JP2023043135A - 粘着剤および粘着シート - Google Patents

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Abstract

【課題】短時間での架橋完結度が高く、エージングレス化が可能であり、粘着特性が充分であるだけでなく、貯蔵安定性に優れ、硬化剤配合後も長期間安定して使用可能な粘着剤、および粘着シートを提供すること。【解決手段】アクリル重合体(A)、金属キレート化合物(B)、及びポリカルボン酸化合物(C)を含有し、アクリル重合体(A)は、酸性基を有するモノマー(a1)を含むモノマー混合物の共重合体であり、酸性基を有するモノマー(a1)の含有率は、モノマー混合物100質量%中、0.01質量%以上20質量%以下であることを特徴とする粘着剤組成物により解決される。【選択図】 なし

Description

本発明は、粘着剤および粘着シートに関する。
粘着剤から形成した粘着剤層を有する粘着シートは、接着剤と比べて取り扱いが容易であることから、表示用ラベルや固定用テープとして幅広い分野で使用されている。粘着剤として各樹脂系のものがあり、中でもアクリル系が広く用いられている。アクリル系粘着剤は、粘着力やタックといった粘着基本性能の制御がモノマー組成や相溶する添加剤の調整により容易であるメリットがある。アクリル系粘着剤は通常、硬化剤を配合したものを塗工し、粘着シートを作製するが、十分な凝集力を得るためにアクリル樹脂と硬化剤を反応させるためのエージング期間を必要としなければならないことが問題であった。
アクリル系粘着剤として、特許文献1には、アクリル系樹脂の側鎖にヘミアセタール化反応により得られるエチレン性不飽和基含有構造部位を有するエチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A)および光重合開始剤(B)を含有することを特徴とする粘着剤組成物が開示されている。
また、特許文献2にはイソシアネートと架橋可能な官能基を有するアクリル系共重合体と、トルエンジイソシアネート系架橋剤と、有機酸安定剤とを含む、粘着剤組成物が開示されている。
特開2019-172748号公報 特表2014-523946号公報
しかしながら、特許文献1の粘着剤組成物は、エージングレス化のために活性エネルギー線を照射する設備が必要であり、アクリル粘着剤で一般的に使用される熱風オーブンによる乾燥だけでは効果を得ることができず、汎用性に欠けるといった問題点がある。
また、特許文献2の粘着剤組成物は、水や湿度の影響を受けやすく、硬化剤配合後のポットライフが24時間程度であることから、硬化剤と粘着剤の1液化とすることは難しい。
そこで本発明が解決しようとする課題は、短時間での架橋完結度が高く、エージングレス化が可能であり、粘着特性が充分であるだけでなく、貯蔵安定性に優れ、硬化剤配合後も長期間安定して使用可能な粘着剤、および粘着シートを提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために、アクリル重合体(A)、金属キレート化合物(B)、及びポリカルボン酸化合物(C)を含有し、アクリル重合体(A)は、酸性基を有するモノマー(a1)を含むモノマー混合物の共重合体であり、酸性基を有するモノマー(a1)の含有率は、モノマー混合物100質量%中、0.01質量%以上20質量%以下であることを特徴とする粘着剤組成物を見出した。
即ち、本発明は以下の[1]~[4]に関する。
[1]アクリル重合体(A)、金属キレート化合物(B)、及びポリカルボン酸化合物(C)を含有し、アクリル重合体(A)は、酸性基を有するモノマー(a1)を含むモノマー混合物の共重合体であり、酸性基を有するモノマー(a1)の含有率は、モノマー混合物100質量%中、0.01質量%以上20質量%以下であることを特徴とする粘着剤組成物。
に関する。
[2]ポリカルボン酸化合物(C)が、ジカルボン酸化合物である、前記粘着剤組成物に関する。
[3]ポリカルボン酸化合物(C)の、水中でのpKa値の少なくとも1つが1.0~3.5の範囲にある、前記粘着剤組成物に関する。
[4]ポリカルボン酸化合物(C)の含有量は、アクリル重合体(A)100質量部に対して、0.1~2.0質量部である、前記粘着剤組成物に関する。
[5]基材、及び前記粘着剤組成物の硬化物である粘着剤層を備える、粘着シート。
本発明によれば、短時間での架橋完結度が高いため、活性エネルギー線照射などを必要とせず、熱風オーブンなど溶剤を揮発させることのみでエージングレス化が可能となる。また、粘着特性が充分であるだけでなく、水分の影響を受けず、貯蔵安定性に優れ、硬化剤配合後も長期間安定して使用可能な粘着剤および粘着シートを提供することができる。
以下、本発明の詳細を説明する。なお、本明細書では、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」と表記した場合には、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリル酸またはメタクリル酸」を表すものとする。また、「(メタ)アクリル酸エステルモノマー」とは、「アクリル酸エステルモノマー」と「メタクリル酸エステルモノマー」の総称を指す。
なお、酸性基を有するモノマー(a1)、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a2)、アルキル基の炭素数が1~3である(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a2x)、アルキル基の炭素数が4~12である(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a2y)、アルキル基の炭素数が13以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a2z)、をそれぞれ、モノマー(a1)、モノマー(a2)、モノマー(a2x)、モノマー(a2y)、モノマー(a2z)と称することがある。
本明細書において、「Mw」はゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)測定によって求めたポリスチレン換算の重量平均分子量である。「Mn」はGPC測定によって求めたポリスチレン換算の数平均分子量である。これらは、[実施例]の項に記載の方法にて測定することができる。
本明細書中に出てくる各種成分は特に注釈しない限り、それぞれ独立に1種単独で、あるいは2種以上を混合して用いてもよい。
≪粘着剤≫
本発明の粘着剤組成物は、アクリル重合体(A)、金属キレート化合物(B)、及びポリカルボン酸化合物(C)を含有し、アクリル重合体(A)は、酸性基を有するモノマー(a1)を含むモノマー混合物の共重合体であり、酸性基を有するモノマー(a1)の含有率は、モノマー混合物100質量%中、0.01質量%以上20質量%以下である。
<アクリル重合体(A)>
アクリル重合体は、(メタ)アクリル酸エステルモノマー等のエチレン性不飽和結合を有するモノマーの重合体を意味する。アクリル重合体(A)は、少なくとも酸性基を有するモノマー(a1)を含むモノマー混合物の共重合体であり、酸性基を有するモノマー(a1)の含有率は、モノマー混合物100質量%中、0.01質量%以上20質量%以下である。
モノマーは、酸性基を有するモノマー(a1)、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a2)、およびモノマー(a1)、(a2)以外のその他モノマーに分類される。
アクリル重合体(A)を構成するモノマーとしてはモノマー(a1)を必須成分とし、さらにモノマー(a2)を用いることが好ましく、必要に応じその他モノマーを用いてもよい。
[モノマー(a1)]
モノマー(a1)は、酸性基を有するモノマーである。
モノマー(a1)を用いることで、後述する金属キレート化合物(B)が有する反応性官能基との架橋反応によりポリマーネットワークを形成し、アクリル重合体(A)の凝集力の向上ができる。
モノマー(a1)としては、例えば(メタ)アクリル酸、2-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチル-コハク酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-フタ
ル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和結合を有するカルボン酸、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニルモノマー等が挙げられ、得られる粘着剤組成物の凝集力や金属キレート化合物(B)との反応性、他モノマーとの共重合性の点から、(メタ)アクリル酸、2-カルボキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
モノマー(a1)の含有率は、アクリル重体(A)を構成するモノマー混合物100質量%中、0.01質量%以上20質量%以下であり、0.1質量%以上18質量%以下であることが好ましく、0.9質量%以上15質量%以下であることがより好ましく、2質量%以上12質量%以下であることがさらに好ましい。
モノマー(a1)の含有率が、0.01質量%以上であることで、金属キレート化合物(B)と架橋を形成し実用可能な凝集力を発現することができる。モノマー(a1)の含有率が20質量%以下であることで、粘着力シートを被着体から剥離した後も、被着体への粘着剤の付着を抑制することができる。加えてオレフィンなどの低極性部材に対しても良好な粘着力を発現できる。また20質量%以下であることで、粘着剤の粘度を抑えることができ、不揮発分を実用可能な範囲に設定することができる。
[モノマー(a2)]
モノマー(a2)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーである。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーとしては、アルキル基の炭素数が1~12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーを用いることが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーはさらに、アルキル基の炭素数が1~3である(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a2x)、アルキル基の炭素数が4~12である(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a2y)、アルキル基の炭素数が13以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a2z)に分類される。モノマー(a2)は(a2y)を用いることが好ましく、(a2x)と(a2y)を併用する
ことがより好ましい。
モノマー(a2)の含有率は、特に限定されないが、アクリル重合体(A)を構成するモノマー混合物100質量%中、20質量%以上99.9質量%以下であることが好ましく、50質量%以上98質量%以下がより好ましい。この範囲にすることで高い粘着力と高い凝集力を両立することができる。
モノマー(a2x)の含有率は、特に限定されないが、モノマー(a2)中、5質量%以上85質量%以下であることが好ましく、5質量%以上50質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上30質量%以下がさらに好ましい。モノマー(a2)の含有率が5質量%以上であると、高い凝集力を発現できる。
モノマー(a2y)の含有率は、特に限定されないが、モノマー(a2)中、15質量%以上95質量%以下であることが好ましく、15質量%以上94.9質量%以下であることがより好ましく、50質量%以上90質量%以下がさらに好ましい。モノマー(a2)の含有率が15質量%以上95質量%以下であると高い粘着力を発現することができる。
モノマー(a2x)としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル等が挙げられる
モノマー(a2y)としては、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル(メタ)アクリル酸ラウリル等が挙げられる。
これらの中でもアクリル酸ブチル、アクリル酸(イソ)ブチル、アクリル酸2-ヘキシ
ルが各種被着体に対しても良好な粘着力を発現する点から好ましい。
モノマー(a2z)としては、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソステアリル等が挙げられる。
[その他モノマー]
その他モノマーは、モノマー(a1)、モノマー(a2)以外の、モノマーである。
その他モノマーとしては、特に限定されず、モノマー(a1)、モノマー(a2)と共重合可能なモノマーを適宜選択することができるが、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル等のその他のビニルモノマー、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの脂環式構造を有するモノマー、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ビフェニル(メタ)アクリレートなどの芳香環を有するモノマー、2-メトキシエチルアクリレート、2-エトエチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのアルコキシ(ポリ)アルキレンオキサイドを有するモノマー、水酸基を有するモノマー、アミノ基を有するモノマー、その他の窒素原子を有するモノマー、エポキシ基を有するモノマー、イソシアナト基を有するモノマー等が挙げられる。
水酸基を有するモノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ
)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートやヒドロキシメチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド等のヒドロキシ(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
