JP2023043057A - 木造建築物の筋交い構造 - Google Patents
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Abstract
Description
また、壁面の施工を終えた後に、エアコンを設置しようとするとき、冷媒配管等の貫通穴が必要となるが、たすき筋交いでは、左右の柱間における左右上側の各入隅に筋交い端部や筋交い金物が位置していることから、貫通穴を設けることができないこともある。
一方、片筋交いは、断熱材を斜めにカットして入れることができ、容易に隙間なく施工ができる。この場合、90mm角とした角材の筋交いを片筋交いとして入れる仕様も存在するが、取り付けに適した有効な接合金物がない。また、筋交いの断面が片筋交いと比べ2倍あるにも関わらず性能は1.5倍しか認められない不利がある。
また、特許文献2に開示される同一方向に二本の筋交いを左右に配置する構造は、断熱材を斜めにカットして、容易に隙間なく施工ができるが、2本の筋交い材の上下を固定するためには各筋交い材の各両端にそれぞれ接合金具を用いることから4個の接合金具が必要となった。
本発明の請求項1記載の木造建築物の筋交い構造は、左右一対の柱11と上下一対の横架材13とで囲まれた矩形空間15における1つの対角線上に位置する2つの入隅17の間に、異なる傾斜により長手方向中央部で交差する2枚の平筋交い材19,20が厚み方向で重ねられて組み入れられ、前記2枚の平筋交い材19,20の一方の端19a,20aと他方の端19b,20bとのそれぞれが同一形状の筋交い金物21により前記入隅17に固定される木造建築物の筋交い構造であって、
前記筋交い金物21は、前記2枚の平筋交い材19,20に挟まれて固定される金具本体部25と、前記金具本体部25から垂直に曲げられて前記柱11に固定される垂直片部27と、前記金具本体部25から前記垂直片部27と反対側に曲げられて前記横架材13に固定される水平片部29とを有することを特徴とする。
この木造建築物の筋交い構造は、片筋交いとなることにより、たすき筋交いに比べ、断熱材の施工性を良好にできる。また、たすき筋交いに比べ、隙間が発生しにくく、断熱性能の損失を抑制できる。これに加え、片筋交いとなるので、左右の柱間における左右上側の両入隅17は、いずれか一方を筋交い金物不在にでき、エアコン冷媒配管等の貫通穴を施工しやすくすることができる。
また、木造建築物の筋交い構造は、筋交い金物21を使用することにより、一般的な断面45×90mmの平筋交い材2本を、軸を少しずらして施工することで、一対の対角線の片側に2本配置が可能となる。これにより、90mm角1本の筋交いを片筋交いとして入れる場合、壁倍率が1.5倍しか認められないのに対し、2本使いとなることにより、壁倍率をたすき筋交いとほぼ同等程度まで大きくすることが可能となる。
さらに、木造建築物の筋交い構造では、2枚の平筋交い材19,20の一方の端19a,20aと他方の端19b,20bとのそれぞれが同一形状の筋交い金物21により入隅17に固定されるので、2本の筋交い材の上下を固定するために4個の接合金具が必要であった従来構造に比べ、筋交い金物21を2個に半減させることができる。
前記金具本体部25は、前記入隅17に嵌る角部が略四角形に切り欠かれた切欠部35を有することを特徴とする。
前記切欠部35は、前記横架材13と平行な横辺部37と、前記柱11と平行な縦辺部39とが直交して切り欠かれ、
前記横辺部37と前記垂直片部27との交わる角部が第1角部41となり、
前記縦辺部39と前記水平片部29との交わる角部が第2角部43となり、
前記第1角部41が一方の前記平筋交い材19の板幅方向の中央を通る中心線上に位置し、前記第2角部43が他方の前記平筋交い材20の板幅方向の中央を通る中心線上に位置することを特徴とする。
前記2枚の平筋交い材19,20が交差する交差部59の上面と上側の前記横架材13との間に、上側間柱53が組み入れられ、前記2枚の平筋交い材19,20が交差する交差部59の下面と下側の前記横架材13との間に、下側間柱55が組み入れられることを特徴とする。
前記筋交い金物21は、前記2枚の平筋交い材19,20に挟まれて固定される金具本体部25と、前記金具本体部25から垂直に曲げられて前記柱11に固定される垂直片部27と、前記金具本体部25から前記垂直片部27と反対側に曲げられて前記横架材13に固定される水平片部29とを有することを特徴とする。
