JP2023037780A - クラフトパルプの製造方法 - Google Patents

クラフトパルプの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2023037780A
JP2023037780A JP2021144554A JP2021144554A JP2023037780A JP 2023037780 A JP2023037780 A JP 2023037780A JP 2021144554 A JP2021144554 A JP 2021144554A JP 2021144554 A JP2021144554 A JP 2021144554A JP 2023037780 A JP2023037780 A JP 2023037780A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
general formula
pulp
carbon atoms
mass
less
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021144554A
Other languages
English (en)
Inventor
康司 池田
Yasushi Ikeda
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kao Corp filed Critical Kao Corp
Priority to JP2021144554A priority Critical patent/JP2023037780A/ja
Publication of JP2023037780A publication Critical patent/JP2023037780A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Paper (AREA)

Abstract

【課題】広葉樹を原料とする未漂白パルプから、ピッチトラブルの原因となる炭素数24以上28以下の脂肪酸及び脂肪族アルコールを除去することができる、クラフトパルプの製造方法、及び炭素数24以上28以下の脂肪酸及び脂肪族アルコール除去用クラフトパルプ洗浄剤。【解決手段】炭素数24以上28以下の脂肪酸及び脂肪族アルコールの合計含有量が0.1質量%以上である広葉樹を蒸解して得られる未漂白パルプを、酸素脱リグニン工程で処理するクラフトパルプの製造方法であって、前記酸素脱リグニン工程において、(a)一般式(a1)で表される化合物、一般式(a2)で表される化合物、及び一般式(a3)で表される化合物から選ばれる1種以上(以下、(a)成分という)を含む洗浄剤を、(a)成分の添加量が未漂白パルプの絶乾質量当たり0.01質量%以上10質量%以下となるように未漂白パルプに添加して、反応温度80℃以上120℃以下で脱リグニン処理する、クラフトパルプの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、クラフトパルプの製造方法に関する。
広葉樹材を紙の原料として使用する場合、まず木材チップを蒸解し、酸素とアルカリによるいわゆる酸素脱リグニンを行ない、パルプ化する(未漂白パルプ)。漂白パルプを得るには、その後さらに多段漂白し、元素状塩素を用いないECF(Elemental Chlorine Free)漂白が行なわれている。
通常のパルプ原料として用いられるリグノセルロース物質にはパルプの主成分であるセルロース、ヘミセルロース及びリグニンの他に、脂肪酸、樹脂酸、脂肪酸グリセライド等のピッチ成分が含まれている。このピッチ成分はパルプ化の際に一部がパルプから離脱して、いわゆるコロイダルピッチと呼ばれる遊離のピッチとなることが知られている。一般に、各種パルプ化工程で製造されたパルプは、精選工程を経て他の製紙用材料と混合された後、抄紙工程に送られて抄紙され、製品となるが、この一連の工程の中で、遊離の浮遊ピッチあるいは付着ピッチが、製紙機械の各所に凝集し、用具の汚れや、紙汚れ、紙切れ等のピッチトラブルを起こすことになる。
近年、パルプの原料としてユーカリやアカシアに代表される熱帯広葉樹材の比率が高まってきている。これら熱帯広葉樹から製造されるパルプには、コロイダルピッチやピッチを含む繊維導管、樹脂等が特に多いことが知られており、これらは前述のピッチトラブル以外にも、紙のチリ欠点増加や摩擦係数低下の原因となり、従来の技術では熱帯広葉樹材の使用量に上限を設定せざるを得ない状況である。
