JPH05247864A - セルロースパルプの漂白法 - Google Patents

セルロースパルプの漂白法

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JPH05247864A
JPH05247864A JP7596292A JP7596292A JPH05247864A JP H05247864 A JPH05247864 A JP H05247864A JP 7596292 A JP7596292 A JP 7596292A JP 7596292 A JP7596292 A JP 7596292A JP H05247864 A JPH05247864 A JP H05247864A
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pulp
bleaching
chlorine
alkali
pitch
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JP7596292A
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Tadaharu Nishikawa
忠春 西川
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Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 修正アルカリ蒸解法により製造したセルロー
スパルプを、塩素漂白工程を含む多段漂白工程で漂白す
る際に、塩素漂白工程にアルカリを加えpHを2.4〜
11.0に調整して粘着性のピッチの生成を抑制し洗浄
することによりピッチを系外に効率良く排出することを
目的とする。 【構成】 広葉樹の修正クラフト蒸解法により得られた
パルプを酸素漂白した後、塩素−アルカリ−次亜塩素酸
−二酸化塩素諸多の四段で漂白処理するに際し、塩素処
理工程において、10.0%濃度のパルプ溶液にアルカ
リを添加し、さらに塩素をカッパー価1ポイント当り
1.5kg/風乾パルプトン添加打20秒後のpHが
3.5になるように調整し、40℃で時間処理した後水
洗し、洗浄水を除去した後更に残り三段の漂白を行なっ
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、セルロースパルプの漂
白法に関する。さらに詳しくは修正アルカリ蒸解法から
得られるセルロースパルプの多段漂白工程において、塩
素処理開始時のセルロースパルプ随伴液のpHを2.4
〜11.0へ調整することによって粘着性を有するピッ
チの生成を抑制し、次いで洗浄することによって塩素処
理廃液とともに塩素処理廃液中に懸濁するピッチ生成成
分(樹脂及び脂肪、以下樹脂と称する)を系外へ排出す
る漂白法に関する。
【0002】
【従来の技術】リグノセルロース物質を多くの用途に使
用するためには、化学的あるいは機械的作用により得ら
れたセルロースパルプ(以下、パルプと称す)を漂白す
る必要がある。
【0003】クラフトパルプを包装資材のような白さを
必要としない用途に使用する場合を除いては、通常、塩
素、次亜塩素酸塩(ハイポ)、二酸化塩素、酸素、過酸
化水素、苛性ソーダ等の漂白剤及び漂白助剤により漂白
して、未晒パルプの着色原因物質である残留リグニン等
を除去する必要がある。
【0004】強度を要求される化学パルプの漂白におい
ては、パルプ繊維自体の強度を高く保つために、炭水化
物(セルロース等)の分解に及ぼす影響を最小にするよ
う、過激な一段の静的な漂白を避け、温和に漂白剤・漂
白条件を変えていく多段漂白を採用するのが一般的であ
る。
【0005】通常、最初に塩素処理でリグニンを塩素化
し可溶性を付加した後アルカリでリグニンを溶解抽出す
る。その後更に、次亜塩素酸塩、二酸化塩素等を用い
て、残留する少量のリグニン等を分解除去し、白色度の