これにより、左右一対の柱11と上下一対の横架材13とで囲まれた矩形空間15における1つの対角線上に位置する2つの入隅17の間に、2枚の平筋交い材19,20が厚み方向で重ねられて組み込み固定される。2枚の平筋交い材19は、異なる傾斜により長手方向中央部で交差する。従って、筋交い金物21は、一般的な1本の筋交いによる片筋交いと異なり、2本の平筋交い材19,20となった改良構造の片筋交いを実現する。
また、筋交い金物21は、2枚の平筋交い材19,20の一方と他方とのそれぞれの端を同一形状のもので一度に入隅17に固定できるので、2本の筋交い材の上下を固定するために4個の接合金具が必要であった従来構造に比べ、使用数を2個に半減させることができる。
図1は、本実施形態に係る木造建築物の筋交い構造を表す正面図である。
本実施形態に係る木造建築物の筋交い構造は、左右一対の柱11と上下一対の横架材13とで囲まれた矩形空間15における1つの対角線上に位置する2つの入隅17の間に、異なる傾斜により長手方向中央部で交差する2枚の平筋交い材19,20が厚み方向で重ねられて組み入れられる。
筋交い金物21は、2枚の平筋交い材19,20に挟まれて固定される。換言すれば、筋交い金物21は、2枚の平筋交い材19,20の端同士を同時に、柱11及び横架材13に固定する。2枚の平筋交い材19,20は、長手方向中央部で交差し、この長手方向中央部を回転中心として相互が反対方向へ若干回転して配置されることにより異なる傾斜となる。従って、2枚の平筋交い材19,20は、長手方向両端部で、回転によりずれた分、板厚方向に直交する表裏面(幅方向の面)が表出する。
筋交い金物21は、2枚の平筋交い材19,20の一方の端19a,20aと他方の端19b,20bとのそれぞれを、入隅17に固定する2個が、同一形状で形成される。筋交い金物21は、金具本体部25と、垂直片部27と、水平片部29とを有する。金具本体部25は、出隅が傾斜辺部31により切除された略L字板状となる。金具本体部25には、複数のビス穴33が穿設される。この金具本体部25は、2枚の平筋交い材19,20に表裏面が挟まれて固定される。垂直片部27は、金具本体部25から垂直に曲げられて、矩形板状に形成される。垂直片部27には、複数のビス穴33が穿設される。垂直片部27は、柱11に固定される。水平片部29は、金具本体部25から垂直片部27と反対側に曲げられて、矩形板状に形成される。水平片部29には、複数のビス穴33が穿設される。水平片部29は、横架材13に固定される。
木造建築物の筋交い構造では、筋交い金物21の第1角部41、第2角部43が、平筋交い材19,20の板幅方向の中央を通る中心線47(軸線とも称すことができる)に、正面視で重なる位置に配置される。すなわち、第1角部41は、一方の平筋交い材19の板幅方向の中央を通る中心線47上に位置する。また、第2角部43は、他方の平筋交い材20の板幅方向の中央を通る中心線48上に位置する。
木造建築物の筋交い構造は、矩形空間15に施工するにあたり、先ず、筋交い金物21がそれぞれの入隅17に固定される。筋交い金物21は、垂直片部27が柱11にビス23により固定され、水平片部29が横架材13にビス23により固定される。その後、2枚の平筋交い材19,20のいずれか一方が、筋交い金物21の金具本体部25に固定される。
木造建築物の筋交い構造では、筋交い金物21を入隅17の中央に置いて、前後から平筋交い材19,20を取り付ける。その際、各平筋交い材19,20は、軸をずらすことで、筋交い金物21からビス23を施工することができるようになる。なお、仮に、2枚の平筋交い材19は、軸をずらさず2本を重ね合わせると、筋交い金物21で固定ができなくなる。また、外側、つまり筋交い材と柱及び横架材とにわたる矩形空間15の外の面側に別々の金物を施工することで2本の片筋交いを入れることは可能であるが、合計4個の金物が必要となる。本発明の木造建築物の筋交い構造では、一箇所の入隅17に対して1個の筋交い金物21を用いて2本の平筋交い材19,20を、軸をずらして固定することができる。
また、この木造建築物の筋交い構造では、筋交い金物21の金具本体部25が、切欠部35を有する。金具本体部25は、直交する二辺部を有し、これらが角部で交わるが、この角部が切り欠かれている。従って、角部を有していた金具本体部では、この角部が入隅17に嵌り込むことになり、入隅17の柱11と横架材13に挟まれる直角(90°)が少しでも大きくなると、入隅17に角部が先に当たり、水平片部29や垂直片部27が、横架材13や柱11に密着しにくくなる。筋交い金物21は、切欠部35を設けることにより、入隅17に角部が先に当たることを回避できる。その結果、筋交い金物21は、金具本体部25の角部を切り欠いた切欠部35を備えることにより、角部が入隅17に干渉しなくなり、収まりが良好となる。また、この切欠部35により、筋交い金物21は形状として凹部を有することになり、筋交い金物21を持ち運ぶ際や、設置する際などの指掛け部分となる。
