバイス11の起動を制御するように構成されている。具体的には、電子制御装置15は、サイドセンサ13の出力に基づいて、発生した衝突が前面衝突用の乗員保護デバイス11を起動する必要がある衝突態様であるか否か(すなわち典型的には前面衝突か側面衝突か)を判定するようになっている。また、電子制御装置15は、発生した衝突が前面衝突用の乗員保護デバイス11を起動する必要がある衝突態様であることを判定した場合に、前面衝突用の乗員保護デバイス11を起動するようになっている。
より詳細には、電子制御装置15は、加速度取得部151と判定部152とを備えている。加速度取得部151は、サイドセンサ13から出力された、前後方向加速度および左右方向加速度を取得するように設けられている。判定部152は、加速度取得部151にて取得された前後方向加速度および左右方向加速度と、所定の関係情報とに基づいて、衝突形態を判定するとともに前面衝突用の乗員保護デバイス11の起動可否を判定するように設けられている。「関係情報」は、衝突形態に応じた前後方向加速度と左右方向加速度との関係を示す情報であって、例えば、前後方向加速度および左右方向加速度をパラメータとして複数の衝突形態を区分する、マップやルックアップテーブル等である。具体的には、本実施形態においては、関係情報は、前後方向加速度を第一軸とし左右方向加速度を第二軸とする二次元座標空間内にて、第一種衝突と第二種衝突とを区分するように形成されている。第一種衝突は、前面衝突用の乗員保護デバイス11の起動の必要性が高い衝突形態であって、典型的には前面衝突である。これに対し、第二種衝突は、前面衝突用の乗員保護デバイス11の起動の必要性が前面衝突よりも低い衝突形態であって、典型的には側面衝突である。
図2は、判定部152におけるロジック構成の一例を示す。図2において、「Gx」は前後方向加速度を示し、「Gy」は左右方向加速度を示し、「FC」は、第一種衝突を示し、「前面衝突」の略である。「SC」は、第二種衝突を示し、「側面衝突」の略である。左側X軸方向加速度GLxは、左サイドセンサ13Lにて検出および出力された前後方向加速度である。左側Y軸方向加速度GLyは、左サイドセンサ13Lにて検出および出力された左右方向加速度である。右側X軸方向加速度GRxは、右サイドセンサ13Rにて検出および出力された前後方向加速度である。右側Y軸方向加速度GRyは、右サイドセンサ13Rにて検出および出力された左右方向加速度である。図2を参照すると、判定部152は、第一左側判定ロジック521aと、第一右側判定ロジック521bと、第二左側判定ロジック522aと、第二右側判定ロジック522bと、前突判定ロジック523とを有している。
第一左側判定ロジック521aは、左側X軸方向加速度GLxおよび左側Y軸方向加速度GLyと、図3に示された第一関係情報とに基づいて、発生した衝突が第一種衝突か第二種衝突かを判定するようになっている。図3に示されているように、第一関係情報は、第二種衝突すなわち側面衝突にて、左右方向加速度の方が前後方向加速度よりも大きいという関係に基づいて形成されている。具体的には、この第一関係情報は、横軸を左右方向加速度Gyとし縦軸を前後方向加速度Gxとする二次元座標(Gy,Gx)において、原点(0,0)を通る直線Gx=k・Gyにより第一種衝突と第二種衝突とを区分する、マップあるいはルックアップテーブルである。0<k<1である。すなわち、第一左側判定ロジック521aは、(Gy,Gx)=(GLy,GLx)が図3に示された右上がりの直線よりも上側の領域FC内である場合に、第一種衝突の発生を判定するようになっている。同様に、第一右側判定ロジック521bは、右側X軸方向加速度GRxおよび右側Y軸方向加速度GRyと、図3に示された第一関係情報とに基づいて、発生した衝突が第一種衝突か第二種衝突かを判定するようになっている。
第二左側判定ロジック522aは、第一左側判定ロジック521aにて第一種衝突の発生が判定された場合に動作するように設けられている。第二左側判定ロジック522aは、左側X軸方向加速度GLxおよび左側Y軸方向加速度GLyと、図4に示された第二関係情報とに基づいて、前面衝突用の乗員保護デバイス11の起動を判定するようになっている。第二右側判定ロジック522bは、第一右側判定ロジック521bにて第一種衝突の発生が判定された場合に動作するように設けられている。第二右側判定ロジック522bは、右側X軸方向加速度GRxおよび右側Y軸方向加速度GRyと、図4に示された第二関係情報とに基づいて、前面衝突用の乗員保護デバイス11の起動を判定するようになっている。すなわち、本実施形態においては、判定部152は、発生した衝突が第二種衝突とは異なることを判定した後に、乗員保護デバイス11の起動が必要な第一種衝突の発生の有無を判定するように構成されている。
