JP2023040741A - 強化繊維を含む熱可塑性樹脂組成物からなる構造部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、機械的強度が強く、耐衝撃性に優れる強化繊維を含む熱可塑性樹脂組成物からなる構造部品を提供することにある。【解決手段】本発明は、繊維径が0.1~50μm、および重量平均繊維長が0.5mm以上の強化繊維を含む熱可塑性樹脂組成物からなる構造部品に係る。【選択図】なし

Description

本発明は強化繊維を含む熱可塑性樹脂組成物からなる構造部品に関する。
構造部品に用いられる熱可塑性樹脂には、得られる構造部品の強度や耐衝撃等の機械的性質を向上させる目的で、炭素繊維やガラス繊維等の繊維材料を配合することおよび/又はエラストマーなどのポリオレフィン系材料を配合することが提案されている(例えば特許文献1参照)。
特開2011-032469号公報
しかしながら、衝撃特性を向上させる為にエラストマー材料を使用すると、得られる成形体は機械的特性や耐熱特性が低下するという問題点があった。
本発明の目的は、機械的強度が強く、耐衝撃性に優れる、強化繊維を含む熱可塑性樹脂組成物からなる構造部品を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、樹脂製構造部品を長繊維で強化することで機械的強度と耐衝撃性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の[1]~[4]に関する。
[1]繊維径が0.1~50μm、および重量平均繊維長が0.5mm以上の強化繊維を含む熱可塑性樹脂組成物からなる構造部品。
[2]強化繊維がガラス繊維、玄武岩繊維又は炭素繊維から選ばれる少なくとも1つの繊維であることを特徴とする項[1]に記載の構造部品。
[3]熱可塑性樹脂がポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、又はポリオレフィン樹脂から選ばれる少なくとも1つの熱可塑性樹脂であることを特徴とする項[1]または[2]に記載の構造部品。
[4]熱可塑性樹脂組成物が、強化繊維の含有量が5重量%以上、70重量%未満であることを特徴とする項[1]~[3]の何れか1項に記載の構造部品。
本発明の構造部品は、繊維径が0.1~50μm、および重量平均繊維長が0.5mm以上の強化繊維を含む熱可塑性樹脂組成物からなるので、機械的強度が高く、耐衝撃性に優れる、自動車部品、電気・電子部品、建材など各種用途に利用することができる。
<熱可塑性樹脂>
本発明の構造部品を形成する熱可塑性樹脂組成物を構成する熱可塑性樹脂は、一般に市販されている熱可塑性樹脂であれば全て使用可能である。
本発明に係る熱可塑性樹脂として更に好ましいものとしては、得られる強化繊維を含む熱可塑性樹脂組成物を考慮した場合には、射出成形グレードとして市販されているものの中でも、比較的溶融粘度が低い熱可塑性樹脂組成物が本発明の効果をより大きく発揮する。その理由は、熱可塑性樹脂組成物の溶融粘度が低いと、構造部品の成形時において可塑化される際の剪断や、金型内での熱可塑性樹脂の流動により生じる剪断による強化繊維の折損がなされにくくなり、得られる構造部品の機械的強度の向上が著しく、強化繊維の配向制御の効果が大きいことである。
本発明に係る熱可塑性樹脂としては、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、一般用ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン共重合体樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ酢酸ビニル、塩素化ポリプロピレン等のハロゲン含有ポリオレフィン樹脂、6-ナイロン、6,6-ナイロン、6,10-ナイロン、6,12-ナイロン、4,6-ナイロン、11-ナイロン、12-ナイロン、4T-ナイロン、6T―ナイロン、9T―ナイロン、10T-ナイロン、11T-ナイロン、12T-ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリエチルアクリレート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂等のポリアクリル系樹脂、ポリスルホン酸系樹脂、ポリフェニルエーテル樹脂、ポリアセタール樹脂、液晶性芳香族ポリエステル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂等の汎用樹脂からスーパーエンプラまで全ての熱可塑性樹脂及びこれらの2種類以上からなるアロイ樹脂が使用可能である。アロイを形成する熱可塑性樹脂は、ここに挙げた熱可塑性樹脂に限定されるものではなく、周知の他の熱可塑性樹脂及びそれらの2種類以上のアロイ樹脂が使用可能である。