さらに、対角線上の上部に位置する他方の入隅17では、筋交い金物21が180°回転して固定されるので、一対の平筋交い材19,20の中心線47,48は、平筋交い材19,20の長手方向中央部分で一旦交差した後、同様に中心線47,48のずれ量だけ端でずれる。このため、他方の入隅17においても、各中心線47,48のずれ量だけ両平筋交い材19,20がずれて、金具本体部25に固定可能な面(図7参照)が表出することになる。その結果、厚み方向前後に重ねて配置される2本の平筋交い材19,20の中心線47,48を、切欠部35の第1角部41と第2角部43に一致させ位置決めすることにより、2本の平筋交い材19,20の軸をずらし、それぞれの平筋交い材19,20を前後方向から固定できるようになる。
13…横架材
15…矩形空間
17…入隅
19…平筋交い材(一方の平筋交い材)
19a,20a…一方の端
19b,20b…他方の端
20…平筋交い材(他方の平筋交い材)
21…筋交い金物
25…金具本体部
27…垂直片部
29…水平片部
35…切欠部
37…横辺部
39…縦辺部
41…第1角部
43…第2角部
47,48…中心線
53…上側間柱
55…下側間柱
59…交差部
前記筋交い金物21は、前記2枚の平筋交い材19,20に挟まれて固定される金具本体部25と、前記金具本体部25から垂直に曲げられて前記柱11に固定される垂直片部27と、前記金具本体部25から前記垂直片部27と反対側に曲げられて前記横架材13に固定される水平片部29とを有するものである。
Claims (5)
- 左右一対の柱と上下一対の横架材とで囲まれた矩形空間における1つの対角線上に位置する2つの入隅の間に、異なる傾斜により長手方向中央部で交差する2枚の平筋交い材が厚み方向で重ねられて組み入れられ、前記2枚の平筋交い材の一方の端と他方の端とのそれぞれが同一形状の筋交い金物により前記入隅に固定される木造建築物の筋交い構造であって、
前記筋交い金物は、前記2枚の平筋交い材に挟まれて固定される金具本体部と、前記金具本体部から垂直に曲げられて前記柱に固定される垂直片部と、前記金具本体部から前記垂直片部と反対側に曲げられて前記横架材に固定される水平片部とを有することを特徴とする木造建築物の筋交い構造。 - 請求項1に記載の木造建築物の筋交い構造であって、
前記金具本体部は、前記入隅に嵌る角部が略四角形に切り欠かれた切欠部を有することを特徴とする木造建築物の筋交い構造。 - 請求項2に記載の木造建築物の筋交い構造であって、
前記切欠部は、前記横架材と平行な横辺部と、前記柱と平行な縦辺部とが直交して切り欠かれ、
前記横辺部と前記垂直片部との交わる角部が第1角部となり、
前記縦辺部と前記水平片部との交わる角部が第2角部となり、
前記第1角部が一方の前記平筋交い材の板幅方向の中央を通る中心線上に位置し、前記第2角部が他方の前記平筋交い材の板幅方向の中央を通る中心線上に位置することを特徴とする木造建築物の筋交い構造。 - 請求項1~3のいずれか1つに記載の木造建築物の筋交い構造であって、
前記2枚の平筋交い材が交差する交差部の上面と上側の前記横架材との間に、上側間柱が組み入れられ、前記2枚の平筋交い材が交差する交差部の下面と下側の前記横架材との間に、下側間柱が組み入れられることを特徴とする木造建築物の筋交い構造。 - 左右一対の柱と上下一対の横架材とで囲まれた矩形空間における1つの対角線上に位置する2つの入隅の間に、異なる傾斜により長手方向中央部で交差する2枚の平筋交い材が厚み方向で重ねられて組み入れられる木造建築物の筋交い構造に用いられ、前記2枚の平筋交い材の一方の端と他方の端とのそれぞれを、前記入隅に固定する同一形状の筋交い金物であって、
前記筋交い金物は、前記2枚の平筋交い材に挟まれて固定される金具本体部と、前記金具本体部から垂直に曲げられて前記柱に固定される垂直片部と、前記金具本体部から前記垂直片部と反対側に曲げられて前記横架材に固定される水平片部とを有することを特徴とする筋交い金物。
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