図4に示されているように、第二関係情報は、前後方向加速度Gxおよび左右方向加速度Gyに基づいて、前面衝突用の乗員保護デバイス11の起動可否を判定するための、マップあるいはルックアップテーブルである。図4において、「ON」は、前面衝突用の乗員保護デバイス11が起動されることを示し、「OFF」は、かかる乗員保護デバイス11が起動されないことを示す。「ON」と「OFF」とを区分する線は、かかる乗員保護デバイス11の起動が必要な衝突の発生を判定する起動閾値を示す。すなわち、第二関係情報は、かかる起動閾値を規定する起動閾値情報に相当する。図示の通り、起動閾値情報は、左右方向加速度Gyが低加速度領域から高加速度領域に向かうにつれて(すなわち0から増加するにつれて)起動閾値に対応する前後方向加速度Gxが小さくなるような、図中右下がりの直線で示される関係に基づいて形成されている。また、かかる起動閾値情報は、左右方向加速度Gyが所定値を超えると起動閾値に対応する前後方向加速度Gxが一定値となるように、折れ線的に形成されている。ここで、図4に示されている点線は、図5に示されている衝突角度θが30度および60度の場合に発生し得る加速度範囲を示している。図5は、自車両の斜め前方から自車両に向かって進行してきた他車両BVが、自車両の前面3には衝突せず、自車両の側面7における前部に衝突する場面を示す。図5に示されているように、衝突角度θは、自車両と衝突した他車両BVの進行方向に対応する仮想直線である他車両中心線LC3と自車両の車両中心線LC1とのなす角度である。図4および図5に示されているように、起動閾値情報は、衝突角度θが大きくなるにつれて起動閾値に対応する前後方向加速度Gxが小さくなるような関係に基づいて形成されている。
本実施形態においては、第二左側判定ロジック522aは、(Gy,Gx)=(GLy,GLx)が図4に示されたON領域内である場合に、起動信号を出力するようになっている。同様に、第二右側判定ロジック522bは、(Gy,Gx)=(GRy,GRx)が図4に示されたON領域内である場合に、起動信号を出力するようになっている。そして、前突判定ロジック523は、第二左側判定ロジック522aと第二右側判定ロジック522bとのうちの少なくともいずれか一方にて起動信号が出力された場合に、トリガー信号を出力するように設けられている。トリガー信号は、前面衝突用の乗員保護デバイス11を起動するために、かかる乗員保護デバイス11に出力される信号である。
(動作概要)
以下、本実施形態の動作概要について、本実施形態により奏される効果とともに、図1~図7を参照しつつ説明する。
以下、本実施形態の動作概要について、本実施形態により奏される効果とともに、図1~図7を参照しつつ説明する。
図5に示されているように、自車両の斜め前方から自車両に向かって進行してきた他車両BVが、自車両の前面3には衝突せず、自車両の側面7における前部に衝突する場合があり得る。このような態様の衝突を、以下「非正面斜突」と称する。なお、図5は、車両中心線LC1に沿って直進中の自車両における車体2の左前部に、他車両中心線LC3に沿って直進中の他車両BVが衝突する、典型的な非正面衝突例を示す。また、図5は、かかる典型的な非正面衝突例として、衝突位置が自車両の左衝フロントフェンダー部とし、衝突角度θを45度とした場合を示す。
図6は、図5に示された衝突例における衝突側センサすなわち左フロントセンサ12Lおよび左サイドセンサ13Lの出力を示す。図6において、点線が左フロントセンサ12Lの出力を示し、実線が左サイドセンサ13Lの出力を示す。図7は、図5に示された衝突例における非衝突側センサすなわち右フロントセンサ12Rおよび右サイドセンサ13Rの出力を示す。図7において、点線が右フロントセンサ12Rの出力を示し、実線が右サイドセンサ13Rの出力を示す。
非正面斜突(例えば典型的には衝突角度θ=30~60度)の場合、車体2におけるフロントセンサ12が装着された部位への衝撃は、比較的小さい。このため、図6および図7に示されているように、非正面斜突によるフロントセンサ12への加速度の入力は、比較的小さくなる。よって、特許文献1のような、フロントセンサ12により検出した前後方向加速度に基づく従来の判定手法では、このような衝突形態を的確に検知したり、衝突形態に応じて乗員保護デバイス11を的確に起動したりすることにつき、まだまだ改善の余地があった。
