JP2023035776A - 化粧シート、建築物内装材、および化粧シートの製造方法 - Google Patents

化粧シート、建築物内装材、および化粧シートの製造方法 Download PDF

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Abstract

Figure 2023035776000001
【課題】 高い不燃性能と高い意匠性とを両立した化粧シート、建築物内装材、および化粧シートの製造方法を提供する。
【解決手段】 本開示の化粧シートは、基体シートの一方の面側に第1の塩化ビニル系樹脂シートが、他方の面側に第2の塩化ビニル系樹脂シートが積層された化粧シートであり、基体シートはガラス繊維から構成される層を有し、第1の塩化ビニル系樹脂シートおよび第2の塩化ビニル系樹脂シートは、いずれも着色されており、第1の塩化ビニル系樹脂シートの前記基体シート側の面とは反対の面側に絵柄層が積層され、絵柄層の質量が1.5g/m2以上30g/m2以下であり、化粧シートの全体の質量が450g/m2以上600g/m2以下である。
【選択図】 図1

Description

本開示は、化粧シート、建築物内装材、および化粧シートの製造方法に関するものである。
東日本大震災などでの天井落下による被害拡大を受けて、内装用天井材として軽量な膜天井材の需要が高まっている。内装用天井材として使用するためには、軽量かつ不燃性能を持つことが必須であり、さらに近年では木目絵柄などのような高い意匠性も求められている。そこで、不燃性能を得るために、ガラス繊維や塩化ビニルシートを使用した製品が提案されている。
例えば特許文献1においては、ガラス繊維基材の両面にシートを貼り合わせた耐火性シート(カーテン用途)が提案されている。
また特許文献2においては、膜天井材用途に使用されるガラスクロスが提案されている。
特開平8-132241号公報 WO2014/171188号公報
しかしながら特許文献1においては、溶接や溶断作業時に火花の飛散を防止する溶接・溶断工事用シートとしての使用を想定したものであり、建築内装に使用されるような意匠性はほとんど想定されていない。
また特許文献2のガラスクロスにおいては、意匠についてはほとんど説明がなく、すなわち意匠性を意識した開示ではない。
また、かかる膜天井材における燃焼試験での不燃性能獲得には、下記2つの項目を満たす必要がある。
ア.発熱速度200kW/m2超過時間(10s以内)
イ.総発熱量8MJ/m2以内
以上から、本開示の目的は、高い不燃性能と高い意匠性とを両立した化粧シート、建築物内装材、および化粧シートの製造方法を提供することである。
本開示の化粧シートは、基体シートの一方の面側に第1の塩化ビニル系樹脂シートが、他方の面側に第2の塩化ビニル系樹脂シートが積層された化粧シートであり、基体シートはガラス繊維から構成される層を有し、第1の塩化ビニル系樹脂シートおよび第2の塩化ビニル系樹脂シートは、いずれも着色されており、第1の塩化ビニル系樹脂シートの前記基体シート側の面とは反対の面側に絵柄層が積層され、絵柄層の質量が1.5g/m2以上30g/m2以下であり、化粧シートの全体の質量が450g/m2以上600g/m2以下である。
上記化粧シートにおいて、その全体の厚さが0.3mm以上0.45mm以下であってもよい。
上記化粧シートは、ISO5660-1に準拠した発熱性試験において、200kW/m2超過時間が10秒以下であり、総発熱量が8MJ/m2以下であってもよい。
上記化粧シートにおいて、化粧シートの絵柄層面側の表面におけるJIS K 7374:2007に規定する像鮮明度(写像性)が0.3以下であってもよい。
上記化粧シートにおいて、化粧シートの前記絵柄層面側の表面における面粗さ(ISO 25178)に規定される算術平均高さSaが10μm以上であってもよい。
上記化粧シートにおいて、化粧シートの第2の塩化ビニル系樹脂シート面側の表面における波長780nm以上2500nm以下の平均分光吸収率が50%以下であってもよい。
上記化粧シートにおいて、第2の塩化ビニル系樹脂シート面側の表面におけるJIS Z 8781-4:2013に準拠して測定されるCIE(国際照明委員会)L***表色系におけるL*値が65以上であってもよい。
上記化粧シートにおいて、第2の塩化ビニル系樹脂シートは、少なくとも無機粒子、金属粒子のいずれかを含むものであってもよい。
本開示の建築物内装材は、上記化粧シートを有する建築物内装材である。
本開示の化粧シートの製造方法は、第1の塩化ビニル系樹脂シートと基体シートと第2の塩化ビニル系樹脂シートとを有する化粧シートの製造方法であって、着色された第1の塩化ビニル系樹脂シートおよび着色された第2の塩化ビニル系樹脂シートを準備する工程と、ガラス繊維から構成される層を有する基体シートを準備する工程と、基体シートの両面に接着剤を含浸させ、第1の接着剤層および第2の接着剤層とする工程と、基体シートの一方の面側と、第1の塩化ビニル系樹脂シートの一方の面側とが対向する様に第1の接着剤層を介して積層する第1の塩化ビニル系樹脂シート積層工程と、基体シートの他方の面側と、第2の塩化ビニル系樹脂シートとが対向する様に第2の接着剤層を介して積層する第2の塩化ビニル系樹脂シート積層工程と、第1の塩化ビニル系樹脂シートの他方の面側に絵柄層を1.5g/m2以上30g/m2以下の質量となる様に積層する絵柄層積層工程とを有し、化粧シートの全体の質量が450g/m2以上600g/m2以下である、化粧シートの製造方法である。
上記化粧シートの製造方法において、絵柄層積層工程は、第1の塩化ビニル系樹脂シート積層工程、および第2の塩化ビニル系樹脂シート積層工程より後から行われる工程であってもよい。
上記化粧シートの製造方法において、絵柄層積層工程は、第1の塩化ビニル系樹脂シート積層工程より前に行われる工程であってもよい。
本開示によれば、高い不燃性能と高い意匠性とを両立した化粧シート、建築物内装材、および化粧シートの製造方法を提供することができる。
本開示の実施形態の化粧シートの層構成の概略を示す断面図 本開示の実施形態の化粧シートの変形形態における層構成の概略を示す断面図 本開示の実施形態の化粧シートの層構成の概略を示す断面図 本開示の実施形態に係る化粧シートの第1の製造方法を説明する層構成の概略を示す断面図 本開示の実施形態に係る化粧シートの第2の製造方法を説明する層構成の概略を示す断面図
以下、化粧シート、建築物内装材、および化粧シートの製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。
以下の説明では、具体的な数値、形状、材料等を示して説明を行うが、これらは、適宜変更することができる。
本明細書において、板、シート、フィルム等の言葉を使用しているが、これらは、一般的な使い方として、厚さの厚い順に、板、シート、フィルムの順で使用されており、本明細書でもそれに倣って使用している。層を形成するために、板、シート、フィルム等を用いる場合がある。しかし、このような使い分けには、技術的な意味は無いので、これらの文言は適宜置き換えても、本開示の本質も特許請求の範囲の解釈も不変である。本開示においては、シートの語を、いわゆる板、シート、およびフィルムと通常呼称されている厚みの形態のものも包含する広義の意味で用いるものとする。
また、「面」とは、対象となるシート状の部材を全体的かつ大局的に見た場合において、対象となるシート状の部材の平面方向と一致する面のことを指す。シート状の部材に対して用いる法線方向とは、部材の面に対する法線方向のことを指す。本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」や「直交」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈する。
また、本明細書において表面、裏面の言葉を使用しているが、表面、裏面の区別に技術的な意味は無く、シートの一方の面を表面としたときに、他方の面が裏面である。本明細書における化粧シートにおいては、化粧シートを使用する際に通常の観察面となる側の面を表面と、その反対側の裏面として説明している。
さらに、本明細書において、あるパラメータに関して複数の上限値の候補及び複数の下限値の候補が挙げられている場合、そのパラメータの数値範囲は、任意の1つの上限値の候補と任意の1つの下限値の候補とを組み合わせることによって構成されてもよい。例えば、「パラメータBは、例えばA1以上であり、A2以上であってもよく、A3以上であってもよい。パラメータBは、例えばA4以下であり、A5以下であってもよく、A6以下であってもよい。」と記載されている場合を考える。この場合、パラメータBの数値範囲は、A1以上A4以下であってもよく、A1以上A5以下であってもよく、A1以上A6以下であってもよく、A2以上A4以下であってもよく、A2以上A5以下であってもよく、A2以上A6以下であってもよく、A3以上A4以下であってもよく、A3以上A5以下であってもよく、A3以上A6以下であってもよい。
〔化粧シート〕
(実施形態)
以下、本開示の実施形態について、図1を参照して説明する。なお、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状、装飾などは理解を容易にするため適宜誇張、単純化などしている。また説明に直接的に関係しない構成などについては適宜省略している。なお、以下の各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。
図1に本開示の実施形態に係る化粧シート1の層構成の概略を示す断面図を示す。
化粧シート1は、基体シート10の一方の面側に第1の塩化ビニル系樹脂シート21が、他方の面側に第2の塩化ビニル系樹脂シート12が、各接着剤層(第1の接着剤層31および第2の接着剤層32)を介して積層されており、第1の塩化ビニル系樹脂シート21の基体シート10側の面とは反対の面側に絵柄層22が積層され、基体シート10はガラス繊維から構成される層11を有している。
なお、第1の塩化ビニル系樹脂シート21および第2の塩化ビニル系樹脂シート12の製膜形態として、以下のいずれかの形態(1)または(2)を採用する場合は、これら第1の接着剤層31および第2の接着剤層32は無しで、直接、基体シート10と第1の塩化ビニル系樹脂シート21および第2の塩化ビニル系樹脂シート12とを積層することが可能である(図示は省略)。
(1)基体シート10上に塩化ビニル系樹脂を含む溶液、ゾルないしエマルジョン等の液状組成物の塗膜を塗工した後、該塗膜を希釈溶剤の乾燥、ゲル化、重合ないし架橋反応等により固化せしめて第1の塩化ビニル系樹脂シート21および第2の塩化ビニル系樹脂シート12とすることにより、第1の塩化ビニル系樹脂シート21、基体シート10、および第2の塩化ビニル系樹脂シート12がこの順に積層された積層体を得る、製膜形態。
(2)基体シート10の一方の面上に第1の塩化ビニル系樹脂シート21を載置すると共に基体シート10の他方の面上に第2の塩化ビニル系樹脂シート12を載置し、その後、これら3層を該一方の面および他方の面の両面から加熱および加圧して、軟化ないしは熔融した第1の塩化ビニル系樹脂シート21および第2の塩化ビニル系樹脂シート12の基体シート10側近傍領域を基体シート10表面近傍のガラス繊維内に侵入せしめガラス繊維と塩化ビニル系樹脂とを交絡せしめることにより、第1の塩化ビニル系樹脂シート21、基体シート10、および第2の塩化ビニル系樹脂シート12がこの順に積層された積層体を得る、製膜形態。
すなわち図1に示す実施形態に係る化粧シート1は、図1における下側から順に、第2の塩化ビニル系樹脂シート12、第2の接着剤層32、ガラス繊維から構成される層11(基体シート10)、第1の接着剤層31、第1の塩化ビニル系樹脂シート21、および絵柄層22、がこの順に積層されている。なお上記積層順を乱さず、本開示の作用効果が大幅に損なわれない限りにおいては、上記各層間の任意の位置にさらに任意の層を設けても良い。例えば、第1の塩化ビニル系樹脂シート21と絵柄層22との間にアクリル層を備えていてもよい。
<基体シート>
以下、本開示の化粧シート1における各構成について詳細に説明する。