高いパルプを得る。
【0006】塩素処理を(C)、アルカリ処理を
(E)、次亜塩素酸塩処理を(H)、二酸化塩素処理を
(D)、過酸化水素処理を(P)、酸素処理を(O)と
して表わすと、この漂白工程(シーケンス)は、使用す
る漂白剤及び/又は漂白助剤の順序にしたがい、C−E
−H−E−D、C−E−D−E−D、C−E−H−D−
P、C/D−E/O−H−D等の複数段の漂白段で行わ
れる。
【0007】近年開発された酸素漂白法はその漂白排液
を蒸解後のパルプの洗浄液に循環使用し最終的には蒸解
排液と共に燃焼回収することができ〔特開昭47−52
02号公報(米国特許第3759783号明細書に対
応)、特開昭49−7503号公報(米国特許第384
3473号明細書に対応)〕、現在日本も含め世界の紙
パルプの主要生産国において多数の酸素漂白装置が稼動
している。
【0008】酸素漂白法は蒸解後のパルプを比較的低濃
度のアルカリ溶液に浸漬し、これを絞ってパルプ濃度を
上げた後よくほぐして、加熱加圧下の反応器中に酸素を
圧入してパルプ中の残存リグニン、樹脂等を酸化分解
し、アルカリで可溶化してパルプ漂白を行なうものであ
る( The Bleaching of Pulp、P159〜209、Tapp
i Press 1979)。
【0009】この酸素漂白法(O2 段)は従来の塩素系
の漂白法と組み合わされ、完全晒パルプのみならず、半
晒パルプの製造に応用されている。
【0010】例えば特公昭47−7202号公報(米国
特許第3652388号明細書に対応)にはO2 −C/
D−Eの漂白シークエンスが、特公昭47−10241
号公報(西ドイツ公開特許第1947931号明細書に
対応)にはC/D(D)−O2 −D−E−Dの漂白シー
クエンスが、特公昭47−44441号公報(英国特許
第1342580号明細書に対応)にはO2 −(C、D
C/D)−O2 −Eから構成される漂白シークエンス
が、特公昭51−17605号公報(カナダ国特許第9
92265号明細書に対応)にはO2 −D/C−E−D
から構成される漂白シークエンスが提案されている。
【0011】Paper Trade Journal / August 5、196
8 P49〜P53及び Tappi Vol54 No. 11(1
971)、P1893〜P1898には酸素漂白と塩素
系漂白剤による各種の漂白シークエンスが提案されてお
り、これらの方法は塩素系排水の低減、環境保護に大き
く貢献している。
【0012】また、塩素系排水のうち特に塩素排水に含
まれるAOX量(全有機ハロゲン化合物量)や極めて少
量含まれる2,3,7,8ダイオキシンが人体に有害な
ために塩素排水が発生しないいわゆるクロリンフリーと
称する塩素系薬品、特に塩素を使用しない漂白シーケン
ス、例えば、キレート処理−P−E−Dなどが実用化さ
れつつあるが、クロリンフリー漂白は従来の塩素処理を
含むシーケンスに比べ漂白パルプの白色度が低く、漂白
コスト面でも不利なため広く普及するには到っていな
い。
【0013】塩素は他の漂白薬品に比べ安価であり、パ
ルプの着色物質であるリグニンと容易に反応し、反応後
に生成する塩素化リグニンは水に可溶性を有するため、
その後の洗浄及びアルカリ抽出処理によってリグニンを
効率良く除去できるという特徴を有しており、現在なお
酸素漂白を含め、複数段の漂白段を有するシーケンスの
初段に広く採用されているのが現状である。
【0014】塩素は水系において、pHによってC
2 、HOCl、ClO- の3成分が生成することは従
来より良く知られており、紙パルプ技術協会編、昭和4
6年6月20日発行「パルプ処理および漂白」119〜
128頁に詳細が記載されている。
【0015】3成分のうち、pH4.5以上で生成する
ClO- はいわゆる次亜塩素酸(H)であり、pH3〜
5の領域での主成分であるHOClとともに強力な酸化
薬品でありリグニンのみならずパルプまでも酸化分解
