以下、図面を参照して一実施形態について説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図面には必要に応じてXYZ直交座標系が示される。例えば、X軸及びY軸が水平方向であり、Z軸が鉛直方向である。
図1に示される電子部品の処理装置1は、所謂ダイソータである。処理装置1は、電子部品Wを搬送しながら、外観検査、電気特性検査、及びマーキング等の処理を施したうえでキャリアテープ及びトレイ等の収容部材に梱包する装置である。処理対象の電子部品Wは、例えば、半導体製造の前工程で形成された後にダイシング等によって個片化された部品である。
処理装置1は、複数種類の電子部品Wそれぞれに対する処理を行うように構成されていてもよい。処理個数又は日数等の単位で、処理対象の電子部品Wの種類が入れ替えられてもよい。処理装置1は、1つの種類の電子部品Wに対する処理を連続して行った後に、他の種類の電子部品Wに対する処理を連続して行ってもよい。処理装置1によって処理可能な複数種類の電子部品Wの大きさが、互いに異なっていてもよい。
処理装置1は、搬送処理ユニット2と、コントローラ100とを備える。搬送処理ユニット2は、複数の電子部品Wを順に搬送しながら、複数の電子部品Wに対して順に処理を施すユニットである。搬送処理ユニット2は、回転搬送ユニット10と、複数の処理ユニット4とを有する。
(回転搬送ユニット)
回転搬送ユニット10は、所定の中心軸Ax1まわりの円軌道CR1に沿って電子部品Wを搬送する。搬送対象の電子部品Wは、図2に示されるように、直方体状に形成されていてもよい。図2に例示される電子部品Wは、互いに平行な(互いに逆向きの)主面Wa,Wbと、主面Wa及び主面Wbを接続する4つの側面Wcとを有する。回転搬送ユニット10は、例えば、支持部12と、複数の部品保持部14と、搬送駆動部16と、複数の昇降駆動部18とを有する(図1も参照)。
支持部12は、円軌道CR1に位置するように部品保持部14を支持する。支持部12によって支持された状態の複数の部品保持部14は、円軌道CR1に位置する。支持部12は、円軌道CR1の中心軸Ax1まわりに回転可能となるように設けられている。円軌道CR1は、水平な円軌道であってもよく、中心軸Ax1は鉛直な軸線であってもよい(鉛直方向に沿って延びていてもよい)。支持部12は、例えば、ターンテーブルである。
複数の部品保持部14は、中心軸Ax1を中心とする円周に沿って等間隔に配置されており、支持部12に固定されている(取り付けられている)。本開示において、1つの部材が他の部材に固定されているとは、1つの部材が他の部材に直接接続されている場合に加えて、これら以外の部材を介して接続されている場合も含む。複数の部品保持部14それぞれは、電子部品Wを保持するように構成されている。部品保持部14は、所定の方向に沿って電子部品Wと対向した状態で、その電子部品Wを保持する。部品保持部14は、いかなる方式で電子部品Wを保持してもよい。電子部品Wを保持する方式の具体例としては、真空吸着、静電気式の吸着、及び把持等が挙げられる。部品保持部14は、支持部12(ターンテーブルの上面)に垂直な方向の一方側から、主面Wa,Wbのいずれかを真空吸着してもよい。
一例では、部品保持部14は、図2に示されるように、吸着部20と、ホルダ22と、昇降部24とを有する。吸着部20(部品保持部)は、電子部品Wの主面Wa,Wbのいずれかを上方から吸着するように構成されている。吸着部20は、例えば、支持部12に対して垂直に延びるように構成された吸着ロッドであり、その下端部において電子部品Wの主面Waを吸着する。吸着部20の下面には、電子部品Wに対して吸引力を加える吸引孔が設けられてもよい。ホルダ22は、支持部12よりも外方に配置されており、吸着部20を保持する。本開示では、中心軸を基準に「内」及び「外」の用語を使用する。昇降部24は、ホルダ22を支持しており、支持部12に対して昇降可能に固定されている。昇降部24の詳細については、後述する。
回転搬送ユニット10は、複数の進退駆動部25と設置部28とを有する。複数の進退駆動部25は、複数の部品保持部14にそれぞれ対応するように設けられている。図2では、複数の進退駆動部25のうちの1つの進退駆動部25が示されている。進退駆動部25(第2駆動部)は、中心軸Ax1に交差する方向(第2方向)に沿って、対応する部品保持部14を移動させる。本開示において、交差は、所謂立体交差のように互いにねじれの位置(関係)にある状態での交差を含む。進退駆動部25による部品保持部14の移動軸(部品保持部14の移動軌跡の延長線)は、中心軸Ax1に交点を有するように交差してもよく、中心軸Ax1に交点を有さないように交差してもよい。所定の方向に沿って移動させるとは、部品保持部14がその方向に沿って直進することを意味する。すなわち、進退駆動部25が部品保持部14を所定の方向に沿って移動させた場合には、部品保持部14の移動軌跡が、その方向に沿って延びることになる。
進退駆動部25によって部品保持部14が移動する方向は、円軌道CR1の径方向(第2方向)であってもよい。以下では、特に説明がない限り、単に「径方向」と表記した場合には、円軌道CR1の径方向を意味する。駆動対象の部品保持部14と中心軸Ax1とを最短の距離で結ぶ方向が、径方向に相当する。進退駆動部25は、中心軸Ax1から離れる方向、又は中心軸Ax1に近づく方向に部品保持部14を移動させる。径方向に沿った部品保持部14の移動により、部品保持部14と中心軸Ax1との間の距離が変化する。
進退駆動部25は、部品保持部14の昇降部24を円軌道CR1の径方向に沿って移動させてもよい。進退駆動部25は、例えば、進退部26と、モータ27とを有する。進退部26は、円軌道CR1の径方向に沿って移動可能となるように支持部12に固定されている。モータ27は、進退部26を移動させるための駆動力を発生させる。進退部26の詳細については後述する。
設置部28は、進退駆動部25が設置される部材である。設置部28は、支持部12の上面の外周部に設けられている。設置部28は、基部29aと、突出部29bとを含む。基部29aは、支持部12の上面及び上記径方向に沿って延びるように板状に形成されている。突出部29bは、基部29aの中心軸Ax1から遠い方(外周側)の端部に設けられ、基部29aの上面から突出する。突出部29bは、支持部12の外周縁に位置していてもよい。
ここで、進退部26及び昇降部24の一例について、その詳細を説明する。進退部26は、基部31と、可動部32と、受け部34と、接続部35と、スプリング37と、延出部38とを含む。基部31は、設置部28の上方において設置部28を覆うように配置され、支持部12の上面及び径方向に沿って延びるように形成されている。基部31は、その一部が支持部12の外周縁よりも外に張り出すように配置されている。