さらに、熱帯広葉樹材を原料としたパルプ中には、炭素数が16から28の脂肪酸が多く含まれている。特に炭素数24から28の脂肪酸は融点が80℃以上であり、通常のパルプ化工程では殆ど除去することができず、クラフトパルプ中に残留して紙の摩擦係数を低下させる主原因となる。
特許文献1には、一般式(I)で表される特定のエチレンオキシド系非イオン界面活性剤を製紙工程に添加してピッチ障害を抑制することを特徴とするピッチ障害の抑制方法が開示されている。
特許文献2には、炭素数24~28の脂肪酸と脂肪族アルコールの合計含有量が0.1質量%以上である広葉樹蒸解未漂白パルプを酸素脱リグニン工程及び引き続く多段漂白工程で処理することよりなる漂白パルプの製造方法であって、前記脱リグニン工程における脱リグニン処理されたパルプを洗浄処理する洗浄工程が、脱リグニンパルプ絶乾質量に対して0.02質量%以上0.5質量%未満の添加率でアルカリが添加されている洗浄工程であり、引き続く多段漂白工程が元素状塩素を使用しない漂白処理工程である広葉樹漂白パルプの製造方法が開示されている。
特公昭63-23320号公報 特開2012-153999号公報
本発明は、広葉樹を原料とする未漂白パルプから、ピッチトラブルの原因となる炭素数24以上28以下の脂肪酸及び脂肪族アルコールを除去することができる、クラフトパルプの製造方法、及び炭素数24以上28以下の脂肪酸及び脂肪族アルコール除去用クラフトパルプ洗浄剤を提供する。
本発明は、炭素数24以上28以下の脂肪酸及び脂肪族アルコールの合計含有量が0.1質量%以上である広葉樹を蒸解して得られる未漂白パルプを、酸素脱リグニン工程で処理するクラフトパルプの製造方法であって、前記酸素脱リグニン工程において、(a)下記一般式(a1)で表される化合物、下記一般式(a2)で表される化合物、及び下記一般式(a3)で表される化合物から選ばれる1種以上(以下、(a)成分という)を含む洗浄剤を、(a)成分の添加量が未漂白パルプの絶乾質量当たり0.01質量%以上10質量%以下となるように未漂白パルプに添加して、反応温度80℃以上120℃以下で脱リグニン処理する、クラフトパルプの製造方法に関する。
Figure 2023037780000001
(一般式(a1)中、Rが炭素数10以上22以下の炭化水素基であり、mとnは、エチレンオキシ基の平均付加モル数であり、mとnの合計が8以上60以下の数である。)
-(CHCHO)H (a2)
(一般式(a2)中、Rが炭素数10以上22以下の炭化水素基であり、xは、エチレンオキシ基の平均付加モル数であり、10以上60以下の数である。)
CO-(CHCHO)H (a3)
(一般式(a3)中、Rが炭素数10以上22以下の炭化水素基であり、yは、エチレンオキシ基の平均付加モル数であり、10以上60以下の数である。)
また本発明は、(a)成分を含む、炭素数24以上28以下の脂肪酸及び脂肪族アルコール除去用クラフトパルプ洗浄剤に関する。
本発明によれば、広葉樹を原料とする未漂白パルプから、ピッチトラブルの原因となる炭素数24以上28以下の脂肪酸及び脂肪族アルコールを除去することができる、クラフトパルプの製造方法、及び炭素数24以上28以下の脂肪酸及び脂肪族アルコール除去用クラフトパルプ洗浄剤が提供される。
〔クラフトパルプの製造方法〕
本発明のクラフトパルプの製造方法は、炭素数24以上28以下の脂肪酸及び脂肪族アルコールの合計含有量が0.1質量%以上、更に0.15質量%以上、更に0.2質量%以上、そして、1.0質量%以下である広葉樹を蒸解して得られる未漂白パルプを対象とする。
本発明において、未漂白パルプの原料となる木材チップとしては、ユーカリ、オーク、アカシア、ビーチ、タンオーク、及びオルダー等から選ばれる1種以上の広葉樹材が挙げられる。特に本発明のクラフトパルプの製造方法は、炭素数24以上28以下の脂肪酸及び脂肪族アルコールを多く含有するアカシアを含む広葉樹を原料とする木材チップに好適である。また使用する広葉樹材に多少の針葉樹材を含まれていてもよい。
本発明に用いられるクラフトパルプを得るための蒸解法としては、クラフト蒸解等の公知の蒸解法を用いることができるが、パルプ品質、エネルギー効率等を考慮すると、クラフト蒸解法が好適に用いられる。例えば、木材をクラフト蒸解する場合、クラフト蒸解液の硫化度は5%以上、好ましくは20%以上、そして、75%以下、好ましくは35%以下であり、有効アルカリ添加率は絶乾木材質量当たり5質量%以上、好ましくは10質量%以上、そして、30質量%以下、好ましくは25質量%以下であり、蒸解温度は140℃以上170℃以下である。
