JP2023036238A - 合わせガラス構造体 - Google Patents
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Abstract
【課題】合わせガラスの損傷や破損を回避しつつ合わせガラスを適正に吊持可能な合わせガラス構造体を提供する。【解決手段】複数の支持部材30に連結された吊持部材40により宙吊り状態で吊持される合わせガラス構造体であって、第1ガラス板11と、第1ガラス板11と対向する第2ガラス板12と、第1ガラス板11と第2ガラス板12との間に配置される中間膜13と、を有する合わせガラス10を備え、合わせガラス10の一対の側方領域には、支持部材30が当接可能な上面を含む貫通部16が形成されている。【選択図】図2
Description
本発明は、合わせガラス構造体に関する。
建築物等において、大型のガラス板を吊持してガラススクリーンを構成するガラス構造体が存在する。このようなガラス構造体によって構成されるガラススクリーンは、自重によるたわみを無くし、外観において反射(又は透視)映像を美しく見せることができる。ガラス構造体に用いられるガラス板として、これまでは単板ガラスが用いられていた。単板ガラスの場合、万一の破損に備えて板面に飛散防止フィルムが貼り付けられる。飛散防止フィルムは外部環境の影響により経年劣化することから、張り替える必要がありメンテナンスに費用及び手間が必要となる。
そこで、ガラス構造体は、強度の向上によるメンテナンスの簡略化を実現するべく、単板ガラスに代えて合わせガラスを用いることが考えられる。特許文献1には、合わせガラスを挟持して吊り下げる合わせガラス構造体(文献では「合わせガラス施工体」)が開示されている。合わせガラスは、2枚のガラス板が板面上に配置された中間膜によって接合されて構成される。このため、合わせガラスを挟持部材で挟持した状態で吊持した場合、長期に亘って中間膜に圧縮力を与えることになるため、中間膜は挟持位置から離れた箇所で剥離が生じたり中間膜に発泡が生じたりするおそれがある。
そこで、特許文献1に記載の合わせガラス構造体では、合わせガラスの上端側において一方のガラス板を突出させて形成した単板ガラス部分を挟持する構成が用いられている。
特許文献1に記載の合わせガラス構造体は、合わせガラスのうち中間膜のない単板ガラス部分を挟持した状態で吊持する構成である。合わせガラスを単板ガラス部分の挟持のみで吊持する場合には、合わせガラスを適正に吊持するうえで、単板ガラス部分の挟持力を高める必要がある。そのため、合わせガラス構造体は、単板ガラス部分が過大な挟持力を受けて損傷してしまうおそれがある。また、合わせガラスのガラス面が大きな風圧を受けて、単板ガラスが破損するおそれもある。
そこで、合わせガラスの損傷や破損を回避しつつ合わせガラスを適正に吊持可能な合わせガラス構造体が望まれている。
本発明に係る合わせガラス構造体の特徴構成は、複数の支持部材に連結された吊持部材により宙吊り状態で吊持される合わせガラス構造体であって、第1ガラス板と、前記第1ガラス板と対向する第2ガラス板と、前記第1ガラス板と前記第2ガラス板との間に配置される中間膜と、を有する合わせガラスを備え、前記合わせガラスの一対の側方領域には、前記支持部材が当接可能な上面を含む貫通部が形成されている点にある。
本構成によれば、合わせガラス構造体において、合わせガラスの一対の側方領域に吊持部材が連結される支持部材が当接可能な上面を含む貫通部が形成されているので、合わせガラス構造体は合わせガラスを挟持せずに貫通部において支持部材によって支持された状態で吊持することができる。これにより、合わせガラスは挟持による損傷や風圧による破損等を回避することができ、中間膜に対して圧縮力が付与されることもない。その結果、合わせガラス構造体は、合わせガラスを適正に吊持することができ、合わせガラスにおいて美しい外観を長期に保持することができる。
他の特徴構成は、前記貫通部は、前記合わせガラスの一対の前記側方領域の夫々に1つ形成されている点にある。
本構成によれば、合わせガラスは、一対の側方領域の夫々に形成された1つずつの貫通部に支持部材が当接して支持される。これにより、合わせガラス構造体は合わせガラスを安定的に支持しつつ吊持することができる。また、合わせガラスの一対の側方領域の夫々に形成される貫通孔は1つずつであるので、合わせガラス構造体において貫通部及び支持部材を目立ち難くすることができ、合わせガラスの加工コストを低減することができる。
他の特徴構成は、前記貫通部は、前記合わせガラスの側縁から内側に向けて切り欠かれた切欠き部であり、前記切欠き部には、前記支持部材が挿入されている点にある。
本構成によれば、合わせガラスの貫通部として合わせガラスの側部に切欠き部を設けただけであるので、貫通部は合わせガラスの側部を切削するだけで簡易に形成でき、合わせガラスにおいて貫通部を目立ち難くすることもできる。
他の特徴構成は、前記切欠き部の前記上面は、前記合わせガラスの板面に対して垂直方向に沿った平面部を有する点にある。
本構成によれば、支持部材が切り欠き部の平面部に当接した状態で合わせガラスを支持することができる。これにより、合わせガラス構造体は、支持部材によって合わせガラスを安定的に支持しつつ吊持することができる。
他の特徴構成は、前記切欠き部は、前記垂直方向視においてU字状に形成されている点にある。