可動部32は、径方向に沿って移動可能となるように、その下面が設置部28の基部29aに接続されている。可動部32は、基部31を支持している。受け部34は、基部31の内側の端部において、基部31の下面から下方に向けて突出している。受け部34には、モータ27からの外向きの駆動力が付与される。接続部35は、基部31の下面から下方に延びており、径方向において、受け部34との間に可動部32を挟むように設けられる。接続部35は、設置部28の突出部29bと径方向において対向しており、突出部29bの内側に位置する。スプリング37は、突出部29bと接続部35との間に設けられており、進退部26の移動に伴って反力を発生させるように構成されている。
延出部38は、基部31の外側の端部において、基部31の下面から下方に向けて延びるように形成されている。延出部38の延在方向の長さは、接続部35の長さ及び受け部34の長さよりも長くてもよい。延出部38は、突出部29b及び支持部12の外周縁よりも外に位置しており、径方向において延出部38と突出部29bとが互いに対向している。延出部38の外方を向く側面には、上述の昇降部24が昇降可能に設けられている。
昇降部24は、可動部42と、延出部44a,44bと、受け部46と、スプリング48とを含む。可動部42は、中心軸Ax1が延びる方向(図示のZ軸方向)に沿って移動可能となるように、延出部38の外方を向く側面に接続されている。延出部44aは、延出部38との間に可動部42を挟むように、可動部42に接続されている。延出部44aは、中心軸Ax1に沿って延びるように形成されており、基部31の上面よりも上方に張り出している。
延出部44bは、延出部44aの上端に接続されており、延出部44aとの接続部分を起点として、径方向に沿って中心軸Ax1に向かって延びている。延出部44bは、基部31の一部を覆うように配置されている。受け部46は、延出部44bの上面に設けられている。受け部46は、昇降部24を下降させるための駆動力を受ける部分である。受け部46は、径方向に沿って延びるように形成されている。上方から見て、受け部46は、四角形であってもよく、楕円形であってもよい。受け部46は、長手方向又は長軸方向が径方向に沿うように延出部44bの上面に設けられていてもよい。
スプリング48は、延出部44bと基部31との間に設けられており、昇降部24の移動に伴って反力を発生させるように構成されている。昇降部24は、2つのスプリング48を含んでもよい。上方から見て、少なくとも1つのスプリング48が、受け部46によって覆われていてもよい。
図1に戻り、搬送駆動部16は、円軌道CR1の中心軸Ax1まわりに支持部12を回転させるように構成されている。搬送駆動部16は、例えば、電動モータ等の動力源を用いて、ギヤを介さないダイレクトドライブによって中心軸Ax1まわりに支持部12を回転させる。支持部12の回転により、円軌道CR1に沿って複数の部品保持部14が移動する。その結果、部品保持部14によって保持されている電子部品Wが、円軌道CR1に沿って搬送される。
搬送駆動部16は、隣り合う部品保持部14同士の角度ピッチ(中心軸Axまわりの角度ピッチ)にて、支持部12の回転と停止とを繰り返すように制御される。以下、搬送駆動部16が支持部12を停止させる際に複数の部品保持部14(より詳細には、複数の吸着部20)それぞれが配置される複数の位置を「複数の停止位置SP」という。
昇降駆動部18(第1駆動部)は、部品保持部14と、その部品保持部14によって保持されている電子部品Wとが対向する方向に沿って、部品保持部14を移動させる。部品保持部14と、その部品保持部14によって保持されている電子部品Wとが互いに対向する方向(第1方向)は、中心軸Axと平行であってもよい。上記円軌道CR1の接線方向は、部品保持部14と電子部品Wとが互いに対向する上記方向に交差する。部品保持部14が上方から電子部品Wの主面Waを吸着保持する場合には、主面Waに垂直な方向において、部品保持部14と電子部品Wとが互いに対向している(並んでいる)。昇降駆動部18は、中心軸Ax1が延びる方向に沿って部品保持部14を移動させてもよい。
複数の昇降駆動部18は、複数の部品保持部14を個別に昇降させるように構成されている。図1では、昇降駆動部18の図示は省略されており、図2では、複数の昇降駆動部18のうちの1つの昇降駆動部18が示されている。昇降駆動部18は、停止位置SPに配置された部品保持部14に外力を加えることで、その部品保持部14を支持部12に垂直な方向の一方側に移動させる。昇降駆動部18は、例えば、鉛直方向において部品保持部14を下方に移動させる。
複数の昇降駆動部18は、複数の停止位置SPにそれぞれ対応するように設けられてもよい。部品保持部14を昇降させる必要がない停止位置SPには、昇降駆動部18が設けられていなくてもよい。昇降駆動部18は、平面視(上方から見ること)において、対応する停止位置SP又はその近傍に配置されている。昇降駆動部18は、対応する停止位置SPに配置されている部品保持部14の上方に位置する。昇降駆動部18は、対応する停止位置SPに順次配置されてくる部品保持部14を下方に移動させる。
回転搬送ユニット10は、図2に示されるように、複数の昇降駆動部18を固定する(支持する)固定部11を有してもよい。固定部11は、例えば、板状の部材であり、支持部12の上方に配置されている。固定部11は、支持部12の回転と共に回転しないように設けられている。そのため、支持部12が回転しても、複数の昇降駆動部18は移動しない。昇降駆動部18は、例えば、ホルダ52と、可動部53と、昇降ロッド54と、モータ58と、スプリング56とを有する。
ホルダ52は、支持部12の外周縁の鉛直上方において、固定部11の外周部に固定されている。ホルダ52の外周面には、ホルダ52の下半分における外方を向く側面よりも外に突出する突出部52aと、ホルダ52の下半分の上記側面よりも内側に窪む(凹む)窪み52bとが設けられている。可動部53は、中心軸Ax1が延びる方向(例えば、図示のZ軸方向)に沿って移動可能となるように、ホルダ52の下半分の領域における上記側面に接続されている。昇降ロッド54は、中心軸Ax1と平行な方向に沿って延びるように棒状に形成されており、可動部53によって支持(接続)されている。
受け部55は、昇降ロッド54の上端部に接続されており、昇降ロッド54との接続部分を起点として、内側に延びるように形成されている。受け部55は、突出部52aを覆うように配置されている。モータ58は、昇降ロッド54を下降させるための駆動力を受け部55に付与する。スプリング56は、受け部55と突出部52aとの間に設けられており、昇降ロッド54及び受け部55の移動に伴って反力を発生させるように構成されている。
図2に例示される回転搬送ユニット10において、中心軸Ax1が延びる方向(鉛直方向)に沿って吸着部20を移動させる際には、以下の動作が行われる。まず、モータ58によって、受け部55に対して下向きの力が付与される。受け部55への下向きの力の付与によって、可動部53及び昇降ロッド54が下降する。そして、昇降ロッド54の下降によって、昇降部24の受け部46に対して下向きの力が付与される。受け部46への下向きの力の付与によって、可動部42及び延出部44a,44bが下降し、その結果、ホルダ22と共に吸着部20が下降する。
吸着部20を元の位置(下降前の高さ位置)に戻す際には、以下の動作が行われる。モータ58からの受け部55への下向きの力が解除されると、スプリング56の反力によって、昇降ロッド54が上昇する。昇降ロッド54の上昇により、昇降ロッド54からの受け部46への下向きの力が解除され、スプリング48の反力によって、昇降部24、ホルダ22、及び吸着部20が元の位置まで上昇する。