また、蒸解方式は、連続蒸解法あるいはバッチ蒸解法のどちらでもよく、連続蒸解釜を用いる場合は、蒸解白液を分割で添加する蒸解法でもよく、その方式は特に問わない。
蒸解に際して使用する蒸解液には、蒸解助剤として公知の環状ケト化合物、例えばベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン、アントロン、フェナントロキノン及び前記キノン系化合物のアルキル、アミノ等の核置換体、或いは前記キノン系化合物の還元型であるアントラヒドロキノンのようなヒドロキノン系化合物、さらにはディールスアルダー法によるアントラキノン合成法の中間体として得られる安定な化合物である9,10-ジケトヒドロアントラセン化合物等から選ばれる1種以上が添加されてもよく、その添加率は木材チップの絶乾質量当たり0.001質量%以上1.0質量%以下である。
<酸素脱リグニン工程>
本発明のクラフトパルプの製造方法は、蒸解して得られる未漂白パルプを、酸素脱リグニン工程で処理するクラフトパルプの製造方法であって、前記酸素脱リグニン工程において、(a)下記一般式(a1)で表される化合物、下記一般式(a2)で表される化合物、及び下記一般式(a3)で表される化合物から選ばれる1種以上(以下、(a)成分という)を含む洗浄剤を、(a)成分の添加量が未漂白パルプの絶乾質量当たり0.01質量%以上10質量%以下となるように未漂白パルプに添加して、反応温度80℃以上120℃以下で脱リグニン処理する。
Figure 2023037780000002
(一般式(a1)中、Rが炭素数10以上22以下の炭化水素基であり、mとnは、エチレンオキシ基の平均付加モル数であり、mとnの合計が8以上60以下の数である。)
-(CHCHO)H (a2)
(一般式(a2)中、Rが炭素数10以上22以下の炭化水素基であり、xは、エチレンオキシ基の平均付加モル数であり、10以上60以下の数である。)
CO-(CHCHO)H (a3)
(一般式(a3)中、Rが炭素数10以上22以下の炭化水素基であり、yは、エチレンオキシ基の平均付加モル数であり、10以上60以下の数である。)
本発明の脱リグニン処理工程において、本発明の洗浄剤を未漂白パルプに添加して、脱リグニン処理することによって、未漂白パルプから、ピッチトラブルの原因となる炭素数24以上28以下の脂肪酸及び脂肪族アルコールを除去することができる。
すなわち、本発明は、(a)成分を含む、炭素数24以上28以下の脂肪酸及び脂肪族アルコール除去用クラフトパルプ洗浄剤を提供する。
本発明の炭素数24以上28以下の脂肪酸及び脂肪族アルコール除去用クラフトパルプ洗浄剤は、本発明の洗浄剤と同じであり、本発明のクラフトパルプの製造方法で記載した態様を適宜適用することができる。
(a)成分は、(a1)成分、(a2)成分、及び(a3)成分から選ばれる1種以上であり、浸透性、剥離性、乳化性、分散性の観点から、好ましくは)(a1)成分、及び(a2)成分から選ばれる1種以上であり、より好ましくは(a1)成分である。
(a1)成分ついて、一般式(a1)中、Rは、浸透性、剥離性の観点から、炭素数10以上、好ましくは12以上、そして、22以下、好ましくは18以下の炭化水素基、好ましくはアルキル基又はアルケニル基である。
mとnは、エチレンオキシ基の平均付加モル数であり、mとnの合計は、乳化性、分散性の観点から、8以上、好ましくは10以上、より好ましくは15以上、更に好ましくは20以上、そして、60以下、好ましくは50以下、より好ましくは30以下の数である。
(a2)成分について、一般式(a2)中、Rは、浸透性、剥離性の観点から、炭素数10以上、好ましくは12以上、そして、22以下、好ましくは18以下の炭化水素基、好ましくはアルキル基又はアルケニル基である。
xは、エチレンオキシ基の平均付加モル数であり、乳化性、分散性の観点から、10以上、好ましくは12以上、より好ましくは20以上、60以下、好ましくは50以下の数である。
(a3)成分について、一般式(a3)中、Rは、浸透性、剥離性の観点から、炭素数10以上、好ましくは12以上、そして、22以下、好ましくは18以下の炭化水素基、好ましくはアルキル基又はアルケニル基である。
yは、エチレンオキシ基の平均付加モル数であり、乳化性、分散性の観点から、10以上、好ましくは12以上、より好ましくは20以上、60以下、好ましくは50以下の数である。
本発明の洗浄剤は、(a)成分を、洗浄効率及び製品形態の観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、そして、好ましくは100質量%以下、より好ましくは90質量%以下含有する。