アミノ基を有するモノマーとしては、例えば、モノメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モノエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モノメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、モノエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等の、モノアルキルアミノエステル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
その他の窒素原子を有するモノマーとしては(メタ)アクリルアミド、N-ビニルピロリドン、アクリロイルモルフォリン等が挙げられる。
エポキシ基を有するモノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、6-メチル-3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
イソシアナト基を有するモノマーとしては、例えば、2-イソシアナトエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
[アクリル重合体(A)の製造方法]
アクリル重合体(A)の製造方法としては、特に制限はなく、例えば公知のラジカル重合反応で、上記のモノマー混合物を重合させて得ることができる。反応は無溶剤下でも構わないが、合成安定性およびハンドリングの観点から溶剤を使用することが好ましい。また、分子量制御の観点から、ラジカル重合開始剤(以下、「重合開始剤」と略記することがある)を使用することが好ましい。その他、連鎖移動剤等の公知の添加剤を用いてもよい。
溶剤としては、後述する溶剤が使用できる。
重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、tert-ブチルパーベンゾエート、クメンヒドロパーオキシドやジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2-エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、tert-ブチルパーオキシネオデカノエート、tert-ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド等の有機過酸化物や、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、4,4’-アゾビス(4-シアノバレリック酸)、2,2’-アゾビス(2-ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]等のアゾ系化合物が挙げられる。
連鎖移動剤としては、例えば、オクチルメルカプタン、ノニルメルカプタン、デシルメルカプタン、ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類、チオグリコール酸オクチル、チオグリコール酸ノニル、チオグリコール酸-2-エチルヘキシル等のチオグリコール酸エステル類、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン、1-メチル-4-イソプロピリデン-1-シクロヘキセン、α-ピネン、β-ピネン等が挙げられる。特に、チオグリコール酸エステル類、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン、1-メチル-4-イソプロピリデン-1-シクロヘキセン、α-ピネン、β-ピネン等が、得
られる重合体が低臭気となる点で好ましい。
アクリル重合体(A)の重量平均分子量Mwは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算値で、20万~200万であることが好ましく、30万~120万であることがより好ましく、40万~100万であることが更に好ましい。重量平均分子量が20万以上であると、十分な凝集力を得ることができる。重量平均分子量が200万以下であると、粘度の増加を抑制でき、良好な塗工適性を得ることができる。
アクリル重合体(A)の分子量分散度Mw/Mnは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算値で、2.0~12であることが好ましく、4~10であることがより好ましい。分子量分散度が上記範囲であることによって、粘着力と凝集力を両立させることができる。
アクリル重合体(A)のガラス転移温度(Tg)は、特には限定されないが、-70~-25℃であることが好ましく、-65~-30℃であることがより好ましい。ガラス転移温度が-70℃以上であると、十分な凝集力が得ることができる。ガラス転移温度が-25℃以下であると良好な粘着力を発現できる。
なお、本発明においてアクリル重合体(A)のガラス転移温度(Tg)は、下記式(1)(Fox式)に基づいて計算された値である。
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+・・・+Wn/Tgn (1)
[式(1)中、Tgはアクリル重合体(A)のTg(単位:K)、Tgi(i=1、2、・・・n)はラジカル重合性モノマーiがホモポリマーを形成した際のTg(単位:K)、Wi(i=1、2、・・・n)はラジカル重合性モノマーiの全モノマー成分中の質量分率を表す。なお、ホモポリマーのTgは文献値やカタログ値などの公表値を使用する。]
上記式(1)は、アクリル重合体(A)が、モノマー1、モノマー2、・・・、モノマーnのn種類のモノマー成分から構成される場合の計算式である。
<金属キレート化合物(B)>
本発明の粘着剤は、硬化剤として、金属キレート化合物(B)を含む。金属キレート化合物(B)は、アクリル重合体(A)に含まれる酸性基を有するモノマー(a1)と架橋点を形成することで、高い粘着力と、凝集力を発現することができる。また、金属キレート化合物は水や湿度の影響を受けにくいため、季節や塗工環境によらず安定した凝集力を得ることができる。さらに後述する触媒作用抑制剤(b1)を併用することが、硬化剤配合後も著しい増粘挙動をおさえることができ良好なポットライフや長期間での貯蔵安定性を確保できるために好ましい。
金属キレート化合物(B)としては公知のものを使用でき、例えば、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロム、ジルコニウム等の多価金属と、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル等の配位子との配位化合物等が挙げられる。長期間での貯蔵安定性の観点から、多価金属は、アルミニウムであることが好ましく、配位子は、アセチルアセトンおよびアセト酢酸エステルの少なくともいずれかであることが好ましい。
金属キレート化合物(B)は、
例えば、アルミニウムイソプロピレート、モノsec-ブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムsec-ブチレート、アルミニウムエチレート等のアルミニウムアルコキシド、
エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチル
アセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセテートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)等のアルミニウムキレート、
チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラノルマルブトキシド、チタンブトキシダイマー、チタンテトラ-2-エチルヘキソキシド等のチタンアルコキシド、
チタンイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)、リン酸エステルチタン錯体、チタンオクチレングリコレート等のチタンキレート、
ジルコニウムテトラノルマルプロポキシド、ジルコニウムテトラノルマルブトキシド等のジルコニウムアルコキシド、
ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシモノアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビス(エチルアセトアセテート)等のジルコニウムキレート、
ステアリン酸ジルコニウム等のジルコニウムアシレートが挙げられる。
これらの中でも、架橋性、粘着力、透明性、貯蔵安定性の点から、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセテートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)が好ましい。
金属キレート化合物(B)の含有量は、特に限定されないが、アクリル重合体(A)100質量部に対して、0.01~5.0質量部であることが好ましく、0.1~2.0質量部であることがより好ましく、0.2~1.0質量部であることが更に好ましい。金属キレート化合物(B)の含有量が、0.01質量部以上であると、十分な凝集力が得られ、5.0質量部以下であると粘着力の低下を抑制することができる。
本発明の粘着剤は、粘着剤のポットライフを向上させる目的で、公知の触媒作用抑制剤(b1)を添加することが好ましい。
触媒作用抑制剤(b1)として具体的には、ケト-エノール互変異性体形成化合物等が挙げられる。ケト-エノール互変異性体形成化合物はケト-エノール互変異性体を形成できる化合物であり、アセチルアセトン、アセト酢酸エステル、マロン酸エステル等が好ましい。
アセト酢酸エステルは、例えばアセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸イソプロピル。アセト酢酸ブチル、アセト酢酸イソブチル、アセト酢酸tert-ブチル等が挙げられる。
マロン酸エステルは、例えばマロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジブチル等が挙げられる。
これらの中でもケト-エノール互変異性体形成化合物は、乾燥時の揮発し易さからアセチルアセトンが好ましい。
触媒作用抑制剤(b1)の含有量は、アクリル重合体(A)100質量部に対して、0.05~10.0質量部であることが好ましく、0.1~5.0質量部であることがより
好ましく、0.5~3.0質量部であることが更に好ましい。触媒作用抑制剤(b1)の含有量が0.05質量部以上であるとポットライフが良好であり、10.0質量部以下であると良好な初期硬化性が得られる。
本発明の粘着剤は、さらに、金属キレート化合物(B)以外の、他の硬化剤を併用できる。他の硬化剤は、例えばイソシアネート硬化剤、エポキシ硬化剤またはアジリジン硬化剤等が挙げられる。
これらの硬化剤を含むことで、粘着剤の凝集力がさらに高まり耐熱性が向上する。
イソシアネート硬化剤は、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、およびポリメチレンポリフェニルイソシアネート等のジイソシアネートと、トリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体、ならびにそのビュレット体、ならびにそのイソシアヌレート体、ならびに上記ジイソシアネートと、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、およびポリイソプレンポリオール等の内のいずれかのポリオールとのアダクト体などの分子内に3個以上のイソシアネート基を有する化合物;またはこれらのアロファネート体等の分子内に2個のイソシアネート基を有する化合物等が挙げられる。これらの中でも、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体が粘着物性を容易に調整できるため好ましい。なお、イソシアネート基の個数は平均個数である。
エポキシ硬化剤は、例えば、ビスフェノールA-エピクロロヒドリン型のエポキシ系樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、N,N,N',N'-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミン、1、3-ビス(N、N’-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、およびN,N,N',N'-テトラグリシジルアミノフェニルメタン等が挙げられる。
アジリジン硬化剤は、例えばN,N’-ジフェニルメタン-4,4'-ビス(1-アジ
リジンカルボキサイト)、N,N’-トルエン-2,4-ビス(1-アジリジンカルボキサイト)、ビスイソフタロイル-1-(2-メチルアジリジン)、トリ-1-アジリジニルホスフィンオキサイド、N,N’-ヘキサメチレン-1,6-ビス(1-アジリジンカルボキサイト)、2,2’-ビスヒドロキシメチルブタノール-トリス[3-(1-アジリジニル)プロピオネート]、トリメチロールプロパントリ-β-アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタントリ-β-アジリジニルプロピオネート、およびトリス-2,4,6-(1-アジリジニル)-1、3、5-トリアジン等が挙げられる。
他の硬化剤の含有量は、特に限定されないが、アクリル重合体(A)100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることが更に好ましい。
<ポリカルボン酸化合物(C)>
ポリカルボン酸化合物(C)は、分子内に2以上のカルボン酸を有する有機酸であれば制限されず、これを含有することで、アクリル重合体(A)を構成する酸性基を有するモノマー(a1)由来の構成単位と金属キレート化合物(B)との架橋形成の速度を大幅に向上させ、塗工後短時間で架橋完結度を高めることができ、エージング期間を設けることなく打ち抜き加工といった次工程へ移行することができる。
ポリカルボン酸化合物(C)は、
具体的にはマロン酸、コハク酸などの飽和ジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸などの不飽和ジカルボン酸、