吸着部20を円軌道CR1の径方向に沿って移動させる際には、以下の動作が行われる。まず、進退駆動部25のモータ27によって、受け部34に対して外向きの力が付与される。受け部34への外向きの力の付与によって、進退部26が、中心軸Ax1から遠ざかるように移動する。進退部26の移動によって、昇降部24が外方に向かって移動し、その結果、ホルダ22と共に吸着部20が外方に向かって移動する。
吸着部20を元の位置(移動前の位置)に戻す際には、以下の動作が行われる。モータ27からの受け部34への外向きの力が解除されると、スプリング37の反力によって、進退部26が、中心軸Ax1に近づくように移動する。進退部26の移動によって、昇降部24が内側に向かって移動し、その結果、ホルダ22と共に吸着部20が内側に向かって移動する。
(処理ユニット)
複数の処理ユニット4は、図1に示されるように、いくつかの停止位置SPにそれぞれ対応するように設けられている。図1に示される例とは異なり、全ての停止位置SPそれぞれに処理ユニット4が設けられてもよい。処理ユニット4は、対応する停止位置SPに配置された部品保持部14が保持する電子部品Wに対して、予め定められた処理を施すように構成されている。いくつかの処理ユニット4は、対応する停止位置SPの下方に配置されてもよい。
本開示において、電子部品Wに対して行う「処理」は、電子部品Wの状態を変化させるあらゆる行為を含む。例えば、電子部品Wにマーキング等を施すこと、電子部品Wを部品保持部14に保持させること(引き渡すこと)、及び部品保持部14から電子部品Wを回収すること(受け取ること)は、「処理」に該当する。また、電子部品Wに対する何らかの検査を実行することも、検査データが未知の状態を検査データが既知の状態に変化させるので「処理」に該当する。複数の処理ユニット4は、例えば、部品供給ユニット6と、部品回収ユニット7と、1つ又は複数の中間処理ユニット8とを含む。
部品供給ユニット6は、回転搬送ユニット10に対して電子部品Wを供給するユニットである。部品供給ユニット6は、いずれかの停止位置SPに対応するように配置されている。部品供給ユニット6は、例えば、複数の電子部品Wが収容された状態の収容部材(例えば、ウェハシート)を移動させることで、各電子部品Wを順に対応する停止位置SPの鉛直下方に配置する。対応する停止位置SPに配置された部品保持部14が、昇降駆動部18により下降しつつ、その停止位置SPの鉛直下方に配置された電子部品Wを受け取る。これにより、部品供給ユニット6から回転搬送ユニット10に電子部品Wが供給される。以下、部品供給ユニット6が電子部品Wを供給する供給用の停止位置SPを「供給位置SP1」と称する。
部品回収ユニット7は、回転搬送ユニット10から電子部品Wを回収するユニットである。部品回収ユニット7は、いずれかの停止位置SPに対応するように配置されている。部品回収ユニット7は、例えば、複数の電子部品Wを収容することが可能な収容部材(例えば、キャリアテープ)を移動させることで、収容部材に含まれる各収容部を対応する停止位置SPの鉛直下方に順に配置する。対応する停止位置SPに配置された部品保持部14が、昇降駆動部18により下降しつつ、その停止位置SPの下方に配置された収容部に電子部品Wを引き渡す。これにより、回転搬送ユニット10から部品回収ユニット7に電子部品Wが回収される。以下、部品回収ユニット7が電子部品Wを回収する回収用の停止位置SPを「回収位置SP2」と称する。
中間処理ユニット8は、供給位置SP1及び回収位置SP2以外のいずれかの停止位置SPに対応するように配置されており、電子部品Wに対して所定の処理を施すユニットである。中間処理ユニット8は、円軌道CR1において供給位置SP1よりも下流且つ回収位置SP2よりも上流に位置する停止位置SPにおいて、電子部品Wに対して処理を行う。中間処理ユニット8による処理の具体例としては、電気特性検査、光学特性検査、外観検査、姿勢又は位置の補正、及びマーキング(レーザマーキング)等が挙げられる。
複数の中間処理ユニット8は、外観検査ユニット60を含む。外観検査ユニット60は、円軌道CR1において供給位置SP1と回収位置SP2との間の経路上のいずれかの停止位置SPに対応するように配置されている。外観検査ユニット60は、対応する停止位置SPに配置された部品保持部14が保持する電子部品Wの外観検査を行うユニットである。以下では、外観検査ユニット60により検査が行われる検査用の停止位置SPを「検査位置IP」と称する。
外観検査ユニット60は、例えば、検査位置IPに配置された部品保持部14が保持する電子部品Wの1つの側面Wcを撮像することで、その側面Wcにおける外観を検査する。一例では、外観検査ユニット60による撮像画像によって、検査対象面である側面Wcにおける傷、チッピング(欠け)、又は異物の有無が検査される。外観検査ユニット60は、可視光を用いて側面Wcを撮像するカメラ62を含んでもよい。
カメラ62は、検査対象面である側面Wcから出射される光を集光することで、その側面Wcの撮像を行う。カメラ62は、例えば、検査対象面である側面Wcからの反射光を集光することで、当該側面Wcの撮像を行う。なお、カメラ62は、検査対象面である側面Wcを透過した光を集光することで、当該側面Wcの撮像を行ってもよい。カメラ62は、検査位置IPに位置する部品保持部14が保持する電子部品Wのうちの、円軌道CR1の径方向に沿って延びる側面Wcを撮像可能となるように配置されている。カメラ62が撮像する側面Wcは、円軌道CR1において下流を向く側面であってもよい。
カメラ62は、搬送駆動部16による複数の部品保持部14の移動と干渉しないように配置されており、その位置は固定されていてもよい。この場合、カメラ62による撮像範囲(以下、「撮像範囲PA」という。)は一定である。大きいサイズの電子部品Wが搬送される際に、カメラ62による撮像範囲PAの横幅は、側面Wcの横幅よりも小さくてもよく、カメラ62による撮像範囲PAの縦幅は、側面Wcの縦幅よりも大きくてもよい。以上のように、電子部品Wの種類によっては、カメラ62による撮像範囲PA(視野)が、側面Wcの全体よりも小さくなるように設定されていてもよい。
(コントローラ)
コントローラ100は、搬送処理ユニット2を制御する。コントローラ100は、1つ又は複数の制御用コンピュータによって構成される。コントローラ100は、複数の電子部品Wに対して所定の処理が順に施されるように、予め定められた制御手順に従って搬送処理ユニット2を制御する。
コントローラ100は、機能上の構成(以下、「機能モジュール」という。)として、例えば、搬送制御部112と、昇降制御部114と、進退制御部116と、検査制御部118とを有する。これらの機能モジュールが実行する処理は、コントローラ100が実行する処理に相当する。以下、各機能モジュール(コントローラ100)が実行する処理を、処理ユニット4による電子部品Wへの処理と区別するために「制御処理」と称する。
