JP5119471B2 - リグノセルロース物質の蒸解方法 - Google Patents
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前記COMPACT COOKINGTM法、KOBUDOMARI法では蒸解黒液を蒸解初期段階に硫化物源として添加する方法であり、緑液を蒸解初期段階で添加する方法も検討されている(非特許文献4)が、蒸解初期段階にあたる浸透ゾーンに硫化度の高い溶液を添加しても浸透ゾーンおよび蒸解最高温度に到達する前にアルカリと共に硫化ソーダの多くが消費されてしまい、実際の脱リグニンに利用される硫化ソーダが少ないという問題がある。
(1)リグノセルロース物質を浸透ゾーン、蒸解ゾーンを順に有する連続蒸解装置で蒸解する際に、蒸解薬液を浸透ゾーンおよび蒸解ゾーンに添加する蒸解方法であって、該浸透ゾーンの温度が90〜140℃であり、該浸透ゾーンに添加する蒸解薬液よりも5%以上硫化度の高い蒸解薬液を該蒸解ゾーンに用いるリグノセルロース物質の蒸解方法。
(2)前記蒸解ゾーンに添加する蒸解薬液として、緑液を用いる(1)記載のリグノセルロース物質の蒸解方法。
(3)前記該蒸解ゾーンに添加する蒸解薬液として、黒液を用いる(1)記載のリグノセルロース物質の蒸解方法。
(4)前記蒸解ゾーン温度が120℃〜170℃であり、かつ浸透ゾーンと蒸解ゾーンの温度差が20℃以上である(1)〜(3)いずれかに記載のリグノセルロース物質の蒸解方法。
(5)前記蒸解ゾーンに添加する蒸解薬液を蒸解ゾーンでの最高温度に達する前に添加する(1)〜(4)いずれかに記載のリグノセルロース物質の蒸解方法。
(6)前記浸透ゾーンが液比2.0〜2.8の低液比で行なわれる(1)〜(5)いずれかに記載のリグノセルロース物質の蒸解方法。
JIS P 8211に準じて行った。
蒸解収率の測定は、下記の式より算出した。
蒸解収率(%)=蒸解後の絶乾パルプ(g) / 投入した絶乾チップ(g)×100
未蒸解カス率の測定は、下記の式より算出した。
未蒸解カス率(%)= 未蒸解カス(g) / 投入した絶乾チップ(g)×100
ラジアータパインチップ絶乾500gに対し、有効アルカリとして18%、硫化度28%、液比2.5に相当する蒸解薬液1.25リットルとして、実験用循環式オートクレーブを用いて、蒸解をスタートさせた。浸透ゾーンの条件として、温度は125℃、チップの滞留時間は40分であり、浸透ゾーン終了後、140℃で、有効アルカリとして2%、硫化度35%に相当する蒸解薬液0.25リットルを添加した。蒸解ゾーン条件として温度は165℃、液比3、滞留時間150分でクラフト蒸解を行ない、パルプを得た。得られたパルプのカッパー価、蒸解収率および未蒸解カス率を表1に示した。
参考例1において、浸透ゾーン終了後に添加する蒸解薬液として、有効アルカリとして2%、硫化度70%に相当する緑液0.25リットルを添加した以外は参考例1と同様の操作を行なった。得られたパルプのカッパー価、蒸解収率および未蒸解カス率を表1に示した。
参考例1において、有効アルカリとして19%、硫化度28%、液比2に相当する蒸解薬液1リットルを実験用循環式オートクレーブに添加し、蒸解をスタートさせ、浸透ゾーン終了後に添加する蒸解薬液として、有効アルカリとして1%、硫化度70%に相当する蒸解黒液を0.5リットル添加した以外は参考例1と同様の操作を行なった。得られたパルプのカッパー価、蒸解収率および未蒸解カス率を表1に示した。
参考例1において、スタート時に添加する蒸解薬液の量を1.5リットル、液比3とした以外は参考例1と同様の操作を行なった。得られたパルプのカッパー価、蒸解収率および未蒸解カス率を表1に示した。
参考例1において、浸透ゾーンの温度を98℃とした以外は参考例1と同様の操作を行なった。得られたパルプのカッパー価、蒸解収率および未蒸解カス率を表1に示した。
参考例1において、蒸解ゾーンで165℃での蒸解がスタートして5分後に蒸解薬液を添加した以外は参考例1と同様の操作を行なった。得られたパルプのカッパー価、蒸解収率および未蒸解カス率を表1に示した。
