JP4039250B2 - 漂白パルプの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リグノセルロース物質の漂白方法であって、未漂白パルプ洗浄工程からのろ液やアルカリ酸素漂白パルプの洗浄工程からのろ液を前処理してパルプの随伴水中の有機成分を低減し、未漂白パルプ洗浄工程の洗浄水、アルカリ酸素漂白工程の希釈水等に利用することを特徴とするリグノセルロース物質の漂白方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
昨今、日本国内では、ダイオキシンを発生する恐れがある有機塩素化合物の環境への流出を防ぐ目的で、元素状塩素を使用しない、いわゆるECF(Elementary Chlorine Free)化が進行中である。現在、原子状塩素や次亜塩素酸塩の代替として、二酸化塩素、オゾン、酸素、過酸化水素、過酢酸、及び過硫酸等の酸素系の漂白薬品が注目されている。しかしながら、酸素と過酸化水素を除いた上記の薬品は、取り扱い上の問題やコストが高いといった経済的な問題等から、使用量を減少させる方法に関心が集まっている。
【0003】
二酸化塩素等漂白薬品の使用量を減少させる方法としては、アルカリ酸素漂白工程においてできるだけ脱リグニンを進め、多段漂白工程前のパルプのカッパー価を減少させる方法が多数提案されている。アルカリ酸素漂白工程においてできるだけ脱リグニンを進める方法としては、亜硝酸処理のような前処理を行なう方法(例えば、特許文献1参照)、酸素ガスを分割添加する方法(例えば、特許文献2参照)、アルカリ酸素漂白後、アルカリブリーチングする方法(例えば、特許文献3参照)等が提案されている。しかしながら、これらの方法は、その効果に対する操作性、経済性等を考慮すると、十分なものではなかった。
【0004】
また、複数のアルカリ酸素漂白装置を直列に並べ、かつ装置毎に洗浄段を挿入する方法(例えば、特許文献4参照)も提案されている。これはパルプに随伴する溶液中の有機成分がアルカリ酸素漂白性を悪化させるため、これらの有機成分を低減させて、脱リグニンを進める方法である。
【0005】
上記洗浄段で用いられる洗浄水は、蒸解パルプの洗浄工程、アルカリ酸素漂白パルプの洗浄工程の各洗浄ろ液を循環再使用するのが一般的である。また、蒸解パルプの洗浄工程ではパルプを洗浄、脱水した後、希釈水を添加してアルカリ酸素漂白における濃度調整に使われるが、この希釈水にはアルカリ酸素漂白パルプの洗浄工程からの洗浄ろ液を再使用するのが一般的である。
【0006】
これらのろ液には、可溶性リグニン、炭水化物、有機酸等の有機成分が多量に含まれているため、上記従来の方法でパルプの洗浄を強化しても、ろ液中の有機成分がパルプに随伴し、アルカリ酸素漂白性を悪化させてしまうという問題点がある。
また、ケミカルパルプを製造する際にセルロース質繊維材料のパルプを漂白する方法において、導入された蒸解後のパルプ、あるいはアルカリ酸素漂白後のパルプを洗浄した後に、漂白ラインに連続的に供給する時点で、希釈水を添加し、加熱抽出処理を行なうことにより、後段の漂白性を改善するセルロース質繊維材料のパルプの漂白方法(例えば、特許文献5参照)が提案されているが、使用する希釈水が増加するという問題点があるし、前述したように希釈水自体に含まれている有機成分がパルプに随伴してアルカリ酸素漂白性を悪化させてしまうという問題点がある。
【0007】
【特許文献1】
特開平4−316690号公報
【特許文献2】
特開平1−272890号公報
【特許文献3】
特開平6−341079号公報
【特許文献4】
特開平3−14686号公報
【特許文献5】
特開平2002−227083号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、かかる現状に鑑み、リグノセルロース物質を原料として漂白パルプを製造する方法において、漂白後のパルプの白色度を一定に維持しながら多段漂白工程で使用する漂白薬品の使用量を減少させる方法について鋭意検討を重ねた結果、未漂白パルプの洗浄水と洗浄後の希釈水となるアルカリ酸素漂白塔前後の洗浄機のろ液を、酸化処理もしくは電気分解処理で前処理し、有機成分濃度を低下させた後、アルカリ酸素漂白前の洗浄機に循環再使用することで、パルプに随伴する溶液中の有機成分が低減し、アルカリ酸素漂白工程における脱リグニンの効果を上げられることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明の目的は、未漂白パルプの洗浄水と洗浄後の希釈水となるアルカリ酸素漂白塔前後の洗浄機のろ液を前処理し、有機成分濃度を低下させた後、アルカリ酸素漂白前の洗浄機に循環再使用するアルカリ酸素漂白法において、所望の白色度に漂白するのに必要な多段漂白工程での漂白薬品の使用量を大幅に削減し得る漂白パルプの製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明のパルプ漂白方法は、未漂白パルプの洗浄水と洗浄後の希釈水となるアルカリ酸素漂白塔前後の洗浄機からのろ液を、酸化処理もしくは電気分解処理で前処理して有機成分濃度を低下させた後、アルカリ酸素漂白前の洗浄機に送り、洗浄水及び希釈水として循環再使用するアルカリ酸素漂白法において、所望の白色度に漂白するのに必要な多段漂白処理工程での漂白薬品の使用量を大幅に削減することができる、以下の各発明を包含する。
【0011】
(1)リグノセルロース物質を蒸解するA工程、得られた未漂白パルプを洗浄するB工程、次いでアルカリ酸素漂白するC工程、得られたアルカリ酸素漂白後のパルプを洗浄するD工程、その後、多段漂白工程で元素状塩素を使用せずに漂白処理するE工程を有する漂白パルプの製造方法において、前記B工程の洗浄ろ液(ろ液B)中の化学的酸素要求量(COD)を低下させるF工程、及び前記D工程の洗浄ろ液(ろ液D)中の化学的酸素要求量(COD)を低下させるG工程をさらに有し、得られた前記F工程の処理液(ろ液F)と前記G工程の処理液(ろ液G)又はろ液Dを混合した混合液(ろ液B')をB工程へ送り、パルプの洗浄水及び希釈水として循環再使用することを特徴とする漂白パルプの製造方法。
【0012】
(2)前記F工程及び前記G工程において、ろ液に酸化剤を添加し、COD成分を酸化分解してCOD濃度を10〜90%低下させることを特徴とする(1)項記載の漂白パルプの製造方法。
【0013】
(3)前記F工程及び前記G工程において、ろ液を電気分解処理し、COD成分を酸化分解してCOD濃度を10〜90%低下させることを特徴とする(1)項記載の漂白パルプの製造方法。
【0014】
(4)前記電気分解処理において、過酸化水素添加、オゾン添加、酸素添加及び紫外線照射から選ばれる少なくとも一種を組み合わせることによってCOD成分の分解を促進させることを特徴とする(3)項記載の漂白パルプの製造方法。
【0015】
(5)前記B工程のろ液のみを前処理して、COD濃度を10〜90%低下させることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の漂白パルプの製造方法。
【0016】
(6)前記F工程、前記G工程でろ液に凝集剤を添加し、フロック形成後に加圧浮上法、もしくは膜濾過法で、COD成分を除去し、COD濃度を10〜90%低下させることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載の漂白パルプの製造方法。
【0017】
【作用】
本発明のアルカリ酸素漂白工程では、未漂白パルプの洗浄水及び希釈水の有機成分濃度が低下しているため、パルプ中のリグニンと随伴溶液中の有機成分との漂白薬品に対する競合が抑えられ、漂白性が向上する。その結果、後段の漂白薬品を削減できる。また、有機成分と漂白薬品の反応から生成する選択性の低い活性種も軽減するので繊維の損傷が抑えられ、パルプの品質が向上する。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施態様を、図1のフロー概念図を参照して説明する。
木材チップは蒸解工程(A工程)でパルプ化された後、洗浄工程(B工程)で洗浄され、アルカリ酸素漂白工程(C工程)へ送られる。アルカリ酸素漂白後のパルプは洗浄工程(D工程)で洗浄され、多段漂白工程(E工程)で多段漂白されて完成漂白パルプとなる。
【0019】
B工程とD工程で使用されたパルプの洗浄ろ液(ろ液B、ろ液D)の一部、もしくは全量はろ液処理工程(F工程、G工程)へ送られ、化学的酸素要求量(COD)を低下させる処理を施される。処理後のろ液(ろ液F、ろ液G)は混合されて(ろ液B')B工程へ送られパルプの洗浄水及び希釈水として循環再使用される。またろ液B'は分岐されC工程の希釈水として再使用されてもよい。また、ろ液Bのみを処理して、得られたろ液Fを未処理のろ液Dと混合し、ろ液B'としてもよい。