本発明の洗浄剤は、任意成分として、(a1)成分、(a2)成分、及び(a3)成分以外の非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、及び両性界面活性剤から選ばれる1種以上を含有することができる。
本発明の洗浄剤は、水を含有することができる。すなわち、前記(a)成分及び任意成分以外の残部が水である。本発明の洗浄剤は、水を、好ましくは0質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下含有する。水は、イオン交換水、滅菌イオン交換水等を使用することが好ましい。
本発明の脱リグニン処理工程では、本発明の洗浄剤、及び水を、洗浄効率の観点から、(a)成分の添加量が未漂白パルプの絶乾質量当たり0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、より更に好ましくは4質量%以上、より更に好ましくは6質量%以上、そして、10質量%以下となるように未漂白パルプに添加する。
また未漂白パルプの濃度は、洗浄効率の観点から、好ましくは8質量%以上、より好ましくは10質量%以上、そして、好ましくは15質量%以下、より好ましくは12質量%以下である。
本発明の方法における酸素脱リグニン法としては、中濃度法あるいは高濃度法がそのまま適用できるが、パルプ濃度が8質量%以上15質量%以下で行われる中濃度法が脱水装置を必要とせず、操業性がよいため好ましい。
酸素脱リグニン法に用いるアルカリとしては苛性ソーダあるいは酸化されたクラフト白液を使用することができ、酸素ガスとしては、深冷分離法からの酸素、PSA(PRESSURE Swing Adsorption)からの酸素、VSA(Vacuum Swing Adsorption)からの酸素等が使用できる。
酸素脱リグニン工程では、前記酸素ガスとアルカリと本発明の洗浄剤を中濃度ミキサーにおいて中濃度のパルプスラリーに添加し、混合が十分に行われた後、加圧下でパルプ、酸素、アルカリ及び本発明の洗浄剤の混合物を一定時間保持できる反応塔へ送り、脱リグニン処理する。
酸素脱リグニン工程では、酸素ガスを、未漂白パルプの絶乾質量当たり、好ましくは0.5質量%以上、そして、好ましくは3質量%以下で未漂白パルプに添加する。
また酸素脱リグニン工程では、アルカリを、反応液のpHが、脱リグニン及パルプ収率の観点から、好ましくは10以上、より好ましくは11以上、そして、好ましくは13以下、より好ましくは12以下となるように未漂白パルプに添加する。
酸素脱リグニン工程において、反応温度は、炭素数24以上28以下の脂肪酸及び脂肪族アルコールの融点の観点から、80℃以上、好ましくは95℃以上、より好ましくは105℃以上、更に好ましくは110℃以上、そして、経済的観点から、120℃以下である。
酸素脱リグニン工程において、反応時間は、炭素数24以上28以下の脂肪酸及び脂肪族アルコールへの十分な浸透及び分散の観点から、好ましくは10分以上、より好ましくは20分以上、更に好ましくは30分以上、そして、好ましくは120分以下、より好ましくは80分以下である。
その他の条件については、一般的な酸素脱リグニン工程で採用される条件を任意に適用することができる。本発明の方法においては、酸素脱リグニン工程における酸素脱リグニン処理を連続して複数回行い、できる限りパルプの脱リグニンを進めるのが好ましい実施形態である。
酸素脱リグニン処理を施したパルプは、洗浄水による洗浄処理を行う。
本発明の方法において、酸素脱リグニン後の洗浄で使用する洗浄機、及び多段漂白工程中の洗浄段に使用する洗浄機としては、プレッシャーディフューザー、ディフュージョンウオッシャー、加圧型ドラムウオッシャー、水平長網型ウオッシャー、プレス洗浄機等を挙げることができ、特に限定されるものではない。
また洗浄水の温度は、好ましくは30℃以上、そして、好ましくは80℃以下である。
<多段漂白工程>
本発明のクラフトパルプの製造方法は、酸素脱リグニン工程の後に、更に多段漂白工程で処理することができる。
本発明の多段漂白工程で用いられる漂白薬品としては、原子状塩素(C)、苛性ソーダ(E)、次亜塩素酸塩化合物(H)、二酸化塩素(D)、酸素(O)、過酸化水素(P)、オゾン(Z)、有機過酸等の公知の漂白剤と漂白助剤からなる漂白薬品を挙げることができ、これらの中から適宜選択されて漂白薬品として用いることができる。