本構成のように、切欠き部はU字状に形成されていると、切り欠き部の加工が容易であり、切欠き部の奥まで支持部材を配置し易くなる。これにより、合わせガラス構造体は、合わせガラスを安定的に支持しつつ吊持することができる。
他の特徴構成は、前記切欠き部は、前記上面の面圧力が6.9MPa以下となるように切欠き量が設定されている点にある。
本構成のように、切欠き部における上面の面圧力が6.9MPa以下であると、合わせガラスを構成するガラス板が未強化ガラスであっても長期的な許容応力を満足することができる。
他の特徴構成は、前記貫通部は、前記合わせガラスの上縁からの離間距離が12cm以上50cm以下の範囲内に形成されている点にある。
本構成のように、合わせガラスの上縁から12cm以上離間した位置に貫通部が形成されることで、合わせガラスは上縁と貫通部との間においてガラス強度を確保できる。これにより、合わせガラス構造体において、貫通部に当接する支持部材によって合わせガラスを確実に支持することができる。また、貫通部が合わせガラスの上縁から50cm以下となる位置に形成されていれば、合わせガラス構造体を吊持する際に合わせガラスの貫通部を覆う目隠しを小さくすることができ、合わせガラスによる視界を広く確保することができる。
他の特徴構成は、複数の前記支持部材と、複数の前記支持部材を連結する連結部材とを更に備えた点にある。
合わせガラスにおいて一対の側方領域に設けられる貫通部の上面に当接する複数の支持部材は、一対の側方領域の貫通部においてこじれが発生することがある。そうなると、合わせガラス構造体は、合わせガラスを適正な姿勢で支持しつつ吊持ちすることができない。そこで、本構成では、ガラス構造体が、複数の支持部材と、複数の支持部材を連結する連結部材とを更に備える。複数の支持部材に連結部材が連結されることで、合わせガラスの一対の側方領域に配置される複数の支持部材にこじれが発生し難くなる。これにより、合わせガラス構造体は、合わせガラスを適正な姿勢で支持しつつ吊持することができる。
他の特徴構成は、前記支持部材は、前記合わせガラスの板面に対して垂直方向に延びる軸部材と、前記軸部材が挿通可能な孔部を有する枠部材と、前記枠部材の周囲に配置されて前記貫通部に当接する緩衝部材と、を有し、前記支持部材を構成する各部材は、夫々のヤング率が前記軸部材、前記枠部材、及び、前記緩衝部材の順で小さくなるように構成されている点にある。
本構成によれば、支持部材が軸部材と枠部材と緩衝部材とを有し、貫通部に対して緩衝部材が当接し、緩衝部材は枠部材に当接し、枠部材は軸部材が当接する。ここで、支持部材を構成する各部材のヤング率は、軸部材、枠部材、及び、緩衝部材の順で小さくなるように構成されている。これにより、合わせガラスが風圧等の影響を受けて揺動した際に貫通部に振動が生じても、貫通部に当接する支持部材の緩衝部材及び枠部材によって当該振動が減衰されて軸部材に伝わる。これにより、合わせガラス構造体は、合わせガラスの振動による支持部材への影響力を緩和することができる。
他の特徴構成は、前記支持部材は、前記枠部材を覆う保護カバーを更に有し、前記保護カバーは、前記軸部材の軸芯方向に垂直な一対の面部と、一対の前記面部の端部同士を接続し前記合わせガラスの側縁に沿って配置される接続部と、を備えて構成される点にある。
支持部材において軸部材に軸支される枠部材は、合わせガラスが風圧等により揺動した場合に、合わせガラスの面外に外れる可能性がある。そこで、本構成では、支持部材は、枠部材を軸部材の軸芯方向の両側から覆う一対の面部の端部同士を接続する接続部が、合わせガラスの側縁に沿って配置された保護カバーを有している。これにより、支持部材の枠部材は保護カバーによって合わせガラスの面外に外れるのを防止することができる。
他の特徴構成は、前記第1ガラス板及び前記第2ガラス板は未強化ガラスによって構成されている点にある。
本構成のように、合わせガラスの第1ガラス板及び第2ガラス板が未強化ガラスによって構成されていることで、合わせガラス構造体を簡易に構成することができる。また、強化ガラスは内部に生成される応力層に不純物が存在することで外部環境の影響により自然破損する可能性がある。一方、未強化ガラスは、強化処理が施されていないため内部に応力層自体が有しない。したがって、本構成の合わせガラス構造体は、合わせガラスが自然破損することがなく、安全性を確保することができる。
以下に、本発明に係る合わせガラス構造体の実施形態について図面に基づいて説明する。ただし、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
〔第1実施形態〕
図1に示されるように、合わせガラス構造体2は例えば大型のガラススクリーン1に用いられる。図2に示されるように、合わせガラス構造体2は、後述する2枚のガラス板11,12を有する合わせガラス10を備える。ガラススクリーン1は、複数の合わせガラス構造体2が面一になるように配置されて構成される。隣接する2つの合わせガラス構造体2の間にはシーリング材等によって構成される目地部3が設けられる。ガラススクリーン1は、合わせガラス構造体2の他に長尺状のリブガラス4を備えて構成される。リブガラス4は、合わせガラス構造体2の背面側に位置し、目地部3に対して合わせガラス10の板面に直交する方向で連結されている。