一方、図6に示されているように、非正面斜突により、衝突側のサイドセンサ13に対して、比較的大きな前後方向加速度が伝達されることが分かる。但し、サイドセンサ13が受ける前後方向加速度の大きさは、走行状態や相対速度の他に、衝突角度θの影響を受ける。すなわち、衝突直前の自車両と他車両BVとの相対速度や加減速状態が同一であっても、衝突角度θが小さいほどサイドセンサ13が大きな前後方向加速度を受ける。一方、衝突角度θが大きいほど、サイドセンサ13が受ける前後方向加速度は小さくなる。そして、θ=90度にて、完全な側面衝突となる。
このように、非正面斜突においては、衝突角度θによって、前後方向加速度と左右方向加速度とで出力の違いが生じる。このため、図4に示されているように、衝突角度θに応じた判定閾値とすることで、広範囲な衝突角度θにおいて確実な衝突判定が可能となる。但し、比較的大きな側面衝突においては、前後方向加速度の入力も生じるため、前面衝突判定が成立してしまう懸念がある。
そこで、本実施形態は、側面衝突においては左右方向加速度の方が前後方向加速度よりも大きくなるという特徴を考慮して、図3に示された関係情報を用いて第一種衝突を判定した後、図4に示された関係情報を用いて乗員保護デバイス11を起動する。すなわち、本実施形態は、以下の2つの特徴を用いて、前面衝突用の乗員保護デバイス11の起動が必要な第一種衝突の発生の有無を判定する。
・側面衝突において、左右方向加速度の方が、前後方向加速度よりも大きくなる。
・非正面斜突において、衝突角度θが小さいほど、サイドセンサ13が大きな前後方向加速度を受ける。
・側面衝突において、左右方向加速度の方が、前後方向加速度よりも大きくなる。
・非正面斜突において、衝突角度θが小さいほど、サイドセンサ13が大きな前後方向加速度を受ける。
本実施形態によれば、従来技術では的確な検知が困難であった非正面衝突を、的確に検知することが可能となる。また、本実施形態によれば、第一種衝突と第二種衝突とを判別するロジックを用いることで、側面衝突で大きな入力が入るサイドセンサ13を利用しても確実に前面衝突を検知することが可能となる。さらに、本実施形態によれば、衝突角度θが小さく前面衝突用の乗員保護デバイス11の起動が必要な非正面斜突において、当該乗員保護デバイス11を的確に起動することが可能となる。
(変形例)
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。故に、上記実施形態に対しては、適宜変更が可能である。以下、代表的な変形例について説明する。以下の変形例の説明においては、上記実施形態との相違点を主として説明する。また、上記実施形態と変形例とにおいて、互いに同一または均等である部分には、同一の符号が付されている。したがって、以下の変形例の説明において、上記実施形態と同一の符号を有する構成要素に関しては、技術的矛盾または特段の追加説明なき限り、上記実施形態における説明が適宜援用され得る。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。故に、上記実施形態に対しては、適宜変更が可能である。以下、代表的な変形例について説明する。以下の変形例の説明においては、上記実施形態との相違点を主として説明する。また、上記実施形態と変形例とにおいて、互いに同一または均等である部分には、同一の符号が付されている。したがって、以下の変形例の説明において、上記実施形態と同一の符号を有する構成要素に関しては、技術的矛盾または特段の追加説明なき限り、上記実施形態における説明が適宜援用され得る。
本発明は、上記実施形態にて示された具体的な装置構成に限定されない。すなわち、例えば、上記実施形態にて記載されている通り、サイドセンサ13を用いて、前面衝突の検知と、前面衝突用の乗員保護デバイス11の起動が可能となる。このため、フロントセンサ12は、省略可能である。但し、典型的な前面衝突をより早期に判定するという観点や、冗長化の観点から、フロントセンサ12およびこれを用いた前面衝突判定は、上記実施形態におけるサイドセンサ13を用いた衝突判定と並列で設けられ得る。フロアセンサ14についても同様であり、最低限本発明を実施可能化するという観点からは省略可能ではあるが、併用され得る。
前面衝突用以外の乗員保護デバイス11が搭載されている場合に対しても、本発明は好適に適用され得る。
図2に示されているように、上記実施形態は、最初に、前面衝突用の乗員保護デバイス11の起動が不要な衝突形態であるかを、第一左側判定ロジック521aおよび第一右側判定ロジック521bにより判定した。かかる判定を「側突/前突判定」と称する。「前面衝突用の乗員保護デバイス11の起動が不要な衝突形態」は、典型的には側面衝突であるが、上記の非正面衝突における衝突角度θが90度近辺の大きな角度である場合も含む。その後、上記実施形態は、前面衝突用の乗員保護デバイス11の起動が必要な衝突の発生の有無を、第二左側判定ロジック522aおよび第二右側判定ロジック522bにより判定した。かかる判定を「起動判定」と称する。