【0020】
本発明で用いられるパルプ原料としては、リグノセルロース物質であればいかなるものでもよく、特に限定されるものではない。しかしながら、紙の原料という見地から、ユーカリ、アカシア、パイン等が好適に用いられる。本発明に使用されるパルプを得るための蒸解法としては、クラフト蒸解、ポリサルファイド蒸解、ソーダ蒸解、アルカリサルファイト蒸解等の公知の蒸解法を用いることができるが、パルプ品質、エネルギー効率等を考慮すると、クラフト蒸解法が好適に用いられる。例えば、木材をクラフト蒸解する場合、クラフト蒸解液の硫化度は5〜75%、好ましくは15〜45%、有効アルカリ添加率は絶乾木材質量当たり5〜30質量%、好ましくは10〜25質量%、蒸解温度は130〜170℃で、蒸解方式は、連続蒸解法あるいはバッチ蒸解法のどちらでもよく、連続蒸解釜を用いる場合は、蒸解液を多点で添加する修正蒸解法でもよく、その方式は特に問わない。
【0021】
蒸解に際して、使用する蒸解液に蒸解助剤として、公知の環状ケト化合物、例えばベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン、アントロン、フェナントロキノン及び前記キノン系化合物のアルキル、アミノ等の核置換体、あるいは前記キノン系化合物の還元型であるアントラヒドロキノンのようなヒドロキノン系化合物、さらにはディールスアルダー法によるアントラキノン合成法の中間体として得られる安定な化合物である9,10−ジケトヒドロアントラセン化合物等から選ばれた1種あるいは2種以上が添加されてもよく、その添加率は木材チップの絶乾質量当たり0.001〜1.0質量%である。
【0022】
本発明では、公知の蒸解法により得られた未漂白パルプは、洗浄、粗選及び精選を行なう洗浄工程を経て、アルカリ酸素漂白工程へ送られる。本発明の洗浄工程において使用される洗浄機としては、プレッシャーディフューザー、ディフュージョンウオッシャー、加圧型ドラムウオッシャー、水平長網型ウオッシャー、プレス洗浄機等を挙げることができるが、特に限定されるものではない。しかしながら、パルプ中のピッチ成分の除去効率が高いという付加的な理由から、プレス洗浄機が好適に用いられる。本発明の洗浄段では、複数の洗浄機を使用することもできる。洗浄後のパルプは、次いでアルカリ酸素漂白工程へ送られる。
【0023】
本発明の方法におけるろ液処理工程において、ろ液中の有機成分濃度はCODで表示する。本発明におけるCODカット率は10〜90%であって、好ましくは30〜80%である。10%未満ではアルカリ酸素漂白の漂白性改善効果の程度が小さい。一方、90%を超えると大きな設備が必要となる等経済的不利が大きくなるので適さない。
【0024】
本発明の方法におけるろ液処理工程において使用される薬品としては、二酸化塩素、酸素、過酸化水素、オゾン、有機過酸等の公知の酸化剤を挙げることができ、これらの中から適宜選択されて薬品として用いられる。またこれらを2つ以上組み合わせたり、紫外線を照射することもできる。
【0025】
本発明の方法におけるろ液処理工程において使用される電気分解装置としては、電極として炭素、鉛、セラミクス等を使用したものを挙げることができ、その構造は、直流型、交流型等のものを挙げることができるが、特に限定されるものではない。また、補助薬品として塩化ナトリウム、芒硝、硫酸カリウム等の電解質を添加することもできる。
【0026】
本発明の方法におけるろ液処理工程のpHは、蒸解−アルカリ酸素漂白後の洗浄水のpH、使用する薬品によって適宜調節されるが、3〜14が好ましい。pH3未満ではpHを調節する薬品が大量に必要となるので適さない。pHは任意の酸性溶液又はアルカリ性溶液を添加して調整することができる。前記のpH調整用に用いられる溶液は、多段漂白工程からの排水を利用できることは言うまでもない。
【0027】
また、処理温度は30〜95℃が好適である。30℃未満の場合は、処理水を洗浄機に戻した時に洗浄水の温度が著しく低下するので適さない。95℃以上の場合は温度を保つために多大なエネルギーを必要とするので適さない。さらに処理時間は、5分以上が好ましいが、特に限定されない。処理後のろ液はアルカリ酸素漂白工程前の洗浄工程へ送られ、循環再使用される。