図1に示されるように、合わせガラス構造体2は例えば大型のガラススクリーン1に用いられる。図2に示されるように、合わせガラス構造体2は、後述する2枚のガラス板11,12を有する合わせガラス10を備える。ガラススクリーン1は、複数の合わせガラス構造体2が面一になるように配置されて構成される。隣接する2つの合わせガラス構造体2の間にはシーリング材等によって構成される目地部3が設けられる。ガラススクリーン1は、合わせガラス構造体2の他に長尺状のリブガラス4を備えて構成される。リブガラス4は、合わせガラス構造体2の背面側に位置し、目地部3に対して合わせガラス10の板面に直交する方向で連結されている。
図2に示されるように、合わせガラス構造体2において、合わせガラス10は、第1ガラス板11と、第1ガラス板11と対向する第2ガラス板12と、第1ガラス板11と第2ガラス板12との間に配置される中間膜13とを有する。本実施形態では、合わせガラス10において、第1ガラス板11がリブガラス4とは反対の側である表面側に配置され、第2ガラス板12がリブガラス4の側である裏面側に配置されている。
第1ガラス板11及び第2ガラス板12は、いずれも未強化ガラスによって構成される。中間膜13は、例えば熱可塑性樹脂によって構成されて、ポリビニルブチラール樹脂(PVB)、エチレンビニルアセテート樹脂(EVA)、ポリビニルアセタール樹脂、アイオノマー樹脂(ION)等の様々な材料を用いることができる。
合わせガラス構造体2は、夫々が吊持部材40により吊り金具41を介して宙吊り状態で躯体(不図示)に吊持される。合わせガラス構造体2は、合わせガラス10が後述する複数の支持部材30に支持され、複数の支持部材30に吊持部材40が連結されている。リブガラス4は、単板ガラスによって構成されて不図示の挟持部材を介して躯体に吊持される。
合わせガラス構造体2を躯体に吊持するための構成について、以下説明する。図1及び図2に示されるように、合わせガラス構造体2において、合わせガラス10の上部は、支持部材30を介して支持され、支持部材30に吊持部材40が連結される。合わせガラス10は、上端が躯体に設けられる上辺枠6の内側に配置され、下端が不図示の躯体に設けられる下辺枠7の内側に配置される。上辺枠6は例えば梁やサッシ等によって構成され、下辺枠7は例えばサッシ等によって構成される。
図3から図5に示されるように、合わせガラス10は、矩形状に形成され、一対の側方領域15,15を有する。一対の側方領域15,15には、支持部材30が当接可能な上面18(直線部分16a及び円弧部分16cの上側部分16c1)を含む切欠き部16(貫通部の一例)が形成されている。切欠き部16は、合わせガラス10の側縁14から内側に向けて切り欠かれており、合わせガラス10の第1ガラス板11、第2ガラス板12、及び中間膜13を貫通する。
切欠き部16は、合わせガラス10の側縁14から中央側に向けて合わせガラス10の板面に対して垂直方向視においてU字状に形成されている。切欠き部16は、合わせガラス10の側縁14から横方向(水平方向)に延びて上下方向に離間する一対の直線部分16a,16bと、一対の直線部分16a,16bに連続して合わせガラス10の中央側に向けて形成される半円状の円弧部分16cと、を有する。本実施形態では、切欠き部16は、合わせガラス10の一対の側方領域15,15の夫々に1つ形成されている。
図5に示されるように、切欠き部16の上面18は、合わせガラス10の板面に対して垂直方向に沿った平面部を有する。本実施形態では、平面部は直線部分16aによって構成される。切欠き部16が平面部(直線部分16a)を有することで、支持部材30が切欠き部16の平面部(直線部分16a)に当接した状態で合わせガラス10を支持することができる。これにより、合わせガラス構造体2は、支持部材30によって合わせガラス10を安定的に支持しつつ吊持することができる。
図2及び図4に示されるように、支持部材30は、切欠き部16の内縁形状と同一の外形形状であって、合わせガラス10の板面に対して垂直方向に延びる軸部材31と、軸部材31が挿通可能な孔部33を有する枠部材32と、枠部材32の周囲に配置されて切欠き部16に当接する緩衝部材34と、を有する。枠部材32は、切欠き部16の内縁形状と相似の外形形状を有している。緩衝部材34は、枠部材32の外形形状とほぼ同一形状の貫通孔35を有しており、枠部材32の外周部分に覆うように筒状に形成されている。これにより、緩衝部材34を含む枠部材32は、外形形状が切欠き部16と相似形状である。
支持部材30を構成する各部材31,32,34は、夫々のヤング率が軸部材31、枠部材32、及び、緩衝部材34の順で小さくなるように構成される。具体的には、軸部材31は例えばステンレスによって構成され、枠部材32は例えばアルミニウムによって構成され、緩衝部材34はポリアセタール樹脂(POM)やポリアミド樹脂(ナイロン)等の樹脂材によって構成される。
支持部材30の軸部材31、枠部材32及び緩衝部材34をこのように構成することで、合わせガラス10が風圧等の影響を受けて揺動した際に切欠き部16に振動が生じても、切欠き部16に当接する支持部材30の緩衝部材34及び枠部材32によって当該振動が減衰されて軸部材31に伝わる。これにより、合わせガラス構造体2は、合わせガラス10の振動による支持部材30への影響力を緩和することができる。