<強化繊維>
本発明の構造部品を形成する熱可塑性樹脂組成物を構成する強化繊維は、繊維径が0.1~50μm、および重量平均繊維長が0.5mm以上の強化繊維である。
本発明に係る強化繊維は、繊維径および繊維長が上記範囲を満たす限り、公知の強化繊維またはそれに相当するものが使用できる。強化繊維としては、具体的には、ガラス、炭素、玄武岩、シリコンカーバイド、ボロン等の無機繊維;ステンレス等の金属繊維;アラミド、レーヨン、ナイロン、セルロース等の有機繊維;チタン酸カリウィスカー、シリコンカーバイドウィスカー、グラファイトウィスカー、窒化シリコンウィスカー、アルミナ-酸化ホウ素ウィスカー、酸化亜鉛ウィスカー等のウィスカー等からなる群から選ばれた少なくとも一種が挙げられる。強化繊維としては、少なくとも上記熱可塑性樹脂よりも高弾性のものを選択し、熱可塑性樹脂の剛性を強化する働きの大きい繊維が好ましい。すなわちガラス繊維、炭素繊維及び玄武岩繊維が特に好ましい。これらの繊維は混合して使用することも可能である。
本発明に係る強化繊維は、材質にもよるが、繊維径(直径)が0.1~50μmである。本発明において、構造部品の成形用の熱可塑性樹脂組成物のペレットに含まれる強化繊維は、ペレット長さにもよるが、ペレット長よりも長くなることはなく、重量平均繊維長が、0.5mm以上、好ましくは0.5~100mm、好ましくは1~50mm、さらに好ましくは3~30mmである。
〈ガラス繊維〉
本発明に係る強化繊維の一つであるガラス繊維の種類としては、E-ガラス、S-ガラス、C-ガラス、AR-ガラス、T-ガラス、D-ガラス及びR-ガラス等の市販品が挙げられる。熱可塑性樹脂組成物のペレットを製造する場合には、ガラス繊維は、通常、複数のフィラメントを集めた束を、コイル状に巻きとった、いわゆるガラスロービングの形態をしたもの、ガラスロービングを所望の長さにカッティングした、チョップドストランドタイプのものとして利用できる。
本発明に係るガラス繊維の繊維径は、3~40μmのものが適している。好ましくは3μm以上であることで、ガラス繊維の含有量が多い熱可塑性樹脂組成物の場合にも、相対的にガラス繊維数が抑制されるため熱可塑性樹脂の含浸が容易であり、40μm以下であることで得られる構造部品の表面外観が優れる。最適なガラス繊維径は9~20μmである。
本発明に係るガラス繊維はカップリング剤を含む表面処理剤で表面処理されていてもよい。カップリング剤としてはアミノシラン、エポキシシラン、アミドシラン、アジドシラン、アクリルシランのようなシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤及びこれらの混合物が利用できる。これらの内、アミノシランとエポキシシランが好ましく、特にアミノシランカップリング剤が好ましい。複数のフィラメントを集めて束にするために使用するバインダーの種類も、特に限定されず、従来公知のものも含めて適切なものが使用できる。
〈炭素繊維〉
本発明に係る炭素繊維としては、サイジング剤で処理されたものが好ましい。サイジング剤で表面処理された炭素繊維の素材としては、ポリアクリロニトリル(PAN)系、ピッチ系、レーヨン系等の炭素繊維が挙げられ、好ましくはPAN系である。
本発明に係る炭素繊維は、多数の単糸が集束されたロービング状のものが市販されており、繊維径が0.1~50μm、および重量平均繊維長が0.5mm以上である限り、特に制限はないが、一般に単糸径で7.5μm以下、好ましくは6μm以下、さらに好ましくは5.5μm以下のものが利用できる。
本発明に係る炭素繊維は、熱可塑性樹脂との複合強化材料として利用され、熱可塑性樹脂との接着性を良好にするために、電解処理や活性ガスによる気相表面処理などの表面活性化処理により表面にヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基などの官能基が導入されているものが好ましい。