本開示の化粧シート1において、基体シート10はガラス繊維から構成される層11を有している。ガラス繊維から構成される層11は、ガラス織布あるいはガラス不織布などの様なシート状のガラス繊維から構成される。そのため基体シート10は不燃性能、防炎性能に優れる。
厚さは通常10μm以上150μm以下であるが、25μm以上100μm以下であることが好ましい。化粧シート1として形成された際の厚さ、強度、質量などを加味し適当なものを選択すればよく、一例として50μmである。
ガラス繊維は、ガラス、好ましくは石英ガラスなどの無アルカリガラスを融解、牽引して繊維状にしたものである。
ガラス繊維としては、シラン化合物で表面処理されたものを使用することが好ましい。表面処理剤としてのシラン化合物としては、カップリング剤や、その重合物からなるポリシロキサンが使用できる。このようなシラン系カップリング剤の具体例としては、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシランの他、ビニルトリエトキシシラン等のビニルシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン等を挙げることが出来る。ガラス繊維に表面処理を行う方法は、例えば、シラン化合物を含有する溶液をガラス繊維表面に塗布、乾燥して行うことが出来る。シラン化合物の付着量は、通常、ガラス繊維100質量部に対して0.05~5質量部程度である。なお、ここで、「(メタ)アクリル」とは「アクリルまたはメタクリル」を意味する。以下も同様である。
ガラス繊維から構成される層11は、ガラス織布を有する層であることが好ましい。ガラス織布とは、ガラス繊維の束を糸として、経糸と緯糸から製織したものである。製織する前に、二つ以上のガラス繊維の束を予め合撚してもよい。経糸の織り密度を20~75本/25mm、緯糸の織り密度を20~75本/25mmとなるように平織りで形成されたものであることが好ましく、織り密度の一例としては、経糸、緯糸とも32本/25mmである。ガラス織布は、高い不燃性能を有し、シート状のガラス繊維として容易に入手することができ、またガラス不織布より引張強度に優れるからである。
ガラス繊維から構成される層11は、ガラス不織布を有する層であってもよい。ガラス不織布は例えば、ガラス繊維を水中に分散させ、抄紙機で抄造する湿式法で製造され、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂等のバインダーを用いて、ガラス繊維同士を結着させたものである。ガラス不織布は、高い不燃性能を有し、シート状のガラス繊維として容易に入手することができ、かつガラス織布より安価である。
<第1の塩化ビニル系樹脂シート>
実施形態に係る化粧シート1においては、第1の塩化ビニル系樹脂シート21は着色されている。仮に、第1の塩化ビニル系樹脂シート21が着色されていなかった場合には、化粧シート1における通常の観察面である表面側(第1の塩化ビニル系樹脂シート21に対して基体シート10側の面とは反対の面側)から、絵柄層22および第1の塩化ビニル系樹脂シート21を通して基体シート10に係るガラス繊維から構成される層11が視認できてしまう事により、化粧シート1の意匠性が低下してしまう。本開示においては、第1の塩化ビニル系樹脂シート21が着色されているため、ガラス繊維から構成される層11を視覚的に隠蔽することや、絵柄層22の見かけ上の色を補うことにより、化粧シート1を意匠性の高いものとすることができる。さらに、第1の塩化ビニル系樹脂シート21が着色されていることにより絵柄層22の積層質量を少なくすることができるため、化粧シート1を不燃性能の高いものとすることができる。
第1の塩化ビニル系樹脂シート21は、塩化ビニル系樹脂を主成分とするフィルムであることが好ましい。このような着色された第1の塩化ビニル系樹脂シート21は、製造時において塩化ビニル樹脂粉末に着色剤を配合して調製したコンパウンドを作り、そのコンパウンドを種々の加工機械に供給し、加工成形することで得ることができる。塩化ビニル系樹脂は、不燃性能、防炎性能に優れており、可塑剤の添加量によって表面硬度や伸び率(剛性)が容易に調整可能だからである。着色剤は顔料、染料のいずれでも構わないが、顔料が用いられることが多く、茶色に着色する場合には、例えば酸化鉄(Fe23)などが用いられる。
また、本開示に係る第1の塩化ビニル系樹脂シート21は軟質、具体的には可塑剤部数が40質量部以上であることが好ましい。しかし製造方法として、先に第1の塩化ビニル系樹脂シート21の一方の面側に絵柄層22を形成し、後から第1の塩化ビニル系樹脂シート21の他方の面側に基体シート10を積層する場合には、第1の塩化ビニル系樹脂シート21は半硬質、具体的には可塑剤部数が30質量部以下であることが好ましい。第1の塩化ビニル系樹脂シート21は軟質である場合には、積層前の第1の塩化ビニル系樹脂シート21に対し絵柄層22を形成する際において、第1の塩化ビニル系樹脂シート21のハンドリングやテンションコントロールが困難だからである。
第1の塩化ビニル系樹脂シート21の厚さは通常25μm以上300μm以下であるが、100μm以上200μm以下であることが好ましい。印刷に対する適用性や、化粧シート1として形成された際の質量、厚さ、しなやかさなどを加味し適当な厚さを選択すればよく、一例として150μmである。
<第2の塩化ビニル系樹脂シート>
第2の塩化ビニル系樹脂シート12は、基体シート10に対し、絵柄層22が積層される面側(一方の面側)とは反対の面側(他方の面側)に積層されるものである。第2の塩化ビニル系樹脂シート12は、塩化ビニル系樹脂を主成分とするフィルムであり、着色されていることが好ましい。化粧シート1において、第2の塩化ビニル系樹脂シート12側の面から光を取り込む場合、第2の塩化ビニル系樹脂シート12側の面から観察されることもあるため、第2の塩化ビニル系樹脂シート12は着色されている場合には、ガラス繊維から構成される層11を視覚的に隠蔽することが可能となり好ましい。
このような第2の塩化ビニル系樹脂シート12は、製造時において塩化ビニル樹脂粉末に着色剤を配合して調製したコンパウンドを作り、そのコンパウンドを種々の加工機械に供給し、加工成形することで得ることができる。着色剤は顔料、染料のいずれでも構わないが、顔料が用いられることが多く、白色に着色する場合には、例えば酸化チタンあるいは体質顔料としてシリカ、あるいはその両方などが用いられる。これらのように、無機顔料で白色化されたものは、紫外線の反射率が上がるため、耐久性が向上する。また茶色に着色する場合には、例えば酸化鉄(Fe23)などが用いられる。
第2の塩化ビニル系樹脂シート12の厚さは通常25μm以上300μm以下であるが、100μm以上200μm以下であることが好ましい。化粧シート1として形成された際の質量、しなやかさなどを加味し適当な厚さを選択すればよく、一例として150μmである。
第1の塩化ビニル系樹脂シート21および第2の塩化ビニル系樹脂シート12の主成分である塩化ビニル系樹脂とは、以下のいずれかの形態の樹脂を意味する総称である。
(1)塩化ビニル単量体(monomer)の単独重合体、すなわち狭義のポリ塩化ビニル。
(2)塩素化ポリ塩化ビニル。
(3)塩化ビニル単量体に塩化ビニル単量体と共重合可能な他の単量体を共重合させた塩化ビニル共重合体、ここで他の単量体としては、例えば、酢酸ビニル、エチレン、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、アクリロニトリル、スチレン、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル等が挙げられる。
(4)前記(1)のポリ塩化ビニル、前記(2)の塩素化ポリ塩化ビニル、前記(3)の塩化ビニル共重合体のいずれか2種または3種の混合物。
(5)前記(1)のポリ塩化ビニル、前記(2)の塩素化ポリ塩化ビニル、前記(3)の塩化ビニル共重合体のいずれか1種または2種以上、あるいは(4)の混合物に、さらに、他の樹脂を混合した混合物。ここで他の樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-ブタジエン-アクリロニトリル共重合体等が挙げられる。
前記(1)から(5)に列記の各種塩化ビニル系樹脂には、必要に応じて、各種添加剤を添加する。該添加剤としては、可塑剤、熱安定剤、光安定剤(ラジカル捕捉剤等)、紫外線吸収剤(UVA)、界面活性剤、着色剤、充填剤、帯電防止剤等が挙げられる。
これら添加剤のうち、可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート(略称DOP)、ジイソノニルフタレート(略称DINP)等のフタル酸エステル系可塑剤、ジオクチルアジペート、ジイソノニルアジペート等のアジピン酸エステル系可塑剤、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート等のリン酸エステル系可塑剤、トリ-2-エチルヘキシルトリメリテート(略称TOTM)、トリ-n-オクチルトリメリテート等のトリメリット酸エステル系可塑剤等が挙げられる。
有機系紫外線吸収剤としては、例えば、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2-メトキシ-4-ヒドロキシ-5-ベンゾイルフェニル)メタン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2-(2-ヒドロキシ-4-[1-オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)-4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン等のヒドロキフェニルトリアジン系紫外線吸収剤等のトリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。
無機系紫外線吸収剤としては、例えば、平均粒径200nm以下の酸化チタン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄等の金屬酸化物粒子等が挙げられる。
一方、光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤、具体的には、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレートなどが挙げられる。
なお、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基などの重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
第2の塩化ビニル系樹脂シート12は、赤外線(熱線)の吸収率が少ないことが好ましい。具体的には、化粧シート1において、第2の塩化ビニル系樹脂シート12面側の表面における波長780nm以上2500nm以下の平均分光吸収率が50%以下であることが好ましい。第2の塩化ビニル系樹脂シート12においては、赤外線の反射率を高くすることにより、赤外線の吸収率を低くすることができる。
赤外線の吸収率が低い第2の塩化ビニル系樹脂シート12の好ましい形態においては、赤外線を主とした熱線の吸収により第2の塩化ビニル系樹脂シート12が加熱されることを抑制することができる。そのため化粧シート1全体としても、その裏面側(第2の塩化ビニル系樹脂シート12側)からの熱線を吸収することによる加熱を抑制することができる。化粧シート1の裏面側に熱線が照射される場合としては、例えば、化粧シート1が建築物内装材の一形態として膜天井材として天井付近に設置された場合における、天窓、あるいは天井近くの通気窓からの日光の照射である。
該好ましい形態においては、化粧シート1の加熱を抑制することができるため、絵柄層22の熱による劣化、該劣化により絵柄層22が第1の塩化ビニル系樹脂シート21から剥離、脱落すること、それらによる意匠性の悪化などを抑制することができる。すなわち化粧シート1における経時的な意匠性の悪化を抑制することができる。