搬送制御部112は、円軌道CR1において隣り合う部品保持部14同士の角度ピッチにて、支持部12の回転と停止とを繰り返すように搬送駆動部16を制御する。支持部12の回転と停止とが交互に繰り返されることで、上述の停止位置SPにおける部品保持部14(吸着部20)の停止と、停止位置SPから次の停止位置SPへの部品保持部14(吸着部20)の移動とが繰り返される。
昇降制御部114は、停止位置SPに配置された部品保持部14(吸着部20)を下降させるように、当該停止位置SPに対応する昇降駆動部18を制御する。昇降制御部114は、例えば、停止位置SPの鉛直下方に配置された処理ユニット4に対して、部品保持部14が電子部品Wを引き渡す又は受け取る際に、部品保持部14を昇降駆動部18により下降させて元の位置まで上昇させる。この場合、昇降駆動部18は、処理ユニット4に近づけるように又は処理ユニット4から離れるように、中心軸Ax1に沿って部品保持部14を移動させる。
進退制御部116は、部品保持部14を円軌道CR1の径方向に沿って移動させるように進退駆動部25を制御する。進退制御部116は、検査位置IPに配置される際の部品保持部14の径方向の位置を変化させるように、進退駆動部25により部品保持部14を径方向に沿って移動させる。部品保持部14を径方向に沿って移動させた後に、進退制御部116は、移動前の位置に戻すように進退駆動部25により部品保持部14を移動させてもよい。進退制御部116は、検査位置IPに部品保持部14が配置された状態で進退駆動部25により部品保持部14を移動させてもよい。進退制御部116は、検査位置IPへの部品保持部14の配置前又は検査位置IPからの部品保持部14の移動後において、進退駆動部25により、その部品保持部14を移動させてもよい。進退制御部116は、例えば、搬送駆動部16により支持部12が回転している間において、進退駆動部25により部品保持部14を径方向に沿って移動させてもよい。
検査制御部118は、検査位置IPに配置された部品保持部14が保持する電子部品Wに対する検査を実行するように、外観検査ユニット60を制御する。検査制御部118は、例えば、検査位置IPに位置する電子部品Wの検査対象となる側面Wcをカメラ62により撮像させることで、当該側面Wcの撮像画像を取得する。検査制御部118は、側面Wc全体の検査を行うように、カメラ62に複数回の撮像を実行させてもよい。検査制御部118は、側面Wcの撮像画像に基づいて、その側面Wcにおける異常の有無(例えば、傷の有無)を判定してもよい。
コントローラ100は、図4に示されるように、回路150を有する。回路150は、1つ又は複数のプロセッサ152と、メモリ154と、ストレージ156と、入出力ポート158と、タイマ162とを含む。ストレージ156は、例えば不揮発性の半導体メモリ等、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を有する。ストレージ156は、予め設定された制御手順で搬送処理ユニット2に含まれる各要素を制御することをコントローラ100に実行させるためのプログラムを記憶している。例えばストレージ156は、上述した各機能モジュールを構成するためのプログラムを記憶している。
メモリ154は、ストレージ156の記憶媒体からロードしたプログラム及びプロセッサ152による演算結果を一時的に記憶する。プロセッサ152は、メモリ154と協働して上記プログラムを実行することで、コントローラ100の各機能モジュールを構成する。入出力ポート158は、プロセッサ152からの指令に従って、搬送処理ユニット2の各要素との間で電気信号の入出力を行う。タイマ162は、例えば一定周期の基準パルスをカウントすることで経過時間を計測する。なお、回路150は、必ずしもプログラムにより各機能を構成するものに限られない。例えば回路150は、専用の論理回路又はこれを集積したASIC(Application Specific Integrated Circuit)により少なくとも一部の機能を構成してもよい。
(制御方法)
続いて、コントローラ100が実行する制御手順(制御方法)の一例を説明する。図5は、サイズが大きい1つの電子部品Wが検査位置IPに搬送され、その電子部品Wに対して検査を行う際の一連の制御手順を示すフローチャートである。この一連の制御手順では、検査対象の電子部品Wを保持する吸着部20が、検査位置IPよりも1つ上流の停止位置SPに位置する状態で、コントローラ100がステップS11を実行する。
ステップS11では、例えば、搬送制御部112が、検査対象の電子部品Wを保持する吸着部20が検査位置IPに配置されるように搬送駆動部16を制御する。ステップS11の実行により、図6(a)に示されるように、吸着部20が保持する電子部品Wの側面Wcの中央部分がカメラ62による撮像範囲PAに含まれるように、その吸着部20が検査位置IPに移動する。
次に、コントローラ100は、ステップS12,S13を実行する。ステップS12では、例えば、検査制御部118が、側面Wcの中央部分の撮像画像を取得するようにカメラ62を制御する。ステップS13では、例えば、進退制御部116が、吸着部20を円軌道CR1の径方向に沿って外方へ移動させるように進退駆動部25を制御する。進退制御部116は、図6(b)に示されるように、吸着部20が保持する電子部品Wの側面Wcの中央部分よりも左側の部分(内側寄りの部分)が撮像範囲PAに含まれる状態となるように、進退駆動部25により吸着部20を移動させる。
次に、コントローラ100は、ステップS14,S15を実行する。ステップS14では、例えば、検査制御部118が、側面Wcの左側部分の撮像画像を取得するようにカメラ62を制御する。ステップS15では、例えば、進退制御部116が、吸着部20を径方向に沿って内側へ移動させるように進退駆動部25を制御する。進退制御部116は、図6(c)に示されるように、吸着部20が保持する電子部品Wの側面Wcの中央部分よりも右側の部分(外側寄りの部分)が撮像範囲PAに含まれる状態となるように、進退駆動部25により吸着部20を移動させる。
次に、コントローラ100は、ステップS16を実行する。ステップS16では、例えば、検査制御部118が、側面Wcの右側部分の撮像画像を取得するようにカメラ62を制御する。以上のステップS16までの制御処理の実行により、カメラ62(外観検査ユニット60)は、電子部品Wの径方向における位置が互いに異なる状態で複数回の撮像を実行する。側面Wcに対する複数回の撮像(この例では、3回の撮像)により、側面Wc全体について画像データが得られる。
次に、コントローラ100は、ステップS17,S18を実行する。ステップS17では、例えば、進退制御部116が、吸着部20をステップS13の開始前の位置に戻すように進退駆動部25を制御する。ステップS18では、例えば、検査制御部118が、ステップS12,S14,S16それぞれで得られた画像データに基づいて、側面Wcにおける異常の有無を判定する。