し、パルプの品質低下(特にパルプ粘度の低下)を引き
起こす。
【0016】一方塩素はリグニン、及び樹脂分と選択的
に反応する(置換反応)ことが知られており、パルプの
品質、特にパルプ粘度を高位に保つため、できる限りp
Hを下げて(例えばpH1.5〜1.9)HClOの生
成を抑制し塩素処理を行なう方法が一般に行なわれてい
る。
【0017】パルプはリグニンの他、樹脂を含有する
が、多段漂白工程以前の工程で、パルプの洗浄を極めて
多量の温水または清水で完全に行なえば、樹脂は洗浄ろ
液中へ回収され、漂白工程へ導かれるパルプ中に樹脂分
は含まれない。
【0018】しかし、多量の温水または清水を使用する
と後工程である蒸解薬品回収工程へ供給するいわゆる黒
液濃度が薄まり、蒸解薬品回収工程において、黒液を濃
縮する真空多重効用缶で使用する蒸気コストの上昇や、
黒液を処理しきれずやむをえずパルプの減産に追い込ま
れるなどの問題が発生するため、多量の温水または清水
を使用してパルプを洗浄することは現実的でない。
【0019】多段漂白工程の初段である塩素処理工程に
供給するパルプには必ず樹脂が含まれているが、その樹
脂はほぼ円形で、直径が1/10000〜1/500m
mの大きさで、多段漂白工程に供給されるパルプ随伴液
中に0.5×107 〜10×107 個/cc(パルプ濃
度1%として)含まれている。
【0020】塩素処理工程でリグニンとともに樹脂が塩
素化されると粘着性を帯び、さらに凝集してピッチが生
成する。ピッチの大きさは、小さいものは1/500m
m程度から大きなものは数cmになり、一部は漂白工程
中の器壁に付着し、一部は抄紙工程へ送られるパルプに
混ざって抄紙工程へ持ち込まれる。
【0021】また工程中の器壁に付着したピッチも部分
的にはがれ落ち、はがれたピッチの一部は抄紙工程へ持
ち込まれ、抄紙工程に持ち込まれたピッチは製品である
紙に抄込まれて紙面上に黒点を形成するので、紙の品質
が著しく低下するし、ピッチが抄紙機に付着すると紙切
れの原因になったり、付着したピッチを除去するために
抄紙機を停止せざるを得ず、紙の減産につながるなど、
紙の品質及び生産量の確保に多大な影響を及ぼす。
【0022】そこで、ピッチによる障害を予防する方法
として、ピッチによる障害の発生する工程より前の工程
水の色度、濁度及びCOD値に基づき各種界面活性剤、
タルク等を添加する方法、(特開昭56−392号公
報、特開昭56−393号公報)、ノニオン性界面活性
剤等を含有するピッチ付着防止剤を抄造前に添加する方
法(特開昭58−13795号公報、特開昭56−15
4593号公報、特開昭55−45857号公報、特開
昭58−109698号公報(特開昭61−20768
7号公報)等によって樹脂の凝集を防止する技術が、ま
た、機械パルプの製造においては、酵素の作用によりピ
ッチを除去する技術(特開平2−160997号公報)
が提案されている。
【0023】しかし、これ等の技術は、使用する樹脂付
着防止剤や酵素の添加に伴う経済面での問題がある他、
樹脂付着防止剤を多段漂白工程前に添加する場合、多段
漂白工程以前でのパルプ中の樹脂の粘着性は減少する
が、この樹脂が塩素処理により塩素と反応すると粘着性
を帯びて凝集し、やはりピッチが発生するという問題を
有する。
【0024】さらに多段漂白工程後に付着防止剤を添加
する場合、すでにピッチが発生した後へ付着防止剤を添
加することになり、抄紙機等へのピッチ付着頻度、付着
量は減少するが、紙へのピッチ混入による品質低下まで
防止することはできない。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】多段漂白工程以前の樹
脂は粘着性をそれ程有することなく、非常に細かい粒子
状でパルプ中の水に懸濁しているが、塩素化されると非
常に粘着性のある化合物になって凝集しピッチが生成す
ること、及び多段漂白工程の初段の目的である塩素処理
してリグニンを可溶化する技術について検討した結果、