枠部材32の面外位置には、保護カバー38が更に配置されている。保護カバー38は、合わせガラス10の上方からの平面視においてコ字状に形成されている。保護カバー38は、枠部材32のうち合わせガラス10の板面に沿う面部32aと、緩衝部材34のうち合わせガラス10の側面に沿う面部34aとを覆う。保護カバー38は、本体部44がスチール材で構成され、本体部44の内側に本体部44と相似形状に形成されて枠部材32に当接する緩衝部45が配置されている。緩衝部45はポリアセタール樹脂(POM)やポリアミド樹脂(ナイロン)等の樹脂材によって構成される。保護カバー38の本体部44は、軸部材31の軸芯方向に垂直な一対の面部44aと、一対の面部44aの端部同士を接続し合わせガラス10の側縁14に沿って配置される接続部44bと、を備える。保護カバー38は、本体部44の一対の面部44aに軸部材31が挿通する貫通孔44cが形成され、緩衝部45にも貫通孔44cと重なる位置に貫通孔45aが形成されている。
合わせガラス構造体2には、合わせガラス10の両側方領域15,15に配置される一対の支持部材30,30を連結する連結部材37が更に備えられている。本実施形態では、連結部材37は合わせガラス10の板面に沿う長板状の部材であり、第1ガラス板11及び第2ガラス板12の板面に沿って2つ設けられている。連結部材37は本体部37aがスチール材で構成され、合わせガラス10の板面側に緩衝部37bが積層されている。緩衝部37bはポリアセタール樹脂(POM)やポリアミド樹脂(ナイロン)等の樹脂材によって構成される。連結部材37は、両端に貫通孔37cを夫々有し、貫通孔37cに軸部材31が挿通される。
合わせガラス10の切欠き部16に支持部材30を組付けるには、最初に、枠部材32及び緩衝部材34を切欠き部16に配置し、軸部材31を枠部材32の孔部33に挿入する。次に、軸部材31の両端から、ワッシャ36、連結部材37の貫通孔37c、吊持部材40のリング部40aを挿通させ、ボルト39を軸部材31に形成された雌ねじ部31aにねじ止めして固定する。
図2に示されるように、吊持部材40は、リング部40aによって一端が支持部材30に連結され、他端はねじ部40bにより吊り金具41に固定される。吊り金具41は吊りボルト42及びナット43によって躯体に固定される。
このように、合わせガラス構造体2は、合わせガラス10の切欠き部16に配置された支持部材30により支持することができ、支持部材30には吊持部材40が連結される。これにより、合わせガラス構造体2は、吊持部材40を介して躯体に吊持することができる。その後、隣接する合わせガラス構造体2,2の間隙にシーリング材を注入して目地部3を形成することでガラススクリーン1が構成される。
図5に示すように、合わせガラス構造体2は、合わせガラス10の一対の側方領域15,15に支持部材30が当接可能な上面18(直線部分16a及び円弧部分16cの上側部分16c1)を含む切欠き部16が形成されているので、合わせガラス構造体2は合わせガラス10を挟持せずに切欠き部16において支持部材30によって支持された状態で吊持することができる。これにより、合わせガラス10は挟持による損傷や風圧による破損等を回避することができ、中間膜13に対して圧縮力が付与されることもない。その結果、合わせガラス構造体2は、合わせガラス10を適正に吊持することができ、合わせガラス10において美しい外観を長期に保持することができる。
また、本実施形態によれば、合わせガラス10は、一対の側方領域15,15の夫々に形成された1つずつの切欠き部16に支持部材30が当接して支持される。これにより、合わせガラス構造体2は合わせガラス10を安定的に支持しつつ吊持することができる。また、合わせガラス10の一対の側方領域15,15の夫々に形成される切欠き部16は1つずつであるので、合わせガラス構造体2において切欠き部16及び支持部材30を目立ち難くすることができ、合わせガラス10の加工コストを低減することができる。
また、本実施形態によれば、支持部材30によって合わせガラス構造体2を支持するために、合わせガラス10の側部に切欠き部16を設けられている。当該切欠き部16は合わせガラス10の側部を切削するだけで簡易に形成でき、合わせガラス10において切欠き部16を目立ち難くすることもできる。
また、本実施形態のように、切欠き部16はU字状に形成されていると、切欠き部16の加工が容易であり、切欠き部16の奥まで支持部材30を配置し易くなる。これにより、合わせガラス構造体2は、合わせガラス10を安定的に支持しつつ吊持することができる。
切欠き部16は、直線部分16a,16bと円弧部分16cとによって形成されている。切欠き部16において、切欠き深さLを一定した場合に、直線部分16a,16bを長くすると、円弧部分16cの半径が小さくなる。すなわち、円弧部分16cの曲率半径が小さくなる。そうなると、支持部材30によって合わせガラス10を支持する際に円弧部分16cにおいて応力集中が起き易くなる。そのため、切欠き部16が直線部分16a、16bと円弧部分16cとを含む場合には、直線部分16a,16bは極力小さいことが好ましい。ただし、切欠き部16が円弧部分16cのみで形成された場合には、切欠き部16において支持部材30が回転する可能性がある。したがって、直線部分16a,16bは、支持部材30の回転阻止の観点においては設けられている方が好ましい。