本発明における多段漂白工程での漂白シーケンスとして、例えばC-E/O-H-D、C/D-E/O-H-Dのように原子状塩素と塩素系漂白薬品を含む漂白シーケンスを用いることもできるし、D-E-D、D-E/O-D、E/O-D、E-O-D、Z-D、のように原子状塩素を含まない漂白シーケンスを用いることもできる。また、Z-E-P、Z-E/O-P、E/OP-PO等のように原子状塩素と塩素系漂白薬品を一切用いない漂白シーケンスを用いることもできる。また、本発明の効果をさらに上げるために、多段漂白工程の前後にキシラン分解酵素、リグニン分解酵素等による酵素処理工程や、EDTA、DTPA、DTPMPA等によるキレート剤処理工程を設けることもできる。
本発明の方法では、ピッチトラブル、紙製品のチリ欠点や摩擦係数低下の原因となる、パルプ中の炭素数24以上28以下の脂肪酸及び脂肪族アルコールを低減できるため、クラフトパルプを感熱原紙やインクジェット原紙、電子写真用転写紙に好適に使用できる。チリ欠点の減少は感熱原紙やインクジェット原紙のバーコード印字適性を、摩擦係数の維持は電子写真用転写紙の走行性を、それぞれ大きく向上させる。
実施例、比較例で用いた成分を以下に示す。
<(a)成分>
・ポリオキシエチレン(13)オレイルエーテル:一般式(a2)中、Rが炭素数18のアルケニル基、xが13の化合物、エマルゲン420、花王(株)製
・ポリオキシエチレン(30)オレイルエーテル:一般式(a2)中、Rが炭素数18のアルケニル基、xが30の化合物、エマルゲン430、花王(株)製
・ポリオキシエチレン(47)ラウリルエーテル:一般式(a2)中、Rが炭素数12のアルキル基、xが47の化合物、エマルゲン150、花王(株)製
・ポリオキシエチレン(20)アルキル(C14~18)アミン:一般式(a1)中、Rが炭素数14~18のアルキル基、mとnの合計が20の化合物、アミート320、花王(株)製
・ポリオキシエチレン(9)オレイルアミン:一般式(a1)中、Rが炭素数18のアルケニル基、mとnの合計が9の化合物、ブラウノンO209、青木油脂工業(株)製
・ポリオキシエチレン(30)オレイルアミン:一般式(a1)中、Rが炭素数18のアルケニル基、mとnの合計が30の化合物、ブラウノンS230、青木油脂工業(株)製
・ポリオキシエチレン(50)ラウリルアミン:一般式(a1)中、Rが炭素数12のアルキル基、mとnの合計が50の化合物
・ポリオキシエチレン(12)モノラウレート:一般式(a3)中、Rが炭素数11のアルキル基、yが12の化合物、エマノーン1112、花王(株)製
<(a’)成分((a)成分の比較成分)>
・ポリオキシエチレン(4)オレイルエーテル:一般式(a2)中、Rが炭素数18のアルケニル基、xが4の化合物、エマルゲン404、花王(株)製
・ポリオキシエチレン(6)オレイルエーテル:一般式(a2)中、Rが炭素数18のアルケニル基、xが6の化合物、エマルゲン408、花王(株)製
・ポリオキシエチレン(9)オレイルエーテル:一般式(a2)中、Rが炭素数18のアルケニル基、xが9の化合物、エマルゲン409PV、花王(株)製
・ポリオキシエチレン(5)ラウリルアミン:一般式(a1)中、Rが炭素数12のアルキル基、mとnの合計が5の化合物
・ポリオキシエチレン(150)モノステアレート:一般式(a3)中、Rが炭素数18のアルキル基、yが150の化合物
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、もちろん本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、特に示さない限り、脂肪酸及び脂肪族アルコールの定量は以下の方法で行なった。なお、実施例及び比較例における洗浄剤中の(a)成分又は(a’)成分のパルプへの添加率(質量%)の数値は、パルプ絶乾質量をaとし、(a)成分又は(a’)成分の質量をbとして、式「(b/a)×100」により算出されるパルプ絶乾質量に対する(a)成分又は(a’)成分の質量の割合を示す数値である。
[パルプ中の脂肪酸及び脂肪族アルコールの定量]
乾燥させたパルプ試料0.2gと2mlのクロロホルムと0.1mlの濃塩酸をサンプル管に入れて蓋をし、60分間超音波にかけてクロロホルム抽出を行なった。クロロホルム抽出液を高速液体クロマトグラフィーで成分分離し、荷電化粒子検出器(LC-CAD)を用いて炭素数24~28の脂肪酸及び脂肪族アルコールを定量した。
[実施例1-1~1-13、比較例1-1~1-5]