【0028】
本発明の方法におけるアルカリ酸素漂白工程では、公知の中濃度アルカリ酸素漂白法、あるいは高濃度法を適用できるが、現在、汎用的に用いられている中濃度法が好適に用いられる。前記アルカリ酸素漂白工程において、アルカリとしては苛性ソーダあるいは酸化されたクラフト白液を使用することができ、酸素ガスとしては、深冷分離法からの酸素、PSA(Pressure Swing Adsorption)からの酸素、VSA(Vacuum Swing Adsorption)からの酸素等が使用できる。
【0029】
本発明の方法に使用されるアルカリ酸素漂白工程の一例としては、例えば、酸素ガスとアルカリは第一のミキサーにおいてパルプスラリーに添加され、混合が十分に行われた後、加圧下でパルプ、酸素及びアルカリの混合物を一定時間保持できる一段目の反応塔へ送られ、さらに第二のミキサーにおいて、再度酸素ガスがパルプスラリーに添加、混合が行われた後、加圧下で一定時間保持できる二段目の反応塔へ送られ、脱リグニンされる。各段における酸素ガスの添加率は、絶乾パルプ質量当たり0.5〜3質量%であり、アルカリ添加率は0.5〜4質量%であり、パルプ濃度は5〜40質量%である。また一段目と二段目の反応塔のトータルのリテンションは、30〜120分で、反応温度は、70〜120℃である。この他の条件は公知のものが適用できる。
【0030】
本発明の方法におけるアルカリ酸素漂白工程においては、過酸化物を添加することもできる。過酸化物であればいかなるものでも添加できるが、その効果、経済性等を考慮すると過酸化水素が好適に用いられる。過酸化物の添加率は、絶乾パルプ質量当たり0.05〜3質量%である。また、アルカリ酸素漂白工程においては、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸(DTPMPA)等のキレート剤を添加することもできる。アルカリ酸素漂白工程においてアルカリ酸素漂白が施されたパルプは、洗浄工程を経て、多段漂白工程へ送られる。
【0031】
本発明の方法における多段漂白工程で用いられる漂白薬品としては、酸(A)、アルカリ酸素(E/O)、酸性過酸化水素(A/P)、苛性ソーダ(E)、二酸化塩素(D)、酸素(O)、過酸化水素(P)、オゾン(Z)、有機過酸等の公知の漂白剤と漂白助剤からなる漂白薬品を挙げることができ、これらの中から適宜選択されて漂白薬品として用いられる。
【0032】
本発明における漂白シーケンスとしては、例えば、D−E−D、D−E/O−D、D−E−P−D、D−E/O−P−D、D−E/OP−D、D−E/OP−P−D、A−D−E−D、A−D−E/O−D、A−D−E/OP−D、A/P−D−E−D、A/P−D−E/O−D、A/P−D−E/OP−D、A−Z−E−D、A−Z−E−P−D、A−Z−E/O−D、A−Z−E/OP−D、A−Z−E/O−P−D、A−Z−E/OP−P−D、A−Z/D−E−D、A−Z/D−E−P−D、A−Z/D−E/O−D、A−Z/D−E/O−P−D等のように原子状塩素を含まないシーケンスを用いることもできるし、A−Z−E−P−D、A−Z−E/OP−P、E/OP−P、A−E/OP−P等のように原子状塩素と塩素系漂白薬品を一切用いない漂白シーケンスを用いることもできる。また、本発明の効果をさらに上げるために、多段漂白工程の前後にキシラン分解酵素、リグニン分解酵素等による酵素処理工程や、EDTA、DTPA、DTPMPA等によるキレート剤処理工程を設けてもよいことは言うまでもない。
【0033】
本発明では、アルカリ酸素漂白工程中の洗浄工程及びアルカリ酸素漂白工程後の洗浄工程からの排水は向流洗浄水として回収、使用することもできる。従って、蒸解工程及びアルカリ酸素漂白工程をクローズド化することもできる。さらに、本発明では、多段漂白工程においてもクローズド化することもでき、漂白パルプの全製造工程をクローズド化することもできる。