合わせガラス10において一対の側方領域15,15に設けられる切欠き部16の上面18に当接する複数の支持部材30は、一対の側方領域15,15の切欠き部16においてこじれが発生することがある。そうなると、合わせガラス構造体2は、合わせガラス10を適正な姿勢で支持しつつ吊持ちすることができない。そこで、本実施形態では、合わせガラス構造体2が、複数の支持部材30を連結する連結部材37を更に備える。複数の支持部材30に連結部材37が連結されることで、合わせガラス10の一対の側方領域15,15に配置される複数の支持部材30にこじれが発生し難くなる。これにより、合わせガラス構造体2は、合わせガラス10を適正な姿勢で支持しつつ吊持することができる。
支持部材30において軸部材31に軸支される枠部材32は、合わせガラス10が風圧等により揺動した場合に、合わせガラス10の面外に外れる可能性がある。そこで、本構成では、支持部材30は、枠部材32を軸部材31の軸芯方向の両側から保護カバー38を有している。これにより、支持部材30の枠部材32は保護カバー38によって合わせガラス10の面外に外れるのを防止することができる。
切欠き部16は、上面18(直線部分16a及び円弧部分16cの上側部分16c1)の面圧力が6.9MPa以下となるように切欠き量が設定されている。ここで、未強化ガラスにおいては、長期許容曲げ応力が6.9MPaに定められている。したがって、切欠き部16における上面18の面圧力が6.9MPa以下であると、合わせガラス10を構成するガラス板11,12が未強化ガラスであっても長期的な許容応力を満足することができる。
図5に示されるように、切欠き部16は側縁14から中央側に向けて切欠き深さLを有する。切欠き深さLは、直線部分16aの長さL1と半円形状の円弧部分16cの半径に相当するL2(直径φ/2)との和である。合わせガラス10の単板の厚みをtとし、中間膜13の厚みをαとした場合、合わせガラス10の全体の厚みは、「2t+α」になる(図5参照)。また、合わせガラス10の単板の厚みt(cm)と、合わせガラス10の上縁10aから切欠き部16の上面18(直線部分16a)までの離間距離d(cm)とによって、合わせガラス10の一方のガラス板(第1ガラス板11又は第2ガラス板12)の断面係数Zは以下の式(1)によって表すことができる。
Z=(t・d2)/6 ・・・(1)
Z=(t・d2)/6 ・・・(1)
合わせガラス10の単板の厚みtを仮に12mmとした場合には、断面係数Z1は以下の式(2)の値となる。
Z1=(1.2(cm)・d2)/6 ・・・(2)
Z1=(1.2(cm)・d2)/6 ・・・(2)
ここで、合わせガラス10の重量(キログラム重)を1000kgf(一対の切欠き部16,16で均等に荷重負担)とし、切欠き深さLが、L1(直線部分16aの長さ)10mmと、L2(円弧部分16cの半径)30mmの和である40mmの場合、一方のガラス板(第1ガラス板11又は第2ガラス板12)で合わせガラス10の重量を負担する厳しい条件での曲げモーメントM1は以下の式(3)より算出することができる。
M1=500(kgf)×4.0(cm)=2000(kgf・cm) ・・・(3)
M1=500(kgf)×4.0(cm)=2000(kgf・cm) ・・・(3)
合わせガラス10において、切欠き部16の上面18が受ける面圧力σ1(切欠き深さLに相当する投影平面の面圧力に相当)は、以下の式(4)により算出することができる。
σ1=M1/Z1 ・・・(4)
σ1=M1/Z1 ・・・(4)
ここで、本実施形態では、合わせガラス10が未強化ガラスによって構成されているので、合わせガラス10の切欠き部16の上面18が受ける面圧力σ1は6.9MPa以下である必要がある。そこで、上記の式(4)のσ1に70kgf/cm2(6.9MPa)を代入し、以下の式(5)とする。
70(kgf/cm2)≧M1/Z1 ・・・(5)
70(kgf/cm2)≧M1/Z1 ・・・(5)
上記の式(5)において、M1に上記の式(3)の値を代入し、Z1に上記の式(2)の右辺を代入することで、離間距離dは、以下のように算出される。
d≧11.95(cm)
したがって、上記の条件下においては、合わせガラス10の切欠き部16は、上縁10aからの離間距離dは12cm以上が好ましい。
d≧11.95(cm)
したがって、上記の条件下においては、合わせガラス10の切欠き部16は、上縁10aからの離間距離dは12cm以上が好ましい。
一方、離間距離dが大きすぎると、切欠き部16を被覆する梁部分が大きくなる。そこで、切欠き部16は、合わせガラス10の上縁10aからの離間距離dが12cm以上50cm以下の範囲内に形成される。合わせガラス10の上縁10aから12cm以上離間した位置に切欠き部16が形成されることで、合わせガラス10は上縁10aと切欠き部16との間においてガラス強度を確保できる。これにより、合わせガラス構造体2において、切欠き部16に当接する支持部材30によって合わせガラス10を確実に支持することができる。また、切欠き部16が合わせガラス10の上縁10aから50cm以下となる位置に形成されていれば、合わせガラス構造体2を吊持する際に合わせガラス10の切欠き部16を覆う上辺枠6を小さくすることができ、合わせガラス10による視界を広く確保することができる。