クエン酸、イソクエン酸などのカルボン酸を2つ以上有するヒドロキシ酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸などの芳香族含有ポリカルボン酸、cis,trans-
1,2-シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式構造含有ポリカルボン酸などが挙げられる。
中でもマレイン酸、フタル酸、フマル酸がより短時間で架橋完結度を高めることができ、特にマレイン酸、フタル酸が良好である。マレイン酸が特に好ましい。
ポリカルボン酸化合物(C)は、水中での酸解離定数pKa値を1.0~5.0の範囲に少なくとも1つ有することが好ましく、1.0~3.5がより好ましく、1.0~3.0であることがより好ましい。これにより、より短時間で架橋完結度を高めることができるために好ましい。
酸解離定数は文献値やカタログ値などの公表値を使用することができ、たとえば、マレイン酸(1.92、6.23)、フタル酸(2.98、5.28)、フマル酸(3.02、4.38)、コハク酸(4.19、5.48)、cis-1、2-シクロヘキサンジカルボン酸(4.34、6.76)、トリメリット酸(2.52、3.84、5.2)である。
ポリカルボン酸化合物(C)は、分子量1000以下であることが好ましく、400以下がより好ましく、300以下であることがさらに好ましい。分子量の下限限は特に制限はないが、好ましくは90以上である。
また、分子内に有するカルボキシル基の数は2~8個のものが好ましく、2~4個のものが好ましく、2~3個のものがさらに好ましく、ジカルボン酸化合物であることが最も好ましい。
分子量、またはカルボキシル基の数を上記範囲内にすることで、エージング完了後の粘着剤の性能へ与える影響も少なくでき、より短時間で硬化を完結させることができるために好ましい。
ポリカルボン酸化合物(C)はcis体または2つのカルボキシル基が同一平面上にある化合物であることが好ましい。cis体または2つのカルボキシル基が同一平面上にある化合物であることで極めて短い時間で架橋の完結度を向上させることが可能となる。
具体的にはマレイン酸やフタル酸が挙げられる。
ポリカルボン酸化合物(C)の含有量は特に限定されないが、アクリル重合体(A)100質量部に対して、0.01~10質量部であることが好ましく、0.10~2.0質量部がより好ましく、0.3~1.5質量部がさらに好ましい。0.01質量部以上であることで、短い時間でも架橋の完結度を向上させることが可能であり、10質量部以下であることで、より十分な凝集力や良好な塗膜の透明性を得ることができる。
<溶剤>
本発明の粘着剤は、溶剤を含んでもよい。
溶剤を配合するタイミングは特に問わず、アクリル重合体(A)の製造時に使用してもよく、粘着剤の製造時に粘度を調整する希釈溶剤として使用してもよい。溶剤は、塗工の際のレベリング性、および乾燥性、ならびに環境、および人体への影響などの観点で選択できる。溶剤は、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、芳香族炭化水素、エステル、ケトン、アルコール等が好ましい。
溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、トルエン、キシレン、アニソール等の炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール等のアルコール溶剤が挙げられるが、粘着剤のポットライフの観点から、エステル系溶剤および/またはアルコール溶剤を含むことが好ましい。
溶剤の使用量としては、アクリル重合体(A)100質量部に対して、10質量部以上含むことが好ましく、30質量部以上含むことがより好ましい。上限値としては特に制限はされないが、塗工性の観点から2000質量部以下であることが好ましい。
<粘着付与樹脂>
本発明の粘着剤組成物は、さらに粘着付与樹脂を含むことができる。粘着付与樹脂は、溶液重合の際に使用する方法、アクリル重合体(A)に配合する方法等任意の方法で使用できる。粘着付与樹脂は、溶液重合の際に使用すると連鎖移動剤として作用しアクリル重合体(A)の分子量調整が容易になる。また、アクリル重合体(A)に配合すると粘着力をより向上できる。
粘着付与樹脂の軟化点は、70℃~170℃が好ましく、75℃~160℃がより好ましく、100℃~150℃が更に好ましい。
粘着付与樹脂の軟化点が上記範囲であることで粘着力と凝集力を高いレベルで両立し易くなる。なお、軟化点は、JIS SK5902に規定されている乾球法に従って測定した軟化温度である。
粘着付与樹脂としては、以下の例には限定されないが、ロジン系樹脂、重合ロジン系樹脂、ロジンエステル系樹脂、重合ロジンエステル系樹脂、テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、クマロン系樹脂、クマロンインデン系樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂、フェノール系樹脂、石油系樹脂等が挙げられる。これらの中でもアクリル重合体(A)との相溶性が良く粘着性能がより向上できる点から、ロジン系樹脂、重合ロジン系樹脂、ロジンエステル系樹脂および重合ロジンエステル系樹脂、石油樹脂が好ましく、ロジンエステル系樹脂および重合ロジンエステル系樹脂がより好ましい。
粘着付与樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
粘着付与樹脂の含有量としては、アクリル重合体(A)100質量部に対して、5~60質量部が好ましく、10~40質量部がより好ましく、20~30質量部がさらに好ましい。
粘着付与樹脂を5質量部以上添加することで粘着力を底上げすることが可能であり、60質量部以下にすることで凝集力を維持することができる。
<可塑剤>
剥離時のジッピングを抑制する目的で、本発明の粘着剤組成物はさらに必要に応じて、可塑剤を含むことができる。可塑剤としては特に制限されないが、アクリル重合体(A)との相溶性等の観点から、有機酸エステルが好ましい。
一塩基酸または多塩基酸とアルコールとのエステルとしては、例えば、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸オクチルドデシル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジベンジル、フタル酸ブチルベンジル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジイソステアリル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジイソセチル、アセチルクエン酸トリブチル、トリメリット酸トリブチル、トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリヘキシル、トリメリット酸トリオレイル、およびトリメリット酸トリイソセチル等が挙げられる。
その他の酸とアルコールとのエステルとしては、例えば、ミリストレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、イソパルミチン酸、およびイソステアリン酸等の不飽和脂