塩素処理において、pHを上げてHOCl及び/または
ClO- の生成量を増すことにより樹脂と塩素との反応
を抑制すると粘着性のピッチの生成が抑制でき、樹脂は
細かい粒子状のままであること及びHOCl及び/また
はClO- はリグニンのみならずパルプとも反応し、パ
ルプの品質、特にパルプの粘度低下を伴うので多段漂白
工程へ供給するパルプの粘度を上げる必要があること及
びこのパルプは修正アルカリ蒸解法によって得られるこ
とを見い出し本発明を完成するに到った。
【0026】さらに、塩素処理後の洗浄によって発生す
る洗浄廃液は、通常排水処理工程へ排出するので塩素処
理後の廃液に含まれる細かい粒子状の樹脂も塩素処理後
の廃液に伴って系外へ排出されるため、多段漂白工程へ
パルプとともに持込まれる樹脂の大半が塩素処理工程の
洗浄によって系外へ排出され、その後の工程即ち、E,
H,D,Pなど各漂白段及び紙料調成工程でのピッチの
発生も抑制することができる。
【0027】即ち、本発明は、紙製品の品質のうち特に
ピッチに由来する紙面上の黒点が少なく、抄紙機でのピ
ッチによる障害の減少が達成できるパルプの漂白法を提
供することを目的とする。
【0028】
【課題を解決するための手段】本発明は、蒸解液の分割
添加とダイジェスター内部での並流蒸解と交流蒸解の組
み合わせからなる修正アルカリ蒸解法によって製造され
たセルロースパルプを塩素を添加して漂白する工程を含
む多段漂白工程で漂白する方法にいて、塩素を添加して
漂白する工程を、アルカリについで塩素を添加して漂白
液のpHを2.4〜11.0に調整し、次いで洗浄する
ことを特徴とするセルロースパルプの漂白法である。
【0029】本発明の目的を達成するために好適なパル
プを得るための修正アルカリ蒸解法は次のような手法で
行なわれる。
【0030】ダイジェスターの前に浸透ベッセルが設置
されており、かつダイジェスターの内部が頂部から底部
にかけて上部蒸解トリムゾーン、上部蒸解ゾーン、下部
蒸解ゾーン及び必要に応じて洗浄ゾーンが設けられ、上
部蒸解トリムゾーン及び上部蒸解ゾーンにおいては並流
蒸解が、下部蒸解ゾーンでは向流蒸解が行なわれ、洗浄
ゾーンでは向流洗浄が行なわれる。2ベッセル型連続ダ
イジェスターを用いる蒸解法では、蒸解系に導入される
アルカリ蒸解液の50〜90%が浸透ベッセルに、0〜
45%が上部蒸解トリムゾーンに、5〜45%が下部蒸
解ゾーンに夫々供給される。
【0031】即ち、木材チップは、蒸解液と一緒に浸透
ベッセルの頂部から導入され、底部から排出される間に
蒸解液のチップ内部への浸透が十分に行なわれ、該底部
において蒸解液の一部が新たに添加され、ダイジェスタ
ーの頂部へ送られる。
【0032】チップは、ダイジェスターを下降する間に
前記した如く上部蒸解トリムゾーン及び上部蒸解ゾーン
においてチップと一緒に下降する蒸解液により蒸解が行
なわれ(並流蒸解)、木材中のリグニンのかなりの部分
が液中に溶出され、さらに引続いて下部蒸解ゾーンにお
いて新たに添加された上昇する蒸解液と向流的に接触し
て蒸解され(向流蒸解)、残りのリグニンが所望の程度
液中に溶出除去される。このようにリグニンの除去が終
了したチップは、最終的にダイジェスターの底部から導
入された上昇する洗浄液と向流的に接触し、洗浄された
後、系外に排出される。
【0033】修正アルカリ蒸解法のためのアルカリ性蒸
解液としては、苛性ソーダ(ゾーダ蒸解)、苛性ソーダ
と硫化ソーダ(クラフト蒸解)、多硫化ソーダ(ポリサ
ルファイド蒸解)及び亜硫酸塩(アルカリ性亜硫酸塩蒸
解)等が挙げられるが、2ベッセル型連続ダイジェスタ
ーが適用できるクラフト及びポリサルファイド蒸解液が
好ましく、硫化度は5〜75%、好ましくは5〜50
%,有効アルカリの添加率は、絶乾木材当たり5〜30
重量%、好ましくは10〜20重量%である。
【0034】使用する蒸解液に蒸解助剤として公知の環
状ケト化合物を絶乾木材チップ当たり0.001〜1.