また、本実施形態のように、合わせガラス10の第1ガラス板11及び第2ガラス板12が未強化ガラスによって構成されていることで、合わせガラス構造体2を簡易に構成することができる。また、強化ガラスは、内部に生成される応力層に不純物が存在することで外部環境の影響により自然破損する可能性がある。一方、未強化ガラスは、強化処理が施されていないため内部に応力層自体が有しない。したがって、本実施形態の合わせガラス構造体2は、合わせガラス10が自然破損することがなく、安全性を確保することができる。
〔第2実施形態〕
第2実施形態では、図6に示されるように、合わせガラス構造体2において、合わせガラス10に設けられる貫通部として、切欠き部16に代えて合わせガラス10の側方領域15に円形の貫通孔17が形成されている。貫通孔17は、合わせガラス10の側縁14とは接していない。第1実施形態では、支持部材30が保護カバー38を有する構成を示したが、第2実施形態では支持部材30が保護カバー38を有しない。他の構成は、第1実施形態と同じである。
第2実施形態では、図6に示されるように、合わせガラス構造体2において、合わせガラス10に設けられる貫通部として、切欠き部16に代えて合わせガラス10の側方領域15に円形の貫通孔17が形成されている。貫通孔17は、合わせガラス10の側縁14とは接していない。第1実施形態では、支持部材30が保護カバー38を有する構成を示したが、第2実施形態では支持部材30が保護カバー38を有しない。他の構成は、第1実施形態と同じである。
貫通孔17の直径(貫通孔径φ)は第1実施形態の切欠き部16の切欠き深さLに相当する。図6に示される貫通孔17の曲率と、図5に示される切欠き部16の円弧部分16cの曲率とが同じである場合には、貫通孔17の貫通孔径φは切欠き部16の円弧部分16cの半径(φ/2)の2倍となる。円形の貫通孔17に支持部材30が配置されて合わせガラス構造体2が宙吊り状態で吊持されることで、合わせガラス構造体2を安定的に吊持ち支持することができる。
〔第3実施形態〕
第3実施形態では、図7に示されるように、合わせガラス構造体2において、合わせガラス10に設けられる切欠き部16がコ字状に形成されている。すなわち、切欠き部16は一対の直線部分16a,16bと、一対の直線部分16a,16bの間に設けられて側縁14に平行な直線部分16dと、を有し、円弧部分を有しない。なお、本実施形態では、直線部分16aは、切欠き部16の上面18であり、且つ、第一実施形態の平面部に相当する。このように、切欠き部16がコ字状であると、枠部材32を沿わせ易く、枠部材32に合わせガラス10の重量を分散させ易くなる。他の構成は第1実施形態と同じである。
第3実施形態では、図7に示されるように、合わせガラス構造体2において、合わせガラス10に設けられる切欠き部16がコ字状に形成されている。すなわち、切欠き部16は一対の直線部分16a,16bと、一対の直線部分16a,16bの間に設けられて側縁14に平行な直線部分16dと、を有し、円弧部分を有しない。なお、本実施形態では、直線部分16aは、切欠き部16の上面18であり、且つ、第一実施形態の平面部に相当する。このように、切欠き部16がコ字状であると、枠部材32を沿わせ易く、枠部材32に合わせガラス10の重量を分散させ易くなる。他の構成は第1実施形態と同じである。
〔第4実施形態〕
第4実施形態では、図8に示されるように、合わせガラス構造体2において、合わせガラス10に設けられる切欠き部16が半円状に形成されている。すなわち、第4実施形態では、切欠き部16は、円弧部分16cのみを有し直線部分を有しない。他の構成は第1実施形態と同じである。
第4実施形態では、図8に示されるように、合わせガラス構造体2において、合わせガラス10に設けられる切欠き部16が半円状に形成されている。すなわち、第4実施形態では、切欠き部16は、円弧部分16cのみを有し直線部分を有しない。他の構成は第1実施形態と同じである。
切欠き部16が半円状に形成されることで、切欠き部16は大きい曲率半径を確保し易い。第1実施形態では、図5に示されるように、切欠き部16が直線部分16a,16b及び円弧部分16cの両方を備えて構成されている。この場合、切欠き部16は、円弧部分16cの曲率半径は、直線部分16a,16bが存在しない場合に比べて小さくなる。ここで、切欠き部16において支持部材30による応力集中は円弧部分16cの曲率半径が小さいほど起きやすい。したがって、切欠き部16は、直線部分16a,16bを極力少なくして曲率半径を可能な限り大きい円弧である方が好ましい。ただし、第1実施形態における、切欠き部16の直線部分16a,16bは、合わせガラス10の支持の安定性、及び、支持部材30の回転防止の観点にあっては存在する方が好ましい。
〔実施例〕
合わせガラス構造体2として、第1ガラス板11及び第2ガラス板12の板厚が夫々12mmのときに、全体の重量が1000kgf(一対の貫通孔17,17又は切欠き部16,16で均等に荷重負担)となる合わせガラス10を用い、貫通部(貫通孔17、切欠き部16)の上面18が受ける面圧力σを以下の式(6)(7)を用いて算出した。第2実施形態のように、合わせガラス10に形成される貫通部が貫通孔17の場合は、面圧力σの算出にあたり以下の式(6)を用いた。なお、中間膜13では荷重を負担しない前提として、中間膜13の厚みαを分母に含めていない。
σ(kgf/cm2)=0.5P(kgf)/φ(cm)・2t(cm) ・・・(6)