肪酸または分岐酸と、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、およびソルビタン等のアルコールとのエステルが挙げられる。
一塩基酸または多塩基酸とポリアルキレングリコールとのエステルとしては、例えば、ジヘキシル酸ポリエチレングリコール、ジ-2-エチルヘキシル酸ポリエチレングリコール、ジラウリル酸ポリエチレングリコール、ジオレイン酸ポリエチレングリコール、およびアジピン酸ジポリエチレングリコールメチルエーテル等が挙げられる。
リン酸エステル系可塑剤としては、例えば、トリクレジルホスフェート(TCP)、トリフェニルホスフェート(TPP)、トリ-2-エチルヘキシルホスフェート(TOP)、トリキシレニルホスフェート(TXP)、トリエチルホスフェート(TEP)等が挙げられる。
エポキシ系可塑剤としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ステアリン酸オクチル、エポキシ化脂肪酸ブチル及びエポキシ化アマニ油脂肪酸ブチル等が挙げられる。
可塑剤の分子量(式量またはMn)は、好ましくは250~1000、より好ましくは400~900、特に好ましくは500~850である。分子量が250以上であれば粘着層の耐熱性が良好となり、分子量が1000以下であれば十分なジッピング抑制効果が得られる。
可塑剤の含有量としては、特には制限されないが、アクリル重合体(A)100質量部に対して、0.01~30質量部が好ましく、0.05~20質量部がより好ましく、0.1~10質量部が更に好ましく、0.3~5質量部が最も好ましい。可塑剤の含有量が0.01質量部以上であれば十分な剥離時のジッピング抑制効果が得られ、30質量部以下であれば、粘着力の低下を抑制できる。
<酸化防止剤>
酸化防止剤としては、ラジカル捕捉剤および過酸化物分解剤等が挙げられる。ラジカル捕捉剤としては、フェノール系化合物およびアミン系化合物等が挙げられる。過酸化物分解剤としては、硫黄系化合物およびリン系化合物等が挙げられる。
フェノール系化合物としては、例えば、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6-ジ-t-ブチル-4-エチルフェノール、ステアリン-β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、3,9-ビス[1,1-ジメチル-2-[β-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、ベンゼンプロパン酸,3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ-,C7-C9側鎖アルキルエステル、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス-[メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’-ビス-(4’-ヒドロキシ-3’-t-ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、1,3,5-トリス(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシベンジル)-S-トリアジン-2,4,
6-(1H,3H,5H)トリオン、およびトコフェロール等が挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、ジラウリル3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’-チオジプロピオネート、およびジステアリル3,3’-チオジプロピオネート等が挙げられる。
リン系化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェニルジトリデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジフォスファイト、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド、10-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド、10-デシロキシ-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ホスファイト、および2,2-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)オクチルホスファイト等が挙げられる。
酸化防止剤を用いることで、アクリル重合体(A)の熱劣化を防ぐことができ耐熱性を向上できる。
酸化防止剤の添加量は特に制限されず、アクリル重合体(A)100質量部に対して、0.01~5質量部が好ましく、0.1~3質量部がより好ましく、0.2~2質量部が更に好ましい。
酸化防止剤としては、透明性と重合禁止効果の点から、ラジカル捕捉剤であるフェノール系化合物が好ましい。フェノール系化合物は、アクリル重合体(A)の合成時残留モノマー成分が継時で低分子量成分を生成し耐熱性を低下させるのを効果的に抑制することができる。
本発明の粘着剤組成物は、さらに、触媒、帯電防止剤(AS剤)、紫外線吸収剤、光安定剤、潤滑剤、腐食防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、加水分解防止剤、防黴剤、増粘剤、充填剤(タルク、炭酸カルシウム、および酸化チタン等)、シランカップリング剤、重合禁止剤、消泡剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、ワックス、乳剤、磁性体、誘電特性調整剤等の公知の添加剤を必要に応じて配合することができる。
<粘着剤組成物の製造方法>
本発明の粘着剤組成物の製造方法は、特に制限されない。
アクリル重合体(A)に対して、金属キレート化合物(B)、およびポリカルボン酸化合物(C)、溶剤、および必要に応じて任意成分を添加混合することで、本発明の粘着剤を製造することができる。
本発明の粘着剤組成物は、不揮発分濃度が30~75質量%が好ましく、38~65質量%がより好ましく、40~60質量%が更に好ましい。粘着剤組成物の不揮発分濃度を高く設定することで、相対的に溶剤の含有量を抑制できるため、塗工時の乾燥コスト抑制、ならびに環境および人体への負荷を抑制できる。
粘着剤組成物の粘度は、25℃における粘度が1000~20000mPa・sであることが好ましく、1500~10000mPa・sがより好ましく、2500~7000mPa・sが更に好ましい。粘着剤組成物の粘度が上記範囲にあることによって塗工性が向上し、表面が平滑な粘着剤層が得やすくなる。なお、粘度は、25℃雰囲気下、B L
型粘度計を使用して、#3ローター、回転数12rpmで回転開始1分後に測定した粘度である。
≪粘着シート≫
粘着シートは、基材と、本発明の粘着剤組成物の硬化物からなる粘着層とを備える。粘着層は、基材の片面または両面に形成することができる。必要に応じて、粘着層の露出面は、剥離シートで被覆することができる。なお、剥離シートは、粘着シートを被着体に貼着する際に剥離される。
粘着剤組成物を塗工するに際し、前述した溶剤を用いて粘度を調整することもできるし、粘着剤組成物を加熱して粘度を低下させることもできる。