第2の塩化ビニル系樹脂シート12において、上記の通り赤外線の反射率を高くするためには、第2の塩化ビニル系樹脂シート12のガラス繊維から構成される層11側の面とは反対側の面は、明度の高い白色系に近い外観であることが好ましい。換言すれば、ガラス繊維から構成される層11側の面とは反対側の面におけるJIS Z 8781-4:2013に準拠して測定されるCIE(国際照明委員会)L***表色系におけるL*値が65以上であることが好ましい。
この様に白色系に近い外観、すなわちL*値を65以上とすることで、赤外線の反射率を高くすることができるため、化粧シート1において第2の塩化ビニル系樹脂シート12面側の表面における波長780nm以上2500nm以下の平均分光吸収率を50%以下とすることが容易となる。
第2の塩化ビニル系樹脂シート12を白色系に近い外観とするための白色顔料としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、二酸化チタン、二酸化チタン被覆雲母、亜鉛華(酸化亜鉛)、鉛白(塩基性炭酸鉛)、アンチモン白(三酸化アンチモン)、硫化亜鉛、硫酸バリウム及び炭酸カルシウムあるいは体質顔料としてシリカ等の無機粒子、あるいはアルミニウム、銀、錫、ニッケル、インジウム等からなる金属粒子を挙げることができる。なお、金属粒子は表面ないし表面近傍が酸化物となったものでも良い。これら白色顔料は、1種単独でもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
あるいは第2の塩化ビニル系樹脂シート12として、塩化ビニル系樹脂シートに対し、化粧シート1として設けられた際にその裏面側となる面に、白色顔料とバインダー樹脂とを含む白色インクを印刷、塗布、コートなどにより積層してもよい。この場合には、該塩化ビニル系樹脂シートとそれに積層される該白色インクとを含め第2の塩化ビニル系樹脂シート12とすることができる。白色顔料としては、着色剤配合コンパウンドに配合する白色顔料として前記で例示した二酸化チタン等を挙げることができる。これら白色顔料は、1種単独でもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
バインダー樹脂としては、後述する絵柄層の説明において例示するバインダー樹脂と同様である。上記塩化ビニル系樹脂シートに設けられる白色インクに係るバインダー樹脂は、積層対象である塩化ビニル系樹脂シートとの密着性の観点から塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体等の塩化ビニル系の樹脂であることが好ましい。
上記塩化ビニル樹脂粉末に着色剤を配合する場合であっても、白色インクを印刷する場合であっても、白色顔料として上記例示した無機粒子、あるいは金属粒子のうち、分光吸収率の観点からは、酸化アルミニウム、あるいは表面のみ酸化された金属アルミニウムを考慮して換言すれば、アルミニウム元素を含む金属粒子であることが好ましい。アルミニウム元素を含む金属粒子は、例えば二酸化チタンに対しては安価かつ容易に入手することに加え、樹脂を劣化させる光触媒活性がない、化学的に安定で耐薬品性にも優れ、高硬度、高耐熱といった利点を有する。
二酸化チタンは化学的安定性(耐光触媒活性)、耐候性、分散性などの観点に表面を酸化アルミニウム(アルミナ)などにより処理される場合がほとんどである。アルミナは、二酸化チタンと比較して、化学的に安定で、耐薬品性にも優れ、高硬度、高耐熱といった特徴がある。
なお、白色系に近い外観と記載してきたが、例えば顔料が酸化アルミニウムの場合は、アルミナ色、金属色、明るい灰色、明るいグレーなどとも表現できよう。この様に白色とは若干離れた色彩についてもここでは白色系と表現している。本開示においてはL*値が65以上であることをもって白色系としている。
これらのように、前記で列記した特定の無機粒子、あるいは金属粒子による顔料で白色化されたものは、熱線の他、紫外線の反射率も上がるため、耐久性が向上する。
<絵柄層>
実施形態に係る絵柄層22は、第1の塩化ビニル系樹脂シート21の基体シート10側の面とは反対の面側に設けられている。
本開示の化粧シート1に係る絵柄層22は、その表面におけるJIS K 7374:2007に規定する像鮮明度(特に、反射光に関しては「写像性」と呼称される場合もあるため、以下「像鮮明度(写像性)」と表記する)が0.3以下であることが好ましい。その場合には絵柄層22の表面における面粗さ(ISO 25178)に規定される算術平均高さSaが10μm以上であることが好ましい。各理由については後述する。
絵柄層22の絵柄としては、特に限定はなく、例えば木目模様、石目模様、布目模様、皮紋模様、幾何学模様、文字、記号、線画、各種抽象模様柄、単色ベタ柄、単色グラデーション等を挙げることができる。
また、絵柄層22は、着色剤を含有する樹脂組成物(すなわち、インク)の層を、グラビア印刷、(平版)オフセット印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷等の有版印刷、あるいは、インクジェット印刷、電子写真ないし静電印刷、転写印刷等の無版印刷等の各種印刷法、手書きによる描画等により所望の絵柄状に形成したり、金、銀、銅、アルミニウム等の金属の薄膜を真空蒸着法、スパッタ法、めっき法等により所望の絵柄状に形成したりすることによって設けられる。
絵柄層22は紫外線硬化型のアクリル系樹脂を含むインクにより設けられた層であることが好ましい。該好ましい典型例は、絵柄層22がインクジェット印刷法により形成される場合である。後述のごとく、化粧シート1の絵柄層22両面の表面における像鮮明度を低く抑える(0.3以下)のにインクジェット印刷法による絵柄層22の形成が好適である。
また、絵柄層22は絵柄層および保護層を含み、絵柄層22は、アクリル系樹脂を含むインクにより設けられた絵柄層上に保護層が設けられた層であることが好ましい。該好ましい典型例は、絵柄層22がグラビア印刷法により形成される場合である。
まず絵柄層22が紫外線硬化型のアクリル系樹脂を含むインクにより設けられた層である好ましい例、典型的には、絵柄層22がインクジェット印刷法により設けられる例について説明する。この場合においては、以下の効果を得ることができる。印刷ヘッド部分に搭載された紫外線光源により吐出後のインクを瞬時に硬化させることができるためインクの厚盛が可能となり、幅広い色調表現が可能である。また硬化(乾燥)の際に熱をかける必要がないため、被印刷物に対し熱によるダメージが少なく、また硬化(乾燥)時間も短い。また、溶剤系のインクは一般的に高艶であるが、紫外線硬化型のインクであれば、膜天井材用途において好まれる低艶から溶剤系のインクと同様の高艶まで好みに応じて調整可能である。
またインクジェット印刷法は上述の通り、多色かつ高精細な印刷により、高い意匠性を有する化粧シートを得ることが可能である。また、印刷に係る版胴を作成する必要がないため段取り時間が短く機動性の高い印刷が可能となり、多品種を少量ずつ生産する場合や、損傷した部位のみの貼り替えのような少量生産において、好適に適用できるからである。
絵柄層22をインクジェット印刷法により印刷形成する際に用いる紫外線硬化型のアクリル系樹脂を含むインクとしては、光重合タイプを一般的に用い、光重合性オリゴマー、光重合成モノマー、光重合開始剤、有機又は無機の顔料からなる色材等を主要な組成とする。その他成分として、必要に応じて、光重合開始剤の開始反応を促進させるための増感剤、分散剤、熱安定剤、酸化防止剤、防腐剤、消泡剤、浸透剤、難燃剤等の添加剤を加えてもよい。
絵柄層22は顔料として、Pigment Yellow 150、およびPigment Red 122を含むことが好ましい。耐候性、および発色性に優れ、また木目模様の絵柄の印刷に好適に使用可能だからである。
このような紫外線硬化型のインクは、紫外線照射によって光重合開始剤からラジカルが発生し、反応性モノマーやオリゴマーを攻撃し活性化させる。その後、活性化した反応性モノマーやオリゴマー同士が反応し高分子化され、これによって第1の塩化ビニル系樹脂シート21(あるいは後述するアクリル層25)に定着される。このため、水分を吸収しにくい第1の塩化ビニル系樹脂シート21(あるいはアクリル層25)に対しても、確実な定着が得られ、ポリ塩化ビニル(PVC)の他、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)への印刷も可能である。
また、使用樹脂としては、アクリル系樹脂であることが好ましい。アクリル系樹脂を含む光重合成モノマーとしては、単官能アクリレートや2官能アクリレートを使用することが好ましい。絵柄層22がアクリル系樹脂を含むことにより絵柄層22と、塩化ビニル系樹脂を含む第1の塩化ビニル系樹脂シート21(あるいはアクリル層25)との親和性が高くなり、両者の密着性が高めることができるからである。
単官能アクリレートとしては、カプロラクトンアクリレート、イソデシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソミリスチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、2-エチルヘキシル-ジグリコールジアクリレート、2-ヒドロキシブチルアクリレート、2-アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ネオペンチルフリコールアクリル酸安息香酸エステル、イソアミルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、エトキシ-ジエチレングリコールアクリレート、メトキシ-トリエチレングリコールアクリレート、メトキシ-ポリエチレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシ-ポリエチレングリコールアクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド付加物アクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボニルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、2-アクリロイロキシエチル-コハク酸、2-アクリロイロキシエチル-フタル酸、2-アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチル-フタル酸、アクリル酸イソボニルなどを挙げることができる。
2官能アクリレートとしては、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、アルコキシ化ヘキサンジオールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンアクリル酸安息香酸エステル、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール(200)ジアクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジアクリレート、ポリエチレングリコール(600)ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ジプロピレングリコールアクリレートなどを挙げることができる。
光重合性オリゴマーとしては、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、シリコンアクリレート、ポリブタジエンアクリレートなどを挙げることができ、それらを単独または2種以上を組合せて使用することができる。
開始剤としては、リン系光重合開始材を用いることが好ましい。その他、ベンゾイン、ベンゾフェノン等を用いることもできる。
反応性希釈剤としては、紫外線硬化型ウレタンアクリレートを用いることが好ましい。
なお、ポリマー性のインクの場合、アクリル層25、および第1の塩化ビニル系樹脂シート21をはじめ、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)などのプラスチック材料、およびその他の有機ポリマーで構成された被印刷物に対し好適に適用可能である。