参考例1において、スタート時に添加する蒸解薬液として、有効アルカリ20%、硫化度28%、液比3に相当する蒸解薬液1.5リットルを添加し、蒸解薬液の途中添加をせずに蒸解をした以外は参考例1と同様の操作を行なった。得られたパルプのカッパー価、蒸解収率および未蒸解カス率を表1に示した。
参考例1において、スタート時に添加する蒸解薬液として、有効アルカリ22%、硫化度28%、液比3に相当する蒸解薬液1.5リットルを添加し、蒸解薬液の途中添加をせずに蒸解をした以外は参考例1と同様の操作を行なった。得られたパルプのカッパー価、蒸解収率および未蒸解カス率を表1に示した。
参考例1において、浸透ゾーン終了後に添加する蒸解薬液として、有効アルカリとして2%、硫化度28%に相当する蒸解薬液0.25リットルを添加した以外は参考例1と同様の操作を行なった。得られたパルプのカッパー価、蒸解収率および未蒸解カス率を表1に示した。
参考例1において、浸透ゾーン終了後に添加する蒸解薬液として、有効アルカリとして2%、硫化度30%に相当する蒸解薬液0.25リットルを添加した以外は参考例1と同様の操作を行なった。得られたパルプのカッパー価、蒸解収率および未蒸解カス率を表1に示した。
実施例1において、有効アルカリとして2%、硫化度70%に相当する緑液0.25リットルを蒸解スタート時に添加した以外は実施例1と同様の操作を行なった。得られたパルプのカッパー価、蒸解収率および未蒸解カス率を表1に示した。
参考例1において、浸透ゾーンの温度を150℃とした以外は参考例1と同様の操作を行なった。得られたパルプのカッパー価、蒸解収率および未蒸解カス率を表1に示した。
参考例1において、浸透ゾーンの温度を80℃とした以外は参考例1と同様の操作を行なった。得られたパルプのカッパー価、蒸解収率および未蒸解カス率を表1に示した。
一方、比較例3、4から、浸透ゾーン終了後に同等の硫化度の白液を添加するとむしろパルプカッパー価が増加すること、比較例5から、蒸解スタート時に緑液を添加すると緑液の効果が十分に得られないことがわかる。また、実施例1、5と比較例6、7を比較すると、浸透ゾーンの温度には最適な範囲が有り、温度が低すぎると蒸解が進行し難くなり、高すぎると蒸解薬液が浸透する前に蒸解反応がスタートし、未蒸解カスが多くなりすぎることがわかる。実施例1、6から、蒸解温度に到達する前から蒸解温度に到達する前に蒸解薬を添加するとより大きな効果が得られる。
このように本発明は、設備改造することなく低カッパー価のパルプを高収率で得ることができ、連続蒸解装置を用いたリグノセルロース物質の蒸解方法に好適である。
B1:上部蒸解ゾーン
B2:下部蒸解ゾーン
C:洗浄ゾーン
1,2:白液導入管
3:木釜頂部
4:木釜下部
5〜7:ストレーナー
8〜11:ポンプ
12〜14:ヒーター
Claims (4)
- リグノセルロース物質を浸透ゾーン、蒸解ゾーンを順に有する連続蒸解装置で蒸解する際に、蒸解薬液を浸透ゾーンおよび蒸解ゾーンに添加する蒸解方法であって、該浸透ゾーンの温度が90〜140℃であり、硫化度が50〜90%の緑液を該蒸解ゾーンに用いることを特徴とするリグノセルロース物質の蒸解方法。
- 前記蒸解ゾーン温度が140℃〜170℃であり、かつ浸透ゾーンと蒸解ゾーンの温度差が20℃以上であることを特徴とする請求項1記載のリグノセルロース物質の蒸解方法。
- 前記蒸解ゾーンに添加する蒸解薬液を蒸解ゾーンでの最高温度に達する前に添加することを特徴とする請求項1又は2に記載のリグノセルロース物質の蒸解方法。
- 前記浸透ゾーンが液比2.0〜2.8の低液比で行なわれることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のリグノセルロース物質の蒸解方法。
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