工場製のアカシア材チップ配合の未漂白クラフトパルプを、予め上記の方法でパルプ中の炭素数24~28の脂肪酸及び脂肪族アルコールの定量を行った。未漂白クラフトパルプ絶乾質量1gをビニール袋に採取し、表1、2中のクラフトパルプ洗浄剤を、(a)成分又は(a’)成分のパルプへの添加率が表1、2の値となるように添加し、イオン交換水で希釈してパルプ濃度を12質量%になるように反応液を調製し、更に反応液のpHが11.5±0.5になるように苛性ソーダを添加し、温度80℃の高温槽に、50分間浸漬して脱リグニン処理を行った。処理後のパルプを200mlビーカーに入れ、60℃のイオン交換水で、パルプ濃度1%まで希釈し、#200meshの金網で真空引きにて脱水し、ウェットなパルプマットを得た後、乾燥器にかけて、乾燥したパルプ試料を作成した。
乾燥したパルプ試料について、上記の方法でパルプ中の炭素数24~28の脂肪酸及び脂肪族アルコールの定量を行った。洗浄前と洗浄後の炭素数24~28の脂肪酸及び脂肪族アルコールの残留量から、炭素数24~28の脂肪酸及び脂肪族アルコールの除去率(%)を算出した。結果を表1、2に示す。
Figure 2023037780000003
Figure 2023037780000004
[実施例2-1~2-12、比較例2-1~2-2]
工場製のアカシア材チップ配合の未漂白クラフトパルプを、予め上記の方法でパルプ中の炭素数24~28の脂肪酸及び脂肪族アルコールの定量を行った。未漂白クラフトパルプ絶乾質量1gを、設定温度が80℃以下の場合はビニール袋に、設定温度が80℃を超える場合は耐圧ビンに採取し、(a)成分としてポリオキシエチレン(20)アルキル(C14~18)アミンを、(a)成分のパルプへの添加率が表3~5の値となるように添加した。設定温度が80℃以下の場合はイオン交換水で希釈してパルプ濃度を12質量%になるように反応液を調製し、反応液のpHが11.5±0.5になるように苛性ソーダを添加し、温度80℃の高温槽に、50分間浸漬して脱リグニン処理を行った。設定温度が80℃を超える場合はイオン交換水で希釈してパルプ濃度を6.7質量%になるように反応液を調製し、反応液のpHが11.5±0.5になるように苛性ソーダを添加し、オートクレーブに入れ、表3に記載の温度に設定し、20分間保持して脱リグニン処理を行った。
処理後のパルプを200mlビーカーに入れ、60℃のイオン交換水で、パルプ濃度1質量%まで希釈し、#200meshの金網で真空引きにて脱水し、ウェットなパルプマットを得た後、乾燥器にかけて、乾燥したパルプ試料を作成した。
乾燥したパルプ試料について、上記の方法でパルプ中の炭素数24~28の脂肪酸及び脂肪族アルコールの定量を行った。洗浄前と洗浄後の炭素数24~28の脂肪酸及び脂肪族アルコールの残留量から、炭素数24~28の脂肪酸及び脂肪族アルコールの除去率(%)を算出した。結果を表3~5に示す。
Figure 2023037780000005
Figure 2023037780000006
Figure 2023037780000007


Claims (3)

  1. 炭素数24以上28以下の脂肪酸及び脂肪族アルコールの合計含有量が0.1質量%以上である広葉樹を蒸解して得られる未漂白パルプを、酸素脱リグニン工程で処理するクラフトパルプの製造方法であって、前記酸素脱リグニン工程において、(a)下記一般式(a1)で表される化合物、下記一般式(a2)で表される化合物、及び下記一般式(a3)で表される化合物から選ばれる1種以上(以下、(a)成分という)を含む洗浄剤を、(a)成分の添加量が未漂白パルプの絶乾質量当たり0.01質量%以上10質量%以下となるように未漂白パルプに添加して、反応温度80℃以上120℃以下で脱リグニン処理する、クラフトパルプの製造方法。
    Figure 2023037780000008

    (一般式(a1)中、Rが炭素数10以上22以下の炭化水素基であり、mとnは、エチレンオキシ基の平均付加モル数であり、mとnの合計が8以上60以下の数である。)
    -(CHCHO)H (a2)
    (一般式(a2)中、Rが炭素数10以上22以下の炭化水素基であり、xは、エチレンオキシ基の平均付加モル数であり、10以上60以下の数である。)
    CO-(CHCHO)H (a3)
    (一般式(a3)中、Rが炭素数10以上22以下の炭化水素基であり、yは、エチレンオキシ基の平均付加モル数であり、10以上60以下の数である。)
  2. 酸素脱リグニン工程の後に、更に多段漂白工程で処理する、請求項1に記載のクラフトパルプの製造方法。