紫外線硬化型のアクリル系樹脂を含むインクにより印刷形成される絵柄層22の質量は、1.5g/m2以上30g/m2以下であることが好ましい。1.5g/m2を下回る場合は濃度の薄い意匠しか表現することができないため意匠が限定される懸念があり、また着色されている第1の塩化ビニル系樹脂シート21の色の影響を強く受けることにより意匠性を損なう懸念がある。一方、30g/m2を上回る場合には、有機分が増加するため不燃性能が損なわれる懸念があり、また色が濃くなりすぎて黒色に近づくことにより、豊かな意匠表現が困難となってくる。すなわち、絵柄層の質量が1.5g/m2以上30g/m2以下であることにより、化粧シート1を意匠性の高いものとすることができる。
好ましくはインクジェット印刷法により設けられる絵柄層22の厚さは、通常は1μm以上49μm以下であり、好ましくは2μm以上25μm以下である。
次に、絵柄層22が絵柄層および保護層を含み、絵柄層22は、アクリル系樹脂を含むインクにより設けられた絵柄層上に保護層が設けられた層である好ましい例、典型的には、絵柄層22がグラビア印刷法により設けられる例について説明する。
絵柄層22に含まれる絵柄層に係るインクは、公知の着色剤(染料又は顔料)を樹脂、すなわちバインダー樹脂とともに溶剤(又は分散媒)中に溶解(又は分散)して得ることができる。着色剤として、無機顔料、有機顔料、金属粉顔料、真珠光沢顔料、蛍光顔料、夜光顔料等が挙げられる。例えば、無機顔料としては、カーボンブラック、黒色酸化鉄、チタン白、亜鉛華、弁柄、紺青、黄鉛、カドミウムレッド等を、有機顔料としては、アゾメチンアゾ系黒顔料、ペリレン系黒顔料、各種色相の有彩色アゾ顔料、レーキ顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、フタロシアニン顔料、イソインドリノン顔料、ニッケル-アゾ錯体、ジオキサジン顔料等を、金属粉顔料としては、アルミニウム粉、ブロンズ粉等の鱗片状箔片を、真珠光沢顔料としては、酸化チタン被覆雲母、酸化塩化ビスマス等の鱗片状箔片を挙げることができる。これらの着色剤は、単独又は2種以上を混合して使用したり、シリカ等のフィラー、有機ビーズ等の体質顔料、中和剤、界面活性剤等とともに使用したりしてもよい。
絵柄層22に使用する樹脂(バインダー樹脂)としては、各種ポリエステル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル-マレイン酸共重合体等の塩化ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、スチレン-(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン-(メタ)アクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸2ヒドロキシエチル共重合体、アクリル系モノマーとして、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸イソボニルなどのアクリル系樹脂、ポリオール化合物を主剤としイソシアネート化合物を硬化剤とする2液硬化型ウレタン樹脂、塩素化ポリプロピレン等を使用することもできる。上記樹脂は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。上記樹脂には架橋剤、リン系光重合開始材などの重合開始剤、紫外線硬化型ウレタンアクリレートなどの反応性希釈剤または、重合促進剤を添加して、塗膜強度、および耐久性を向上させることが好ましく、上記樹脂の中ではアクリル系樹脂またはアクリル系樹脂と塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体との混合物が好ましい。アクリル系樹脂と塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体との混合物の場合、混合の質量比は、[アクリル系樹脂の質量]/[塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体の質量]は2/8~8/2の範囲とすることが、絵柄層22の第1の塩化ビニル系樹脂シート21への印刷適性と密着性、並びに耐候性、耐擦傷性等の耐久性の点で好ましい。
絵柄層22に含まれる保護層は、絵柄層上に設けられ、絵柄層を保護する役目を果たす層である。保護層を設けることで、艶を調整できる他、不燃性、耐汚染性、耐候性、耐ブロッキング性などを各向上させることができる。
保護層は、樹脂を含む層の積層、塗膜の塗工、又は樹脂を含む層の積層と塗膜の塗工の併用により設けることができる。この中では、絵柄層を形成するグラビア印刷機における絵柄層形成後の最終ユニットで保護層を形成すると、生産効率が良く好ましい。
保護層が含む樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、有機樹脂変性シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アミノアルキド樹脂、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂等を挙げることができる。これらの樹脂は、水系、エマルジョン型、溶剤型又は無溶剤型のいずれも使用することができる。
また保護に係る一般的な材料として例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、エチレン-プロピレン-ブテン共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマー等のオレフィン系樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、メチルメタクリレート-ブチルメタクリレート共重合体等のアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、エチレン-塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、エチレングリコール-テレフタル酸-イソフタル酸共重合体、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)等のスチレン系樹脂、ポリイソプレン、天然ゴム、エチレンプロピレンゴム(EPR)、クロロプレンゴム等のゴム、ウレタン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂等が挙げられる。なお、上記例示した樹脂以外を用いてもよい。
保護層の厚さは用途、要求性能等に応じて適宜選定すればよいが、通常、0.5μm以上100μm以下である。
塗膜の塗工の場合には、例えば、熱硬化型ウレタン樹脂、熱硬化型ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂等の公知の熱硬化型樹脂(1液硬化型又は2液硬化型のもの)、紫外線、電子線等の電離放射線の照射により架橋ないし重合するアクリル酸エステル系、エポキシ系、不飽和ポリエステル系等の公知の電離放射線硬化型樹脂等、水系アクリル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂の中から適宜選択することができる。塗膜の厚さは、通常、0.5μm以上10μm以下(硬化後の膜厚)とすることができる。
絵柄層22が絵柄層および保護層を含み、絵柄層22は、アクリル系樹脂を含むインクにより設けられた絵柄層上に保護層が設けられた層である例においても、絵柄層22の質量は、1.5g/m2以上30g/m2以下であることが好ましい。
1.5g/m2を下回る場合は濃度の薄い意匠しか表現することができないため意匠が限定される懸念があり、また着色されている第1の塩化ビニル系樹脂シート21の色の影響を強く受けることにより意匠性を損なう懸念がある。さらに、保護層が不十分となることにより、上記保護層に係る機能、すなわち、不燃性、耐汚染性、耐候性、耐ブロッキング性などの向上や、艶調整が不十分なものとなる。一方、30g/m2を上回る場合には、そもそもグラビア印刷法での印刷が困難である。印刷した場合であっても、有機分が増加するため不燃性能が損なわれる懸念があり、また色が濃くなりすぎて黒色に近づくことにより、豊かな意匠表現が困難となってくる。すなわち、絵柄層の質量が1.5g/m2以上30g/m2以下であることにより、化粧シート1を意匠性の高いものとすることができる。
好ましくはグラビア印刷法により設けられる絵柄層22の厚さは、通常は0.5μm以上49μm以下であり、好ましくは2μm以上25μm以下である。
<第2の接着剤層>
第2の接着剤層32は、ガラス繊維から構成される層11を有する基体シート10と第2の塩化ビニル系樹脂シート12との間に設けられる両者を接着するための層である。第2の接着剤層32は、接着剤を含み、その組成として塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、ポリオレフィン系共重合樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂等を挙げることができ、中でも塩化ビニル系樹脂であることが好ましい。第2の接着剤層32は、ガラス繊維から構成される層11と第2の塩化ビニル系樹脂シート12とを第2の接着剤層32を介して熱圧着によるラミネートで形成されることが好ましい。
また、第2の接着剤層32は本開示においては必須の構成ではない。例えば、基体シート10における第1の塩化ビニル系樹脂シート21が積層される面側とは反対の面側に、着色された塩化ビニル樹脂の液状組成物をコーティングし該液状組成物を固化することにより第2の塩化ビニル系樹脂シート12を形成した場合は、第2の接着剤層32の介在無しに直接、基体シート10上に第2の塩化ビニル系樹脂シート12が形成される。なお、この形態の場合、該液状組成物の固化層が第2の接着剤層32および第2の塩化ビニル系樹脂シート12の両層を兼備していると見なすこともできる。
また、第2の塩化ビニル系樹脂シート12と同色とした着色塩化ビニル系樹脂組成物を含む第2の接着剤層32をコーティングして、別途成膜済みの第2の塩化ビニル系樹脂シート12と該第2の接着剤層32とを熱圧着によるラミネートしたような場合には、化粧シート1において、第2の塩化ビニル系樹脂シート12と第2の接着剤層32との両層が存在しているにも関わらず、両層(12と32)が異なる層として識別できないこともあり得る。
<第1の接着剤層>
第1の接着剤層31は、第1実施形態に係る化粧シート1においては第1の塩化ビニル系樹脂シート21と、ガラス繊維から構成される層11を有する基体シート10と、の間に設けられる両者を接着するための層である。第1の接着剤層31は、接着剤を含み、その組成は上記第2の接着剤層32と同様であり、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、ポリオレフィン系共重合樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂等を挙げることができ、中でも塩化ビニル系樹脂であることが好ましい。第1の接着剤層31は、基体シート10と、第1の塩化ビニル系樹脂シート21とを第1の接着剤層31を介した熱圧着によるラミネートで形成されることが好ましい。
第1の接着剤層31においても第2の接着剤層32の場合の上記説明と同様に、液状組成物の固化層が第1の接着剤層31および第1の塩化ビニル系樹脂シート21の両層を兼備していると見なすこともできる形態であったり、第1の塩化ビニル系樹脂シート21と第1の接着剤層31との両層が存在しているにも関わらず、両層(21と31)が異なる層として識別できないような形態であったりしてもよい。
<アクリル層>