0重量%添加すると、本発明の効果が助長されるので好
ましい。
【0035】本発明において使用される環状ケト化合物
としては、ベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノ
ン、アントロン、フェナントロンキノン、及び前記キノ
ン系化合物のアルキル、アミノ等の核置換体或は前記キ
ノン系化合物の還元型であるアントラヒドロキノンのよ
うなヒドロキノン系化合物、さらにはディールスアルダ
ー法によるアントラキノン合成法の中間体として得られ
る安定な化合物、例えば9,10ジケトヒドロアントラ
セン系化合物等からなる群から選ばれた1種或は2種以
上の混合物等が挙げられる。
【0036】本発明のパルプ化方法を実施するには種々
のリグノセルロース材料を用いることができ、例えばパ
ルプ製造用リグノセルロース材料としては、針葉樹チッ
プ、広葉樹チップ、ソーダスト、並びに非木材セルロー
ス材料、例えばバガス、ケナフ、ワラ、アシ及び他の一
年生植物を挙げることができる。
【0037】さらに本発明の修正アルカリ蒸解法パルプ
は、ダイジェスターの他に浸透ゾーンを別に有する2ベ
ッセル型だけでなく、浸透ゾーンをダイジェスター内に
有しまたは浸透ゾーンを有しない1ベッセル型連続ダイ
ジェスターでも製造できることは言うまでない。
【0038】塩素処理方法を図−1に基づき説明する。
多段漂白工程の塩素処理工程へのパルプ導入管2へアル
カリ導入管1からアルカリ液を導入する。パルプ導入管
2に導入されるパルプの濃度は1〜25%であり好まし
くは1.5〜20%である。1%以下ではパルプ中の水
で、漂白液がうすまり、リグニンとの反応が終了するま
でに長時間を要し、25%以上では漂白液を充分混合で
きない。
【0039】パルプはポンプ3によって導管4を経て塩
素ミキサー6へ導かれる。塩素ミキサーはパルプと塩素
が充分混合できれば型式等問わない。塩素ミキサー6へ
は塩素導入管5によって塩素が導かれる。アルカリ導入
管1でアルカリが注入されポンプ3でパルプと混合され
て、さらに塩素ミキサー6で塩素が添加された後、塩素
処理塔9との間に設けられたpH計7によりpHが測定
される。
【0040】pH計7の取付け位置は、塩素混合後から
塩素処理塔出口、即ち塩素処理終了の間であればどこで
もよいが、塩素混合後1秒以上経過した時点で塩素処理
塔に入る前が好ましい。1秒以内ではpH計の取り付け
位置が塩素ミキサーに近ずき取り付けが困難であるし、
塩素処理塔に取り付けるとその壁面のpHしか測定でき
ない危険性がある。pHは2.4〜11.0の範囲内に
調整され、好ましくは3.0〜8.0の範囲内に調整さ
れる。pHが2.4以下では樹脂が塩素と反応しピッチ
が発生しかねないしpHが11以上ではアルカリが無駄
になる。
【0041】このpHを上記範囲に調整するためアルカ
リ導入管1のアルカリ流量を調整する。用いるアルカリ
は、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、又は酸化白
液、酸化緑液等のアルカリ性物質又はそれを含む溶液で
あればよい。
【0042】塩素の添加量はカッパー価1ポイント当り
0.5〜4.0kg/風乾パルプトンであり、好ましく
は0.7〜3.5kg/風乾パルプトンである。0.5
kg/風乾パルプトン以下では塩素処理が不充分にな
り、4.0kg/風乾パルプトン以上では塩素処理終了
時の残薬品量が多くなり、塩素及びアルカリが無駄にな
る。塩素処理塔における反応時間は5〜240分であり
好ましくは15〜180分である。5分以下では未反応
の塩素及びアルカリ量が多く、240分以上では設備が
過大である。
【0043】塩素処理後のパルプは塩素処理塔9から導
管10により洗浄機12へ導かれ洗浄水導管11より供
給される洗浄水で洗浄する。一方洗浄後の液、即ち樹脂
を多く含む塩素処理後の液は排出導管13により排水処
理工程(図示されていない)へ排出する。
【0044】樹脂を除去したパルプは導管14で次工程