ここで、「P」は合わせガラス10の重量(kgf)、「φ」は貫通孔17の直径(cm)、「t」は合わせガラス10の単板の厚さ(cm)である。
第1、第3、及び第4実施形態のように、合わせガラス10に形成される貫通部がU字状の切欠き部16の場合は、面圧力σの算出にあたり以下の式(7)を用いた。
σ(kgf/cm2)=0.5P(kgf)/L(cm)・2t(cm) ・・・(7)
ここで、「P」は合わせガラス10の重量(kgf)、「L」は切欠き部16の切欠き深さ(cm)、「t」は合わせガラス10の単板の厚さ(cm)である。
合わせガラス構造体2として、第1ガラス板11及び第2ガラス板12の板厚が夫々12mmのときに、全体の重量が1000kgf(一対の貫通孔17,17又は切欠き部16,16で均等に荷重負担)となる合わせガラス10を用い、貫通部(貫通孔17、切欠き部16)の上面18が受ける面圧力σを以下の式(6)(7)を用いて算出した。第2実施形態のように、合わせガラス10に形成される貫通部が貫通孔17の場合は、面圧力σの算出にあたり以下の式(6)を用いた。なお、中間膜13では荷重を負担しない前提として、中間膜13の厚みαを分母に含めていない。
σ(kgf/cm2)=0.5P(kgf)/φ(cm)・2t(cm) ・・・(6)
ここで、「P」は合わせガラス10の重量(kgf)、「φ」は貫通孔17の直径(cm)、「t」は合わせガラス10の単板の厚さ(cm)である。
第1、第3、及び第4実施形態のように、合わせガラス10に形成される貫通部がU字状の切欠き部16の場合は、面圧力σの算出にあたり以下の式(7)を用いた。
σ(kgf/cm2)=0.5P(kgf)/L(cm)・2t(cm) ・・・(7)
ここで、「P」は合わせガラス10の重量(kgf)、「L」は切欠き部16の切欠き深さ(cm)、「t」は合わせガラス10の単板の厚さ(cm)である。
第1実施形態は、切欠き部16が直線部分16a,16bと円弧部分16cとで構成されている。したがって、図9の表において、円弧部分16c(上側部分16c1)の面圧力は貫通孔径φ(mm)に対応する面圧力の半分に相当し、直線部分16aの面圧力は切欠き深さLに対応する面圧力に相当する。したがって、切欠き部16の上面18が受ける面圧力σは両者の和となる。しかし、上記の式(6)(7)では、面圧力σは、貫通孔17の直径である貫通孔径φ(cm)と切欠き部16の切欠き深さL(cm)とを同じ指標として用いて算出している。このため、切欠き部16の上面18の面圧力σは、円弧部分16cが含まれていても切欠き深さLのみによって算出することができる。
合わせガラス10は、第1ガラス板11及び第2ガラス板12が同じ厚みであり、単板(第1ガラス板11及び第2ガラス板12の一方)の厚みtを6mm、8mm、10mm、12mmの4種類に設定した。円形の貫通孔17の直径(貫通孔径φ)を、10mm、30mm、50mm、100mmの4種類に設定した。切欠き部16の切欠き深さLを、10mm、30mm、50mm、100mmの4種類に設定した。
図9に、単板の厚みt、貫通部としての貫通孔17の貫通孔径φ又は切欠き部16の切欠き深さLが異なる合わせガラス構造体2について、面圧力σの算出結果を示す。図9の表に示されるように、貫通孔17の直径(貫通孔径φ)又は切欠き部16の切欠き深さLが30mm、50mm、100mmのときに、貫通部(貫通孔17、切欠き部16)の上面18の面圧力σの最大値が6.8MPa以下となった。図9の表では、貫通孔径φ(又は切欠き深さL)が同じ値であれば、合わせガラス10の単板の厚みt(ガラス板厚)を変えても面圧力σは変化しない。これは、上述の式(6)の右辺において、分子に含まれるP(合わせガラス10の重量(kgf))の値が、分母に含まれる合わせガラス10の単板の厚みt(ガラス板厚(cm))の値に正比例するためである。ここで、未強化ガラスはエッジの長期の許容曲げ応力が6.9MPaである。したがって、貫通孔17の直径(貫通孔径φ)又は切欠き部16の切欠き深さLが30mm以上であれば、合わせガラス10を構成するガラス板11,12が未強化ガラスであっても長期的な許容曲げ応力を満足することができる。合わせガラス構造体2において貫通部(貫通孔17又は切欠き部16)の面圧力σは小さい方がガラス板11,12を安定的に保持できる。このため、貫通部(貫通孔17又は切欠き部16)の面圧力σは、最大値が5.0MPa以下がより好ましく、最大値が3.0MPa以下であるとさらに好ましい。
〔別実施形態〕
(1)上記の実施形態では、合わせガラス構造体2は、合わせガラス10に貫通部として切欠き部16及び貫通孔17のいずれか一方を備える例を示したが、図10に示されるように、合わせガラス10に切欠き部16と貫通孔17とを両方備える構成でもよい。
(1)上記の実施形態では、合わせガラス構造体2は、合わせガラス10に貫通部として切欠き部16及び貫通孔17のいずれか一方を備える例を示したが、図10に示されるように、合わせガラス10に切欠き部16と貫通孔17とを両方備える構成でもよい。