  3. (a)下記一般式(a1)で表される化合物、下記一般式(a2)で表される化合物、及び下記一般式(a3)で表される化合物から選ばれる1種以上(以下、(a)成分という)を含む、炭素数24以上28以下の脂肪酸及び脂肪族アルコール除去用クラフトパルプ洗浄剤。
    Figure 2023037780000009

    (一般式(a1)中、Rが炭素数10以上22以下の炭化水素基であり、mとnは、エチレンオキシ基の平均付加モル数であり、mとnの合計が8以上60以下の数である。)
    -(CHCHO)H (a2)
    (一般式(a2)中、Rが炭素数10以上22以下の炭化水素基であり、yは、エチレンオキシ基の平均付加モル数であり、10以上60以下の数である。)
    CO-(CHCHO)H (a3)
    (一般式(a3)中、Rが炭素数10以上22以下の炭化水素基であり、xは、エチレンオキシ基の平均付加モル数であり、10以上60以下の数である。)

JP2021144554A 2021-09-06 2021-09-06 クラフトパルプの製造方法 Pending JP2023037780A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021144554A JP2023037780A (ja) 2021-09-06 2021-09-06 クラフトパルプの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021144554A JP2023037780A (ja) 2021-09-06 2021-09-06 クラフトパルプの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023037780A true JP2023037780A (ja) 2023-03-16

Family

ID=85514186

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021144554A Pending JP2023037780A (ja) 2021-09-06 2021-09-06 クラフトパルプの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023037780A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6743332B2 (en) High temperature peroxide bleaching of mechanical pulps
JPS61138793A (ja) 強化酸化抽出法
EP0937172A1 (en) Method of producing pulp using single-stage cooking with formic acid and washing with performic acid
JP4893210B2 (ja) 漂白パルプの製造方法
JP5232164B2 (ja) 高温での最終オゾン処理によって化学紙パルプを漂白する方法
JP6197717B2 (ja) 溶解パルプの製造方法
JPH1181173A (ja) 漂白パルプの製造方法
JP5585323B2 (ja) 製紙用パルプの漂白方法
JP2023037780A (ja) クラフトパルプの製造方法
JP2012153999A (ja) 漂白パルプの製造方法
JP5915263B2 (ja) パルプの製造方法
JP2018104877A (ja) 化学パルプの製造方法
JP5526604B2 (ja) Ecf漂白方法
JP2010285698A (ja) Tcf漂白方法
JP4039250B2 (ja) 漂白パルプの製造方法
JP2002266271A (ja) 退色性の改善された漂白パルプ
JP3506311B2 (ja) 漂白パルプの製造方法
JP4645093B2 (ja) 漂白パルプの製造方法
JP5119471B2 (ja) リグノセルロース物質の蒸解方法
US6325892B1 (en) Method of delignifying sulphite pulp with oxygen and borohydride
JP3627542B2 (ja) 針葉樹漂白パルプの製造方法
JP2003105684A (ja) 退色性の改善された漂白パルプ
JPH05247864A (ja) セルロースパルプの漂白法
JP2000110089A (ja) 漂白パルプの製造方法
JP2000273782A (ja) 漂白パルプの製造方法