上述の通り、本開示における化粧シート1においては、第1の塩化ビニル系樹脂シート21と絵柄層22との間にアクリル層25を備えていてもよい。上述の通り好ましい一例においては、絵柄層22は紫外線硬化型のアクリル系樹脂を含むインクを用いてインクジェット印刷法により印刷される。また上述の好ましい別の一例においては、絵柄層22は、アクリル系樹脂を含むインクを用いてグラビア印刷により設けられた絵柄層上に保護層が設けられたものである。上記いずれの好ましい形態においても、第1の塩化ビニル系樹脂シート21の基体シート10とは反対の面側にアクリル系樹脂を含むインクを印刷する形態である。そのため、第1の塩化ビニル系樹脂シート21の一方の面にアクリル層25を設け、その後アクリル層25上にアクリル系樹脂を含むインクを印刷すると、アクリル層25と絵柄層22の密着性を高めることができ好ましい。
すなわち、図2に示す通り、アクリル層25は第1の塩化ビニル系樹脂シート21と絵柄層22との間に設けられる。
アクリル層25は、アクリル系樹脂および塩化ビニル系樹脂を含む層であり、通常は印刷あるいはコーティング、好ましくはグラビア印刷法により形成される。
アクリル系樹脂としては例えば、主成分がアクリル酸(メタクリル酸を含む)及びその誘導体であるアクリルアミド、アクリロニトリル等を重合して得られるアクリル樹脂、他のアクリル酸エステル、エチレン、スチレン等の他のモノマーとの共重合体樹脂が挙げられる。
具体的には、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン-(メタ)アクリル酸メチル共重合体等の(メタ)アクリル酸エステルを含む単独又は共重合体が挙げられる。なお、(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタアクリルを意味する。
また、アクリル層25の厚さは1μm以上5μm以下であることが好ましい。厚さが1μmを下回る場合には、アクリル層25をグラビア印刷法で均一に塗布形成することが困難となり、また5μmを上回る場合には、化粧シート1としてのしなやかさが損なわれてしまうからである。
アクリル層25を有する形態であれば、絵柄層22に係るアクリル系樹脂を含むインクと、同様にアクリル系樹脂および塩化ビニル系樹脂を含むアクリル層25との密着性を高めることができ、結果的に化粧シート1の耐久性、信頼性を高めることができる。
アクリル層25をグラビア印刷法にて形成することが好ましい理由としては、アクリル層25はベタ柄であり、しかもアクリル層25は絵柄層22に係る絵柄いかんによらず共通、汎用の層であるため、版胴を共用し得るからである。すなわち、一度版胴を作成すれば、その版胴は印刷幅が共通であれば品種いかんによらず共通に使用することが可能であるため版胴の作成負荷は高くなく、また印刷幅が共通であれば品種が異なっていても一度に印刷して作り置きが可能であるため工程負荷もさほど高くない。さらにグラビア印刷機において使用するユニットは1ユニットのみであるため、品種の切り替え時に版胴の交換が必要な場合であっても、その負荷はさほど高くない。すなわち、アクリル層25の形成においては、グラビア印刷法の適用性は悪くはない。
<像鮮明度(写像性)>
光沢フィルムを商業施設などで膜天井材として使用する場合には、照明や日光などの外光、壁面広告などが化粧シートに過度に映り込んでしまうことにより、落ち着きがなく、居心地の悪い空間となってしまうとともに、かかる映り込みによって絵柄層の意匠性外観の視認性が低下するという問題がある。
映り込みに関する評価値として、像鮮明度(写像性)が知られている。ここでは、像鮮明度と写像性とは同義の語として扱う。プラスチックの像鮮明度はJIS K 7374:2007に規定されている。そこではプラスチックの像鮮明度として、プラスチックを透過して見える物体の像、又はプラスチックの表面で反射して見える物体の像が、どの程度鮮明にゆがみなく見えるかの度合い、として定義される。本開示に係る化粧シート1においては、表面で反射して見える物体の像についての評価値として使用する。JIS K 7374:2007においては、像鮮明度の測定、計算方法として、試験片からの反射光の光線軸に直交する光学くし(櫛)を移動させて、光線軸上にくしの透過部分があるときの光量(M)と、くしの遮光部分があるときの光量(m)を求める。両者の差(M-m)と和(M+m)との比率(%)として規定される。上記定義からすると、映り込み像が明瞭である程大きな値(最高値100)となり、映り込み像が不明瞭である程小さな値(最低値0)となる。
本開示に係る化粧シート1においては、化粧シート1の絵柄層22面側の表面で反射して見える物体の像は不鮮明となる。像鮮明度を用いて表現するならば、化粧シート1の絵柄層22面側の表面におけるJIS K 7374:2007に規定する像鮮明度(写像性)が0.3以下である。像鮮明度を0.3以下することにより、照明や外光、壁面広告などが膜天井材に過度に映り込むことがなく、低い写像性(映り込み性)とすることができる。
絵柄層22の表面における像鮮明度を低くするための方法として、絵柄層22の表面の凹凸を大きくすることが考えられる。像鮮明度を0.3以下とするためには、絵柄層22の表面における面粗さ(ISO 25178)に規定される算術平均高さSaが10μm以上であることが好ましい。算術平均高さSaが10μm以上であれば、容易に像鮮明度を0.3以下とすることができる。算術平均高さSaが10μmを下回る場合には像鮮明度を0.3以下とすることが困難となる。
算術平均高さSaを10μm以上とする、すなわち絵柄層22の表面の凹凸を大きくする方法として、エンボス加工やサンドブラスト等の物理的な加工が考えられる。これらの方法を適用して化粧シート1の絵柄層22側の表面の凹凸を大きくしても構わないが、その場合には、エンボス加工やサンドブラスト等の加工に伴う工程負荷が増えるという問題がある。工程負荷を増やすことなく、絵柄層22の表面の凹凸を大きくすることが出来るならば非常に好都合である。
絵柄層22の積層形成方法として、様々な塗布、積層方法が適用されうるが、例えば、絵柄層22に係るインクが、インクジェット印刷法により離散的に塗布され、その膜厚が大きく、かつ塗布されたインクがレベリングで濡れ広がる前に硬化(乾燥)するような場合には、絵柄層22表面の凹凸を大きくするための他の工程を経ることなく、絵柄層22を積層形成するのみで、その表面の凹凸を大きくすることができる。
そのためには、絵柄層22の膜厚が5μm以上であることが好ましい。絵柄層22の膜厚が大きい、すなわち絵柄層22に係るインクの量が多い場合には、網点(インク)の有無あるいは粗密に起因した絵柄層22表面の凹凸を大きいものとすることが容易だからである。絵柄層22の膜厚が5μmを下回る場合には、絵柄層22表面の凹凸を大きいものとすることが困難となる。
なお、単に絵柄層22すなわちインクの膜厚を5μm以上としたとしても、絵柄層22が、厚さ方向と直交する面内方向(図3においては付記してある座標系におけるXY平面またはこれと平行な面内方向)において、全域が一定膜厚の連続体膜では、絵柄層表面での光拡散(中でも特に拡散反射)の度合いが低く、像鮮明度0.3以下の実現は困難である。
よって、図3の拡大図示のごとく、絵柄層22(インク層)の膜厚が5μm以上の領域、すなわちインク層による網点22H、および、絵柄層22の膜厚が0μmまたは0μmに近い領域、すなわち網点間の余白領域22Lの2種の領域から絵柄層22が構成されるようにする。そして、「絵柄層22の膜厚が5μm」と言った場合は、絵柄層中の網点22Hの部分の平均膜厚が5μmであることを意味する。なお、図3の拡大図示においては、網点22Hを矩形として示しているが、あくまでも概念図であり、インク層がインクジェット印刷法により形成されるものであれば、網点22Hはインク粒の着弾によって形成されるため山形状の断面となる。
図3の拡大図示以外の図においては、図示の簡略化のため、絵柄層22が、あたかも、全域に亘って均一厚さの連続体であるかのごとく図示してあるが、現実には、絵柄層22は網点22Hおよび網点間の余白領域22Lの2種類の領域の集合体から構成される。そして、かかる2種の厚さの異なる2領域22Hおよび22Lの共存によって生じた絵柄層22表面の凹凸の程度を評価する指標が算術平均高さSaとなる。
上記の通り、化粧シート1における像鮮明度(写像性)の観点からは、絵柄層22はインクジェット印刷法により設けられることが好ましい。インクジェット印刷法は、インク粒の着弾の有無あるいは粗密による絵柄層22表面の凹凸について、他の印刷法と比較して凹凸を大きいものとすることができるからである。
上述の通り、本開示の化粧シート1は、好ましくは絵柄層22面側の表面におけるJIS K 7374:2007に規定する像鮮明度(写像性)が0.3以下である。該好ましい形態においては、絵柄層22面側の表面に映り込む物体の像は不鮮明となる結果、映り込みにより落ち着きがなく、居心地の悪い空間となってしまうという上記問題を大幅に抑制することができる。
そして該好ましい形態においては、インクジェット印刷法を用いることにより、エンボス加工やサンドブラストなどの付加的な工程を経ることなく容易に絵柄層22の表面における面粗さ(ISO 25178)に規定される算術平均高さSaが10μm以上とすることができるため、容易に像鮮明度を0.3以下とすることができる。
<平均分光吸収率>
化粧シート1の好ましい形態においては、第2の塩化ビニル系樹脂シート12面側の表面における波長780nm以上2500nm以下の平均分光吸収率を50%以下である。ここでは、波長780nm以上2500nm以下の平均分光吸収率を、波長780nm以上2500nm以下の範囲における
平均分光吸収率(%)=100(%)-平均分光透過率(%)-平均分光反射率(%)
として定義する。
ここで、波長780nm以上2500nm以下の平均分光透過率(%)は、波長780nmから波長2500nmまで波長を1nmずつ変化させながら、各波長(すなわち、波長780nm、781nm、・・・2499nm、2500nm)の分光透過率(%)を各測定し、測定した1721個の分光透過率の和を1721で割ることにより算出する。各波長の分光透過率(%)は、分光光度計(株式会社日立ハイテクサイエンス UH4150)を使用して、化粧シート1の第2の塩化ビニル系樹脂シート12面側の表面に入射角0度(化粧シート1または第2の塩化ビニル系樹脂シート12の表面の法線方向を0度とする)で各波長の光を照射し、平行入射光束に対する全透過光束の割合(すなわち全光線透過率)として測定する。全光線透過率の測定方法は、JIS K 7375:2008に準拠する。
また、波長780nm以上2500nm以下の平均分光反射率(%)は、波長780nmから波長2500nmまで波長を1nmずつ変化させながら、各波長(すなわち、波長780nm、781nm、・・・2499nm、2500nm)の分光反射率(%)を各測定し、測定した1721個の分光反射率の和を1721で割ることにより算出する。各波長の分光反射率(%)は、分光光度計(株式会社日立ハイテクサイエンス UH4150)を使用して、化粧シート1の第2の塩化ビニル系樹脂シート12面側の表面に入射角5度(化粧シート1または第2の塩化ビニル系樹脂シート12の表面の法線方向を0度とする)で各波長の光を照射し、平行入射光束に対する全反射光束の割合(すなわち全光線反射率)として測定する。全光線反射率の測定方法は、JIS K 7375:2008に準拠する。
化粧シート1を建築物内装材の一形態として膜天井材として使用する場合、化粧シート1の裏面にあたる第2の塩化ビニル系樹脂シート12側の面にも太陽光、あるいは室内光源による熱線にさらされることがある。この様な場合、第2の塩化ビニル系樹脂シート12が白色系に近い外観ではない場合(L*値を65を下回る場合)には、熱線の吸収により第2の塩化ビニル系樹脂シート12ひいては化粧シート1全体の温度が上昇し、その結果絵柄層22の劣化が促進される。一方、第2の塩化ビニル系樹脂シート12を白色系に近い外観(L*値が65以上)の場合には、化粧シート1の第2の塩化ビニル系樹脂シート12面側の表面における波長780nm以上2500nm以下の平均分光吸収率が50%以下とすることができる。そのため上記波長範囲の赤外線(熱線)の半分以上を透過または反射することができるため化粧シート1の温度上昇を抑えることができ、そのため絵柄層22の経時劣化を抑制することができる。