次に、コントローラ100は、ステップS19を実行する。ステップS19では、例えば、搬送制御部112が、検査後の電子部品Wを保持する吸着部20が、検査位置IPの1つ先の停止位置SPに配置されるように搬送駆動部16を制御する。以上により、外観検査ユニット60を用いて、1つの電子部品Wに対して行う検査が終了する。ステップS19の実行により、次の検査対象の電子部品Wを保持する別の吸着部20が検査位置IPに配置される。以降、コントローラ100は、ステップS12~S19の一連の制御処理を繰り返し実行する。
(変形例)
図6に示される上述の一連の制御処理は一例であり、適宜変更可能である。上記一連の制御処理において、コントローラ100は、一のステップと次のステップとを並列に実行してもよく、上述した例とは異なる順序で各ステップを実行してもよい。コントローラ100は、いずれかのステップを省略してもよく、いずれかのステップにおいて上述の例とは異なる処理を実行してもよい。コントローラ100は、例えば、ステップS15,S16の実行後に、ステップS13,S14を実行してもよい。コントローラ100は、例えば、ステップS17とステップS18とを、これらの実行タイミングが少なくとも部分的に重複するように並行して実行してもよい。
コントローラ100は、ステップS16の実行後において、ステップS17,S19を、これらの実行タイミングが少なくとも部分的に重複するように並行して実行してもよい。コントローラ100は、ステップS11の実行中においてステップS13を実行し、ステップS17の実行後にステップS12を実行してもよい。搬送駆動部16による部品保持部14の回転搬送(支持部12の回転)を行っている間に、径方向に沿って一方側に吸着部20を移動させることで、1つの電子部品Wの検査に要する時間を短縮することができる。
電子部品Wのサイズによっては、カメラ62は、1つの電子部品Wの側面Wcに対して、進退駆動部25によって吸着部20の径方向における位置を変えながら、2回の撮像を行ってもよく、4回以上の撮像を行ってもよい。電子部品Wのサイズが小さい場合には、検査対象面である側面Wcの全体が撮像範囲PAに含まれる場合もある。この場合、コントローラ100は、進退駆動部25によって吸着部20の径方向の位置を変えずに、電子部品Wの側面Wcに対して1回の撮像を行ってもよい。
上述の例では、部品保持部14(吸着部20)を径方向に移動させる進退駆動部25が、支持部12に設けられているが、部品保持部14を径方向に移動させる進退駆動部が、支持部12と共に回転しないように設けられてもよい。図7に示される回転搬送ユニット10Aは、部品保持部14に代えて部品保持部14Aを有し、進退駆動部25に代えて進退駆動部70を有する。部品保持部14A(部品保持部14Aの吸着部20)は、昇降駆動部18によって中心軸Ax1が延びる方向に沿って移動し、進退駆動部70によって中心軸Ax1まわりの円軌道CR1の径方向に沿って移動する。部品保持部14Aは、昇降部24と、進退部82とを有する。
部品保持部14Aの昇降部24は、進退部82に接続される点を除き、部品保持部14の昇降部24と同様に構成されている。進退部82は、径方向に沿って移動可能となるように支持部12に設けられており、昇降部24の可動部42を昇降可能に保持する。進退部82は、例えば、可動部84と、延出部88と、受け部86と、を有する。可動部84は、径方向に沿って移動可能となるように、支持部12の外周部に設けられている。可動部84の一端は、支持部12の外周縁よりも外方へ張り出している。
可動部84の外周側の先端には、その先端から下方に延びる延出部88が接続されている。延出部88の外方を向く側面には、昇降部24の可動部42が接続されている。受け部86は、可動部84の下面に接続されており、その接続部分を起点として下方に延びるように形成されている。受け部86は、支持部12の下面よりも下まで延びており、支持部12は、受け部86の径方向に沿う移動を妨げない形状とされている。
進退駆動部70(第2駆動部)は、部品保持部14(吸着部20)を径方向に沿って移動させる。進退駆動部70は、支持部12の回転と共に移動しないように設けられている。処理装置1は、搬送駆動部16等が設置されるベース部79を備えてもよい。進退駆動部70は、ベース部79に設けられていてもよい。進退駆動部70は、検査位置IPに配置された部品保持部14(吸着部20)を径方向に沿って移動させる。上述の進退駆動部25が対応する部品保持部14を移動させるのに対して、進退駆動部70は、検査位置IPに配置されるいずれかの部品保持部14を移動させる。回転搬送ユニット10Aは、部品保持部14を径方向に移動させる停止位置SP(例えば、検査位置IP)に対応する位置に進退駆動部70を有し、部品保持部14を径方向に移動させない停止位置SPには進退駆動部を有しなくてもよい。
進退駆動部70は、例えば、ホルダ72と、進退ロッド74と、モータ76とを有する。ホルダ72は、ベース部79に設けられている。そのため、ホルダ72は、支持部12が回転しても移動しない。進退ロッド74は、ホルダ72に対して移動可能となるようにホルダ72に設けられている。進退ロッド74は、円軌道CR1の径方向に沿って延びるように棒状に形成されており、径方向に沿って移動可能となるようにホルダ72に保持されている。進退ロッド74は、受け部86よりも内側に配置されている。モータ76は、外方に向けて移動させるための駆動力を進退ロッド74に付与する。
回転搬送ユニット10Aでは、モータ76による駆動力によって、進退ロッド74が、径方向に沿って外方に向けて移動する。進退ロッド74の外方への移動により、進退ロッド74から受け部86に対して外力が付与される。これにより、可動部84及び昇降部24が径方向に沿って外方に移動する。その結果、ホルダ22に保持された吸着部20が、径方向に沿って外方に移動する。モータ76による進退ロッド74への駆動力の付与を解除すると、吸着部20が移動する前の位置に戻る。回転搬送ユニット10Aを備える処理装置1においても、図5に示される一連の制御処理が実行されてもよい。
図2に示されるように、回転搬送ユニット10は、回転駆動部19を有してもよい。回転駆動部19は、中心軸Ax2まわりに吸着部20(部品保持部)を回転させる駆動部である。中心軸Ax2は、中心軸Ax1と平行な軸線である。中心軸Ax2は、吸着部20の下面の中心を通るように設定されていてもよい。回転駆動部19は、ホルダ22に固定されており、ホルダ22の昇降又は径方向に沿った進退と共に移動してもよい。回転搬送ユニット10は、複数の吸着部20にそれぞれ対応する複数の回転駆動部19を有してもよい。
回転駆動部19が、電子部品Wを保持した吸着部20を中心軸Ax2まわりに回転させることで、その電子部品Wの中心軸Ax2まわりの姿勢が変化する。中心軸Ax2まわりの電子部品Wの姿勢を変化させることで、いずれかの停止位置SP(例えば、検査位置IP)に配置される際の電子部品Wの1つの側面Wcの向きを変化させることができる。コントローラ100は、図3に示されるように、機能モジュールとして、姿勢制御部122を有してもよい。姿勢制御部122は、吸着部20によって保持された電子部品Wの中心軸Ax2まわりの姿勢を変化させるように回転駆動部19を制御する。