【0034】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、勿論、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下に示す実施例1〜3は、洗浄工程Bのろ液(ろ液B、COD2560ppm)と洗浄工程Dのろ液(ろ液D、COD2207ppm)とを、CODを低下させることを目的とした前処理方法で処理し、処理後のろ液(ろ液F、ろ液G)の混合液(ろ液B')で未漂白パルプを洗浄、脱水した後希釈して所定の濃度に調節し、アルカリ酸素漂白して、D−E/O−P−Dシーケンスで漂白を行ったものである。
一方比較例1はろ液Bで前記未漂白パルプを洗浄、脱水した後希釈して所定の濃度に調節し、アルカリ酸素漂白して、D−E/O−P−Dシーケンスで漂白を行ったものである。
また、特に示さない限り、CODの測定、カッパー価の測定、パルプ白色度の測定、パルプ粘度の測定はそれぞれ以下の方法で行った。なお、特に示さない限り実施例及び比較例における薬品の添加率は絶乾パルプ質量当たりの質量%を示す。
【0035】
実施例1
ろ液B 1リットルにろ液の質量当たり過酸化水素を0.2%添加し、80℃で60分処理して、ろ液Fを得た。ろ液Dにも同様の処理をして、ろ液Gを得た。得られたろ液Fと、ろ液Gを混合し、ろ液B'を得た。ろ液B'のCOD濃度は1770ppmだった。
針葉樹混合木材チップを連続蒸解釜で蒸解して得られた白色度20.2%、カッパー価26.3、パルプ粘度27.4mPa・sの針葉樹未漂白クラフトパルプを絶乾質量70.0g採取し、ろ液B'で洗浄及び希釈してパルプ濃度を10%に調整し、苛性ソーダを2.5%添加し、ステンレス製2リットル容の間接加熱式オートクレーブに入れ、ゲージ圧0.5MPaとなるように純度が99.9%の市販の圧縮酸素ガスで加圧し、反応温度100℃、反応時間60分でアルカリ酸素漂白処理を行ない、イオン交換水でそれに続く洗浄を行った。さらに、アルカリ酸素漂白後のパルプ絶乾質量60.0gをプラスチック袋に入れ、イオン交換水を用いてパルプ濃度を10%に調整した後、二酸化塩素を1.45%添加し、反応温度70℃反応時間60分間でD1段の漂白を行った。得られたパルプをイオン交換水で洗浄、脱水した。
【0036】
D1段後のパルプをイオン交換水を用いてパルプ濃度を10%に調整した後、苛性ソーダを1.2%添加し、ステンレス製2リットル容の間接加熱式オートクレーブに入れ、ゲージ圧が0.15MPaとなるように純度が99.9%の市販の圧縮酸素ガスで加圧し、70℃で20分間反応させた。その後、パルプスラリーをオートクレーブから取り出し、プラスチック袋に移した後、D1段と同様に70℃で70分間処理し、E/O段の抽出を行った。得られたパルプをイオン交換水で洗浄、脱水した。
E/O段後のパルプをプラスチック袋に入れ、イオン交換水を用いてパルプ濃度を10%に調整した後、苛性ソーダを1.0%、過酸化水素を0.4%を添加し、D1段と同様にして温度70℃で90分間処理してP段のアルカリ過酸化水素漂白を行った。得られたパルプをイオン交換水を用いて洗浄、脱水した。
【0037】
P段後のパルプをプラスチック袋に入れ、イオン交換水を用いてパルプ濃度を10%に調整した後、二酸化塩素を0.3%添加し、D1段と同様にして温度70℃で120分間処理し、D2段の漂白を行った。得られたパルプをイオン交換水を用いて洗浄、脱水し、パルプ白色度85.1%、パルプ粘度が17.6mPa・sの漂白パルプを得た。未漂白パルプの洗浄及び希釈に使用したろ液のCODとCODカット率、アルカリ酸素漂白後のパルプのカッパー価、パルプ白色度、パルプ粘度を表1に、多段漂白工程におけるD1段薬品添加率及び漂白後のパルプ白色度と粘度を表2に示した。
【0038】
実施例2
陽極として遷移貴金属をメッキした金属電極と陰極として炭素電極で構成される電気分解槽に、ろ液Bを1リットル入れ、反応温度80℃、反応時間60分の条件で電気分解処理して、ろ液Fを得た。ろ液Dにも同様の処理をして、ろ液Gを得た。得られたろ液Fと、ろ液Gを混合し、ろ液B'を得た。ろ液B'のCOD濃度は923ppmだった。ろ液B'を用いて未漂白パルプの洗浄及び希釈を行なう以外は実施例1と全く同じ条件でアルカリ酸素漂白した。得られたアルカリ酸素漂白後のパルプ絶乾質量60.0gをプラスチック袋に入れ、D1段における二酸化塩素の添加率を1.25%に変えた以外は実施例1と同様にD1−E/O−P−D2シーケンスで漂白を行った。
【0039】
実施例3