本発明に係る炭素繊維はサイジング剤で表面処理された炭素繊維でもよく、かかるサイジング剤で表面処理された炭素繊維としては、ストランド強度が好ましくは350kgf/mm2(3430MPa)以上、より好ましくは400kgf/mm2(3920MPa)以上、さらに好ましくは450kgf/mm2(4410MPa)以上であり、また、弾性率が22tf/mm2(216000MPa)以上、好ましくは2422tf/mm2(235000MPa)以上、より好ましくは2822tf/mm2(275000MPa)以上のものが使用できる。
本発明に係る炭素繊維のサイジング剤として、複数のエポキシ基を有する脂肪族化合物を用いることができる。上記脂肪族化合物とは、非環式直鎖状飽和炭化水素、分岐状飽和炭化水素、非環式直鎖状不飽和炭化水素、分岐状不飽和炭化水素、または上記炭化水素の炭素原子または炭化水素基(C、CH3、CH2、CH)を、酸素原子(O)、窒素原子または窒化水素基(N、NH)、硫黄原子または硫黄含有基(S、SO3H、SH)、カルボニル原子団(C=O)に置き換えた鎖状構造の化合物をいう。また、本発明では、複数エポキシ基を有する脂肪族化合物において、2個のエポキシ基間を結ぶ鎖状構造を構成する炭素原子、複素原子(酸素原子、窒素原子等)の総数のうち最も大きい原子鎖を最長原子鎖といい、最長原子鎖を構成する原子の総数を最長原子鎖の原子数という。なお、最長原子鎖を構成する原子に結合した水素等の原子の数は総数に含めない。側鎖の構造については特に限定するものではないが、サイジング剤化合物の分子間架橋の密度が大きくなりすぎないように抑えるために、架橋点となりにくい構造が好ましい。サイジング剤化合物の有するエポキシ基が2つ未満であると、炭素繊維と熱可塑性樹脂との橋渡しを有効に行うことができない。従ってエポキシ基の数は、炭素繊維と熱可塑性樹脂との橋渡しを有効に行うために2個以上であることが好ましい。一方、エポキシ基の数が多すぎると、サイジング剤化合物の分子間架橋の密度が大きくなり、脆性なサイジング層となって結果としてコンポジットの引張強度が低下してしまうため、好ましくは6個以下、より好ましくは4個以下、さらに好ましくは2個が良い。さらにこの2個のエポキシ基が最長原子鎖の両末端にあるのがより好ましい。すなわち最長原子鎖の両末端にエポキシ基があることにより局所的な架橋密度が高くなることを防ぐので、コンポジット引張強度にとって好ましい。
エポキシ基の構造としては反応性の高いグリシジル基が好ましい。かかる脂肪族化合物の分子量は、樹脂粘度が低すぎる、あるいは高すぎることにより集束剤としての取り扱い性が悪化するのを防ぐ観点から、80以上3200以下が好ましく、100以上1500以下がより好ましく、200以上1000以下がさらに好ましい。
本発明における複数エポキシ基を有する脂肪族化合物の具体例としては、例えば、ジグリシジルエーテル化合物では、エチレングリコールジグリシジルエーテル及びポリエチレングリコールジグリシジルエーテル類、プロピレングリコールジグリシジルエーテル及びポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル類等が挙げられる。また、ポリグリシジルエーテル化合物では、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル類、ソルビトールポリグリシジルエーテル類、アラビトールポリグリシジルエーテル類、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル類、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル類、脂肪族多価アルコールのポリグリシジルエーテル類等が挙げられる。