すなわち、上記実施形態においては、側突/前突判定と起動判定とが、二段階のロジックで別々に実行されていた。しかしながら、本発明は、かかる態様に限定されない。例えば、側突/前突判定と起動判定とは、一段階のロジックにより同時に実行され得る。図8に示されたロジック構成は、本変形例に対応するものである。すなわち、図8に示された判定部152は、前突判定ロジック523と、左側判定ロジック524と、右側判定ロジック525とを有している。左側判定ロジック524は、第一左側判定ロジック521aと第二左側判定ロジック522aとを一体化したものに相当する。また、右側判定ロジック525は、第一右側判定ロジック521bと第二右側判定ロジック522bとを一体化したものに相当する。
具体的には、左側判定ロジック524は、左側X軸方向加速度GLxおよび左側Y軸方向加速度GLyと、図9に示された関係情報とに基づいて、前面衝突用の乗員保護デバイス11の起動を判定するようになっている。右側判定ロジック525は、右側X軸方向加速度GRxおよび右側Y軸方向加速度GRyと、図9に示された関係情報とに基づいて、前面衝突用の乗員保護デバイス11の起動を判定するようになっている。図9に示された関係情報は、前後方向加速度Gxおよび左右方向加速度Gyに基づいて、前面衝突用の乗員保護デバイス11の起動可否を判定するための、マップあるいはルックアップテーブルである。この関連情報は、図3に示された第一関連情報と、図4に示された第二関連情報とを組み合わせたものである。前突判定ロジック523は、左側判定ロジック524と右側判定ロジック525とのうちの少なくともいずれか一方にて起動信号が出力された場合に、トリガー信号を出力するように設けられている。本変形例によれば、ロジック構成が簡略化され得る。
電子制御装置15の全部または一部は、上記のような動作を可能に構成されたデジタル回路、例えばASICあるいはFPGAを備えた構成であってもよい。ASICはApplication Specific Integrated Circuitの略である。FPGAはField Programmable Gate Arrayの略である。すなわち、電子制御装置15において、車載マイクロコンピュータ部分とデジタル回路部分とは併存し得る。
このように、上記の各機能構成および方法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つあるいは複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、上記の各機能構成および方法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、上記の各機能構成および方法は、一つあるいは複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移的実体的記憶媒体に記憶されていてもよい。すなわち、上記の各機能構成および方法は、これを実現するための手順を含むコンピュータプログラム、あるいは、当該プログラムを記憶した非遷移的実体的記憶媒体としても表現可能である。
上記実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、構成要素の個数、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数値に限定される場合等を除き、その特定の数値に本発明が限定されることはない。同様に、構成要素等の形状、方向、位置関係等が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に特定の形状、方向、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、方向、位置関係等に本発明が限定されることはない。
変形例も、上記の例示に限定されない。すなわち、或る実施形態の一部と、他の実施形態の一部とが、互いに組み合わされ得る。また、複数の変形例が、互いに組み合わされ得る。更に、上記実施形態の全部または一部と、変形例の全部または一部とが、互いに組み合わされ得る。
1 車両
2 車体
10 車載システム(起動制御装置)
11 乗員保護デバイス
13 サイドセンサ
15 電子制御装置(衝突判定装置)
151 加速度取得部
152 判定部
BV 他車両
LC1 車両中心線
2 車体
10 車載システム(起動制御装置)
11 乗員保護デバイス