基材としては特に制限されず、樹脂シート、紙、および金属箔等が挙げられる。基材は、これら基材の少なくとも一方の面に任意の1つ以上の層が積層された積層シートであってもよい。基材の粘着層を形成する側の面には、必要に応じて、コロナ放電処理およびアンカーコート剤塗布等の易接着処理が施されていてもよい。
樹脂シートの構成樹脂としては特に制限されず、ポリエチレンテレフタレート(PET)等エステル系樹脂;ポリエチレン(PE)およびポリプロピレン(PP)等のオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル等のビニル系樹脂;ナイロン66等のアミド系樹脂;ウレタン系樹脂(発泡体を含む);これらの組合せ等が挙げられる。
ポリウレタンシートを除く樹脂シートの厚みは特に制限されず、好ましくは15~300μmである。ポリウレタンシート(発泡体を含む)の厚みは特に制限されず、好ましくは20~50000μmである。
紙としては特に制限されず、普通紙、コート紙、およびアート紙等が挙げられる。
金属箔の構成金属としては特に制限されず、アルミニウム、銅、およびこれらの組合せ等が挙げられる。
剥離シートとしては特に制限されず、樹脂シートまたは紙等の基材シートの表面に剥離剤塗布等の公知の剥離処理が施された公知の剥離シートを用いることができる。
粘着シートは、公知方法にて製造することができる。
はじめに、基材の表面に本発明の粘着剤組成物を塗工して、本発明の粘着組成物剤からなる塗工層を形成する。塗布方法は公知方法を適用でき、ロールコーター法、コンマコーター法、ダイコーター法、リバースコーター法、シルクスクリーン法、およびグラビアコーター法等が挙げられる。
次に、塗工層を乾燥および硬化して、本発明の粘着剤組成物の硬化物からなる粘着層を形成する。加熱乾燥温度は特に制限されず、60~150℃程度が好ましい。粘着層の厚み(乾燥後の厚み)は用途によって異なるが、好ましくは0.1~200μmである。
次に必要に応じて、公知方法により粘着層の露出面に剥離シートを貼着する。
以上のようにして、片面粘着シートを製造することができる。
上記操作を両面に行うことで、両面粘着シートを製造することができる。
上記方法とは逆に、剥離シートの表面に本発明の粘着剤組成物を塗工して、本発明の粘着剤組成物からなる塗工層を形成し、次いで塗工層を乾燥および硬化して、本発明の粘着
剤組成物の硬化物からなる粘着層を形成し、粘着層の露出面に基材シートを積層してもよい。
粘着シートの製造方法は好ましくは、基材上に粘着剤を塗工する塗工工程と、形成された塗工層を加熱乾燥処理して粘着剤の硬化物を含む粘着層を形成する加熱工程と、得られた粘着シートを巻芯に巻取って粘着シートロールの形態とする巻取工程と、粘着シートロールを養生する養生工程とを含む。
以下、合成例、本発明に係る実施例、および比較例について説明する。なお、以下の記載において、特に明記しない限り、「部」は質量部を意味し、「%」は質量%を意味し、「RH」は相対湿度を意味するものとする。
[重量平均分子量(Mwの測定]
重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法により測定した。測定条件は以下の通りとした。なお、Mwはポリスチレン換算値である。
<測定条件>
装置:島津製作所社製、LC-GPCシステム「Prominence」、
カラム:東ソー社製GMHXL 4本、東ソー社製HXL-H 1本を直列に連結、
検出器:示差屈折率検出器(RID-10A)、
溶媒:テトラヒドロフラン(THF)、
流速:1mL/分、
溶媒温度:40℃、
試料濃度:0.2%、
試料注入量:100μL。
使用した材料は、以下の通りである。
<金属キレート化合物(B)>
AL-A:アルミキレートA、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、川研ファインケミカル社製
AL-D:アルミキレートD、アルミニウムモノアセチルアセテートビス(エチルアセトアセテート)、川研ファインケミカル社製
<その他硬化剤>
TDI-TMP:トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体
<ポリカルボン酸化合物(C)>
MAC:マレイン酸 pKa=1.92、6.23 分子量=116.1
分子中のカルボン酸数=2
PHA:フタル酸 pKa=2.98、5.28 分子量=166.1
分子中のカルボン酸数=2
FMA:フマル酸 pKa=3.02、4.38 分子量=116.1
分子中のカルボン酸数=2
SCA:コハク酸 pKa=4.19、5.48 分子量=118.1
分子中のカルボン酸数=2
CHDA:cis-1、2-シクロヘキサンジカルボン酸 pKa=4.34、6.76分子量=172.2 分子中のカルボン酸数=2
TMA:トリメリット酸 pKa=2.52、3.84、5.2
分子量=210.1 分子中のカルボン酸数=3
<触媒作用抑制剤(b1)>
AcAc:アセチルアセトン
<その他添加剤>
AA:アクリル酸
KE100:粘着付与樹脂パインクリスタルKE100、超淡色ロジンエステル、荒川化学工業(株)
<アクリル重合体の製造>
(アクリル重合体(A-1))
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下漏斗、窒素導入管を備えた反応容器(以下、単に「反応容器」と称することがある)に、ブチルアクリレート10部、2-エチルヘキシルアクリレート30部、メチルアクリレート2.5部、エチルアクリレート2.5部、アクリル酸4部、2-ヒドロキシエチルアクリレート1部、酢酸エチル60部、2,2'-アゾ
ビスイソブチロニトリル(AIBN)0.02部を仕込んだ後、反応容器内の空気を窒素ガスで置換した。更に、滴下漏斗に、ブチルアクリレート10部、2-エチルヘキシルアクリレート30部、メチルアクリレート2.5部、エチルアクリレート2.5部、アクリル酸4部、2-ヒドロキシエチルアクリレート1部、酢酸エチル60部、2,2'-アゾ
ビスイソブチロニトリル(AIBN)0.02部を仕込んだ。次いで、反応容器内を窒素雰囲気下で撹拌しながら、80℃まで加熱し、反応を開始した後、滴下漏斗内容物を2時間かけて滴下しながら、窒素雰囲気下にて還流温度で8時間重合反応を行った。反応終了後、冷却し、イソプロピルアルコールを加えて希釈し、不揮発分35%のアクリル重合体(A-1)溶液を得た。また、アクリル重合体(A-1)の重量平均分子量(Mw)は6
3万であった。
(アクリル重合体(A-2~10、A’-1))
表1の組成および配合量(質量部)に変更した以外は、アクリル重合体(A-1)と同様の方法でそれぞれのアクリル重合体(A-2~10、A’-1)を合成した。
Figure 2023043135000001
表1記載の略語を下記に示す。
BA:ブチルアクリレート
2EHA:2-エチルヘキシルアクリレート
MA:メチルアクリレート
EA:エチルアクリレート
HEA:ヒドロキシエチルアクリレート
(酸性基を有するモノマー(a1))
AA:アクリル酸
β-CEA:2-カルボキシエチルアクリレート
(実施例1)
<粘着剤の製造>