好ましくは、反応性の高いグリシジル基を有する脂肪族のポリグリシジルエーテル化合物である。更に好ましくは、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル類、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類、アルカンジオールジグリシジルエーテル類等が好ましい。複数のエポキシ基を有する脂肪族化合物において、最長原子鎖の原子数が20以上であることが好ましい。すなわち該原子数が20未満ではサイジング層内の架橋密度が高くなるために靭性の低い構造になりやすく、結果として熱可塑性樹脂組成物からなる構造部品の引張強度が発現しにくい場合がある。それに対して最長原子鎖の原子数が大きいとサイジング層が柔軟で靭性の高い構造になりやすいので結果として熱可塑性樹脂組成物からなる構造部品の引張強度が向上しやすく、特に脆い熱可塑性樹脂での引張強度が高いという特長を有するので、より好ましくは最長原子鎖の原子数で25以上、さらに好ましくは30以上がよい。ただし最長原子鎖の原子数は大きいほど柔軟な構造になるが、長すぎると折れ曲がって官能基を封鎖してしまい、結果として炭素繊維と熱可塑性樹脂との接着力が低下してしまう場合があるので好ましくは、原子数で200以下、より好ましくは100以下がよい。
脂肪族化合物に環状脂肪族骨格を含む場合には、エポキシ基が環状骨格から十分離れていれば、具体的は、原子数で6以上あれば用いることができる。本発明においては、エポキシ基と芳香環の間の原子数が6以上であるエポキシ基を複数有する芳香族化合物もサイジング剤として用いることができる。エポキシ基と芳香環の間の原子数とは、エポキシ基と芳香環の間を結ぶ鎖状構造を構成する炭素原子、複素原子(酸素原子、窒素原子等)、カルボニル原子団の総数をいう。この場合の直鎖状構造としては前記した鎖状構造と同様のものである。
サイジング剤としてエポキシ基と芳香環との間の原子数が6に満たないと、炭素繊維と熱可塑性樹脂との界面に剛直で立体的に大きな化合物を介在させることになるため、炭素繊維の最表面に存在する表面官能基との反応性が向上せず、その結果熱可塑性樹脂組成物からなる構造部品の横方向特性の向上が望めない虞がある。
アルキリデン基で繋がれた二つのフェノール環、即ちビスフェノールA部またはF部は、マトリックス樹脂との相溶性を向上させる効果と耐毛羽性を向上させる効果がある。エポキシ基と芳香環の間の原子数が6以上である複数エポキシ基を有する芳香族化合物の骨格が縮合多環芳香族化合物であってもよい。縮合多環芳香族化合物の骨格としては、例えばナフタレン、アントラセン、フェナントレン、クリセン、ピレン、ナフタセン、トリフェニレン、1,2-ベンズアントラセン、ベンゾピレン等が挙げられる。好ましくは、骨格の小さいナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレンである。複数エポキシ基を有する縮合多環芳香族化合物のエポキシ当量は、接着性の向上効果を十分なものとする観点から、150~350、さらには200~300が好ましい。複数エポキシ基を有する縮合多環芳香族化合物の分子量は、樹脂粘度が高くなって集束剤としての取り扱い性が悪化するのを防ぐ観点から、400~800、さらには400~600が好ましい。
本発明において、サイジング剤には分子量の小さいビスフェノール型エポキシ化合物、直鎖状低分子量エポキシ化合物、ポリエチレングリコール、ポリウレタン、ポリエステル乳化剤あるいは界面活性剤など他の成分を粘度調整、耐擦過性向上、耐毛羽性向上、集束性向上、高次加工性向上等の目的で加えてもよい。
さらに、ブタジエンニトリルゴム等のゴム、あるいはエポキシ末端ブタジエンニトリルゴムのようなエラストマー性のある直鎖状エポキシ変性化合物等を添加しても問題はない。このようなサイジング剤(s)で表面処理された炭素繊維としては、市販品として、トレカT700SC-24000-50Cなどのトレカ(登録商標、東レ(株)社製)などが挙げられる。
また、玄武岩繊維は、熱可塑性樹脂との接着性改良のために各種表面処理剤により処理したものが好ましい。
表面処理剤としてはシランカップリング剤が好ましく、シランカップリング剤としては、分子中にエポキシ基、ビニル基、アミノ基、メタクリル基、アクリル基、及び直鎖アルキル基のいずれか1つを有するシランカップリング剤などが使用できる。シランカップリング剤は1種でも良く、2種以上を混合して用いることもできる。シランカップリング剤の中でも、特に、分子中にエポキシ基、アミノ基、直鎖アルキル基を有するエポキシシラン系、アミノシラン系、直鎖アルキルシラン系が好適である。エポキシシラン系シランカップリング剤のエポキシ基としては、グリシジル基、脂環式エポキシ基等が好適であり、かかるシランカップリング剤としては、日本ユニカー(株)製A-186、A-187、AZ-6137、AZ-6165(以上、商品名)等が具体的に挙げられる。アミノシラン系シランカップリング剤としては、1級アミン、2級アミン或いはその双方を有するものが挙げられ、日本ユニカー(株)製A-1100、A-1110、A-1120、Y-9669、A-1160(以上、商品名)等が具体的に挙げられる。また、直鎖アルキルシラン系としては、ヘキシル基、オクチル基、デシル基を有するものが挙げられ、日本ユニカー(株)製AZ-6171、AZ-6177(以上、商品名)、信越シリコーン(株)製KBM-3103C(商品名)等が具体的に挙げられる。中でもアミノシラン系が好ましい。特に、γ-アミノプロピルトリアルコキシシランは好適である。