13 サイドセンサ
15 電子制御装置(衝突判定装置)
151 加速度取得部
152 判定部
BV 他車両
LC1 車両中心線
Claims (12)
- 車両(1)の衝突形態を判定するように構成された、衝突判定装置(15)であって、
前記車両の車体(2)における左右部に設けられて前後方向加速度および左右方向加速度を検出するサイドセンサ(13)から出力された、前記前後方向加速度および前記左右方向加速度を取得する、加速度取得部(151)と、
前記加速度取得部にて取得された前記前後方向加速度および前記左右方向加速度と、前記衝突形態に応じた前記前後方向加速度と前記左右方向加速度との関係を示す関係情報とに基づいて、前記衝突形態を判定する、判定部(152)と、
を備えた衝突判定装置。 - 前記判定部は、前記前後方向加速度を第一軸とし前記左右方向加速度を第二軸とする二次元座標空間内にて第一種衝突と第二種衝突とを区分するように形成された前記関係情報に基づいて、前記衝突形態を判定し、
前記第一種衝突は、前記第二種衝突よりも、前面衝突用の乗員保護デバイス(11)の起動の必要性が高い前記衝突形態である、
請求項1に記載の衝突判定装置。 - 前記関係情報は、前記第二種衝突にて、前記左右方向加速度の方が前記前後方向加速度よりも大きいという関係に基づいて形成された、
請求項2に記載の衝突判定装置。 - 前記判定部は、発生した衝突が前記第二種衝突とは異なることを判定した後に、前記第一種衝突の発生の有無を判定する、
請求項3に記載の衝突判定装置。 - 前記関係情報は、前記第一種衝突の発生を判定する起動閾値を規定する起動閾値情報を含み、
前記起動閾値情報は、前記左右方向加速度が低加速度領域から高加速度領域に向かうにつれて前記起動閾値に対応する前記前後方向加速度が小さくなるような関係に基づいて形成された、
請求項2~4のいずれか1つに記載の衝突判定装置。 - 前記起動閾値情報は、前記車両の車両中心線(LC1)と前記車両と衝突した他車両(BV)の進行方向とのなす角度である衝突角度が大きくなるにつれて前記起動閾値に対応する前記前後方向加速度が小さくなるような関係に基づいて形成された、
請求項5に記載の衝突判定装置。 - 車両(1)に搭載される乗員保護デバイス(11)の起動を制御するように構成された、起動制御装置(10)であって、
前記車両の車体(2)における左右部に設けられて前後方向加速度および左右方向加速度を検出する、サイドセンサ(13)と、
前記サイドセンサから出力された前記前後方向加速度および前記左右方向加速度を取得して、前記乗員保護デバイスの起動を制御する、電子制御装置(15)と、
を備え、
前記電子制御装置は、
前記サイドセンサから出力された、前記前後方向加速度および前記左右方向加速度を取得する、加速度取得部(151)と、
前記加速度取得部にて取得された前記前後方向加速度および前記左右方向加速度と、衝突形態に応じた前記前後方向加速度と前記左右方向加速度との関係を示す関係情報とに基づいて、前面衝突用の前記乗員保護デバイスの起動可否を判定する、判定部(152)と、
を備えた起動制御装置。 - 前記判定部は、前記前後方向加速度を第一軸とし前記左右方向加速度を第二軸とする二次元座標空間内にて第一種衝突と第二種衝突とを区分するように形成された前記関係情報に基づいて、前記衝突形態を判定し、
前記第一種衝突は、前記第二種衝突よりも、前面衝突用の前記乗員保護デバイスの起動の必要性が高い前記衝突形態である、
請求項7に記載の起動制御装置。 - 前記関係情報は、前記第二種衝突にて、前記左右方向加速度の方が前記前後方向加速度よりも大きいという関係に基づいて形成された、
請求項8に記載の起動制御装置。 - 前記判定部は、発生した衝突が前記第二種衝突とは異なることを判定した後に、前記第一種衝突の発生の有無を判定する、
請求項9に記載の起動制御装置。 - 前記関係情報は、前面衝突用の前記乗員保護デバイスの起動の必要性が高い前記第一種衝突の発生を判定する起動閾値を規定する起動閾値情報を含み、
前記起動閾値情報は、前記左右方向加速度が低加速度領域から高加速度領域に向かうにつれて前記起動閾値に対応する前記前後方向加速度が小さくなるような関係に基づいて形成された、
請求項8~10のいずれか1つに記載の起動制御装置。 - 前記起動閾値情報は、前記車両の車両中心線(LC1)と前記車両と衝突した他車両(BV)の進行方向とのなす角度である衝突角度が大きくなるにつれて前記起動閾値に対応する前記前後方向加速度が小さくなるような関係に基づいて形成された、
請求項11に記載の起動制御装置。
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