回転駆動部19が設けられる場合に、1つの側面Wcだけでなく、他の1つ以上の側面Wcに対して、外観検査ユニット60のカメラ62による撮像が行われてもよい。例えば、4つの側面Wcそれぞれに対して、カメラ62による撮像が順に行われてもよい。この場合、他の側面Wcに対しても、吸着部20の径方向における位置を変化させながら、カメラ62による複数回の撮像が実行されてもよい。
一例では、図5に示される一連の制御手順において、ステップS17の実行後に、姿勢制御部122が、吸着部20を中心軸Ax2まわりに90°回転させるように回転駆動部19を制御してもよい。これにより、他の側面Wcがカメラ62に正対した状態となる。そして、コントローラ100は、他の側面Wcについて、ステップS12~S17の一連の制御手順を実行してもよい。
1つの側面Wcに対する外観検査時に、姿勢制御部122は、回転駆動部19により、中心軸Ax2まわりの電子部品Wの姿勢を変化させてもよい。ここで、電子部品Wを透過する光(例えば、近赤外線)を用いて電子部品Wを検査する場合がある。回転搬送ユニット10は、例えば、外観検査ユニット60に代えて外観検査ユニット60Aを有する。外観検査ユニット60Aは、図8(a)に示されるように、照射部64と撮像部66とを有する。照射部64と撮像部66とは、検査対象の電子部品Wを間に挟むように配置されてもよい。照射部64及び撮像部66は、搬送駆動部16による部品保持部14の移動と干渉しないように配置されている。
照射部64は、電子部品Wの側面Wcに向けて、電子部品Wの内部を透過可能な光を照射するように構成されている。撮像部66(受光部)は、照射部64から照射され、電子部品Wの内部を透過して、反対側の側面Wcから出射される光(以下、「透過光」という。)を受光するように構成されている。仮に、撮像部66に対向する側面WcにクラックCrが生じている場合、撮像部66が受光する透過光の一部が、そのクラックCrに遮られる。この場合、撮像部66が受光した光に基づく画像データにおいて、クラックCrによる影が生じ、検査制御部118は、クラックCrを検出することができる。
撮像部66に対する1つの側面Wcの角度が互いに異なる状態で、外観検査ユニット60Aは、複数回の撮像を実行してもよい。一例では、図8(a)に示されるように、照射部64から撮像部66への光路に対して、撮像部66を向く側面Wcが垂直な状態で、外観検査ユニット60Aは1回目の撮像を行ってもよい。そして、図8(b)に示されるように、側面Wcが上記光路に垂直な状態から、その側面Wcを所定の角度だけ回転駆動部19により傾けたうえで、外観検査ユニット60Aが2回目の撮像を行ってもよい。2回目の撮像時に傾ける上記所定の角度は、45°よりも小さくてもよく、一例では、5°~30°であってもよい。外観検査ユニット60Aは、2以上の側面Wcそれぞれの検査を行ってもよい。この場合、外観検査ユニット60Aは、1つの側面Wcごとに、側面Wcの向きを変えながら複数回の撮像を行ってもよい。
照射部64から撮像部66への光路に沿って延びるようにクラックCrが生じていると、画像データに含まれる影が小さくなり、クラックCrを検出し難い場合がある。これに対して、中心軸Ax2まわりの電子部品Wの姿勢が互いに異なる状態で、外観検査ユニット60Aによる複数回の撮像が行われることで、少なくとも1回の撮像では、上記光路に対してクラックCrが傾くことになる。その結果、クラックCrの検出精度を向上させることができる。
処理装置1は、回転搬送ユニット10に対して電子部品Wを供給する別の回転搬送部を備えてもよい。一例では、部品供給ユニット6が、図9に示されるように、回転搬送部90と、位置調節部98とを有する。回転搬送部90は、所謂ロータリーピックアップであり、供給部99から電子部品Wを受け取り円軌道CR3に沿って移動させ、その電子部品Wを部品保持部14(吸着部20)に引き渡す。
回転搬送部90は、ロータ91と、複数の部品保持部92と、搬送駆動部96とを有する。ロータ91は、部品供給ユニット6に対応する停止位置SP(上述の供給位置SP1)の下方において、水平な中心軸Ax3まわりに回転可能となるように設けられている。複数の部品保持部92は、中心軸Ax3を中心とする円周に沿って等間隔に配置されており、ロータ91に固定されている。部品保持部92は、円軌道CR3の径方向の端部において、円軌道CR3の外に向けて電子部品Wを吸着するように構成された吸着部94を有する。
搬送駆動部96は、例えば電動モータ等の動力源を含み、中心軸Ax3まわりにロータ91を回転させる。ロータ91の回転により、中心軸Ax3を中心とする鉛直な円軌道CR3に沿って、複数の部品保持部92(吸着部94)が移動する。搬送駆動部96は、隣り合う部品保持部92同士の角度ピッチ(中心軸Ax3まわりの角度ピッチ)にて、ロータ91の回転と停止とを繰り返すように制御される。以下、搬送駆動部96がロータ91を停止させる際に複数の部品保持部92がそれぞれ配置される複数の位置を「複数の停止位置SP3」という。
円軌道CR3上に位置する1つの停止位置SP3は、部品保持部92と部品保持部14との間で電子部品Wの受け渡しが可能な位置に設定される。例えば、最上の停止位置SP3が、供給位置SP1の鉛直下方に配置される。部品保持部92から部品保持部14への電子部品Wの受け渡しは、供給位置SP1及び最上の停止位置SP3の近傍において、部品保持部92及び部品保持部14が互いに最接近した状態で行われる。
位置調節部98は、供給位置SP1に配置された部品保持部14に対する部品保持部92の位置を調節する。図9に例示される位置調節部98は、最上の停止位置SP3に配置される際の部品保持部14の中心軸Ax3に沿った方向における位置を調節するように、ロータ91を移動させる。
処理装置1は、部品保持部92が保持する電子部品Wに対して処理を施す処理ユニットの一例として、検出ユニット68を更に備えてもよい。検出ユニット68は、最上の停止位置SP3よりも上流に位置する停止位置SP3において、部品保持部92が保持する電子部品Wの状態を検出する。検出ユニット68は、例えば、上記停止位置SP3において、部品保持部92に対する電子部品Wの位置ずれ、及び部品保持部92に対する傾きを検出する。すなわち、検出ユニット68は、電子部品Wが部品保持部92から部品保持部14に移る前に、部品保持部92に対する電子部品Wの位置ずれ及び傾きを検出する。
検出ユニット68は、カメラ69を有してもよい。カメラ69は、例えば、対応する停止位置SP3に配置された電子部品Wの外を向く主面全体を含む撮像範囲を撮像する。コントローラ100は、図3に示されるように、機能モジュールとして、処理制御部124と、受渡制御部126と、状態検出部128と、を有する。処理制御部124は、部品供給ユニット6を制御し、受渡制御部126は、電子部品Wの受け渡しを行うように回転搬送ユニット10を制御する。状態検出部128は、検出ユニット68により、部品保持部92に対する電子部品Wの位置ずれ及び傾きを検出する。
コントローラ100は、部品保持部14に移る前における電子部品Wの部品保持部92に対する位置ずれに比較して、部品保持部14に移った後における電子部品Wの部品保持部14に対する位置ずれが小さくなるように、進退駆動部25及び位置調節部98を制御する。コントローラ100は、部品保持部14に移った後において、電子部品Wの傾き(理想状態に対する傾き)が小さくなるように、回転駆動部19を制御する。