本開示に係る化粧シート1は、アクリル層25の有無に関わらず、化粧シート1の全体の質量が450g/m2以上600g/m2以下であり、好ましくは、化粧シート1の全体の厚さが0.3mm以上0.45mm以下である。
ここで、実施形態に係る化粧シート1は、上記説明した通り、ガラス繊維から構成される層11を有する基体シート10、第1の塩化ビニル系樹脂シート21、および第2の塩化ビニル系樹脂シート12を主体として構成されている。上述の通り、第1の塩化ビニル系樹脂シート21、および第2の塩化ビニル系樹脂シート12はともに塩化ビニル系樹脂を主成分とするフィルムであり、塩化ビニル系樹脂は、不燃性能、防炎性能に優れる。またガラス繊維から構成される層11も不燃性能、防炎性能に優れる。化粧シート1は、最外層に絵柄層22が位置するものの、上記の通りその質量が1.5g/m2以上30g/m2以下と絵柄層22の塗布量を少ないため、化粧シート1全体として上記不燃性能を満たす、すなわち発熱速度200kW/m2超過時間(10s以内)、かつ総発熱量8MJ/m2以内、とすることができる。
また、化粧シート1の全体の質量が600g/m2以下と軽量であるため、燃焼に係るエネルギー源が少量となる結果、この観点からも不燃性能が高い。一方、化粧シート1の全体の質量は450g/m2以上であるため、例えば膜天井材として化粧シート1単体で設置された場合であっても必要な機械的強度を備えることができる。全体の質量が450g/m2を下回る場合には必要な機械的強度を得ることが困難となる。その場合に機械的強度を得るために基体シート10、第1の塩化ビニル系樹脂シート21、第2の塩化ビニル系樹脂シート12等の質量を大きくしようとすれば、絵柄層に必要な質量を割り当てることが困難となる。
上述の通り、化粧シート1は、全体の厚さが0.3mm以上0.45mm以下である。全体の厚さが0.45mmを超える場合は、全体の質量が600g/m2以下とすることが困難となるため、不燃性能を満たすことが困難となる。また全体の厚さが0.3mmを下回る場合は、化粧シート1として必要な機械的強度を得ることが困難となる、絵柄層に必要な質量を割り当てることが困難となる、などの弊害がある。
本開示の化粧シート1は、上記範囲の全体の質量を有し、また上記範囲の全体の厚さを有するため、不燃性能と必要な機械的強度とを両立させ、かつ高い意匠性を備えたものとすることができる。
本開示に係る化粧シート1においては、絵柄層22の質量は1.5g/m2以上30g/m2以下である。この事により化粧シート1に係る意匠は、第1の塩化ビニル系樹脂シート21の色の影響を受けにくく、また絵柄層22の色が濃くなりすぎることにより意匠性を損なうことを回避することができ、すなわち化粧シート1を意匠性の高いものとすることができる。また、不燃性能も確保することができる。
またアクリル層25を有する形態においては、絵柄層22とアクリル層25との密着性を一層高めることができるため、結果的に化粧シート1の耐久性、信頼性を一層高めることができる。
〔建築物内装材〕
上記化粧シート1は、高い不燃性能と高い意匠性を有するため、化粧シート1単体で建築物の天井に設置して、建築物内装材すなわち膜天井材として好適に使用することができる。
化粧シート1は、単体で膜天井材として使用するのみならず、化粧シート1と基板、吊り具、枠材、棧、ねじ等他の部材を組み合わせた上で、建築物内装材として使用することもできる。化粧シート1は適度に柔軟であるため、上記他の部材と組み合わせ建築物内装材とすることが容易である。建築物内装材の用途としては、空港、駅、店舗内などの天井材の他、天井からの吊り下げ広告、柱巻きなどの店舗装飾、ビニールカーテン、簡易間仕切り、養生シート、機械などの各種カバー、破れ補修や生地の補強材などを挙げることができる。上記例における建築物内装材においても、高い不燃性能、高い意匠性、適度に軽量であること、耐水性などの特長により、不特定多数が利用する空間や、建築工事現場内などで好適に使用することができる。
また、本開示に係る各化粧シートは、建築物内装材以外の用途に利用することもできる。建築物内装材以外の用途としては、例えば、展示会パネル、ポスター、テント、店舗の庇テント、アーケードの屋根材、駐車場の屋根材、日傘やビーチパラソル、旗や幟、横断幕、垂れ幕、車両の幌、工事現場の仮囲い、防水シート等である。
本開示に係る各化粧シートは、また、上記列記の各種用途における破れ補修や生地の補強材などの用途に利用することを挙げることができる。
〔化粧シートの製造方法〕
(実施形態の第1の製造方法)
まず、実施形態に係る化粧シート1の第1の製造方法の一例について、層構成の概略を示す断面図である図4を参照して説明する。
まず着色された第1の塩化ビニル系樹脂シート21および着色された第2の塩化ビニル系樹脂シート12を準備する。
次にガラス繊維から構成される層11を有する基体シート10を準備し(図4(a))、基体シート10を接着剤に浸すことにより接着剤を基体シート10に含浸させ、その後乾燥させることにより、その一方の面側に第1の接着剤層31となる接着剤が、他方の面側に第2の接着剤層32となる接着剤が塗布された状態とする(図4(b))。
次に、第1の塩化ビニル系樹脂シート21と基体シート10の一方の面側(図4における上面側)とが対向する様に第1の接着剤層31を介してラミネートにより接着する(以下第1の塩化ビニル系樹脂シート積層工程とも言う)とともに、基体シート10の他方の面側(図4における下面側)と第2の塩化ビニル系樹脂シート12とが対向する様に第2の接着剤層32を介してラミネートにより接着する(以下第2の塩化ビニル系樹脂シート積層工程とも言う、またここまで積層された製造途中の状態を中間基材という場合もある。(図4(c))。
次に、第1の塩化ビニル系樹脂シート21の基体シート10側の面とは反対の面側にアクリル層25をグラビア印刷法にて形成する(図4(d))。好ましくはグラビア印刷法であるが、インクジェット印刷法による印刷でもよい。次に、アクリル層25の第1の塩化ビニル系樹脂シート21側の面とは反対の面側に絵柄層22をインクジェット印刷法により印刷し化粧シート1を得る(絵柄層積層工程、図4(e))。ここでインクジェット印刷法に係るインクは紫外線硬化型のアクリル系樹脂を含むインクであり、形成された絵柄層22の質量が1.5g/m2以上30g/m2以下となる様に印刷する。なお上記各工程においては、化粧シート1全体の質量が450g/m2以上600g/m2以下となる様に化粧シート1を構成する各層を設計している。全体の質量が上記範囲となる様にする設計においては、主に第1の塩化ビニル系樹脂シート21、および第2の塩化ビニル系樹脂シート12の選択が設計における大きな比重をなす。
また上記説明では、第1の塩化ビニル系樹脂シート積層工程と第2の塩化ビニル系樹脂シート積層工程とを同一工程で行っているがこれに限らず、第1の塩化ビニル系樹脂シート積層工程を先に行いその後第2の塩化ビニル系樹脂シート積層工程を行ってもよく、また第2の塩化ビニル系樹脂シート積層工程を先に行いその後第1の塩化ビニル系樹脂シート積層工程を行ってもよい。
上記説明ではアクリル層25を設けているが、本開示においてアクリル層25は必須の構成ではない。アクリル層25を設けない場合は、第1の塩化ビニル系樹脂シート21の基体シート10側の面とは反対側の面に対し、絵柄層22をインクジェット印刷法により設ければよい。
上記の通り、アクリル層25をグラビア印刷法にて積層する工程、および絵柄層22をインクジェット印刷法により印刷する工程(絵柄層積層工程)における基材は、基体シート10の一方の面側に第1の塩化ビニル系樹脂シート21が、他方の面側に第2の塩化ビニル系樹脂シート12が各積層された状態の中間基材である。仮に第1の塩化ビニル系樹脂シート21および第2の塩化ビニル系樹脂シート12がともに軟質であったとしても、ガラス繊維から構成される層11を有する基体シート10を有するために該中間基材は適度な剛性を有する。
そのため該中間基材に対しアクリル層25をグラビア印刷する際における乾燥時の熱、あるいはテンションにより該中間基材が伸びたり、ガイドロールへ貼り付いたり、といった不具合を回避することができる。
また絵柄層積層工程におけるインクジェット印刷においても同様に、印刷時のテンションにより該中間基材が伸びたり、ガイドロールへ貼り付いたり、といった不具合を回避することができる。
また、ガラス繊維から構成される層11に積層後の第1の塩化ビニル系樹脂シート21は、ガラス繊維から構成される層11の表面凹凸の影響により、表面の凹凸が比較的大きいが、第1の製造方法においては、インクジェット印刷法にて絵柄層22を形成している。インクジェット印刷法は非接触の印刷法であるため、被印刷物の表面、すなわち第1の塩化ビニル系樹脂シート21の表面、の凹凸の影響を比較的受けにくく、良好な印刷が可能で、すなわち意匠性の高い絵柄層22の形成が可能である。
以上より、本開示の第1の製造方法に係る化粧シート1においては、アクリル層25を積層する工程においても絵柄層積層工程においても印刷対象である該中間基材の伸縮や、ガイドロールへの貼り付き、しわ等が生じ難く、高品質な印刷が可能となる。従って、本開示の第1の製造方法に係る化粧シート1は高い意匠性を有することができる。
本開示の製造方法においては、絵柄層積層工程をインクジェット印刷法で行うため、印刷に係る版胴を作成する必要がなく、段取り時間が短く機動性の高い印刷が可能であるため、少量生産に適している。またインクジェット印刷法においては、紫外線硬化型のアクリル系樹脂を含むインクを用いるため、印刷ヘッド部分に搭載された紫外線光源により吐出後のインクを瞬時に硬化させることができインクの厚盛が可能となる結果、幅広い色調表現が可能である。また硬化(乾燥)の際に熱をかける必要がないため、第1の塩化ビニル系樹脂シート21に対し熱によるダメージが少なく、また硬化(乾燥)時間も短い。また、溶剤系のインクは一般的に高艶であるが、紫外線硬化型のアクリル系樹脂を含むインクであれば、膜天井材用途において好まれる低艶から溶剤系のインクと同様の高艶まで好みに応じて調整可能である。
(実施形態の第2の製造方法)
次に、実施形態に係る化粧シート1の第2の製造方法の一例について、層構成の概略を示す断面図である図5を参照して説明する。
まず着色された第1の塩化ビニル系樹脂シート21(図5(a))および着色された第2の塩化ビニル系樹脂シート12を準備し、第1の塩化ビニル系樹脂シート21の一方の面側(図5における上面側)に絵柄層22をグラビア印刷法により印刷する(絵柄層積層工程、図5(b))。該グラビア印刷においては、アクリル系樹脂を含むインクにより絵柄層を印刷し、その後のユニットで保護層も印刷することが好ましい。形成された絵柄層22の質量が1.5g/m2以上30g/m2以下となる様に印刷する。
次にガラス繊維から構成される層11を有する基体シート10を準備し(図5(c))、基体シート10を接着剤に浸すことにより接着剤を基体シート10に含浸させ、その後乾燥させることにより、その一方の面側に第1の接着剤層31となる接着剤が、他方の面側に第2の接着剤層32となる接着剤が塗布された状態とする(図5(d))。
その後、第1の塩化ビニル系樹脂シート21の絵柄層22側の面とは反対の面側と基体シート10の一方の面側(図5における上面側)とが対向する様に第1の接着剤層31を介してラミネートにより接着する(以下第1の塩化ビニル系樹脂シート積層工程とも言う)とともに、基体シート10の他方の面側(図5における下面側)と第2の塩化ビニル系樹脂シート12とが対向する様に第2の接着剤層32を介してラミネートにより接着し(以下第2の塩化ビニル系樹脂シート積層工程とも言う)、化粧シート1を得る(図5(e))。なお上記各工程においては、化粧シート1全体の質量が450g/m2以上600g/m2以下となる様に化粧シート1を構成する各層を設計している。全体の質量が上記範囲となる様にする設計においては、主に第1の塩化ビニル系樹脂シート21、および第2の塩化ビニル系樹脂シート12の選択が設計における大きな比重をなす。