<熱可塑性樹脂組成物>
本発明の構造部品を成形するのに用いる熱可塑性樹脂組成物は、上記熱可塑性樹脂と上記強化繊維とを種々公知の方法、具体的には、上記各成分をドライブレンド、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサーなどで混合、あるいは混合後、単軸押出機、2軸押出機、高速2軸押出機などで溶融混練することにより、製造し得る。
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、以下の方法でも製造し得る。
具体的には、上記強化繊維の長繊維(連続繊維)を引きながら上記熱可塑性樹脂を連続繊維に含浸させる引き抜き成形法により製造し得る。
より具体的には、例えば、上記熱可塑性樹脂に必要に応じて添加剤を加えて、連続繊維を、クロスヘッドダイを通して引きながら、熱可塑性樹脂を押出機から溶融状態でクロスヘッドダイに供給して連続繊維に、熱可塑性樹脂を含浸させ、溶融含浸物を加熱し、冷却後、引き抜き方向と直角に切断して得られるので、該熱可塑性樹脂組成物は、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物の長さ方向に強化繊維が同一長さで平行配列している。引き抜き成形は、基本的には連続した強化繊維の繊維束を引きながら熱可塑性樹脂を含浸するものであり、上記クロスヘッドの中に、繊維束を通しながら押出機等からクロスヘッドに熱可塑性樹脂を供給し含浸する方法の他に、熱可塑性樹脂のエマルジョン、サスペンジョンあるいは溶液を入れた含浸浴の中を強化繊維の繊維束を通し含浸する方法、熱可塑性樹脂の粉末を強化繊維の繊維束に吹きつけるか粉末を入れた槽の中に繊維束を通し繊維に樹脂粉末を付着させたのち熱可塑性樹脂を溶融し含浸する方法等が知られており、本発明ではいずれも利用できる。特に好ましいのはクロスヘッド方法である。また、これらの引き抜き成形における熱可塑性樹脂の含浸操作は1段で行うのが一般的であるが、これを2段以上に分けてもよく、さらに含浸方法を異にして行ってもかまわない。
強化繊維に、熱可塑性樹脂を含浸させる比率は、熱可塑性樹脂と強化繊維の合計中の強化繊維の重量比率が5重量%以上、70重量%未満、好ましくは10重量%以上、65重量%未満、さらに好ましくは15重量%以上、60重量%未満である。強化繊維の比率が上記範囲より少なすぎると得られる構造部品が所望の機械的物性が得られない虞があり、70重量%以上では、熱可塑性樹脂の含浸が十分ではなく、強化繊維の毛羽立ち、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物の破損などが起こり、得られる構造部品の強度を維持することができない虞がある。
〈構造部品の製造方法〉
本発明の構造部品は、上記熱可塑性樹脂組成物を射出成形して構造部品を得ることにより製造し得る。射出成形においては、通常の成形方法だけでなく、射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、発泡成形(超臨界流体を注入する方法を含む)、インサート成形、インモールドコーティング成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、二色成形、サンドイッチ成形、および超高速射出成形などを挙げることができる。