図10は、図9に示される部品供給ユニット6から回転搬送ユニット10に電子部品Wが供給される際に、コントローラ100が実行する一連の制御処理の一例を示すフローチャートである。この一連の制御処理では、供給対象の電子部品Wが、検出ユニット68に対応する停止位置SP3に配置された状態で、コントローラ100がステップS31を実行する。ステップS31では、例えば、状態検出部128が、検出ユニット68のカメラ69から画像データを取得して、部品保持部92に対する電子部品Wの位置ずれ及び傾きを検出する。
次に、コントローラ100は、ステップS32,S33を実行する。ステップS32では、例えば、処理制御部124が、供給対象の電子部品Wを保持する部品保持部92(吸着部94)が、最上の停止位置SP3に配置されるように、搬送駆動部96によりロータ91を回転させる。ステップS33では、搬送制御部112が、供給対象の電子部品Wを受け取る予定の吸着部20が、供給位置SP1に配置されるように搬送駆動部16により支持部12を回転させる。
次に、コントローラ100は、ステップS34を実行する。ステップS34では、例えば、進退制御部116及び処理制御部124が、最上の停止位置SP3に配置された部品保持部92が保持する電子部品Wに対する吸着部20の相対位置を調節するように、進退駆動部25及び位置調節部98をそれぞれ制御する。進退制御部116及び処理制御部124は、ステップS31で得られた部品保持部92に対する位置ずれに応じて、吸着部20に受け渡された後の吸着部20に対する電子部品Wの位置ずれ(例えば、中心同士の差)が縮小するように、進退駆動部25及び位置調節部98をそれぞれ制御する。
次に、コントローラ100は、ステップS35を実行する。ステップS35では、例えば、昇降制御部114が、供給位置SP1に配置された吸着部20を最上の停止位置SP3に近づけるように、昇降駆動部18により吸着部20を下降させる。一例では、昇降制御部114は、吸着部20の下面と電子部品Wとの間に僅かなクリアランスが設けられる程度まで、昇降駆動部18により吸着部20を下降させる。
次に、コントローラ100は、ステップS36,S37を実行する。ステップS36では、例えば、受渡制御部126が、下降させた吸着部20により電子部品Wの吸着を開始した後に、吸着部94による電子部品Wの吸着を解除するように回転搬送ユニット10を制御する。ステップS37では、例えば、昇降制御部114が、電子部品Wを受け取った吸着部20を元の高さに戻すように、昇降駆動部18により当該吸着部20を上昇させる。
次に、コントローラ100は、ステップS38,S39を実行する。ステップS38では、例えば、進退制御部116が、ステップS34の実行前の位置に吸着部20を戻すように進退駆動部25を制御し、処理制御部124が、ステップS34の実行前の位置にロータ91を戻すように位置調節部98を制御する。ステップS39では、例えば、姿勢制御部122が、ステップS31で得られた部品保持部92に対する電子部品Wの傾きに応じて、理想状態に対する電子部品Wの傾きが小さくなるように回転駆動部19により中心軸Ax2まわりに吸着部20を回転させる。
以上により、部品供給ユニット6から1つの電子部品Wを回転搬送ユニット10に供給する際の一連の制御処理が終了する。コントローラ100は、後続の複数の電子部品Wそれぞれについて、ステップS31~S39の一連の制御処理を繰り返し実行してもよい。上述の一連の制御処理において、吸着部20と部品保持部92の吸着部94とが、電子部品Wを挟み込んだ状態で(両方の吸着部が電子部品Wの主面Wa,Wbに接触した状態で)、電子部品Wの受け渡しが行われてもよい。以下、両方の吸着部が接触した状態で受け渡しが行われる場合の一例について、装置の構成を含めて、その詳細を説明する。
図9に示されるように、回転搬送ユニット10は、吸着部20において電子部品Wを吸着する吸引力を発生させる吸引部101を有する。吸引部101は、例えば、吸引路102と、バルブ103とを含む。吸引路102は、吸着部20の吸引孔と吸引ポンプ(例えば、真空ポンプ)とを接続する。バルブ103は、吸引路102に設けられている。バルブ103は、制御信号の入力に応じて吸引路102内の流路の開閉状態を切り替える。
バルブ103が開状態に切り替わることで、吸着部20による吸着がオンとなり、バルブ103が閉状態となることで、吸着部20の吸引孔が大気開放され、吸着部20による吸着がオフとなる。回転搬送ユニット10は、吸着部94において電子部品Wを吸着する吸引力を発生させる吸引部105を有する。吸引部105は、例えば、吸引路106と、バルブ107とを含む。吸引路106は、吸引部101の吸引路102と同様の構成及び機能を有し、バルブ107は、吸引部101のバルブ103と同様の構成及び機能を有する。なお、図9には、一つの吸引部101及び一つの吸引部105が記載されているが、複数の吸着部それぞれに対応するように、複数の吸引部が設けられてもよい。
回転搬送ユニット10は、吸着部20が下降した際に、電子部品Wに加わる荷重を検出可能な荷重検出部108(荷重センサ)を有してもよい。荷重検出部108は、例えば、図2に示されるように、昇降駆動部18(昇降ロッド54)に設けられてもよい。部品保持部92の吸着部94が電子部品Wを保持した状態で、吸着部20が下降して電子部品Wに接触した後に、吸着部20には、電子部品Wからの反力が加わる。荷重検出部108は、その反力を検出することで、電子部品Wに加わる荷重を検出してもよい。昇降駆動部18は、電子部品Wに加わる荷重を調節する荷重調節部109を有してもよい。荷重調節部109は、例えば、ボイスコイルモータである。
ステップS35において、昇降制御部114が、所定の目標位置まで、昇降駆動部18により吸着部20を下降させる。目標位置は、上述の例とは異なり、吸着部20の下面と電子部品Wとの間にクリアランスが設けられずに、吸着部20と電子部品Wの主面Waとが接触する程度に設定されている。昇降制御部114は、吸着部20が上記目標位置に到達する前において、吸着部20が、予め定められた減速開始位置まで達した後に、吸着部20を減速させるように昇降駆動部18を制御してもよい。
受渡制御部126は、吸着部20が電子部品Wに接触した後において、吸着部20から電子部品Wに加わる荷重(荷重検出部108による検出値)が、予め設定された許容荷重以下となるように荷重調節部109を制御してもよい。ステップS36において、受渡制御部126が、下降させた吸着部20による電子部品Wの吸着を開始するように、吸引部101のバルブ103を閉状態から開状態に遷移させてもよい。吸着部20による吸着開始後に、受渡制御部126は、吸着部94による電子部品Wの吸着を解除するように、吸引部105のバルブ107を開状態から閉状態に遷移させてもよい。
以上の一連の制御処理では、互いに逆向きの主面Wa,Wbに2つの吸着部が接触し、且つ2つの吸着部が電子部品Wを吸着した状態を介して、一つの吸着部から他方の吸着部に電子部品Wが引き渡される。これにより、受け渡しに伴う電子部品Wの落下等のトラブルを抑制できる。なお、電子部品Wの吸着を解除する際に、吸引をオフにすることに代えて、吸着部の吸引孔からブロー排気が行われてもよい。吸着部20の下降に代えて、又は加えて、電子部品Wの受け渡しが行われる際に、吸着部94が上方に移動してもよい。