アクリル重合体(A-1)100部に対し、金属キレート化合物(B)としてAL-A(アルミキレートA、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、川研ファインケミカル社製)を0.5部、ポリカルボン酸化合物(C)としてマレイン酸を0.5部、触媒作用抑制剤(b1)としてアセチルアセトンを0.8部、を不揮発分換算にてそれぞれ配合し、更に、溶剤として酢酸エチルを不揮発分が30%となるように加え、均一になるよう混合して粘着剤組成物を得た。
<粘着シートの製造>
得られた粘着剤組成物を、厚さ38μmの剥離性シート(ポリエチレンテレフタレート製)以下「剥離性フィルム基材」という)の剥離処理面上に、乾燥後の厚みが25μmとなるように上記で得られた粘着剤を塗工し、熱風オーブンにて100℃、90秒間乾燥して粘着剤層を作製した。乾燥後、厚さ50μmの基材(ポリエチレンテレフタレート製)にラミネートし、さらに23℃-50%RHで7日間養生し、粘着シートを得た。
(実施例2~33、比較例1~4)
表2の組成および配合量(質量部)に変更した以外は、実施例1の粘着シートと同様の方法でそれぞれの粘着剤組成物、および粘着シートを製造した。
ただし、実施例19~21および25~33は参考例である。
Figure 2023043135000002
[評価項目および評価方法]
得られた粘着剤組成物および粘着シートを用いて、下記の方法で評価した。結果を表3に示す。
(ゲル分率)
塗工後、23℃-50%RHの雰囲気下で5時間、24時間、7日間養生した粘着シートから幅30mm長さ100mmの試験片を切り出す。試験片から剥離シートを剥離し、露出した粘着層を300メッシュのステンレススチール製金網に貼り付け、試験片が剥がれないように金網を折りたたみ、試験片を包んだ状態で酢酸エチルに浸漬し、50℃で24時間静置した。浸漬後、金網を取り出し少量の酢酸エチルで洗浄し、100℃で30分間乾燥した後、重量を測定する。ゲル分率は下記式(2)により算出した。
(ゲル分率)={(W2-W0-W3)/(W1-W0-W3)}×100 (2)
W0:金網の重量
W1:金網+試験片の重量
W2:金網+試験片の乾燥後の重量
W3:試験片の基材の重量

(架橋の完結度)
塗工後、23℃-50%RHの雰囲気下でそれぞれ5時間、24時間、7日後養生後の
粘着シートから得られるゲル分率を用いて下記式(3)、(4)から架橋の完結度を算出した。
完結度に関する評価基準は以下の通りである。
塗工から短い時間で完結度が高いほどよりエージングレス化ができているといえる。
また7日後のゲル分率としては特に制限されないが、十分な凝集力を発現するために、10%以上100%未満であることが好ましく、20%以上80%未満がより好ましく、30%以上70%未満が更に好ましい。

(5時間後の架橋の完結度)={(養生5時間でのゲル分率)/(養生7日間でのゲル分率)×100} 式(3)

(24時間後の架橋の完結度)={(養生24時間でのゲル分率)/(養生7日間でのゲル分率)×100} 式(4)

[評価基準]
◎:90%以上100%以下、優良。
○:50%以上90%未満、良好。
△:10%以上50%未満、実用可。
×:10%未満、実用不可。
(保持力)
23℃-50%RHの雰囲気下で1週間養生した後の粘着シートから幅25mm長さ150mmの試験片を切り出した。切り出した粘着シートから剥離性シートを剥がして露出した粘着剤層を、幅30mm、長さ150mmのSUS板の下端部幅25mm、長さ25mmの部分に貼着し、2kgロールで1往復させて圧着後、70℃雰囲気で粘着シートの下端部に1kgの荷重をかけ、7万秒放置することで保持力を測定した。評価は、粘着シートの貼付面上端部が元の位置から下にずれた長さを測定した。評価基準は以下の通りである。
[評価基準]
◎:ずれた長さが0.5mm未満、優良。
○:ずれた長さが0.5mm以上5mm未満、良好。
△:ずれた長さが5mm以上25mm未満、実用可。
×:ずれた長さが25mm以上であり、7万秒以内に落下、使用不可。
(粘着力測定後の剥離状態)
23℃-50%RHの雰囲気下で1週間養生した後の粘着シートから幅25mm長さ150mmの試験片を切り出した。切り出した粘着シートから剥離性シートを剥がして露出した粘着剤層を、幅30mm、長さ150mmのSUS板の貼着し、2kgロールで1往復させて圧着し、測定試料を作製した。この測定試料を、23℃50%RHの環境下で24時間保存した後、引張試験機(オリエンテック社製「テンシロン」)を用いて、剥離速度300mm/分、剥離角度180°の条件で剥離をおこない、剥離後のSUS板の状態を観察した。試料を剥がした後、SUS面に大量の粘着剤が付着していると再剥離性の求められる用途に使用することができない。
[評価基準]
◎:測定部のSUS面に粘着剤の残渣が見られない、優良。
○:測定部のSUS面に対し付着した粘着剤の残渣があるが、面積が3%以下、良好。
△:測定部のSUS面に対し付着した粘着剤の面積が3%を超え10%未満、実用化。
×:測定部のSUS面に対し付着した粘着剤の面積が10%以上、使用不可。
(貯蔵安定性)
硬化剤を配合後、均一に混合した粘着剤を23℃-50%RHの雰囲気下に静置し、下記式(5)から粘度の上昇率を算出した。

(粘度の上昇率)={(硬化剤配合後1週間後の粘度)/(硬化剤配合後1時間後の粘度
)×100} 式(5)
[評価基準]
◎:粘度の上昇率が150%未満、優良。
○:粘度の上昇率が150%以上160%未満、良好。
△:粘度の上昇率が160%以上170%未満、実用化。
×:粘度の上昇率が170%以上、使用不可。
(塗膜外観)
23℃-50%RHの雰囲気下で1週間養生した後の粘着シートの塗膜外観を目視で確認した。
[評価基準]
◎:無色透明、実用可
○:白化、一部の用途で実用可
Figure 2023043135000003
本発明のアクリル重合体(A)、金属キレート化合物(B)およびポリカルボン酸化合物(C)を含有し、アクリル重合体(A)が酸性基含有モノマー(a1)を含むモノマー混合物からなり、酸性基含有モノマー(a1)がモノマー成分100質量%中、0.01~20質量%以下である粘着剤はいずれも養生5時間後または養生24時間後の架橋の完結度が良好であり、エージングレス化が可能な粘着剤であり、かつ良好な保持力、透明性を有する粘着シートを製造することができた。

Claims (5)

  1. アクリル重合体(A)、金属キレート化合物(B)、及びポリカルボン酸化合物(C)を含有し、
    アクリル重合体(A)は、酸性基を有するモノマー(a1)を含むモノマー混合物の共重合体であり、
    酸性基を有するモノマー(a1)の含有率は、モノマー混合物100質量%中、0.01質量%以上20質量%以下であることを特徴とする粘着剤組成物。
  2. ポリカルボン酸化合物(C)は、ジカルボン酸化合物である、請求項1記載の粘着剤組成物。
  3. ポリカルボン酸化合物(C)の、水中でのpKa値の少なくとも1つが1.0~3.5の範囲にある、請求項1または2記載の粘着剤組成物。
  4. ポリカルボン酸化合物(C)の含有量は、アクリル重合体(A)100質量部に対して、0.10~2.0質量部である、請求項1~3いずれか1項記載の粘着剤組成物。
  5. 基材、及び請求項1~4いずれか1項記載の粘着剤組成物の硬化物である粘着剤層を備える、粘着シート。
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