本発明に係る構造部品の製造方法において、上記熱可塑性樹脂組成物として、上記強化繊維の長繊維(連続繊維)を引きながら上記熱可塑性樹脂を連続繊維に含浸させる引き抜き成形法により製造したペレット状の熱可塑性樹脂組成物を用いる場合は、一般的な成形方法及び成形装置では、材料を可塑化する際にスクリューの回転によって生じる剪断が大きく、強化繊維を折損させてしまう確率が大きいため、使用可能ではあるが、あまり好ましくない。従って成形機メーカー各社の長繊維強化熱可塑性樹脂用に開発した可塑化システムを持つ成形機を用いることが好ましい。また、強化繊維の繊維長を保護する成形条件としては、熱可塑性樹脂に対して強化繊維を添加していない(非強化の)状態で成形する際の一般的可塑化温度より10~30℃高めの温度設定とするなど、可塑化による剪断を低減する事が望ましい。更に金型及び/又はダイの設計においては、特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂の流路はその断面を出来得る限り広く設計し、また樹脂流路の形状についても検討した上で、圧力損失の低減された設計を施す事が繊維長を保護する上で望ましい。
例えば、熱可塑性樹脂として、6,6-ナイロンを用いる場合は、射出成形時の射出成形機シリンダー温度を320~340℃に設定するのが好ましい。射出成形時の成形温度(シリンダー温度)を通常より高めに設定することにより、強化繊維と熱可塑性樹脂がより強固に結合し、射出成形後の構造部品の機械的物性が著しく向上する。
本発明の構造部品は、自動車部品、電気・電子部品、建材など各種用途に利用することができる。具体的には、自動車部品としてはミラー、バンパー、ドアパネル、フロントエンドモジュール、クロスカービーム、センターコンソール、ハンドルモジュール、座席シート、アクセルペダル、ブレーキペダル、ピラーなどの構造部品、ECUケース、PCUケース、バッテリーケース、モーターハウジングなどの電気系統部品の筐体、シリンダーヘッドカバー、エンジンカバー、エンジンマウント、インテークマニホールドなどの燃料系統部品が挙げられる。電気・電子部品としては、ICトレイ、チップトレイや、オーディオ機器、ビデオ機器、電話機、コピー機、ファクシミリ、ワードプロセサー、コンピューター、スマートフォンやウェアラブルデバイスなどのOA機器のハウジングが挙げられる。他にも飛行機やヘリコプターのファン部品や、ゴルフクラブやテニスラケット、釣り竿などのスポーツ用品などに適用できる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
〔製造例1〕
〈ナイロン66とガラス長繊維のペレット状の熱可塑性樹脂組成物〉
ガラス繊維は表面処理されたもので、繊維径7μmのガラス繊維が24000本の連続繊維束を使用した。連続繊維の通路を波状に加工したクロスヘッドを通して、ガラス繊維ロービングを引きながら、6,6-ナイロンをクロスヘッドに接続された押出機から供給して、溶融状態(320℃)でガラス繊維に含浸させた後、賦形ダイを通してストランドとして引取り、冷却後、細断し、ガラス繊維含有量40重量%、長さ10mmのペレットを得た。
〔実施例1〕
製造例1で作成したガラス繊維含有量40重量%、長さ10mmのペレットを原料として、シリンダー温度320~340℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(東芝機械製 EC75N-2A)にて、カバー部品である構造部品を射出成形した。このカバー部品は、板厚がほぼ均一な略平板状で略矩形状を呈し、4隅の裏面に内部が中空とされた取付部を有している。
〈ガラス繊維の繊維長測定方法〉
得られた構造部品の平板状中心部から約10gの試料を切り出し、650℃で灰化してガラス繊維を取り出す。取り出した繊維の一部(約500本)から重量平均繊維長を求めた。重量平均繊維長は1.5mmであった。

Claims (4)

  1. 繊維径が0.1~50μm、および重量平均繊維長が0.5mm以上の強化繊維を含む熱可塑性樹脂組成物からなる構造部品。
  2. 強化繊維がガラス繊維、玄武岩繊維又は炭素繊維から選ばれる少なくとも1つの繊維であることを特徴とする請求項1に記載の構造部品。
  3. 熱可塑性樹脂がポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、又はポリオレフィン樹脂から選ばれる少なくとも1つの熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の構造部品。
  4. 熱可塑性樹脂組成物が、強化繊維の含有量が5重量%以上、70重量%未満であることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の構造部品。
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