電気分解槽に、ろ液の質量当たり過酸化水素を0.5%添加し、反応時間を30分に変える以外は実施例1と同じ操作をしてろ液B'を得た。ろ液B'のCOD濃度は950ppmだった。得られたろ液を用いて未漂白パルプの洗浄及び希釈を行なう以外は実施例1と全く同じ条件でアルカリ酸素漂白した。得られたアルカリ酸素漂白後のパルプ絶乾質量60.0gをプラスチック袋に入れ、D1段における二酸化塩素の添加率を1.25%に変えた以外は実施例1と同様にD1−E/O−P−D2シーケンスで漂白を行った。
【0040】
比較例1
未処理のろ液Bとろ液Dを1:1で混合してろ液B'を得た。ろ液B'を用いて未漂白パルプの洗浄及び希釈を行なう以外は実施例1と全く同じ条件でアルカリ酸素漂白した。得られたアルカリ酸素漂白後のパルプ絶乾質量60.0gをプラスチック袋に入れ、D1段における二酸化塩素の添加率を1.50%に変えた以外は実施例1と同様にD1−E/O−P−D2シーケンスで漂白を行った。
【0041】
1.CODの測定
CODの測定は、JIS K−0102の「100℃における過マンガン酸カリウムによる酸素消費量(CODMn)」測定方法に準じて行なった。
また、CODカット率は、以下の式で算出した。
CODカット率(%)=〔(処理前COD)−(処理後COD)〕/(処理前COD)×100
【0042】
2.カッパー価の測定
カッパー価の測定は、JIS P 8211に準じて行った。
【0043】
3.パルプ白色度の測定
パルプ白色度の測定は、JIS P 8212に準じて行った。
【0044】
4.パルプ粘度の測定
パルプ粘度の測定は、JIS P 8215に準じて行った。
【0045】
【表1】
Figure 0004039250
【0046】
【表2】
Figure 0004039250
【0047】
表1の実施例1〜3と比較例1を比較することから明らかなように、ろ液の薬品による酸化分解、電気分解により、COD濃度が低下し、このろ液を未漂白パルプの洗浄水及び希釈水として使用し、アルカリ酸素漂白を行なうことにより、アルカリ酸素漂白後のパルプ粘度を維持したまま、パルプ白色度を高くし、パルプのカッパー価を低くすることができる。その結果、表2から明らかなように、パルプ粘度を実用レベルに保持したままで、所望の白色度に漂白するのに必要な多段漂白工程での漂白薬品の使用量を大幅に削減することができる。
【0048】
【発明の効果】
本発明により、未漂白パルプの洗浄水と、洗浄後の希釈水となるアルカリ酸素漂白塔前後の洗浄機のろ液を前処理し、有機成分濃度を低下させた後、アルカリ酸素漂白前の洗浄機に送り、循環再使用するアルカリ酸素漂白法において、所望の白色度に漂白するのに必要な多段漂白工程での漂白薬品の使用量を大幅に削減し得る漂白パルプの製造方法の提供が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施フローの概念図である。

Claims (4)

  1. リグノセルロース物質を蒸解するA工程、得られた未漂白パルプを洗浄するB工程、次いでアルカリ酸素漂白するC工程、得られたアルカリ酸素漂白後のパルプを洗浄するD工程、その後、多段漂白工程で元素状塩素を使用せずに漂白処理するE工程を有する漂白パルプの製造方法において、前記B工程の洗浄ろ液(ろ液B)中の化学的酸素要求量(COD)を低下させるF工程、及び前記D工程の洗浄ろ液(ろ液D)中の化学的酸素要求量(COD)を低下させるG工程をさらに有し、得られた前記F工程の処理液(ろ液F)と前記G工程の処理液(ろ液G)又は未処理のろ液Dを混合した混合液(ろ液B')をB工程へ送り、パルプの洗浄水及び希釈水として循環再使用することを特徴とする漂白パルプの製造方法。
  2. 前記F工程及び前記G工程において、ろ液に酸化剤を添加し、COD成分を酸化分解してCOD濃度を10〜90%低下させることを特徴とする請求項1記載の漂白パルプの製造方法。
  3. 前記F工程及び前記G工程において、ろ液を電気分解処理し、COD成分を酸化分解してCOD濃度を10〜90%低下させることを特徴とする請求項1記載の漂白パルプの製造方法。
  4. 前記電気分解処理において、過酸化水素添加、オゾン添加、酸素添加及び紫外線照射から選ばれる少なくとも一種を組み合わせることによってCOD成分の分解を促進させることを特徴とする請求項3記載の漂白パルプの製造方法。
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