また上記説明では、第1の塩化ビニル系樹脂シート積層工程と第2の塩化ビニル系樹脂シート積層工程とを同一工程で行っているがこれに限らず、第1の塩化ビニル系樹脂シート積層工程を先に行いその後第2の塩化ビニル系樹脂シート積層工程を行ってもよく、また第2の塩化ビニル系樹脂シート積層工程を先に行いその後第1の塩化ビニル系樹脂シート積層工程を行ってもよい。
上記説明ではアクリル層25を設けていないが、第2の製造方法に係る化粧シート1においてもアクリル層25を設けてもよい。アクリル層25を設ける場合は、第1の塩化ビニル系樹脂シート21の一方の面側(図5における上面側)に対し、絵柄層22を形成する前に、アクリル層25をグラビア印刷法にて形成し、次いでアクリル層25の第1の塩化ビニル系樹脂シート21側の面とは反対の面側に絵柄層22を上記と同様の方法で設ければよい。
上記第2の製造方法においては、第1の塩化ビニル系樹脂シート21と基体シート10に係るガラス繊維から構成される層11とを接着する前に、第1の塩化ビニル系樹脂シート21上に絵柄層22をグラビア印刷している。ガラス繊維から構成される層11に積層後の第1の塩化ビニル系樹脂シート21は、ガラス繊維から構成される層11の表面凹凸の影響により、表面の凹凸が大きいため、グラビア印刷法による絵柄層22の形成は不向きである。しかし、ガラス繊維から構成される層11に積層される前の第1の塩化ビニル系樹脂シート21であれば表面の平滑性が高いため、グラビア印刷法を好適に適用することができる。また、ガラス繊維から構成される層11に積層される前の第1の塩化ビニル系樹脂シート21であれば厚さも薄いため、多色刷りのグラビア印刷法も好適に適用できる。すなわち、第2の製造方法においては、グラビア印刷法による多色かつ高精細な意匠の形成が可能であるため、該製造方法で製造された化粧シート1は高い意匠性を発現できる。
なお、第1の製造方法においては、非接触の印刷法であるインクジェット印刷法を用いているため、ガラス繊維から構成される層11に積層後の第1の塩化ビニル系樹脂シート21に対し印刷する際の上記問題の影響を比較的受けにくく、良好な印刷が可能、すなわち意匠性の高い絵柄層22の形成が可能である。
第2の製造方法において得られた化粧シート1においても、本開示に係る化粧シート1において説明した各効果と同様の効果を得ることができる。すなわち第2の製造方法に係る化粧シート1は、高い不燃性能と高い意匠性と有するものである。
(第1の実施例)
以下本開示に係る実施例および比較例について説明する。
第1の実施例として、カレンダー法にて製造された、DINPを可塑剤としてその部数が60質量部、チタン白を10質量部含む厚さ150μmである白色塩化ビニル系樹脂シートを2枚準備した(第1の塩化ビニル系樹脂シート21および第2の塩化ビニル系樹脂シート12)。
次に、経糸および緯糸の織り密度が32本/25mmであるガラス織布(ガラス繊維から構成される層11)に対し塩化ビニル系樹脂の着色接着剤を40g/m2含浸させ、その後乾燥させることにより、ガラス織布の両面に塩化ビニル系樹脂の着色接着剤(第1の接着剤層31および第2の接着剤層32)が塗布された状態とした。次にガラス織布の一方の面側と、一方の白色塩化ビニル系樹脂シート(第2の塩化ビニル系樹脂シート12)とを塩化ビニル系樹脂の着色接着剤(第2の接着剤層32)を介して熱ラミネートにより接着した。次いで他方の白色塩化ビニル系樹脂シート(第1の塩化ビニル系樹脂シート21)とガラス織布の他方の面側とを塩化ビニル系樹脂の着色接着剤(第1の接着剤層31)を介して熱ラミネートにより接着することで中間基材を得た。
次に、該中間基材に係る、他方の白色塩化ビニル系樹脂シート(第1の塩化ビニル系樹脂シート21)側の面に、グラビア印刷にて透明なアクリル樹脂層(アクリル層25)を形成しプライマーとした。該アクリル樹脂層(アクリル層25)に対しEFI社製インクジェット印刷機 VUTEk GS5500LXrにて紫外線硬化型のアクリル系樹脂からなり、顔料として、Pigment Yellow 150、およびPigment Red 122を含むインクを用いて、形成された絵柄層22の質量が14g/m2となる様に木目模様層(絵柄層22)を形成し、第1の実施例に係る化粧シート1を得た。また該化粧シート1全体の質量は542g/m2であり、全体の厚さは0.38mmであった。
該第1の実施例に係る化粧シートは、上記説明における化粧シートの第1の製造方法に対応した形態である。
(第2の実施例)
第2の実施例として、第1の実施例における絵柄層22の質量を30g/m2とし、その他は第1の実施例と同様として、第2の実施例に係る化粧シート1を得た。また該化粧シート1全体の質量は558g/m2であり、全体の厚さは0.39mmであった。該第2の実施例に係る化粧シートは、上記説明における化粧シートの第1の製造方法に対応した形態である。
(第3の実施例)
第3の実施例として、カレンダー法にて製造された、DINPを可塑剤としてその部数が31質量部、厚さ100μmであるアイボリー色に着色された半硬質塩化ビニル系樹脂シートを2枚準備した(第1の塩化ビニル系樹脂シート21および第2の塩化ビニル系樹脂シート12)。一方の半硬質塩化ビニル系樹脂シート(第1の塩化ビニル系樹脂シート21)の一方の表面に対し、絵柄層および保護層を同一の印刷工程にて連続してグラビア印刷した(絵柄層22)。絵柄層に係る絵柄は第1の実施例と同様の木目模様であり、その質量を1g/m2とした。また保護層は、絵柄層と同一のグラビア印刷機内における絵柄層を印刷したユニットより後方のユニットにて保護層の質量が2g/m2となる様に印刷した。すなわち絵柄層と保護層を含む絵柄層の質量を3g/m2とした。
次に、経糸および緯糸の織り密度が32本/25mmであるガラス織布(ガラス繊維から構成される層11)に対し塩化ビニル系樹脂の着色接着剤を40g/m2含浸させ、その後乾燥させることにより、ガラス織布の両面に塩化ビニル系樹脂の着色接着剤(第1の接着剤層31および第2の接着剤層32)が塗布された状態とした。
次にガラス織布の一方の面側と、他方の半硬質塩化ビニル系樹脂シート(第2の塩化ビニル系樹脂シート12)とを塩化ビニル系樹脂の着色接着剤(第2の接着剤層32)を介して熱ラミネートにより接着した。次に一方の半硬質塩化ビニル系樹脂シート(第1の塩化ビニル系樹脂シート21)に係る絵柄層が形成された面側とは反対の面側とガラス織布の他方の面側とを塩化ビニル系樹脂の着色接着剤(第1の接着剤層31)を介して熱ラミネートにより接着することで第3の実施例に係る化粧シート1を得た。また該化粧シート1全体の質量は480g/m2であり、全体の厚さは0.31mmであった。
該第3の実施例に係る化粧シートは、上記説明における化粧シートの第2の製造方法に対応した形態である。
(第4の実施例)
第4の実施例として、第3の実施例における半硬質塩化ビニル系樹脂シート(第1の塩化ビニル系樹脂シート21および第2の塩化ビニル系樹脂シート12)について、可塑剤の部数31質量部、アイボリー色は変更なく、その厚さを150μmに変更した。また絵柄層に係る質量について、絵柄層の質量を5g/m2に、保護層の質量を7g/m2に、すなわち絵柄層の質量を12g/m2に各変更し、その他は第3の実施例と同様として、第4の実施例に係る化粧シート1を得た。該化粧シート1全体の質量は590g/m2であり、全体の厚さは0.44mmであった。該第4の実施例に係る化粧シートは、上記説明における化粧シートの第2の製造方法に対応した形態である。
(第5の実施例)
第5の実施例として、第4の実施例における絵柄層に係る質量について、絵柄層の質量を0.5g/m2に、保護層の質量を1.2g/m2に、すなわち絵柄層の質量を1.7g/m2に各変更し、その他は第4の実施例と同様として、第5の実施例に係る化粧シート1を得た。該化粧シート1全体の質量は580g/m2であり、全体の厚さは0.41mmであった。該第5の実施例に係る化粧シートは、上記説明における化粧シートの第2の製造方法に対応した形態である。
(比較例1)
比較例1として、第2の実施例における白色塩化ビニル系樹脂シート(第1の塩化ビニル系樹脂シート21および第2の塩化ビニル系樹脂シート12)について、可塑剤の部数60質量部、白色は変更なく、その厚さを200μmに変更した。その他は第2の実施例と同様として、比較例1に係る化粧シート1を得た。該化粧シート1全体の質量は630g/m2であり、全体の厚さは0.47mmであった。該比較例1に係る化粧シートは、上記説明における化粧シートの第1の製造方法に対応した形態である。
(比較例2)
比較例2として、第1の実施例における白色塩化ビニル系樹脂シート(第1の塩化ビニル系樹脂シート21および第2の塩化ビニル系樹脂シート12)について、可塑剤の部数60質量部、白色は変更なく、その厚さを75μmに変更した。また絵柄層の質量を0.5g/m2に変更し、その他は第1の実施例と同様として、比較例2に係る化粧シート1を得た。該化粧シート1全体の質量は430g/m2であり、全体の厚さは0.29mmであった。該比較例2に係る化粧シートは、上記説明における化粧シートの第1の製造方法に対応した形態である。
(比較例3)
比較例3として、第4の実施例あるいは第5の実施例における絵柄層に係る質量について、絵柄層の質量を1g/m2とし、保護層は省略して、すなわち絵柄層の質量を1g/m2に変更し、その他は第4の実施例あるいは第5の実施例と同様として、比較例3に係る化粧シート1を得た。該化粧シート1全体の質量は569g/m2であり、全体の厚さは0.41mmであった。該比較例3に係る化粧シートは、上記説明における化粧シートの第2の製造方法に対応した形態である。
(比較例4)
比較例4として、第4の実施例あるいは第5の実施例における絵柄層に係る質量について、絵柄層の質量を10g/m2に、保護層の質量を10g/m2に、すなわち絵柄層の質量を20g/m2に各変更し、その他は第4の実施例あるいは第5の実施例と同様として、比較例4に係る化粧シート1を得た。該化粧シート1全体の質量は605g/m2であり、全体の厚さは0.47mmであった。該比較例4に係る化粧シートは、上記説明における化粧シートの第2の製造方法に対応した形態である。
(比較例5)
比較例5として、第1の実施例における第2の塩化ビニル系樹脂シート12に相当する白色塩化ビニル系樹脂シートについて、その色のみ白色ではなくブラウン色に変更し、DINPを可塑剤部数および厚さは第1の実施例に係る白色塩化ビニル系樹脂シートと同様である塩化ビニル系樹脂シートに変更した。その他は第1の実施例と同様として、比較例5に係る化粧シート1を得た。該化粧シート1全体の質量は542g/m2であり、全体の厚さは0.38mmであった。該比較例5に係る化粧シートは、上記説明における化粧シートの第1の製造方法に対応した形態である。
(評価1:発熱性試験)
評価に係る各化粧シートに対し、ISO5660-1に準拠したコーンカロリーメーター試験機を用いて、加熱開始後20分間の総発熱量(MJ/m2)、および加熱開始後20分間の最大発熱速度として、200kW/m2を超える時間(以下超過時間ともいう)を秒単位で求め、評価基準は以下の通りとした。総発熱量7.2MJ/m2以下、かつ超過時間8秒以下:◎、総発熱量8MJ/m2を超える、あるいは超過時間10秒を超える:×、上記◎にも×にも該当しないもの:〇。
(評価2:ブロッキング評価)
評価に係る各化粧シートについて、5cm×5cmに切断した小片状シートを各複数枚準備して、小片状シートの同じ面が上方となる様に(小片状シートの表面側(絵柄層側)と他の小片状シートの裏面側とが対向する様に)複数枚の小片状シートを積層し、20kgの荷重を付与した。その状態で40℃の環境で72時間保管した後、積層された複数枚の小片状シートを相互に剥離して、その剥離性、および剥離後の小片状シートについて表面側(絵柄層側)表面状態および裏面側の表面状態を目視で観察し評価した。小片状シート相互の著しい密着がなく良好な剥離性を呈し、かつ小片状シート裏面側への絵柄層の転写が確認されないもの、すなわちブロッキングが確認されないものを○、小片状シート相互が著しく接着して剥離が困難であるか、剥離の結果小片状シート裏面側への絵柄層の転写が確認されたもの、すなわちブロッキングが確認されたものを×とした。
(評価3:外観評価)
化粧シートの外観、すなわち木目模様層(絵柄層22)の印刷外観を目視により評価した。印刷外観に問題ないものを○、印刷外観不良が認められたものを×とした。