(2)図11に示されるように、合わせガラス構造体2は、合わせガラス10の一対の側方領域15,15の辺方向に複数の切欠き部16、26を並設してもよい。図11に示す例では、合わせガラス10の一対の側方領域15,15において、上方側から第1切欠き部16と第2切欠き部26とが間隔を空けて設けられている。第1切欠き部16と第2切欠き部26とは、例えば支持部材30における軸部材31の長さを変える等することで、夫々において支持部材30による支持が可能である。また、図示しないが、合わせガラス10の側部の辺方向に複数の貫通孔17を並設してもよく、切欠き部16と貫通孔17を組み合わせて配置してもよい。
(3)上記の実施形態では、合わせガラス10の切欠き部16が、直線部分16a,16bと円弧部分16cとを含むU字状や、半円状又は矩形状である例を示したが、切欠き部16は半楕円形状や三角形状であってもよい。また、第2実施形態では、合わせガラス10の貫通孔17が円形状である例を示したが、貫通孔17は長円状、楕円状、三角形状、四角以上の多角形状であってもよい。また、支持部材30は連結部材37及び保護カバー38の一方又は両方を有しない構成でもよい。
(4)上記の実施形態では、合わせガラス10のガラス板11,12として未強化ガラスが用いる例を示したが、ガラス板11,12は強化ガラスや倍強度ガラスであってもよい。ここで、倍強度ガラスは、エッジの長期の許容曲げ応力が24.5MPaであり、強化ガラスは、エッジの長期の許容曲げ応力が68.5MPaである。したがって、図9の表に示される、貫通孔17の直径(貫通孔径φ)又は切欠き部16の切欠き深さLと、面圧力σとの関係に基づくと、貫通孔17の直径(貫通孔径φ)又は切欠き深さLが10mmの場合、合わせガラス10を構成するガラス板11,12が強化ガラス及び倍強度ガラスであれば、長期的な許容曲げ応力を満足することができる。
本発明は、各種の合わせガラス構造体に広く利用可能である。
1 :ガラススクリーン
2 :合わせガラス構造体
10 :合わせガラス
10a :上縁
11 :第1ガラス板
12 :第2ガラス板
13 :中間膜
14 :側縁
15 :側方領域
16 :切欠き部
16a :直線部分(平面部)
16c :円弧部分
17 :貫通孔
18 :上面
30 :支持部材
31 :軸部材
32 :枠部材
33 :孔部
34 :緩衝部材
35 :貫通孔
37 :連結部材
38 :保護カバー
39 :ボルト
40 :吊持部材
L :切欠き深さ
d :離間距離
t :ガラス板の厚み
σ :面圧力
φ :貫通孔径
2 :合わせガラス構造体
10 :合わせガラス
10a :上縁
11 :第1ガラス板
12 :第2ガラス板
13 :中間膜
14 :側縁
15 :側方領域
16 :切欠き部
16a :直線部分(平面部)
16c :円弧部分
17 :貫通孔
18 :上面
30 :支持部材
31 :軸部材
32 :枠部材
33 :孔部
34 :緩衝部材
35 :貫通孔
37 :連結部材
38 :保護カバー
39 :ボルト
40 :吊持部材
L :切欠き深さ
d :離間距離
t :ガラス板の厚み
σ :面圧力
φ :貫通孔径
Claims (11)
- 複数の支持部材に連結された吊持部材により宙吊り状態で吊持される合わせガラス構造体であって、
第1ガラス板と、前記第1ガラス板と対向する第2ガラス板と、前記第1ガラス板と前記第2ガラス板との間に配置される中間膜と、を有する合わせガラスを備え、
前記合わせガラスの一対の側方領域には、前記支持部材が当接可能な上面を含む貫通部が形成されている合わせガラス構造体。 - 前記貫通部は、前記合わせガラスの一対の前記側方領域の夫々に1つ形成されている請求項1に記載の合わせガラス構造体。
- 前記貫通部は、前記合わせガラスの側縁から内側に向けて切り欠かれた切欠き部であり、
前記切欠き部には、前記支持部材が挿入されている請求項1又は2に記載の合わせガラス構造体。 - 前記切欠き部の前記上面は、前記合わせガラスの板面に対して垂直方向に沿った平面部を有する請求項3に記載の合わせガラス構造体。
- 前記切欠き部は、前記垂直方向視においてU字状に形成されている請求項4に記載の合わせガラス構造体。
- 前記切欠き部は、前記上面の面圧力が6.9MPa以下となるように切欠き量が設定されている請求項1から5のいずれか一項に記載の合わせガラス構造体。
- 前記貫通部は、前記合わせガラスの上縁からの離間距離が12cm以上50cm以下の範囲内に形成されている請求項1から6のいずれか一項に記載の合わせガラス構造体。
- 複数の前記支持部材と、複数の前記支持部材を連結する連結部材とを更に備えた請求項1から7のいずれか一項に記載の合わせガラス構造体。
- 前記支持部材は、前記合わせガラスの板面に対して垂直方向に延びる軸部材と、前記軸部材が挿通可能な孔部を有する枠部材と、前記枠部材の周囲に配置されて前記貫通部に当接する緩衝部材と、を有し、
前記支持部材を構成する各部材は、夫々のヤング率が前記軸部材、前記枠部材、及び、前記緩衝部材の順で小さくなるように構成されている請求項8に記載の合わせガラス構造体。 - 前記支持部材は、前記枠部材を覆う保護カバーを更に有し、
前記保護カバーは、前記軸部材の軸芯方向に垂直な一対の面部と、一対の前記面部の端部同士を接続し前記合わせガラスの側縁に沿って配置される接続部と、を備えて構成される請求項9に記載の合わせガラス構造体。 - 前記第1ガラス板及び前記第2ガラス板は未強化ガラスによって構成されている請求項1から10のいずれか一項に記載の合わせガラス構造体。
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