以上に説明した変形例では、電子部品Wが供給される際に位置が補正され、吸着部20が電子部品Wを保持したまま、電子部品Wの姿勢が補正される。そのため、供給位置SP1の下流の停止位置SPにおいて、電子部品Wを部品保持部14から受け取って位置及び姿勢を補正した後に、部品保持部14に戻すように構成されたアライメントユニットを配置する必要がない。この場合、処理装置1での電子部品Wの受け渡し回数が減少するので、電子部品Wの落下等のトラブルの発生が抑制され、処理効率を向上させることができる。
上述の例では、部品保持部14(吸着部20)を中心軸Ax1に沿って移動させる昇降駆動部18に加えて、円軌道CR1の径方向に沿って部品保持部14を移動させる進退駆動部25,70が備えられる。回転搬送ユニット10,10Aは、昇降駆動部18に加えて、円軌道CR1の径方向とは異なり、且つ、中心軸Ax1に交差するいずれかの方向(第2方向)に沿って部品保持部14を移動させる駆動部(第2駆動部)を備えてもよい。中心軸Ax1に交差するいずれかの方向に沿って部品保持部14を移動させる駆動部は、各部品保持部14に対応して支持部12に設けられてもよい。この場合、コントローラ100(進退制御部116)は、搬送駆動部16により支持部12が回転している間において、その駆動部により、対応する部品保持部14を上記いずれかの方向に沿って移動させてもよい。
回転搬送ユニット10,10Aは、例えば、昇降駆動部18に加えて、円軌道CR1の接線方向(第2方向)に沿って部品保持部14を移動させる水平駆動部(第2駆動部)を有してもよい。上記水平駆動部は、各部品保持部14に対応して支持部12に設けられてもよく、検査位置IPに配置されるいずれかの部品保持部14を移動させるように、ベース部79に設けられてもよい。各部品保持部14に対応して支持部12に水平駆動部が設けられる場合、進退制御部116は、搬送駆動部16により支持部12が回転している間において、その水平駆動部により、対応する部品保持部14を接線方向に沿って移動させてもよい。水平駆動部によって部品保持部14を移動させる上記接線方向は、円軌道CR1を含む平面において、吸着部20(停止位置SP)と中心軸Ax1とを結ぶラインに対して垂直であり、且つ吸着部20を通るラインに沿った方向である。外観検査ユニット60,60Aは、検査対象の電子部品Wを保持した吸着部20の上記接線方向における位置が互いに異なる状態で、電子部品Wの検査対象面(例えば、側面Wc)について複数回の撮像を実行してもよい。
回転搬送ユニット10,10Aは、昇降駆動部18に加えて、進退駆動部25,70と、吸着部20を円軌道CR1の接線方向に沿って移動させる水平駆動部とを有してもよい。図10に示される一連の制御手順と同様に、吸着部20が電子部品Wを受け取る前に、部品保持部92に保持された電子部品Wの中心と、吸着部20の中心とが略一致するように、コントローラ100が進退駆動部25,70及び水平駆動部を制御してもよい。この場合、部品供給ユニット6は、ロータ91の位置を調節する位置調節部98を有しなくてもよい。進退駆動部25と共に上記水平駆動部が、各部品保持部14に対応して支持部12に設けられてもよい。この場合、進退制御部116は、搬送駆動部16により支持部12が回転している間において、進退駆動部25及び上記水平駆動部により、対応する部品保持部14を径方向及び接線方向それぞれに沿って移動させてもよい。
上述の例では、部品保持部14が電子部品Wを保持する方向(部品保持部14と電子部品Wとが互いに対向する方向)が、中心軸Ax1に沿って延びるように設定されている。この構成に代えて、処理装置1は、電子部品Wを円軌道CR1の外に向けて保持する部品保持部(吸着部)を備えてもよい。この場合、部品保持部と、その部品保持部によって保持されている電子部品Wとが互いに対向する方向が、円軌道CR1の径方向に沿って延びるように設定される。
処理装置1は、円軌道CR1の外に向けて電子部品Wを保持する部品保持部を円軌道CR1の径方向(第1方向)に沿って進退させる駆動部(第1駆動部)に加えて、その径方向に交差する方向(第2方向)に沿って部品保持部を移動させる別の駆動部(第2駆動部)を備えてもよい。上記別の駆動部は、各部品保持部14に対応して支持部12に設けられてもよい。この場合、進退制御部116は、搬送駆動部16により支持部12が回転している間において、上記別の駆動部により、対応する部品保持部14を径方向に交差する方向に沿って移動させてもよい。上記別の駆動部(第2駆動部)は、部品保持部を円軌道CR1の接線方向(第2方向)に沿って移動させてもよく、部品保持部を中心軸Ax1が延びる方向(第2方向)に沿って移動させてもよい。
他の処理ユニットとの間で電子部品Wの受け渡しを行う場合以外にも、電子部品Wを保持する方向に沿って駆動部が部品保持部を移動させてもよい。例えば、電気特性等の検査を行う検査ユニットにおいて電子部品Wに対する検査を行う際に、電子部品Wを保持する方向に部品保持部を移動させた状態で、検査ユニットにおいて電子部品Wの検査が行われてもよい。電子部品Wを別の回転搬送ユニットに受け渡す場合に、電子部品Wを保持する方向に沿って駆動部が部品保持部を移動させてもよい。外観検査ユニット60,60Aは、側面Wcに代えて又は加えて、主面Wa及び主面Wbの少なくとも一方について検査を行ってもよい。
[実施形態の効果]
電子部品Wに対する外観検査の精度を保つ又は向上させるためには、電子部品Wを撮像するカメラの撮像範囲をある程度小さくして解像度を上げる必要がある。電子部品Wの種類によっては、電子部品Wのサイズが大きくなり、外観検査の対象となる部分がカメラの撮像範囲に収まらない場合もある。処理対象の電子部品Wをサイズが大きいものに切り替える際に、そのサイズに合わせて外観検査用のカメラを入れ替えると、その入れ替えに多くの時間を要することになる。
これに対して、上記処理装置1は、部品保持部14と電子部品Wとが互いに対向する第1方向に沿って部品保持部14を移動させる第1駆動部と、第1方向に交差する第2方向に沿って、部品保持部14を移動させる第2駆動部とを有する。そのため、外観検査の対象となる部分がカメラの撮像範囲に収まらなくても、第2駆動部により部品保持部14を移動させることで、外観検査の対象となる部分全体についてカメラによる撮像を行うことができる。これにより、大きいサイズの電子部品Wに合わせてカメラを入れ替える必要がなくなるので、電子部品Wの切り替えに伴う時間を短縮できる。従って、処理装置1は、処理効率の向上に有用である。
第1方向は、中心軸Ax1が延びる方向であってもよい。第2方向は、円軌道CR1の径方向又は接線方向であってもよい。この場合、電子部品Wを中心軸Ax1に沿って移動させつつ、円軌道CR1を含む平面においても、電子部品Wを移動させることができる。この場合、電子部品Wの撮像可能な部分を円軌道CR1の径方向又は接線方向に広げることができる。従って、検査精度と外観検査用のカメラの簡素化との両立に有用である。