(評価4:像鮮明度(写像性)評価)
上記実施例、比較例に係る各化粧シートに係る木目模様層側の表面について、コニカミノルタジャパン株式会社製アピアランスアナライザー Rhopoint IQ-Sを使用し、入射角、受光角とも20°として、像鮮明度(写像性)を測定した。
(評価5:算術平均高さSa評価)
上記実施例、比較例に係る各化粧シートに係る木目模様層側の表面について、キーエンス社製 VR-3000を用いて面粗さ(ISO 25178)に規定される算術平均高さSaを測定した。
(評価6:映り込み性目視評価)
上記実施例、比較例に係る各化粧シートについて、目視により映り込み性を評価した。具体的には、管面が露出した状態の3波長型直管型蛍光灯(27W)を光源として、入射角、受光角とも30°の関係となる様に、蛍光灯、化粧シートおよび観察者を各配置して、観察距離を1mとして、各化粧シートの木目模様層側の表面における蛍光灯の映り込みを観察した。各化粧シートの木目模様層側の表面において、光源が映り込んでいると認識できるものを×、光源が映り込んでいると認識できないものを○とした。
(評価7:熱線吸収率評価)
上記実施例、比較例に係る各化粧シートを5cm×5cmの大きさに切断し、木目模様層(絵柄層22)とは反対面における、JIS Z 8781-4:2013に準拠して測定されるCIE(国際照明委員会)L***表色系におけるL*値、および780nm以上2500nm以下の範囲の平均分光反射率および平均分光透過率を測定した。両測定値を「平均分光吸収率(%)=100(%)-平均分光透過率(%)-平均分光反射率(%)」の式にあてはめ平均分光吸収率を得た。その結果、吸収率50%以下を〇と、吸収率50%を超えるものを×とした。
評価に係る各化粧シートに対する評価1~7の結果を表1に示す。
Figure 2023035776000002
(評価1結果)
発熱性すなわち不燃性能を評価する評価1の結果は表1の通り、比較例1および比較例4が×、その他はすべて◎であった。評価に係る10条件の化粧シートのうち、比較例1は全体の質量が630g/m2、比較例4は全体の質量が605g/m2と600g/m2を超えており、全体の質量が大きいために総発熱量が8MJ/m2を超えたためである。一方、全体の質量が590g/m2である第4の実施例においては◎であった点を鑑みると、本評価結果より、不燃性能の観点から全体の質量が600g/m2以下であることが好ましいことが確認できた。
(評価2結果)
ブロッキングを評価する評価2の結果は表1の通り、比較例3のみ×、その他はすべて○であった。グラビア印刷法を用いた5条件(第3の実施例~第5の実施例、比較例3、比較例4)のうち、比較例3のみが保護層を有していない。グラビア印刷法はインクの硬化法が熱硬化であるため、保護層を有さない場合にはブロッキングし易いものと考えられる。その一方、インクジェット印刷法を用いた5条件(第1の実施例、第2の実施例、比較例1、比較例2、比較例5)については、保護層を有していないにも関わらずブロッキングは発生していない。これはインクジェット印刷に係るインクが紫外線硬化型のインクであるために保護層で保護されていなくともブロッキングし難かったものと考えられる。本評価結果より、ブロッキング防止の観点から、グラビア印刷法を用いた場合には保護層を有することが好ましいことが確認できた。
(評価3結果)
化粧シートの外観、すなわち木目模様層(絵柄層22)の印刷外観を評価する評価3の結果は表1の通り、比較例2のみ×、その他はすべて○であった。比較例2は、木目模様層に係る濃度が全体的に薄く、一部がかすれていた。比較例2はインクジェット印刷であるにも関わらず、絵柄層の質量が0.5g/m2と少ないために、木目模様層が所定の濃度が得られる程度にインクを積層することが出来なかったものと考えられる。ところで第5の実施例においては絵柄層の質量が0.5g/m2であるにも関わらず印刷外観不良は確認されなかった。第5の実施例は絵柄層をグラビア印刷法により印刷しているが、グラビア印刷法に係るインクは紫外線硬化型のインクジェットインクに比べ質量当たりの着色性が良いため、第5の実施例においては印刷外観不良が発生しなかったものと考えられる。グラビア印刷法においては、絵柄層の質量が0.5g/m2でも問題ないと考えられるが、ブロッキング防止の観点から1g/m2程度の保護層が必要となるため、絵柄層の質量としては1.5g/m2以上であることが好ましいことが確認できた。
以上の結果、および絵柄層の質量が30g/m2を超えてくると不燃性能を満たすことが困難となることを鑑みると、絵柄層の質量としては1.5g/m2以上30g/m2以下であること好ましいことが確認された。
また、全体の質量が450g/m2を下回る場合には、化粧シート1の機械的強度を考慮するならば絵柄層の質量として1.5g/m2以上を確保ことが困難となる。このことおよび不燃性能の観点から、化粧シートの全体の質量が450g/m2以上600g/m2以下であること好ましいことが確認された。
(評価4~6結果)
評価4乃至評価6の結果は表1の通りであった。評価4の結果と評価6の結果とを対比するならば、実施例1、実施例2、比較例1、比較例2、および比較例5の如く像鮮明度(写像性)が0であれば、光源が映り込んでいることすら認識できない程度に、映り込みがほとんどないことを確認した。比較例4は、像鮮明度(写像性)が0.28、算術平均高さSaが10であったが、映り込み性目視評価では、光源が映り込んでいることが何となく認識できる程度であり、映り込みが気になる程度ではなかった。
上記結果および、評価5の結果と評価6の結果とを比較すれば、像鮮明度(写像性)が0.3以下であれば映り込みは気にならない程度であることが確認された。
また、評価5の結果と評価6の結果とを対比するならば、実施例1、実施例2、比較例1、比較例2、比較例4、および比較例5の如く面粗さ(ISO 25178)に規定される算術平均高さSaが10μm以上であれば、光源の映り込みは気にならない程度であることが確認された。一方、算術平均高さSaが9μm以下の場合には、光源が映り込んでいると認識でき、気になる程度の映り込みが発生することを確認した。上記より、算術平均高さSaが10μm以上であれば、映り込みが非常に少ないことを確認した。
(評価7結果)
熱線吸収率を評価する評価7の結果は表1の通り、比較例5のみ×、それ以外はいずれも〇となった。これにより、本開示に係る白色あるいは白色に準ずるアイボリー色の様な白色系を呈する第2の塩化ビニル系樹脂シート12は、熱線吸収率が低いこと、および熱線吸収率を低くするためには白色であると共に熱線帯域の電磁波の吸収が少ない特定の白色顔料により着色された白色系が好ましいことが確認された。L*値に注目すれば、70であるアイボリー色が〇、53であるブラウン色が×であることから、波長780nm以上2500nm以下の平均分光吸収率が50%以下とするためには、L*値が65以上が好ましいことの妥当性を確認された。
そして、本開示に係る各形態の化粧シートは熱線吸収率が低いため、化粧シートの温度上昇を抑えることができ、その結果、絵柄層22の劣化を抑制することができる。すなわち、経時による意匠性の劣化が少ない化粧シートとすることができることを確認した。
以上、本開示に係る化粧シート、建築物内装材、および化粧シートの製造方法について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と、実質的に同一の構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなる場合であっても本開示の技術的範囲に包含される。
1 化粧シート
10 基体シート
11 ガラス繊維から構成される層
12 第2の塩化ビニル系樹脂シート
21 第1の塩化ビニル系樹脂シート
22 絵柄層
25 アクリル層
31 第1の接着剤層
32 第2の接着剤層

Claims (12)

  1. 基体シートの一方の面側に第1の塩化ビニル系樹脂シートが、他方の面側に第2の塩化ビニル系樹脂シートが積層された化粧シートであり、
    前記基体シートはガラス繊維から構成される層を有し、
    前記第1の塩化ビニル系樹脂シートおよび前記第2の塩化ビニル系樹脂シートは、いずれも着色されており、
    前記第1の塩化ビニル系樹脂シートの前記基体シート側の面とは反対の面側に絵柄層が積層され、
    前記絵柄層の質量が1.5g/m2以上30g/m2以下であり、
    前記化粧シートの全体の質量が450g/m2以上600g/m2以下である、化粧シート。
  2. 前記化粧シートは、その全体の厚さが0.3mm以上0.45mm以下である、請求項1に記載の化粧シート。
  3. ISO5660-1に準拠した発熱性試験において、200kW/m2超過時間が10秒以下であり、総発熱量が8MJ/m2以下である、請求項1あるいは請求項2のいずれか1項に記載の化粧シート。
  4. 前記化粧シートの前記絵柄層面側の表面におけるJIS K 7374:2007に規定する像鮮明度(写像性)が0.3以下である、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の化粧シート。
  5. 前記化粧シートの前記絵柄層面側の表面における面粗さ(ISO 25178)に規定される算術平均高さSaが10μm以上である、請求項4に記載の化粧シート。
  6. 前記化粧シートの前記第2の塩化ビニル系樹脂シート面側の表面における波長780nm以上2500nm以下の平均分光吸収率が50%以下である、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の化粧シート。
  7. 前記化粧シートにおいて、前記第2の塩化ビニル系樹脂シート面側の表面におけるJIS Z 8781-4:2013に準拠して測定されるCIE(国際照明委員会)L***表色系におけるL*値が65以上である、請求項6に記載の化粧シート。
  8. 前記第2の塩化ビニル系樹脂シートは、少なくとも無機粒子、金属粒子のいずれかを含む、請求項6あるいは請求項7のいずれか1項に記載の化粧シート。
  9. 請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の化粧シートを有する建築物内装材。
  10. 第1の塩化ビニル系樹脂シートと基体シートと第2の塩化ビニル系樹脂シートとを有する化粧シートの製造方法であって、
    着色された前記第1の塩化ビニル系樹脂シートおよび着色された前記第2の塩化ビニル系樹脂シートを準備する工程と、
    ガラス繊維から構成される層を有する前記基体シートを準備する工程と、
    前記基体シートの両面に接着剤を含浸させ、第1の接着剤層および第2の接着剤層とする工程と、
    前記基体シートの一方の面側と、前記第1の塩化ビニル系樹脂シートの一方の面側とが対向する様に前記第1の接着剤層を介して積層する第1の塩化ビニル系樹脂シート積層工程と、
    前記基体シートの他方の面側と、前記第2の塩化ビニル系樹脂シートとが対向する様に前記第2の接着剤層を介して積層する第2の塩化ビニル系樹脂シート積層工程と、
    前記第1の塩化ビニル系樹脂シートの他方の面側に絵柄層を1.5g/m2以上30g/m2以下の質量となる様に積層する絵柄層積層工程とを有し、
    前記化粧シートの全体の質量が450g/m2以上600g/m2以下である、化粧シートの製造方法。
  11. 前記絵柄層積層工程は、前記第1の塩化ビニル系樹脂シート積層工程、および前記第2の塩化ビニル系樹脂シート積層工程より後から行われる、請求項10に記載の化粧シートの製造方法。
  12. 前記絵柄層積層工程は、前記第1の塩化ビニル系樹脂シート積層工程より前に行われる、請求項10に記載の化粧シートの製造方法。
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2023071946A (ja) * 2018-10-05 2023-05-23 日本たばこ産業株式会社 喫煙物品の製造方法

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