例えば苛性ソーダ処理工程(図示されていない)へ進
む。洗浄機はドラムフィルター、ディスクフィルター、
加圧フィルター、ディフューザー等、パルプを洗浄水で
洗浄および/または脱水できるものであれば型式は問わ
ない。
【0045】また、アルカリの添加場所は塩素ミキサー
でもよく、塩素ミキサー以前なら場所は問わない。
【0046】多段漂白工程以前の工程で添加される消泡
剤も塩素処理で塩素化され粘着性物質に変化し、ピッチ
となる可能性を有するが、本発明により消泡剤の粘着性
物質への変化も抑制することができる。
【0047】また、塩素添加前または添加後に二酸化塩
素を併用添加する塩素処理法がパルプ品質改善を目的と
して採用されるが、塩素を使用することに変りはなく本
発明により、塩素処理での粘着性物質の発生を抑制でき
る。
【0048】一方、米国特許第4,740,212号明
細書記載の2−アミノエタノール等パルプの粘度低下防
止剤の添加によっても塩素処理後のパルプの粘度の低下
を防止できるので、これ等のパルプ粘度低下剤を使用す
れば、通常のアルカリ蒸解法で得られたパルプでも本発
明法を適用できるが、パルプ粘度低下防止剤の添加に伴
う経済性に問題が生じる。従って本発明は、パルプの粘
度の低下を伴うため、修正アルカリ蒸解法によるリグン
セルロース材料からの粘度の高いパルプを用いることが
不可欠である。
【0049】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、勿論本発明はこれによってなんら限定されるも
のではない。
【0050】実施例1 国内産広葉樹チップを原料として表1に示す蒸解液の分
割比率で2ベッセル型連続ダイジェスター(生産能力L
UKP1200トン/日)で修正クラフト蒸解を行なっ
て、目標カッパー価20のパルプを製造した。このパル
プをカミヤ社製プレッシャディフューザーウォッシャ
ー、ディフューザーウォッシャーで洗浄しさらに結束繊
維等を除去して酸素漂白後カミヤ社製ディフューザー、
ドラム型ウォッシャー2段で洗浄した。このパルプを図
1に示す塩素処理工程へ導入し、塩素をカッパー価1ポ
イント当り1.5kg/風乾パルプトン添加した後20
秒後のpHが3.5になるように調整した。次いでさら
にE−H−D3段で処理した。なおE,H,D処理条件
は、広葉樹、針葉樹パルプ毎にいづれの例においても同
一にした。塩素処理条件、パルプ品質及び樹脂の数を表
2に示した。
【0051】実施例2 ダグラスファー15%、国内産松85%の針葉樹チップ
を原料として表−1に示す蒸解液の分割比率で2ベッセ
ル型連続ダイジェスター(生産能力NUKP800トン
/日)で修正クラフト蒸解を行なって、目標カッパー価
27のパルプを製造した。このパルプを実施例1と同様
の工程を経て図1に示す塩素処理工程へ導入し、塩素を
カッパー価1ポイント当り2.1kg/風乾パルプトン
添加した後20秒後のpHが8.0になるように調整し
た。次いでさらにE−H−D3段で処理した。塩素処理
条件、パルプ品質及び樹脂の数を表2に示す。
【0052】比較例1 実施例1と同じ広葉樹チップを用いてシングルベッセル
液相型連続ダイジェスター(生産能力LUKP700ト
ン/日)で通常のクラフト蒸解を行なって、目標カッパ
ー価20のパルプを製造した。このパルプを実施例1と
同様の工程を経て図1に示す塩素処理工程へ導入し、実
施例1と同様の処理を行なった。塩素処理条件、パルプ
品質及び樹脂の数を表2に示した。
【0053】比較例2 実施例2と同じ針葉樹チップを用いてシングルベッセル
液相型連続ダイジェスター(生産能力NUKP600ト
ン/日)で通常のクラフト蒸解を行なって、目標カッパ
ー価27のパルプを製造した。このパルプを実施例1と
同様の工程を経て図1に示す塩素処理工程へ導入し、実
施例2と同様の処理を行なった。塩素処理条件、パルプ
品質及び樹脂の数を表2に示す。
【0054】比較例3 実施例1と同様の条件において塩素処理工程前にアルカ
リを添加しなかった。塩素処理条件、パルプ品質及び樹
脂の数を表2に示す。 比較例4 実施例2と同様の条件において塩素処理工程前にアルカ
リを添加しなかった。塩素処理条件、パルプ品質及び樹
脂の数を表2に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】各々の試験法については次の方法に従って
行なった。 カッパー価 TAPPI試験法T236hm−
85 パルプ粘度 TAPPI試験法T230om−
82 白 色 度 JIS P8123 夾雑物(ピッチ) JIS P8145
【0058】樹脂の数は以下に記載した方法に従い測定
した。深さ0.1mm、面積2500μm2 の溝を有す
るガラス面上にパルプ随伴液を入れる。円形の樹脂は直
径50μm以下のものを、また方形の樹脂は一辺が50
μm以下のものを顕微鏡を用いて目視で計数し単位は個
/cc(パルプ濃度1%として)で表わす。50μm以
上の樹脂はピッチであり樹脂の個数の計数から除外し
た。なお、面積2500μm2 の溝には50μm毎の格
子が切ってあり、樹脂の大きさは目視で容易に判断でき
る。例えばパルプスラリー中の随伴液の入替りがないに
もかかわらず樹脂数が減少すればピッチが発生したこと
を意味する。
【0059】
【発明の効果】表2から明らかな様に本発明法は塩素処
理中のピッチ発生が抑制できさらに塩素処理より後の工
程へパルプが持込む樹脂の数は明らかに減少しており多
段漂白後のパルプに含まれるピッチ数も明らかに減少し
ている。多段漂白後のパルプの粘度は本発明法の実施例
1、2と従来法に基づく比較例3、4とほぼ同等である
が比較例3、4はピッチの発生が多く、比較例1、2と
比べればピッチの発生は実施例1、2と同等であるが、
多段漂白後のパルプ粘度が低く製品価値が著しく劣って
おり、本発明法の効果は明白である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の塩素処理工程を説明するための工程
図。
【符号の説明】
1…アルカリ導入管、2…パルプ導入管、3…ポンプ、
5…塩素導入管、6…塩素ミキサー、7…pH計、9…
塩素処理塔、11…洗浄水供給管、12…洗浄器、13
…排水排出管、

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蒸解液の分割添加とダイジェスター内部
    での並流蒸解と交流蒸解の組み合わせからなる修正アル
    カリ蒸解法によって製造されたセルロースパルプを、塩
    素を添加して漂白する工程を含む多段漂白工程で漂白す
    る方法において、塩素を添加して漂白する工程を、アル
    カリに次いで塩素を添加して漂白液のpHを2.4〜1
    1.0に調整し次いで洗浄することを特徴とするセルロ
    ースパルプの漂白法。
JP7596292A 1992-02-28 1992-02-28 セルロースパルプの漂白法 Pending JPH05247864A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000073573A1 (fr) * 1999-05-28 2000-12-07 Kawasaki Kasei Chemicals Ltd. Procede de digestion de matiere lignocellulosique
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CN104928964A (zh) * 2014-03-18 2015-09-23 中国科学院大连化学物理研究所 一种减少非木浆造纸氯气漂白过程中二噁英生成的方法
CN111379184A (zh) * 2018-12-28 2020-07-07 安徽雪龙纤维科技股份有限公司 一种用于生产醋酸丁酸纤维素的棉浆及其制备方法

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